3.ネフェル王女



新しい侍女?あぁ・・そんなようなことを聞いたおぼえが・

「顔を上げなさい」
「は、はい」
「名は?」
「は、ティティと申します」

可愛らしい娘だこと。商人の娘だとは聞いているけれど貴族の娘にひけをとらぬ・・

「よろしく頼みますよ」
「は、はいっ!光栄でございます!」
「下がってよろしい・・」

ネフェルは先代ファラオの第三王女である。数多い王女の中で、その美貌、気高さは群を抜いており国民からは「美の女神」として抜群の人気を誇っている。現在のファラオの妻である王妃やその娘たちは当然おもしろくない。しかし、ネフェルの美貌の前には何も言うことはできなかった。彼女の存在感は圧倒的だった
次のファラオの座を狙う者としては、国民の人気を得るためにも、「美の女神」を妻としたいところだ。現在のファラオである彼女の叔父ですら姪である彼女を妻にしたいと思っているほどであった。
しかし、彼女にはすでに愛する男がいた・・

「えっと、ここがアナタと私の部屋よ。私、疲れてると大音量のいびきをかくみたいなの。先に謝っておくわね。この廊下を真っ直ぐ行くとネフェル様の寝室。基本的には呼ばれたら行く。すばやくね。早朝だろうが夜中だろうが関係ないわよ。で、こっちが・・」

よく口が回るなぁ~。
王女様への挨拶が終わってから、ティティはルカを紹介された。彼女はもちろん貴族の娘で、3ヶ月前に王女付きの侍女となった。元々世話好きらしく、先ほどからずっとこの調子だ。どもることも、噛むこともない。
でも、彼女のような人がいてティティは正直ホッとしていた何から何まで初めてのティティにとっては、彼女の親切と天真爛漫な明るさは非常に助かるし、嬉しい。

「王女様は入浴の時、花びらを湯船に浮かべるの。花の種類その日の王女様の気分で決まるの。決まった瞬間、庭園に走るんだけど、庭園にない時は市場まで行かなきゃならないの大変なのよ~量も半端じゃないしね・・」

ルカの説明は夜まで延々と続いたのであった・・





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