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リバイアサン



ポールオースターは僕が真っ先あげる現代作家のお気に入りだ。スモークやブルーインザスカイなど映画化された作品は映画も原作も素晴らしい。日本では村上春樹、アメリカではポールオースター、ブリティッシュではニックホーンビィ。カルチャーとしての作家でいうならばダグラスクープラント。とっても失礼な発言かも知れないが、どの作家も文学してない。本質では勿論バリバリ文学してるけど、僕はサラサラと、映像を見ているような気分でいつも作品を読んでいる。文字を追いそれが映像として鮮明に見える作家は僕は大好きだ。

9月11日の同時多発テロによってこの作品は多少間の悪いテーマに感じられるが、そもそも文学の持つ力とテロの持つ絶対悪の影響力とはテーマが重なったとしても比較されるようなものではないと思う。

内容は素晴らしすぎるのであえて触れない。もし何かを得たくて本を探しているならこの本は強烈で悲しい話だ。絶望から始まり絶望で終わるとしても、後味の悪さは一切ない。クールな感覚が何日か続く。孤独で強く生きるその姿勢が僕はたまらなく好きだ。
もしリバイアサンを手にしてそれを読むとしたらそれは、一人の一生の中で一番激しく燃えているその瞬間を覗き見ることと同じだ。本編とは話の筋が違うが実在の作家が登場して、ある事を私立探偵に依頼する。依頼は電話で行う。その内容は写真の女性を1週間尾行するというものだった。何時に家を出て何処に立ち寄り何時に帰宅するか。それだけ。しかし依頼者がターゲットと同一人物であることを探偵が知りその探偵は悩む。この挿話は本編の中のワンシーンだが、実際にその物語が中心となっている作品もある。

芥川龍之介の「藪の中」のように現実は全て曖昧で不確かな一面もあるが、この作品では現実に直面し、その直面した状況から抜け出す事すらできない場合もある。現実ほど確かなものはないという事を伝えているとも感じる。また作中の語り手の焦燥感も実に現実的で読んでいる僕はぐいぐいと作品に引き込まれていった。


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