りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年04月01日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


「アイツとオレ13」




「お待たせ。どうする?」

「先に飯食うか、今すぐ行くか、どっちがいい?」

映画は6時~のと8時45~のがあった。

「今すぐにしようかな。」

「そうだな。」

オレたちは、映画館近くのマックでテイクアウトして、ロビーで食べた。
サキは、ポテトと冷たいお茶を飲んでいた。オレはハンバーガーセット。
人はほどほどに入っていた。
友達といっしょにいるように、オレは心がけた。

これはデートじゃない。

映画は淡々と進んでいた。
オレは緊張してしまって、映画に集中できなかった。
彼女は真っ直ぐにスクリーンを観ていた。

オレは時々彼女の横顔を横目で見て、
手を見て、
また画面を見た。

飲み会の時に握った、滑らかな少し冷たい手。
車の中で、オレの手に触れた髪。
抱き寄せたらどんな感じなんだろう。

「パンフ買うの?」

「うん。この俳優好きなの。」

「ふ~ん。」

俳優は、男のオレから見てもカッコ良かった。
見た目もだけど、友達のためにガンバっていた姿もまた良かった。

オレは大学に行かなかった頃に、
アオヤンがずっと電話してくれたことを思い出して観たせいか、
ちょっとこの映画が気に入った。
なので、普段は買わないパンフをオレも買ってみた。

「カッコ良かったよな、コイツ。」

「ね。最後に笑ったトコとかスッゴイ良かった!」

ちょっと比べられてないかと思ったけど、
考えてみれば、俳優より彼氏と比べられてないか?
まあ、いいか。

「どうする?飯食ってく?」

「うん。いいよ。オナカすいちゃった。」

「飲みでいい?」

「この辺知ってるの?」

「うん、面白そうな店があるんだ。」

「じゃあ、行ってみたい!」

バンド仲間のシュウは、最近彼女にすっかり夢中で、
デートで彼女を楽しませるために、
対バンしたバンドの人や先輩なんかに、いい店はないかとしきりに情報を集めている。
マメなやつだ。
お陰でオレは行きたい店だけは沢山あった。

行くことにしたのは、聞いていた店の一つだった。

サキは、この前飲んでいたものと同じカクテルと頼んだ。
ここでもキレイな色に見えた。

「赤木くんて、こういうとこ、よく来るの?お酒、いろいろ知ってそう。」

サキが言った。

「バンドの打ち上げで昔から飲んでたし、店はいろいろ教えてもらった。」

「ここは?」

「来たことない。来てみたかったけど、何か、女連れの方がいいって聞いてたから。」

「そうなんだ。」

「うん。だから、ちょっと今日はありがたいよ。来てみたかったしさ。」

オレはサキが席を立ってる間、パンフを眺めた。
話の内容や裏話、スタッフの話なんかが載っていた。

「赤木君、こういう話好き?」

「好きって感じじゃなかったけど、友情って感じは良かったんじゃん。オマエは?」

「う~ん、戦争映画だし、だいたい予想してたけど、見てて、悲しくなってきちゃった。」

「オレも。友達が死んじゃったりとか。嫌だな。オレと同じ歳位なのにさ。」

「大事な友達がいるんだっけ?」

「うん。…まあな。ちょっとシンクロして観てたとこあった。」

「そういう友達がいるのって、いいよね。」

サキはカクテルを一口飲む。

「ねえ、赤木くんは戦争に行きたい?」

オレは酒を飲んで、ちょっと考える。

「行きたくないけど、行くと思う。」

「何で?」

「誰かが守らないと、
…例えば、好きな子とかが、戦争相手に殺されたりしたら、ヤだから。」

「そんなもの?」

「オマエだって、レイプとかされたらヤだろ?そうでもない?」

「そうだけど…」

サキは自分の手元をながめた。

「私なら逃げる。好きな人や家族連れて、どっか遠くに!」

「そうなの?」

オレは笑った。

「どっかって、どこだよ?」

「どこでもいいわよ。じゃなきゃ、いっしょに死にたい。
とにかく、好きな人と離れるのは嫌なのよ!」

オレはサキがムキになるので、ますます笑った。

「それもいいかもな。」

オレはまた酒を飲んだ。
好きな人を抱き締めて、いっしょに眠るように死ねたらいいかもしれない。
人を傷つけずに、どこかでひっそりと。

「でしょう?」

サキは意見が通って、満足したような笑顔になった。

「好きな人といっしょに死にたいの。」

「情熱的だなぁ。」

「そうよ!パッションね!」

「英語に変えただけじゃん!」

オレたちは笑った。

ヤバいと思った。
抱き締めてみたい。

その時、店のライトがチカチカと点滅して、雨と雷の音がした。
真っ暗に店内がなった後、ブラックライトに変わる。

ガイコツの店員が各テーブルにオーダーを聞きに来た。

「へぇ、面白いじゃん。ココ。」

「ホントだね。男同士で来たかった?」

「いや、いいよ。男同士なら、もっと安っぽいとこ行くし。
女の子と来た方が、いいでしょ。」

「そうなの?なんで?」

「さあ?男喜ばせても、嬉しくないし。オレ、ホモじゃないから。」

「女友達も喜ばせれば嬉しい?」

サキは笑いながら、オレの目をジッと見た。
オレは目を逸らして、とりあえず笑った。
何か、挑発してないか?

もしも、オレがここを出て、誘ったらどうなるだろう?
ホイホイついてくるのだろうか?
でも、そういう類の付き合いはしたくなかった。

「今日来てすごく楽しかった。ありがとうね、赤木くん!」

オレは時計を見る。

「どうする?そろそろ帰るか?」

「…そうだね。」

オレはサキが席に立っている間にテーブルで会計を済ませてしまった。

「いくらだったの?」

「いいよ、今日誘ったのオレだから。」

「そうなの?」

「どうしても払いたいなら、払っていいよ。体で!」

「バカじゃない!」

サキがオレの肩をたたく。
オレが笑う。

「じゃ、今度昼おごってよ。」

「うん、いいわよ。ありがとね!」

もしかしたら、これを口実に二人で会えるかもしれない。
オレはちょっと嬉しくなった。

オレは何だかすぐ帰るのが嫌で、サキを家の近くまで送って行った。

「何か奢ってあげる。何飲みたい?」

サキが自販機を指していった。
オレはポカリを指差した。

近くの公園で飲むことにした。

オレは迷っていた。

もし、今ここで、好きだと言ったら、どうなるだろう?
付き合ってるヤツと別れて欲しいと言ったら、どうなるだろう?



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最終更新日  2009年07月03日 19時45分40秒
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