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ひどい豪雨が降り出して、歩くのにも難渋するほどなので、最寄りの駅になんとか辿り着いてもぐしょ濡れになるのは避けられそうもありません。面倒なのでいつか持ち駒ー行きたい酒場ーがなくなったらお邪魔しようと思っていた日本中の町という町を席巻している現地風中華料理店にお邪魔することにしたのでした。 「中華料理 宴客 駒込店」です。ここも歩いてみると豪雨の際にはしっかりと濡れそぼる程度の距離はあった訳ですがなんとかそれほどの被害もなく辿りつけました。こうした店のセットメニューは気を付けねばならぬの原則ーお得なセットと迂闊に注文してみたら実は単品で注文したほうがお得であったーを冷静に遵守、もやしの坦々風、豚足とサワー。以外やこれがうんざりするほどに食べごたえがあって、前者は180円、後者は260円くらいだったと思いますが、2、3人でシェアしてもちょうどいいくらいのボリューム。つい余計に呑みすぎてしまいました。素材の安全性への懸念は相変わらずですが、ぼくらのような昭和生まれにとって多少の添加物ーそれで済まぬようではありますがーやらは、気に掛けても手遅れと感じられるのでした。 店を出ると雨は一向に降り止む気配を見せずむしろ激しくなってしまったようです。以前から一度は行こう行こうと思いながらどうしても抵抗があって足を向けられなかったとあるお店に伺うことにしたのでした。何故行くことに躊躇っていたかといえば、いつも言ってることの繰り返しになって恐縮なのですが、そこがチェーンのお店だったからです。この豪雨が幸いしてようやくお邪魔することに自分なりの理由付けができたようです。駒込駅北口改札を出て、徒歩三十秒という絶好の立地にある「養老乃瀧 駒込店」です。席に着いてーカウンターもありますがここは相席必至の島テーブルにするべきでしょうー、それにしてもここの店内は純喫茶のムードを味わうに似た失われゆくものたちを愛おしむ視線が換気させる点で似たものを感じます。酒を注文するとすぐさま届くのが怪しげなお通し。かつては嫌で嫌で仕方なかったこの得体のしれぬシロモノが不思議に嬉しく感じられます。白滝にタラコを和えたものと梅の汁に漬けられた風の竹輪とキュウリの和え物。けしてうまくはありませんがまずくもないのは歳のせいではなさそうです。こちらはまぐろブツをはじめ300円の肴が日替わりで充実しています。チェーン店とはいえここのチェーンは「餃子の王将」のように店長の独自の品揃えや価格設定が認められているらしくー実際、店舗によってかなりの程度に肴のレベルに開きがあり、値段も養老ビール以外は差異がありそうですー、赤地に黒枠、墨文字の昔ながらの店舗を見ると心が揺るぎます。中国人らしきフロアー係の女のコ?がオーダーを読み上げると、店長らしきオッチャンがマイクを通して復唱するスピーカーからの音声に久しく触れていなかったためすっかり記憶からこぼれ落ちていた断片を取り戻すことが出来ました。今ではインターホンでこっそりと客の耳に届くことなく、そっと伝えられてしまうそうしたやり取りが店内に響き渡るのは愉快です。しかもそのオッチャンの声がたまらない味わいがあるのです。これを聞くためだけにも訪れて損はないとまで言い切りたくもなります。ところでこの店舗だけではなさそうですが、バクハイなんてものがあって、要は生ビールとウイスキーのカクテルなのですが、追加用火薬というホッピーでいうところの中が税込76円とお得なのです。他にもマッコリや山崎プレミアム、ジムビームブラックなどがあって財布に応じて楽しめます。ぼくは当然一番安いの。まだまだ語っておきたいことはありますが長くなったので今回はこれまでにしておきます。
2014/09/30
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大口での充実した喫茶時間を過ごし終えたら、いよいよ居酒屋時間のスタートです。昼食時を過ぎて飲食店も掻き入れ時を過ぎて落ち着きを取り戻していると判断し、地元では知られたらしい中華料理店にお邪魔します。 「寺尾屋食堂」の前にやってくるとなんの事はないつい近頃開店したばかりのような味気ない店がありました。前回大口に来た時には、古い店舗が創業当時とそのままに違いなかろう枯れた佇まいを留めていましたがお休みでした。ことによるとその時が改装のタイミングだったのかもしれません。他所を探そうかとも思いましたが、その気になっていたこともあり空腹が我慢できぬほどに激しくなっています。とりあえず入るとぽつりぽつり客がいて、カウンターを勧められます。テーブルは2卓とも空いてるしわざわざこんな窮屈な人の出入りする入口付近の席じゃなくてもいいのではと思いもしますがまあいいか。名物は7個で150円のニコニコプライスの大口餃子てす。ラーメンには、食が細っているぼくには大変ありがたい小中大のサイズがあって小サイズを注文、焼酎ロックもお願いします。お隣の買い物帰りのマダムは餃子とラーメンでしたが、セットにするとそれに小ライスも付くようです。餃子もラーメンも昔ながらの味というのが適当なこれといった特徴はありませんがそれでいいのです。これで店の雰囲気さえかつての雰囲気が残っていたらかなり気分良く過ごせたのではないかと、いささか残念です。 続いて立ち寄った「石川屋酒店」は、一見するとアーケード商店街にあるごくありふれた酒屋さんでしかありませんが、その脇にはしっかりと独立した立ち飲みスペースが設けてあり、店舗内に無理無理テーブルを据えて角打ちでございと居直る店が多い都内のものとは一線を画し、嬉しくなります。カウンター奥には常連の中年男性がどっしり腰を据えて呑んでおり、水商売のお姉さんらしき顔馴染みと言葉を交わしています。ご機嫌な兄さんはぼくにもお愛想を投げてよこします。店主も店の奥から顔を覗かせ気持ちの良い挨拶をしてくれます。カウンターの中には娘さんが酒や肴の支度をしてくれます。肴も数品ですが調理したものもあって、腹はくちいので6ピーチーズだけにしましたが、勤務後の夕暮れ時の空腹も満たしてくれそうです。人通りのまばらな商店街をぼんやり眺めながら呑む至福にいつもより酒の回りがよいように感じられます。 ほろ酔い気分で京急の子安駅方面にのんびりと歩いていくと、高架に沿って商店街が伸びています。スナック長屋の一軒は喫茶店ですがあまり気乗りがしなかったのでそのまま進むと、住宅街に踏み入ることになりそうで面倒なので引き返そうとしたところ古びた酒屋さんがありました。もしや角打ちではなかろうかとみせを覗き込むと案の定、角打ちのカウンターがありました。レジの前に佇むお婆さんに声を掛けると呑んでも良いとのことなので早速冷蔵庫から緑茶ハイとおかきのパックを購入するとカウンターに移るのでした。「美加登屋酒店」という酒屋さんです。ご丁寧にグラスを準備してくれます。冷蔵庫を見るとお新香やゆで卵、納豆、豆腐などが入っていて皿に乗せる程度なのでしょうがそれでも乾きものだけでないということが嬉しくさせてくれます。人通りも全くなく古くて静謐な開け放たれた店で独り呑むと孤独さが去来しつつ、不思議と穏やかな心持ちに浸れるのでした。
2014/09/29
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とある平日の昼間、仕事をサボって子安駅にやって来ました。このブログをご覧の方であればああ、「市民酒場 諸星」にでも行くんだろうなと思われたことでしょう。当然ぼくも時間があえばお邪魔するに違いない、東神奈川で「みのかん」にでも寄って、いい加減に時間を潰して、ひとしきり酔ってからのこのハシゴなんてこれまで行ったことのない方には折り紙付きでお勧めしたくもなる訳ですが、今度は喫茶店巡りが主眼なのでその贅沢はまたの機会とします。目当ての喫茶店は、大口駅が最寄りですがいきなり駅前に出現しては興ざめなので、JRの子安駅からぶらぶらと向かうことにしました。 せっかくなので「諸星」を建物だけでも眺めておこうと目と鼻の先にある 京急新子安駅を横目に踏切を渡ると 「諸星」のお隣の建物の2階に 「喫茶 やまぐち」がありました。目指すお店に向かう前にここて逸る気持ちをなだめるためにも立ち寄っておくことにしました。階段を上がると思ったよりずっと正統派の喫茶空気広がっていました。ペンダントライトやパテーションも控えめではありますがセンスの良さが感じ取れます。いつもであれば店内を一望できる席を選ぶのですがぽつりぽつりとお客さんもいるので空いていた窓際席に腰掛けます。窓際からの眺めは眺望には恵まれず、人の往来もあまりなくさほど面白いわけではありませんが不思議に憩えるのでした。しょっぱなからある意味理想的といえる駅前喫茶と出会い幸先は良さそうです。 大口の商店街は数年前の同じ季節の似たような時間帯に来ていたことを今にして思い出します。当時、地獄のような私生活を送る旧友と数年振りに落ち合って、どうしたわけか、子安から川崎に向けて呑み歩いたのでした。そんなわけで商店街が楽しいことは記憶に新しかったので、横浜線の線路に沿って大口駅を目指します。駅までの風景は格別のことはありませが、駅前について急に鄙びて感じられるのも不思議な気がします。ロータリーの先には「喫茶 水乃江」がありますが、どうも営業はやめてしまわれたようです。事前の調べでは近くに良さそうな喫茶店が悲願とする以外にもあるようですが、この界隈の地番が枝なしのであったため随分無駄に歩くことになりました。 目当ての喫茶店は、 「喫茶室 鹿鳴館」というお店です。諦めてこちらに向かうことにしましたがそれらしき場所には、小ぢんまりして鹿鳴館というのはいくらなんでも無理がありそうな洋館造りの玄関がありました。こちらもさんざん探し回った挙句にようやく見つけることができたのは、先程の小さな外灯のある洋館の裏手だったのでした。正面に回るとやはり鹿鳴館を冠するには可愛らしすぎる洋館ですが、それでも店内の豪奢さへの期待が高まります。瞬間、玄関を間違えて店仕舞いしたふうに誤解しますが、窓から期待通りのペンダントライトの灯りが漏れ溢れていて慌てふためき扉を潜ります。鹿鳴館と云うには幾分手狭で、むしろ華族たちが鹿鳴館の隠し部屋でよからぬ会合を催すのに適したような、秘密めいた雰囲気が溜まりません。普段であれば直線的なしゃちこばった席の配列に、気に入りつつも苦言を呈したくなるところですが、こちらのムードにはぼくなんぞの戯けた一言など一蹴するだけの貫禄を感じました。ところで、執事ならざる店主は至って気さくで、天使のような無垢なる笑顔を絶やさず店の長い歴史を語ってくれるのでした。 あっ、商店街の外れに「喫茶 水乃江」がありました。移転されたようです。一応お邪魔してみたのですが駅前の店舗が想起させる純喫茶の名残はその片鱗すら窺えず非常に寂しい。やむを得ないこととはいえ古い店がどんどん姿を買えるのを間も当たりするのにはまだ慣れることができません。 アーケード街にある「COFFEE & TEA Fuji」は閉店していて残念ですが、かつては商店街を利用する多くの買い物客の止まり木として愛されていたに違いありません。 路地の中に「COFFEE & RESTAURANT ロデオ」がありました。近頃は滅多に見ることはなくなりましたが、店舗だけではなく、路地を挟んだお向かいにも小さな看板が誂えられています。熱海など温泉街の路地なんかで今でも時折見かけることがありますが、都心の呑み屋街でもほとんど見なくなりました。さて店内はというとこれは期待以上に良い雰囲気、ぐっと控えめな照明も変化があって、窓からの明かりも店内の家具や内装にヴェールをまとわせているかの様に効果的です。なにより嬉しい仕掛けが控えめな、階段3段ばかりの中2階と言うにはやや低くなったスペースのあることで、この絶妙な高さを設計したことによって却って視線の交錯を廃したプライヴァシーに配していてセンスの一旦が感じ取れます。 以上大口の喫茶店事情はけして充実しているとは言えぬまでもまだ喫茶好きなら一度は行っておきたい店舗が健在で未訪の方にはぜひお出掛けいただきたいものです。
2014/09/28
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先週の月曜日に、喫茶店好きにはよく知られるHP(http://retrocoffee.blog15.fc2.com/)で、存在すら知らずにいた一軒の喫茶店が店を占めるという報告がありました。どうにかして行きたいとあれこれ策をねったのですが、こちらの営業時間は8時から18時と職場と就業時間との兼ね合いをどう考えてもやり繰りするのは無理と諦めておりました。ところが、身の回りである事件が起き、それはけして喜んでいいような事件ではありませんでしたが、ぼくにとってはまさに幸運でした。 到着したのは、最後の営業日の金曜日の昼下がり。優しい笑顔でご夫婦が出迎えてくれました。入った瞬間は仰々しく飾り立てられているわけでもなく、さほど個性が際立つ店ではないと思いましたがこちらはむしろご夫婦の優しさこそが、店の個性であるように感じられました。ギリギリまで粘っても仕事の合間であるためごく僅かの時間しかいられませんでしたが、よい思い出となりました。奥さんのお話では、閉店を聞きつけて多くの方がみえられたそうです。そんなことをしんみりしつつも素敵な笑顔でお話していただけたのは、しばらく忘れられない思い出となることでしょう。昭和43年に開店した50年にもならんとする歴史のあるお店の幕引きとしてはあっけない位ですが、そのささやかなところがこのお店らしく思えます。 それにしても、そんなに素敵な店なら閉店前にどんどん行っておけばいいとは、ぼくもよく言ってしまいますが、そもそも知らないんじゃどうにもなりませんからね。ぼくもできるだけあまり知られていない酒場や喫茶店をますます訪ね歩きたいと改めて思うのです。
2014/09/28
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随分以前のことのように感じられますが、王子駅から北上すること20分近い豊島五丁目団地そばにあった「とん平」がいつの間にやら店舗が見られなくなったのを知ったのは、西新井大師に遊びに行った帰りの池袋行きの都営バスの車窓からでした。その後、移転したとの情報をいただきようやく機会を見つけて出向くことができたのでした。 今回は王子神谷駅を使ってみることにしました。以前の「とん平」も電車を利用するならこの駅が最寄りだったようです。寂れた人気もまばらな商店街をしばらく歩くと 、かつての店舗とはすっかり様変わりした「とん平」という看板のあるお店がありました。古くはありませんがけして新しいとまでは言えぬ店舗なので、居抜きで入ったということでしょうか。店に入ってもその印象はさほど変わらずごくありきたりの居酒屋さんの装い、かつての三角地という特異な敷地がもたらした独特な店舗設計の妙とは雲泥の差であるのは致し方ないにせよ残念なことです。さて席につくとお通しがきます。以前はなかったはずだけど。店の方も年齢不詳の男性が仕切っていたはず。こちらは女将さんタイプの方、ここで確認すればよかったのですが、なんだか面倒になって聞かないまんまになってしまい、結局、この店の正体は明かされぬままとなってしまったのでした。
2014/09/27
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世間はめっきり秋めいてきていて、ほんのひと月前までは、東急線沿線を徘徊していたことなど随分以前のことのように感じられます。武蔵新田駅もこの夏はじめて訪れた駅のひとつです。この東急多摩川線の駅については、行くまでは川沿いの住宅街が広がるばかりの味気ない町との先入観がありました。それが誤りだったことをすぐに知ることになるのですが、むしろその思い込みが良い方向に作用して、実際以上に楽しい町に感じられたのではないかと今となっては思われます。というのも金魚やさんや恐ろしくボロな食堂など魅力的な商店街があってわくわくさせてくれるのです。 散歩ついでなので昼間の訪問となりましたが「酒処 新田屋」に立ち寄ることにしました。店構えは渋くてよい感じですが、店内は案外狭いのでギリギリまで合理性を追求したためか、何度も内装をいじっているようです。そのため外から見るほどは味のないのが残念です。昼下がりのソープオペラなんかが放映されるような時間帯なのにまだサラリーマン客で賑わっているため、4、5席しかないカウンターに着きます。天ぷら屋さんのようですが多くの客はメンチカツを注文していました。彼らの目線など気にもせずハイサワーを所望の上、一人チビリするのはどこかしら背徳的で後ろめたくもあり、逆に優越感に浸っているようでもあります。自分で思っているほどには誰も気に留めていないんですけどね。天丼は高級店で出されるような上品さは微塵もなく、庶民がガツガツと食すに適したこれぞぼく好みのシロモノで、酒は控えめにしておくつもりだったのについお替りしてしまいます。濃厚なタレのしみた飯は充分に酒の肴たり得ます。徐々に引いてゆく客たちを尻目にゆっくり呑みたいところですが、あまりモタモタするのもだらしない、ハイサワーの残りを一気に煽るとさっと店を出るのでした。
2014/09/27
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とある休日の昼間、所用があって苦手とする自由が丘に出かけました。思ったより早く用事を終えることができたので、あまりじっくりと歩くことのない界隈を歩いてみることにしました。自由が丘から奥沢、大岡山、都立大学とグルリと回り込んで、学芸大学、祐天寺と行きそびれていた喫茶店を回りますが、昼食抜きでこれぞという居酒屋もしくは食堂、中華料理店、そば屋を物色しますが、これぞという店もなし。ようやく辿り着いた祐天寺で、先般うっかりにも程がある店を畳んだと思い込んでしまった「鳥勝」のシャッターが半開きになっており、今にも開店しそうなのを見て、今晩は早く帰ろうと思っていたことなどなかったかのように時間潰しをしてお邪魔する事に決めたのでした。 「ばん」を目指しますがまだ開店までは少々掛かりそうです。商店街で開いているお店がありました。そこに行ってみることにしました。「居酒屋 大将」です。極めてオーソドックスながらこれぞ王道の庶民派居酒屋というお店ですが、この感覚、せいぜいが昭和の30〜50年代の感性なんでしょうねえ。当時ーしかもその末期でしかないーのことなど、おぼろげにしか知らぬぼくのような世代にとっては、懐かしいなど碌に知りもせぬくせに知ったように語ってしまうのは当時を知る人たちにとっては、滑稽な懐古主義に過ぎぬかもしれません。ともあれ直線的に配置されたカウンターとテーブル席を見やり、当然カウンターに着きます。テーブル席では早くも男女混合グループが呑んでいて、若い男がどうしたらここまで笑えるのかというくらいの音量で、けたたましいというか、むしろヒステリックに響く虚ろな笑いを轟かせています。大衆居酒屋というには値段は高いけれどちゃんとしているお店なのにこれでは気分もぶち壊し。そこで語られる話題がぼくをしてくすりとぐらいさせないものであのバカ笑いは迷惑なだけです。 16:30になるとやかましかに耐えかねて店を出ることにしました。「ばん」の前を通るとすでにお客でぎっしりの様子。夫婦連れは2つある入口を行ったり来たり。これだからどうしても好きになれないのです。飲酒環境が良くないのはけして繁盛店の宿命というわけではないはずなのに。 開店には早いかもしれませんが「鳥勝」に向かいました。あらあらもう開店したようで、シャッターが半開きから7割程度の開きになっています。どうやらシャッターはこの程度の開きにしておくのがこの店にとっては常態のように思われます。すでにオッチャン独りカウンターで呑んでいます。店の中心には柱があり、かつては部屋で仕切られていたのかもしれません。この酒場、けして汚いわけではありませんが、一言で言うと散らかり放題のお店です。古い酒場には、手入れが行き届いた上に無駄な装飾をストイックなまでに廃した場合、自宅に対するのと同様に汚れてはいないものの便利さ故に散らかり放題となる場合、そして汚しっぱなし、散らかしっぱなしのカオスのような状態となっている場合がありますが、このお店は第二のタイプのようです。多分に主の性格に左右されることの多いわけですが、ぼくはどのタイプの酒場も店主も好みなのでした。先客のオッチャンは、肴を頼まずカウンターに置かれたおかきなどのちょっとしたおつまみを時折ゴソゴソと漁ってはティッシュペーパーに取り分けて口に運びます。それもいいなあと真似することを思いますが、あまりにもいじましい。ホルモン炒めを頂きました。コリコリと食感もよく臭みもまるでなし。試みにキッチンコショーを振りかけてみたらこれまた大正解。夕食を食べに定食を注文する若者もいたりして休日の夕暮れ時らしいゆるい時間を過ごせました。
2014/09/26
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気乗りしたわけではありませんが、上司のT氏に飯をくおうと誘われたので、池袋に下車しました。上司の脳裏にはラーメンが浮かんでいたらしく、好きなところでいいぞというので、かつて文芸坐で映画を見る前、懐に余裕があると立ち寄った「みんみん」に向かいましたがどういう訳か見当たらない。閉店したのか? やむなく「開楽 本店」に行くことにしたのですが、なんとこちらも改装中とのこと。こちらは10年くらい前にも改装していたはずですそんなに古びてなかったのに。何たることだ。 池袋からまたもや古い店が消えてしまいやけになって入ったのは一応以前から目を付けていた池袋駅東口の島地にある「135酒場 池袋店」です。この愛想のかけらもなく、ウィットがあるとでも思ったのか、なんだかよくわからん店名にげんなりする店に一人で来なかったのは正解でした。というのもキャバレー風の電飾が足元に伸びる階段を上った先には、広くテーブル席ばかりで独り客などいはしません。食事目当てなのでまあ構いやしませんが、思った以上に無造作な店内に池袋から和風中華料理店が姿を消してしまったのと時ほぼ同じくして、続々勢力を増す現地風の中華料理店の営業を感じずにはおられません。主に100、300、500円刻みで設定された料理の味は値段相応。ボリュームはかなりのもの、材料は大丈夫かと思うほど。店の方は中国人らしいのですが、ちょっと待ってくださ~いと言ってもなかなかやって来ないのはまあしようがないか。 そんな呑むつもりはありませんでしたが、気が向いて西口に移動しました。「花海」という地下の店があったので入ってみることにしました。そんな酔ったつもりはないのになぜか記憶にはあまり残っていません。みせのふんいきはなかなか結構ですがいかんせん何を食べたか呑んだのか、あまり記憶にありません。間違いなく先ほどの店の食べ過ぎが原因かと思われます。写真を見てもちょっといい雰囲気のようなので改めてお邪魔して報告できればと思いはするもののいつの事になるのやら。
2014/09/25
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最初は違和感のあったバー「レディ」の開放的で親し気なムードにすっかり居心地良くなってうっかり長居してしまいました。もう秋田での滞在時間も1時間と少ししか残されていません。川反から夜行バスの出発地である秋田駅の向こう側までは最低でも15分は見ておかねばなりません。慌ててすっかり夜の帳を落とした人気ない目抜き通りの南側をそれでも曲がり角ごとに折れては進みして駅方面に向います。 もう駅まではそう遠くない場所に辿り着くと一気に安堵に満たされてしまい、そうなると当然視線は次なる酒場を求めて活発になります。おっ、秋田にも立ち呑み店がありました。これは入ってみることにしましょう。「立ち呑み おひとりさま」です。まさに今のぼくの状況にうってつけです。勝手知らぬ町で独り切りという現状は、ぼくをもナルシストめいた気分にさせるようです。ところが店は至って秋田感を廃していて、肴のいぶりがっこ以外に秋田を感じさせる何物もありません。居酒屋というのは、郷土料理など地のものや地の酒こそあれ、日本中どこに行ったってさほど変わるわけではありません。その小さな差異を全神経を動員して知覚するところに各地の酒場をめぐる楽しみがあるのだと思います。ハナから差異を廃することで、標準化することを狙ったチェーンの居酒屋は、その楽しみを確実に奪ってしまっています。ともあれ訛りのまるでない店主はそれこそ都内にいたところでなんの違和感もありません。が、秋田を好きということが話しの端々から察せられます。秋田市が仙台市に次いで住みやすい町だとアンケート記事の掲載された新聞の切り抜きを見せてくれた彼の表情豊かとは言えず、冗舌とも正対するその口振りや熱を帯びた視線に、己が町への誇らしさを感じ取らずにはおられませんでした。 制限時間まで残り30分程になりました。目前の角を曲がるとすぐ前方はもう駅。夜行バスにこっそり酒を持ち込んで呑むことにしようか、とその角になんとなんと中華料理店を装った紛れもない酒場があったのでした。ほぼロの字に近いカウンターを備えたオンボロな酒場でした。まだ大丈夫、当然お邪魔します。カウンターは隙間なくびっしり塞がり、反対の入り口側が数席空いている程度です。フロアーを担当する女性に生ビールでいいですかと否も応もないといった口振りだったので、素直に応じることにします。今更の生ビールに口を付け、枯れた佇まいをひとしきり堪能、風景の中に客たちを加えて、ざわめきとともに眺めると、世代も幅広く男女も入り乱れています。会話に聞き入ってみると彼らは深浅の差こそあれ、互いに顔見知りのようです。さらに話題に聞き入るとどうやら秋田の夏祭り、竿燈祭りの仲間が開催を間近に迎えての景気付けの集まりのようなのです。秋田のこうした集まりは大広間が相応しいイメージがありますがぐるりと互いの顔を眺めながらの呑み会っていうのも悪くないなあと隅っこから眺めます。奥の厨房では主人が猛烈な勢いで肴を準備しています。やがて巨大な鍋が登場、だまっこ?ときりたんぽです。もう産まれてから嫌というくらいに食べてきたはずですが皆の表情は、パッと輝きます。ぼくも心惹かれますが、今更注文する時間もありません。そうこうする間にさらに客は増え、席を譲るうちにとうとう端っこに追いやられます。さらには同じグループの一員と、いまだ思っているらしき店の方には大皿に盛られた料理を回して欲しいなんて頼まれて、目の前を旨そうなのが通り過ぎていく状況の切なさといったら。向かいの30歳位のお兄さんたちのそばなら、奥の方の秋田美人の隣ならお裾分けしてもらえたかもなあなどと思ってみてももはやこれ以上とどまる暇はありません。お勘定するとご一緒じゃなかったんですか、今晩貸し切りだったんですけど、道理で酒以外の注文をとりに来る気配がないわけだ。なおさらこれ以上ここにいるのはおかしいと名残惜しくは有りますが席を立ったのでした。店の名は「龍の頭」と言い、後で調べるとなんと大正10年創業という驚愕すべき歴史のある酒場だったのでした。必ずやまた訪れることを心に誓うのでした。 以上で秋田の酒場巡りは終了です。トイレに寄る時間もなく、旅の終わりを名残惜しむ余裕もなしに夜行バスに飛び込むと、その後は眠るでも起きているわけでもない苦行を経て、なんだか懐かしい東京八重洲口に帰り着いたのでした。
2014/09/24
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秋葉原に集まる人種っていうのがどうにも相性が悪くって、余程のことがない限なりは好き好んで来ようとは思わないわけですが、先日生き漏らしていた喫茶店を巡っている際にどうにも気になる昔風の居酒屋というかおでん屋さんを見かけてしまい、 矢も盾もたまらず訪れることにしたのでした。 でもその前に前々から行きたいと思っていた角打ちに立ち寄ることにしました。けれど同行したT氏には、角打ちであることは内緒です。彼はこれまでもそこそこの軒数の角打ちに行っているのですが、ごく限られた角打ちを例外にあまりいい印象を抱いていないからです。その気持ち分からなくもないのですが、ぼくは彼よりずっと好奇心が旺盛なのだからしようがない。暗がりの中に酒屋さんがぼんやりと見えてきました。どうやらあれらしい。T氏はまだ気付いていません。酒屋を曲がった路地側が角打ちスペースとなっているようです。これでぼくは条件クリア。角打ちは酒屋から独立している、もしくは同一店内であってもカウンターなど飲食場所であることがはっきりしていてくれないと、満足できないのです。東京の角打ちの多くが通常の酒屋とまるっきり同じ表情で、ただ違っているのが店の中でオッサンが酒を呑んでいるというのではひとつも興奮できません。この点はO氏も一緒。加えての第二関門はハードルが高く、乾きものと缶詰以外に、一品でもいいので手作りの肴があること。これもこちらはクリアしています。ということなので安心して店名を公表するととっくにお分かりの方も多いことでしょうが「ちょっと寄ってよバー やまと(伊勢権酒店)」なのでした。ゴマイワシなどをもらいましたが、これは間違いなく市販されているものだけど、他に手作りの品があれば問題なさそうね。てっきりかなりの盛況で立ち入る隙もないのではという危惧は、不要なもので先客はお一人だけ。壁に隙間もないくらいに張り巡らされた神田祭の写真の仲間のようです。賑やかな喧騒の中で飲む覚悟をしていましたが意に反し、しんみりと呑むことができました。 秋葉原駅方面に向かう暗い路地に「百萬石」があります。町で一軒ここだけが取り残されたようなうらびれた風情にたまらない哀愁を感じてしまったのでした。これが住民流出の現状を経験している町であったならばあまりにもしっくりとしてしまってこれほどの印象強さはなかったのかもしれません。先日通ったのは陽がまだ高い時間帯だったのですが夜になると煌々と明かりが灯され、人通りとてまるでない真っ暗な通りにあっては眩いほどです。白色の照明に照らされても店の古さは隠しようもなく、厚化粧の老女のごとき妖しさを晒しています。引き戸を開け店内に入ります。テーブル2卓にL次のカウンターというチェーンではない居酒屋としては至って平凡な配置なのですが、一言で言ってしまうと年季だけが産み出せる息苦しささえ覚えるまでの濃密な光と影が、実際は綻びだらけなはずの店内に美的な印象をもたらします。木製の椅子それ自体はこれといった特徴があるわけではないのですが、そこに擦り切れたゴザの座布団をおいてみるだけで鑑賞にも値するまでの効果を与えるというのは、どこかしら純喫茶の魅力にも通じるところがあるようです。けして若くはない女性お二人でやっておられるのも古くとも清潔さを維持できている所以かもしれません。などと女所帯をすんなり受け入れて腑に落ちたと勝手に納得していたのですが、便所に入るとその壁一面には原節子から始まり、山口百恵から果ては沢尻エリカのセミヌードまで夥しいまでに貼り巡らされているのでした。一部、イチローなど男も混じっているのはどうしたものか。おでんは具材が大振りで、食べ応えあり、ゆめゆめ頼みすぎぬことをご注意させていただきます。
2014/09/23
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前回やたらともったいぶってしまいましたが、山王の目的の店は、秋田の名酒場と誉れ高い「酒盃」でした。いつもの前口上もなく、ズバリと核心に入ったのは、このお店、ぼくの好みからは余りにかけ離れているためうっかり語りだすと、関係者並びにご常連の気分を害しかねないと考えたからです。一言で言えば、店構えは立派で高級感が滲み出ており、飛び込みの一見客のお邪魔するような店ではないと感じられました、といったところでしょうか。 わざわざ予約までしたというのに30分も滞在せずに立ち去るのは虚しすぎますが、無理無理呑み続けるのは時間の無駄です。ある人にとっては稀有な名店だったとしても、ぼくとは相性が悪いらしい。ぼくには先の店は、身の丈に合っていないようです。くよくよする間はありません。秋田に来たなら、やっぱり川反に行くのが今のぼくにとってはお似合いのコースだったのだと、格段の理由もなしに確信してみたりするのでした。歩き続けてやがて川反のネオンの灯りが視界に入ってくると、早くここに来るよう先の店が計らってくれたようだと感謝したくなるのでした。急がずともまだ時間はたっぷりあります。 迷った末にお邪魔したのは、東北の老舗居酒屋とはこれ以外にないと思わせてくれる「北洲」にしました。料亭とも見紛うばかりの大きな木造の一軒家、付近には何軒かの似たような店舗があってどこも一度入ってみたくなるようなよい佇まいであります。かなりゆったりとした贅沢な造りのカウンターでは、いつもの都心でのせせこましい注文では、卓上が幾分惨めにも感じられそうです。奥は畳敷きの座敷となっており、本当であればそちらで胡座をかいてどっしり腰を落ち着けて、しょっつる鍋なんぞを突付くのがこのお店の正当な使い方のように思われます。客の入りは今ひとつで、カウンターの隅に観光客らしき若い人がゆっくりと文庫本のページをめくりながら、一人用のきりたんぽ鍋の登場を待ちます。その表情は隠し切れぬ期待感がそうさせるのか、店の方の気配を感じるたびに視線を向けていて、読書はその興奮を隠すための道具でしかないようですが、うまくは機能していないようです。ちょうどこの時期は閑散期なのかそれ以上の客はなく、店の方もお二方ほどしか見掛けません。その店の男性は一人で酒を用意し、肴の仕度も配膳まで対応しています。そんな静けさに包まれて呑むのもまた地方都市で呑むことの情緒です。そう考える一方でこの古い店が揺らぐような喧騒の中、孤独に呑んでみたいとも思うのでした。 すぐそばに秋田で最古参というバーがあるということなので、かねてより一度お邪魔してみたいと思っていたのでした。東北の繁華街の片隅で当時そのままの姿を留めて営業を続ける古いバーというのは他の地方とはどこか違った安住感があって、普段はそれほどバーに立ち寄ることがないくせに、秋田でもやはりお邪魔してしまったのでした。その歴史あるお店は「レディ」と言います。川反のメインの通りに堂々と店を構えるため、路地裏にある店に感じる隠れ家感はさほど感じられません。盛岡や仙台、山形といった都市で出逢ったバーには枯淡といってもそうおかしくはないような風流を感じたものですが、ここは趣きを異にしています。入口は扉が二重になっており、雪国らしい風情があり、やはり東北のそれも日本海側の町は冬に訪れるべきであったなと、五能線に乗っていても思わなかった当然ともいえる感想に至ったのでした。店内は、想像とは違っていてアメリカンなムードの広いお店でした。入口の様子から狭くてカウンターメイン、照明は光量をぐっと落としたシックなムードを期待していたので、拍子外れだったというのが正直なところ。カウンターの奥はかなりの人数が収容できそうです。秋田の人はこういうバーでも違和感なく宴会できてしまうんでしょう。でもバーテンダーの皆さんはしっかりとオーセンティックな衣装をまとい、用意してくれるカクテルもちゃんと基本に忠実ですーなんてさほど違いが分かる訳ではありませんけどー。カウンターは次々訪れる常連たちで程なくして、かなりの席が塞がります。またも極め付けてしまいますが、秋田の方はバーで呑むのが好きで好きでたまらないようです。待ち合わせなのか本格的に呑み始めるまでの肩慣らしのように気軽にバーを使いこなしているのがスマートに感じられます。こうして気安く立ち寄れるように、気楽なアメリカンスタイルが適しているのだなと得心したのです。
2014/09/22
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遅くまで呑み歩いた割には目覚めは爽快です。駅まで距離もありますし、今日の列車に乗り遅れるわけにもいかないので随分と早くにJR弘前駅に到着しました。お土産を買い求める時間が欲しかったのですが駅の施設はまだ開いていません。これは大誤算と慌てましたがすぐそばの立派なホテルで用が足りました。そうなると発車までうんざりするほどの時間があるので、昨日目星をつけておいた喫茶店に向かうことにしました。果たしてやっているのでしょうか。 良かった、やっていました。「喫茶店 トップ」というお店です。飾り気のない実用一点張りのいささか物足りない店ですが、贅沢は言いません。何と言っても朝刊など眺めながらゆっくりと椅子に腰を落ち着けられるのは、地方都市ではありがたいものです。 最後に弘前で行きそびれたor見掛けた喫茶店を。 今回の旅のメインイベントについては、ここでは多くを語らないことにします。ひとつだけ書き残しておくことがあるとすれば、前夜居酒屋で出会った姉妹と再会できたかということ。ご安心ください、無事お会いすることが出来ました。以上で報告は終わります。そういったことで、長くのんびり列車に揺られ秋田に到着しました。以前ならもっとずっと車窓からの眺めを楽しんだのでしょうが今のぼくにはこれほどの悠長な旅をするだけの余裕はなくなってしまったようです。M女史の要望なのでお付き合いしましたが、独りなら手っ取り早く奥羽本線を利用したかもしれません。 さて、秋田もぼくにとっては思い出深い町です。と言っても暮らしたのは僅かに一年弱、最後に訪れたのは5年近く前でそれも竿燈まつりをざっと眺めた程度でした。その時は、衰退著しいという印象でしたが今回受けた印象はまったく違ったものでした。一言で言うと随分現代風に整備されたものだという、喜ばしいような詰まらないような正対するものです。それもこの後町を足早に歩き回ることで、秋田という町の一面を見たに過ぎなかったことに気づくわけですが、第一印象はそのようなものでした。駅前の再開発は、町に多くの集客をもたらした反面で、古くからあった商店や飲食店を一掃してしまったらしく、探せど喫茶店らしき店舗に出会えません。M女史の疲労と空腹も考えるとさらなる探索は一人になってからにしたほうが良さそうです。やむを得ず、駅ビルの飲食店街の居酒屋で遅い昼食を済ませました。 ここであえて紹介するような喫茶店ではありませんが、秋田の現状を知っていただくこともありかと考えて、あえて駅ビルの「珈琲館 驛舎(えき)」を記しておくことにします。なんの変哲もないお店なので内装等に純喫茶を感じさせるものは何一つ見出すことはできません。かつて駅前にどれほどの純喫茶があったか知りうるための資料は手元にありませんが、間違いなく多くの喫茶が賑わった時代があったことは想像されます。唯一純喫茶っぽい痕跡を留めるのは、字体がかった旧字体で綴られた店名のみというのが秋田の喫茶事情を物語っているようで物悲しく感じられます。 その後、M女史と別れ、居酒屋巡りを兼ねての喫茶店探索も続けますが全く収穫はなし。唯一希望を感じさせる店がありましたが、これも恐らくは閉店されているのでしょう。「純喫茶 ハヤール」とありましたが、どんなお店だったのでしょう。この先いつ秋田に来れるものやら、 秋田での短い滞在はこうして未練が残るものとなったのは残念なことです。
2014/09/21
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さて、五能線の旅は呆気なくも久しぶりに汽車旅を満喫したという充実したものとなりました。M女史は夕方の新幹線で帰京する予定なのでまだしばらく時間があります。数年前、訪れた時は竿燈祭りを眺めるだけの時間しかなく、せっかく秋田に来たのにもったいなかったなあと後になって後悔したものです。でも思いの外早くに再び秋田に来れたことを嬉しく思うとともに帰りの高速バスまでのそう長くはない時間をいかに有効に使うかで頭が一杯になります。脳味噌はそのことでフル回転していますがM女史のことをほっておくわけにもいかず、かと言ってくたびれているようなのであまり歩かせるわけにも行きません。そんなわけで駅前からすぐの市場を眺めてから遅い昼食を取ろうと歩き回りますがこれと言った店もなくやむなく駅ビルの飲食店街に向かいました。 どこもそれほど心惹かれることはありませんでしたが、稲庭うどんなどの一応は秋田の郷土料理らしき品も揃う「どん銭屋」という店に入りました。昼食時はとっくに過ぎていたので店はガラガラ、店は面白味などまるでありませんが、そんなことは少しも期待していなかったので構いません。二人でここまでの旅の無事を祝いましたが、ぼくの旅はまだまだ終わってはいません。少しも郷土色のないカツ丼を案外うまいと思ったのは、よほど腹が減っていたからでしょうか。キンキンに冷えたビールも臓腑に染み渡ります。人心地付きやはり同じフロアーにある喫茶店でコーヒーを飲み、ここでM女史とはお別れ。ここからが本当の秋田の旅の始まりです。 市場周辺もそうでしたが秋田の駅前風景は、かつて知っていた町とはすっかりと様変わりしてしまっています。もっと寂れきっているものと思っていたのに、逆にペデストリアンデッキができていたり、全国一の人口減少率を誇る街とは思えぬほどと驚いたのでした。しかしその驚きもじきに早とちりであったことを思い知らされることになります。この夜の一番の目当ては秋田の官庁街である山王にある名店として知られるお店です。山王に向けて歩き出します。目抜き通りはすでに散策したので、北寄りの裏通りを歩くことにしますがこれが大失敗。行き止まりに何度か引っ掛かって言ったり来たりを繰り返すことになります。ぼくが歩いていて何が嫌いかっていうと、方向感覚を見失うことでもまったく思っても見なかった場所に辿り着いていることでもなく、そんなことは実際たびたびあるのであって、今来た道を取って返すくらいウンザリさせられることはありません。しかも駅から50メートルばかり歩いただけで袋小路だらけのさして味気ない住宅街で迷うとは想像だにしておらず山王まで歩く気力は失せそうになりました。まあそういじけていても時間はまだたっぷりあるわけですし思い足取りで再び歩き出すのでした。こんなこといつまで書いていても埒が明かないので、一気にお話をすすめることにします。秋田の最大の歓楽街である川反を通過、まだ半分ほどの道のりです。やがて向かい合う市役所やら県庁やらを始めとした官庁街に到着します。この裏手の一体が山王の呑み屋街となります。さほど遠くないと高を括っていたのてすが、真夏の夕暮れ前に歩くには結構な苦行です。ここにある名店にはさすがに行ったら休みというのはせつないので開店しているかをうかがっていました。ほぼ予約でいっぱいとのことなので、ぼくも念のため予約しておきました。何軒か喫茶店に寄るつもりでしたがちっとも見当たらず、開店まではまだ間があります。せっかくなので開いてる店に入ってみることにしました。 数軒の店がやってる中からこぢんまりして屋号にも味わいがあると直感的に気に入ってしまった「汐風」にお邪魔しました。5時前の入店のためかまだ空調も効いておらず、お客も入っていません。5名分程度のやや窮屈なカウンターに落ち着きました。後は小上がりだけの狭さが、いつもならアットホームな雰囲気なんだろうなあ。キンキンに冷えたオシボリで下品にも顔ばかりでなく首筋まで拭ってしまいます。ホッピーを注文、今では東北でも呑めるようになったのだなあ、でもホッピービバレッジの商品じゃないんだなあなんてことをぼんやり思いながら、ああ秋田に到着してようやく寛いだ気分であるなあと突如開放感に満たされます。お通しがところ天っていうのも手抜きっぽくはありますがさっぱりして嬉しいものです。ところで中くださいとお願いしたのですが通じないようです。外中というスタイルは普及には至っていないようです。ご夫婦二人でやっているごくごく当たり前のそしてそれがなんだかホッとするようなお店でした。
2014/09/20
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今朝、立ちながらもうつらうつらと山手線に揺られながら車窓を眺めていたら、以前立ち呑み屋で閉店後はしばらくそのまま放置されていた店舗がなんだかけばけばしい装いでオープンしているのを見かけたので帰りがけによる店はこの時点で決まってしまいました。 その晩向かうべき酒場が明確になっていると仕事を終えると脇目も振らず一目散に酒場に向かうことができます。行き先も決まらずグズグズすることもままあるので非常に効率がいいです。北口の島地に以前は立ち呑み屋がありました。「まるさん」とか言いましたか。最近のことなのでしょうか、「炭火焼 ヒーロー」というド派手な看板を冠する新しい店が入っていました。店先にも屋台風にテーブルが置かれています。今度も立ち呑みと思っていましたが店内のカウンターにも椅子があります。品書きを眺めるとサテや羊肉などのインド風というかトルコ風というか、ちょっと変わり種の串焼やなぜかさつま揚げはタイ風だったりと大雑把に括ってしまうとエスニックな品があるのがうれしいところ。たまにはスパイシーなのもよかろうとこれらを注文。この3品以外はごくありふれているのも謎です。店の男女も東南アジアの方らしく、もう少し変わった肴を充実させても良さそうです。味はそこそこという程度ですが、手軽にエスニックをいただけるのはうれしいこと。ただ気をつけたほうがいいのはホッピー、席につくと何も考えずに生ビールというのがかつては定番でしたが、近頃はホッピーでスタートする方も多いようです。こちらのセット、なんと650円、しかも中が300円とサワーが300円なのを考えると破格なんじゃないでしょうか。それでも呑みたいというホッピー好き以外にはお勧めできません。それとも中がジョッキもしくはグラスの縁まで溢れんばかりなのでしょうか。 大塚駅北口は古い酒場は少ないと南口の店主たちも口々に語りますが、そんな中で、1軒古ぼけた居酒屋があることには気付いていました。ただどうも居酒屋を標榜しつつその実はスナックに違いないというオーラが漂っていて及び腰になっていたのでした。「酒処 香里」という女性の名を店名としているのもスナックっぽいのでした。アジア系の女性がママさんのようです。品書きを眺めると酒も肴も大抵が500円前後とスナックと居酒屋の中間くらいの価格帯です。ふと気になり財布を覗くとなんと千円とちょっとだけ小銭が入っているだけ。酸味が効いていて量も多く、アルコールも濃いレモンサワーが美味しく、ほとんど空いてしまっています。壁を見るとゆで卵があるようです。ゆで卵100円也を申し訳程度に注文したところで却って心象は悪くなったことでしょう。ところで落ち着いて考えてみれば、この界隈はピンサロを中心としたビンボー人向け風俗のメッカでもあります。もしかしたらママさんはぼくのこと、ピンサロ順番待ちの兄ちゃんと思ってるんじゃないだろうな、いやきっと思ってるに違いない。まあそう思われたんならばそれでも構わないんだけど、でも違います、ぼくは単に自分の財布にいくら入ってるかも知らぬ愚かもんなだけなのです。
2014/09/19
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駒込っていう町は、職場や自宅が近いとか、せいぜい通勤経路にあるとかしない限りは、普通は敢えて電車に乗ってまで出向くことはないと思いますが、ぼくの場合は通勤経路という条件下にあったので、都心部としては一風独特な雰囲気のある町で、その独特さを具体的に語る準備は今はありませんが、少なくともちょくちょく立ち寄りたくなる程度には好きな町であることは間違いありません。ただそれほど多くの居酒屋があるわけでもなく、気に入った店はいつしか無くなっているので、このところご無沙汰していました。 特に目当てがあるわけでもなかったのですが山手線の車窓から「かぶら屋」が開店しているのが見えたり、そのお隣にカレー屋が出来ていたりと変化の兆しを直感して、まずは北口改札を出ると霜降商店街へと繋がる駅前商店街を歩きました。早速チェーン店らしいのですが新しい居酒屋も開店しています。一度商店街が途切れ何度かお邪魔したことのある「逆転クラブ」とかいう立ち呑み屋の隣に「ゆずの里」という店を見掛けました。以前からあったような気がしますがあまり記憶にありません。店先の品書きを見るとホッピーがセット380円、中が190円と思ったよりお得らしいので入ってみることにしました。カウンター8席だけの小さなお店を実直そうな物静かなご夫婦でやっています。たまたまなのでしょうか、ぼく以外のお客さん3組全てが夫婦者でした。この辺が駒込らしさの一因となっているのかもしれません。土佐の味を売りものとしています。定番の酒盗に、姫かつお、にろぎなんかもあります。珍しいのでにろぎをいただくことにしました。知ったような顔をして注文しましたが、実は名前には見覚えあるもののどんなシロモノなのかはとんと記憶にありません。出されたのはヒラメとかカレイみたいな形ながらそのサイズは親指の先ほどの小魚の干物でありました。最近テレビで見た記憶があります。とまあ、ご主人が目利きした魚介を中心に休みの夜の夕餉を夫婦揃って過ごすのに良いお店でした。 アザレア通りを歩いてみるとこちらにも変化の兆しが見られます。できてみて気付きますが、これまで駅のそばにスーパーマーケットがありませんでした。ところがマルエツが突如として出現したのでした。知らぬうちに駒込はおおきく変貌を遂げようとしているようです。久々に裏手の呑み屋街の「ひで」にお邪魔しました。まだ開店2週間とのこと。店主と長男と二人でやってます。お客さんはいません。店主はこの長屋の大家さんということで一室空きが出たまんまとなっていたので、発起して脱サラして居酒屋のオヤジに転身したとのこと。親子揃って柔和でおしゃべり好きなのでいずれ常連もつくことでしょう。さすがに肴は種類も少なく、もうちょっと売りになる品を増やしたほうが良さそうです。難を言っては申し訳ないのですが、値段が不明瞭なのが気になります。ぼくの計算ではこれだとポテサラが700円ということになってしまいます。この辺りも考慮してもらえると通いたいという気にもなるのですが。
2014/09/18
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ひさしぶりの赤羽にやって来ました。赤羽ってどうも呑み屋の聖地みたいに崇め建てられているのがどうにも気に入らずこのところますます足が遠のいていますが、しっかり歩いてみればまだ良さそうな酒場があるんじゃないかと重い腰を上げたのでした。で、しっかりと面白い酒場に出会えたわけですが、この晩同行することになっているT氏との待ち合わせにたまたま見つけた食堂に入ることにしたのでした。この時はその後ひどい目に合うこととは思っても見なかったと勿体ぶってみますが、差し障りがあるので内緒とさせていただきまさす。 さて、お邪魔したお店の名は「自由軒」と言います。朧気な記憶では階段を幾段か下った半地下のお店だったような。けして広くない店内を活かすためかなり窮屈にテーブルを配置していて、ほとんどの席が独り客で埋まっています。例外なく酒を呑んでいて、風体こそ食堂のそれですが実態は居酒屋と化しています。それはまあぼくにとっても望むところであって、心置きなく人目を気にすることもなく呑むことができます。酒も肴もお手頃価格で、けして安くはない店も多い赤羽では、使い勝手の良い酒場として使えそうです。
2014/09/17
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東京メトロの中でも東西線というのは、度々利用する割にはその全容は充分には把握しきれていません。都心の東西を横断する区間はほぼ歩ききってさえいますが中川を渡ってから先、西船橋駅までの区間は全駅に下車してはいるものの、未踏の道が殆どでこの先散策しがいのある地域と考えています。とある土曜日の昼間、知人との待ち合わせのため葛西にて落ち合うことにしました。時間もあったし、お腹も空いていたのでどこかで食事を取りながらあわよくば一杯やれたらと目論んだのでした。 ところが駅の北側を散策し、「御食事処 関甚」や「大六天」といったちょっと面白そうなお店もありましたが、残念なことに休憩時間のようです。やむを得ず大雑把な新興開発地帯といった味気のない方面を進むと「東西そば」という立ち食いそば屋があり、待ち合わせの時間も迫っていたので簡単に腹ごしらえすることにしました。店内は立ち食い店としては雑然としてちょっと楽しい感じです。奥に広いのでよくよく見ると奥はうれしや立ち呑み屋なんでした。店のお兄ちゃんに注文すると食券を買い求めよとのこと。「立ちのみ 東西」という別屋号もあるようです。ちゃんと立ち呑み専用の入口もありました。こうなると蕎麦なんか食べてる場合ではありません。セットのマグロのかけを肴に一杯やることにします。取り立ててどうというお店でもありませんがいつでも呑めて、気軽に立ち呑める店があるとは葛西も捨てたもんじゃなさそうです。
2014/09/17
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さて、心なき客のため不快な気分になりましたがせっかくの弘前の夜をここで締めくくるわけには行きません。明日はほぼ半日列車に乗ればよく、仮に二日酔いになったところでどうという事もありません。そて、今までのところは弘前の呑み屋街の周縁を巡ってきたのでそろそろ中心部に足を踏み入れたいと思います。 「鳥ふじ」から早々に遠ざかりたいと自動車の通行が激しい通りを渡ると、複数の呑み屋ビルが複雑に絡み合っているらしい魅惑的なビル群があります。単調で平面的に絡み合うのではなく、小さな段差が至るところにあり、しかも通路もうねうねと曲がりくねっていて、危なげな店も混じっているのがたまらなく魅惑的で楽しいのでした。ひとしきり楽しむと嫌なこともすっかり忘れてしまいいつの間にやらスタート地点に戻っていました。ホントは分かってて戻ってきたんですけど。迷宮のそのトバ口で早速引っかかっていたのでした。「一杯呑処 こまち」というお店が気になっていたのです。一膳飯屋とか一杯呑み屋っていう言い方、近頃めっきり見掛けなくなりましたが、すごい好きです。嬉しくてつい立ち寄りたくなりました。店は綺麗そうなんですけどね。靴を脱いで入るというのはちょっとイメージとは違っていますが、よしとしましょう。女将さんは若いのにー30代半ばかー割烹着姿というのもよく弁えてらっしゃる。日本酒のお燗の付け方も上々、チロリを使って燗してくれます。お喋りになると若さを感じますが、寂れつつある弘前を憂う一方で、愛着を隠そうとしないのがむしろ清々しいのでした。20年後、まだ生きていられたら、枯れた一杯呑み屋でまた呑みたいと思うのでした。勘定を済ますと、行ってらっしゃいと明るく見送られ、次なる酒場を目指すのでした。 弘前に到着して以来、店の中以外はずっと寥々たる往来ばかりが目に入っていたのですが、ビルを抜けると一転、どこにこれほどの人たちが潜伏していたのかと訝しく思われる程の雑踏に晒され、しばし呆然としたものですが、それも束の間のこと視線は早くも次なる酒場を見出していたのでした。「とり畔」という焼鳥店です。狭くとも味のある古ぼけて温かみある空間に今晩はここで心ゆくまで呑むことにしようと心で呟くのでした。カウンターには独り客ばかり、どこの店でも独り客は少なく、これは東北の酒場の特徴とも思われますが、どうも東京で呑むのと勝手が違うと感じていたのは、東北の人の皆と飲むというスタイルの違いがもたらしていたようです。高齢の店主は熟練の手際で串を返しながらもバイトの若者たちー弘前大学の学生?ーに懇切な説明と指示を与えて優しげな表情を絶やしません。後ろのテーブル席ではアイドルと見紛うばかりの綺麗な娘さんたちが、こればかりは残念なことにズーズー弁など微塵も感じさせぬ流暢な標準語を駆使して、喋りかつよく呑むのでした。こうして弘前の夜を締めくくれたのは幸運でした。
2014/09/16
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翌朝は結構呑んだにも関わらず快調な目覚めを迎えられました。本八戸から八戸を経由して青森駅に下車、怒涛の喫茶店巡りは喫茶篇をご覧いただくこととして夕方前には弘前駅に到着しました。今晩は弘前に宿泊することになっています。ホテルにチェックインするとM女史はしばし休息するとのことなので、ぼくはひとり町巡りをします。その際立ち寄った喫茶店は改めて報告します。何年ぶりかで訪れた弘前はーと言ってもほぼ通過した程度でじっくり歩くのは10数年ぶりー、記憶にある風景よりずっと寂れきって感じられました。青森がまだ元気なのとは好対照です。 初めに訪れたのが「居酒屋 土紋」です。繁華街からはかなり外れの地元の会合なんかが持たれそうな割合と立派なホテルの向かい側にある居酒屋さんで、立地という意味では心に刻みこまれるようなユニークさからはもっとも縁遠いお店です。ただ特筆すべきはーと言うといささか仰げさではありますがー、その建物の今にも壁や屋根材が崩落しても少しも驚かないであろうほどに老朽化しているところ。もとは複数の店舗からなる飲食系の雑居ビルだったのでしょうが、今はあと1軒、ラーメンが看板商品という奇矯な喫茶店があるばかりです。「土紋」の古い袖看板を見ると、もとは喫茶店だったらしくもしかするとメインは居酒屋に移行したけれど喫茶店もほそぼそと続けられているのかもしれません。開店時間なのに暖簾が下がらないので、時間潰しと好奇心を満たすため暗く細い通路を進み店の前に立ちますが、どうも純喫茶とは程遠い印象ですー勿論喫茶店は入ってみないとわからないことは承知していますが、第一さすがにこの店にはM女史もいい顔はしませんー。そばにスナック喫茶もありますがやっていません。やむを得ずホテルのロビーで休んでいることにすると、車で乗り付ける客らしき人たちがいました。彼らは物怖じもせず引戸を開け、さっさと開店させてしまいました。このグループ客は、ノンアルコールのビールばかりをやたらと注文する変わった客でした。われわれはカウンター奥の落ち着きのいいコンパクトな造りの小上がりに収まりました。壁には見覚えのある漫画家らしき人の手によるらしいユニークな店主や店の風景を描いた絵などが飾られていて見を楽しませてくれるその一方で、著名人のこの居酒屋を讃えた文章の切り抜きなども多いのが煩わしく感じられるのでした。お通しから上質らしいマグロをたっぷり使った山かけとこの先期待できそうです。個数限定のお薦めといういかめんちや聞き慣れぬたらたま、ほっけのすしなんかを注文しました。いかめんちはこの地方の名物料理らしく、一言で言えば以下のすり身で作ったハンバーグで確かに美味しいのですが、まあこれなら東京でも食べられそうです。対してたらたまは干しタラを柔らかく戻したものを卵黄とタレで絡めたものでこれが滅法旨い。ほっけのすしはハタハタ寿司などと同様にほっけを麹で漬けたもの、これまたたいそう旨い。近頃よく耳にする評判高い地酒の銘酒ー銘柄にはとんと疎いので失念ーが進むことといったら。もしかするとこりの肴、弘前ではごく定番のものかもしれませんが非常に満足しました。 さて前夜はしゃぎ過ぎたのか早くもくたびれたので宿に戻るというM女史に折角だから中央弘前駅ぐらい見ておけばと誘いお連れしました。鉄道好きなら知らぬ者はいないであろう、弘南鉄道大鰐線の駅です。詳述することは避けますがこの駅の風情は本当に素晴らしい。何度か来てもいますが次は久しぶりに大鰐線にも揺られたいと思いました。 M女史はそばの弘前昇天教会により感銘があったようですけど。 さてホテルまでまっすぐ進めば辿り着けるところまで見送ると、さっと踵を返して次なる酒場探しに向かうぼくは薄情なのでしょうか。酒場放浪記で見た「鳥ふじ」に向かいますが驚くほどの大繁盛、客たちはこちらを見て小馬鹿にしたような表情を浮かべています。どうやら出遅れたみたい。後でまた出直すことにします。 町はねぷた祭り前、広場数カ所で地区ごとに完成したねぷた飾りを前に宴が催されています。そんな様子を孤独に眺めながら歩いていると、「しまや」という居酒屋があったので入ってみることにします。取り立てて面白みのない店内です。これはしまったかなと思いますがやむを得まい。カウンターには残り少ない郷土料理が並び山菜だかの肉巻きを頂きました。ミズらしきものがあったので伺うと、あらよく知ってるわねと女将さん至極陽気です。一人前には足りぬからと、サービスだからどうぞとのこと、ありがたく頂きます。カウンターの隣には20代最後といったご様子の女性二人。さらに向こうには似たような年頃の男性一人。なんとなく話し始めると三方ともに東京から来られたそうです。揃いも揃って、外見にはなんの変哲もないこちらに来たのはどうしたものか伺うと、木村文乃なる女優さんが出演するJRの東北旅行のキャンペーンCMの舞台となったのだそうです。そのCMで木村が食べるワカメを巻いた巨大おにぎりが印象的だったそうです。まったく知らなかったなあ。女将さんの言うことには、太田和彦も来ているらしい。ちなみにお兄さんはこの朝到着したばかりですがこの夜の夜行バスで帰京、3列シートに贅沢を感じる辺りはぼくと同等。女性二人は実は姉妹、妹さんが今度結婚するので最後の二人での旅になるかもしれぬとしんみりなるかと思いきや至って上機嫌、翌日五能線に乗るとのことで、ああぼくも乗るんですよ、また明日、会えるといいですねと満足して夜をここで終えるらしき彼らを置き、ぼくはまた独り夜の町に彷徨いでるのでした。 彷徨うと言っても行き先は決まってます。先ほど断られた「鳥ふじ」はすぐそばです。今度は辛うじて入れました。落ち着いてみるとなかなか渋いいい店です、と思ったのも束の間、愚かな客の一人がなんだお前また来てんじゃないよと、馬鹿にしたように笑うのでした。この後のことは、今思い出しても頭にくるので割愛します。店の方はいい人ですがこんな客ー多分常連らしいーがいたのでは、気分は台無しです。さっと呑んで店を出ました。
2014/09/15
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秋田から弘前までは車窓からの景色を存分に楽しむでもなく、あっという間に到着しました。弘前の市街は、JRではなく弘南鉄道の中央弘前駅に近いことは覚えていました。なのでホテルも繁華街に近いのを選びました。M女史は、夕食まではのんびりするとのことなので、ぼくは独り旅装を解くと、休憩の暇もなく町に飛び出します。翌朝は早い時間から五能線に乗車せねばならぬので、弘前の喫茶店巡りはこれから夕食までの僅かな一時に限られます。ホテルを出ると大急ぎで中央弘前駅方面に向かいます。主だった弘前の古い喫茶店はこの界隈に集中しているのです。 最初に向かったのは、「珈琲&名曲 ひまわり」です。弘前で一番入りたかったのがここだったので開いていて一安心。大通りからほんのちょっと路地に入った位置にあるので路地を折れて一歩一歩近づくにつれ徐々に建物の全貌がハッキリしてくるとそのいくらかいかがわしげながらも建築当時の職人の異様なまでの細部情熱にため息が漏れます。名曲喫茶ということで、当初はしゃちこばった、どこからともなく指すような視線に晒されるという緊張を強いられるのではないかという懸念がありましたがその予想は心地よく裏切られ、実際には1階のフロアーにはオバちゃんたちが控え目ながらも寛いだ雰囲気でおしゃべりに興じていました。1階の入口の死角になるあたりは外光も直接届かずとても居心地が良さそうでしたが、お客さんが数名おられたので店の方には面倒をお掛けしますが、後で頼んで覗かして戴こうと思っていた2階席に落ち着くことにしました。少人数から多人数のグループにも対応できる様々な用途に対応できるよう配慮されています。たまたま腰掛けた二人掛けの席は映画『奇跡のリンゴ』で菅野美穂が座った席であると階段の手摺に小さな貼り紙で説明がありました。実在する喫茶店や居酒屋などが映画で使用されているのは、以前ならそんなところにわざわざ赴くなんて俗物の極みと嘯いていましたが、そんなカッコつけずに若い頃からせっせと通っておけばよかったと思わぬでもありません。とは言うものの実のところそうした良さが分かったり、好きになったりは人それぞれの人生におけるタイミングがある訳でそれはそれでしょうがないのかもしれません。 「ひまわり」にも十分な感銘を受けましたが、まだ時間は残されています。記憶以上にずっとこぢんまりした商店街を一巡りしますが多くの喫茶店はすでに店を閉じていたり、お休みだったりしました。諦めかけて夜行くべきの居酒屋をチェックしようと呑み屋街に足を向けると「純喫茶 ルビアン」がありました。ここ、以前どこかで見かけたことがあります。当然お邪魔することにします。いくぶん曇りがちではあるものの、まだまだ眩い日差しが降り掛かる夏の夕方の町角からこのお店に入ると明暗のあまりの急激なのに眩暈すら感じます。クラクラする視界がやがてゆっくりと機能を取り戻し、じわりじわりと数多くの装飾の輪郭を明瞭にします。最初は店の奥の民族衣装らしき衣類をまとった少女のステンドグラスで目を慣らすのが良いようです。落ち着きつつある僕のもとにコーヒーが届けられます。その濃厚なコーヒーの苦味と香りがまたもや陶酔にも似た眩暈へと落ちていくように感じるのは、この日一日のカフェインの過剰摂取ばかりが原因ではなさそうです。ここで日がな一日とまではいかぬまでも半日を過ごすなどということは、貧乏性のぼくにとってはまだ過ぎたる贅沢のようです。 朦朧となった意識のままホテルに戻り、待ち合わせ場所のロビーでほんのひととき休養を取ります。何軒かの居酒屋を巡った後、次なる酒場を求めて呑み屋街を歩いていると、日中は閉まっていた喫茶店の一軒が営業していました。「きりまんじゃろ」です。カウンターだけの1階も良い雰囲気ですが、2階があるなら是非そちらも見てみたくなるもの。2階はテーブル席がメインで、女性客が一組歓談しています。店の外の喧騒からは隔絶した静寂さは酒場巡りにひと呼吸付けるに格好でしたが、比較的凡庸な内装の2階席より、シックで落ち着いた1階のカウンターにすべきだったかとわずかばかり後悔したのでした。
2014/09/14
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多摩川に沿って走る東急多摩川線、ぼくの行動範囲からは逸脱していて滅多なことでは利用することもなく、蓮沼は何度か歩いたことはあっても、他の駅にはほとんど利用したことがありません。とか言っておきながら実は相当昔のことではありますが沿線の鵜の木に、当時映画館があって稀に珍しい映画が上映されることもあり、何度か利用していたことを思い出しました。この日、鵜の木も歩きましたがさっぱり当時の様子を思い出すことは叶いませんでした。ともあれ今回は喫茶店巡りを兼ねた散歩であるためその居酒屋を訪ねたのは昼日中のことでした。陽の高い時間に呑むのは好きではありませんし、このブログの標題からもはみ出てしまいますがご了承願います。実際には散歩の途中ではありますが、便宜上、矢口渡駅の踏切前からお話をスタートします。駅前には多摩川方面にまっすぐに程よい規模の庶民的な商店街が伸びていて、脇の路地にはいい感じの立ち呑み屋なんかもあったりして、やはり夜来るべきだった、まあいずれ来ることにしようと進むと一軒の立派でこの地にしっかり根付いた安定感すら感じる居酒屋さんがあります。 「大衆酒場 鳥勢」です。夜だけの営業かと思ったらランチサービスもあるようです。ちょうど食べたかった茄子味噌炒めがこの日のサービスのようです。朝から精力的に動いたので、腹も減ったし、喉もカラカラ。サービスとハイサワーを頂きます。あっ、ご飯と味噌汁は後にしてもらえばよかったか。チビチビサワーを啜って店内を見回します。こうしてじっくり見渡すと長いカウンターに並行して設けられた座敷も広々して壮観です。どういうわけか「鳥忠」を想起しましたがいかにも王道で定番のオオバコ酒場です。ただ残念なのが客の入りがひどくて寂しいこと。近隣の飲食店はランチ時で賑わっていたことを考えると心配になるほどの静けさ。さて運ばれてきた茄子味噌はボリュームたっぷりです。味付けも濃いめなので半分をサワーのお伴にして、残りをご飯に乗っけて食べることにしましょう。ところがそのご飯の量がお茶碗2膳分はありそうな盛りで、分けて食べるなんて悠長なことを言っていたら残してしまいかねないので、食い気に全精力を傾けることにしました。サワーは甘いお茶のつもりでいただくことにします。しばらくすると数名の客が入ってきて一安心、ほとんどの人がサービス品を注文しましたが、ご飯は少なめにを合言葉のように店のおばちゃんに告げていたのでした。
2014/09/13
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亀戸にはちょくちょく出向いていますが、最近大きく変化したのが総武線の高架下の風景です。端的には古くからあった小さな酒場の多くがいつの間にやら姿を変えて、そこらにあるのとさほど変わり映えしないような、味気のない風景へと変貌してしまったのでした。それでもせっかくなので新しい一軒にお邪魔することにしました。 「鳥乃家」もまた、最近開店したばかりのお店のように見受けられます。従業員にやけにアジア系の色っぽい雰囲気の女性が多かったように記憶しています。もしそうであるならこの今時の居酒屋らしからぬ殺風景さもわかるような気がします。って単にテレビで見掛けるアジアの店の外にやけに清潔さをアピールしようとした素っ気のない様を知っているだけで、ホントはまったくの勘違いかもしれません。お節介ないいざまですが、高架下などありがたがるのはアジアの他国の方には伝わりにくい感性かもしれませんが、われわれとしては高架下の猥雑な環境を活かしてもらいたいと思わずにはおられないでした。それにしてもこの店の従業員のゆる~い仕事っぷりはどうしたものでしょう。やることやったらとっとと引っ込んで雑談に興じるのです。これもお国柄なんでしょうか。それ以外はチェーン店とさほど変わらず、再訪はなさそうです。
2014/09/13
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日中こそ喫茶店巡りをメインに据えた散歩で何度となく歩いている小伝馬町ではありますが、現代日本の中心にも据えられる日本橋から目と鼻の先の町とあって恐らくはぼくのような万年金欠族が通えるような酒場があるなんぞ思ってもいなかったのですが、いや~、それはとんでもない勘違いだったようです。実はこの界隈は立ち呑みを中心としたお手頃な酒場にあふれていたのですね。 ともあれ今宵の一軒目を求めて歩き出しました。あまり勝手を知らぬ町なので念のため何軒かを事前にリサーチしておいたのですが、そんな準備など不要だったかもしれません。古いビルのかなりの高さに袖看板が「立呑み処 大ちゃん」という店名を内側から照らし出しています。このシンプルなデザイン、なんとも頼もしい力強さを感じます。入口のサッシ戸や使い込まれた暖簾も歴史を感じさせてくれます。店内も調理場に面したカウンターと壁際にはカウンターから3卓のテーブルが付き出しています。ひとまずトマトハイを注文、トロリとした赤い液体の表面には黒胡椒が振りかけられています。チビリチビリすすり始めると、嬉しいことに小さいながらもサービスの突き出しを頂けます。この日は一口大の豆腐に小松菜の煮浸しが盛られ、ちょこんと辛子が添えられているのがいいですね。野菜不足なので揚げ茄子をいただくと、茄子はスライスされていて食べやすく、しかも大根おろしがたつぷりなのも偉い!これにも柚子胡椒がトッピングされるなど気が利いています。いやあ、いきなりまったく知らない良い立ち呑み屋に出会えました。幸先の良さについ表情を緩めつつ、待合わせ先に急ぐのでした。 待合せたのは小伝馬町の駅から降り立つと恐らくはどの出口からでも目に留まるであろう店名に恥じぬ絶好の立地にある「小伝馬」です。O氏はすでに到着しています。外観は渋いことは渋いのですが格別の風格があるわけでもなく、住宅街にありそうな和食処と居酒屋を兼ねているお店のように思われます。店内に入ると日頃通う酒場とのギャップに一瞬たじろぎます。と言うのは場所柄当たり前と言ってしまえばそれまでですが、すべての客が例外なくサラリーマンなのです。日頃出入りする酒場ではどちらかと言えば背広客は少数派だったりするのですが、一人の例外もないというのはやはりちょっと異様なものです。その異様さの自分もまた構成していることもあまり気持ちよくはありません。とは言いますがそんなことはすぐ慣れてしまい、ギリギリ席が空いていたことに今さらながらにホッと胸を撫で下ろすのでした。さて、周りの客たちはたいへん愉快に呑んでいて、われらも負けじと呑み始めるのでした。酒の値段はそこそこするなあ、グループの彼らはボトルを取ってお得に呑んでいて、これがこの店の一般的な遣り方なんでしょう。カウンター席が僅かなのもやむを得ないところなのでしょうか。カンパチのかま煮は粉を降って揚げているらしくジューシーで味付けもやや辛めの酒の友にはバッチリ。シンコは利用は控えめですがサッパリとしていながら味わい濃厚。日本酒が欲しくなりますが、O氏が酒が残っているらしく、こんばんは日本酒は呑まぬとの宣言にお付き合いしました。なるほどこのお店は確かに良い店、職場が近くて、上司がボトルを切らせず好きに呑んでいいぞと言ってくれるなら常連になってしまうかもなんてことを思いもしたのでした。
2014/09/12
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お気に入りの町の綾瀬にご無沙汰振りに行ってきました。最近同僚が綾瀬に住み始めて、帰りが一緒になったので別に一緒に呑むわけではないものの、同行することで横着したくなる自分の怠慢心を振るい立たせんとしたものです。功を奏して無事に綾瀬に到着。同行者とはすぐに別れて、独り町にさまよいでます。高架下からぐるり周回し、武道館前を通過してもなおもここぞという店はなく、さらに環七だかの大きな自動車道路も超えてしまいました。すると北綾瀬駅に向かう支線との分岐点の下に怪し気な呑み屋ビルがあります。看板の照明も点っております。店名から推測するとスナックばかりでなく、普通の居酒屋もありそうです。まあいずれカラオケ有りに違いなさそうですけど。とりあえず実際の店舗を眺めてみようとビルを回りますがどうもやってる気配がない。一軒ぼんやり明かりが漏れていますが、まだ営業は始まっていないようです。やむなくまたもや高架下の呑み屋街に引き返したのでした。 先程はあまりじっくりと眺めませんでしたがよくよく見るとワインバーや道路を挟んで洒落たお食事処のような店もあります。でも最初に入ったのはこれまで見逃していたらしい「旬彩居酒屋 いちげん」というお店です。きっと前からあったはずなのにどうして見逃していたんだろう。恐らくこの高架下の呑み屋街は、「加賀廣」にせよ「かぶら屋」にしてもトンネル通路と道路面がぶち抜かれているため、どこかの店の反対側の入り口に違いないと思い込んでいたようです。早速中に入ると大きなコの字のカウンターがあります。なんだか既視感がありますが、呑んだというはっきりした記憶がないのでまあ始めてみたいなものだから、いいのです。とにかく飽きっぽい質なので新鮮な気分で呑みたいだけなのですから。ここのチューハイは界隈で定番の下町風ゴールデンなものではありませんでしたがまあこれはこれでスッキリドライでおいしい。肴も定番の冷奴が200円ちょいからとお手頃。客は常連ばかりで、新たに客が入るたび今日は一番乗りなんだと嬉しげに挨拶を交わしています。お勧めのタルタル付きのアジフライも美味しくてすっかり楽しめました。 ワインバーは店頭の黒板を見ると、ちょっとお高いようなので、お向かいの「食いものや 四代目 ごいそ」に入ってみることにしました。入ると、あらら、一人の客もおりません。入ってすぐにテーブルとあとはカウンターと居酒屋をちょっとお洒落にしようと椅子に可愛いカバーをしたりと努力した気配が感じ取れます。チューハイはちゃんと下町風ですが幾分薄めなようです。和食を出す小料理と食堂の中間くらいのお店と踏んでいたのですが、お通しはサラダとマカロニのトマトソース煮です。200円位なのでお得ですね。なぜかこの日はタルタルソースが無性に恋しかったのでチキン南蛮を注文しました。胸の一枚肉ではなく、鳥の唐揚げをアレンジしたらしいのがちょっと残念ですがなかなか美味しかったです。値段も手頃でまずまずいいのですが、店の雰囲気がなんとはなしに暗いのです。主人も悪い人ではなさそうですが覇気がまるで感じられません。人は良さそうなんですけどね。一皮むければ大化けはないにしても、人気が出る可能性はありそうです。
2014/09/11
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このところ夏の陽気に当てられ、陽の高さにも後押しされて、調子に乗ってぼくの行動範囲から大きく逸脱して、遠征ばかりしてしまったのですが、急激に秋めいてきて気分も落ち着いた、いやむしろ沈み込んできたので、仕事を終えてからの遠出が突如としてかったるく思えてきたので、久しぶりに大塚で下車することにしたのでした。 南口商店街のさんもーるを歩いていると、ひと夏超えただけなのにすでに見知らぬ酒場があるのでした。まずは「かとバル」にお邪魔してみます。以前は蕎麦屋だったはずですがいつの間にやら洒落た感じのバルに転身しています。あまり立ち寄らぬタイプのお店ですが、大塚らしくないのとーもっとも最近は似たようなお店が増えていますがー、どうやら立ち呑みらしい気軽な感じが後押ししてくれました。奥にだけは二人分の椅子席があってニヤけたオッサンと若い女性がごきげんに呑んでいます。若い店主にワインを注文、小さめのワイングラスになみなみと注いでくれます。これで350円ならまあ許容範囲と安心して呑み出します。エビやホタテ、マッシュルームなんかのアヒージョがここのお勧めらしいのですが立ち呑みであまり摘むのは好きではないので、手軽にピクルスを頂きました。ここのピクルスは野菜に事前に火を通しているようで、酸味を抑えていて食べやすかったです。しばらくして常連が来ても店主は無駄口を叩くでもなく、カップルも秘密めいて、ひそひそ話をしているので盗み聞きもできぬので程々でお暇したのでした。 次の新規オープン店は「とと勝」です。以前ここにどんな店があったのかまるっきり思い出せないので、実は以前からあったのかも。店は案外広くて、手前のスペースはカウンターもあり、外から見えない奥のスペースは宴会ができるくらいに広いようです。カウンターの隅っこに腰掛けて、メニューをじっくりとチェック。高くなく、安くもない無難な価格設定。魚介料理が中心のようで、アレンジメニューもあります。ちょっと変わったトマトのバクダンとかいう品を頼むと、それはミニトマトをすり身で包んで揚げた薩摩揚げのようなものでした。アツアツなので齧り付くわけにもいかず、ちまちま齧っていると汁がピュっと弾け飛びます。最初は空いていた店内にもやがてそこそこ客が入ってきました。この店にとって今が勝負時なのだなあ、頑張ってください。
2014/09/10
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特にこれといった目当てがあったわけではないので特に不満があるわけではありませんが住吉に到着して、フラフラするうち見かけた店で気になったのが喫茶店であったため、それに誘われていつの間にか清澄白河まで歩くことになりました。 はしめに目に留まったのは「パナール」というお店でした、が店内からはか細くも明かりが漏れているにもかかわらず店を閉めたばかりだったようです。こうなると喫茶店の一軒でも行っておきたくなるのが貧乏性のぼくの悪癖。ちょっと歩くと今度は「琥珀」なる喫茶店があります。看板の明かりもついています。勇んで店に入るのてすが閉店内には男性二人がやけにリラックスしてくつろいでいます。落ち着いた口調で語るにはこちらすでに店を畳んだようです。こうなっては何としても喫茶店に行かねば気がすまぬとばかりにひたすらズンズン歩くと、古典的なパーラーらしい看板が素敵な「みどりや」というお店があります。盲滅法に歩いてこんなに良さそうな喫茶店に出会えるとは何とも幸運なことです。後で調べると喫茶本でも紹介されているその筋ではよく知られたお店とか。茶のレザーソファが貴重のシンプルで落ち着いた空間が心地よい居心地です。入ったときには一人のお客さんもおりませんが、やがてポツリポツリ来店があり、店を出る頃には随分と賑やかになりました。 そうこう歩いているうちに清澄白河までもうすぐという場所までやって来ていました。大通りの交差する角地に何やら古めかしい建物がありそこには実用洋食なる見慣れぬ文字がありました。これまで何度も通過しているのに気付かなかったのは、逆方面からやって来たからでしょうか。きっと呑むことも可能でしょう。楽しみは後回しにして今日はこの辺りで呑むことにしました。 しばらく彷徨いていると、裏通りの一本に呑み屋らしき看板がありました。さらに横道を折れて民家の立ち並ぶ細い路地に「おでん やすだ」がありました。こういう民家に混じったお店は、スナックめいたカラオケありの店も多いのですが、ここは大丈夫そうです。まだ時間も早いのにそこそこのお客が入っています。多くがポロシャツにチノパンに突っかけ姿のご近所さんのようです。夫婦連れもいて近隣では隠れた良店として人気があるのではないでしょうか。カウンター7席位にテーブル1卓ほどの小ぢんまりして清潔なのも奥様たちの好感を得ているように感じます。品書きを見てもいずれもお手頃で、普段遣い、それこそ夕食の支度が億劫なときにもぶらり出掛けられるような気安さがあります。オヤジさんは職人風の良い面構え、いかにも江戸っ子風で、案外によく喋られますがきっぷの良さそうなチャキチャキした方でした。その息子さん?は、物静かで黙々とフロアー仕事をこなします。良いお店です。マッチも貰いました。飲食店のマッチは文字だけの素っ気ないものが多いのですがこちらのものは洒落ています。 さて、続いてはお楽しみの「実用洋食 七福」です。ここは何と言っても巨大な看板の外観にすごいインパクトがあります。スッキリと白地に黒文字で店名の入った暖簾もいいです。目の前で母子連れが入っていきます。店内はテーブル席が多く、中央には相席用の長テーブルが2つ。壁に沿って置かれた4人用テーブルは塞がっていて大層活気があります。客層は多岐にわたっていて、その分用途も様々。母子や学生さんは夕食として、独り客のサラリーマンは間食として、カップルは開店前の時間調整、そしてぼくのような独り呑みにグループ呑みと便利に使われています。でも心なしか、お客さんたちは皆どことなくくたびれた風に見えるのは夏バテだからだけではないようです。肴としてもらった白身フライは野菜もたっぷりで、確かに呑みの実用に足るおいしい洋食でした。
2014/09/09
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ここでM女史は、引き上げることになりました。ホテルの玄関まで送って、無事な後ろ姿を見送ると一目散に次なる横丁を目指すのでした。もともとぼくは一人旅を基本としていますが、近頃どうしたわけか2、3人で旅する機会が多くなっていてそれはそれでいいところもありますが、やはりどうしても窮屈な気分になるのは避けられません。そんな時は同行者が離脱してから独り町に彷徨いでるのが精神のバランスを保つのに不可欠なようです。そんなの東京にいる時と同じじゃないかとのご意見もありましょうが、やはり馴染のない街でのひとり歩きは気分の高揚に格段の差が出るものです。 さて、次なる横丁はハーモニカ横丁です。ハーモニカと言うにはかなり寂れてしまっていて、せいぜいがオカリナ程度になってしまっています。わずかな階段を登ってすぐに木造のかなり老朽化した一軒家があり、ここは日中散策した際に、割烹着姿のいかにも東北の居酒屋の女将さんという方が掃除をされていたのでぜひ寄らしてもらおうと思っていたのですが、店からはカラオケの大音量が漏れ聞こえてくるので気分が萎えてしまいました。迷った末に一軒くらい今風のお店に入ってみるのもよかろうとお邪魔したのが「DA介」でした。ポップな外装のお店で普段はあまり利用しないタイプのお店です。扉にちょい呑みセット(仮称)のお手頃な張り紙があったまでのこと。店に入るとあれれ、お客さんはおらず静まり返っています。店内もレトロな玩具やオブジェがところ狭しと飾られていて、目を楽しませてはくれます。若いお兄さんがやっているお店と腹をくくって入りましたが、50歳くらいのご夫婦でやっているようです。お二人ともあまりお喋りはしない方たちのようで、こちらも自然と飾り物などを眺めるくらいしかすることがありません。きっと初めての客には、人見知りになられてしまうのでしょう。ぼくも無理無理お喋りする気分でもなかったので、ジョッキに残るすでに持て余し気味の生ビールを流し込むと早々にお暇したのでした。 黙りこくっていたらなんだか休息に酔いが回ってきたので、これが最後の店とお邪魔したのが昭和通りの末端にある掘っ立て小屋のような一軒家が界隈から一際浮き立って見える「浅坂」でした。外観通りの細長い造りのお店でカウンターがあるのみ。夫婦連れの客が引き上げると店は女将さんと二人っきりになります。雪国の人の捌けた酒場で店の女将と旅の男が二人っきりなんていうと、なんとも色っぽくて演歌みたいなシチュエーションになるはずですが、こちらの女将さんは、先程の物静かな東北の人という印象とは打って変わって、豪放磊落と言っても大袈裟ではないほどにざっくばらんで陽気にお喋りしてくれます。店のことやらいろいろ伺ったはずですが、お喋りが好きな以上に聞き上手な方で、むしろぼくのことを洗いざらい喋らされてしまったみたいです。八戸の夜はしんみり更けていくかと思いきや最後の最後で明るく締めくくれて、八戸の呑み屋の印象が一気に愉快なものに変貌しました。蛇足にはなりますがここの焼鳥は美味しい。ここも是非また訪れたいお店となりました。
2014/09/08
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青森市内の喫茶店の実力をまざまざと見せつけられていますが、その個々の店がその店独自のヴァリエーションを現前して飽きさせないのがすごいことです。前回は、パーラー、中規模の正統派喫茶、そしてカウンター喫茶といずれも各ジャンルに即しつつもそれに収まりきらない個性が満ちていました。しかしまだまだ喫茶店の様々な有り様を青森は、さらに味合わせてくれるのでした。 こんなことならもっとちゃんと青森の滞在時間を確保しておくべきだったなどと、具にもつかぬことを思いつつ歩いているとまたもや立派な喫茶店に遭遇しました。「珈琲茶館 麦藁帽子」という店名はどことなく軟派なカフェめいていて敬遠しそうになりますが店内の様子を伺うとこれがなんとも格調のあるシックなお店なのでした。これほどのオオバコ喫茶は都内でもそうはありません。しかもランチタイムも迫ってきたためお客さんが次々と入ってきます。青森の人は本当に喫茶店が好きなのだろうなあ。これじゃまだまだ似たりよったりのコーヒーショップなど出る幕もあるまいと心強く思うのでした。 次に伺った「喫茶 クレオパトラ」は、そこだけはどういう訳か和のテイストの中庭を配した、それでいながら英国のサロンのようなゴージャス、というより豪奢といったほうがイメージに近いかもしれぬ、青森マダムが集うお店でした。マダムたちから身を隠すように何名かのオッサンたちもいて、決まってフルーツパフェでしょうか、色とりどりのフルーツを喜びを隠しきれないように方ばっている姿がいじましくも滑稽であり、印象的でした。 港そばのピラミッド型の観光物産店アスパムで間もなく始まるねぶた祭りの飾り付けを愉しんだというM女史と合流、向かうのはやはり「喫茶店 マロン」なのでした。モガの描かれた剽軽とも言えなくもない看板に誘われるように二階の店内へ。入った瞬間、店内を見渡して大いに困ってしまいます。テラス風のリラックスした空間や名曲喫茶の重厚さ、正統派の安心感と、着く席ごとにさまざまな表情が味わえそうで、迷った挙句ーというか大変な繁盛で選択の余地がなかったのですがー落ち着いたのは漆黒の革張りソファからブリキやセルロイドなどのさまざまな玩具を眺められる場所でした。とにかく店主の好きなものをすべて詰め込んでみましたという感じで、ここは一度や二度では味わい尽くせなさそうです。ちなみに名物らしきなんとかいうカレーも抜群、M女史の頼んだホットサンドも絶品でした。 青森の方は、この2回で報告させていただいた他にもお邪魔することのできなかった喫茶店を含めてさまざまな用途や気分に応じて店を使い分けることの出来る幸運な方たちであると言えましょう。しかし店を育て、活かしてきたのもまた彼らの愛情であるに違いありません。ぼくも東京で暮らす者として、青森の方を見習い東京の喫茶店や酒場を負けずに愛して通い続けようと決意を新たにしたのでした。
2014/09/07
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業平橋にやって来ました。スカイツリーができて駅名が変更となりましたが、ぼくにとっては今でもここは業平橋です。どうあっても東京スカイツリー駅などという無粋な駅名は許容できるものではありません。そうは言ってもすでに観光地としてもすっかり人口に膾炙してしまったにも関わらず、東京の生まれでもないのに一人不満を述べ立ててみたところでどうなるものでもありません。ぼくにしたところでスカイツリーには結構な恩恵をもらっていて、下町散策中の道標に案外頼もしいのです。そんな訳で、恩恵に預からないでも安心して呑める浅草通りに面する酒場をはしごすることにしたのでした。 1軒目は「多か将」です。すぐそばには「多か美」というのがありますので、いずれ縁のある店に違いありません。どちらにするか迷うまでもなく、ビルの隙間の通路を縫って入ると入口のある「多か将」に決めたのでした。店内はとても清潔でカウンターはわずかで基本は板の間で呑むようです。カウンターの端にはまだ幼い娘さん。厨房には坊主頭の可愛い息子さんがウロウロしています。レモンサワーをお願いするとさっとお通しが登場。タコの脚に納豆をまぶしたもの、これがなかなか美味しい。もつ焼はハラミがあったので注文です。細かく砕いた岩塩らしきものを自分の好みで付けて食べるスタイル。うん、ジューシーでなかなかいいです。なんで入りが今ひとつなんだろうなあ。子供と絡めたら楽しいだろうなあ、なんて日頃子供嫌いを装ってるのにさ。次は立て続けに「多か美」に行こうかとも思いましたが店を出た後、振り返るとすぐ背後に女将さんが出てきたのをお見掛けしたので気後れしてまたの機会とすることにしたのでした。 お次の店は「三好弥」です。ヘルシーにハムサラダなど所望すると、隣の席のやはり不健康そうなスウェット姿のおっちゃんも同じ品を注文していたようです。考えることは同じようなもの、やがてはぼくもきっとおっちゃんみたくなるんであろうと考えるとなんだかヘルシーさなど考えて呑んでいることが虚しく思えてきます。気にせず食ってやろうとさほどお腹が減っているわけでもないのに頼んだのが肉豆腐。小さめの丼に品名そのままに肉と豆腐がシンプルでかつ豪快に盛り付けられていてニヤリほくそ笑むのでした。ところがなんと何気なく隣を見るとおっさんの前にも同じ品が。愕然としつつもぼくは近い将来このおっちゃんになることを確信したのでした。
2014/09/06
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JRの有楽町駅と新橋駅を結ぶ新幹線の高架下に西銀座JRセンターというのがあって、ここは路地巡りを愛好するものなら知らぬ者はいないであろうメジャースポットです。もちろんぼくもことあるごとにここは歩いていたのですが、飲食店は3軒位しかなさそうで、ここぞという店もなく、夜来ることもほとんどなかったので、この日思い切って昼間ではありますが立ち寄ることにしました。 お邪魔したのは「韓国料理 まだん」です。他にやってる店もないので選択の余地はありません。昼食時間も過ぎていて、ほとんどお客さんもおらず、これなら呑んでも許してもらえそうです。ご飯類や麺類までは食べたくなかったので参鶏湯のセットにします。キムチも小鉢というには立派すぎる量で、しっかり辛味もあってビールが進みます。参鶏湯は身がほぐされているので、鶏肉入りのスープみたいですが味は良かったです。ところで肝心の店の雰囲気は、暗いガード下のムードからは程遠くやはりなんだか詰まらなく思えてしまうのは、まあ身勝手な感想でしかないのでしょう。
2014/09/05
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今日は旅先以外では基本避けている昼呑みのレポートです。毎日が小さな旅をしているなどと日ごろ吹聴していますが極力平日には行きたくない町の銀座界隈、それもちょっと個性的な異国の料理店ということなのであえてこの機会に報告することにしたのでした。 1軒目は、汐留の荒涼たる東京砂漠のそれも地下駐車場の片隅にある「帝里加」というお店にお邪魔したのでした。酒は持ち込みであるとの情報を信じ、地上付近にあるコンビニエンスストアにて酒を調達。奪うように商品を受け取るとその店に急行するのでした。しかし階段を降り始めると、この奇妙な店の立地にすっかりハマってしまいうろつくことしばし。ところが昼下がりですっかり客の引いた店に辿り着く頃には、当初の興奮はどこへやらすっかり興奮も冷めてしまっていました。店内もごくありふれています。立地のユニークさが際立つ店っていうのは大体がそんなものです。チンジャオロースー定食が580円と土地柄から考慮すれば極めてお手頃。事前に酒類は持込みとのことなので、近所のコンビニポプラにて缶チューハイを購入しました。これだけ語ってしまうともはや何も言うことはありません。近隣の方には御値頃だし重宝でしょうが、わざわざ出向くにはちょっと魅力に欠けるかも。写真がこれだけで申し訳ありません。
2014/09/05
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これまで単に面倒だという理由だけで、避けてきた土地がいくつかありますが、この三軒茶屋もその一つです。下北沢や表参道のように根っから好きになれないのとは違って、本当は好きなのにどうしても足が向かない町というのがあるもので、そんな時は逆療法でとにかく立て続けに通ってみることで苦手意識を無理矢理に取っ払ってしまうのが効果的なことがあります。そんな訳で、ここひと月ほどでこれが三度目の三軒茶屋への訪問となります。果たして今回で苦手意識を克服できるものやら。 今回は、2回の訪問で目を付けておいたぼく好みの古いお店を訪ねることにしました。まず始めにやってきたのは「とん起」です。町の隅にポツンと忘れ去られたかのようにひっそりと薄暗い呑み屋街があるというシチュエーションが嬉しいのです。1箇所に呑み屋が密集している迷宮めいた呑み屋街も楽しいものですが、似ているようでいながらよくよく眺めてみるとそれぞれの横丁に各々個性が感じられます。「とん起」のある呑み屋街は、高齢の店主が一人でやっている固定した常連が集まるばかりのけして満席になることはないようなどことなくわびしげな店が多いようです。とりわけ味のあるこのお店に入ると壁との隙間もあまりない窮屈なカウンター10席ほどのお店でした。大当たり、好みの店にバッチリ該当しています。オヤジさんは、パッと見には無口で静かな印象の方ですが案外に饒舌でその喋りにも一癖あって一筋縄ではいかないかんねということにやがて気付かされます。もつ焼は一串80円だったでしょうか、値段以上には十分満足の行くべきものでした。そのうちに中年二人組が来店。どうやらかつての常連、そうは言っても10数年振りになるようで、オヤジさんはつれない態度で適当にあしらうのが愉快でカッコよかったです。 続いて駒沢大学駅方面にしばらく進みます。結構歩いたところでなんとか言うスーパーの脇に屋台があります。東京で暮らしていると屋台なんて滅多に出会えるものではありません。これは入らぬ訳にはいかないでしょう。「ぶんた」という店名のようです。せいぜい7、8名程度入れる程度だったでしょうか。明るくて元気ハツラツなお母さんがにこやかに出迎えてくれました。こちらは焼鳥とお好み焼の屋台で、せっかくなのでお好み焼きを焼いてもらうことにしました。焼き上がりまで時間があるのでトイレを所望すると、お隣のスーパーのトイレを借りてくれとのこと。そりゃ屋台にトイレなんてありませんからね。さっぱりして戻ると出来上がったお好み焼きに齧り付きましたがこれがボリュームあって美味しいのでした。日頃旨さなどどうでもいいこととうそぶいていますが、やはり旨いものを食うと酒が進むもの。やはりたまには屋台で呑むのも楽しいものです。
2014/09/04
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近頃気に入って通っている池上ですがまだ何軒かの行ってみたい酒場があります。その一軒、本門寺そばの古い見事な一軒家が魅力であった蕎麦屋が先ごろ長い店の歴史に終止符を打たれたらしく、またもや出遅れてしまった己の行動力と判断の鈍さに公開しています。こうした後悔を減らすためにも古いお店にはせっせと通うしかなさそうです。今回はそんな古い酒場の一軒に出掛けることにしました。 そのお店とは、「自由雲」です。キタナシュランなどでも放映された良く知られた店ですが、有名だからいつまでも現役であると判断するのが誤りであることは、先の例に限らずさんざん経験していることです。モルタルに割岩の壁が味わい深い構えの店で、長く風雪に耐え抜いてこそ醸し出せる年季を湛えています。店内は散らかってこそいますが、きたないなんてことはありません。店のマスターとママさんもまた現役とはいえ、かなり高齢のようで、とりわけマスターちょっと耳が遠いのかあまりうまくコミュニケートできないのが寂しいところ。そんな訳でおしゃべりも弾むことなく沈黙に包まれながらの呑みとなります。こうした静寂もよいもので、下手にテレビなど見てきたなどと言ったりしてみたところで何が起こるわけでもありません。ここではじっと居酒屋価格のトリハイーただしグラスは小さめーでも物思いに耽りながら、2、3杯も傾けてみれば存分に満足できるのではないでしょうか。わざわざ独りで名物とはいえピザまで頂くこともありませんし、ましてやピザのためにこの静寂を破るなどもっての外ではないでしょうか。 踏切を渡り駅の向こうへまっすぐ進むと「居酒屋 梅善」というちょっといい感じの居酒屋がありました。人の気配があるのでおじゃますることにしました。さすがに立て続けに沈鬱なムードに浸るのは精神衛生上問題がありそうです。店はカウンターに小上がりと塩梅のよい広さ。大体席は埋まっていますが店はゆったりとしており、贅沢な席の配置となっています。客たちはみな揃いも揃って高齢者ばかり。しかもちょいと懐具合の確かそうな下町ー大雑把に葛飾区、荒川区、墨田区、江戸川区を想定ー酒場の老人たちとはまったく一線を画した背筋をピンと伸びした堂々としたタイプが主流です。なんだか店の選択を誤ったかなぁと今更になって後悔するのもいつものこと。店のご夫婦はあまり客に絡むでもなくテキパキと仕事しています。この接し方はむしろ一人の身にとっては気軽なものです。肴もそこそこちゃんとしたもので、徐々に居心地が良くなってきます。特別ではないけれど、通うには気持ちの良いお店に思いました。
2014/09/03
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八戸の夜はまだ始まったばかり。実際、空は未だに仄かに赤みを残しています。同伴の齢80歳を近く迎えるというM女史もまだまだ元気です。続いてのお店は、酒場放浪記の居酒屋を目指しました。 「居酒屋 あきちゃん」を求めて、事前の調査に従って気分よく彷徨きますが一向にそれらしき店が見当たりません。これは一体どうしたことかと、次第に苛立ちが募ります。実はまんざら心当たりがなかったわけではありません。先の名店から目と鼻の先に同じ屋号の居酒屋があって、もしやこれがその居酒屋ではなかろうかという予感はあったのでした。しかしそうであって欲しくないという気持ちが強くて、敬遠したいという意識が働いたようです。気持ちより知識を優先して入ってみることにしました。やはり例の番組ポスターが貼られていますし、この後饒舌で強引さばかりが感じられる女性従業員たちの振る舞いに軽く苛立たせられることになるのでした。いろいろと思うところがありーぼく以上にM女史は後悔したみたいー、その分だけ言いたいこともありますが、あくまでぼくとM女史とお隣の独り客のわがままな感想でしかないのでこれ以上は語らないことにします。 M女史は、流石にくたびれ果ててしまったかと思いきや、さにあらずまだまだ元気にお付き合いいただけるようです。今時の老人ってやっぱりタフなんですねえ。八戸の横丁ではもっとも往時のムードを留めているれんさ街に移動することにしました。ここには、長く店を続けてきたふた昔前に流行ったタイプのカウンターバーがあります。「洋酒喫茶 プリンス」です。いろんなガイドブックなんかでも紹介されている有名店でぼくもかねてから一度お邪魔したいと思っていた一軒です。店の雰囲気はまさに高度成長期の時代の酒場そのままでーまだ生まれていないので文献を眺めての印象ですがー、どっぷりとこのムードに浸り続けたくなります。マスターはパンチ頭の一見強面ですが、その物腰は紳士そのもので穏やかな口調で八戸、横丁、このお店についてゆったりした口調でお話していただけます。一見不思議な取り合わせのわれわれの事には一切触れることもなく、ごく自然に振る舞っていただけるのも嬉しいのでしたー別にやましいことはないので聞かれても全然構いはしないのですけどーお隣りの、こちらは奥さんでしょうか、とても上品な方でマスターの言葉を慎ましい笑顔を浮かべてお聞きになっていました。数々のサイン色紙が飾られるお店なのにこうしてゆったりといろいろなお話を伺えたのは幸福でした。俳優の三上博史さんが度々立ち寄るそうで、もともと好きな役者さんですがさらに印象がアップしました。ところでガイドブックなんかでも触れられているので蛇足ですが、チャームとして出されるたっぷりのスナック菓子とドライフルーツはサービスで、しかもカクテルを始めすべての飲み物が500円というのは感動ものです。八戸に来る機会があればーいや機会を作ってーまた訪れたい素敵なお店でした。人生で指折り程度しかバーに来たことがないと語っていたM女史も大層満足そうでした。
2014/09/02
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さて、代々木で仕事を終えてどこか普段行きにくい町にでも飲みに行くか、でも時間も早いしその前にちょっと一杯引っ掛ける、そうした時にちょうど具合の良いお店があります。 「とんかつ 代々木庵」は、一人でもグループでも使い勝手が良いお店です。駅前の都心とは思えぬほどに老朽化したビルの二階にあるのが、まずはそれだけで嬉しいものです。店内は想像をはるかに超えて広くカウンターも立派です。でもカウンターはちょっと敷居が高く感じられるのでテーブル席に収まります。酒場が慢性不足である代々木では貴重な酒場としても徴用されているようで、どこぞやの企業の10数名の宴会が始まり店内は嫌が負うにも活気付きます。お値段もお手頃な居酒屋価格なのも楽しいです。呑みの客以外にも当然ながら食事目当ての客もおり、彼らにとってはあまりの騒ぎ過ぎは迷惑でしかなく、そこらへんは注意が必要なようです。品書:ビール中:550,酒2合:750,サワー:350,枝豆/谷中しょうが:350,はんぺん焼/にら玉とじ/肉じゃが/ポテトサラダ:400,かつ煮:650
2014/09/01
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先日、久しぶりに京成高砂を訪れたと書いたばかりなのに、そうこうせぬうちにまたやって来ていたようです。酔っ払ってうつかり下車してしまったわけではないでしょう。なんせこの夜のことは珍しくも鮮明に記憶していてーなんて書きながら思い起こされるのは店の方と酔客たちの充実しつつもなお隠せぬ疲弊した表情のみー、何にせよやはり高砂好きなんだろうなあと人事のように感慨に耽るのでした。 高砂のことが好きになったのは、若くて可愛い女の子と親しくおしゃべり出来て、それでいながらガールズバーのような無駄な出費もなくーって、実はこれまで一度も行ったことがなくて、通っている床屋さんの若いお兄ちゃんからの臨場感あふれる報告のみがすべての情報源なのでしたー素敵なうら若い女性と親しくおしゃべり出来てしまうということでも知られる「高砂家」などの優良店も多くありますが、高砂といえば駅前の飲食ビルの抜け道に並ぶ立ち呑み屋の風情が溜まらなく魅力があります。「ぽん太」はその中の一軒。このビルでは一番広いーとは言ってもせいぜい斜め立ちで15名がせいぜいの広さーお店で、2階は普通に椅子のある居酒屋らしいのですが、こちらはまだ入店できていません。肴の品数も多くなかなか良いのですが、入の良さではお向かいさんには負けています。そちらにも以前お邪魔したのですが、よりアットホームな空気が色濃くて、よほど人恋しい時はいいのでしようがちょっと疎ましく思われるほどです。それと比べるとこちらは適当にほっぽらかしてくれるのが気楽に感じられます。いずれが良いとは言い難いのですが何にしろ選択肢があるのはいいことです。
2014/09/01
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