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東京メトロ丸ノ内線の分岐線(方南町支線)の3駅のひとつ中野新橋駅は都心からも近い割につい先達てまで呑みに行くことすらありませんでした。散歩で通り過ぎるだけの町だったのです。でも「水村屋」という素晴らしい酒場との出逢いがこの町に対するぼくの好感がぐんと高まったのであります。町と親密になれるのって幸運なことで、たった一軒の酒場の良し悪しが町全体の印象に関わることもあったりするから、短気は損気のモットーを胸に刻んで訪れるのが良いのでしょう。と、さも中野新橋に入り浸っているかのようでありますが、そんなことはないのであります。印象がいくら良くたってそう何度も遊びに行こうと思えるほどに面白い町ではないけれど、そもそも酒場一軒で町を嫌いになることもあれば、好きになることもあるのです。ここに限らず面白い町なんてのはそうはないのでありますし、ぼくのような酒場をメインに町歩きするような者にとっては、いくら歴史的だったり珍の付くような建築や物件が数多くある町だったとしても目ぼしい酒場がないのであれば一度訪れればそれで事足りてしまうのであります。まあ実際には事足りてというのは、大抵の場合は観察が不十分だったり、情報弱者だったりして単に知らぬだけだったということが多いのです。とどうも話が繋がっていない気もするけれど、そのまま続けることにするのです。 この夜お邪魔した「大衆割烹 たき川」は、地元の区議会議員だかがお気に入りの店として紹介されていたのを見て知ったのでした。ここまでお読みになられた方はお気付きかもしれませんが、この夜の感想を綴ることにいかにも気乗りしていないのです。このお店のどこが気に入らないというのか。端的に接客対応している方の応対ぶりが余りにもぞんざいだったのです。そりゃまあ議員さんと違って呑んでばかりで酒の肴はケチ臭い注文振りでしかないかもしれないけれど、その場で呑んでるぼく(ら)は少なくとも客である気分にはなれなかったのです。ぼくは客が店を選ぶように店も客を選ぶことがあっても構わないと思うけれど、それには前提があってネットでも最悪貼り紙だって構わないのだろうけど、店が客を客として受け入れる条件を予め提示するべきだと思うのです。その条件さえ果たしてくれるのであれば、ぼくは入店を断られるのを残念に思いこそすれ文句を吐くつもりはさらさらないのであります。でもここではそういう条件を入店時に示されることはなかったのです。だったらあからさまに他の客と差別化した応対をすることは容認しがたいと思っても仕方がないのです。仮にはじめての客に対して人見知りする性格の持ち主というのであれば、その旨を明らかにしておいてもらいたいのだ。そうしたらいくら胡散臭そうな視線を浴びせられようが横柄な態度を取られようが、そういう人なんだと思えば腹も立たぬと思うのです。とつい腹立たしいから悪く言ってしまいましたが、店の雰囲気はいかにも居酒屋といったいい感じだし、料理もちょっといい感じだしと好感が持てるポイントも少なくないのだからなおのこと悔しい気がするのでした。
2022/02/21
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どうもぼくには、メインストリームから外れたエリアに惹かれる性癖があるようです。まあ、こうした性癖は特段珍しいものではないはずで、似たような趣味の持ち主の方も数多く存在しそうです。昭和マニアとか場末好きとか色んな呼び方だったり傾向の若干の差異は認められるものの凡そ似たような感性が働いているものと思われます。だから例えば鉄道だと支線なんて呼ばれる路線にも目を付けることになります。でも実際調べてみると都心近郊にはそんなに存在するわけではないようですね。JR東日本にはさすがにそれなりに存在するようですが、いかにも支線といった趣きがあるのは、鶴見線の海芝浦支線や大川支線などが知られているところです。東京メトロとなると千代田線北綾瀬支線と今回再びお邪魔することになった丸ノ内線の分岐線(方南町支線と呼ばれているようです)しか存在しないみたいです。北綾瀬支線は北綾瀬駅だけだからすでにそれなりに散策済みでありますが、方南町支線は中野新橋に限らずまだまだ未開拓のエリアも少なくありません。未開拓といっても何も全ての道を踏破するとかいうのではなくて、ぼくが開拓し終えたと自信をもって語れるとしたら、その町に飽き飽きしていることを自覚した時のことでありまして、青梅街道の南側エリアはまだまだちっとも飽きていないから今後もちょいちょい足を運びたいと思っているのだけれどどうなることやら。 とはいえ勝手を知らぬ町だからどこに向かえば酒場と遭遇できるものやらとんと見当が付かぬのです。期待していたほどには酒場の分布は粗密なようです。あてもなく散策しているのにも疲れたので(近頃すっかり疲れやすい体質に移行してしまったようです)、早い時間にもかかわらず営業している「いろは」に立ち寄ってみることにしました。カウンターに8席程度、卓席は2卓だったかな、こぢんまりとしたお店です。さすがにまだお客さんはいませんけど、いや、でもこの時間に店を開けているということは日によってはそれなりに需要があるのでしょう。いんげんの胡麻和え、ポテトサラダ、タラコのお通しにちくわきゅうりと沖漬け、こんな何でもないような肴で呑むことをこのところすっかり忘れ去っていたようです。もっとも行きつけにしている酒場ではその日の好きな肴を自らじっくりと選んでいたし、自宅では外では余り食べられない料理を作って呑んでいました。当たり前の普通の日本の総菜で呑むという普通であることの心地良さを思い出せてもらえたような気分です。どうしてだろうか、こうした食べ慣れた肴で呑んでいるいると気持ちまでゆったりとしてくるようで、リラックスできる気がします。まさか日本人として脈々と受け継がれてきた血がそうさせるというわけでもないのでしょうが、少なくともこういうのでやれるのが日本の居酒屋でしかありえないことは紛れもない事実と思うのです。ってちょっと褒めすぎかなあ。
2021/12/06
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都内西部は、まだまだ未開拓の土地も多いから以前はもっと積極的に踏破していこうと思っていたものですが、かつての鼻息の荒さも鳴りを潜めて、すっかり枯淡の域に達してしまったのであります。数年前までは縁の薄い町に行くとなるとある程度の数は目指す酒場の目星を付けて、片っ端から虱潰しにするような節操のない呑み方をしたものですが、今ではまあ1、2軒は是非ものの酒場を抑えに据えてはおくけれど、あとは本能と体力の赴くままに町を彷徨っていて未知なる酒場との偶然の遭遇を楽しむのです。というか本当は調べておいた方が面倒もないし、失敗も少ないのです。でも事前に調べることで興の半分が削がれてしまうなどという正論は吐くまい。これまで散々っぱらカンニング行為を重ねてきたのだから今更それを言い訳しようとは思わぬのであります。でも実際には当たりの店に出合い頭で遭遇するなどということは、滅多なことでは起こり得ないのでした。でも先日、そんな偶然に久々に出くわすことができたのでした。 人通りも疎らな日中の新中野を歩きました。これまで何度も歩いている青梅街道を忌避して住宅ばかりの一本裏手の通りをこれはさすがに失敗だったかと歩いていると不意に「中華料理 北京」が現れました。かなり老朽化の目立つ外観の家屋の一角が店舗になっており、これだけは立派な看板がなければ古い民家でしかないのであります。いや、まあ開け放たれた戸の内側が通りから丸見えだから商売していることは明らかなのです。ご高齢の夫婦が一人の客相手に応対していますが、この店が混み合うことはそんなにはないんじゃないだろうか。ビールと野菜炒めに餃子とこの先もう少し呑み歩きたいから控えめな注文となります。ハシゴしようとするとどうしても酒の量はともかく食べる量をセーブしてしまうから本当に食べたいものを食べることが少なくなります。その点では餃子というのは無難な肴と成り得る便利な料理であります。長年連れ添ったのであろう夫婦は、それでも絶病とは言えないコンビネーションではあるけれど無言でも的確に仕事をこなされます。主人は細身の身体つきながらガコンガコンとたくましく中華鍋をふるっています。自宅のベッドでこの音を聞かされ続けたら気がどうにかなってしまうのだろうけれど、ビールをやりながらBGMとして流れるのは不快に思わないのはどうしてだろう。ごく普通の野菜炒めと餃子というとりあえず頼んでみましたというような料理が美味しく感じられるのは、やはり待たされたからということも大きく影響を及ぼしているのだと思うのです。
2021/11/15
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都内の人々の多くは、すっかり通常の暮らしぶりを取り戻してしまったかのようです。確かに町行く人々は未だにマスクを装着しているし、まだ営業を見送っている居酒屋なども見掛けはしますが、概ねかつての日々に戻ったかのようです。まあ、こんな楽天的な日々もそうは長くは続かなさそうですが、いくらかは羽を伸ばしても良さそうです。ということでぼくも気を緩め過ぎぬ程度に束の間の解放感を謳歌したいと思っています。先週は手探り気味に馴染みのある酒場を中心に巡ってみましたが、この2年間で目星を付けた酒場にも訪れてみることにしました。と、至って冷静を装っていますが、実は大いに興奮しているのです。いやまあ、偶然訪れたわけではないのだからある程度は予想はしていましたが、その予想を圧倒的に凌駕するだけの素晴らしい酒場に巡り合えたのだから興奮を隠すことなどできぬのであります。こんな賛辞を述べておきながら恐縮ですが、こちらの酒場はお出掛けになられるとすぐに得心されることと思いますが、女将さんはご高齢であり、店舗も10数名で一杯になりそう、しかもお客さんはどなたも地元の顔馴染みの方たちで満席になることこそないけれど、ひっきりなしに入れ代わり立ち代わり客足も絶えぬ状況だから、できれば独りかせいぜいお二人でそっと訪れて、余り長居はせぬよう配慮いただくのがよろしいと思うのです。 さて、訪れたのは、丸ノ内線方南町支線の中野新橋駅が最寄りの「水村屋」でした。駅から5分ほど南下すると川島商店街があります。へえ、こんな場所に商店街があったなんて知らなかったなあ。八百屋さんを始め、激安な商品を販売するお店が立ち並んでいて楽しいですねえ。松島市場なんてマーケットもあって、八百屋や魚屋さんもありますね。新宿副都心から2kmほどなのに田舎びたムードだなあ。そんな商店街のメインのとおりから一本裏手に目指す酒場はありました。すでに閉業しているかもしれないと日中に様子を見に来ましたが、どうも判然としない。表通りのクリーニング店脇に爺さん達が椅子を並べぼくの行動を怪訝そうに監視しているから、現状をお尋ねしても素直に答えてくれそうもありません。やはり夕方に出直さねばならぬようです。 開店まではまだ数時間あるので、時間を潰すのに難儀します。結局、都営大江戸線の西新宿五丁目駅から数分の場所にある気になっている酒場をチェックしに向かいましたが、外観からは単に休業中とも見受けられるもののガラス戸内側はベニヤ板らしきもので覆われていて、閉業しているようにも見えるのでした。載せるチャンスがなさそうなのでせっかくなのでついでにご覧いただきます。その後、中野新橋駅に引き返し、正午から営業している酒場で時間を調整、開店時間の5時少し前に再び訪れたのです。クリーニング店前の爺さん達はそのままなので、裏手を回って向かいます。 おお、照明が灯り、さっきはなかった暖簾が下がっていますね。Googleマップの情報では、一見さんお断りとあるので作り笑いを浮かべて可能な限り愛嬌のある表情を絶やさぬよう気を遣ったのです。コの字のカウンターに先客は2名、当然の如くに顔馴染みのようです。ぼくを見てオヤっ、変なのが来たといった表情を見せますが、にこやかに会釈してみせるのでした。かなり高齢とお見受けする女将さんも幸いにも受け入れてくれたようです。焼酎と割り物は別に注文するらしいので炭酸とお願いすると、すぐにジョッキに氷と焼酎を注いだものと炭酸瓶が出されます。野沢菜漬けの刻んだのも添えられています。酒以外の品書きは10品に足らぬ程ですがそんなことはどうでもいい。トマトとウインナー炒めを注文するとすぐさま提供されます。高齢なのに大したものだと思っていると、常連二人からこちらの婆ちゃんはなんとなんと現在97歳とのことです。耳が遠くなってるから正対したらすぐさまに語り掛けるべしとのこと。唇を読むそうだけど本当かなあ。お一方は開店30分前には玄関から勝手に入って、席を確保し、醤油などの調味料を並べてお手伝いするそうですが、ちっともお礼を言われないんだよなあ、などと愚痴ってみせますがその毒舌には愛がこもっているのが明らかでした。ここはちょっと混んでると客の顔を見て満席だと言ったり、もう店はやってなくて身内で呑んでるだけだと断られたりもすることもあるようです。ところで、並べて貼られた品書きから外れてあじすと記された短冊があります。気にはなっていましたが、常連さんによるとこれが特にお勧めらしいのです。次に来る時にはぜひあじすの注文は必至であります。
2021/10/25
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西武新宿線は、とりあえず乗りつぶしているし、多分すべての駅で下車してもいるはずですが、それでもあまり乗り付けない路線でありまして、実のところは探ればまだまだ面白い物件が潜んでいると格段の根拠もなく確信しているのであります。確信するほどに気になるのであれば遠慮なく行きたい町を巡ったらよかろうと言われてしまえばそれまででありますが、基本どうしても乗り換えが生じることを思うと二の足を踏んでしまうのです。電車の乗り継ぎというのは面倒くさいように思えても実際に行ってみるとどうということもなかったりするもので、くよくようじうじと迷っているくらいなら行動するが勝ちということも分かっているのです。という訳でこれからは思い立ったように西武新宿線沿線の酒場巡りをスタートするつもりなので、近隣にお住まいだったりして気になる酒場があるけれど、入店には二の足を踏むよなド根性物件をご存じの方はぜひ情報をお寄せいただきたいのでありました。 さて、そんなアテにならなさそな宣言をしておいてすぐに、反省から文章を綴ることになるのは不本意なのでありますが、またも己の不注意っぷりに呆れるやら呆然とするやらといった事態に遭遇したのであります。というのも沼袋では喫茶巡りをかつて敢行しており、忘れもせぬ5年前の冬のある日―忘れもしなかったのはその日がぼくの誕生日であったからという個人的な理由によるものです―「猫丸」、「ミカドコーヒー 中野沼袋店」、「カフェ ソレイル」などを巡ったようなのです。ようなのですと書く位だから覚えている店もあればすっかり記憶から抜け落ちてしまった店もあります。しかし、喫茶好きならオヤおかしいなと思われたに違いありませんが、「純喫茶 ザオー」という古い喫茶店があってここのことは明瞭なる記憶を未だに保持しているのでした。それにも関わらずですよ、そのお隣、本当に真横に「宝来軒」というとんでもなくぼく好みの中華飯店があることを見逃していたのはあまりに不注意といえば不注意すぎるのでした。 このお店の存在を知ったのはつい最近の事です。そして店に近付く道程でやっとこさ純喫茶のお隣りであることを認識するのに至ったのでした。ともあれ「宝来軒」に遠回りにせよやってくる事ができたのは僥倖の極みです。まだ開店したばかりなので案の定というまでもなく当然にぼくが一番乗りとなります。ガラス戸で外界と区切られたお店では何処に腰を下ろすべきかいつも迷ってしまいます。すりガラス越しに行き交う人々を背景にした絵はとても様になるものだし、何よりそのシルエットの変化を眺めると少しも飽きないのです。でもこの日は何となく戸を背にしてしまいました。こちらもこちらで奥の住空間も覗き見れて愉快なのです。余り腹は減っておらぬから当初予定していた餃子はパスしてもやしそばを注文します。酒や焼酎とかは無いかと尋ねると、扱ってないそうです。そうか、この風景で一杯やれたら良かったのだけどなあ。まだ厨房には火が入ったばかりのようで、しばらく待つ事になりそうです。まあ昼間から呑むのも程々にしとかにゃならんと自らを律するのであります。そのうち一人、もう一人とお客さんが来られます。その一人がビールに餃子と炒飯を注文したらなんの事なくオーダーが通ってます。何だ何だビールでも構わぬのにと慌ててこちらも追加するのでした。お新香をつまみながらボンヤリともやしそばのスタイルを想像します。トロミが基本的に苦手なぼくですが、もやしそばは餡かけ型が圧倒的に好みです。残念ながらこちらのはトロトロ系ではなかったけれど、ギリギリまで雑味のないあっさりスープと上手く絡んで美味しく頂けました。いやあ、ここは凄い好きだなあ。また寄らせていただきます。そう、頼み控えした餃子は他のお客さんのを盗み見ると口の糊付は緩くてボロリと餡が溢れるけれど、実づまりもびっしりと凄い旨そうでした。大き目なのが6個というのもお得感ありです。
2019/09/12
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西武新宿線の酒場とは、どうも相性が悪いらしい。というか酒場放浪記を情報源に訪れた酒場には、大抵の場合、一度や二度は空振りさせられる羽目になります。番組を見て酒場を巡るなんて、邪道だなんて言われても仕方ないなと思う気持ちがある一方で、まったくの徒手空拳でわざわざ電車を乗り継ぐ者などまずいないはずだとぼくは思っています。どのブログやらのことを語っているかはここでは控えておきますが、ぼくの場合は初めて訪れる町、それも交通費を払ってまで呑みに行くのだからなるべく効率よく、良いと言われる酒場を巡りたいと思っています。それが呑兵衛道にもとるとは少しも思っていません。酒呑みなどという人種は、もとより卑しくてさもしいものであり、十円でも安く呑めるなら平気で1キロくらいは歩いてしまうものなんじゃないでしょうか。時は金成りと多少駅から離れた酒場にタクシーで向かう人達を見ると、セコいぼくなどは驚愕と同時に羨望の眼差しをついしてしまいそうになるのですが、そこは貧乏なりにプライドもあるのでグッと堪えるのでした。 さて、わざわざ安くもない運賃払って2度目だか3度目の訪問をしているのだから、その元を取らずには帰れまいと、勢い込んで訪れたのが「居酒屋 縄のれん」でした。駅からも近いとは言えぬ立地であるし、正直門前払いを食わされるのはもう懲り懲りと、それでも営業していないことを前提に歩を進めるのです。そんな具合なので店の明かりが灯っているのを見たときは、興奮しちゃうのです。そんな機会は無いに等しいぼくですが、素敵な女の子に振られ続けてようやくデートを取り付けたような気分です。しかしここで気を抜くわけにはいかぬ。急用が入ってドタキャンされるのと似た感じに、満席で門前払いとなることも残念系男子のぼくは想定しておくに越したことはないのであります。そこだけは勢い良く引き戸を開け放つと嬉しや一人の客もおらぬのです。多くの酒場好きは空いてる酒場を忌避する傾向があるようですが、ぼくはむしろ酒場なんて不健康な施設は空いているのが当たり前だと思う傾向があります。だから、ここに他の誰も客がおらず、しかも個性的な店主との濃密な時間を過ごすことができます。最初は変わった人だなとなんとはなしに聞き流していましたが、その話題は多岐に及び単なる会話が議論へと転化するのにそうは時間を要しないで済むことでしょう。特に政治的な話が好物のようでして、ぼくのようなノンポリであれば笑って済ませる意見もゴリゴリの活動家であるのなら右左関係なしに深入りせぬのが無難と思われます。彼にとっての現在の関心の中心はここら辺にモノレールを開通させようというもので、パウチされた宣伝ビラまで託されました。ところでこの好ましくも癖のあるオヤジには諸々のご意見がありそうですが、酒場としては実に実用的なのです。つまりは安くて早くて旨いのです。店の雰囲気も外観そのままにごちゃごちゃして窮屈でそこがまた好きな人には堪らない心地よい空間なのです。また行きたいなあ。
2017/01/16
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新中野のことは来るたびに忘れてしまっていて、地下鉄の出口を出ればむろんそれなりに記憶は蘇るのです。だけど、憧れていたあの酒場がどこにあったかなんていうことはもちろん記憶の彼方に消え去っているのだし、そこに着いてみて、ここからそう遠くない場所に「乙女」という外観だけですっかりイチコロにされてしまう酒場があったことをようやく思い出す始末です。なので、今回は目当てなく訪れた新中野駅ですが駅を出るや急激に期待感と興奮がぶり返したのですが、タイトルで書いてしまったのでその高揚感が一転して喪失感に変わることは容易に察しがつこうものであえて口をつぐむ事にします。ただ一言店からは未だ終わってはいないという気のようなものを感じたので、忘れぬよう記憶に刻み込むことにします。 さて、失望を感じたからにはその後の酒場がいくら野心的な店であっても霞んでしまおうものです。花輪も卸たてに見える「晩杯屋 新中野店」の新しい店舗がそこにあったとしても少しも興奮はできぬのでありました。大体においてふらりと適当にデンジャを降りて歩いてみるとその新店が当たり前のような佇まいであったりすることが繰り返されると、例え寸先の失望がなくても嬉々とするなんてことはあり得ないのです。かと言って呑みたい気分はやまやまなので惰性のように店に吸い込まれるのです。さて、ここのお店についてはもはや語るべきことは何一つ残っていません。もしかするとつぶさに観察し、丹念に比較検討すれば店舗ごとの差異を見出しうるのかもしれませんが、ぼくにとってはもはやこの店は他のいくつかある立ち呑みチェーンと特に差別化するまでもないどこにでもある立ち呑み店という位置付けは、余程のことがない限りは変わりそうにありません。 なので次のお店「藤吉郎」には、けして両手を上げて称揚するような酒場ではなく、むしろ実直な渋いお店でしかないのですがカウンターの隅の席に腰を下ろすと、安堵のようなため息をついてしまうのを抑えられないのでした。もともと落ち着いた雰囲気の店なのでいきなりここに入っていてもそれなりに好印象であったはずですが、今更初体験の思い出は消し去りようがない。下品にならぬ程度の民芸調で照明も抑えめとくれば寛がないほうがどうかしている。なのにこの夜はどうも気分が乗ってこない。どうしたものかと頼んだ焼鳥が次から焼き上がるのを苦しげな息を吐きながらも持ち前の卑しさで何とか呑んで食べてみるもののどうにも調子が上がってこないのです。店のご夫婦もいかにも働き者という感じで好感触出し、高齢女性の二人組なんてのがいる辺り悪かろうはずもない。帰宅して判明、なんと39度をこす高熱なのだから何を食べても味がしないわけだ。こうして新中野の呑みはアルコール消毒の無根拠さを証すだけに終止したのでした。
2016/08/02
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野方というと、驚くべき勢いで実力のある若者たちを排出し、今では都内随所でその若者たちは意欲的な店舗を展開しているのですが、その発祥となるお店が酒場好きにはつとに知られています。今ではもつ焼店としてやっていくのには、彼ら実力派に打ち勝たねばならぬのだから生半な覚悟ではあっという間に閉店に追い込まれるであろうからなかなか大変です。いや彼ら弟子筋の人たちにとっても強力なライバルと切磋琢磨しなければ生き残れぬだろうから、増殖しすぎて共倒れなんてことにならぬよう注意していただきたいものです。でも今回訪れたのはそういう酒場ニューウェーブの紹介ーいやいや紹介ってのはいかにも偉そうでどうも馴染めませんー、報告ではなく、それらの新しいお店が野方を発信基地として増殖するのを他所目にただひたすらに我が道を行く姿勢を崩さなかった素敵なちっちゃな食堂なのでありました。 そのちっちゃなお店は野方の商店街の喧騒から離れた街道沿いの素っ気ない場所にあるため、うっかりすると見落としかねないさり気なさですが、よくよく見ると何とも可愛いのです。「お食事の店 ノトヤ」のお食事の店っていうのが控え目な感じでいですね。中華とか和食とかうちはその筋ではいっぱしの店で修行したんだというような鼻息の荒さもなく、どことなくお子ちゃまでも気兼ねなくどうぞという柔らかさがあります。でもお食事の店だろうが呑んじゃうつもりなんですけどね。そして内装も大変可愛くて、これは喫茶好きの方にも受け入れられるんじゃないかなあ。少なくともぼくは楽しめました。奥のテーブル席に着くと少しも我が家と似てはいないのに大変座りがいいのです。始めてきたのに昔から通い詰めたお店に何年ぶりかに訪れたような懐かしさを感じるのです。それでも大分減ひ始めていたとはいえこういうささやかな夫婦二人だけでやっているお店に来ると、なるべく使いたくない言い回してはありますが昭和の頃をつい回想してしまうのです。無口で実直そうな主人の作る料理はどことなく家庭で昔食べた素朴な味わいで、けして絶品とかいうものではないのですが、もはや記憶の中にしかないかすかな味覚の記憶を蘇らせてくれました。野方に酒場巡りをされる方が多いようですが、例の有名店なんかばかりでなくこういう今にも消えて無くなりそうなー失礼かな?ーお店こそ訪ねられてはいかがでしょう。無論、酔ってから入られては店の迷惑になるのでくれぐれもご注意を。
2016/05/28
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季節も秋から冬へと変わりつつあり、段々燗をした日本酒が恋しい季節になりつつありますが、これはまだ秋というには日も高く、ともすれば汗が吹き出すこともあるような季節のお話です。気取ってみましたがいつものようにお話というような気の利いた出来事が綴られようはずもなく、いつもとさほど変わらぬ退屈と言ってしまえばそれまでとなりそうないつもの情景が語られることになるはずです。それはとさえさておき、中野に最後に行ったのはまだ秋というには汗ばむほどの夏が残る夕暮れ時を少し回ったばかりの時間帯でした。 この夜は以前から行きたいと思っていながらいささか敷居の高いお店なのでこれまで指を加えて素通りしていた店に思い切っていってみることを心に決めていたのでした。が、まだ回転準備中なので中野の未だ全貌を掴みきれていない呑み屋横丁を徘徊するのでした。すると「中野日本酒Bar むげん」なる呑み屋を見つけました。一瞥して通り過ぎていたのですが再び通る際に店内がちらりと見えてどうやら立ち呑みであることが判明すると現金にも抵抗は失せてすっと入り込むのでした。次の店の敷居の高さは主にというか全面的に予算に直結しているので、なるたけ安く抑えたいのです。実際には立ち呑みとしてはそれほど安くはありませんでしたが、時間を潰させてもらうのにはやはり重宝。酒二杯と簡単な肴で出れるのがやはり立ち呑みには重宝。日本酒の立ち呑みであるため日本酒もそれなりに取り揃えられているようですが、次で呑むことになるので控えることにします。若い女将さんと常連のやり取りを聞くともなく流してぼんやりとした時間を過ごしました。 さて目指す酒場は「樽酒 路傍」てした。数多の酒場がある中野でも外観の味わい深さは飛び抜けて格好いい。店名も哀愁があってとても良いですね。まだ店を開けたばかりでお客さんも入っていません。先程まで店内を掃除していた女将さんは姿を隠して、案外若い主人が迎えてくれます。なかなかに頑固そうで打ち解けにくそう、という憶測は大きな誤りであることが次第に判明することになりますがまずは店内の情緒を堪能します。入口付近の小上がりも何とも味わい深いのですが荷物が置かれ使われることはもはやなさそうです。カウンターでも十分満足。樽酒をいただくことにします。樽の栓からこぼした酒をアルミのボールで受けて升へと移します。盛られた塩が昔ながらの酒場らしいけれど、ぼくには小説や映画でしかほぼ経験したことのない流儀で新鮮です。そうした感嘆を主人に伝えると、出身は新宿で映画をよく見たことなど留まることなくお話いただき、つい旧知の関係と勘違いしてしまいそうになるくらいに話し込んてしまいました。そこにはいつの間にか女将さんも加わっていて、二杯が三杯とついつい進んでしまい、呑みすぎとなってしまいました。ふと日々の生活に疲れてノスタルジーに浸りたくなったらまたここで昔話を交わさせていただきます。
2015/11/16
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新井薬師の周辺は道も入り組んでいて迷路のような町並みとなっていてとても楽しいのですが、夜になると昼間の賑わいはどこへやら、人気はさっと引けてしまい時折横丁に灯るネオンにつられて回り道してみても、うらびれきったスナックがあるばかりでいかにも残念極まりない思いを何度もしたものです。この夜も同じような首尾で収穫もなく駅を目指して歩いていくと、ついぞ見覚えのない立ち呑み屋がありました。 投資するには格好の立ち呑み店を見かけて無視するわけにはいきません。近頃は立ち呑み店とは思えぬ強気な値段を要求するお店に遭遇することも珍しくなりましたが、ここは西新井大師、そんなに懸念することはないはずです。「串揚げ屋 千客万頼(千客万来)」という無難といえばまあ無難だけど、チェーン店のような俗な響きにも思えぬでない店名にはあまり感心しません。先客と言うには程遠く、先客は一人だけ。お店の方は皆若く、その一人は西洋人らしい娘さんーでも全然タフそうではないか細い感じの娘さんで、その儚いムードに惹かれるロリコンオヤジも少なくないはずー、そんな彼女のたどたどしい挙動をぼんやり眺めるぼくもやはり単なるロリコンオヤジかもしれません。さて、ぼくの異性を眺める視線をここで語っても引かれるばかりなのでこの程度にしておくとします。さて、串揚げは悪くないし値段もそこそこ。悪い要素は特にないのですがなんだかそっけなく感じられるのはやはり店の方が距離感の取り方を誤っているからじゃないでしょうか。こうした立ち呑みのような店では、あっさりしててもいいけどもう少し暖かく迎えてもらいたいものなのではないでしょうか。これからの健闘を期待します。特に西洋人娘さんには期待が高まるのです。
2015/10/21
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中野は自宅からもそう遠くなくていざとなったら歩けなくもないーこの言い方は非常に大雑把で少なくとも日本の道が続いてさえいれば大抵行けなくはないわけで、ここでは日頃の散歩の延長程度のつもりで歩ける範囲ということですー、なのでまあちょくちょく足を向けているのですが、まあそれにしても中野に酒場の尽きぬことといったら毎度毎度驚かされます。そんなこんなでまたまた中野に出向くことにしたのですが、当たりも多いけれど案外吹っかけてくる外れの店も多いわけで注意が必要です。 まあ立ち呑み屋であればそんな心配もいらぬであろうと「常蔵」という、ここは何度か通り過ぎて存在だけはしっていたお店に入ることにしたのでした。時間が早かったせいかまだお客はそれほど入っていません。カウンターがやけに店の方との距離が近いので気後れしてしまい、空いてるんだからと遠慮気味にテーブルに場所を決めたところ、非常に嫌〜な言い方でカウンターどうぞと言われました。いやいやダメだって言うんなら大人しく従いますが、何もあんなに嫌味な言い方をしなくてもいいんじゃないかと思う。店の人もぼくの憮然たる様子に気づかぬはずはないと思われるのだが、全くもって知らん顔なんだから長居する道理もないのでした。肴は値段が高くて、それだけにまあ料理の腕は悪くないようですがぼくにとってはそんなのは瑣末な事実であります。そんな気分なのにいつもの習慣でついついお代わりだけはしてしまい、一杯で出とけばいいのに意味もなく頑固なものよ。 中央線各駅に店を構える「カッパ」ですが、ここ中野の店は恥ずかしながらー別に恥ずかしくはないかーこれまでその存在を知りませんでした。一番人気は吉祥寺店でしょうが、あまりにも繁盛しすぎて落ち着けない。他店も入っているのですが、これといった感心はしませんでした。と言うのは曖昧な記憶がもたらす勘違いなんでしょうが、それはともかくとして、ここ中野店、ストイックな感じがなかなか素敵なのです。店は綺麗で年季はあまり感じられませんが、それがあまり気にならないのは単なる贔屓目かもしれない。いや、先の店の不快な感じが尾を引いていて必要以上によく思えるのかもしれません。そしてここの焼物、素材もいいかもしれないが焼き手の兄さんが大した技の持ち主かもしれぬ。絶妙なタイミングで串を出してくれるので、素材の良し悪しが直に伝わるびっくりの旨さ。セコいから頼むのは当然に生の焼酎。ちびちびやりつつしっぽり過ごすと、あゝなんて幸せなんだろう。
2015/10/15
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ちょっと所要があって中野にでかけたのですが、用件が済んでさて軽く一杯ということになるわけですが、いつもなら気にもかけずむしろ気分を沸き立たせてくれたりもする中野の雑踏ー新宿とか渋谷のものではありません、あくまでも中野程度の雑踏ーに、この夕暮れ時は邪魔臭く、不快に感じられて、自然と人混みを避けるように足は新井薬師方面に向かっていたのでした。こちらの商店街は夜が更けてくると人通りも疎らになり、男でも若干の不安を感じる位ですが、そうは言ってもまだ空は赤らんでおり、それなりに買い物を楽しむ人たちが往来しています。より静けさを求めて路地を覗きこみながら歩いていると、ちょうど良い塩梅で、主人らしき人が暖簾を出している路地裏の店に出会えました。というのは真っ赤な嘘というわけではありませんが、出掛けに西武新宿線沿いを散歩して昼間から目をつけていたんですね。 「神女(かなめ)」というお店でした。カウンターに5席程度の狭いお店ですが、奥にはカラオケ付きの宴会用の座敷もありました。しばらくぼくと主人は互いに無言のままで、様子を探り合うように対峙していたのてすが、辛いの大丈夫かと主人から切り出してこられます。お通しにキムチをいただけるようです。そんなどうでもいいような一言がきっかけとなって堰を切ったように語ることになりました。カウンターが斜めっていて、手洗いらしき溝があるので寿司屋だったのかとお尋ねすると、この店は36年目になり、その前は寿司屋さんだったとのこと。内装は古びてはいるものの手が込んでいて良いですねと褒めてみると、こういう場合のお決まりのお返事、いやあ古いだけですよとのご回答。眺めているだけで惚れ惚れしてしまうほどなんですけどね。昨夜も初めてというお客さんが来られて、どうやら息子さんのところに泊めてもらうようですよ、近頃古いお店を好きな方が増えているようですね、とこちらの趣味をまんまと見抜かれてしまいました。それほど肴の品数もなくて手の混んだ品も少なそうですがこの雰囲気があればそれでもう十分です。ところでうっかり失念しておりましたが、帰宅後ネットで調べてみたところこちら酒場放浪記で放映されていたようです。 そうそうそういえば、中井駅を歩いていたらこんな酒場を見掛けました。神田川にへばりつくように建つバラックに赤提灯がぶら下がっていて、ついたまらず橋を越えて向こう河岸に行って確認してきたのですが、営業の有無は不明でした。いずれトライしてみたいなあ。
2015/04/29
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中野の町とはしばらく決別していました。決別なんて大層な言い回しを用いるのは照れ臭いのですがもう当分は訪れることもないとひところ思ったものです。どうしてそんな心境になってしまったか、それを振り返ってみるとどうしてそんな瑣末な事柄に頓着していたのか我が事ながら無駄な意地を張っていたものだと、中野の大好きな酒場の何軒かにも久しく足を向けなかったことが悔やまれるのでした。先般自宅から行き先を決めもせず闇雲に歩いていたらいつの間にか中野に辿り着いていて、なんの抵抗もなく町に溶け込めたように感じられたのは運の良いことでした。ところがその際入った酒場は好ましくないというよりハッキリと不快だったのは、中野の懐の深さも知らぬのに見限った態度を取った己への罰のような気がしたものです。どうでもいい個人的なことをいつまでも書いていても詮無きこと。とにかくまたしても中野にやって来ました。今回はきっといい酒場と出会えるはずとの根拠のない予感があります。 早速お邪魔することに決めたのは、「酒道場」でした。以前からその存在は知っていて、いかにもぼく好みの枯れた雰囲気のあるお店でしたが、今となっては立ち寄らなかったその理由を思い出すことは困難ですが、閉店してしまう前に入れたことをひとまず喜ぶことにします。第一印象そのままのカウンターのみ高齢のお母さん一人でやっているお店でした。ゆで卵で腹ごしらえされているところだったようです。お通しはたっぷりの大根煮、鯖のアラが出汁に深みを出しています。でも女将さんの食べかけのゆで卵が無性に美味しそうで、つい頂所望してしまいました。醤油を垂らすのが私は好きとおっしゃるので試してみたらこれはなかなか酒に合う。創業45年で、お母さんも70歳になられたそうです。都内で生まれ群馬に疎開、沼田の奥の当時は何時間もかけて歩かねばならぬような土地で育ったそうです。カウンターだけの居酒屋はつねに客の目を見ながら調理をしないといけない、常に五感を尖らせているという訳ねとなかなかに含蓄のあることを仰る。日本酒は両関だけ、一度も浮気していない、焼酎はあれこれあるけどね。店内に飾られる天狗の神様は真っ黒に染まっていて、こっそり飾られたなまはげもまた歴史を物語るかのように黒ずんでいます。力さん(「第二力酒蔵」)を始め、「らんまん」、「路傍」、「赤ちょうちん」なとの老舗酒場について語ってくれて、とりわけ長い歴史を持つ「ブリック」にはリスペクトを隠すことはありませんでした。常連はみな鬼籍に入られたけれど、近頃は若い人がよくみえて、ついこの間は中野探検隊とかいうグループが古い酒場を求めて訪ねてこられたそうです。お勘定は正直かなり乱暴ですが、お母さんとの語らうためにもいずれまちお邪魔したいものです。 次なる酒場は一転して今風でありつつも、きっぱりとした立ち呑み店の魅力を湛えた「立ち呑み酒場 魚屋よ蔵」です。店を入るとすぐに冷蔵庫があって自己申告で刺し身なんかをいただくスタイルで、都内では近頃になってチェーンの食堂でよく見かけるようになりましたが、幼少期を関西で過ごしたぼくにとっては一膳飯屋を思い出させてくれます。肴は全品280円、川の字のカウンターとシンプルなのが好ましい。奥にいる客は落ち着きなく行ったり来たり、入り口そばには常連用のボトルキープのための棚があります。立ち呑みでキープできるのは珍しい。キープしてでも通いたなるだけの魅力があるということなのでしょう。でもそんなにウロウロするなら入口付近に陣取ればいいのに。そんなことも思わぬではないですが、確かに良い店です。中野はまだまだ探訪せねばならぬようです。
2015/03/23
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知人と中野で会う約束があったので、久しぶりに中野にやって来ました。中野は来てみればやはりいいなあということになるのてすが、嫌いじゃないくせに中央線沿線を避ける傾向にあるのは、若者たちの町という偏見があるからかもしれません。実際は若者に混じってオッサン、オバちゃんも町を我が物顔に闊歩しているのは知ってるんですけど。さて、約束の待ち合わせまでしばらく時間があります。朝から何も食べていない昼下がり、さすがに空腹を感じたのでいくつもの呑み屋小路が交錯する魅惑の中野駅東口を散策してみますがここぞという店を見つけることができません。いっその事、あまり好きではない昼呑みと洒落込もうと酒場目線に転じてみれば早くも多くの酒場が開店しています。 そんな一軒が「鳥やす」でした。これは高田馬場の有名酒場の支店ではなかろうかと、店構えは新しくさほど気に入ったわけではないものの、それでもいそいそとのれん掻き分け入ってみると、手前はカウンター、奥にテーブル席と建物の造りから必然的にこうせざるを得なかったのでしょうが、なかなかいいムードであります。入るやいなや店の若い店員から間もなくラストオーダーですとの告知あり。変なタイミングで中休みするものだと、まあ軽く呑んで次に移れば良いでしょう。やはりお馴染みの大根おろしにうずらの卵、このお約束を見て支店であることは間違いないと確信したのでした。まあそれを確認したところでぼくはどうも「鳥やす」に苦手意識があるようですんなりと楽しめません。そして客も引いて安心したからなのか、店員たちのだらしなさが目立つのです。応対も調理も悪いわけではありませんが、私語で飛び交う単語のえげつなさがどうにも気になって仕方がない。ソフトなところでは、ジジイとかババアとかの接客業としてはあるまじき言葉がかわされているのを聞くのはけして気分のいいものではありません。いくらかがっかりした気分になって店を後にします。 次なる目当ての酒場があったものの開店にはまだ間があるようで、もう一軒新し目の酒場に立ち寄ってみることにしたのでした。「やきとん あさちゃん 中野店」というオープンなお店でいかにも今風な正直つまんないお店です。やけにもたもたした勘定をする酒場ズレせぬトロいお兄ちゃんの振る舞いに苛立ちながらなんとかカウンターに落ち着きます。店頭で眺めたお得なセットとやらをすかさずオーダー。ところが注文したセットのもつ焼は30分経っても届けられる気配はなく、こうなったら時間もあるし、やっておきたいこともあると開き直った気分になり、むしろせいせいした気分になるのでした。でも呑み終えたあとに出されてはかなわぬなという気持ちになりーここでこれ以上お金を落とす気になれないですからー、きっかり40分後には席を立ったのでした。詫びこそあるもののむしろ従業員への叱責に終始するあたりなんとも残念だと思わずにもおられないのでした。
2015/03/04
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もろもろの事情で報告できていなかった居酒屋巡りの記録について,師走も迫っていますので年を越さぬよう急ピッチで大放出したいと思います。訪問してから随分日が経っている酒場も多いので記憶も不鮮明な店も多いのですが,そこは酔っぱらいの書くことなので,もとより怪しいものと割り切ってご覧ください。 はじめに中野から。「酒屋がやってる立ち呑み屋 四代目 鎌倉酒店 中野店」は駅南口の呑み屋街のど真ん中にあります。中野にあることは以前から知っていましたが,訪問は支店の江古田店の後になってしまいました。江古田店の立飲み屋としてはかなりオオバコでしかも焼酎の甕がずらり並んでいて,本格的な量り売りの酒場としてそれはそれで立派かと思ったのですが,こちら中野の店舗はより大衆的な立ち飲み店の雰囲気を保っていて,ぼくには中野店の方が居心地良かったです。吉田類のサインが飾ってありましたが,ぼくもたまに目にすることのある女性誌の取材で訪れたのでしょうか。品書:生中:380,前割り焼酎:280,焼鳥:100,炭焼大判鶏もも:380,肉豆腐:380,塩さば焼:280
2013/12/20
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最近めっきり中野方面に足を向けることが多くなっていますが、今回は中央線でも存在感の薄い東中野駅で呑むことにしました。東中野の思い出はめっきり映画にまつわることばかりになります。線路沿いには「ポレポレ東中野」が上映される機会の少ない珍しい作品を今でも精力的に上映しており映画ファンにとっては頼もしい存在です。かつてはシネマシオンというホールともいえないような狭い一室で古典的な映画やアート系の作品などを16ミリで上映していました。いつしかシネマシオンは荻窪に場所を移し、館名も「アールコリン」に変えて上映を続けていましたがいつしかシティロードやぴあにも掲載されなくなりました。ここで繰り返しかけられていたフィルムは今はどうしているのでしょうか。両誌もすでに休刊して久しくなりました。そんなこともあって東中野には滅多に足を延ばすことはありませんでしたが、喫茶店巡りで「喫茶 ルーブル」と「ジャックと豆の木」という二軒のすてきな喫茶店に出逢うことでにわかに興味深い場所となりました。映画館と駅との往復に終始していた東中野にもムーンロードなる飲み屋街が細々と営業を続けているのを知って俄然、夜も訪れねばなるまいという気分を掻き立てられたのでした。 そういったわけでやってきた東中野駅。何度となく通っているはずの駅からすぐの、それこそ「ポレポレ東中野」に行くときには必ず通らざるを得ないところにこんなすごい酒場があったなんて、いかに人の意識というものが興味の対象以外には働かないかを認識させられました。「木炭焼き 丸小」は存在こそ知っていましたが、営業している時間帯に通過することはまれだったので、さらに印象に残りにくかったのかもしれません。到着した時には店の奥から店頭まで30名以上の客たちがずらり並んでもつ焼を歯で手繰っています。軒先のスペースが空いたのでなんとかもぐりこませていただきました。目の前の焼台ではご主人らしき方が客たちの旺盛な食欲を満たすため、もうもうと沸き立つ煙にさらされて「うぎぃいい、うほぉおお」なんて感じで激しくあえいでいて、思わず笑ってしまいそうになるわけですが、あまりに懸命な姿なので笑うに笑えずひたすら酒ともつ焼に神経を集中させることになります。品書はビールと日本酒、もつ焼にお新香だけという潔いまでにシンプルなもので主人のおたけびをBGMにがしがしともつ焼を食い、酒を呷るように開けて早々に店を出たのでした。短い時間でしたが酒場の原点とも言えるような店になんとも満足したのでした。それにしても奥に入り込んでいる客は店が仕舞われるまで身動きできない感じでしたがトイレとか大丈夫なんでしょうか。品書:ビール(大:500,小:350),酒:260,もつ焼:70or80,お新香:100 さて、お楽しみのムーンロードに向かうことにします。古びたゲートには昭和な町と書かれています。常に自らを左翼であると自認する友人は元号などもってのほかとしてもっぱら西暦を用いているくせにこと昭和に関してだけは自らに甘く、いやあどこそこの町並みは昭和が残ってるなあなんて言ってみたりするのはなんだか違和感を感じて、ぼくは昭和ななんとかって表現はしないよう心掛けています。そういうこともあってこのゲートの昭和な町っていうのはちょっと気に入らないなあなんて思ったのですが、それはともかくとしてムーンロードを一巡りしてみました。まあ過大な期待はしていませんでしたが、思った以上にこじんまりとしており、やめてしまった酒場や新しく代替わりしたような酒場が多く、古くからやっている酒場は少ないように思われました。そんな中でいかにも昔からやっていると思われる店に入ってみることにしました。 「大衆割烹 みや」です。扉を開けると思った以上に広いお店でした。大きく2つの空間に分けられていてもともとはふたつの建物だったのをくっつけたような造りになっています。手前の空間はカウンター席もありますが、客は一組二名だけでがらがらだったので奥の空間のテーブル席に案内されました。高齢のご主人とその奥さん(?)、やはりもしかしたら70代かもしれない従業員の方3名で客の数と一緒で大丈夫かいなといささか心配になります。年季が入ってすっかり黒ずんだ店内はきれいとは言えないまでもけして不潔な感じはせずただもう懐かしい気分にさせられます。地方都市を旅していて、駅からちょっと離れたビジネスホテルなんかに泊まった夜にふらりとほど近い酒場に入ったときの感じによく似ています。東中野という新宿から至近の場所でまさか旅情を感じられるとは思ってもみませんでした。酒も肴も安くて、味はやはり昔の居酒屋を思わせて、けしてうまいとかそういうものではありませんがなんだかホッとしました。また懐かしさを求めて訪れることになりそうです。品書:ビール大:440,サワー/酒(菊正宗・両関・白鶴):270,酒(新政):290
2013/05/18
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先日、新中野で呑んだばかりですが勢いでこの日は中野坂上に行ってみることにしました。ここにも最近所用で昼間に訪れていますが、アーケード商店街なんかもある新中野と比べると新宿に近いせいもあって巨大なビルばかりが目立ってあまり面白い町という印象はありませんが、一軒散策の途中で見掛けた居酒屋が気になっているので向かってみることにしました。甲州街道から住宅街に入り込んだところにあった記憶だけを頼りにひたすらうろうろしましが、一向に見つからず随分迷った末にようやくお目当ての居酒屋を見つけることができました。わずか1本曲がる道を間違っただけなのに随分歩かされることになりました。「居酒屋 大宝城」です。うっすらと店内から明かりが漏れています。開店準備中でしょうか。ちょっと不安になります。ご主人らしき人が厨房にいるので声を掛けてみると今晩はお休みですと断られてしまいました。新中野同様巡り合わせが悪かったようです。がっかりです。 マークしていたお店に振られてしまいました。さてどうしようか。と歩いているとなかなか立派な酒屋さんがあります。「藤小西」という酒屋さんです。かなり広い店舗で店内を覗き込むと奥の方に女性が数名、ワインを呑んでいます。試飲のサービスでもしてるのかなとふと覗き込むと、いやいやとんでもない。酒屋に併設されているにしてはかなり本格的なパブスペースが備えられていて、これはもう角打ちというよりは完全に独立したワインバーの体裁です。酒屋の屋号に引っ掛けて「スタンディングバー プチ・コニシ(Petit Konishi)」というシャレた屋号を付けています。立飲みスタイルのワインバーでかなり本格的なつまみも用意されています。女性の二人組はリゾットなんかを召し上がっているようです。角打ち気分で入ったのでいささか場違いな気分になりつつもとりあえずはお勧めのワインをいただいてみることにしました。若いスタッフの一人が立飲みとは思えぬ上品なワイングラスに赤ワインを注いでくれました。これがおいしくて一杯だけで退散するつもりがついついお替りしてしまいました。帰り際にこのワインの銘柄をメモしてほしいと伝えたら快く応じてくれたのはうれしかったです。 甲州街道を渡って酒場探しをしているとほどなく路地のちょっと入ったところに赤提灯が見えました。早速お邪魔することにしました。「立呑や じゃんだら」というお店のようです。立呑みとありますが、椅子があって先客はお一人だけでした。かなり出来上がっているようでうとうとしながらハッと目覚めては酒を注文しています。寡黙なご主人はいつものことなのか特に気にする風もなく淡々と仕事をされています。カウンターのみ7,8名も入れば一杯といった狭いお店で馴染になればなかなか居心地濃さそうです。最近でこそ時折見かけるようになりましたが、ここでは静岡おでんを食べることができます。本場ほどではないものの1個100円でかなり大振りのタネを出してもらえるので財布が心配ならおでんだけでも十分満足できるほどです。帰宅してから調べてみたらどうやらここは以前インド女性が「カレー居酒屋 やるき」という店を構えていたようで、店は成功して移転されたようです。そういえばいつかテレビでそんな店が紹介されていたのを見たことがあるような気がします。もしこの近所に移転されたのならいずれはそちらへもお邪魔してみたいと思います。
2013/05/09
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さて、そろそろお目当てのお店に向かってみることにします。駅からすぐの路地にある焼鳥屋「焼鳥 乙女」です。ようやく夜の帳も降り始める頃でちょうどよい頃合になりました。ガラス張りの引き戸からはぼんやり明りが灯っています。念願かなっていそいそ向かうと扉にはなんと当分の間お休みさせていただきますとの張り紙が。なんとも無念なことです。なんとも思わせぶりな屋号についてお聞きしたかったのに。人の気配があるので今後のご予定など伺いたかったのですがなんだか無理にお聞きする気分になれず次なる店に向かいます。「いなご」に向かいましたが,それらしい看板は見つけられません。恐らくここだと目星をつけた店は,看板が摩りガラス越しに見えていますが店名までは確認できません。いずれにせよここが「いなご」だとしても少なくともこの夜はお休みだったようです。 なんだかうろうろするのにも飽きてきたので駅そばの飲み屋街をなしている一角の一軒に立ち寄ることにします。「平田屋 新中野店」というお店。新中野店とあるのでチェーンなのでしょうか(後日中野坂上に同じ屋号の店を見かけたので,恐らく中野区を中心にチェーン展開しているのだと思われます)。全面がガラス引き戸になっている最近よく見かけるタイプの開放的な造りで,入りやすいというメリットはありますが,扉を開けるときのドキドキ感がないのがこうした店舗の物足りなさです。串揚げもサイズも味もよくて,他の肴類も豊富かつ安い。しかも若い二人だけで懸命に店を切り盛りしているのはあっぱれで,文句をいうべき店ではないのですが,店の個性といったものがほとんど感じられないのが残念でした。 最後に「うなぎ居酒屋 かさはら」に向かうことにしました。ここも以前通りかかって気になっていたお店です。地下にある店舗っていうのはまさしく後戻りできないという意味で入るまで若干の緊張を強いられます。下り階段の手前にはこの時間帯はサワーやらが割引価格で呑めると張り出されているのでこれを信じることにします。うなぎ居酒屋というのも気になるところではあります。とまあぶつぶつと迷いながらも扉を開けて店内へ。地下でうなぎ屋なので思い切り汚れていて,歩くと地面に靴が張り付いてぺったぺったしてるんじゃないかと訝っていたのですが,まったくそんなことはなくてむしろ奇麗過ぎるくらいでやや拍子抜け。玉子焼などのお通しでお得なサワーをいただきます。感じのいいご主人はこの時間はサワーなんかも安いのでお勧めですよと言ってくれて,こちらはへえ,そうなんだあなんてとぼけて答えるのもいつものこと。うなぎ屋なのでやはりうなぎ串は欠かせないでしょう。こちらも割安感がありました。たまたま置いてあった『酒のほそ道 第9巻』をひとり呑みつつ眺めていたらその1篇が偶然にも「地下の店」というお話でした。まんがではスナック風の店内の見えないいかにも入りにくいお店が舞台となっていましたが、ここ「かさはら」はぜんぜんおっかなくない気軽ないいお店でした。
2013/04/30
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先日新中野駅方面に散歩に行った際、この界隈にもなかなか寂れた感じのよさそうなオンボロ酒場を数軒見掛けたのでこれはぜひ改めて出直さねばと思っていた矢先、「吉田類の酒場放浪記」や「ハシゴマン」で新中野が舞台となってしまいました。太田和彦や吉田類の番組なんかもそうなんですが、この人たちの訪れた店に番組放映後に間をおかずに行ったりするとなんだか追っかけしてるみたいでかっこ悪いので極力避けていたのですが(もちろんこれらの情報は参考にはさせてもらっていますけど)、折よくこちらに出張の予定が入ったので仕事を終えると早速向かうことにしました。 新中野駅周辺は都心の住宅街になっているせいか、店の開店時間がどこも18時位のようです。駅そばの飲み屋街もまだシャッターが閉じられています。やむを得ず時間つぶしにぶらぶらしていると「常蔵」という木造の内装の新しいお店のようですが、なかなかうまく酒場感を演出しているお店が開店していたので入ってみることにしました。狭いながらも荷物置きなどが工夫されていていて快適に呑むことができそうです。まだ時間が早いこともあって客はぼくひとりだけ。店主は若くて気さくなお兄さん。はじめてですかの言葉にたまたま通りかかったらやってたんでちょっと寄らせてもらいましたと答えると、ずっとさぼっていてちょうど1週間前に再開したとのこと。ふと思いついて中野駅のそばにもありませんかとお訊ねすると、やはりそのとおりらしくけっこう手広くやっているようです。軽くあぶったレバーにネギをこんもり乗せたものをいただきましたが、レバーの臭みなどまるでなくうまかったなあ。そうこうしていると同業のお兄さんがやってきて、四谷荒木町の居酒屋のお話などを始めたので、しばらく聞き耳を立てていましたが、いずれも値の張るお店の話題だったのでほどなくお暇しました。 もう新中野は捨てて中野坂上に移動しようかと思い、甲州街道をとぼとぼ歩いていたら酒屋さんがあって、それがどうやら角打ちをしているようです。店の奥でおっさん数人がじっとしている姿が見えます。店内に入り、カウンターのような場所でおっさん二人とおねえさんが酒を呑んでいるので、椅子に腰掛けスマホをいじってるお兄さんに、ここって店で呑んでいいのと聞くと大丈夫との答えなので早速冷蔵庫から適当に缶のウーロンハイを引っ張り出して清算します。ごちゃごちゃっとしたカウンターの空きスペースに陣取り呑み始めます。目の前には大きな液晶テレビが置かれ、おっさんとおねえさんはそれに見入っていて一言も発しません。韓国ドラマのようです。漫然と眺めながらウーロンハイを呑みます。誰も肴を摘まんでいる様子がないのでこちらもなんとなく韓国ドラマを眺めながらだらだらと酒を呑みます。なんだかやる気のない店だなあ。でも今の酒屋さんはいろいろ工夫して頑張ってるけど、もともと酒屋さんって配達は別にするとだらだらした印象があったもんな、なんて思いながらだらしなく時間を潰したのでした。あっ、すっかり忘れていましたがこちらは王道の屋号をもつ「越後屋酒店」でした。
2013/04/29
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この日は喫茶店巡りの一環として新高円寺を訪れました。丸ノ内線の新宿より先って、滅多に乗ることもないし(酔っ払って乗り越してしまうことが多い)、荻窪まで乗り通すという使い方ばかりで、ほとんど下車したことがありませんでした。中央線の各駅からもさほど遠くないのでわざわざ丸ノ内線を利用しないということです。なので、青梅街道から南側はあまり歩いたこともなく新鮮な散歩を楽しむことができました。ほぼ住宅街ですが、ぽつぽつと商店もあって散策には案外向いているようです。 そんな駅のそばにあるのが「やしろ食堂」です。以前、高円寺駅の北側の店舗に行ったことがありますが、まだ呑めそうな店は中華店以外は営業していないので、とりあえず入ってみることにしました。店はカウンターとテーブル席、カウンターの丸椅子、テーブル席の背もたれともに緑色のビニール張りのパイプいすというのがいかにも食堂といった風情で安っぽくていいですね。食堂らしく肴のメニューも充実、しかも安い。酒はさすがに種類が少ないですが、ビールに酒にウーロンハイがあれば文句はありません。重宝で使い勝手のいい店でした。 夕方になったので、「やきとり 屯」を覗いてみることにします。「酒場放浪記」でも紹介されていて、あまり強い印象は残ってないのですが、実物を目にするとなかなか趣があります。外席も魅力ですが、カウンターを背にした壁面の狭いカウンターがこれまた孤独な飲み客にはうれしい造りとなっています。天井からぶら下がる徳利やらお銚子もなんてことのない飾りではありますが楽しいものです。店主自慢の数々の変わり種の串や「女学生の友」などの下ネタ系肴など値段はそこそこですが、楽しませてくれます。 この日は新高円寺駅、東高円寺駅、新中野駅や方南町視線の中野新橋駅などをぶらつきましたが思いがけない場所にアーケード商店街があったり、渋い居酒屋、飲み屋なんかもあったりして、今度は夜に訪れることにしましょう。ちなみに喫茶店では「純喫茶 エイト」や「COFFEE & SNACK ミロン」(先日訪れると夕方頃にテレビ朝日が取材に来るとひとりで切り盛りするおばあちゃんがおっしゃってました。ブラマヨが来るんだよとのこと)など渋いお店もありました。
2012/10/12
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中野区は、23区の西部にあり、住宅地としての印象の強い区です。そのためか道路整備が遅れておりごちゃごちゃした独特の街並みとなっているようです。鉄道が多く通ってはいますが、中心となるのは、JR中央線の東中野・中野と中野西武新宿線の新井薬師前駅・沼袋駅・野方駅・都立家政駅・鷺ノ宮駅でしょうか。23区東部でも同じことが言えますが、南北の行き来の不便で、路線バスが生活の足として使われているようです。中野というと陸軍中野学校で知られるスパイ養成所や刑務所があった場所ですが、そんな過去がなかったかのように住宅が街を占めています。 西武新宿線は酒場マニアには定評があるようですが、ぼくにはまだまだ枯れていない酒場が多くてさほど魅力的には思えません。なかでは古い路地の残る沼袋が好みです。東中野もきれいなお店が多くついつい敬遠してしまい、名店揃いの中野に足が向きがちです。中野 北国 井伏鱒二をはじめ多くの著名な常連をもつ昭和32年創業の老舗酒場。小さな一軒家を見ると懐かしい気分になります。店内もこじんまりとして落ち着いており、はじめてひとりで訪れた際にも女将さんとそのお手伝いの姪御さんに加えて、常連さんたちがいろいろと構ってくれてほんわかとした気分に浸らせてもらいました。中野 第二力酒蔵 昭和37年創業の魚系のつまみが自慢の大衆酒蔵。歴史はあるもののお店自体はきれいだし、かなりのオオバコなので敬遠していたのですが、さすが有名店だけあって実力を感じました。ちょっとお高めですが。ところで三鷹の「第六力酒蔵」、上板橋の「第七力酒蔵」を目にしたことがありますが、関連があるのでしょうね。他店は残っているのでしょうか。中野 うなぎ串焼 川二郎 うなぎ串焼の有名店で昭和43年創業。開店後あっという間に一杯になるだけあって、さすがにおいしい串を出してくれます。鰻料理の店を酒場として使うのはさみしい小遣い制を強いられる勤め人にとっては困難なものです。しかしたまには鰻を食べたいと思ったときに串焼屋は強い味方となります。新宿思い出横丁の「カブト」や自由が丘の「ほさか」などが知られていますが、都内に多く開業する「うな鐵」なども比較的お手軽です。中野 らんまん 大正11年に店を構えたという魚料理が自慢の居酒屋さん。店の佇まいも料理も非常に上品で、たまにはこういう洗練されたお店で盃を傾けるというのもいいものです。なかなか自腹では行けないですけど。中野 ブリック 中野店 昭和39年創業のサントリーバー。店の前に立つとドアマンが扉を開いてくれるんですね。店内装飾も程良く調和がとれていて実に居心地がいい。驚くほどに安いハイボールも丁寧に作ってくれてうれしくなります。中野店は肴もお手頃なので腹ぺこの人でも大丈夫なのが心強い。中野 泡 駅前ロータリーからすぐの路地にひっそりと店を構える「泡」はさまざまなウイスキーでハイボールを提供してもらえます。店のお兄さんが落ち着いたしぐさで丹精込めて作ってくれるハイボールは確かにおいしい。沼袋 大衆酒場 萬両 沼袋駅前の飲み屋横丁から入ってすぐの「萬両」は、年季が入っているという言い方を越えてそうとうくたびれていますが、それがまた酒場らしい酒場といった風で実にうれしい。とりわけ売りはなさそうですが、この酒場情緒だけで十分酒はうまく感じられます。沼袋 ホルモン 「萬両」を進むと見えてくるのが「ホルモン」。実にそっけない屋号です。ほったて小屋のような店の中は長いコの字カウンターが備えられ典型的な大衆酒場の風貌です。種類豊富なホルモンも魅力的ですが、燗付器などの小道具を眺めているだけで時間を忘れて過ごすことができます。沼袋 鳥まさ さらに進むと目に入るのがこちら。4人掛けの卓と5席程のカウンターのみの小さな焼鳥屋。頑固そうなオヤジさんがやってるお店です。煤けた薄暗い店内で送る時間は非常に濃密に感じられます。
2011/12/07
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中野区は、23区の西部にあり、住宅地としての印象の強い区です。そのためか道路整備が遅れておりごちゃごちゃした独特の街並みとなっているようです。鉄道が多く通ってはいますが、中心となるのは、JR中央線の東中野・中野と中野西武新宿線の新井薬師前駅・沼袋駅・野方駅・都立家政駅・鷺ノ宮駅でしょうか。23区東部でも同じことが言えますが、南北の行き来の不便で、路線バスが生活の足として使われているようです。中野というと陸軍中野学校で知られるスパイ養成所や刑務所があった場所ですが、そんな過去がなかったかのように住宅が街を占めています。 西武新宿線は酒場マニアには定評があるようですが、ぼくにはまだまだ枯れていない酒場が多くてさほど魅力的には思えません。なかでは古い路地の残る沼袋が好みです。東中野もきれいなお店が多くついつい敬遠してしまい、名店揃いの中野に足が向きがちです。中野 北国 井伏鱒二をはじめ多くの著名な常連をもつ昭和32年創業の老舗酒場。小さな一軒家を見ると懐かしい気分になります。店内もこじんまりとして落ち着いており、はじめてひとりで訪れた際にも女将さんとそのお手伝いの姪御さんに加えて、常連さんたちがいろいろと構ってくれてほんわかとした気分に浸らせてもらいました。中野 第二力酒蔵 昭和37年創業の魚系のつまみが自慢の大衆酒蔵。歴史はあるもののお店自体はきれいだし、かなりのオオバコなので敬遠していたのですが、さすが有名店だけあって実力を感じました。ちょっとお高めですが。ところで三鷹の「第六力酒蔵」、上板橋の「第七力酒蔵」を目にしたことがありますが、関連があるのでしょうね。他店は残っているのでしょうか。中野 うなぎ串焼 川二郎 うなぎ串焼の有名店で昭和43年創業。開店後あっという間に一杯になるだけあって、さすがにおいしい串を出してくれます。鰻料理の店を酒場として使うのはさみしい小遣い制を強いられる勤め人にとっては困難なものです。しかしたまには鰻を食べたいと思ったときに串焼屋は強い味方となります。新宿思い出横丁の「カブト」や自由が丘の「ほさか」などが知られていますが、都内に多く開業する「うな鐵」なども比較的お手軽です。中野 らんまん 大正11年に店を構えたという魚料理が自慢の居酒屋さん。店の佇まいも料理も非常に上品で、たまにはこういう洗練されたお店で盃を傾けるというのもいいものです。なかなか自腹では行けないですけど。中野 ブリック 中野店 昭和39年創業のサントリーバー。店の前に立つとドアマンが扉を開いてくれるんですね。店内装飾も程良く調和がとれていて実に居心地がいい。驚くほどに安いハイボールも丁寧に作ってくれてうれしくなります。中野店は肴もお手頃なので腹ぺこの人でも大丈夫なのが心強い。中野 泡 駅前ロータリーからすぐの路地にひっそりと店を構える「泡」はさまざまなウイスキーでハイボールを提供してもらえます。店のお兄さんが落ち着いたしぐさで丹精込めて作ってくれるハイボールは確かにおいしい。沼袋 大衆酒場 萬両 沼袋駅前の飲み屋横丁から入ってすぐの「萬両」は、年季が入っているという言い方を越えてそうとうくたびれていますが、それがまた酒場らしい酒場といった風で実にうれしい。とりわけ売りはなさそうですが、この酒場情緒だけで十分酒はうまく感じられます。沼袋 ホルモン 「萬両」を進むと見えてくるのが「ホルモン」。実にそっけない屋号です。ほったて小屋のような店の中は長いコの字カウンターが備えられ典型的な大衆酒場の風貌です。種類豊富なホルモンも魅力的ですが、燗付器などの小道具を眺めているだけで時間を忘れて過ごすことができます。沼袋 鳥まさ さらに進むと目に入るのがこちら。4人掛けの卓と5席程のカウンターのみの小さな焼鳥屋。頑固そうなオヤジさんがやってるお店です。煤けた薄暗い店内で送る時間は非常に濃密に感じられます。
2011/12/06
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