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3回に亘ってお送りしてまいりました東武練馬駅至近にある北町楽天地の酒場巡りもひとまずはこれにてひと段落です。こうした呑み屋街に来るとどうしても最古参の酒場に立ち寄りたくなるものです。当然、前回お邪魔した立ち呑み屋の「のんべぇ」ですでに聞き込みを済ませています。ってそうするまでもなく以下のサイトで事前調査しておけば苦も無く知り得たんですけどね。https://dailyportalz.jp/kiji/171212201439 酒場で聞く話など話半分程度に思っておいた方がよいことはもう何度となく身をもって経験しているのでうかうか鵜呑みにすることはできません。まあ、ネットの情報に頼ることなく自身で聞き出してこそ価値があるなどと主張するつもりは毛頭ありませんが、情報を確固たるものとして補強するためにも知れることは聞き出しておきたいものです。ぼくが聞いた話と突き合わせるとほぼ合致するみたいだからそれなりの蓋然性を持ち合わせる情報のようです。 向かったのは「小料理 夕子」です。小料理屋という割には一般にイメージされる和風の店構えとは違って、いかにもスナックでございという外観であるけれど、先の立ち吞みで行ってらっしゃいと見送られた手前、その程度の障害は乗り越えなくてはならないのです。店内も見るからにスナックでスナック風でありながら居抜きであるが故のスナック風ではなくて小料理の名からは程遠いあくまでも正統派のスナックなのでした。高齢の女性が店の奥で熱心に新聞に見入っています。ぼくが席に着いても気付かないようなので声を掛けると緩慢な動作でこちらに視線を向けられます。何にしますという問い掛けにチューハイを頼むと、のっそりと立ち上がりカウンターの向こうに移動します。しばらくしてあれえ、焼酎切れてるねわね。じゃあ別の酒でも構わないと告げてもお酒何もないわねえ、困ったわねえ。お隣で借りてこようかしらなどと仰るのだ。酒場で酒類が一切ないという経験はさすがに初めてのことだと思います。でもどこから出てきたのか、あったあったと見せられたのはどこぞやのコンビに仕様のワンカップの焼酎だったのだ。ウーロン割りができるというので努めて快い風でそれでお願いと応じます。肴も何もなくってゴメンなさいねねどと言われるけれどそれはまあそれで構いはしない。と書いたけれどそのすぐ後にそうそう××さん(通りのどこかの酒場)からおかず頂いたんだはとちくキューとかを出してくれました。ふう、ようやく呑めそうです。ワンカップの半量はなくなったからせいぜいゆっくり呑ませていただこう。そしたらママさん、読んでいた聖教新聞を何枚かばらして渡してくれます。読んでだって。だったらまあ4コマ漫画のバリバリ君でも眺めようかなと紙面をめくると見たことのないのが掲載されています。いつの間にか連載が変わっていたのですね。ママさんにバリバリ君終わったんだね、をきっかけにお喋りに花が咲きます。この横丁が戦後に池袋にできた闇市の解体によって生まれたことやかつて池袋で居酒屋勤めしていたママさんが1980年代後半にここに流れ着いたことなど、上記サイトの記載と同じような話をお聞きしました。こういう昔話を聞くのって古い酒場のお楽しみの最たるものですね。やがて常連さんが来られます。酒がないといってもちっとも驚いた風もないのが愉快なのです。2杯目を呑み終えて居座るのもねえ。お勘定はきっかり600円だったかなあ。店を出ると辺りはすっかり暗くなっていて、立ち吞み屋はお客さんで一杯になっていました。さっきたくさんお喋りしてくれた若い女性はまだ呑みの真っ最中、楽しかったと一言告げておっさんは一人東武東上線の改札を通るのでした。
2022/08/03
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どうでもいいことですけど、以下のサイトにはとても重宝しています。Yahoo Japan! 地図https://map.yahoo.co.jp/ なんのことはない、お馴染みの地図サイトの一つでありますが、このサイトの強味は、住所なり施設名で検索するとその結果として以下みたいな感じで表示してくれるんですね。近隣の駅上板橋駅(東武鉄道)-12分氷川台駅(東京メトロ有楽町線)-17分東武練馬駅(東武鉄道)-19分 えっ、そんなことは周知の事実ではないか。そう言われちゃうと身も蓋もない訳でありまして、誰だってありとあらゆる情報を知っているわけじゃないし、もしかすると知らない人だっているかもしれないのだから役立つ情報は多くの人にとって既知のものだって共有して損はないんじゃない、などとおっさんが一人芝居の挙句にむくれてみせても気色悪いだけなのでした。まあ、メジャーな地図サイトだからああそうなんだろうなあと思うしかないんだけれど、もし知らぬ方がおられるようならぜひお役立てください。なんて他所の宣伝なんかをするのもどうかと思うけれど、興の向くままに彷徨い歩いて迷子になった場合や酔っ払って多少の電車賃も辞さないという気分になった場合に使えるんじゃないか。なんていうことでアプリをダウンロードしてみたらアプリ版には最寄り駅表示はされないのね。調べてみると最寄り駅サーチなるアプリがありますね。こちらの方が良くできてました。これでバス停も表示されると凄いんですけどね。って本筋からどんどん逸れていきますが、ともかくこの日はちょうど上記の検索結果にあるような場所で道に迷ってしまった訳なのです。川越街道を目にしているから困り果てるって程でもないけれど、住宅街の只中にあってしかも豪雨に見舞われたからさあ大変。地図アプリを開くとどうも近くに町中華があるようだ。ってなわけでダメもとで訪れてみました。 やったあ、やってる。「中華料理 ほそ川」です。確かに昼夜の通し営業であるとアプリ上では表示されたけれどそんなものはちっともアテになどならぬのです。といったところで文章を書くのが面倒になって、写真を張り付けていたんだけど、あらら入店前には雨は降ってなかったのね。記憶が混濁しているようだけれどまあそれは個人的な問題でしかありません。でも呑んでいたら急激に表が暗くなって豪雨となったのは間違いないのです。昼下がりの夕立と呼ぶには少し早い時間帯にこうしてゆっくりと自由に時間を過ごせることの何たる贅沢なことよ。先客もおられまして長く通われているセールスの女性らしくて仕事の合間にようやく立ち寄ることができたなんて仰ってましたね。次のお得意先に向かうからと飛沫が激しく跳ね上げる中猛然と店を去ってゆかれました。一方でわれわれは優雅にホッピーを頂いたりしておるのです。肴はお通しの冷奴に美味しい餃子、そして超お得な揚げ物のセットなんていう僥倖。よくぞここ数年の難局を乗り切ってくれたことよと思うのだけれど、実のところはこういう駅外れの店はさほどの支障もなく粛々と日々をやり過ごして来られたのかもしれません。高齢の主人は調理に出前にてんやわんやですが、その娘さんなんでしょうかね、彼女はのんびりした様子で配膳などを担当されているようですが、実際には調理は分担されているのかもしれないですね。だとしたらコチラも当分は安泰と思いたいけれど先のことばかりはさすがに誰にも分からないですね。
2022/07/27
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鉄は熱いうちに打てなんていうことわざがあります。要は加工できるよう熱した鉄を鍛えるように人もやる気だったり意欲が充実しているうちに自らを磨くべしっていったことを意味しているのだと思うけれど、鉄は熱いうちの方が柔軟性が働くのかもしれないけれど、人間ってのは熱いうちは兎角考え方が硬直しがちだから一定程度の冷却期間を置くのが良いと思うのです。人のみならずある種の動物も興奮状態では目が三角になるというから3次元ユークリッド空間的には安定しているのかもしれないけれど、その安定こそが施行の硬直化をもたらすのではないだろうか。なんてことを酔っ払いつつ書いていましたが、自ら記しておきながらどうしてこんなことを書いてしまったのかよくは思い出せないのでした。ともあれ、無理やりに話を繋げることにしますがつい先達て間に東武練馬の北町楽天地を訪れた興奮は早くも冷却状態に移行しつつあるのでした。先に自身で書いた接を採るならば今こそ冷静になってこの横丁を賛美すべきところですが、何らかの知見を獲得を企図していないこの文章にあっては、熱量の高いうちにその興奮や感動を率直に述べておくべきであったと今となっては思われるのであります。がまあ、ここまで書いた以上は放棄するのもいささかもったいなく思えるので続けることにします。デイリーポータルZ 「小さな飲み屋街「北町楽天地」を確かめにいく」https://dailyportalz.jp/kiji/171212201439 さて、上記ではこの呑み屋街について、その成り立ちや歴史的な立ち位置などは全くお構いなしに好き勝手に盛り上がっていてこれはこれで潔いのでありますが、実際にぼくがあれこれ述べるよりは余程ここの実像を反映できているのです。しかしまあぼくにもこの楽天地における2軒目にお邪魔した「立呑 のんべぇ」について記録に留めておきたいことがあるのです。上記サイトではこの立ち呑み店の主人は男性ですが、ぼくがお邪魔した際には女性の方がお一人で店の全てをこなしておられました。最初はとっつきにくい印象だったのですが、時間が経つにつれ口調こそちょっとキツメではありましたが、あれこれと周辺の酒場の情報などを教えてくれるのでした。酒も肴も立ち呑み価格で標準的よりややお高めではありますが、一風変わったというかひと工夫された肴が魅力に思えました。といっても今でははっきりとこういうメニューだったとお示しするだけの材料はないのですけどね。ぼくが入るとすぐに数名いたお客さんがお帰りになります。この方たちが口明けの常連さんなんでしょうか。地元の主婦の方たちだったような。夕飯の買い出しに来られて支度前に軽く立ち寄っているって感じだったかな。こういのっていいよなあ。入れ替わるように若くかわいらしい女性客がお一人で入ってこられました。某立ち呑み店で常連たちと告白し合ったところ、こうした一般に入りにくそうに思える酒場に独りで来ている女性客は、みな素知らぬふりをして見せてはいるけれど、その実、非常に関心を寄せていることをご承知おき頂きたいのだ。これはぼく独りの感想ではなくすべからく総意なのだからある程度の注目を浴びることは致し方ないと割り切っていただきたいのです。と書きながらこの酒場ではむしろぼくが圧倒的にアウェーなのでありますが、おっさん一人はほとんど無視される場合が多いのではなかろうか。しかし、この素敵な女性は孤独に酒を嗜むぼくなんかに構ってくれるのだから、嬉しいではないか。ここで調子に乗って浮かれたりしなくなったのがせめてもの年の功であります。引き際も潔くあるべきです。店主に伺うと2軒先の酒場が最古参であるとのこと。思ったよりずっと最近になって始めた店のようなのだけれど、そんなことなど構わないのだ。お二人が優しく行ってらっしゃいとお見送り頂けるからついつい気も大きくなるのでした。
2022/07/25
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己のうっかりぶりには、今更ながらほとほと呆れ返るしかないのです。でも、東武練馬という町の時代錯誤、時の停滞レベルは大都会東京のそれとは隔世の感を覚える程の高さにあるようです。お陰様で東武練馬にはぼくのうっかりぶりすら気にも留めぬおっとりとした時間が経過するのみに感じられるのです。ってもったいぶった書きっぷりですが、端的には東武練馬ではほとんど時の流れが停滞してしまっているように思えるということなのです。これが少しもおちょくったり馬鹿にしている発言でないことは、このブログをご覧になられる賢兄賢姉には断るまでもないはずです。土地の歴史の堆積が直に肌で感じられるような気がするのが感動的なほどなのです。理屈でいうとかつて海の底だったり人が生き暮らすことが困難な土地を別にすれば日本国中にはほぼ等しく歴史の積み重ねがあるのが道理でありまして、それが幾たびの壊滅だったり変貌を経ていたとしてもそこには確かに過去から連綿と歴史が堆積しているはずです。だからなおのことどうして東武練馬ばかりが濃密な歴史の気配を留めているのだろうか。しかしまあ、お隣の下赤塚や上板橋も若干ライトな風味ではあるけれど、同室の匂いを感じさせる町であります。町を活性化したり破壊したりするのは鉄道会社などの大資本にあるとすれば東武鉄道の財力では町を変貌させるだけの底力はなかったということだろうか。ってまあそんなのは取り敢えず置いておくこととして、まずは東武練馬に呑みに行こう。というわけで久し振りの東武練馬ですが、ここを訪れたのには理由があるのです。その理由はすぐに判明するのですが、駅前からもうすでにカオスな様相を呈しているように感じられるのです。行きかう人々は都心一等地のそれとは多少違っているけれど、基本的には東上線の起点である池袋の雑踏に見られるそれとさほど違ってはいないから、今を生きる人々と町自体が乖離しているように思えるのです。うねった路地を進むとおやおや未だに喫茶店の「ボタン」は営為営業中のようです。この付近に果たして求める呑み屋街があるのだろうか。あっても不思議ではないけれど、ネットでかつて見たあの郷愁すら感じられぬまでに寂れた呑み屋街は残存するのだろうか。 なんのことはない。「ボタン」から10歩と進まぬうちに北町楽天地は姿を現したのでした。しかもコロナ禍などどこ吹く風といった風情でいかにもな現役店が立ち並んでいるのです。いかにボロで崩壊しかかっていても現役かどうかというのは一目見て大体わかってしまうものです。感慨もそこそこにとりあえず最奥にある「Food Bar TAMAGOYA」に向かいました。カウンターに5席の実のいかにもチョンの間的な構えのお店です。やはりというべきか2階も客席があるようですが、かつては多くの男女が秘め事に耽ったことは疑うべきもないのです。この日は雨天だったので、最初のドリンク一杯は無料サービスという大盤振る舞い。若い店主はレモンサワーひとつにも丁寧に作ってくれます。お通しは半熟の煮卵と白出汁のおでんです。どちらも簡単な料理ですが丁寧な仕事が感じられてなかなか良いのです。お聞きしなかったけれど、この若い店主は闇市めいたこの呑み屋街で店をしたくて仕方なかったのだということがひしひしと伝わってきます。お客さんが入れ替わり立ち替わりで訪れ親しく言葉を交わします。皆さんこのお店が大好きみたいです。こちらもつい酒が進んでしまいます。2杯目は100円引きだって。雨天はお得ってのもあるけれど、この小路には雨がよく似合います。なんなら豪雨であってほしいと願う程です。開け放たれた戸の先の屋外をぼんやり眺めるだけでいつまでだって呑んでいたくなるのです。でもまあこちらは人気店のようで2階席にもお二人上って行かれました(ちなみに女性2名)。雰囲気に酔ったのか同行者は早くもリタイア。駅まで見送ることになりました。ぼくは取って返してあと2軒訪れることになるのでした。つづきはまたいずれ。
2022/06/20
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おかめ 埼玉県新座市栄5-10-5大善 東京都練馬区大泉学園町7-11-22おそば つかもと 東京都練馬区大泉町6-25キッチン 美好 東京都練馬区石神井台2-8-5大助うどん 東京都練馬区西大泉3-27-23稲迺家 東京都練馬区東大泉2-21-6やま清 東京都練馬区南大泉5-2-3
2021/04/27
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日曜日に予告したとおり、恒例の「今すぐ呑みに行きたい酒場」の特別篇として大泉学園のアップしたいと思います。この一文のみで写真を貼っちゃえれば気楽でいいのですが、リップサービスということでもないけれど、少し位は前口上を述べておきたいと思うのです。そうは言ったけれど、書きたいことなどさしてあるわけでもなく、以下にピックアップした酒場やら飲食店の印象を述べるに留めたいのです。ざっと一瞥頂いただけでも、いずれの物件もかなり古びているという事に異議を唱える方はそう多くはないと思います。現代の都心からは今まさに消え失せようとしている物件が未だに現役でいられるのも、地方から上京して社会人としてのスタートを切り始めた多くの若者たち―その中には若きマンガ家たちも少なくないはずです―が、古い物件に対し郷愁の念を掻き立てられたということもあったかと思うのです。1924(大正13)年から開発が始められた学園都市構想は実現しなかったけれど、名は体を表すの言葉もあるとおり、学園都市らしい各地から集まった若者たちにとっても暮らしよい町に住民たち自身が育てていったように思うのです。確かに老後にこの町で過ごすのは案外いいのかもしれないなあ。
2021/04/20
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先頃、有楽町線の千川駅のそばにある「まちのパーラー」でパンを購入。持ち帰って食べてみたらこれがまあ旨いのなんのって、すっかりその魅力に参ってしまったのです。パン通と高らかに宣言する程にはパンに対する情熱も知識もないけれど、それでも有名どころのパン屋が百貨店の催事とかで販売されていたらつい手を出してしまうし、旅行とか散歩とかの途中でかちっとも有名でないけれど渋いと思うパン屋があればやはり買い求めてしまう程度にはパン好きなのです。といっても基本的に朝食を取らぬから、出勤前にトーストを齧ってなんてことはまずなくて、喫茶巡りでモーニング攻勢を受けた場合に時折食べる程度なのです。で、江古田に「まちのパーラー」を持ち出したのだからまた千川に行くべきだろうというのがまっとうなご意見でありますが、住民の方がお読みになっているといけないので先にフォローしておきますが、これから千川のことを少しだけ悪く書くのでお目こぼし願いたいのです。つまり言いたいのは千川という町は散策しても少しも楽しくないということなのです。じゃあ、江古田が楽しいかと言われると実はそれほど楽しいわけじゃないのです。というかかつてはなかなか味があって面白かったんだけどなあという感想になるのですが、どこがどうダメになったかはあえて語らぬのであります。でもそれでも千川よりは歩いていて面白いから、江古田にある「まちのパーラー」―の本店というのかな―に当たる「パーラー江古田」にずいぶん久しぶりにお邪魔することにしたのでした。って、このブログは酒場巡り(たまに喫茶巡り)のブログだったはずなのに、最近やけにパン屋とかカレー屋が登場するなあとお思いかとも訝られる方もいらっしゃるでしょうが、その辺は緩めに見守ってください。案外、酒場好きはカレー好きであるらしいからたまには目先を変えているのだな程度に理解してください。で、感想はといえばやはりさすがの旨さであったと述べるにとどめるのであります。 さて、駅北側から踏切越しの眺める南側はなかなか風情があります。踏切を渡るとすぐに呑み屋通りが3筋程伸びていて、近寄ると案外チェーンっぽい風貌であるけれど興醒めしてはならぬのであります。個別の酒場と周囲の風景とは別物なのは分かっています。でも普段のぼくであれば「やきとん きん魚」のようなお店は選択肢に加えていないような気がするのです。ではどうしてこの夜に限って普段なら妥協と考えるようなお店を甘んじて受け入れたのでありましょうか。その理由ははきりしていて、一つには重大なミッションを終えたことによる高揚と達成感を可及的速やかに慰労してあげたいという気分に浸ったからであり、二つには美味しいけれど結構な値の張るパンを購入した以上は消費できる金銭が限られている以上はどこかでバランスを取らざるを得ないということなのだ。つまり換言すれば、このお店は手早く呑めて値段も手ごろということを意味するのであります。それだけ書いてしまえばこの居酒屋のコンセプトも何もかもすべてが伝わったであろうと思うのだ。何らの描写もなしに結論に至るのも不甲斐ないけれど近頃なんだか慌ただしくてだらだらと書いている間がないから早々に切り上げることにします。悪くはない。安くて迅速という重要な要素はクリアしているからです。ただし、この界隈が学生街であることを思えば学生たちが喧しいとか、店の連中もそんな学生たちによるバイトが多いのか余り応対ができていないか、その辺を重視する方は注意が必要であります。
2019/09/06
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新桜台駅は、西武有楽町線の駅です。これがまあ利用者でなければよく分からぬ路線であろうと思うのです。ぼくもなんとなくしか分からぬから、恐縮ですが詳細はウィキペディアなどで個別にお調べ頂きたいところではあります。分からぬと繰り返し語ってはいるけれど、立地としては西武池袋線の江古田駅や桜台駅からも近いから特段困りはしないのです。というか都内なら珍しくもないけれど、他社路線の各駅が接続していれば便利なのに中途半端な距離を置いている場合があります。秋津駅や新秋津駅のように駅間の商店街がその振興を維持するために敢えて遠隔地とした場合なら乗継のかったるさなど不満はあれど―酒場好きはお陰様で楽しませてもらっているけれど―、理解出来なくはないのです。だけれどもより都心に近いこの桜台界隈でこれは不便極まりないのです。しかも有楽町線とはいえ同じ西武鉄道も絡んでいるらしいから話はややこしい。まあ、きっと大人の事情とかがあったりして一筋縄ではいかぬこともあったのだろうというのは察せられます。 さて、江古田駅と新桜台駅を接続するように伸びている―やはり秋津と似たような事情もあるのか?―商店街に「鳥信」はありました。通りすがりにはテイクアウト専門のお店かと思われますが、奥まったところに飲食できそうな構えの戸がありました。それがいかにもぼく好みの枯れた様子だったのでもちろんお邪魔することにしたのです。が、それにしたってここの存在にこれまで気付けなかったのは我ながら不注意な事、甚だしいのですがこれを語り出すといつもの愚痴に横着するしかない。むしろ江古田、いや新桜台などという散々歩き知悉したと思っていた土地に見知らぬ物件と遭遇できた己の散漫な注意力に喝采を上げておけばいいのです。さて、店内もいいなあ。ウッディな天井の高い内観は、どこかしら田舎の祖父母の家を思い出させもするのですが、実際には似ても似つかぬ事も分かってはいるのです。かつて酒も呑めなかったけれど、そんな時代に訪れた様なそんな幼い頃の偽りの記憶がそっと去来し、しんみりした気持ちになるのです。旅先の小さな町のなんでもない酒場に迷い込んだかのような気分になるのてす。店主のみの他に誰も居ない、そして贅沢なくらいに広い空間を独占させてもらうという贅沢を偶然にも味わえるとは全く僥倖の極みです。しかも肴が凄い旨いかと言うと疑問符を持たれる方もあるかもしれぬけれど、とにかく肉の量が立派なのです。もう若くはないから肉が多ければ嬉しいなんてことはないのだけれど、味付けの濃い肉料理は少しあれば酒を進ませるに十分な肴となるのです。だから仮にゴーヤチャンプルーを頼む場合も苦瓜よりはずっと肉の量が多いことを織り込んで頼むのがよさそうです。うっかり焼物を頼みすぎるのも注意が必要です。ニンニクたっぷりタレがしっかり絡んだ肉は憎々しいくらいに肉らしくて、これの2、3本もあれば中ジョッキ生なら5杯、清酒ならちっちゃいの5本はいけそうです。抜群のムードとお手ごろさ、まだまだこの界隈には未知なる酒場が身を潜めていそうです。
2019/08/28
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江古田という町には少しも思い入れはありません。映画は好きだったから―多分今でも未練はある―映画を大学の課程に取り入れたという意味で、日芸にも最低限のシンパシーは感じるけれど、映画作りを志す者の大概が映画にさして興味がないらしいのですね。日芸の映画学科出身の知人が何人かいるのですが、本当に映画が好きで好きで仕方がないというのは一人しか知らぬのです。ほとんどが功名心とか立身出世とかいうチンケな野心を満たさんがために映画を志すものだから上手くいきようもないのです。とにかく浴びんばかりに映画漬けの暗い青春を通り抜けた者だけが映画を志して欲しいのです。押井守という人はそういう時代を経てきた方らしい。黒沢清や青山真治、塩田明彦などの立教大学出身の蓮実重彦門下生たちもそうなのだろう。しかしまあ映画の教養がこれっぱかしもない奴が映画監督を標榜し、その果てトンデモない傑作など作ったりする事もあるのだから映画とは不思議なものであります。と話しはいくらでも脱線するのだけれど云いたいのはこの町にはぼくの知る限りにおいて映画館がないのだ。映画館のない、いや今それが無いことをとやかく述べても虚しいだけです。せめてぼくの生きてきた時間に映画館があった、そんな場所で映画を志す人はそれを学んでもらいたいのであります。今や映画の門外漢がとやかく言うのも下品ですし、何より長くなりそうなので、ぼちぼち本題に入ります。 まずはさほどそそられぬ「やきとり 鳥笑」にお邪魔することにしました。お邪魔した理由は早い時間から営業しているという一事があったからに過ぎません。だからということではないけれど、余り語るべきことはないのです。基本的にはテイクアウトを主力としたお店のようで、それなりの広さのある厨房スペースに比べて、立ち呑みコーナーはかなりの狭さです。貧乏性のせいか狭いのって基本的に好きでありますが、それは独りの場合に限られます。定年後に独り身だったとしたら四畳半のワンルームマンション―なんだったら三畳でも構わない―に住みたいとすら思うのです。それでも2口コンロ付のキッチンに風呂・トイレ、洗濯機の設置場所は必須、狭くてもいいから人が生活できる最低限の設備は欲しいのであります。ドラえもんの秘密道具にでんでんハウスというのがあったけれど、あれには憧れたなあ。でもこの立ち呑みでは独りという訳にはいかなかったのです。3人組のおっさんが関西弁でけたたましく騒ぎ立てるものだからいたたまれないのだ。でも立ち呑みはそれが嫌ならさっと呑んで食ってで勘定さえ済ませればいいのだからその点は楽ちんであります。ちなみに焼鳥はなんか変わり種をいただいたけれどまるで記憶にないのでありました。 続いては、またもや「立ち飲み居酒屋 ドラム缶 江古田店」であります。「ドラム缶」もわざわざ目立たぬかつてのマーケット裏に店を出すのだから、ホントに場末主義が徹底しているなあ。まだ他にお客さんもなくて、店の片隅でやけに楽しげに独り遊びしているのは店主の息子さんらしい。こういう独りで遊べる子供たちがきっと将来も独りで呑み歩くようになるのだろうなあ。店主は高円寺だったかな、まあ本当はそっちで店を出したかったのだけれど、結局は江古田に落ち着いた辺り、この立ち呑み屋に相応しい落ち着きどころだったのだろうなあ、なんて茶化していたのだけれど、暖簾分けを宣伝するチラシを眺めると、 株式会社ドラムカンパニー所在地 〒100-0011東京都千代田区内幸町1-1-1帝国ホテルタワー15階 なんて記されているではないか。今、HPを眺めてみると大阪や神戸は分かるけれど、松山や岐阜にまで暖簾分けのエリアが拡大しているとは驚きであります。そうなるとどこかの立呑みチェーン同様に町をダメにする存在となりかねぬという懸念が膨らむのです。しかも場末に店を出していて、そこが均一的な町並みになっていくと思うとぞっとするのであります。でもまあパンの耳のチーズ掛けなんていうジャンクさの権化のような商品が出されている限りは温かく見守っていきたいと思うのであります。今思うと、このパン耳にどうしてカレーを添えなかったのか残念な気持ちになります。それを肴に呑むまでは壮健であられんことを祈らずにおれぬのです。
2018/11/08
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何だかんだ抜かしてるくせして結局、酒場放浪記の事は嫌いじゃないのだろうな。という歪んだ愛情をぼくが抱いていることなど、容易に見抜かれている事と思うのです。特にこの所の放映で登場する酒場には、愚かにも見逃していたものが多くて、つい数カ月前までは放映してしまったばかりに足を運ばざるを得なくなり、そして後悔を重ねてしまったのです。何も命令しちゃいないし、テメエが勝手に行ったんだから責任など持てないと言われればそれまでだけれど、でも番組で紹介するからには先乗りしてたスタッフがそれなりに良いと思った店を流すのが、マスコミ人の最低限の礼儀ではなかろうか。どんなに贔屓目にしてもそうはとても思えぬ店が多いのはどうしたものだろう。そして稀に取り上げられる酒場が実際にはとんでもなくぼく好みのボロで暗い店だったとしても映像として見ると明るくくてやけにキレイに見えたりするのはいかがなものだろか。汚い店を嫌う人には堪らない試練ともなり得るのではないか。逆にぼくだと大いなる誤算と喝采をあげるだろけれど、場合によっては時既に遅しということにもなりかねぬ。だから、テレビのスタッフは至急、汚かったりボロかったりする画の撮り方を研究すべきであります。映画作家では例えばジョン・ウォーターズなんて人のように、仮にグロテスクだったりおぞましかったり、それを目にすれば否応もなく生理的に嫌悪を懐かざるを得ないモノを愚直に描くのだってありだろう。人はもはやキレイなだけのモノには飽き飽きしているはずなのです。 だからといって江古田の「仲屋」が汚かったかといあとそんなことは少しもないからご安心あれ。実に良い加減に褪色して煤け走った店内は大変に心地良いのであります。店に入った時点ではまだ開店準備真っ只中というご様子で、店のお二方は父子なんでしょうか、言葉を交わさずともアイコンタクトで何やらコミュニケーションが交わせているようです。大体声に出さぬやり取りというのは、客に聞かれたくないような事に違いなかろうから、普通なら嫌な気持ちになるものだけれど、この方たちにはそんな気配は感じられぬのです。あくまでも仕事を円滑にするための目配せというのは一流アスリートのものと一緒なのです。いやまあそれはいかにも大袈裟でありますが、テキパキと仕事をこなしつつもぼくのオーダーした秋刀魚塩焼を用意して、バッチリの焼き加減で出してくれるのだから大したものです。まだ静かな店内は雰囲気もろとも自分だけの居場所なようで誠に贅沢な気分に浸れるのです。ひと段落ついた若い主人がようやくホッと一息という感じで、柔和な笑みを浮かべて語りかけてくれます。そのタイミングを見透かしたかのように常連らしきおぢさんが入って来られました。さすが、常連さんは分かってらっしゃるようです。店主と客との阿吽の呼吸とでもいえるようなシチュエーションです。特別ではないけれど、しかし初めての店だけれど帰ってきたなあという気分にさせてくれる良いお店でした。
2018/10/13
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そうそう、桜台ではまだ報告しそびれていた酒場があったのでした。西武池袋線に飽きたと語ってみせた手前、いずれ折を見てお忍びで江古田辺りに出向いて数軒をハシゴして、瞬発的にこれだけの酒場を回ったのだから飽きたとしてもやむを得ぬだろうというお墨付きを頂くつもりだったので、これはこれで有り難いのであります。しかし、それにしても早くも記憶が遠く彼方へと逃げ去った、いやどちらかといえば海中深くに沈み落ちてしまったというのが親しい気もするけれど、まあそんな私的な感じ方はこの際どうでもいいのであります。しかし有り難いことに店名が記憶を引き寄せる縁になってくれそうな気がします。 なんと言っても店名が「かわ焼き まいける 桜台店」だから、それだけでかわ焼きを提供してくれるのは明らかです。このかわ焼きなるシロモノ、知らなければどうにも予測を付けかねるのです。かわ焼きというから恐らくは何某かの「かわ」を焼いたものであるのでしょうが、まさか鶏皮を焼いただけの品を看板に掲げることもあるまい。ところがどっこい、そのまさかなのであります。ぼくはケンミンSHOWでその存在を知ったばかりだったので、それがまさに鶏皮そのものであるし、鶏皮を串に巻いて焼いたものでしかない事も分かっていたのです。では何故にそのような何でもないかわ焼きなるものに惹かれたのか。それはこのかわ焼きというのが、数日を掛けてじんわり焼きを入れて脂がスッカリと抜けるまでパリパリにするというのであります。ちょっとばかり勘違いしているかもしれぬし、博多名物といえど店ごとに少しづつの違いはあるだろうから一概にはできぬけれど、まあ概ねそんなものであります。串に巻きつけるという作業もそんなことをせずとも、皮を重しを掛けてフライパンででも焼いて、時折油をふいてやれば似たようなものになるんじゃないかと思うのだけれど、それじゃだめなのだと博多っ子には叱られてしまうことだろう。これまで書くのを控えていたけれどぼくは鶏皮が凄い好きなのだ。チキンソテーなんかを誰かと一緒に食すると皮が駄目って人がかなりの割合で存在するのであります。そんな時はすかさず取り上げることにしています。何なら身の方をお返ししてもいいくらいであるのです。ケンタッキーのフライドチキンも同様、というかむしろ皮だけでも良いくらいなのです。だけれど後で決まって胸焼けに苛まれるのであります。だからじわじわと徹底的に脂を落としてくれるのは有り難いことなのだ。で実食してみたその感想を述べる事にします。塩味が圧倒的に足りていなくて、物足りないこと甚だしかったのであります。油の抜けきった肉類に味気がないのは悲しいことでありました。という事でいささか残念な結果に終始したのですが、長くなったのでこれで締めくくるのです。
2018/03/31
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西武池袋線沿線を改めて巡る事を今年の初めに誓ったばかりというのに、早くもそれには飽きてしまいました。近頃は、気になっていたけれど本来は食事の店なので遠慮して敬遠して来たお店を訪ね歩いていてそれが楽しくてならないのです。しかし当然に食事の量も増してしまうのであって、腹回りの事を常に気に掛けねばならぬという窮地にも追い込まれているのです。いやいや、今更太ってますます見苦しくなったからといって動じたりしている訳もないのです。無論、呑んでも食っても痩せている人を羨むという、凡庸な願望も持ち合わせている。しかし、それなど近頃よく言われることだけれど、少しくらいぽっちゃりしていた方が長生きするという素敵な研究成果の後ろ盾さえあれば無視を決め込む理由になります。なのでこれは、まだ食事系のお店を巡る日々が日課となる前の話なので、かなり記憶は曖昧模糊たることをご了承いただきたいのです。 練馬駅の北側は物悲しい静かな商店街が幾筋かに伸びていて、しばらくぶりに散策することになったのは、単に地図の読めぬ男としての真価が発揮されたからに過ぎぬのでした。何度か行きつ戻りつするのも悪くないものだという言い訳を自らに向けるだけで済むのは助かるなあ。よく人にナビゲートを任せておきながら、お前はよく道に迷うやらあと五分と言っておきながらそれで到着した試しがないなどと喧しく罵る人のなんと多い事か。迷子になる余地のない散歩は老後の暇つぶしでしかないとぼくは思っています。季節の移ろいなどに思いを馳せながら時折立ち止まっては草木を愛でたりするような散策とはまだまだ無縁でありたいのです。ともあれ「じどりや 備長亭」に到着しました。それなりに枯れた感じのお店ではありますが、はっきり言っちゃうと外観だけで好きになってしまうといったグッとくるような彼具合では少しもなく、どちらかと言えば残念な枯れ方をしているように思えるのです。しかしまあ店内の席の配置がユニークであります。パッと思い浮かびはしないけれど、以前は違う業態のお店だったのではなかろうか。壁に向かい合って呑むというのは立呑みでは案外一般的であるけれど、こうした座れるお店ではあまり見られません。駅から遠からず、しかしわざわざ通うにはちょっと面倒だなっていう微妙な位置にこうした店は比較的出没するように思われます。無表情に仕事をこなしている女将さんは少々気難しそうだななんて失礼な観察を続けましたが、常連さんが来ると笑顔を浮かべられるので、一見のぼくをはじめとしたメンツに警戒していただけなのでしょう。焼鳥が売りなのでお任せをお願いしたところ、案に反してというと失礼だけれどなかなかに美味しい。品書きはいずれもお手頃でなるほど悪くないなあ。ここだけを目当てに来るにはちょいとばかり弱いけれど、何かのついでならまた来てもいいと思えました。
2018/03/28
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今年の狙い目とするつもりだった西武線沿線でありますが、早くも飽き気味。ですが、これを最後のつもり―この最後の言葉はほとんど意味なし―で訪れた桜台であるけれど、まあ駅前には多少の商店街があるけれど、5分ともたない程度の広さだから何度も訪れたいと思えはしないはずです。しかし、それでも来ちゃうのには理由があるのだ。であれば良かったのだけれど、そんな事はないのだった。諦め気分で町を彷徨うこと15分、たったそれだけと思われるかもしれぬけれど、職場からは自宅の最寄り駅をを通り越して来ているから我慢の限界も近いのです。酒場巡りをしているぼくと同じ趣味を待つ方は少なからずおられますが―こちらをご覧頂いておられる方にもそうした同士のみなさんが少なからずおられるのだと思います―、そうした方たちの報告など見ることがあるといつも感嘆の念を禁じ得ぬのです。端的に言うとそのマメさに驚嘆せざるを得ないのです。酒呑みとマメさというのは、概して相反するものであるはずなのに実にマメにあちこち出掛けられて―その移動の間、呑まず耐えているとすればその我慢強さも簡単に値する―、しかもそれを定期的に報告されている。人によってはリアルタイムで報告されている方もいるようです。 さて、それはさておく事として、桜台を散策した末に店名も判然とせぬ酒場に辿り着きました。辿り着いたと書くとさぞや駅から離れた場所にあるかのような誤解を与えてしまいかねませんが、実際には駅からはわずかに歩けば済むし、殊更に目立たぬ外観ということもないのです。というか、ぼくのような古いというかボロいとの境界線上にあるような建物をこの上ないご馳走と感じるタイプの人であれば見過ごさぬのは当然として、見逃すこともまず持ってないであろう超ステキ物件なのであります。「八重垣」という店名は、後から常連さんに伺って知り得ましたが、外見にはそれらしき標榜は見て取れません。いや、どこかしらに痕跡があるのかもしれぬけれど、すぐにも突入したくて仕方のないぼくには、そのような些事にかかずらわる猶予など残されておりはせぬのです。その怠惰により、二度と再訪が叶わなくなったという経験を何度もしている事をこの時ばかりは忘れてしまうのです。さて、店は角地にあるため道の両側から入れるようになっていて、どちらが表なのかはどうも判然とせぬところだけれど中で繋がっていて同じカウンター席も結ばれているから構うことはありません。どち側が常連席という区別があるわけでもないようだし、これから行かれる方はどちらからでも迷わず突入なさればよろしい。先客は、3、4名だったか。皆さん顔見知りでありますが、闖入者に対して気にする方もおらぬのが気が楽であります。数こそ少ないが魅力的な肴があるなあ。蓮根と豚肉の炒め物をもらいました。まさに蓮根と豚肉をちゃちゃっと炒めて塩、胡椒にほんの少し醤油を利かせて、もしかすると秘密の調味料も少し混入しているのか。これが素朴な料理ともいえぬ品なのに実にいいのた。蓮根はキンピラや煮付、せいぜい天ぷらにしてしまいがちだけれど、こうして醤油の風味を抜いてしまっても抜群に旨い食材なのです。じゃがいもなんかと同様に洋風、中華何にでも混入させればよいと思うのです。シャクシャクした食感は酒も進ませます。味とは別な食感のもたらすリズムが酒を呑むペースを決めるメトロノームのような役目を果たしているのかも。テレビからは演歌が流れていて、その曲のタイトルが常連さんの話題に上っています。知ったかぶりはカッコ悪いけれど、すっかり気分を良くしたぼくは知ったかぶりをして輪に加えていただくのでした。
2018/03/13
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この年明けはどうしたものか近頃足の向かなかった西武池袋線にちょくちょく出向いています。池袋駅を起点とする鉄道であれば西武池袋線よりもずっと東武東上線が好みなのであります。だから呑みに行く時は東武東上線を利用する事が多いのでないか。似たように練馬であっても練馬駅よりはずっと東武練馬駅が好きなのでありますが、なぜか東武練馬駅よりは西武の練馬駅を利用する事が多い気がします。それはきっと西武の練馬駅は快速や準急に乗れば1駅目というのが気持ち的に楽にさしてくれるようです。物理的な距離以上に感覚的な距離は人の心理に多大な影響を与えるのであります。それはともあれ、あまり乗り気になれぬ練馬駅界隈にもまだ知らぬ酒場は多いのであります。これから向かうのはもとよりネット等で知っていた店を訪問するということでますます義務的になるのでありますが、いずれ呑み始めたらどう転がるか分かったものではない。とにかく練馬駅に向かうのであります。 まずやってきたのは、「線香花火 練馬店」です。まっすぐに伸びたカウンターが差し向かいで2本の雰囲気は悪くないけれど、まだ新しいお店なので情緒と呼べるような風情はほとんど感じられぬのであります。まあそれはもとより分かっていたことだし、それをもって減点するのは早計に過ぎると思われます。店のお姉さんにまずは酒を注文するのでありますが、高いなあと思った酒はよくよく見ると2杯限定の梅割り150円とお手頃な品もありました。量はちょっぴりなのが残念ですけど。変わった串物が揃っていて、ぼくは焼きそば串とレタス串をいただいてみました。レタス串はシナシャキとした食感が微妙ではありますが、ぼくは嫌いではありません。遅れて出てきた焼きそば串はみっちり詰め込まれた焼そばをこぼさずに食べきるのは至難と思われますが、好みでありました。しかしまあ大抵の焼そばに豚肉が入っていることを考えると、あえて肉で巻く理由があるのかは疑問ではありますが、まあ旨ければそれでよいのであります。さて、客の多くが顔見知りの常連さんで占められていて、若干の敷居の高さが気になりますが、しかしまあそれさえ気にしないなら一軒目として悪くはないかな。 続いて向かったのは、「居酒屋 あきば」でした。思わせぶりな書きようをしましたが、予定通りの店に向かったのです。ここは以前何やらテレビで見たことがあるようです。それはともかく外観は古ぼけていて悪くなさそう。いそいそと店に入ると奥に向かってカウンター席があるばかりで結構狭いお店です。4、5名の先客がおられて皆さん顔見知りのようです。多少の疎外感はこうした店では覚悟しておいた方がいいのであります。入るとすぐ目に飛び込むのが世界各国のつくねがどうやら名物らしいということ。壁には大きな世界地図に各国が連想させる風味というか味わいを重ね合わせた創作つくねになります。ちょっと剽軽そうな店主からこの紙に書いてくださいと渡された紙に北極(激辛)、タイ(パクチー入り)、インド(スパイシー)、EU(チーズ入り)などと書き込むのですが、縦書きとあるので律儀に書き直させていただきました。じっくりと網で焼き上げたつくねは小振りでちょっとパサついていたけれどまあこんなものでしょうか。お酒は瓶の割物での注文がお勧めとのことですが、これはあまりお得感はありません。常連さんが一人また一人と勘定を済ませて帰途に着かれます。ちょっと便所を所望したところ、喧しいほどの張り紙がされていて、思わず脱力してしまうその文章にそれでもついうっかりくすりと笑ってしまうのであります。「あきば式…」なる電子書籍も販売しているようですので興味のある方はネットで検索してみられてはいかがでしょう。ぼくは見るつもりはありませんけど。
2018/02/17
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昨日、桜台駅そばの美味しいビストロ店について報告しましたけれど、その時は独りではなかったので、寄り道する自由はなかったのでした。そのビストロ店を探す際に少しばかり歩く事だけは許された訳でありますが、その際目に止まった何軒かにちょっとだけ関心が向きました。向いたけれどじっくり眺めるには至らなかったので、改めてこうして確認しに来たという次第なのです。なんて事を書くと桜台にはほとんど縁がなさそうな誤解を抱かれることになりかねぬので一応お断りしておくと、野方の有名人気もつ焼店の支店や阿佐ヶ谷や中村橋など都内西部に何軒かの系列店を擁する酒場好きならきっと御存じであろう店などがあるので、当然に訪れているのであります。しかし、それらは近隣の方であればちょくちょく通うことになるのでしょうが、わざわざ電車に乗ってまで訪れるかと問われれば甚だ疑問なのです。前者などは寒中ご苦労様なことに列をなしていたりして、これを見たらあえて来たいとは思えぬのであります。 という訳なのでガラガラに空いている「スタイリスアジアン」ならまあゆっくりすごせることでしょう。時々、空席ができたら連絡がもらえるサービスをしてくれるところがあるけど、行列店はそれ位の配慮をしてくれると有り難いのですけど、人出が足りぬなどいろいろと難しいことがあるんでしょうね。さて、カウンターの隅っこでゆったりと呑むことにするか、190円と安価のハイボールを注文します。すると店の外国人のお兄さんがダブル?とか言うのです。どういうこっちゃと聞き直すとダブルでいいかい?とやはり不毛なやり取りが続きます。気を使ってそれはひと時に2杯を頼まねばならないのかい?まあどちらにせよ2、3杯は確実に呑み干すから構わぬよというと満足気にほくそ笑むのであります。これは一体全体どういう表情なのだろう。さて、モモというのが品書きのホワイトボードに記されているので貰ってみることにしました。モモということは、不思議な笑みを浮かべる方はネパールの方なのだろうか。しかし待てど調理を始める様子が一向に見られぬである。10分経っても調理が開始されぬから、オーダーミスでもあったかと改めて注文を確認するけれど、大丈夫ねなんて仰る。そしておもむろに冷凍庫から見慣れた某メーカーの小龍包を湯にぶち込むのであった。ちょっぴり悲しくなってしまうのであります。まあそれは些細なことであるが、出されたのは20分を過ぎた頃であり、ハイボール2杯を呑み終えていました。これは余りに無法ではなかろうか。思わず語気を荒げてモモを茹でるのに20分も掛かるものなのかと詰問口調で尋ねてしまったのですが、相変わらず彼は薄ら笑いを浮かべて20分掛かるのよと悪びれないのでありました。う~ん、やはり思い返しても釈然とせぬなあ。 不機嫌な気分を引き摺ったままに「末広」にハシゴします。今の店とは目と鼻の先にある立呑み店です。ウーロンハイが150円とは非常に有り難いことです。店はかなりの入りで少し詰めてもらうことになりました。券売機もあるけれど伝票もあるという謎めいたシステムでその所以はよく分からぬ。さっき随分待たされたので、ここでも警戒してすぐ出そうな、パリパリチーズを頼んでみましたが、これって下手すると案外時間が掛かるかもしれないなあ。パンク音楽をこよなく愛するという店主は鼻歌交じりにしかし手際よく調理してくれるのでその心配は杞憂に終わりました。ほとんど喋らず愛想がいいとは言えない感じだけれど、迅速かつ丁寧な仕事をしてくれる人の方が下手に愛想だけのいい人よりよほどマシなのであります。両脇の客は桜台界隈の地元系酒場をSNSで発信している方たちのようで,どこかの集まりで顔を合わせたことがあるようでぼくを跨いで大いに盛り上がっている。場所を代わって差し上げるつもりがぼくも交じっての交流となり、愉快な気分になれたのでした。やはり入りのいい店というのは客もちゃんと見るんだなあと得心したのです。
2018/02/07
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昨年来、ビストロ呑みに嵌っている事は、日頃このブログをご覧くださっている方であれば断るまでもなくご存知かと思いますが、それは今のところ継続中であります。むしろ、まずそうはなさそうに思っていますが、たまたま検索サイトからこちらに誘導されてしまった方がいたとしたらそれは気の毒かもしれぬのでお断りしておくと、このブログはたまさかビストロなども登場することがあるけれど、それはあくまでも呑みに主眼を据えた、それもハレの日というよりは日常使いを中心とした庶民的な酒場での呑み歩きを報告するものであって、ビストロなんぞは月に一度も姿を現せばいい程度となるので、それでも構わぬ方のみご覧下さい。なんて、言ってみてはみたものの、料理名すらメモしてはいないから実用度は限りなく低いのでその点はご了解頂きたいのであります。それからもう一点、ぼくは極めて飽きっぽいのでこやゆるゆるとしたビストロ巡りも突如として終焉を迎える事も懸念されますがその点も併せてご承知置き願いたいのです。 この日は西武池袋線の桜台駅に出向きました。ビストロ呑みの最大の目当ては料理という事になるのでしょう。しかし、ここが肝心なポイントなのですが、ぼくは旨いものが好きではありますが、日頃呑みにとって肴は添え物でしかないといった妄言をほざいてみせる見栄っ張りな一面があるため、これまでも肴については旨いか不味いか、量が多いか少ないか、加えてお手頃かそうでないかといった主に3点のみについて語ってきただけなのです。つまりは、食事の感想にに費やすべき語彙が決定的に欠如しているのであります。でもビブグルマンなる庶民派ミシュラン的な位置付けらしいグルメガイドの常連とかいう「マルヤマ(Maruyama)」においてその食事を語らずに済ますことは困難が予想されるのであるけれど、すでにここまで長々と言葉を浪費したのだからこのまま放置するのも虚しいことであります。予約した7時少し前に桜台駅に到着。この予約を要するというのが苦手であります。その日食べたいものはその時決めたいのが人情であります。残り限られた食事は、その時食べたいものを食べたいのである。しかしそれを語りだすと切りがない。店は北出口を出てすぐにあるらしいけれど、ちょっと迷われてしまうかもしれません。商店街の通りに目が行きますが、そこを進むと無駄足になります。中庭のような一角の暗いビルの地下に店はあります。その秘密めいた雰囲気は悪くありません。地下へ下る階段は、ビストロというよりはラウンジのようなモダンでスマートな雰囲気で洒落てはいるけどどことなく隠微なムードもあります。場所柄ラウンジというよりはスナック寄りなのでしょうが、ともかく知らずに訪れて躊躇なく入れるという感じではありません。ガラス越しに店内が覗けるので、覗き込みさえできればそうたいした関門ではなさそうです。HPでは和室もあるようですが、店はシェフがお一人ですべてを熟しているので余程のことがなければ使われることはなさそう。小奇麗ではあるけれどいささか味気のない洋間に通されます。さて、アミューズのリエットはそれなりであったけれど、フォアグラ入りの肉のテリーヌと鯛のポワレはきっちりとした手順で作られているらしくて大変おいしかったのですが、この2品は努力と食材に奮発さえすればかなり近い味を自宅でも再現できそうでした。しかし、最後のお肉は追加料金が生じないからというだけの理由で牛イチボ?のグリーンペッパーソース添えというのをいただいたのですが、これは自宅では無理だ。ソースの複雑で繊細な味わいはもとより、肉への火の入れ方はしかるべき修行を積んだ者にしかなしえぬものと感服しきりだったのでした。何にしてもフランス料理店はそこらのイタリア料理店やインド料理店なんかが自宅でそれなりに再現できるのに対して、フランス料理というのは過程でやるとやはりどこまでも家庭料理であるなあという、それなりにフランス料理風ではあるけれどやはりもどき感が拭えぬという意味では、たまに外呑みならぬ外食をするにはもっとも適していると思うのであると、とりあえず言っておきます。そうそうデザート、いやデゼールのヌガーグラッセは大変好みでありました。
2018/01/31
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富士見台駅に先般訪れた際、何か忘れているような気がしました。数年前に西武池袋線の喫茶店を回った際に、駅前で昼間っから狭いけれどカウンターだけの席びっしりと埋まったおっさんたち皆が呑んだ暮れていたのを見かけたのは、確か富士見台駅ではなかったか。西武線の駅や駅前はよほど通い慣れていないとどこも似たような印象です。幸いにもPCにその時の写真が残っていて、見返してみたらやはり記憶に残る店は富士見台駅の駅前で間違いないようです。よしよしそれなら忘れぬうちに行っておこうじゃないか、それなら何でこないだ来た時に寄っておかなかったんだろう。電車賃ももったいないけれど、それ以上にこうしてもたついているうちに店仕舞いされたら目も当てられぬではないか。そんな行き違いは嫌になるくらい繰り返してきたが目先の楽しみを優先してしまう意志の弱さがぼくにはある。どのみち目先の楽しみを見送ったとすればそれはそれで必ずや新たな宿題というか遺恨を残すことになるだけなのだ。実際、前回久々に夜の富士見台を歩いてみると気掛かりな酒場を数軒見掛けています。そこにも行っておかねばなるまい。そうやって何度か通って己の好奇心を宥めすかすまで納得するまではこの煩悶は嫌も応もなく繰り返されるのです。 だからこの夜目指すべき店にはきっと直行すべきだったはずなのです。なんてったって食堂って事なのだから、いくら昼間にやっていたとしても、いやだからむしろ早めに店を閉めてしまってもなんの不思議もないのであります。それなのに何でまた商店街を歩きだしてしまうのだろう。前回も同じ道を歩いていて、ちょっと気になる店は駅から大分歩いたじゃないか。でも何となく思っていた店の手前になんだか良さそうな店がありました。今晩はここで呑み始めることにしようかな。「炉端焼 宮ちゃん」という看板が出ています。炉端焼ならそこそこ古参というのは定番です。今時分に炉端焼なんて流行ろうはずもないのだから。地下に下る階段を降りていくのはいつだってそれなりにドキドキするものです。まあそれ以上にワクワクが勝るから独りだって楽しくて仕方がない。店内はまさに炉端焼店そのものでありました。店主は若く見えるけれどかなり長いこと、ここで商売しているようです。しかしまあ店主も若いこともあり、お客さんたちも若い方が多いようです。しかし特筆したいのがここはなんでもお手頃なのであります。まあ炉端焼なんて焼くだけでいいんだから、これでボッタクられたら怒ってしまう。だけど今では干物酒場とか呼び名を変えて平気でぼったくるから油断ならない。そして何よりいいのがここではみんなが打ち解けた感じで、ぼくのような一見の客でもリラックスして呑めるのです。これは非常に貴重なことです。炉端焼は新橋とかそこら辺でおっちゃん相手にしみじみ呑むようなやり方が相応しいのだけれど、ここでは囲炉裏を囲む家族的な雰囲気があるのです。これは捨て難い楽しさです。寂しい夜に富士見台にいたならここを訪ねてみるのはいかがでしょうか。 なんて締めくくってしまうわけにはいかぬのであります。思いがけず心地良くて長居してしまいましたが、「大衆食堂 水野屋」に行かねばこうして再び足を運んだ意味がありません。いや意味はあるけれど、とにかく今宵はこここそが本筋です。ヤバいと思ったけれど良かった、まだやってました。あえてこういうタイムリミットとかの制限を設けておくと、店に入るときの迷いとか躊躇から解放されます。なんて言い草は体の良い自己欺瞞に過ぎぬのでありますが、酒呑みの常として己にはとことん甘いのです。ここを自分の家のダイニングと勘違いしているオヤジもいまして、ぼくに向かっていらっしゃいなんてしゃあしゃあと告げるのです。それに気にした風もない夫婦も夫婦であるが、この家庭的なというか緩さこそが長年掛けて築いてきたこの店の持ち味なのだろうし、財産なのでしょう。開店した頃は律儀で真っ当な駅前食堂、勤め人がその日のまたは翌日の活力のためにワシワシと飯を掻き込んで足早に立ち去って、すぐに布団に潜り込む。若かりし頃は将来に向けての夢もあっただろうし、可愛い奥さんとの短いながらも深い交流やかけがえのない幼子の成長を楽しみにしたかもしれぬ、そんな蜜月は長くは続かず帰宅前の仮初のアットホームさをやがて求めるようになり、そんな役割を自然と店の夫婦も演じ始め、今ではそれが真実と違わなくなってしまった、なんてことを想像するとこのお店のことが愛しく感じられるのです。肴にはロースハムなんてのを頼んでみたら、食堂であることを放棄したかのように大量のハムが半月にカットされただけでドンと目の前に置かれるのでした。レタスをちぎって、マヨネーズでも添えてあるとそれらしいのだけれど、ここではそんなわがままは無用な気がします。モクモクと口中の水分を奪い強い塩味を希釈するために目の前の焼酎の水割りをグイグイと干すのでありました。
2017/06/16
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いや、消して富士見台に来るのが初めてという訳じゃないのです。でもまあ一軒の大衆食堂を何年か前に見かけて以来ちょっと気になっていたことを朧気に記憶していただけて、他に特別気になる酒場があるわけじゃあなかったのです。なぜ気になったのかは語るまでもありますまいが、見た目の渋さと昼から酒呑みで繁盛していることが分かったからです。そんなこともあって正直ここまで来る面倒を考えると二の足を踏んでも致し方ないと言ってもいいのではないか。なにせ最速で富士見台駅に到達するには、池袋駅から西武池袋線で準急に乗って練馬駅で各駅停車に乗り継ぐという事になります。いろんなタイプの運行をしているので、準急は十分に一本程度で随分ホームで待たされる羽目になりますいやまあ当然ながら糊付きが良いタイミングということありますが、この日のぼくはしっかり十分待たされてしまいました。練馬での乗り換えもそれなりに待たされすっかりウンザリしました。地方の乗り継ぎと都心の乗り継ぎでは気持ちのモチヨウガまるで違うのです。まあ日常と旅先の非日常との差異があるのは分かっています。ともかくようやく辿り着いたときには呑みたくて仕方がなくなっていました。2軒目に駅前の例の大衆食堂に寄るとして、もう一軒何処かに立ち寄っておきたい。 うっかり北口に出て練馬高野台駅を目指したのが間違いだったかもしれません。歩けどここぞという店がない、どころかどんどん暗くなる一方でそろそろ折り返さねば、いつまで経っても酒に辿り着けぬ。ようやく目に止まった「春ノ家」もやっていないみたいだし、もしかするとずっとやっていないのかもしれない。ここで線路を渡り南側に移動すると、なんだ、ちゃんと酒場があるじゃないか。「大貫」はいい感じたなあ。当然暖簾をくぐるのですが、ご主人は残酷にも今晩は予約でいっぱいと断るのでした。 まあ、この通りにはぼく好みの店がチラホラしているのです。まずは「とくとく」にでも入ってみることにしますか。まあ店内はどうでもないかな。しかしまあ呑みたい欲求は最高潮なのでした。これぞという決定打のないお店です。早速呑みたいのに悩みに悩んでしまう。悩みの種は値段ばかりなのが情けない。さらなる障害があって、テレビでは近頃見掛けなくなった『ドリフの大爆笑』が放映されているのです。いかりやと仲本、ブーが小林幸子のキャリアウーマンとハシゴ酒するというコントが流れていて、オチが4列に立て掛けられたハシゴに腰掛けて呑むというもので、まあ実に他愛ない。他愛ないのに見入ってしまうのであります。ドリフはクレイジーキャッツより低く見られる傾向があると思うのだけれど、ぼくにとっては圧倒的にドリフを評価する。邦画のオータイムベストで無責任時代なんて笑えぬ喜劇が持ち上げられるのに渡辺祐介のドリフの佳作が無視されるのが許せぬのです。一体世に寄生する映画評論家やらコメンテーターなる人種はホントに植木等を面白いなどと思っているのだろうかーぼくは谷啓はまれにお混白いと思うー。というかそれ以前に渡辺によるドリフ映画を見たのだろうなと詰問したい。って、少しもこの酒場のことを語っていないのですが、それも致し方ないのであります。どうってことないのだから。ぼくは実際ドリフのことしかお喋りしなかったからね。 もう少し駅に向かって歩くと「川名商店」というのがあります。十時には店を閉めるということですが、まだ一時間弱あるので問題はない。焼鳥のテイクアウトのお店だったのを呑み屋も併設したという感じ。それはいいんでないの、歓迎すべきことです。察しのいい方はすぐに気付かれたはずですが、中村橋、桜台、阿佐ヶ谷に店舗を持つ酒座の流れであるとのことです。女将さんにその辺のことをさり気なく伺いましたが、言葉を濁されていたということは、まあ何だ色々あるんだろうなあ。客は近所の隠居し損なった高齢の方が多くて話題は勤め先の愚痴が多いのは聴いていてやや鬱陶しい。そういえば背広のおぢさんもいたけど個性のない置物のように少しも存在感がないのです。従業員の他の女性たちも極めて感じがいい。これって大事なことで、肴は手頃だけどまあ値段相応なのだけれど許せてしまうのです。不満を解消してくれるサービス、それはありなのだろうなあ。いつも語る通りにぼくにとって肴は飾りのようなものなのだから。でもまあここのもつ煮は嫌いじゃないなあ。油っこくないんですね。スッキリしている分、淡白で印象に欠ける嫌いはあるけれど、脂に弱いぼくにはちょうどよい。愚痴ばかりのおっちゃん、おばちゃんも帰って店の雰囲気は、軽くなったけれどここはどうも長居する店ではないという、ぼくにとってはうってつけのスタイルなので素直に目先の酒を呑み干すと席を立ったのです。
2017/05/29
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西武新宿線の上石神井駅は、特に目立ったところのない、でもちょっとした駅前商店街のあるような典型的な西武新宿線沿線の駅前風景をなしています。沿線の各駅にはそらなりに下車して歩いてはいるのですが、正直どこも違っているようでいながらやはり似通っているところも多く、駅前通りの写真を見せられても言い当てられるのは半分の駅にも満たぬであろうと思われるのです。でも同じ西武鉄道の主力路線でも池袋線が高架化も進み、ようやく都心化してきたのに対して新宿線はまだまだという感じで、地方都市とかとはまったく異なる、かと言って浅草などの下町ともまた異なる新下町とでも呼ぶのが適当な町並みを留めていてたまに訪れるとなんだか心が浮き立つのを感じることができます。この町にも酒場放浪記にて放映された居酒屋があって、以前も訪れていますが見事に空振ってしまっています。何度も言っていますが、一つの町をそれなりに知るには一度ではとても足りず、最低二度は訪れないとその一端すら分からないし、できれば隣町から歩いて点と点を線で結んでみるのが良いようです。食べログなどで総ざらいされた感じの都内の飲食店情報ですが、駅間にはまだネットに漏洩していない店なんかもあったりするから歩いてみて損はないはずです。 なんてことを書きながらやって来たのは上石神井駅から目と鼻の先にある「いろは」でした。今回は無事に入れそうです。いや人気のお店だから満席と断れる心配もしないとなりませんが、おそらく大丈夫そうです。どういうわけだか扉越しで店内が見えるわけじゃないのに、何かしら気配のようなもので店の繁盛ぶりは分かってしまうものです。それが店の歴史の積み重ねがもたらすオーラなのか、それとも一夜限りの客たちが撒き散らすものなのか判別は困難ですが、恐らくは前者なんじゃないか。空いてる店は空いてるし、混んでる店は繁盛していることが手に取るように感じられるのです。ごく稀に想像を絶する境遇に巡り合わさぬでもないのですけど、その心配はほとんど念頭に置かなくて良いでしょう。この店の気配は、ほとほどの入りという予感は的中しました。難なくカウンターの一席を確保できました。店はそれなりに枯れた雰囲気ですが、店の方は総じてお若いようです。将来は安泰ということなのでしょう。でも店の人は若いけれど、店の雰囲気やメニューなどにはあまり若々しさが感じられません。それはそれで構わぬし大体において古酒場が好きと常日頃語って憚らぬのだから、これから語る言葉は矛盾かもしれません。だけれどこういう典型的なありふれた居酒屋の場合は、代替わりした以上はーしてなかったりしてー、何かしらの変革が欲しいものです。いや、まあ以前の営業がどうだったか知りもしないくせにこんな発言は乱暴だけれど何となく面白みがないのです。どこをどう取っても当たり前のごく普通の居酒屋さんというのが偽らざる感想なのでした。なんかもったいないなあ、よくなる余地は幾らもありそうなのに。
2017/01/25
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練馬にはずっと前からどうしても行きたかった古い食堂があります。ふとしたキッカケで思い出すことはあってもいざ現地に来るとそんな店があったことなどすっかり失念してしまうのです。欲をかいて行きたい店のリストが膨大になっていてーやや大袈裟すぎるけどー、その中には町歩きしていてたまたま目に飛び込んできた店の名を殴り書きにして、いざ帰宅して調べど調べがつかずそのままになってしまう店も少なくないのです。練馬もそんなリストの洪水に飲み込まれ永遠にしまい込まれるところだったのですが、先日練馬に来た際に通り掛かって改めて確認したらやはりとてつもなく魅力的で忘れぬうちにやって来ることを心に固く誓ったのでした。 そしてやって来ました。店もきちんとやっています。食堂好きばかりでなく昭和ーこの言い方の雑さにはどうも馴染めないことは嫌味なくらいに表明していますがーを回顧する筋の趣味をお持ちの方にも良く知られているようです。「千曲食堂」はさほど味のない裏通りにポツンと置き去りにされたかのように建っていて、両隣にも何かしら商店か飲食店があったはずなのに少しも印象に留めぬ程に際立って目立っているのでした。灯りは店内から漏れてくるからやっているはずですが、あまり人の気配が感じられません。でも大丈夫、一人で店を守ってきたばあちゃんが食材の入った段ボール箱を引きずっているのでした。手を貸そうと思い声を掛けますが大丈夫だから座っといてと取り合ってくれないのは、ずっとこうして一人でやってきたことの自負とこれからもやっていけるという意志の現れと捉えることにします。いやあ、それにしても味のあるお店だなあ。カウンターだけの大衆食堂って、案外東京では少ない気がします。関西とかではたまに見掛けますが、これはむしろ中華食堂風の造りに近い気がします。都内はテーブル席だけが配置されることが多い気がします。ガラスケースには数種類のおかずが小鉢に盛り付けられていて数品頼むとチーンして出されます。品と値段にムラがあるのが面白い。しばらく呑んでいると若い娘さんが一人で来店してハンバーグなどを勝手知ったるように注文します。もう長いこと通っているようでばあちゃんと気兼ねなく言葉を交わすのが新鮮に感じられました。 続いては「もつ焼 金ちゃん」に久々に行ってみることにしました。嬉しいことに今回は同伴者がいたのでテーブル席に通されました。いつもカウンター席で、まあこここそこの酒場の本流ではありますが、それでも初めての席からの長めはまた別物です。そう、カウンター席がいいとかいつも言ってますが、正確に言えばたった今そのときに見える風景が魅力的かどうかが肝心なのであって、いくらカッコいいカウンター席に見えようが自分が腰を下ろしてみて、そこから見える景色がよろしくないならばちっとも楽しくないのです。もしかするとここもカウンター席は一見格好良さそうだけどテーブル席のほうがイカして見えていたかもしれないなんて思ってみたりする。正直言うとかここのもつ焼、それ程感心しないので食はあまり進まないし、呑みのほうも今ひとつ威勢が上がらぬので、そこそこ呑むと店を出るしかないのでした。
2016/08/11
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今でこそ自由気ままに酒場を渡り歩いていますが、以前はそれなりにネットやテレビ、雑誌なんかに流布された情報を掻き集めてそれなりの情報を携えて旅もしくは呑み歩きに出たものですし、今でも初めての町や土地に行く場合には最低限の準備は欠かせません。許された時間は限られていますし、自由になる金銭もいつも難儀しているのだから、それなりの保険は掛けておきたい。どんな媒体からの情報であっても何かしらのバイアスが掛かっているのは当然のことで、特にテレビという金の掛かるメディアでの情報には、眉に唾して当たらねばなりません。太田和彦氏位になると自らがパイオニアという気概もあるのでしょうがそれが居酒屋というのが適当であるかはさておき、店選びにも本人の意向が強く反映されているようですが、吉田類氏となると未訪の店を番組スタッフがあてがうままに訪れて呑む姿とその反応をわれわれ楽しもうというのだから、お二人の立ち位置というのはまるで違っています。いや、どちらについてもそれなりに見させていただいたり、参考にもさせてもらっていますので、不満を申し上げるつもりなどなく、むしろ将来に亘り記録として留めて頂きたいと心の底から期待しているのです。何か収拾が付かなくなってきたので簡単に言うと、こうした資料が価値を持つのは遠くない将来のことであって、今はありとあらゆる情報を厭うことなく、加えて自らの行動力と勘をフルに動員しておきたいということてす。 だから今回武蔵関で訪れた「丸忠」に酒場放浪記の情報でやって来た時には、これを何の手掛かりもなく、自らの足一つで見つけていたならいかほどに興奮したことかと思わずにいられぬのでした。例え何の情報がなかったとしても、駅から程近い薄暗い路地裏のボロ酒場というだけで、間違いなくぼくはこの酒場に吸い込まれていたことでしょう。店内はごく標準的な作りと内装ではありますが、相当の歳月を経なければ出しようもない明るくなく暗くもない照明は、そこらのおしゃれ家具店で扱っている様々な間接照明なんかよりずっとリラックスできるのです。そう、喫茶店に求めるのも昼夜に関わらず安定した暗くてぼんやり明るい環境にあるらしいのです。こういう店の席に着くとしばし思念を休止して、その環境に浸っていたいのですが、酒場では注文してそれで終わりというわけにはいかぬのてす。喫茶店ならコーヒーなりを注文したら後は自分の中に引きこもることも許されようものですが、酒場ては一杯の酒で物思いに耽るなど御法度です。そんなことを思ったりして品書きを見るとこれが驚くばかりのお値頃さなのであります。他店ではこの酒場の存在を忘れきったかのように賑わっているのに安くて酒場らしい肴を安く提供するここのことを顧みもしないのでしょうか。ここはまさにくたびれてうなだれた姿がよく似合う中年過ぎのサラリーマンにこそ相応しい大好きなお店になりました。
2016/07/29
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先般、練馬駅そばのインド料理店でミールスにてランチと洒落込んだのは報告済みですが、あと一軒どうしても寄っておきたい店があります。しかしあまりの満腹で肴どころか酒すらまともに嚥下する自信がありません。こういう時にはせっせと歩いて腹ごなしをするに限ります。かと言って唐突に練馬行きを決めたこともあり、目当てとなる場所が思い付きません。そんな時でも立ち止まって思案するということが苦手なぼくは気の向くままに北へと歩みを進めていたのです。そうすると自然と行き先は定まってくるというものです。たまには豊島園方面に向かうことにします。 さて、豊島園駅のそばには2軒の古い喫茶店があって、そこにはもう数年前に訪れていたのですが奇跡というほどではありませんが、思いがけず容易にその際の写真が出てきたのでその時のことと、今回たまたま見つけたお店を報告することにします。 ドンづまり駅らしい風情の練馬駅の豊島園駅は、何度見ても愉快な気分になります。西武園もそうですし、秩父なんかも似たような範囲気がありますがが、西武鉄道の郊外の駅はなかなか趣があって、それだけで胸が熱くなるような焦がれる思いが湧いてきます。それはともかくそんな駅舎の正面には豊島園の入口がありますが、そんなものはどうでもよくて、ぼくには斜向かいにある飲食店ビルが楽しい。テイクアウトの焼鳥店が酒類も販売して豊島園で遊んだあとのカップルが焼鳥片手にビールを呑んだりしていますが、今のぼくにはとても喉を通りそうにない。そのビルの一軒が「喫茶 午後」です。このお店、入るのに少しの躊躇が生じるのを抑えられなかった記憶があります。中華料理店と同様の油が表だけでなく店内にも染み付いていて立ち上がるとペとぺとと音を立てそうに思えます。でも入ってみたら何なになかなか良いお店です。最近では店内を撮影するにも面倒なので知らんぷりという事も多くなってしまって、よろしくないなとは思っているのですが、当時は真面目にご挨拶させてもらっていたようです。お陰で素敵なご夫婦のツーショットが撮れていました。ブログに乗せるとお断りしたはずですが大分前のことなので躊躇いもありますが、まあきたなシュランだかきたなトランだかに出てもいるようだし、まあいいか。 豊島園の外縁に沿うようにして歩いていくと「洋菓子 喫茶 シャモニー」という上品でクラシカルな喫茶店があったはずですが、何たることかそれらしい店が見つかりません。どうやら店を閉じられたようです。無くなってみると後悔の念に駆られるのは愚かな性癖でありますが、まったくもって不徳なるぼくらしい振る舞いとも思えます。今となってはあのなんでもないマドレーヌもプルーストのそれに劣らぬ貴重なものだったように感じられるのでした。 「シャモニー」に寄るつもりでいたのが、無残なことになってしまいました。やむなく練馬駅に向かってすごすごと歩いていたら、「コーヒー&スナック ロック」がありました。テントの具合が悪くないけれど、これはいかにもスナック寄りのお店ではないかといくらか警戒しながらお邪魔してみると店内は案外まっとう喫茶らしさが漂っており、悪くないではないか。メニューには酒やらその肴などもラインナップされていて、やはり主にスナック用途のお客さんが多そうですが、幸いにも他にお客さんはおらずゆったりとひと時を過ごすことができました。
2016/07/10
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職場の知人には、どういうものか東京メトロの有楽町線沿線の住民が多いのです。それも要町から埼玉方面にかけて多くなるのは当然といえば当然のこと。この界隈の特徴といえば、町を基調するのが住宅なのであって、呑みに行く沿線としてこれほどまでに魅力のない沿線は都内でも指折りと思われます。ところがこの沿線の住民の一人が氷川台駅、あすこだけはちょっと違うよ、古い町並みがあるはずだとほとんど歩いたこともないくせに確信めいたことを語ってみせたりするものだからどうしても行かずには居られないではないか。実を言えばもう随分前に氷川台を舞台に少し甘酸っぱい思い出なんぞあったりするのですが、甘酸っぱさなどこのブログには無縁なのでバッサリと割愛。とにかく当時通ったこの町は確かに商店街なんかがあった記憶があります。 駅を出てみてぼくの記憶などホント当てにならないことがすぐさま確認できたのですが、わざわざ電車賃を支払ってまでして来てしまったのだから少し歩いて酒場探しをせねばならない。と、探すまでもなくそれなりの風情があるお店を見つけました。店の入るビルは新しいようですが、赤提灯と大きな白のこざっぱりした暖簾がなかなか良い感じの「新発田屋」です。店内は都心からほど近い住宅街の呑み屋らしく、限定されたスペースに窮屈に席を詰め込んでいて、それでもそれなりのお客さんが入っているので必然カウンター席に通されます。周りの客の様子を眺めるに近所のご隠居もしくは帰宅前のサラリーマンばかりです。まあそれはそうだろうなあ。でもこういう帰宅を遅らすための呑み方って分からぬてはないけれどどうしてももったいない気がするのです。だったらどことは言えぬまでもぼくならもっとお手軽な酒場で呑むんだけどなあ。あと数分歩けば帰れるところで呑めばまあ確かにタクシーを飛ばす必要もないし、ちょっと歩けば自宅という気安さもあることでしょう。でもそれって奥方の不在の自宅で呑んてるのと少しも変わらないんじゃないか。それはそれで分からぬではないけれど、呑みは旅のようなものと思うぼくにはそれはあまりにも小学生の家出みたいな、あまりにもささやかな現実逃避でしかないように思われるのです。だからどうもここはいい気分になれなかった。 だからもう1軒は行っておきたい。方向的にどう歩いたんだかよく覚えていませんが駅からそうこう歩くこともなくじきに「大衆食堂 若葉」というような看板に出会えるはずです。一軒家のありふれたお店ですがこの辺ではとても味のあるお店に思われます。おばちゃん二人でやっているいかにも食堂らしいお店であることに嬉しくなります。いやいやこれといった渋い何かが誂えられていたり、飾られているわけではない。殺風景な所にこそ味を感じずにはおれないことは、経験として皆さんご存知のはず。ぼくにとっても何気ないこの佇まいと、高齢の女性二人で店をやっているというシチュエーションだけでぐらりと来てしまう。お客さんは当然のように常連ばかりが3名だけ。ぼくの後に入ってこられた方がちらりとこちらを一瞥したのでここは彼の指定席なのか。点々バラバラに腰を下ろしても背中越しに会話を交わしたりもはやこのお店は彼らの第二の茶の間となっているかのようです。独り呑みに気が利いてる酒の肴もあったりして、重宝しそうです。食堂だから贅沢は言えませんがもう少しだけ酒の種類が多ければありがたいのですが、まあこうした店ではビールと清酒さえあれば御の字とすべきなのでしょう。氷川台にもこんなまったりと過ごせる店があってホッとした反動か腰が座ってしまって、帰るのが億劫になるのは困ったものです。
2016/07/09
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口伝えに聞くばかりでしっかりした調べがあっていうのではないのでまあ眉唾に読んでいただければいいのですが、インドの方というのはランチに食を集中させて夜は軽めのスナック風の食事で済ますそうです。スナックと言っても豆を挽いた粉を発酵させた生地で作るドーサというクレープっぽいのからそれをドーナツ状に整形して揚げたワダなどの料理があって、それもうまいし、案外食べごたえがあることは知っている。てもやはり南インドらしい味を堪能するにはミールスに限る、きっと。先の理由でカレー数種とチャツネやらポリヤルというインド風野菜炒めなどのセットになったミールスは南インド料理を知るには格好の品だし、実際インドの現地の人も似たようなものを食べているのです。先般書いた通りとある土曜の昼、昼を食うかいっそのこと夜に盛大に食えるように抜いてしまうか思案していたところに知人からこれからお前の好きな南インド料理を食いに行くのだという嫌がらせメールが届きます。こうなれば、食欲は一挙に解放され今すぐ食わずにはおれなくなるという中毒性があるのです。南インド料理はどこかしこでも食べれるものではないのですぐさまネットでリサーチ。練馬にあることが判明しました。 早速やってきたのは「ケララバワン」というちょいと洒落た酒場としては見向きもしないお店です。でもこの食い気にはとても抗えぬ。おっ、ランチビールがお得ではないかと頼むとあららちっちゃなグラスだこと。迷わずミールスをオーダーします。運ばれてきたプレートには当然のパパド、ライスに苦瓜のカレーやらダルー豆のことーカレーに定番のサンバル等々、えっラッサムないの!、スッパ辛くてにんにく風味のラッサム、食後インドのいかさま師風のマネージャーに伺うと最初に言っておけば出してくれるそうです。でもチョッピリ物足りなかないかいと思いつつも旨いなあと食べ進むのてすが、あまりにも夢中に食べていたのでうっかりしたのですが、しばらくして小ぶりながらも立派なナンと苦瓜入のヨーグルト風のライタと言うんだっけかなとにかく不可思議な味わいの品が出てきて、それがまたさっぱりしつつも怪し気な風味が味覚を刺激するものだから腹一杯でも止まらないのであります。しかもこのナンが食べ放題だというのだから嬉しいではないですか。でもまあとてもじゃないがもう食べれん。ナンが北インドの王朝料理ータンドールという窯がインドのそこいらの家庭や料理屋で用意できるはずもないーという俗説の真偽はともかく、ナンはナンでやっぱり旨いのだ。最後に、南インド料理に限らずスパイスをふんだんに使った料理っていうのは、溜まってしまうんですよね。これはぼくだけの経験ではないと思いたい、食後しばらく経つと猛烈に腹が張ってきて、とにかく屁が盛大に出てしまうのだけは何とかならないものか。
2016/07/08
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練馬に対してはこれといった思い入れは少しも持っておらず、雰囲気は悪くないものの従業員の態度がどうにも我慢ならぬ有名もつ焼店にはたまに行きたいと思ってみたりもしますが、実際店の前に来るとわざわざ窮屈な席で身を縮こめてまで入りたくなくなるほどに混んでいます。そうそうあと一軒、気になるおでん屋さんがあって前々からお邪魔する機会を見送り続けていたのでした。というのもどうしたものか練馬に来るのは夏場が多いことが躊躇わせる第一の理由です。それから外観の立派さ―一軒家の年季のあるまさにおでん屋さんという構え―が、まあ普段ぼくが通う酒場のような1個100円程度のタネを出してくれるお店には思えぬからでした。 そんなことなので気分を高めるために取り敢えず路地を挟んですぐにある「大衆酒場 春田屋」という今風のもつ焼店に立ち寄ることにしたのでした。それなりの人数を収容できそうな広いお店ですがカウンターの数席を除くとほぼ塞がっています。というか練馬のこの辺りの呑み屋街の店は混んでいるか空いているかが両極端であり、混んでる店はとてもじゃないけど遠慮したいと思うほどである一方で、空いてる店はこんなんで店がやってけるのと思わずにおられぬほどだったりして、そうなるにはそれ相応の理由もあるのでしょうが、であれば目隠しするなど防衛策もあるだろうにと思わずにおれません。まあ、しかし繁盛などもはやわが店にとっては瑣末なことと枯淡の域に達しているお店もあろうこととは思います。取り敢えずこの一軒目はかなりの入りであったわけで、まあ確かに安いと言えなくもない価格であるし、味もそこそこ、店の方たちの応対は明るくハキハキしてしかも可愛い娘も多いとくればまあこの程度の人気は得られるのでしょう。であれば似たような店を作って10円でも安くすればかなりの成功が見込めるのではないかと、もっぱら呑むのが専門のぼくでも成り上がれそうなそんな予感さえ懐かせるといった類のお店なのでありました。 さて、お楽しみの「おでん 大幸」に移ります。ここは表から中の様子がほとんど窺えぬ練馬の居酒屋では稀有なお店なのですが―これが単なる思い込みである可能性も多分にあり―、エイッと店内に入るとカウンター席ばかり12席ほどがある、とてもいい感じであることにはとりあえず満足します。カウンターの真っ直ぐにはほぼお客さんがいて、入口付近のL字の短い辺の部分に腰を下ろします。これまてのことを振り返ってみても、ぼくはどうやらこの位置がベストなポジションと思っているフシがあります。実際店内全体を見晴らせるばかりでなく、一見客らしい遠慮を店の方に認知してもらいたいという下心もあるのでした。実際にはいかにもな呑み逃げ用の席という心象を与えかねぬ訳であるし、空調が届かない、品書や大皿の品をしかと確認できない、配膳による出入りが多いなどの弊害があることも否めぬわけですが、そんなことなどお構いなくついこの席を選んでしまうのでした。おでんもいいけど目の前に並ぶ大皿料理がとてもうまそう。ついそちらに目を奪われます。お通しはこの皿から客の世代や体格などを考慮して女将が適当に配膳してくれます。大皿の中身を伺うと端からずらっと説明してくれるようなので、それは申し訳ないので真ん中まで3品を選びました。これがなかなかいい肴になるのです。いずれも味も量も申し分なくおでんまで辿り着くのは難しいほど。お隣のおっちゃん-酒に詳しいとの自負有-とその同伴さんがとある日本酒の読みわからないらしいのですが、酒呑みなら知らぬ者のないような定番酒なのですが、そこは一期一会の客同士、嫌味のひとつもまぶさず教えて差し上げました。さて、しばらくすると10名ほどの団体が到来、これは無理だろうと思ったらカウンターの厨房の先におっと見落としていた広い座敷のような部屋があるようです。いろんな使い方ができそうな、思ったより重宝なお店のようです。一見したところ無愛想な女将さんも実は気さくな方で満足度の高いお店でした。
2015/07/16
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随分久しぶりに桜台にやって来ました。桜台は西武池袋線の練馬駅の一駅池袋よりにある駅で、いざいこうとおもうとその駅の周辺の様子は記憶から消え去っていて、西武線の電車を下車してようやくああ、ここだったかと下車したことをすぐさま後悔する、そんな正直退屈な町で果たしてどこで呑むことにしましょうか。 実のところは駅を出た瞬間に立ち寄る酒場の目当てはできていました。どこかのブログで見掛けていた「TAPAS 桜台」にでも行ってみましょうか。何度か通過したことはあるもののなかなか寄ろうという気にはなれずずっと通過してきたのですが、案外評判がいいので1度位お邪魔しておいてよいでしょう。店に入ると客はおらず、まったくブログの情報なんてアテにならんなと、他人事のように腐してみたくなるのでした。アメリカンなポップな装いの店内ははっきりぼくの趣味ではありません。居住まいの悪さに扶ムズムズしながらも、酒と全く持ってアメリカンからは程遠いキムチなどをオーダーします。何だか所在もなく道行く人などを眺めてみたりしますが、店内が見えるならアメリカンなお店でキムチを肴にウーロンハイを啜る純日本人の顔立ちのおっさんが寂しげに佇むのを通りすがりに見たら、そりゃあ入りたくなくなるだろうなあと、店の閑古鳥を呼び込む一助をぼくが担っているような気分になってちょっと済まなく思ってみたりしたのでした。 しばらく町を彷徨いますがどうにも気が効いた酒場が見当たらない。止むなくいっそのこと隣町まで歩こうと千川通りを歩き出すとあまり見覚えのない気取った雰囲気の酒屋の奥で女性が腰掛けて呑んでいるのが目に留まりました。帰宅して調べてみると「キュヴェ フジヤマ(Cuvee Fujiyama) 」という大層な店名のお店で、取り敢えず偵察してみることにしました。角打ちらしき店はたまに見掛けますが、実際はそうじゃないことも多いのですが、別に家でも呑むのだからそこで呑めぬなら持ち帰ればいいのだから気楽なものです。ところがこちらは気取った店名通りワインと輸入ビールが商品の中心のようです。でも一安心、店の奥に座っている若い店主のそばにはビールサーバーが設置されています。ベルギービールを呑ませる角打ちとはあなうれしや。久々のベルギービールは案外ドライでありまず見掛けることのない銘柄のピルスナーを入荷したのだと教えてくれる店主には悪いのですが、まあそこそこ旨いとしか感じられぬのでした。独りテーブル席でワインを呑むお姉さんもいたりして需要はあるみたいですが、ぼくには不釣り合いのようです。
2015/06/05
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随分とご無沙汰してしまいましたが、急に思い立って練馬にやって来ました。池袋駅に到着した時点で、どこに向かうかは未定でした。たまたま通り抜けた改札が西武池袋線の乗り場に近かったのでした―そうそう、西武池袋線は今年100周年を迎えるようです、『タモリ倶楽部』で仕入れた知識です―。西武池袋線の改札を通ると運行掲示版に目をやり、最初に出発するのが準急だったので、その最初の停車駅、練馬駅に下車することにしたまでなのでした。練馬には何度も来ているので当然土地勘もあってすぐさま呑み屋街に足を向けます。知らぬ町であれば、北側を歩こうかそれともと迷う楽しみがありますが、よく知る町だとそうした楽しみが希薄なのが詰まらないところです。 それなりに密集した呑み屋街をひと渡り眺めてみますが、これぞという店がありません。案外練馬には古い酒場が少ないんですよね。特にどうといことのない「大衆酒場 春田屋」を選んだのにこれといった理由があったわけではありません。盛況なのでお手頃であろうというさして根拠もない狙いがあっただけです。それにしてもこちらのお店を始めとして、練馬の酒場はどこも繁盛しています。唯一空いていたのがメインの通りの裏手にある「養老乃瀧」のお隣のお店。囲碁のサービスをしているという貼り紙のある店が閑古鳥が鳴いている程度に思われました―店内の様子が見えなければこの古そうな酒場を選んだことでしょうが、堂々と引き戸を全開して店の中の様子が丸分かりでつい敬遠してしまいました―。そんな激戦区にあるのだから大衆酒場を掲げるこの酒場、さぞ安いのだろうと思うとけしてそんなこともなく、ごく標準的な値段と肴のレベルで、いささか期待はずれの感があります。取り柄といえば若い従業員の明るさとよく教育されてるところでそこには好感を持ちました。 路地を挟んだ脇にある「おでん 大幸」は前々から入るべきか入らざるべきかを散々迷った末に入れずにいたお店で、先程の店と違ってこちらの場合は扉が半開きになっていて中が見渡せたことが入るきっかけとなりました。カウンターしかなさそうな店内には程々にお客さんが入っていて、いかにもおでんのお店らしい寛いだ雰囲気の中にもどこか職人肌な凛とした雰囲気が良さそうに思えたのでした。店に入ると何だか無表情で何を考えてるのか判断し難いような表情を浮かべた女将さんがおり、入口付近のカウンター席を案内してくれました。末席ではありますが、ぼくにとっては店がバッチリ見渡せる最上の席です。カウンターにズラリと並ぶ大皿がしかと眺められないのが残念ですが、それは我慢することにしましょう。大皿の頼み方を伺うと、一品でお出ししてもいいですし、三品を少しつづ盛り付けることもできます、とのこと。20種程ある中から筍の煮付け、唐揚げ、春雨サラダを注文しました。これがなかなか旨そうで、一人では多すぎるくらい、さらにお通しの小鉢2つも付いているので、どうやらこちらのメインのおでんまで辿り着くのは難しそうです。お隣りの訳ありそうな年の差カップルは、そのおっちゃんの方がいっぱしの日本酒党を気取っていたのに、店の奥に置かれた『〆張鶴』の〆をあれってどう読むのかしらと尋ねられても答えられなかったのは何だかみっともないことだなあ。酒呑みは酒のウンチクなど語ったりせず静かに楽しんで呑むのが正解のようです。さて、おっかなさそうだった女将さんですが表情は険しくてもホントは案外人懐っこいようで、勘定後は店の外まで見送ってくれました。おっとそういえば,カウンターだけかと思ったらその奥に案外広いスペースがあるようです。入れ違いにグループ客が吸い込まれていきました。
2015/05/26
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どこぞやでそれなりに呑んでから、酒癖が良くないことで知られる職場の上司であるH氏という人がおりまして、けして人柄は悪くないのに酒を呑むと大化けしてしまい相当な狂暴さを発揮するという、遠巻きに眺めるには愉快ですが、面と向かって呑むのはかなりの危険を伴う勇気と度胸を試される行為なのでした。 この方の地元は平和台です。有楽町線の池袋駅からも10分程度の駅で、隣接する氷川台駅や千川駅と比較しても相当退屈な土地という印象があって、実に10年ぶりの訪問です。当時もこれと言った居酒屋は見当たらなかった印象がありますが、当時もあまり見かけなかったのが今になって古い居酒屋が出没するなんてことは期待できるはずもなく、そんなぼくの儚い希望を無視するかのようにH氏は確信に満ちた足取りで一軒の居酒屋に入っていくのでした。やって来たのはなんともはや「庄や 平和台北口店」なのでした。「庄や」に最後に来たのは一体いつのことだったか思い出すことすらできません。久しぶりにあの薄暗くて垢抜けない造作を眺めるのも一興と入った店内は、記憶に残る侘びしさとは縁遠い、和風ファミレスのような芸のない装いと成り果てていたのでした。それでもH氏は、ちっとも嫌そうな表情を見せるでもなく、地元で飲んでいるせいもあってか、取り澄ました紳士然とした態度を最後まで崩すこともなく、存外に値が張った勘定書きをすっと受け取ると溌剌とした表情で自宅へと急ぐのでした。
2014/12/06
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あまり面白みのない町、大泉学園にやって来ました。何度も冷やかしに来たことのある町で何か新しい出会いなどは、もはや期待できないとは思っているもののここ数年訪ねておらず町歩き、酒場探しの嗅覚だけは歳に反比例するように鋭敏になっているようなので、出合い頭に思い掛けぬ出会いがあって驚愕させられることもあり得ることです。 ところがと言うかやはりと言うべきか、何一つ目新しい何かがあるわけでなく、唯一と言っても過言でない古びた居酒屋、「酒蔵 厚岸」にお邪魔することにしたのでした。実は大泉学園駅に下車するまではすっかり忘れ去っていたのですが、かつて所沢に通っていた頃、いい加減飲んでから途中下車して呑みに来ていたことを思い出したのでした。ここに通っていた頃はーなんて思わせぶりな言い方をするもののそんなには昔のことではありませんー、こういう駅前酒場もそれほど珍しいものではなかったように思われますが、今では希少価値が高まっているのをつくづく感じます。こうした郊外ー大泉学園を郊外と呼ぶのは現在ではいわかんがあります、ベッドタウンと言ったほうが相応しいのかもしれませんーの居酒屋というのは、一見どうというほどもない単に古びているだけのように捉えがちですが、入ってみると驚くほどに広いことが多くて驚かされることがあります。こちらも相席必至の長テーブルに小上がりがぐうっと奥の方まで伸びて、昼間の閑散とした店内で孤独ながらも杯を傾けていると、こよなく優雅に感じられます。同じサービスのランチをいただくにも一杯の酒があることで随分と心に余裕が生まれます。呑むことで店と自分との距離が近づくようです。ふと随分前に亡くなった祖父が、やはりここのように奥行きのある小上がりの一番奥でコンセント付きの銚子で昼間から時間から取り残されたようにゆったりと呑んでいる姿が思い出されるのでした。その古い祖父の家もすでになく、ここは懐かしい思い出を呼び覚ましてくれる店として記憶しておきたいと思うのでした。
2014/10/25
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石神井公園には、あまりこれと言って通いつめたくなるような酒場があるわけではないのですが、さすが人気があって多くの人が集まるということもあり、酒場ではないものの食堂やそば屋、そして中華料理店が目に付きます。そんな1軒にお邪魔してみる気になりました。 「玉仙楼」というお店に入ってみることにします。というのも水曜、木曜は水餃子が100円となり、加えて生ビールセット(生中+肴2品)が680円とうれしいサービスもあり、さらにさらにウーロンハイが190円、,ビール(青島)が380円などなど、とにもかくにもお得なのであります。店の雰囲気にはさほど語ることもありません。味もさほどではないし、接客も特にいいわけでもない。でも兎にも角にもこちらはやたらめったらお得なのでそれで十分なのでした。後はいかに厚顔に振る舞えるかがこの店を堪能するためのコツのようです。
2014/08/12
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またまた石神井公園に来てしまいました。あまり歩くことのない北側には思いがけずよい酒場がありましたが,公園のある南側には昼間は何度となく来ており,日中に彷徨った限りではこれといった酒場はありそうもないように見受けられます。中華料理店や食堂にはちょっとよさそうな店があったので,いざとなればそちらに行けばいいかなと程度の軽い気持ちでやって来たのでした。 さて,駅前商店街を進み渋いお菓子屋さんのある通りを進むと「ほかり食堂」があります。できれば最初は居酒屋からスタートしたいところですが,店内を覗き込むとなかなかよい雰囲気のようなので入ってみることにしました。店の外観はそれこそ安誂えの中華食堂のように見えますが,どうやらその安っぽさは,現代風の電飾看板が原因のようで,ガラスのサッシ戸越しに見える店内はまさに老舗の大衆食堂そのものです。広い店内にずらりと並んだテーブル席はいずれも1人客ばかり。銘々それぞれに定食を食べたり,ちょっとした肴をつまんでビールを呑んだりしていますが,どなたも黙々と自分だけの世界に浸っているのは食堂ならでは。都心の食堂と違って女性客はまったくおらず,どことなく殺伐とした空気が漂っているのも緊張感があっていい感じ。まあ,まだ早めのこの時間帯がちょうど近所の高齢者の夕食時と重なっているだけかもしれませんけど。チューハイと餃子をお願いすると,酒はセルフサービスとのこと。店の奥の冷蔵庫から缶チューハイを取り出し,コップを取って席に戻ります。酒だけはお燗を付けるために店の方にお願いするのがルールのようです。店は高齢のご夫婦でなさっていて,配膳を担当するお母さんが優しい笑顔を絶やさないのが印象的でした。品書:ビール(大:500,中:400),缶酎ハイ:200,ウーロンハイ:250,酒:350,串カツ/肉炒/焼肉:450,野菜炒/魚フライ/肉なす炒/とり唐揚:400,餃子:300 次は居酒屋にしておきたいとしばらく付近を歩きますが,中華料理店やラーメン店などが多く,これといった店が見つかりません。さらにしばらく彷徨っているとようやくうってつけの風情あるお店に巡りつくことができました。駅前の飲食店の入る雑居ビルのうらびれ具合に執着し過ぎて,すぐそばにあったこの店を逸れるように歩き回ってしまったようです。「ゆたか」という赤提灯に紺暖簾の王道酒場です。店内も奥にはテーブルがあるようでしたが,基本的にはカウンターのお店です。お客さんの入りはそこそこで,店の男女お二人が出迎えてくれました。最初ご夫婦かと思ったのですが,どうやら女性が店主で男性は雇われているようです。数年おきに長い旅に出て,たまに戻ってきてはここに勤めて資金稼ぎをするという店員さんのことが常連さんと女店主の話題に上っていて,どうやらこの女性は代替わりで店を切り盛りするようになった方のようで,すでにけっこうな歴史のある店なのかもしれません。席に着くと男性店員さんがお屠蘇と言って日本酒をグラスで御馳走してくれました。こういうちょっとしたサービスはうれしいものです。せっかくなので,お酒をお燗してもらうことにしました。焼物は期待したよりずっとしっかりしておいしくて,もうちょっとだけ値段が安いとうれしいのだなあと独り思いつつ酒をすすったのでした。
2014/02/20
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突然思い立って,仕事帰りに足を伸ばして石神井公園に行ってみることにしたのでした。西武池袋線の急行に乗りさえすれば池袋駅からわずか10分弱で行けるというのに,駅周辺があまり面白くないため,なかなか仕事を終えてから出向く気分になれなかったのでした。先日,「吉田類の酒場放浪記」で石神井公園のとある有名焼鳥店が再放送されたのをきっかけにようやく重い腰を上げて行ってみることにしたのでした。 石神井公園駅の北口側は駅前再開発によって,すっかり味気ない散策市街のない町になってしまったと思ったら,それでもまだ50m程も歩くと古いながらもくたびれきってはいない現役の商店街がありました。向かっているのは「株式会社 スマイリー城」,焼鳥の串を客自らが焼台で炙るというスタイルがユニークとのことであちこちのメディアで取り上げられていますが,この夜のぼくのように独り客では物珍しさよりも面倒くさい方が上回ってしまうのも敬遠していた理由のひとつ。テレビで見たように社長さんが焼き方とか付きっ切りで指導されてしまったら,つい次々と注文してしまって予算オーバーになってしまうかもしれないなあ,などと余計な想像を膨らましてしまいます。かなりひどい冷え込みだったので,店が思ったより駅から遠かったため,へこたれそうになるのをぐっと我慢して商店街を進むと,木造一軒家のガラス張りのオンボロ酒場があるのを見ると,ハシゴする店が決まった安心から足取りは軽くなるのでした。さて,肝心の「スマイリー城」はというと家族らしき4名で店をやっているのですが,客も同じく4名のみ。どことなく沈んだ様子でテレビで見たのとは大分違って感じられます。そういう雰囲気は好みではありますが,想像していたのとのギャップにとまどったままのわずか30分の滞在で十分満足してしまったのでした。 気持ちは次なる酒場にすでに向かってしまっています。屋号は「家路」とまさにぼくのどちらかと言えば不寛容なまでに狭いストライクゾーンをズバリ抉ってくれるのでした。引き戸を開けると8席程度の狭い店内で,1席を残してはお客さんでぎゅうぎゅう詰となっています。意外と言っては失礼でしょうか,店を切り盛りするのはお喋りもよどみなくされはするものの,上品さを保った女性で,けして年齢はお若くはないのでしょうが,もしお聞きして実際の年齢を知ったらたらたまげてしまいかねないように感じられました。お客さんは常連ばかりのようで,店に入る前は引退後のじいさんがたむろしていることを予想していましたが,背広族が主流のようです。まさに家路に立ち寄りたくなるようなお店です。「わが家」とかいう屋号もありますが,それだとちょっと押しつけがましい感じがしますが,この「家路」や「寄り道」なんていう屋号には誘惑されます。焼物もおでんも100円とお値段も懐に優しく家路が廻り道になったとしてもつい寄りたくなるお店でした。
2014/01/27
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先日ハシゴしたばかりの東武練馬にまたまた行ってきました。ほとんど消化試合気分の「吉田類の酒場放浪記」の登場店を訪ねてから、いよいよ本格的に自分の経験と勘を頼りに―ほとんどは本能の赴くままに行動するので当てにならない場合が多い―まったく情報も知識もない酒場に飛び込んでみることにしました。事前に食べログとか雑誌なんかで情報を得ておくのは、紹介されていた店が実際によい店だったということが珍しくないということもあって、ぼくもよくやることです。たまに地元の常連さんから噂を聞いたなんてことを言ってる人がいますが、どうも胡散臭い。まあそんなことはどうでもよくて、やはり事前の情報をもとにして何軒か回った後に、その町が気に入ったら再びその町を訪れてその時こそ自分の運(!)を頼りに酒場探しをするのがぼくには合っているすたいるのようです。 とまああれこれ言いましたが,この夜はまずは「酒場放浪記」で紹介されたお店からお邪魔することにしています。南口から上板橋方面に進むとある北町アーケードショッピングセンターに心惹かれるもののひとまずは有名店で様子を見ることにします。昭和37年創業の「大衆割烹 春日」を訪ねます。駅から歩いて数十歩程度路地を入った場所にあって,あまりにあっけなく到着して拍子抜け。遠目に路地は雰囲気よさそうに思えましたが,歩いてみるとさほど店があるわけでもなく案外淡泊でした。お目当ての「春日」もなんというか年季が入った店というたたずまいでもなく,ありふれた一軒家の和風居酒屋の造りでさほど魅力ありません。店に入るとすごい入りで,なんとか数少ないカウンター席に入れ替わりで入ることができました。大部分の客がグループ客ということでしょう。楽しくありません。肴はちょっと質の良い素材が,気の利いた調理が施され,しっかりと量もあって悪くありません。しかし,呑みを中心にした客にとっては,旅先の郷土料理店に行ったような場違いな気分が付きまとい,それは店を出るまでずっと途切れることがなかったのでした。品書:ビール大:540,焼酎:350,酒:420~,和牛メンチカツ:500,鯨ベーコン:600,鯵たたき:550 もう一軒の「酒場放浪記」の酒場にハシゴするのもありかもしれないなと思い,北口方面に踏切を渡りますが,店の前に着くとまた一軒目のような疎外感を味わうのはつまらないなと思い,まばらに酒場があるばかりの北口を彷徨っていると,何やらうらびれた「しな野」というお店があります。ここはいかにも焼鳥屋さんという枯れた味わいのある酒場です。これなら良さそうだと引き戸を開けると確かに古くて、かなりくた様子を見ただけでうれしくなるのだからわれながら単純な客です。お通しのしじみ佃煮をつまみながらもつ焼の焼き上がりを待ちます。たっぷりとあるので、これで日本酒なんか飲んだりしたら止まらなくなりそうです。ってやっぱり日本酒にしてしまいました。カウンターには初老夫婦がおり、しばらくすると地元が一緒の元同級生がお盆で帰省中といった様子の女性3人組,奥の座敷には若い娘さんの姿が見えます。でれんと手足を伸ばして寛ぎ切っています。相手はどんな男かとトイレに行った際に様子を窺うと家族連れだったようです。ここのご主人かなりの腕自慢のようで、お隣の女性3人組はじゃんじゃかうまそうな肴を注文しています。じっくり腰を据えて呑みに来たい良店でした。
2013/08/29
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西武池袋線の桜台の駅っていうのは,印象がすごく薄くて何度か行ってるはずなのに,いつもこれが始めの下車のような気分になります。下車してすぐに「居酒屋 川名 桜台店」と「秋元屋 2号店」が目に飛び込んで,ようやくああここだったかと合点するような具合でまったく記憶がぼんやりしています。江古田と練馬という癖のある地域の間におまけのように挟まれて駅の北側すぐの辺りにはとても都心とは思えないような長屋のお店があったりしてヤミ市を感じさせもする寂れきった佇まいもありますが,飲み屋さんはあまり見受けられません。このバラック長屋の中に酒場があったら楽しいのにと想像が膨らみますが,想像だけでは腹は膨れないので早速最初の一軒を探すことにします。この夜の同行者T氏は,早くも諦めムードが濃厚です。 江古田方面に進むとスナックなどがちらちら現れだします。そんな薄暗がりの通りに赤提灯がぶら下がる木造のボロっちい建物があって,こよなく魅力的。これにはT氏もご満悦。早速お邪魔してみることにします。「八重樫」という屋号のお店です。外観どおりとても狭く,コの字型のカウンター席が8席程度,ほぼ塞がっており,われわれは入口付近のよりせせこましいところになんとか収まることができました。さて,何を呑もうかなと周囲を見渡すと常連たちは一升瓶の焼酎を置いて腰を据えて飲む客が多いようです。ということもあって個別の飲物はけっこういい値段,典型的な常連客向けの値段設定です。ご主人は物静かで働き者タイプのよさそうな人でありました。肴もボリュームはありましたが,よほど近所に住んでいない限りは通い詰めるような店ではない感じです。 それにしてもこの界隈は週の中日だというのに休みの店が目立ちます。水曜日か木曜日の定休が多いようです。「居酒屋 川名 桜台店」や「秋元屋 2号店」なんかが無難でしょうが,もう少しこの辺の店を開拓しておきたい,というわけで「和風居酒屋 はなみち」という店に入ります。ここもまっすぐのカウンター8席位のこじんまりしたお店でした。地元の常連たちは気に入って利用しているようで,店内にはボーリング大会の写真が何枚も飾られており,ゲームの後にはこのお店で家族を巻き込んでの大宴会となるようです。酒を嗜まないという女将さんは,もううんざりよなんて語られましたが,どうも表情を見る限りまんざらでもなさそう。うちのサワーは濃いっていわれるのよというサワーはにんにくだかなんだかの変な味のものもありまして,確かにちょっと濃い感じ。まあ,これといった売りもありませんが,お隣におられた女性一人の常連さん(この後また女性のひとり客が入店しました)はとてもいい店なのでまた立ち寄ってくださいね,などと言われており,常連さんにとっては我が家のように憩える店のようでした。
2013/03/30
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練馬にやってきました。池袋駅から西武池袋線の準急以上に乗るとたかだか10分ほどで到着するにもかかわらずなかなか足を向けることがありません。なんて先日中村橋に行ってるのでそこそこ乗りなれた路線なんですけど。今回ははっきり行きたいと思っている店があって、先日喫茶店めぐりで練馬駅に下車して散策し、ほとんど空振りに終わった際に目撃した酒場に行ってみたいと思っていたのでした。ついでなので、「酒場放浪記」で紹介されたお店にも立ち寄ってみることにします。 お楽しみは後にとっておくことにして「吉田類の酒場放浪記」に登場の「田舎料理 相馬っ娘」に向かいました。駅から住宅街に向かって5分程度、すっかり辺りが暗くなったと思った次の瞬間にはいくつかの飲み屋の灯りが目に入ってきます。スナックなんかの飲食店が数軒取り残されたようにひっそりと佇んでいます。その一軒がこの「相馬っ娘」でした。雰囲気はなかなか渋くてよさそうです。店は小上りの縁ががそのままカウンターの席となっているちょっと珍しい造りとなっています。小上りの奥ではおっさん2名とアジア系の飲み屋のおねえちゃん2名がひっそりとした店内に嬌声を響かせています。高齢の女将さんとその息子さんらしき方で店を切り盛っています。昭和54年創業ということでこの時代に創業した店にはスナックと居酒屋の中間っぽい店をよく見かけますが、ここも純粋な居酒屋というよりはいくらかスナックっぽいいい加減さが感じられます。店の方が高齢の場合に多いのはしょうがありませんが、アタリメとか冷奴とかまったく手間のかからない肴がメインで種類も極端に少ないのは、いかに店の雰囲気を重視するぼくでも物足りなさを感じます。別に悪い店ではありませんが、同じ練馬の「金ちゃん」を紹介するのは当然としてもこちらが紹介されるのには疑問を感じはします。ごくごくありふれた普通の飲み屋なのにねえ。品書:ウーロンハイ:400,ホッピー(中:300,外:200),なす味噌:600 線路の反対側に移動。以前見かけた店は「鳥正」です。年季の入った渋い焼鳥屋さんで店はオーソドックスにまっすぐなカウンターとテーブル3卓ほど。60歳代と思しきご夫婦で切り盛りされていて、お客さんはさらに高齢の方がほとんどでしかも8割がた席は埋まっています。近所の水道屋さんや電気屋さんみたいな制服の方たちがほとんどひとりで来店されていて、顔見知りはテーブルで相席したりカウンター席を詰めあったりしています。かといって彼らが大声で耳障りな不快な思いをするということもなく、一言二言あいさつ程度に言葉を交わしあっては引き揚げていくという極めておとなな酒場なのでした。一見客でもあっという間に場の雰囲気に溶け込めるというのは稀有なことです。肴の味も値段も特別どうってことはないのですが、平凡でもみなさんに愛されている酒場というのは自然と人が集まるものですね。
2013/03/13
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西武池袋線の各駅停車に揺られ,今晩はどこで途中下車するか迷っているうちにいつの間にか練馬駅を通過。あまり池袋駅から遠ざかるのも面倒なので,その次の中村橋駅で下車しました。中村橋駅はほとんど縁のなかったところです。かつて西武池袋線を使って通勤していたことがあり,何度か途中下車したことはあるもののほとんど印象にない町です。駅の北側に商店街が伸びているのでとりあえずはここを歩いてみることにしました。 すると見覚えのある屋号があります。「やきとり 川名」です。阿佐ヶ谷の店が知られていますが,桜台店にも入った記憶があります。この3店はなんらかの関係があるんでしょうか,立地も近接しているので恐らく系列店のように思われます。渋好みの雰囲気があるのは桜台店に軍配を上げたいと思います。といったある意味何の変哲もない居酒屋らしい居酒屋にようやく辿り着いたので当然迷わず入店します。思ったほどは安くないのですが,居酒屋らしい定番メニューが充実していて毎日通えるのはこういうお店かもしれません。ただ,思ったよりも入りが悪いのはまだ時間が早いからでしょうか。先客も2名だけといささか気分が上がりません。串のナンコツを食べてるとがりっがりっといやあな感触があります。なんだちゃんと処理されていないんじゃないか。気分が悪くなったので2,3杯で切り上げました。と,店を出てなんだか口中に違和感があります。知らぬ間に歯の詰め物が取れてしっかり噛み砕いて嚥下してしまったようです。調理を疑ってしまいまことにすまないことです。ところでこちらのお店,「吉田類の酒場放浪記」で紹介されていて,創業は昭和50年頃とのことでした。品書:ホッピーセット:400(ナカ:210),生中:540,自家製メンチ:350,豚もつ煮込:430,おすすめ5本塩セット:780 この先進んでもあまり店がなさそうなので駅の南側に向かうつもりでしたが,駅からすぐのところに何やらボロッとしたお店があるので入ってみることにしました。「大天」というお店です。店の入口がある辺りが恐ろしく雑然としていてこれまで片づけしたことがないのかと思うほどです。店内は店頭ほどではないもののやはり散らかっている印象があって,無造作に置かれたテーブルではひとり客が2組だけ。ほどなくお二方も店を出られたので店にはひとりっきり。お店の方はカウンターの高い敷居の影から声がもれ聞こえてくる程度で少しわびしさを感じます。もともと食堂ということもあるのでしょうが,おつまみメニューは実に豊富で変り種もいろいろありましたが,具体的には失念。それに比べると酒の値段の高いことといったらちょっとムッとするほどです。サワーに500円はないよなあ。ちなみにここも「吉田類の酒場放浪記」に登場しているようです。 「吉田類の酒場放浪記」って番組は面白いといえば面白いけど,実際の店については玉石混交なので,下手に信用しすぎるとがっかりすることが多いようです。あまり酒場慣れしていない方がうっかり店選びの参考にしたりして外れを引いたら他店まで同等のものだと感じて,酒場離れにつながるのではないかと思ったりします。ぼくは酒場番組や酒場本を楽しんでよく眺めていますが,あくまで楽しみのためで太田和彦の店を全店制覇するんだ何ていった気概は幸いにも持ち合わせていません。ただときどき他のブログなんかで私はこうした情報はいっさい信用しません,チェックしませんなんて言い張るのは見ていてかなり無理があるように感じられ,痛々しささえ感じてしまいます。あれ,何でこんな愚痴っぽいこと書いてるんだろ。
2013/03/09
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「吉田類の酒場放浪記」でも紹介された昭和45年創業の「居酒屋 りつ」に立ち寄ってみることにしました。以前,放映前にたまたま通り掛って店内を覗いたところ目一杯に客が入っている様子なので断念したことがあります。今回はどうかしらんと覗いてみると先客は1名のみでむしろ寂しいくらいに空いています。その先客も一応一杯飲んでいるものの食事が目的で親子丼らしきものを召し上がっておりました。テレビで見たときの記憶がしっかり残っていたため,あまり新鮮味は感じられません。これはすっかり忘れていたのですが,壁中にびっしりとお客さんの写真が張り巡らされています。ちらちらと横目に眺めつつ,酒を飲みます。注文した玉子焼は溶いた卵を薄くフライパンに広げて固めただけのシンプルな品。悪くないですがお店で出す商品としてはいささか物足りなさを感じます。主人は寡黙で,アルバイトらしき女性は賑やか。悪くないのですが,値段もそこそこなのでもう一度行くという気分にはなれませんでした。
2013/02/26
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これまで何度も空振りし続けた「十一屋酒店」,今晩はやっているようです。勇んで店に入るものの店内には誰もおらず,何度か声をかけたものの,人の気配はすれども反応なし。店の雰囲気は期待したものではなかったので,そっと店を後にするつもりでしたが,背後に人の気配を感じたのでやむなく一杯だけ。客も他にはおらず幾分気まずいながらもプレッシャーを振り切って次の店に向かうのでした。 すぐそばに「酒屋がやってる立ち呑み屋 四代目 鎌倉酒店 江古田店」なんて店ができていました。焼酎の甕貯蔵を行っていて量り売り専門店とあるので,どこかで見たことあるな,などと考え込むまでもなく思い出しました。中野にも同じ店がありますね。「四文屋」や「居酒屋 川名」なんかもそうですが,JR中央線沿線の各駅と西武池袋線沿線の各駅とは距離が近いこともあって系列店が多いようです。母娘三代と思われるご家族連れで飲みに来ている方がいたりしてそこそこのお客の入りです。店内入ってすぐに大きな焼酎の甕がづらりと並んでいて壮観です。大鍋では煮込みがぐつぐつ煮えたぎっていてこれまたうまそう。チェーン系の立ち飲み屋は格安の「でかんしょ」を利用するくらいでいまやどこにでもある「かぶら屋」などは極力立ち寄りたくはないのですが,この「鎌倉酒店」はクオリティが高い印象です。
2013/01/06
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江古田の町にはちょこちょこ通っているものの,最近はちょっとご無沙汰。飽きちゃったんですね。なんとなく気が向いたので帰宅時に寄り道。この後登場するとある店の常連さんとママさんとの会話からつい先達てのアド街で江古田が紹介されたことを知りました。だからどうっていうわけでもないんですけど。ともあれ,いろいろと新店舗ができているようなので,適当にうろついてみることにします。 駅北口からすぐの場所にたこ焼居酒屋の「大革命」っていうお店が出来ていますね。腹ペコなのでとりあえずたこ焼でも食べておくことにしました。とりたててどうってこともないお店ですが,さっと食べられてしかも軽く呑めるのは便利です。学生街らしく下校中の学生たちが寄り道してくだらないお喋りなどしています。ひとりたこ焼を肴に呑むおっさんのぼくは彼らの目にはどのように映っているのでしょうか。なんて恐らく目にした瞬間は哀れんだりといった感想がよぎったりはしたのでしょうが,気にするほどは相手にされていないのでしょうね。品書:生ビール(エビス):300,ハイボール/酎ハイ:250,たこ焼6個:200,つけだこ8個:300 目と鼻の先にド派手な看板の「立ち呑み 皆んなのひみつ基地」なんて店があります。日芸の学生が描いたのかわかりませんが,あまりにゴテゴテと描かれているので店内の様子を窺うこともできません。こんな店だからきっとロックなんかがギンギンに流されている若者向けのスタンディング・バーみたいなものなんだろうな,と幾分気乗りしないで店に入るとあらびっくり。店の女将さんはかなりの高齢,そしてたまたま行き会った男女のお客さん2名はさらに高齢と思いがけずのジジババ系のお店です。こんな客層なので当然立飲みとありますが,椅子付き。カウンター奥の席に落ち着くとまさしく枯れた酒場そのものです。外観にまどわされて本質を見まがうところでした。サワー:350~,酒:400,串焼:120,イカバター焼/やきそば:400
2013/01/05
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23区の中では最も新しく誕生した区で、大部分は閑静な住宅街で、農地面積が広いのが特徴です。また光が丘公園や石神井公園などの規模の大きな公園も多く,緑の多い区と言えるかもしれません。としまえん・東映アニメーションギャラリーなどの施設も知られています。メインの交通網は西武鉄道の各線で,並走する東武東上線は板橋区になります。東京メトロの有楽町線や都営地下鉄大江戸線の各駅は主に通勤駅となっています。そのため繁華街も江古田駅、練馬駅、石神井公園駅、大泉学園駅など西武池袋線が中心です。 江古田は学生街として発展した街で,駅前には庶民的なマーケットや大衆食堂が残っており,「江古田コンパ」なる終戦後に流行した「コンパ」というパブとバーの中間のような業態の酒場も残っています。しかし残念なことにお気に入りの酒場は少なく,酒場放浪記で紹介された「大衆割烹 お志ど里」や都内に数軒残っている樽平の宣伝酒場の異色店「江古田 樽平」もいまひとつですね。オオバコの「和田屋」は悪くないのですがちょっと広すぎて落ち着かないのが残念。練馬駅前には大きな飲み屋街が形成され,今でも戦後のような佇まいがわずかながら残されており,夜ともなると懐かしい景色を楽しむことができます。ここはまだまだ隠れ名店がありそうなので通ってみたいと思っています。桜台 居酒屋 川名 桜台店 同じ屋号の居酒屋が阿佐ケ谷と中村橋にもありますが,場所が近隣なので恐らく暖簾分けの店なのでしょう。駅からすぐの煤けたお店ですが,良心的な価格と庶民的な雰囲気で閑散とした桜台の駅前にあっては貴重な酒場です。仕事帰りに地元に帰り,一息つくサラリーマンが多く見受けられます。練馬 金ちゃん 昭和39年創業のもつ焼の有名店の「金ちゃん」には夜な夜な開店を楽しみにしたお客さんが暖簾が出される開店前から列を作っています。フライング気味に開店時間にならずに入店する常連さんもいるようです。コの字カウンターと卓席があり,かなりの客を収容できそうですが,カウンター席はものの15分ほどで一杯,出遅れるとあっという間に満席です。残念なのが外国人の配膳係の女性たちがあまりに横着なところです。それさえなければすばらしいのになあ。
2011/12/19
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