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2008.10.17
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ここ最近はやけに暖かいですが、
秋になると食べたくなるのが ミネストローネ
うちの夕食はパスタと肉・魚料理が日替わりで
パスタの時にはサラダやチーズ、ハム類などを
一緒に食べるようにしていますが
秋になるとこれにミネストローネが入ります。
レシピはいたって簡単なものが多いですが
過去のミネストローネの記事 →
ちょっと手が混んだのはこの豆のミネストローネ。
簡単ですが、豆を煮るのに前日から仕込み、
煮る時間と裏ごしする手間がかかります。
それでも味は 超~絶品 ハート

過去ログにもあるけど、レシピは こちら

レシピは パッパアルポモドーロ と同じく
私の料理の師匠・ジャンカルロ の本より。
同じく豆を使ったトスカーナ郷土料理の
リボッリータ も同じく彼のレシピです。

:::::

“紹介したい人がいる” と言われて
連れて行かれたのがシエナ郊外のド田舎にある彼のトラットリア
そこに待っていたのは、レシピ本のイラストと全く同じ風貌のジャンカルロと
更に巨大な奥さん・アドリアーナだった。
ここは、ダンナは今の仕事に就く前、まだ20代前半に住み込みでコックとして働いていた所。

(40までっていうのも結構アリなイタリアですけど・爆) ダンナの第二の家族 でもあった。
私はまだまだイタリア語がよく分ってなかったけど、とにかく料理が美味しかったのを覚えている。

彼らの事をよく知るようになったのは、その年の年末。
あんなド田舎なのに大繁盛の彼らのトラットリア、 “手伝いに来てくれないか” とお声がかかった。
まだイタリア語分らないから私は厨房で皿洗いやろ、と思ったがどっこい、担当はカメリエーラ!
幸い特別メニュー1コースのみだったけど、息子ジャコモの教えを必死に聞くも
お客さんからはメニューの説明を聞かれたり、 “stuzzicadenti(爪楊枝) ちょうだい” など
当時知らない単語を言われて固まりながら必死で駆けずり回ったのを覚えている。
確か合計5日間、トラットリア上の空き部屋に泊まり、朝から晩まで彼らと共に過ごした。
それからその年の復活祭でも呼ばれ、今度は開店前は野菜の皮むき、開店後は皿洗い。
更に地元のパスタのサグラに出すパスタソース5種×10キロを仕上げる日もお手伝い。
この日はひたすら玉ねぎの皮(多分5キロの袋を10袋ほど・・・)をむきまくった。
こうしている間に私と彼らの距離もどんどん近くなっていった。

私が一番びっくりしたのは、彼らは手も絶えず動いてるけど口も絶えず動いている。
それは仕事の話じゃなくて冗談だったり、ツッコミだったり、
内容がよく分らないことはケンカしてるんじゃないかとマジでビビッたほどの迫力でしゃべり倒す。
アドリアーナが息子のジャコモに “Sei figlio di puttana!”
(お前は娼婦の息子か!・・・て、オカンはアンタでは!?) と罵倒してる横で、
ジャンカルロはのほほんと歌を歌いながらつまみ食いをしていたり、
後になって、この家族は本当に仲が良い事、ダンナが忙しくても楽しかったというのがよく分った。
そして 彼らのツッコミの対象に次第に私もずぶずぶとはめられてゆき
イタリア語(トスカーナ方言)が分らない私は下ネタを違う意味で教えられて
皆の前で発して爆笑されてしまったり、変な歌を歌わされたり、
“ビオンダ(金髪)~!(当然真っ黒な私への皮肉)” と呼ばれたり・・・

彼らの冗談好きは、私の友人で、彼らの元へ料理レッスンにやってきたT夫妻にも及んだ。
午前中に、その夜用に(時間を置いて食べた方が美味しいため)
リボッリータだったかナスのパルミジャーノだったかをつくり、
その後に一緒に買い物に出かけた時、車を運転していたジャコモが急ブレーキをかけ路肩に止まる。
“バッボ、レンジ消した!?消してないんじゃないの!?”
“ノーーー!お前消してないの?” と言い合う2人・・・
そして彼らの友人でもありレッスンをしていたアグリツーリズモのオーナーに電話電話をかける。
“ああ、あれは黒こげだな・・・晩は軽くピッツァでもつまむか”
通訳していた私もT夫妻もすっかり信じ込んで残念・・・としょぼくれて帰ってきたら、
ほっくほくの出来上がりが!! ・・・このシーンのための猿芝居にすっかり騙された私たち

そして肝心のジャンカルロの料理は、すごくシンプルなんだけどすごく美味しい
一度彼に美味しさの秘訣を聞いた事がある。彼にしては珍しく、ちょっとまじめな顔で
“料理は楽しく食べてもらう人の美味しい顔を想像して作ると、
どんな簡単な料理だって格別になる”

まさにその通りだった。厨房のジャンカルロはいつも楽しそうで、
本当に料理が好きだとにじみ出ていた。その言葉を聞いてから、
私も何だか料理をするのが楽しみに、もっと美味しいものを作りたいと思うようになった。

それから彼らのトラットリアは、お客さんはいるのにカメリエーレが見つからない
という理由で、結局閉店する事になった。
幸い、トラットリア時代から続けていた料理教室や結婚式のケータリングサービス、
そして彼の人柄と人脈で仕事に困ることはなかった。

ケータリング業者を数箇所回ってもしっくりくる所が見つからないし、
きっと彼もその方が喜ぶだろうと・・・最高の料理、最高のデモンストレーションだった


:::::

この豆のミネストローネを作った週の先々週の週末、私の携帯にシエナ県内番号からの着信。
出てみると、ジャコモの奥さん・ラウラからだった。声から何か悪いことだとすぐに分かった。

 気分が悪いなって言って倒れて・・・救急車呼んで人工呼吸してね・・・ 
 一度は甦生したんだけど・・・そのまま・・・”

そのラウラの涙声を聞いていても、あまりに突然過ぎて、
そしていつもの猿芝居じゃないのかとまで思えて、うまく理解できない。
ダンナも、同じ。あんなに大事な人の突然の死なのに、涙さえ出てこない・・・
Vivoのサグラの時はジャンカルロの所に寄って2人目妊娠の報告をしようなって、
さっきのさっきまで言っていたばかりなのに・・・

シエナ県外で亡くなった為に、棺はそのまま封印され、お葬式は一切なし。
これも、彼の実姉が、そして最愛の妻・アドリアーナが亡くなった2年前も
お葬式に姿を現さなかった彼のシナリオのような気がしてならない。

私たちの中では、厨房で鼻歌を歌いながら楽しそうに料理するジャンカルロ、
そして今では最後の姿となってしまった、昨年秋のジャコモの結婚式で
ビシッとスーツで決めたダンディなジャンカルロの姿しか残っていない。

2008.10.17-2

そして、彼のレシピ本。
本に従いながら、作ってた時にこんな風にしてたな、というアレンジを加えながら、
彼の思い出に浸りながら、ずっと彼の料理を作っていこうと思う。

:::::

今日は私の血液検査が朝早くにあり (注射器5本分抜かれました) ダンナ有休だったので
昼ごはん後に週末を過ごすオルチャのノンナの家へ向かいました。

その前に、ジャンカルロの息子・ジャコモの働くガソリンスタンドのバールへ。
妹のエリーザにはマニーノより少し下の息子がいて、
彼らとよくフィレンツェの彼らのノンナ(ジャンカルロのお母さん)のところへ行くと言っていました。
この子供のおかげで笑顔になり、助かっているとか。
そして ジャコモの奥さん・ラウラが妊娠中 であると・・・
13週目だから、ジャンカルロは新しい孫の誕生を知っていたはず。
2年半前はエリーザが妊娠中で、私も同じく妊娠中にアドリアーナが亡くなり、
今度はジャンカルロが亡くなり・・・これも何かの因果なのか。

そして、ジャンカルロの眠るお墓へ。

2008.10.17-3

墓地から見える景色

ここはダンナが働いていた前半のお店の近くで、奥に見える町にはよく行ったそう。
車が運転できないジャンカルロを連れての買出しや、
コック服のままで息子のジャコモのサッカーの試合を見に行ったり。
ここでは、やはり彼の死という“現実”をつけつけられた感じがして、私は泣いてしまいましたが
ダンナは感慨深く見つめた後に、お墓にキスをしただけでした。
うまい形容が見つからないけど、今年1月の実父の壮絶な死を経験して、
ダンナは何だか死に対して免疫というか、強くなったのかな、という気がしました。

そして、かつてのお店にも寄ってみました。
町に入る坂の下にあるゴミ箱を見ただけで
“あ~、毎日ここにジョヴァンニとアペ(自動三輪)でゴミ捨てに来たなぁ” と笑うダンナ
そしてお店の前に立つと、いろいろ回想をしてるのか、1人でニヤニヤしてました。
店のある広場にいたおじさんを見て、 “あ、このシニョーレ老けたなぁ” とか
畑仕事をしてたおじさんを見て、 “あの人は村の名物じいさんで・・・” と語る語る。

2008.10.17-4

それからVivoへ向かう最中でも、ダンナの楽しい思い出・笑い話は尽きず・・・
ジャンカルロも、きっと天国で一緒に笑っているでしょう。



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Last updated  2008.10.21 02:44:57
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辛いね。  
さとみーな さん
親しい人の死は、ほんと辛いね。
特に、久美子ちゃんがイタリアへ来てからの、色んな思い出が一緒にあるからね。
ご主人、大丈夫?
もっと長い思い出がある分、きっと寂しさも多いでしょう。
ラウラだって、いっぱい悲しいだろうね。

悲しいコトけど、いつかは直面する事なんだなぁ・・・と、改めて、考えたよ。

くみこちゃん、思い出のレシピで、良いご供養ができたね。 (2008.10.17 17:28:55)

師匠の思い出の味   
まぁーれ  さん
突然の訃報ってほんとに辛いよね。
彼の大好きだった料理 そしてレシピはいつまで残って 幸せにしてくれるんだと思う。
実は豆のミネストローネのレシピ 聞こうと思ってたところなの。
我が家でも美味しく作れるといいな。
(2008.10.17 20:30:55)

去り方まで  
tosca さん
自分の哲学を貫いた人のようですね。
お世話になったくみこさんやだんな様は
驚きと悲しみでつらいでしょうけど、
こうして思い出話をすることを亡くなった方は喜んでくれてると思います。きっと二人目ができたのも知ってるのではないかな。思い出のお料理を彼を思い出しながら作って、彼のことを話すのが一番の供養かと。
これからの季節、我が家もミネストローネは何度も登場します。お二人の思い出のレシピ、私も一度作ってみようと思います!
(2008.10.18 14:49:08)

ご冥福をお祈りいたします  
きっこ さん
突然の訃報・・信じられない、信じたくない気持ちも大きいよね。こうやって時間を多くすごすと思い出もたくさんあるものね。。
素敵な思い出を料理という形で再現できるから、お料理をしながら思い出したり、習ったレシピを大切に作り続けていくのがきっとジャンカルロさんも一番嬉しいと思うよ。 (2008.10.18 21:27:00)

悲しいねぇ。。。  
gellius さん
やっぱり慕っていた人が亡くなったっていうお知らせはいつ聞いてもつらいよね。。。
色んな思い出があればあるだけつらいものね。。。
でも、こうやって思い出に浸ってくれる人がいるってのは幸せだと思うよ。
(2008.10.20 05:51:36)

さとみーなさん  
そうなの、イタリアに来てすぐに知り合って、ある意味最初の方っていろいろ苦労も多いから濃厚なのよね、何もかも。それからのずっと付き合いで、私との関係って何て表現していいのか分らないけど、特別な存在でした。家族仲がよかったので、本当に辛いと思う。ラウラもジャコモの幼馴染で昔から家族ぐるみの付き合いだったからね、辛かったと思うよ、私に電話するのも。
誰かの死があると、いろいろ考えちゃうよね、嫌な話だけど。
このレシピ本は一生の宝もの!いつまでも彼の味を作っていくよ~ (2008.10.21 02:49:34)

まぁーれさん  
ほんと突然すぎて、悲しみにも浸れなかった。
お墓に行ってはじめて、ここに眠ってるんやなぁってじわ~と涙はこみあげてきたけどね。
レシピ、本には全部カンッネリーニになってるけど、好みで半分とか4分の1とかチェチにしても良いよ♪ (2008.10.21 02:53:04)

toscaさん  
そうなんです、まさにtoscaさんの書かれたとおり、“哲学”だったように思います、彼の生き方って。普段はタダのおもろいオッサンなんですけどね、譲れない部分とか弱さや悲しさを絶対にあらわさないところとか。お墓に行っても、ダンナは最後まで涙を見せませんでした。ずっと楽しかった、きっと彼の人生の“青春時代”だったんでしょう、仕事はきつくても楽しかったって言えるなんて、本当に良い仕事環境だったんだと思います。
この豆のミネストローネは素朴で彼らしい料理です。栄養も満点だし、toscaさんも一度試してみてくださいね! (2008.10.21 04:43:20)

きっこさん  
本当に突然でした・・・ダンナは2年ちょっと、私はほんの少しだけど、何だか人をひきつける特別な人でした。今でも、まだまだ信じられないくらい・・・私がこうしてここに書いたり、料理を作ったりすると“Brava,Bionda---!”と今でも声が聞こえてきそうです。 (2008.10.21 04:47:09)

gelliusさん  
普段はタダのおもろいおっさんなんだけど、やはり特別な存在の人だったなぁ・・・あまりに突然すぎて、本当にまだよく分ってない状態です。私からもダンナからも、出てくるのは笑える話ばっかり・・・きっと彼も喜んでくれてると思うよ。 (2008.10.21 04:52:13)

くみこさんに感謝!!!  
amore さん
バッバ・ポモドーロに引き続き、またまたくみこさんのレシピにトライ! ミネストローネが食べたいと主人が言ったばっかりというグッド・タイミングでくみこさんのブログがミネストローネを紹介していたので、すぐに数種類のレシピを書き取り、早速作りました。中でも、玉ねぎのスープは主人にとっても喜ばれました^O^!!!!オーブンで焼きすぎて、スープが無くなったのですが、それはそれで、美味しかったです。くみこさんの料理レシピは、本当に素晴らしいです。今後も美味しいお料理の紹介を楽しみにしています。 (2008.10.21 18:38:10)

amoreさん  
ありがとうございます・・・っても、私のレシピっていうか、“私がどっかでパクって作ってみて簡単で美味しかったよ”レシピなんですけど、こうして誰かの役に立ったのならそれはそれで嬉しいです♪何だか最近暑いですけど、秋になるとミネストローネ食べたくなりますよねぇ~!玉ねぎの、最近やってなかったし、固いパンもあるので私も久しぶりにやってみます! (2008.10.21 22:57:58)

ご冥福をお祈りいたします。  
Mezzana さん
まずは故人のご冥福をお祈りいたします。
愛する人の死は本当に辛いですね…。
特にくみこさんのイタリア生活において
本当に大切な方だったとのこと。
天国で二つの新しい命を笑顔で見守って
くださっていることでしょうね。

私もレシピ、ぜひ参考にさせていただきます。 (2008.10.22 06:15:48)

Re:師匠の思い出の味 + 追想あり(10/17)  
comesta さん
ジャンカルロさんのご冥福をお祈りします。
突然の死と言うのは、受け入れるのに時間がかかりますよね。
私も最愛の祖母が亡くなった時、なぜだか涙が出ませんでした。
ジャンカルロさんのお料理は、魂と共に生前と変わらず生き続けますよね。 (2008.10.22 14:14:36)

いっぱい  
ペッショ さん
思い出してあげてください。いつまでも。
人間って忘れられるから生きていけるけど、忘れないでいてあげれるのも、人間だもんね。
厨房でいっしょに働くと、すごい連帯感生まれますよね。 (2008.10.22 15:40:53)

Mezzanaさん  
ありがとうございます。
会う回数はもう数えるほどでしたが、私にとってもダンナにとっても特別な人でした。今は本当に仲のよかった奥さんと天国で見守ってくれていると思います。
レシピ、ぜひやってみてくださいね。トスカーナの温かい味がします。 (2008.10.22 17:33:21)

comestaさん  
そうですよね、きっともうしばらく経ってから、
ああ、もういなんだな・・・とじわじわと悲しみがこみ上げてきそうです。
楽しい思い出話とレシピを作り続けるのが一番の供養だと思っています。
ところで、もう日本ですか?
(2008.10.22 20:15:57)

ペッショさん  
本当に、人の死とは悲しいものですけど、時が経つに連れて辛い思いでは薄らぎ、楽しい思い出が残りますよね・・・ダンナも仕事は体力的には辛かったけど、本当に楽しかったといつも言っていました。彼の元で働く前にフィレンツェのトラットリアでも働いてたんですが、厨房内はもちろん、厨房とサーラが仲悪くて、人間関係がイヤでやめたそうです。一方ジャンカルロのトラットリアでは、厨房内はもちろん、厨房内とサーラの関係もすごくよかったようです。
(2008.10.22 21:04:03)

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