真相(1)


 父は、グライトを自らの家へと招いた。父の家は、質素な家であった。しかし、生活に不住していないのは一目瞭然であった。家に入るなりメイドと思しき人が二人、玄関の掃除に精を出していた。外見は質素な家、されど室内を見ると外見の質素な印象は完全にかき消されるほどだ。
 そしてグライトは、リビングらしい場所へと連れて行かれ椅子に座った。そして、今までの経緯を父に話した。父が戦死したと勘違いしていたこと、敵の大軍から己が身を助けてくれるために母が犠牲になったこと、生きるために今しがたしていたこと。
 大方のことを話し終えると、今度は父がグライトに戦死のことについて語りだした。
「確かにお前たちが言っている通り、一度戦死している。いや、実際にはしていない。だがどちらも同じとでも言える状況に追い込まれた」
「追い込まれた?何があったんです?」
「私が敵地へと進行したことまでは知っているわけだよね?」
 その問にグライトはうなずいた。
「うむ、やはりそこまでしか知らないわけだな…。実は、私は敵のカービン銃で撃たれた。そして、仲間たちは俺が倒れるのだけをちらりとみて、それで助けもせずに戦死と決め付けた。こうして、お前ら家族に連絡も無いまま軍の中では戦死と断定されたわけだ」
 そこまではグライトも大体予想がついた。しかし、仮にも銃で撃たれた父がなぜ目の前にいるのか。それだけが腑に落ちなかった。
「そして、被弾した俺は徐々に意識が薄れるのが分かった。もう…もう死ぬのかとそう思った。しかし、俺は助かった!偶然にも俺が生きていることに気付いた一人の衛生兵がいたらしい。しかし、運悪くそれが敵の兵だった。殺される、拷問される、暴行をうける。その嫌な考えだけが頭をまわった。しかし、彼は俺をそういった方向にいかないように対処してくれたんだ…」

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