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サンガンピュールの物語(成長編)1話

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 話を元に戻そう。彼女の本来の任務である土浦市内の悪者退治はというと、順調にこなしている上に、それを通じて新しい技も数々と会得していた。例えば、ジェダイ騎士ばりのマジックハンドで、傷害犯の体を何遍も回転させて目を回せたり、ライトセーバーを投げて重傷を負わせたり…と、乱暴ではあるが土浦市の治安回復に貢献していて、市長からの評価もいい方である。
 彼女のこうした行動により、銀行強盗や暴力団といった町の悪者は彼女を恐れるようになった。彼らは犯罪行為をするのが難しくなり、肩身の狭い思いを痛感していた。その結果として市内における殺人事件や窃盗事件の発生率は大幅に減少した。

 Kは不思議な事実を掴んだ。彼女がそんなことをしているのに、土浦市の人々の間ではファンが急増しているそうだ。女子中高生の間でも
 「女の子なのに男っぽいところが良い。かっこ可愛い」
 という評判であり、中にはサンガンピュールのファンクラブも出来ているそうだ。このことを知ったKは萎縮してしまった。もし大の大人がこんなのに入っていたら、と思うと…ガクガクである。ライトにファンを務めるのならば一向に構わないのだが、オタクみたいな悪質なファンがいたら…。考えただけでも恐ろしい。Kはそのことをサンガンピュールに話してみたところ、彼女は逆に大いに喜んだ。そりゃそうである。自分のファンクラブが出来たものだから。彼女はこう言った。
 「好きなものに何歳か、女か男かは関係ないよ。いい人たちだったら全然心配ないよ。おじさんったら、心配性なんだから…」
 「まあ、そうだよな。一応、好きな人に男・女は関係ないもんな。サンガンピュールの言う通りだよ」
 とKもそう答えるしかなかった。Kは本当に心配性なのだろうか。それ以上に困るのは、人気が過熱してきていたずらをする人が出るのではないか、という余計な心配であった。まあ彼女なら、自分のスーパーパワーで追い返すさ、多分、と余計な心配を杞憂に終わらせたいと思っているKなのであった。

 ( 第2話 へ続く)

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