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サンガンピュールの物語(成長編)11話

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 ジェットパックが使えるようにはなったものの、問題はサンガンピュールが通う学校がどう対応してくれるか、であった。そこで市長は市の教育長に掛け合い、彼女の学校の校長にある指令を出した。それは以下のようなものだった。
 「彼女専用の収納箱を用意してほしい。各教室にある掃除箱を改造するくらいでいい」
 実にウルトラCの手段でサンガンピュールは学校に自分の武器に服、ジェットパックなどを置けるようになったのである。

 そして数日後・・・、午後の授業中にサンガンピュール(ゆうこ)の携帯電話に何か連絡が入った。彼女はおもむろに手を挙げてこう言った。
 「先生・・・!給食を食べすぎたせいか、急にお腹が痛くなって・・・。もう我慢できません、トイレに行ってもいいですか?」
 「そりゃ大変だ!急いで、急いで!」
 と先生から退室の許可をもらい、廊下のどこかに隠れて連絡を受信した。市長からの連絡だ。内容はこういうものだった。
 「飲酒運転のトラックが暴走し、信号無視などで多数のケガ人が出ている。すぐにそのトラックを停めてほしい。トラックは今、北側に向かっている。特徴などはまた折り返し連絡する!」
 「了解しました、市長さん!」
 ゆうこは女子トイレに隠れて制服から戦闘服に着替え、武器とジェットパックを装備した。そしてみんなに気づかれないように屋上を目指し、そこからジェットパックを噴射して空を飛んだ。
 「おおおっ、ジェットパックがあると便利だねえ」
 サンガンピュールは思わずそう思った。一方、職員室では・・・
 「ん?・・・まさか自衛隊の戦闘機かな、この騒音は?」
 「まあ、百里基地へ向かって飛んでるんじゃないんですか?」
 その程度の反応だった。

 市長から新たな連絡が入った。
 「トラックの特徴としては白いボディ、メーカーはいすゞの小型トラック、そして側面には、KEN物流というロゴがある。細かい特徴としては以上だ。それと、常磐線の神立駅から西に3キロ離れた、国道を北に向かって走っている。蛇行運転している模様だ」
 「分かりました、神立方面ですね!」
 サンガンピュールはジェットパックの出力を上げ、北へ進路を取った。学校の屋上から飛び立ってから5分程度、彼女は例のトラックを見つけた。蛇行運転しているのが彼女にも分かった。そしてトラックの側面のロゴを出てみると・・・、

 「KEN物流!それに前面は・・・、いすゞの小型トラックだ!間違いなくこのトラックだ!」

 彼女は急降下し、トラックのだいぶ前で地上に降りた。そして銃を取り出し、トラックの2つの前輪に向かって2発、発射した。その結果は・・・、2つとも当たった!蛇行運転していたトラックはパンクのために急にスピードを落とし、最終的に停車した。すぐに追跡していたパトカーが到着し、サンガンピュールによって動きを封じ込められたトラックの運転士は身柄を警察に引き渡された。案の定、結果は飲酒運転だった。

 警察関係者はサンガンピュールにお礼を言った。
 「いやあ、君のおかげで本当に助かったよ!」
 「あ・・・ありがとうございます!このジェットパックのおかげですよ!」
 「それはよかったですね」
 しかし彼女は重要なことに気づいた。
 「あっ・・・、あたし、学校に戻らないと!授業を途中で抜け出してきたんですよ」
 「それは大変だ、早く戻りなさい!」

 彼女は再び空に舞い上がって、学校へ引き返した。早くしないと休憩のチャイムが鳴ってしまう。それまでに戻らねば・・・。こうしてまたクラスメイトから失笑を買うかもしれない彼女であった。しかし彼女は学校生活を通して、スーパーヒロインとしてだけでなく、人間としても成長でしなければいけないと自覚しているのだった。サンガンピュールのこの町での活躍は、まだまだ続く・・・。

 サンガンピュールの物語(成長編)・完

 ( あとがき に続く)

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