全378件 (378件中 1-50件目)
日本での自家用車の使用年数(車齢)は10年を超えつつある。 自家用車は家よりは安いが、比較的高価な耐久消費財とされている。 世界では日本ほど自動車を長く、安定した状態で使用することを望む人ばかりではないようだ。 下記は高額な欧州車や日本車ではなく、中国車を選ぶ理由が記されている。最新の技術が用いられている自動車を欲する人には、中国車が向いている。 私が日本車ではなく中国車を選んだ理由―南アフリカ人レコードチャイナ 2024年9月17日、中国メディアの環球時報は南アフリカの自動車オーナーによる「私はどうして中国の自動車を選んだのか」と題した南アフリカメディアの文章を掲載した。 文章は、ある南アフリカ人が「最近、1年乗ったスズキの車から奇瑞のOmoda C5に買い替えた」と明かし、車を買い替えた理由について「スズキの車に問題があったわけではない」とした上で、妻とOmodaのディーラーに行った際に一目ぼれし、試乗したところ所有したい思いが強まってその場で購入したと語ったことを紹介した。 そして、この人物が「中国ブランドが既存ブランドからシェアを奪っていることは決して驚くことではない。デザインが良く、丈夫で性能も優れており、高級なドイツ車でしか見られないような各種付属品や機能まで備えている。Omodaを選んだのも、ソニーの音響システムを採用していることが大きかった」とした上で、最も訴求力があったのは価格だと指摘し、同様のスペックであるBMW1シリーズが70万ランド(約570万円)なのに対し、Omodaは47万ランド(約380万円)と3割以上安いと明かしたことを伝えた。 さらに、Omodaは趣のある外観をしているほか、大部分の機能には音声制御が搭載され、内装も非常に豪華だと説明。メーターパネルもデジタルディスプレー化して必要なデータがすべて提供されるほか、グーグルマップや音楽とのリンクも簡単で、音声で指示をすればハンズフリー通話も気軽にできるなどと紹介したことを伝えた。 ― 引用終わり ― 古くなったり壊れがちになったら買い換えるのであれば、外観が先進的で、ユーザーインターフェイスが豊富な最新の中国車は、有望な選択肢になる。 古くなったり、壊れがちになったら、新しい車を購入すればよい。購入資金に不自由しないお金持ちなので、車の売却価格は気にならないはずだ。 環境保護を踏まえてライフサイクルコストを考える人、同じ車に不都合なく長期間乗り続けたい人、最新のメカニズムを重要視しない人、中古車価格が気になる人は、中国車を選択しない方がよい。
2024年10月09日
コメント(0)
米テスラの2024年4〜6月期の世界販売台数は、前年同期比4.8%減だった。24年1〜3月期も同8.5%減と、ここにきて販売の減速傾向が鮮明になってきた。 世界各国の自動車メーカーの中にもEVの生産を縮小、生産能力拡大を延期して、ハイブリッド車(HEV)を増産するところも出てきた。 米国ではアーリーアダプター層によるEVの需要は一巡したとみられている。 ドイツでは新型コロナウイルス対策で残った予算を転用してEV購入時の補助金にしてきた。これが違憲との判決が出たことで23年12月に補助金を停止。販売台数が大幅に鈍化した。 欧州全体は欧州自動車工業会によると、1〜6月のEV販売は前年同期比1.6%増、伸び率は前年の45.0%増から大幅に低下した。EV購入時の補助金を廃止したスウェーデンやドイツではマイナスに転じている。 自動車のナンバー取得で有利な中国では、EVの需要は続いているが、EVの野放図な低価格化とハイブリッド車の増加傾向が続いている。 電気自動車が世界で失速…巨額投資に見合わぬ販売実績ベンツやボルボが計画断念日刊ゲンダイDIGITAL 2024年9月12日 9時26分 「EV(電気自動車)失速」が世界の自動車大手を揺さぶっている。 独メルセデス・ベンツは2030年としていた「完全EV化」計画を撤回。同じく30年までに「全ての新車をEVにする」としてきたスウェーデンのボルボ・カーも構想断念に追い込まれた。 米ゼネラル・モーターズはミシガン州の工場でのEV投資を2年間凍結。フォード・モーターは大型SUVのEVモデル開発を取りやめる。系列部品メーカー筋によると、トヨタ自動車も26年で150万台としてきた世界EV生産台数を100万台に下方修正したという。 業界関係者らにひときわ衝撃を与えたのが独フォルクスワーゲン(VW)だ。ドイツ国内の生産拠点の一部閉鎖を「検討する」というもので、実施されれば1937年の創業以来初。2029年末までの従業員に対する雇用保障契約の「破棄」すら辞さない構えだ。 VWはディーゼルエンジンでの燃費不正問題が発覚して以降、ひたすらEV化に舵を切ってきた。21年には向こう5年間の総投資額の6割に当たる14兆円超(890億ユーロ)をEV関連領域に振り向ける方針も打ち出した。しかし、巨額投資に見合うだけの販売実績を挙げられず、コスト削減を余儀なくされた格好だ。 同社はドイツ国内に完成車6工場、部品4工場を抱え13万人を雇用している。閉鎖対象となるのはこのうち「少なくともそれぞれ1工場」(首脳)とされ、現地では、傘下ブランドのポルシェやアウディに比べ相対的に収益力が劣る「VWブランド車の工場が標的になる」とも取り沙汰されている。無論、組合側は猛反発している。 ― 引用終わり ― EVは、充電設備などのインフラが十分整っていないこと、より高価にもかかわらず、エンジン車に比べ、1度のフル充電で走れる航続距離が短く、酷暑・酷寒でバッテリー性能が大きく低下するなどが弱点となっている。 高価なEVの販売が失速する一方、電池切れでもエンジンで走行できるPHEVや、ハイブリッド車(HEV)の販売が、中国を含めた世界各国で大きな伸びを示している。 現行のBEVは地球温暖化防止策、CO2削減策となっていないことも知られてきた。BEVの販売失速は地球環境にとって、けっして悪いことではない。
2024年10月08日
コメント(0)
全固体電池の実用化や市場投入は当面先であり、現在ではリチウムイオン電池や半固体電池が主流。 カーボンニュートラルを含む気候変動対策などのトレンドもあり、全固体電池の需要は伸びると予測される。 日産は2010年に同社初の量産BEV「リーフ」を発売。2023年7月、世界で100万台の電気自動車(EV)の販売を達成。 全固体電池の開発も進められており、2021年11月に発表した長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」で、2028年度までに自社で開発した全固体電池を搭載した電気自動車(EV)を市場投入すると公表している。 ホンダは、2021年4月に現社長である三部敏宏氏が社長就任会見にて、先進国全体でのEV・FCEVの販売比率を2030年に40%、2040年にはグローバルで100%にまで引き上げることを宣言した。 全固体電池の研究開発を独自に進めており、実証ラインでの生産技術の検証に着手し、2020年代後半のモデルに採用できるよう研究を加速すると公表した。 2023年12月23日、ホンダはGSユアサと2023年中にEV用電池を開発する、共同出資会社を設立すると発表した。 新会社では開発や販路の企画など幅広い領域で協業する見込み。両社はハイブリッド車(HEV)用電池ですでに協業している。 ホンダはEV需要の拡大に備えた電池確保に向け、提携を広げる狙いがあるとみられている。 日産・ホンダ・トヨタ…夢の電池「全固体」開発にアクセル2024年05月02日 ニュースイッチ 「全固体電池」への関心が高まっている。カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)を背景に電気自動車(EV)など車の電動化が進展。EVの課題を解決するカギとして世界規模で研究開発が進む。航続距離を延ばし、充電時間短縮やコスト削減が図れる―。〝夢の電池〟をめぐる動きが活発化してきた。 日産 28年度めどに搭載車 日産自動車は全固体電池のパイロット生産ラインを横浜工場(横浜市神奈川区)で建設中だ。エンジンやモーターなどを製造する既存工場を改修し、クリーンルームや付帯装置の工事を推進。生産設備を導入し、2025年3月の稼働を目指す。 建設中のパイロット生産ラインは縦135×横75メートルで床面積は約1万平方メートル。「電極」「セル」「モジュール/パック」「化成」の各工程で構成する。投資額は非公表だが年産能力は2000台分に相当する最大100メガワット弱(メガは100万)を計画。200人規模が同ラインで研究開発に当たる。 同ラインで製品・生産技術の開発を進め、26年度から試作車による公道テストを開始する。生産能力や生産性を高め、28年度から長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」で掲げる全固体電池を搭載した新型EVの市場投入を目指す。坂本秀行副社長は「長年、電動車の設計や生産技術に携わってきたが全固体電池が到達点ではないか」とし、「革新的な生産技術の開発と量産適用で電動車の競争力を飛躍的に向上させる」と力を込める。 ホンダ 独自の技術実証へ ホンダも独自で開発を進める全固体電池の開発加速と技術を“手の内化”するため、栃木県さくら市に430億円を投じ、実証ラインを立ち上げる。20年代後半に投入する次世代EVへの採用を目指している。グローバルで電動化を推進し、40年までのEV・燃料電池車(FCV)でグローバル販売比率100%を目指していく。 トヨタ 出光と特許トップ連合 トヨタ自動車は27ー28年にもEVに全固体電池を搭載することを目標に掲げる。出光興産をパートナーに選び、両社で数十人規模の特別作業班(タスクフォース)を立ち上げた。量産技術開発や生産体制の確立、サプライチェーン(供給網)構築に取り組む。競争力が高く普及しやすい全固体電池を開発・量産し、EVの市場競争力を高める方針だ。 トヨタと出光では、現行EVに搭載するリチウムイオン電池(LiB)に比べ、体積当たりで2.4倍の航続距離を持つ全固体電池を目指す。 トヨタが出光を共創相手と選んだのには理由がある。それは、出光が持つ材料製造技術だ。同社は1990年代から石油製品の製造過程で発生する硫黄成分に着目。全固体電池の実用化に必要な、柔軟性と密着性が高く、割れにくい固体電解質の開発に2001年から着手している。この固体電解質の特許保有件数は両社が世界トップクラスであり、両社の協業は自然の流れと言える。 トヨタの佐藤恒治社長は「車の未来を変えるカギが自動車とエネルギー産業の連携。両社の力を一つにして全固体電池を量産化し、日本発のイノベーションを実現する」と意気込む。 ゲームチェンジャーの期待高 全固体電池は電解質が液体ではなく固体であるのが特徴だ。エネルギー密度や出力密度がLiBより優れ、電池の内部抵抗が少ないため急速充電にも適している。電解液がないため化学的にも安定し、耐久性や信頼性・安全性にも優れる。EVの充電時間短縮や航続距離の拡大など電池特性を飛躍的に高め、自動車自体の機能や商品性を向上できる。EVの普及を加速する「ゲームチェンジャー」としての期待は高い。日本や欧米の主要な完成車メーカーが量産に向けた計画を公表し、特に世界的に新エネルギー車(NEV)市場が拡大期にある中国でも研究が進む。 ― 引用終わり ― 全固体電池は今のところ製造原価が非常に高いため、高性能・高価格の車両に適用されると考えられ、廉価なEV普及拡大の決め手とはならないと考えられている。 トヨタは、2006年とかなり早いタイミングから全固体電池における要素技術の研究開発に着手していた。 2022年6月、国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)が設立した「全固体電池マテリアルズ・オープンプラットフォーム(以下MOP)」にトヨタが参画することが発表された。 2023年10月、トヨタは全固体電池の量産化、サプライチェーン構築において出光興産との協業を発表した。 2027年度に国内向けに固体電解質のパイロットプラントを稼働させ、2027〜2028年に発売するEVに搭載して商品化する計画であり、全固体電池の量産化に向けた基本骨格が描かれていると見受けられる。 2024年09月06日 TOYOTA公式サイト次世代BEV向け電池と全固体電池の開発・生産に向けた「蓄電池に係る供給確保計画」が経済産業省より認定BEYOND ZERO ニュースリリース テクノロジー CASE 電動化 電池 カーボンニュートラル トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、本日、2026年導入予定の次世代電気自動車(以下、次世代BEV)等への搭載を目指している次世代電池(パフォーマンス版)と、全固体電池の開発・生産計画について、経済産業省から「蓄電池に係る供給確保計画」として、認定されました。 今回認定された計画は、①次世代電池(パフォーマンス版)のプライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社(以下、PPES)での生産、②プライムアースEVエナジー株式会社*1(以下、PEVE)での生産、③全固体電池の開発・生産計画となります。 ― 引用終わり ― 日本の自動車メーカーなどの全固体電池の開発、製造の計画がより具体化されたことにより、リチウムに代わる金属の利用、半固体電池に注力していた中国のメーカーで2024年に大きな変化が生じた。 2024年1月、全固体電池の開発を目的として電池メーカーのFinDreams BatteryやCATL、Gotion High-tech、Svolt Energy Technology、CALB、EVE Energyと、自動車メーカーの「BYD」「Nio」などが参画するコンソーシアム「中国全固体電池協同創新(CASIP)」が発足した。この取り組みは産学官を巻き込んだもので、2030年までのサプライチェーン構築を目指すとしている。
2024年09月12日
コメント(0)
中国の電気自動車(EV)大手BYD(比亜迪)が発表した第2・四半期決算は、純利益が91億元(13億ドル)と前年比32.8%増加し、2023年末以来の高い伸びとなった。 売上高は25.9%増の1762億元だった。主力モデルの積極的な値下げによる価格競争激化でも純利益が増加した。 自動車および関連製品の販売は総売上高の75.8%を占めた。 BEVの普及拡大でBEVのデメリットも広く知られるようになった。1.バッテリー高価なので車両価格が高い2.充電設備が必要3.1回のフル充電での航続可能距離が短い4.充電時間が長い5.極低温環境下でバッテリーの性能が低下する6.低温環境下のエアコンの使用でバッテリーの残量減少が顕著7.バッテリーから発火すると火が回りやすく、消火しにくい そのほか充電中、走行中のバッテリーの自然発火がみられるというデメリットもある。 数々のデメリットが明確となり欧米先進国ではEV普及率急拡大に歯止めがかかった。 電気自動車は火災事故が多いのは本当か?日本と海外の事例を調査公開日:2024/06/22更新日:2024/06/22 CARSMORA … (略) …中国メーカーの電気自動車で火災事故が多発?SNSでは海外からのニュース配信を引用し、自らの意見も添えて発信する人が数多いのですが、自動車に関しては中国製の電気自動車で火災事故が起きた時など話題にしたがる人が多いようです。 中国メーカーの電気自動車で火災事故が増加 まず、中国メーカーの電気自動車で火災事故の「件数」が増加しているのは本当かどうか…と言えば、参考になるデータがひとつあります。 中国でさまざまな安全対策などに関わる「応急管理部」の消防救援局によれば、2022年第1四半期には電気自動車の火災事故が640件、1日平均では約7件発生しており、前年同期と比較して約32%増加したと発表されています。 ― 引用終わり ― 2024年1月11日、中国政府は2027年までに、すべての新車販売に占める電気自動車(EV)など新エネルギー車の比率を45%に高める目標を発表した。35年に50%をめざしていた従来の目標を前倒しした。 中国系のEVメーカーは乱売合戦で価格を引き下げており、BYDのBEVはICE(内燃車)の価格に引けを取らなくなった。 収支が合わず破綻したメーカーも多いが、中国ではナンバー取得が容易ということもありEVの販売は好調を保っている。 2024年1~6月、中国でのトヨタ、ホンダ、日産の安いEVがラインナップにない日系3社の合計販売台数は前期比で13%減少した。日系メーカーでは、販売低迷を受けて生産能力の縮小に向けた動きが出ている。 世界を席巻「中国EV」の戦略と急成長の秘密…韓国企業に迫る危機感2024年9月10日 AFP BBNEWS 世界の電気自動車市場で中国の影響力が急拡大する背景に、全工程をカバーする同国企業の包括的な戦略と積極的な投資があったとの分析が示された。 韓国貿易協会の国際貿易通商研究院が9日に発刊した報告書「中国の電気自動車革新戦略と示唆点」によると、世界的にEVの需要が停滞する懸念はあるなかで、中国のEV輸出と内需販売はともに上昇傾向を維持していることがわかった。 昨年、中国のEV輸出は前年に比べて69.9%増加し、341億ドル(約5兆円)に達した。新エネルギー車の内需販売比率も31.6%で過去最高を記録し、今年7月には初めて内燃機関車を上回り、51.1%にまで拡大した。 報告書では、中国のEV企業の成長要因として、供給網の垂直統合、海外拠点の拡大、果敢な研究開発(R&D)投資が挙げられた。 中国EV最大手の比亜迪は、従来の自動車産業の慣行であった外注生産から脱却し、部品を自社で生産する内製化方式を採用して急成長した。EVの開発から生産、販売、海外運送用の船舶建造に至るまで、全体の供給網を内製化し、安定した競争力基盤を構築したとされている。 さらに、積極的な海外拠点拡大戦略も注目される。BYDは東南アジア最大の自動車生産拠点であるタイに4つのモデルを投入し、今年7月から年間15万台規模のラヨーン工場を稼働させている。また、下半期にもブラジルの電気自動車工場が完成予定で、ハンガリー、ウズベキスタン、パキスタンなどにも海外拠点を拡大している。 研究開発への投資規模と人員も過去最大に増加している。BYDの昨年の研究開発投資額は前年に比べて112%増加し、395億7000万元(約8000億円)に達し、2019年に比べて4.7倍増加した。BYDは2023年末時点で累計4万8000件の特許を出願し、研究開発人員は10万人に達するとされている。 ― 引用終わり ― EU、米国の自動車メーカーはEV増産計画を放棄、見直ししているところが大半であるが、EV市場が「終わった」あるいは「安定期に入った」というわけでもない。 急速な都市化などで大気汚染に悩む国は多く、東南アジア、インド、ブラジル、メキシコなど新興市場で電気自動車の需要が本格化すればEV市場が拡大するという見立てもあり、BYDなど中国のEVメーカーは輸出拡大、現地生産拡大に向けた施策をとっている。 アフリカなどの途上国に安価なEVを供給するという動きもある。 BEVは発展途上の技術であり、特にEV駆動用バッテリーで先行者利益を得ようと、世界中で希少元素の使用が少ない安価な電池、全固体電池などの研究開発に注力している。 燃料電池車(FCEV)もEVであり研究開発が続けられている。
2024年09月11日
コメント(0)
新エネルギー車(NEV)は、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の中国の用語。 2024年上半期、中国でGDPが1兆元(約20兆円)を超える26都市のうち泉州、蘇州、福州、重慶、深セン、無錫、煙台、青島、南通、常州、合肥、北京、寧波、武漢、鄭州、済南、東莞の17都市の経済総生産は全国の約4分の1を占めている。 これら17都市の成長の要因として、ゼロコロナ政策で落ち込んだ主力産業の回復、新産業の成長があるが、NEV生産拠点の稼働が挙げられている。 2024年7月30日、中国税関総署の趙増連(ジャオ・ズンリエン)副署長は記者会見で、「中国が輸出する自動車の10台のうち4台は電気自動車(EV)、機関車の10台のうち7台は電気機関車で、輸出するバッテリーの9割近くがリチウムイオン電池であり、対外貿易の輸出はグリーンの属性がさらに強まった」と述べた。 経済政策で失点が続く習政権は新エネルギー産業分野の成長に中国の経済成長をかけているようだ。 幸いにも7月の新車販売の過半数をNEVが占めた。 中国で7月に売れた自動車の半分が新エネ車単月では初めて過半数に―仏メディアRecord China 2024年8月10日 2024年8月8日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国の7月の新エネルギー車販売台数が全体の半数を上回ったと報じた。 記事は、中国自動車工業連合会(CPCA)が8日に発表したデータで、7月のハイブリッド車と電気自動車(EV)の合計販売台数が前年同期比27.6%増の94万5000台と大幅に増えたことを紹介。同月の中国国内乗用車販売台数172万台の51.1%を占め、単月の販売台数として初めて新エネ車が過半数を占めたと伝えた。また、新エネ車のうち純電気自動車(BEV)が50万5000台だったとしている。 そして、中国ではここ数年で数十もの新興EVメーカーが出現して激しいシェア争いを繰り広げているとした上で、7月の販売台数では中国最大手のBYDが24万6000台で米大テスラの7万4000台を大きく上回ってEV部門でトップに立ったと紹介。BYDは中国国内だけでなく海外市場進出に注力しており、欧州を含む50か国余りでEVを販売しているとし、テスラから世界最大の高級車販売業者の座を奪ったと伝えた。 さらに、中国のEV市場はここ数年で急速に発展しており、特に新モデル車への買い替えで約20万円の補助金が得られるなどの購入補助政策で販売を伸ばしているとする一方で、経済成長の鈍化で消費が冷え込む中、ここ数か月は各メーカーの間で激しい値下げ合戦が繰り広げられており、利益が大幅に圧縮されていると指摘した。(翻訳・編集/川尻) ― 引用終わり ― 中国のEV製造は2023年から企業の撤退、破綻が続いている。価格競争も激化しており、中国製のEV(BEV)は今年に入ってICE(内燃エンジン車)より低価格となっている。 欧州では低温時のバッテリー性能劣化の激しさなどからEV販売の成長は著しく鈍化し、フォルクスワーゲンやベンツなどはEV販売計画の見直しを迫られている。 中古車価格は低いものの、補助金がなくとも取得価格が安いこと、公道を走行するのに必要なナンバープレートの取得が容易なことからEV販売は低下していない。低温下での走行、長距離走行が要求されるユーザーは、HEV、PHEVが選択されるのでNEV全体としては増勢傾向が続いている。 中国政府はレアメタル、レアアース採掘にともなう環境汚染、バッテリー廃棄・回収問題に目を瞑ったまま、エコでもクリーンでもグリーンでもないEVの普及拡大政策を推し進めている。 中国が世界最大の新エネ車市場に産業再編を促進―中国メディア人民網日本語版 2024年8月9日 今年4月前半、新エネ車市場の出荷浸透率と販売浸透率がいずれも50%を超え、関連する計画の目標が11年前倒しで達成された。中国はすでに世界最大の新エネ車消費市場となり、効率的に協同する産業体系が構築されている。 研究開発者10万人がイノベーションの原動力 電気自動車(EV)大手・比亜迪(BYD)のブレードバッテリーは、正極にリン酸鉄リチウムを利用したリチウムイオン電池で、その形が「ブレード」のようであることから、このようなネーミングとなった。 BYDの廉玉波(リエン・ユーボー)首席科学者(自動車チーフエンジニア、自動車工学研究院院長)は、「従来のリン酸鉄リチウム電池と比べると、約40%のスペースを節約できている。ブレードバッテリーは、電池のエネルギー密度が高まっているほか、革新的な構造となっているためシャシーに直接取り付けることができ、スペースの利用率やシステムの安全性が大幅に高まっている」と説明する。 自動車業界はこれまで長い間、安全性と長い航続距離を兼ね備えた電池を実現することができなかった。しかし、BYDはリン酸鉄リチウム電池の材料の安全性を確実に確保することをベースに、長年にわたり蓄積してきた技術を駆使して、2020年3月にブレードバッテリーの研究開発に成功した。技術にこだわって生まれたブレードバッテリーは比BYDのエース格の商品となっている。 ブレードバッテリーやPHEV技術「DMテクノロジー」から、駆動制御システム「易四方」、車体制御システム「雲輦系統」、スマートアーキテクチャ「璇璣」に至るまで注目を集める革新的な技術が、BYDが前進し続ける新たな原動力となっている。 現時点で、BYDには研究開発者が10万人以上在籍し、技術研究院が11院設置されている。 技術の「ソロバン」を弾き続けることで、中国の自動車メーカーの発展の可能性は拡大し続けている。中国自動車工業協会のデータによると、中国の独自のブランドの海外市場のシェア率は上昇し続けている。今年上半期(1-6月)、中国の国産新エネ車の輸出台数は前年同期比13.2%増の60万5000台に達した。 … (略) … ローカライズ率90%以上の産業チェーンがエコノミーに 中国の新エネ車産業は現在、加速しながら拡大している。川上・川下の中小企業はその勢いに乗って、エコロジーを頼りに成長し、産業チェーンの重要な下支えとなっている。 データによると、整った産業チェーンを拠り所とし、中国の主流新エネ車メーカーのパーツのローカライズ率は90%を超えており、一部のメーカーではその数字が95%以上に達している。 ― 引用終わり ― BYDの創業者・王伝福会長は「ブレードバッテリーは新エネルギー車の辞書から自然発火を完全に消し去る」と述べた。 2023年12月、BYDのディーラー3店舗(遼寧省・四川省・山東省)で火災が発生。 2024年4月4日、中国・河北省滄州市を走行中の自動車運搬中のトレーラー上で、電気自動車が自然発火、他の自動車も全焼するという事件があった。発火したのはBYD車とされる。 2024年5月16日、中国・福建省福州市閩侯県にある電気自動車メーカー『BYD』のショールームで火災が発生。 BYDのEVは自然発火すると噂になっている。 EV製造で2024年に世界一になるとみられているBYDは、2023年、コスト削減と経営資源の再配分のため従業員2万7千人のうち10%に当たる2700人ほどが解雇されたとみられている。 2024年5月、中国江蘇省無錫にあるBYDの自社工場にて大規模ストライキが発生した報じられた。4交代制と週5日8時間勤務が導入され、「週休2日、残業なし」となり賃金が下がったためとされる。 中国で、残業削減は従業員に間接的に退職を強制するために多くの企業が採用する一般的な戦略とされる。 不思議の国中国では公式声明と現実の間にしばしば乖離がみられる。
2024年08月26日
コメント(0)
6月17日、中国・杭州市で、新たに100台の新エネルギー流し営業タクシーが集中的に引き渡され累計で8000台余りのタクシーを新エネ車に切り替えた。 充電スタンドの不足、寒冷期の航続距離低下、停車中の発火、発火した際の消火の困難、エンジン車に比べて著しく安い中古車価格などが広く知られるようになった。製造から廃棄までをとらえるとCO2削減の観点でも、重金属の処理の点から見ても、環境に優しいとは断言できないことも明らかになった。 BEVの導入促進を続ける杭州市は習政権に忠実なのだろう。 BEVの普及拡大を強力に推進する中国は、世界一速く廃車となったBEVのリサイクルシステムを実現することだろう。BEVの放置は重大な環境汚染を招く可能性がある。期待せずに待とう。 杭州市、累計で8000台余りのタクシーを新エネ車に切り替え―中国Record China 2024年6月22日 12時30分 浙江省杭州市では17日午後、新たに100台の新エネルギー流し営業タクシーが集中的に引き渡された。浙江在線が伝えた。 杭州市交通運輸局が先に策定した「流し営業タクシー分野の車両電動化の推進・拡大に関する杭州市の実施意見」によると、2022年より杭州の市街地で流し営業タクシーを新規導入、更新する場合は新エネ電気自動車(BEV)にしなければならず、その車両は「杭州市流し営業タクシー車両技術基準」を満たす必要がある。杭州市の街中を走行するガソリンタクシーのBEVへの切り替えを開始する。 ― 引用終わり ― BEVの普及拡大で杭州市の街の空気はいったん綺麗になることだろう。大気汚染が深刻な中国にとってはこの点は重要。 BEVは大量の駆動用電池の廃棄による環境汚染、資源の有効活用により製造コストを抑える方策として、電池のリサイクルやリユースが重要なポイントとなる。 電気自動車の駆動用電池として使われるリチウムイオン電池は5年ほどで寿命を迎える。コバルトやニッケル、マンガンなど、土壌や水を汚染する材料が多く使われているため、そのまま廃棄することは環境汚染に直結する。 中国では廃棄されるバッテリーの数は急速に増えつつあり、環境汚染は既に深刻化しているといえる。今後確実に、世界各国で廃棄方法の確立が課題となる。 6月25日、中国・BYDは、セダンタイプのBEV「シール」を発売した。昨年1月に日本の乗用車市場に参入して以降、3車種目の投入。販売整備拠点の不足を考慮してか、日本では中国で販売好調なハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)を投入せず、BEV一本でいくという姿勢。 シールは2022年発売開始。1回の充電で走れる航続距離は640kmで、米テスラのセダンBEV「モデル3」に匹敵する。外観ではフロントグリルをなくしたのが特徴的。日本での価格は税込み528万円から。 BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は発表会で、「最新テクノロジーを満載した。日本のEV市場の潮目を変えたい」と語った。 中国製、韓国製EVの充電中の火災も知られ、制御系のトラブルによる暴走も知られるようになった。 現状のBEV技術での日本製以外のBEVに対する日本市場の潮目は、容易なことでは変わらない。 世界各国でのBEVのトラブル情報が豊富になるとともに、日本ではBEVはお金に余裕のある人の一選択肢との理解が広まっている傾向がみえる。 その観点でみると、フェラーリやポルシェが加速性能の高さを中心にスポーツモデルとしてEVをラインナップしたのは適切に思える。 BYDジャパンは、街乗り、普段使い用のBEVの普及という、険しく細い一筋を辿ろうとしているのを理解したくはないのだろう。
2024年07月15日
コメント(0)
EVはモーターで駆動するため、駆動用バッテリーの電気残量がなくなれば、不動となる。エンジン車のガス欠と同じことで、EVでは「電欠」と呼ばれる。 「電欠」になったら、パワースイッチもOFFにすること。パワースイッチがONだと補機用の12Vの鉛バッテリーまであがってしまい一切の電気的制御ができなくなる。 2023年8月1日より、JAFは「EV充電サービス」のロードサービスの試験運用を開始した。これは充電機材を搭載したバン型サービスカーが、電欠した現場まに行き、その場で充電を行うというもの。EV充電サービス対応車の車両価格の問題、EVの高電圧配線場所が異なるなどの問題があり全国展開はできないという。 最寄りの充電ステーションへの搬送しかないかとなったところに、現場での急速充電サービスの提案があった。 「EVは“電欠”が怖いし…」 実はガス欠より対策ラクかも? 新ビジネスになりそうな“もしものサービス”とは?乗りものニュース 2024年6月1日 16時12分 EVが普及すると当然、電欠などの問題も深刻化してきます。この問題に対し、「現場での充電サービス」というビジネスが今後、増加してくるかもしれません。 レッカーでかかる時間を急速充電で短縮 横浜市のパシフィコ横浜で2024年5月24日まで開催された「人とくるまのテクノロジー展2024」では、EVに関する技術の公開も多数ありました。なかでも、ガソリン車のガス欠よりも面倒という意見もある「電欠」への対策の提案がいくつか見られました。 会場でEV用のポータブル充電機を公開していたベルエナジーの担当者によると「電欠の場合、フル充電する必要はなく、最寄りの充電ステーションや自宅にたどりつける20km程度動ける電力の供給が重要になります」とのこと。 仮に電欠した車両をレッカーなどで運ぶ場合、レッカー移動の準備などで約45分、さらに最寄りの充電ステーションまでのレッカー移動時間、そして急速充電機からの給電であっても充電に少なく見積もって20分――こうした時間ロスが積みあがっていくことになります。 このレッカーの時間を充電時間に当てようと考えたのが、ベルエナジーが提案していたポータブルEV急速充電器「Roadie V2」です。従来のレッカー車による搬送ではなく、現場に駆けつけて急速充電サービスを提供するというものです。 「Roadie V2」はEVが20km程度走れる、20kwのバッテリーと専用の電力変換器を連結して使用します。JAF(日本自動車連盟)では既に使用されており、変換機とバッテリーを複数個搭載し、レッカー車に代わって同製品をクルマに積んで現場へ急行、約20分の急速充電を行い、走行可能にするサービスが提供されています。 「同じ車線での運用の他に、渋滞の場合は反対車線に横づけしての使用も考えられています。充電はテスラを含め、日本で販売されている全てのEV車両のソケットに対応可能です」(同担当者) また、基本的には変換機とバッテリーをクルマに乗せた状態で電欠車両に充電を行う想定ですが、電力変換器が27kg、バッテリーが1個33kgと計約60kgという重量のため、2人以上の人員での手持ちや、台車での輸送もギリギリ可能で、両車線が渋滞しているなど、クルマの入るスペースもない場合にも使える仕様にはなっているとのことでした。 バイクのエンジンを使って給電する方法も! また、クルマの発電用機械などを製造しているTPRは、バイクのエンジンで発電し、その電力を直接供給するという方法を紹介していました。 まだ実用前の段階とのことですが、目的としては小回りの利くバイクで現場に急行し、ディーゼル発電機のかわりにバイクのエンジンに連結されているモーターを使い充電するとのことです。担当者は「特に高速道路などの場合、最寄りの充電ステーションにつくため10-20分走れる電気があれば問題ありません。その分を供給するのがこのバイクです」と話します。 なお、ベルエナジーがJAFに聞いた話によると、EVの台数増加とともに、電欠による立往生なども年々急速なペースで増加しているとのことです。そのため25分程度の時間ロスの短縮でも、今後は重要になってくるとのことでした。 ― 引用終わり ― 残るは移動式急速充電サービスの適切な価格設定となる。レッカー移動と同等以下の価格に設定できるのだろうか? 次世代バッテリーが実用化された場合、電欠の対応は大きく変わる可能性がある。 JAFの車両もEVや水素燃料になっている可能性もある。
2024年06月22日
コメント(0)
2024年、ドイツのBMW、VW、ダイムラー、米国のフォード、GM、英国のジャガーランドローバーなど、BEVシフト生産削減の発表が続いた。供給過剰のEV市場で中国BYDは勢いを増し、ドイツのアウデイは踏ん張る。テスラは人員整理を開始した。 EV市場を取り巻く熱狂は冷めた。しかしながら加速中である。 堅実なトヨタ、ホンダ、日産が見抜いていた通り、技術開発、技術進化の途上にあるBEVの量産に先行者利益は望めない。 円安も加わり、2024年3月期の日本の自動車メーカーは史上最高益・好決算続出した。今後も続く研究開発投資の源泉も確保された。 EV市場の伸びが減速しただけで、経済停滞社会で減点主義が行き渡った日本では「EVはオワコン」的な意見が目立つ。1.EVの販売台数・売上の伸びは想定より著しく鈍った2.普及拡大でBEVの短所が明らかになった3.内燃車と競争的な売価とするため、BEVは大幅な原価低減が必須 BEVに限ってもEVは終わったわけではないし、NEV(新燃料車)となると未来はさらに広がる。 「EVはオワコン」は本当か?航続距離も問題に…8つの弱点を克服しつつある中国。乗り遅れると日本勢こそオワコンに=牧野武文2024年4月18日 MONEY VOICE欧州では販売数の伸び率が鈍化をしている「EV車(以下・EV)」。2035年からEUは二酸化炭素を排出する車の販売を禁止することを発表していますが、世界が目指しているのは果たしてEVの普及なのでしょうか?アメリカ大統領選が近づいてきた昨今、注目を集めるトランプ氏の「ガソリン車を使い続ける」という発言は、国際的な約束を破ることになりますが、そもそもEVにどのようなデメリットがあるのか、そしてEVの欠点を克服した中国の2024年の最新情報をご紹介します。 … (略) … EVが「オワコン」「失敗」と感じている方々は次のような事実を根拠にしているようです。1.欧州市場において、ハイブリッド(HEV)の伸び率がEVの伸び率を上回った。2.米国市場において、HEVがEVの販売台数を抜いた。3.これによりトヨタのHEVが売れ、過去最高益を記録した。4.2024年1月シカゴに寒波が襲来し、充電器が凍結し、多数のテスラ車が充電できず立ち往生した。5.メルセデスベンツが2030年以降も燃料車を開発、販売すると方針転換した。6.AppleがEVの開発を断念した。 欧州でEVの伸び率が鈍化をしたのは当然です。2023年9月にはフランスでEV補助金の対象車の条件が厳格化されました。国内メーカーを守るため、中国EVを補助金対象から外すための措置だと言われています。 また、同年12月にはドイツで補助金が1年前倒しで終了しました。補助金予算を新型コロナ対策費から支出していたことが、憲法裁判所によって違憲だと判断されたためです。補助金が少なくなれば実質価格が高くなるのですから、伸び率が鈍化するのは当然といえます。それでもEVは前年よりも伸びているのです。あくまでも伸び率鈍化です。EU各国は新たなEV促進の枠組みを構築しなければならなくなっています。 … (略) … 「EV」8つの弱点とはなにか? EVの欠点と言われているのは次のようなものです。1.充電ステーションが少なくて充電できない2.航続距離が短い3.火力発電でつくった電気で走ってもエコじゃない4.充電に時間がかかる5.寒冷地では出力が落ちて使い物にならない6.自然発火をする恐れがあるので危険7.バッテリーが劣化をしてエコじゃない8.製造とリサイクルの過程で大量の二酸化炭素を排出するのでエコじゃない EVにはこのような問題があるのは事実ですが、EV先進国(もはやそう言っていいかと思います)である中国では、すでにこのような課題に対して克服されつつあります。簡単に言えば、「EVはオワコン」とおっしゃっている方は、5年くらい前のEVの状況に基づいて「EVは使えない」と判断してしまっています。 … (略) … EVの欠点を克服していく中国 中国や米国の多くの州では、「ゼロまたは低エミッション車を50%以上」にして、ハイブリッドの販売までは禁止しません。ただし、中国は燃料車は販売禁止、米国は燃料車もOKという違いがあります。これは両国の国土が広く、砂漠のような場所でEVなどのゼロエミッション車を強制すると命に関わるからです。 日本の場合は、ハイブリッドも含めて「電動車」と呼び、ガソリン/ディーゼルなどの燃料車の販売を禁止にします。おそらく今の状況だと、ハイブリッドが7割か8割という状況になるのではないでしょうか。ゼロエミッションを目指すつもりはないようです。日本は、世界でも特異なハイブリッド自動車が主流の国になりそうです。では、EVの欠点を中国はどう克服しているのでしょうか。 ― 引用終わり ― 現時点BEVを取り巻く欠点・短所は克服されていない。今後の取組であり新しい物事にトラブルは付き物ということなのだろう。 減点主義が徹底されている日本でさっぱり売れないBEVは、人命にかかわるような欠点、短所があっても寛大な諸国民の間では売れている。 技術の進捗を見極めないと原価低減のための量産設備建設の規模について適切な判断はできない。 規模に対して適切な量産設備が完成しないと原価低減がすすまない。 内燃車は量産の観点から、素材技術も、加工技術もコストの点でも、品質の点でも究極の領域に達している。 BEVを含むEV全般に技術面で定まっていないので、現時点で最適な量産設備を建設しても無駄になることはあり得る。 EV市場は始まったばかりで、未成熟な領域であり〇×の判定は困難。決めつけることはできないが、EVが市場の一定のシェアを占めることは分かった。 日本の自動車メーカーはEV市場への参入が遅れたのではなく、市場の規模が見えてきたので、自前で生産するモノ、合弁で生産するモノ、他社から供給を受けるモノに分けて供給網整備から量産の準備をすすめている。 EVに早く取り掛かり減益、設備過剰となった他国の既存自動車メーカーを見ていると「慌てる乞食はもらいが少ない」という言葉が思い浮かぶ。 EV市場に変調……アクセルをふかしはじめた日本勢への影響は?ニッポン放送 NEWS ONLINE 2024年5月19日 政策アナリストの石川和男が5月19日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。米EV(電気自動車)大手テスラが、減収減益や人員削減に追い込まれるなど変調をきたすEV市場について専門家と議論。今後の日本がとるべきEV政策やメーカーの戦略について提言した。 … (略) … そのうえで、今後日本メーカーが世界のEV市場で勝てる価格について聞かれた井上氏は「市場によって違うと思うが、アメリカであれば補助金なしで400万円くらい(1ドル150円程度を想定)のEVを出せば売れると思う」と述べる一方、「日本国内では150万円くらいだと思う。国内は軽自動車が中心のマーケットになっていて、可処分所得も伸びず、高齢者も増えるなかで国民の足となっている。地方に行けば一人一台。ガソリンスタンドも減少する中、軽自動車のEVでもう少し安いものが出れば爆発的に売れると思う」との見通しを示した。 最後に石川は「(今のEV価格競争を)日本が傍観者として見ているのは、実はいいこと。日本メーカーは、競争を見極めたうえで売っていくことができる。最終的に日本メーカーが大事にしなければならないのは価格戦略。いいものが売れるのではなく、売れるものがいいもの。メーカーが価格戦略を立てられるよう、国も支援策をふんだんに出して、国策として日本のEVメーカーを育てていくべきだ」と持論を述べた。 ― 引用終わり ― 量産車は価格と質が販売の決め手となることに変わりない。 日本の国策、経済産業省の施策の方向性は、総合的に環境に最適化したNEVメーカーを育てることにある。
2024年05月25日
コメント(0)
ホンダは、2050年に同社の製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラル実現を目指す。 2040年にEV・FCEV の販売比率を100%とする目標を掲げ、最大市場である北米においても、電動化の時代に引き続き魅力的なモデルをユーザーに届けていくとしている。 トヨタとホンダはEV(BEV)の「取組が出遅れた」、「EV化に消極的」との報道が多かったが、両社は内燃エンジン車の価格・性能で引けを取らないEVの生産体制構築を進めている。 BEVでは米テスラと中国・BYDが利益を上げ、他はことごとく赤字、生産体制縮小となっている。普及拡大とともにEVの短所も明らかになっている。 ■2023年 EVのシェア 2023年1〜12月、日本の普通乗用車と軽自動車を合計したEV新車販売台数は約9万1000台、前年比の約1.5倍。新車販売のシェアは約2.28%。 米国のEV(BEV)販売台数は約119万台、新車の販売台数におけるEVシェアは約7.6%。 EUの新車販売におけるEV(BEV)のシェアは約14.6%(約154万台)に上り、初めてディーゼル車のシェア(13.6%)を上回った。 欧米ではEVがアーリーアダプターに行き渡ったとみられている。 中国のEV(BEV)の販売台数は約669万台で、新車販売シェアの約22.2%。 ■2024年以降の動向 米国、EUではEVシフトの鈍化、2024年のEV販売の減退が伝えられるが、新車市場の一定比率をEV(BEV)が占めている事実に変わりはない。 発表したすべての新車をEV化する計画について、ドイツのVW、アウディ、ベンツ、BMWは断念している。 世界最大の新車市場である中国ではNEV(新エネルギー車)の普及実績をもとに、2027年までに、すべての新車販売に占める電気自動車(EV)など新エネルギー車の比率を45%に高める目標を、2024年1月11日に中国政府が発表した。 2024年4月23日、IEA(国際エネルギー機関は、EV(電気自動車)とPEEV(プラグインハイブリッド車)を合わせた2024年の世界販売が、過去最高、前年比約2割増の1670万台に上るとの予測を公表した。 中国は約25%増の1014万台で、中国国内では新車販売全体に占めるEVとPHVの比率が約45%に上ると試算。「EVシフト」、バッテリーの供給力と価格競争力をてこに国内EVメーカーを育成し「自動車強国」を目指す中国が約6割を占める。 テスラが発表した2024年1-3月期決算は、売上高が213億100万ドル’(前年同期比9%減)、最終利益は11億2900万ドル(55%減)。減収減益は20年4-6月期以来、ほぼ4年ぶり。ドイツ・ベルリン工場の火災で欧州市場向けの出荷が大きく減ったこともあるが、主要市場の米国と中国で値下げしたにも関わらず販売が減少した影響が大きく、世界販売台数は38万台余り前年同期比で9%の減少となっている。 ■ホンダの取組 2023年10月25日、ホンダは米国のゼネラルモーターズ(GM)と共同開発する量販価格帯の電気自動車(EV)の市場への投入計画を中止することが明らかになった。2024年初頭に北米で発売開始予定のバッテリー式EV(BEV)「プロローグ」の共同開発を含め、両社の包括的な協業体制は継続するとした。 2024年1月8日、ソニーグループとホンダの共同出資会社、ソニー・ホンダモビリティは、生成AI(人工知能)を使った対話型システムの開発で米マイクロソフトと提携し、ソニー・ホンダが開発中の電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)」に搭載すると発表した。 EVシフトをはかるホンダは、電池・半導体のサプライチェーン(原材料・部品の供給網)の強化をすすめている。 電池工場の新設では、米国・オハイオ州で韓国LGエナジーソリューション(約5900億円)、日本でGSユアサ(4300億円)をすすめている。 世界最大の半導体ファウンドリー、台湾積体電路製造(TSMC)と協業をはかり、EVのサプライチェーンの基盤を構築している。 カーボンニュートラルの取組の一環として、バイオエタノールのハイブリッド車の生産にも取り組んでいる。 2024年4月19日、ホンダは、ブラジルで2030年までに42億レアル(約1200億円)を投資する計画を発表した。 バイオエタノールなどのアルコール燃料でも走れる「フレックス燃料車」のハイブリッド車(HV)を投入する。 サンパウロ州内にある工場の生産量拡大を目指し、現在の従業員約3500人に、約1700人を追加する。 2024年4月25日、ホンダは、カナダに電気自動車(EV)と電池工場を新設すると発表した。総投資額は150億カナダドル(約1兆7千億円)で2028年の稼働目指す。カナダ政府などの資金支援を受けながらもホンダとしては過去最大規模の投資。電池、材料を含めた供給網を北米で構築し、EV生産をすすめる。 ホンダと旭化成が合弁会社北米、EV電池材料で協業2024/04/25 共同通信社 ホンダと旭化成は25日、北米の電気自動車(EV)市場の拡大に向け、リチウムイオン電池材料事業で協業すると発表した。カナダでの新たな合弁会社設立で基本合意。電池の主要材料「湿式セパレータ」で、膜の製造から塗工までを一貫生産する工場をカナダ東部オンタリオ州で2027年に稼働する予定だ。 新会社は24年10月に発足する計画。土地の取得や工場の新設費用で計約1800億円を投資する。日本政策投資銀行からの出資のほか、カナダ政府などから補助金も受ける。 材料はホンダを含めた自動車メーカーのEVに搭載されるバッテリーに活用し、高性能化を実現する。増産で安定的な供給網も確立できると見込む。 ― 引用終わり ― 量産によるコストダウンを進めるためには、市場規模を見極め、適切な生産体制を構築しなければならない。
2024年05月07日
コメント(0)
2024年4月25日、世界最大級の自動車ショー、EVの祭典、北京モーターショーが5月4日まで開催された。コロナ禍の中止を挟み2020年以来の開催となった。 EVなど新エネルギー車(NEV)の展示は278台。4年前の160台から7割増。 2023年、EVの新興メーカーが乱立した中国の自動車生産は前年比11.6%増の3016万台。政府による新エネ車への補助金の2022年末打ち切り、不動産バブル崩壊などによる不況などで、中国国内の自動車需要は、17年の2912万台をピークに、23年は2598万台にとどまった。作りすぎた自動車は、大幅な値引きなしでは売れにくい状況。中国のEV市場は現在供給能力過剰により「低価格戦争」の状態。 EV専業のテスラは北京モーターショーに出展していない。マツダの毛籠勝弘社長は会場で、「多くの新興メーカーの参入が価格破壊を起こした。中期的には、持続可能な価格水準に 収斂しゅうれん するだろう」と述べ、値下げ競争には慎重な姿勢を示した。 4月25日、ホンダは、中国で新型EV「e:NP2」を発売した。合弁会社の幹部が会場で、「価格は18.98万元(約410万円)」と発表した後、さらに当面は3万元値下げすると明かした。新車の発売と同時の値下げは中国でも珍しい。 会場でマツダの毛籠勝弘社長は「多くの新興メーカーの参入が価格破壊を起こした。中期的には、持続可能な価格水準に 収斂しゅうれん するだろう」と述べ、値下げ競争には慎重な姿勢を示した。 4月2日、第1・四半期の納入台数は前四半期比20.2%減の約38万6810台、前期比で8.5%の減少と公表した。 4月15日、マスク氏は電子メールで「次の成長段階に向けて準備するに当たり、コスト削減と生産性向上のために会社のあらゆる面を見直すことは非常に重要だ。この取り組みの一環として組織の徹底的な見直しを行い、全世界で10%以上の人員削減という難しい決断を下した。これほど嫌なことはないが、やらなければならない」と説明したと報じられた。 テスラの2023年末の従業員数は14万473人で、削減数は1万4000人超となる。 4月23日、テスラのマスクCEOは、既存車の新たな値下げを発表してから間もない中、来年早々にもさらに安いモデルの製造を開始すると明らかにした。 4月28日、李強首相が北京市でテスラのイーロン・マスクCEOと会談したと報じた。 テスラのマスクCEO、北京で李強首相と会談「協力を深めウィンウィン実現したい」読売新聞 2024年4月28日 23時26分 中国中央テレビは28日、李強リーチャン首相が北京市で米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と会談したと報じた。 李氏は「テスラの中国での発展は、中国と米国の経済貿易協力の成功例といえる」と表明した。「米国と中国が同じ方向に進み、持続的で安定した発展が望まれる」とも述べ、米国を含めた海外企業からの対中投資に期待感を示した。 マスク氏は「テスラは中国との協力を一段と深め、多くのウィンウィンの成果を実現したい」と応じた。 ― 引用終わり ― テスラが2024年第1四半期の納入台数を発表した翌3日米株式市場午前の取引で、テスラの株価は5.3%下落。約300億ドルの時価総額を失った。株価は年初来約33%下落している。 4月29日、マスクCEOは、テスラが自動運転技術に欠かせないAI=人工知能の開発におよそ1兆5000億円を投じる予定と明らかにした。 マスクCEOの「口先介入」によるテスラ株の乱高下は続く。 テスラが「地獄のような暴落」から急上昇!株価が10日で乱高下した3つの理由鈴木貴博:百年コンサルティング代表2024.4.26 6:00 ダイヤモンドオンライン EV最大手のテスラの株価が乱高下しています。業績悪化の懸念から7日連続で続落した後、マスク氏が発表した“新計画”で急上昇したのです。乱高下を起こした3つの理由と、今後の株価を左右する“新計画”は正解なのかを解説します。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) テスラの株価が「地獄のような暴落」から急上昇!乱高下の要因は3つ 未来予測専門の経済評論家・鈴木貴博です。EV最大手のテスラの株価が乱高下しています。 直近でテスラの株価は7日連続で続落、株価は142ドルと年初から▲43%も下がっていました。中国のEVメーカーとの価格競争が激化したうえに、世界的にEVの失速が起きていると報道され、業績悪化が懸念されてきたからです。 その結果米国時間4月23日に発表した2024年1~3月期の決算は市場が予想した懸念の通り、非常に悪い業績数値になりました。 これまで毎年伸び続けてきた売上高は4年ぶりに▲8.7%の減収。純利益は約11億ドルでこれは前年比では半減以上(▲55%)の減益でした。そして今回の利益の減少は市場予想をも下回りました。 ところがこの決算発表でイーロン・マスクCEOが発表したひとつの言葉で市場は逆の反応を示しました。 それは、「2025年秋発売としていた低価格車の計画を前倒しにする」というものです。 この言葉に反応してテスラ株は夜間の時間外取引で164ドル近辺へと13%上昇します。 ― 引用終わり ― 乱高下の要因1:価格競争で業績悪化2:「低価格車の開発を止め、ロボタクシーに注力」報道3:新計画を発表 逆に低価格車の投入を2025年秋よりも早めると宣言 株価が低下するとマスクCEOが投資家が喜ぶ発言をして株価を上げている。 テスラは不確実な投資、商品の販売予告に、多くのテスラ信者が金銭を投じて飛びつく。 これぞ「カリスマ性」のなせる業。
2024年05月05日
コメント(0)
2023年1月3日の米株式市場でEV大手テスラ株が12%以上急落した。需要低迷に加え、物流の問題で納入台数が予想を下回ったことが嫌気されたと報じられた。 「物流問題」ではなく「販売不振」で納入台数が低下していたのだろう。テスラは値下げを繰り返していた。 コラム:テスラ利益率が急低下市場での独走態勢に終止符かBy Jonathan Guilford2023年4月20日 ロイター 米電気自動車(EV)大手テスラが19日発表した最新の四半期決算を見ると、EV市場における同社の独走態勢が終わりを迎えていることがうかがえる。顧客の購入意欲の強さや生産面での収益性の高さを証明するのに必死になってきたイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今、成長拡大のための値下げに踏み切り、テスラが確保してきた優位性の一部を手放そうとしている。重要な利益率の大幅低下からは、技術力と競争環境の双方で同社にとっての脅威が高まってきたのは明らかだと読み取れる。 マスク氏が目指す今年の販売台数は前年比37%増の180万台。一方で第1・四半期の納入台数は前期比で4%増にとどまった。つまり年間目標を達成するには、残りの期間で前期比平均9%の上積みが必須となる。 ― 引用終わり ― EVの製造原価で駆動用蓄電池。製造原価の20~40%を占めるとされる。 テスラは提携企業とともに開発してきた電池は蓄電量の大きさで市場をリードし、量産とメーカーレイアウトの変更による低価格化と技術の先進化に取り組んできた。 EVは途上国を含む世界各国で普及拡大し、バッテリーメーカーが母体のBYDがリン酸鉄リチウムバッテリーを導入、奇瑞汽車(チェリー)などはナトリウムイオン電池投入するなど、電池価格を一段と下げるとみられており、EVの車両価格は低下を続けるとみられている。 ドイツにあるテスラの工場は、環境保護運動の抗議活動の主要な対象となっており、EV=エコの図式はない。 テスラのドイツ工場が操業停止環境活動家が変電所に放火かロイター 2024年3月5日 米電気自動車(EV)大手テスラのドイツ工場が停電し、操業停止に追い込まれた。環境活動家が5日早く、工場付近の変電所に放火したことが原因の可能性があるという。 操業停止となったのは首都ベルリン近郊にあるテスラのギガファクトリー。 警察によると、消防隊が消火作業を行っている。テスラの工場は火災に見舞われていないという。 テスラの広報担当は操業停止と従業員の避難を確認した。 テスラは工場の拡張を計画しているが、環境破壊に対する懸念を背景に住民投票で否決された。同社は工場の年間生産能力の倍増を目指している。 ― 引用終わり ― 2024年1月24日に発表したテスラの2023年10~12月期連結決算は、営業利益が前年同期比47%減の20億6400万ドルと、大幅減益だった。 2023年1~3月期に営業利益率は11.4%、4~6月期9.6%。営業利益が減益となったのは10~12月期で4四半期連続。 EVの普及拡大で、寒波による著しい航続性能低下、充電器の不足などから、EVが長距離走行に不向きなことが明白となったことでEV販売が鈍化した。 テスラ車については修理費用の高さから保険代が高いことも周知された。 アメリカでEV販売失速トヨタのHVがテスラのEVを逆転…値段手頃で燃費いいHVが見直される2024/03/04 讀賣新聞オンライン 米市場で電気自動車(EV)の販売が失速している。インフレ(物価上昇)や金利上昇で高額なEVを購入する負担が増す中、値段が手頃で燃費のいいハイブリッド車(HV)が見直されており、メーカーの戦略にも影響を及ぼしている。 … (略) … 英調査会社JATOによると、米国では2023年4~6月期以降、3四半期連続でHVの販売台数がEVを上回った。23年10~12月には、トヨタ自動車の米国でのHVの販売台数が前年同期比49%増の約18万台と過去最多となり、20%増の約17万台だった米テスラのEVを逆転している。ホンダのHVも約4倍の約8万台と急伸した。 ― 引用終わり ― 米国乗用車市場で比較的大きな比率を占めるリース市場において、修理費用の高さ、中古車価格の安さなどから、EVが避けられていることも、販売台数低下の理由の一つ。 今後もテスラの収益力は低下していくとみられている。急拡大してきたEV市場の成長が欧米で鈍化したこと、他社との競争激化し、米国や中国などで車両価格を引き下げて販売したことから、1台当たりの利益率が低下していることなどが主な要因。EVが一定の比率を占めるようになり、テスラは炭酸ガス排出権による利益もかつてのようには望めない。 2023年10~12月期、テスラを抜いてBYDが世界で最も多くの電気自動車を販売したメーカーとなった。その競争の激しさは値下げ競争に現れている。 高級車路線から大衆車にカテゴリーを広げてきたテスラに対し、元来大衆車路線のBYDに価格面での優位性がある。 車両のデザイン面でBYDは「パクリ」で有名だったが、2017年にランチアやアルファロメオ、アウディなどでの経験が豊富なヴォルフガング・エッガー氏をデザイン部門の責任者として迎え入れたことを機に、デザイン面で飛躍的な向上がはかれた。 BYDはHEV、PHEVのラインナップも有しており、この点でもBEV専業のテスラに対し優位性がある。 ドイツ、米国の自動車メーカーは、損益分岐点を下回っていると思われる価格競争を展開するBEV市場から遠ざかりつつある。 様々な面でテスラのEV界先駆者としての優位性は失われた。
2024年04月20日
コメント(1)
中国では自動車メーカーへの政府の補助金打ち切り後、新興EVメーカーの破綻が続いている。「EV墓場」が出現するほどEVの供給過剰が社会問題化している。 欧米の大手自動車メーカーのEV計画も需要不足から頭打ち傾向になっている。 2030年の全面EV化は、ドイツのフォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、BMWとも放棄した。 フランスのルノーは、市場環境が適さないとしてEV新会社Ampereの新規株式公開(IPO)を中止した。 米国のフォードは、主要販売車種であるピックアップのEV化を積極的に進め減益に苦しんでいるにも関わらずEVの値下げを展開している。レンタカー大手のハーツが中古EVの値崩れ、高額な修理費用に直面し、経営トップは更迭され、保有する5万台のEVのうち2万台を売却した。 人手不足と人件費高騰、サプライチェーン構築の遅れなどで、EVバッテリー関連のコストは想定以上に増えた。 EV(現行BEV)の短所■天候・極低温下、極高温化で充放電性能が著しく低下する・極低温下でヒーターを使用すると航続距離が著しく低下する・極高温化でバッテリーが発火する可能性が高い■走行距離・1充電での航続距離が短く、長距離走行に向かない■充電・充電時間が長い・充電時間が長いのに、充電器が足りない■価格・ICE(内燃自動車)に比べEVは価格が高い■結論・現行のBEVはあまりにもコストパフォーマンスが悪く、ICE置き換えることを消費者が選択しない BEVに未来はないかというとそんなことでもない。 リチウムイオン系バッテリーを搭載したEVの供給は、国内に主要な資源が算出する中国勢が強みを持つ。中国政府の産業政策もあり、中国のBYDや世界最大の車載用バッテリーメーカーである寧徳時代新能源科技(CATL)は、ローコスト戦略を展開でき2023年のCATLの業績は、世界のEV市場の成長鈍化にもかかわらず、純利益が増加、BYDは価格引き下げ戦略を展開している。 国内で販売できないEVを武器に、中国はEVの世界戦略を強化する。自動車の世界市場は保護主義に傾きつつある欧州や、北米ばかりではない。 EVは今後も一定程度の比率を保ち、伸びは鈍化する。 HEV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)に新たな販売チャンスが到来する可能性が高まった。 BEVの普及拡大で航続距離の不足や充電器の不足以外にもEVのデメリットが明らかになった。・大きく重いバッテリーを積むことなどから、修理費が高い・バッテリーの劣化度が判定できないことから、中古車価格が著しく安い そしてこれらのデメリットと別途、多用される重金属などの採掘、回収、廃棄などにともなう環境問題がある。 EV用バッテリーの需要増で環境破壊に懸念。目指すべきは「クルマになるべく乗らない」未来なのか?2023年4月6日 WIRED 電気自動車(EV)のバッテリーに欠かせない材料のリチウムは増産が求められているが、採掘を増やせば環境破壊も問題になる。そこである研究者が提唱したのが、クルマの総台数を減らすと同時にEVのバッテリーを小型化するというシナリオだ。 人類は気候変動との闘いに必ずしも勝ててはいないようだが、クルマの電動化には成功しつつある。世界で2022年に販売された乗用車の新車の10%は、ガソリンの代わりにバッテリーで駆動する電気自動車(EV)だった。ガソリンの採掘は有害な炭素を排出するだけでなく、その影響をもろに受けるコミュニティーの環境をも破壊するので、世界中に被害を及ぼしている。 しかし、“EV革命“にも、それなりに負の側面がある。新型トラックからSUVまで、すべてのクルマをガソリン車と同等の航続距離を有するレベルで一刻も早く電動化するとしたら、リチウム、ニッケル、コバルトなどバッテリーに使用される鉱物の需要が急増することになるからだ。 そうなると、地面にさらに多くの穴を開けることになってしまう。リチウムイオンバッテリーの原材料のシンクタンクであるBenchmark Mineral Intelligenceの推定によると、35年までに400ほどの鉱山が新設され、環境汚染や生態系破壊がより一層進むことになる。 こうしたなか、カリフォルニア大学デービス校(UCデービス)と連携する研究者がある論文を1月下旬に発表した。それは脱炭素化を、より環境への害が少なく早く達成できる方法論の提唱で、まずクルマの台数を減らすことから始まる。 「EVの台数を減らす」という提案 … (略) … リオフランコスの研究チームは、ガソリン車を廃止し、その代替となるEVの台数も減らそうと考えている。そしてこれらのEVには小型バッテリーを搭載することを検討している。つまり、長距離走行が可能な大型の電気SUVが何百万台も存在する未来は“当たり前”ではないというのだ。 ― 引用終わり ―
2024年04月19日
コメント(0)
2024年4月8日、トヨタ自動車は国有資源大手の中国五鉱集団と電気自動車(EV)など電動車の使用済みの車載電池の再利用で協業すると発表した。 明和産業とも組み、合弁会社を設立する。 同日、明和産業も中国子会社や現地企業などと共同で、新エネルギー自動車中古車載電池のリユース、リサイクル、資源循環事業を行う合弁会社を設立すると発表した。合弁会社は、中古車載電池を利用し蓄電システムを製造販売するとともに、電池回収から再利用、資源循環のバリューチェーンを形成する。世界に先行し車載中古電池市場が形成されつつある中国において、いち早く事業化を目指す。 トヨタが中国国有と合弁 車載電池の再利用で2024/4/8 産経新聞 トヨタ自動車は8日、中国国有資源大手、中国五鉱集団などと合弁会社の設立で合意したと発表した。中国で急速に普及が進む電気自動車(EV)や、トヨタが強みを持つハイブリッド車(HV)の使用済み電池の再利用で協力する。 五鉱集団は電池材料のレアメタル(希少金属)を手がけており、車載電池の材料の再利用を進めて資源の安定調達を図る。両社は使用済みの車載電池に含まれるニッケルやリチウムの再利用などを目指しているという。 ― 引用終わり ― 伸びが低下したEV市場ではあるが、今後も乗用車市場で一定の比率を占めると考えられる。 大量の駆動用バッテリーの再利用の促進は、CO2削減、エコの観点からも必須。
2024年04月18日
コメント(0)
米国でEV(BEV)の販売が失速し、23年4~6月期以降、3四半期連続でハイブリッド車(HV、HEV)の販売台数がEVを上回った、との報道が流れた。 日本国内では、HVが売れているが、BEVが広く普及しているとの話はない。現在のバッテリーは乗用車には、大きく、重く、エネルギー密度が足りないということだろう。 一方CO"削減はあらゆる内燃機関に求められている。大型自動車や中・大型建設機械はスペースに余裕がある。航空機と全く異なり、建設機械は、重さが要件となるものも多い。 ボルボ・グループ・ジャパンは、新たな電動建設機械『EC230エレクトリック』を5月中旬に日本市場に導入すると発表した。 ボルボが新型EV建機『EC230エレクトリック』を日本導入へレスポンス 2024年3月18日 ボルボ・グループ・ジャパンは、新たな電動建設機械『EC230エレクトリック』を5月中旬に日本市場に導入すると発表した。この機種は、20トンクラスのバッテリー駆動式中型油圧ショベルであり、日本における需要の中心的な機種となることが期待されている。 EC230エレクトリックは、23トンのEV駆動式油圧ショベルで、従来のディーゼル機と同等の性能を持ちながら、排出ガスゼロ、低騒音、低振動、優れた制御性、低いトータル所有コストといった多くのメリットを提供する。 この機械は、264kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、最高出力160kWの自動2速シフト走行モーターを備えている。排出ガスがゼロであるため、低カーボンゾーンや屋内、騒音規制地域での作業が可能となる。また、駆動時間は約5時間で、急速充電オプションを利用すれば、連続したシフトでの作業にも対応できる。 運転席は使いやすさを考慮し、広いドアでの出入りが容易である。キャブは油圧緩衝マウントで支持され、衝撃や振動を軽減している。さらに、吸音材を使用することで低騒音化を実現しており、人間工学に基づいたインターフェース設計により、操作性と効率が最適化されている。フロントのワイパー、カメラ、自動ミュート、パワーマックス機能など、多くの機能がジョイスティック上のショートカットボタンに割り当てられている。 ― 引用終わり ― ボルボ・グループ(ABボルボ 〈AB Volvo〉)は、スウェーデンのヨーテボリに本拠を置く多国籍企業。 ボルボ・トラックス、ルノー・トラックス、マック・トラックス、東風汽車集団、アイシャー・モーターズ、ボルボ・バス、ボルボ建設機械、ボルボ・ペンタ、ボルボ・フィナンシャル・サービスなどを所有する。 ボルボグループ 1927年、ボルボは、SKF社の後援のもとに設立された。 社名の由来は「私は回る」という意味のラテン語のvolvoに由来する。SKFのベアリングのブランドに因んだ名称。 1927年4月14日、ヨーテボリのヒジンゲン にある工場から「ヤコブ」と呼ばれるVolvoÖV4が最初に製造されたボルボ車。 1999年、ボルボの乗用車部門がフォードに譲渡され、ボルボ・カーズとしてフォード社のプレミア・オートモーティブ・グループの1部門となった。 ボルボグループは、乗用車事業を「ボルボ・カーズ」としてフォード・モーターに売却した後、他国の商用車メーカーの買収によるトラックやバスといった商用車に特化した世界戦略をとっている。 2016年時点で世界2位のトラックメーカーである。また、建設機械、船舶の各事業部と併せ、大型ディーゼル機関を中心としたグループを展開している。 ボルボ・カーズ 2010年8月、フォードは、中華人民共和国の吉利汽車の親会社の浙江吉利控股集団に、ボルボ・カーズのすべての株主の権利を18億ドルで売却した。 フォードグループからの離脱を機に、完全自社開発で次世代のエンジン・シャーシを新開発し、順次採用してきた。 2017年7月5日、2019~2021年の間に5機種の純EVを発売する、2019年以降に発売される全モデルにガソリン・ディーゼルのプラグインハイブリッドと48Vマイルドハイブリッドを設定する」と発表。 2019年、「2025年には世界販売の50%を純EVとする」と発表。 2021年3月、「2030年には販売する全モデルを純EVとし、販売はオンラインのみとする」目標を発表。
2024年04月05日
コメント(0)
2022年7月28日、中国メディアの中国能源報は「自動車の究極の形はハイブリッドなのか」と題し、中国でハイブリッド車(HV)の売り上げが急速に伸びていることを報じた。 この当時爆安BEVは少なかったが、広大な中国において現在のBEVの性能が不十分なことは分かる人には分かっていたようだ。 2023年の春節では、航続性能とともに充電器の不足も問題になったが、人の生死にかかわるほどではなかった。 2024年2月11日、 中国メディアの快科技は、電気自動車(EV)の問題発生数がガソリン車よりも40%多いという調査報告が示されたと報じた。 短時間に燃え広がる爆発的火災も多く、大量の駆動用バッテリーを搭載したEV火災は消火が長時間かかり、困難。 衝撃的データ!EVの問題はガソリン車より40%多い―中国メディアRecord China 2024年2月13日(火) 17時0分 2024年2月11日、中国メディアの快科技は、電気自動車(EV)の問題発生数がガソリン車よりも40%多いという調査報告が示されたと報じた。 記事は、米国の市場調査会社JDパワーがこのほど、毎年実施している自動車の信頼性評定結果を発表し、最も信頼できる自動車ブランドトップ3をレクサス、トヨタ、ビュイックだったと紹介した上で、「驚くべきことに、研究結果ではEVの問題発生数が明らかに化石燃料車より多いことが示された」と伝えた。 ― 引用終わり ― 2024年2月15日、中国メディアの紅星新聞は、春節休みに海南島を訪れたEVの所有者がフェリーのEV限定の乗車制限で帰宅困難に陥っていると報じた。 EVの積載数を制限した理由は、火災発生時に消火が困難なため。フェリーの乗降口付近に止められるだけの車両を積載上限とした。乗船前に、EVオーナーは、火災発生時は海に落と旨の承諾を迫られた。 3月15日、中国メディアの澎湃新聞は、倒産や生産停止に追いやられた中国の新興電気自動車(EV)メーカーが生産した車のオーナーが深刻な「修理難」に陥っている問題について報じた。 記事は、新興EVメーカーだった威馬汽車が昨年初めに生産を停止し、ディーラーやアフターサービス拠点が続々閉店していったと紹介。SNS上では修理が難しくなった、部品1つで数か月待ちなんて当たり前になったという話が次々出るようになった」とユーザーの声を紹介した。 同じく3月15日、中国メディアの潮新聞は、中国で春節が明けて以降、EVなど「新エネルギー車」の値下げラッシュが本格化し、価格競争がさらに激化するとみられる中、「中古車を買うのは割に合うのか」とする記事を配信した。 記事はまず、中国EV最大手のBYDが2月19日、プラグインハイブリッド車(PHEV)と純電気自動車(BEV)の車種を値下げすると、他社もすぐ追随し、ネットでは「1日のうちに自動車メーカー9社が値下げを発表」がトレンド入りしたと伝えた。 記事によると、これまでに値下げを発表したメーカーは、BYD、吉利(GEELY)、哪吒(Neta)、上海大衆、一汽大衆、長安(CHANGAN)、奇瑞(Chery)、飛凡(Rising)、智己(IM)、ヒョンデ、テスラ、零跑(Leapmotor)、小鵬(Xpeng)、埃安(AION)の14社。値下げ幅は5%~15%で、金額としては数千元から1万元(約20万9000円)を超えるものもあるという。 賽力集団の張興海(ジャン・シンハイ)董事長が中国の自動車サプライチェーンの発展は比較的遅れていると指摘。「100社以上の企業を視察した結果、中国の自動車サプライチェーン企業は全体として小規模で実力の弱い企業が数多く散財し、収益性が悪く、集約度が低いことが分かった」と述べ、政府当局に対して業界再編によりリーディングカンパニーを作るための支援を行うこと、民間企業を中心に潜在性を持つサプライチェーン企業を発掘し、税制や資金面の支援を行うこと、中国企業が世界の自動車産業チェーンの分業と競争に参加し、国際ブランドの影響力を高めるよう支援することを提案したと紹介した。 耐久性、安全性など製品の品質が現代の世界基準未満であることを、張董事長は問題視されていないようだ。新エネルギー車(NEV)と言っているが、本当に問題なのはBEVのバッテリーの爆発的火災。自然発火だろう。 1日当たり8台中国の新エネルギー車の火災事故が増加 2023年9月25日 MobyInfo 中国電気自動車百人会および十堰市人民政府が共同主催する第1回世界自動車新生態発展大会が正式に開幕しました。会議中、中国消費財品質安全促進会副理事長の厳馮敏氏は、「新エネルギー車の発展は依然として2つの安全問題に直面しています。緊急管理部門が統計したデータによれば、2023年第1四半期だけで新エネルギー車の自然発火率は32%上昇し、1日平均8台の新エネルギー車が火災(自然発火を含む)を発生したと述べました。 ガソリン車も火災事故もよくあります。一部の調査によれば、新エネルギー車の火災リスクはガソリン車よりも約倍高い。ガソリン車の火災事故は主に古い車種や改造車に多く見られますが、新エネルギー車の火災事例は新車の自然発火が主で、バッテリーの品質問題や交通事故によるバッテリー損傷から火災が発生することが多いのが現状です。これを加味しますと、実際、新エネルギー車の火災リスクはガソリン車よりも遙かに高いと推測されます。また、新エネルギー車の火災が発生すると、火災が急速に広がり、救助が困難になることもあります。 ― 引用終わり ― BEV乗用車も爆発・火災を起こせばBEVのバスも同様ということ。下記は、乗客が持ち込んだバッテリーとされている。 2023年8月20日、江蘇省南京市江北新区の国道で、走行していた公共バスが激しく炎上する事故が起きた。消防隊が消火活動に当たったが、2人が死亡し、5人がやけどをした。5人は病院で治療を受け、命に別状はないという。炎上したのは安徽省来安県発林城駅行きの都市間公共バス(M03799D)。 火災の原因は乗客が持ち込んだリチウムイオン電池とみられるという。 一挙に電動化の道に進んだ中国では、電動バイクも電動自転車も爆発的火災を起こしている。 充電中の電動バイクが2分間に15回爆発=「爆弾かよ」とネット民―中国Record China 2022年10月27日 中国・広東省梅州市でこのほど、屋内で充電中の電動バイクが爆発する事故があった。中国メディアの西部決策が26日付で伝えた。 報道によると、同市梅県区の1階店舗内で充電中の電動バイクが爆発し、火と煙が上がった。一度は収まったように見えたものの約1分後に再び爆発し激しく炎上、防犯カメラの映像には、2分間に15回の爆発音が鳴る様子が映っていた。 店主が消火器で消火に当たるも、火は燃え広がり手が付けられない状態に。その後、通報によって駆け付けた消防隊員が1時間余りで火を消し止めた。幸い、死傷者はいなかったという。 消防は電動バイクの充電は屋内ではなく、屋外の指定の場所で正しい方法で行うよう呼び掛けている。 ― (略) ― さすが大・中国は、爆発したことの問題ではなく、爆発した場所の是非を問うている。 小・日本であれば、充電中の電動バイクがなぜ爆発したか、メーカーが解明する社会的責任を問われるところであろう。 下記の電動バイクも室内で充電しないよう呼びかけられている。 充電中の電動バイクから出火一家4人死亡―中国Record China 2023年1月4日 中国・広西チワン族自治区で3日、電動バイクが原因の火災が発生し、4人が死亡した。中国メディアの新京報が4日付で伝えた。 … (略) … 地元当局によると、原因は充電していた電動バイクが発火したことだったという。中国では電動バイクから出火する事故が相次いでおり、新京報は室内で充電しないよう呼び掛けている。 ― (略) ― バッテリーは似たようなものということで、電動自転車による火災も1年間で2万件発生しているとのこと。 大・中国は動じる様子はない。中国の環境戦士たちは命がけで走行中のCO2削減に取り組んでいる 小・日本であれば同様の事故が20件発生したら、安全対策が確立されるまで電動自転車は販売禁止となるところだろう。 中国で電動自転車による火災が年2万件超!原因は…―中国メディアRecord China 2024年2月26日 中国メディアの環球時報は24日、中国では電動自転車による火災が1年間に2万件超発生していると報じた。 … (略) … 記事によると、国家消防救援局の統計では2023年に全国で報告された電動自転車による火災は約2万1000件に上り、22年比で17.4%上昇した。北京市に限っても24年1月だけで電動自転車と電動三輪車による火災が計33件発生しており、原因については全体の9割超となる30件が「電池(バッテリー)の不具合」だったという。 また、別のデータによると、電動自転車による火災の80%は充電中に発生しており、うち半数以上は夜間に発生していた。死傷者が出た事故について、出火した電動自転車が置かれていた場所は玄関、(建物内の)通路、階段の踊り場が合わせて9割を占めた。 記事は、中国で電動自転車による火災が頻発する背景として、修理店のレベルがまちまちで中には改造行為を行っているところもあると指摘。回収した古いバッテリーや非正規品が販売されており、その出所を把握することも困難になっているほか、警察当局が取り締まるには膨大なコストがかかるなど、違法行為に対するハードルが低い状態だという。 ― 引用終わり ― ウクライナ侵攻による国際社会からの経済制裁で、ロシアから日米欧の自動車メーカーが撤退。 信頼性に劣るロシア・国産メーカーと安価な中国からの輸入車がロシア国民の選択肢となった。 供給力が大きく、安価な中国車は爆発的に売れ行きを伸ばしたが、中国のEVはロシアでも中国と同様に爆発的火災を引き起こした。 ロシアでも燃える「中国産」電気自動車。爆発・炎上でロシア人も嫌気2024.02.12 マネーワン EVも燃える街角。もちろんロシアでも。 不法にウクライナに侵攻したロシアは、一気に自由主義陣営国のサプライチェーンから締め出されました。貿易でウハウハになったのは中国です。 こういうのを「寂しん坊同士の連帯」といいます。 自由主義陣営国企業の自動車を入手できなくなったため、ロシアには、これまで聞いたこともないような中国企業の自動車が入り込み、ロシアの皆さんも仕方がないので、中国産を購入するようになっています。 中国の電気自動車がロシアで燃えています。絶好調などの意味ではなく、物理的に燃えているのです。 2023年12月07日付けのロシア通信社『REGNUM』は「車輪の上の“花火” 中国の自動車火災がさらに増えると予想すべきだろうか?」という記事を出しています。 ― 引用終わり ― 中国産EVはタイなど東南アジア諸国でも多数販売されているという。 大・中国はBEVや電動バイク、電動自転車の爆発・発火事故などで多少人口が減っても大きな問題としないのだろう。 EU、米、日で事故の評価は大・中国とは確実に違う。 2年~5年以内に大量の駆動用バッテリーの廃棄、回収問題が発生する。 現行のリチウムイオンバッテリーのBEVは、資源採掘時の環境破壊も合わせ、不適切な廃棄時の発火、重金属の流出などもあり、ちっとも環境に優しくない。 現行のEVは製造コストの低下、工数削減、軽量化しか考えておらず、資源回収に不適な構造となっているので、回収に費用が掛かると思われる。 大・中国は重金属汚染大国を目指すのだろうか? 下記はEV生産台数で世界トップとされ、収益も上げているとされるBYDに関する論評。 BYDのブレードバッテリーは最も安全であるはずですが中国でそれらのEVはまだ燃えています2023/10/06 00:33 moomoo 中国の報道によると、BYDの電気自動車(EV)が燃え上がる事件が拡散されたことが明らかになった。 今のところ、中国当局もBYDも、これらのEVが燃え上がる原因に関する調査結果を公表していない。 以下は記事のハイライトです: 1)BYD電気自動車の発火事件が広まっています。 中国語を話す読者は、本土中国の自動車サイトを積極的にフォローしている人たちは、BYDの本国では状況が非常に異なることを知っているでしょう。皮肉なことに、BYDについて最も悪いことを言っているのは、BYDの中国のお客様であり、外国人はBYDの最大のファンです。さらに興味深いことに、BYD Bladeバッテリー搭載車が中国で炎上するというウイルス感染事件は、BYDの奇妙なラボのデモによればほとんど不可能だとされているが、西側諸国では軽視されている。2) 西洋と中国のメディア 中国企業の失策や新疆の論争をすぐに非難する同じ人たちは、BYDが中国で火災を引き起こすたびに目をそらします。ここで何が起こっているのでしょうか? BYDの最大の3人の株主は、Wang Chuanfu創業者以外には、すべてアメリカのファンド、Berkshire Hathaway、Himalaya Capital Management、Vanguard Groupです。西側でのBYDの好意的なPRと、中国でのBYDの評判の違いの原因かもしれませんか?3) 平均で1日あたり7台の燃えるBYDブランドのBEV 2020年と2021年の間には、BEV(バッテリーエレクトリックビークル)に関連する火災がわずか86件しか報告されていなかった。しかし、2022年第1四半期には、報告されたBEVに関連する火災の数が640件に急増しました!これによると、中国の消防・救助部門を監督する中国国家緊急管理局によるものです。平均すると、中国の消防士たちは1日に7回燃えているBEVを消すよう呼び出されます!どのEVブランドが最も火事を起こしているでしょうか?そう、BYDです。4)BYD自動車は「自発燃の帝王」と呼ばれています。 BYD車両の燃焼報告が中国の地方ニュースで広く報じられているため、中国のネットユーザーはBYD車両を'自発燃える王者'と呼び、BYD社のブレードバッテリーは自発燃焼を中国の電動車辞書から追放するほど安全であると主張しているのに皮肉な返答です。5)現実の経験は、BYDの奇抜な主張とはまったく異なります。 しかし、これは弱い防御です。 BYDのブレードバッテリーのraison d'etreは、2020年3月に中国でリリースされたことで、それが非常に安全で、燃え上がることはほとんど不可能であるということです。釘を打ち込んだり、重いトラックに潰されたりしてもショートして燃えることはありません。 中国の消費者は、実際の世界の経験がBYDの非現実的な主張とは非常に違うことを理解しています。BYDのラボのデモが仕組まれていたか、BYDのブレードバッテリーのパッケージングに基本的な設計上の欠陥がある可能性があると示唆しています。6) レポートには悪意がある可能性があります 現時点では、中国当局あるいは比亜迪側は、この燃えている比亜迪EVの原因に関する調査結果を公表していません。比亜迪のファンたちは、これらの報告の多くに悪意があると主張しており、それらは比亜迪に対して市場を失っているライバルの中国の自動車メーカーによって増幅されていると述べています。これには一定の真実があるかもしれませんが、比亜迪のブレードバッテリーが燃えている事実は変わりません。これらの火災の原因や経緯はまだ明確ではありません。 BYDの電気自動車が炎上する原因が悪意あるものか、BYDが中傷キャンペーンの被害者かどうかを判断するには、確定的な法科学的分析が必要です。7)BYDは国のお気に入りとして扱われています しかしながら、明らかなことは、中国政府がBYDを国の金の子のように扱っていることです。BYDがインドに10億ドルを投資する提案がインド政府に拒否された時、当時の中国のトップ外交官(現在の外務大臣)の王毅氏がBYDのために珍しい介入をしたことで、インドの「戦略的相互信頼を高め」「共通の利害関係と協力に注力すること」を促しました。 ― 引用終わり ―
2024年03月26日
コメント(0)
2023年4月26日、ホンダは、独自の車載OS「ビークルOS」を開発し、2025年に北米市場に投入する中大型EVから採用する方針を発表した。 ビークルOSを基盤として車載ソフトウェアを常時アップデート。クルマを販売した後も機能やサービスを進化させる狙い。ホンダはソフトウェア独自開発にも取り組む。主要国での新車販売においてEV(電動車)、ICE(内燃自動車)を問わずドライバーとのインターフェイスが重要となっている。 トヨタ自動車が2月5日に発表した2024年3月期決算の場でトヨタの宮崎洋一副社長は、「北米、欧州、中国を含む全ての地域でHEVの比率が上がった。まだ“現実解”としてハイブリッドが受け入れられている」と語った。前年に比べ、HEVは100万台程度の需要増を見込んでいる。 ただし、「HEVだけではビジネスはできない」とし、BEVやFCEV(燃料電池車)を含む“フルラインアップ”を用意する方針に変化はないと強調。「どの(タイプに)実需が来ても応えられる構えで臨む」とした。 EVは急成長から転換したが、世界新車市場で一定のシェアは保っており、量産車メーカーはこの分野でも闘わなければならない。 2月28日、日本のメーカーが発売する燃料電池車として初めて外部から充電できるプラグイン機能を備えた新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」(以下、CR-V)を初公開した。 自動車のソフトウェアの充実、インターフェイスの刷新、EVのラインナップ充実、そしてバッテリー、モーターの革新、そして全域でのコストダウンと自動車メーカーが取り組むべき課題は山積み。完成度が低くても商品化する新興メーカーとも闘わなくてはならない時代となった。 マスコミで噂になる前に、ホンダと日産が電動化領域における提携を検討すると発表。 「時間はあまりない」日産とホンダが提携発表を急いだ理由ITmedia NEWS 2024年3月16日 日産自動車と本田技研工業(ホンダ)は3月15日、クルマの電動化や知能化に向けた戦略的パートナーシップの検討を始めると発表した。急速に変化する自動車市場で、世界3位(ホンダ)と7位(日産)の自動車メーカーが手を組み、スケールメリットを生かして競合に対抗する狙いがある。 具体的な協力分野として、車載ソフトウェアプラットフォームやBEVのバッテリー、コアコンポーネント(eAxleと呼ばれるモーターやインバーター、ギアなどのパッケージ)などを挙げる。ただし現状は「検討する合意をした段階」(本田技研工業の三部敏宏社長)であり、決まったことはない。資本提携などの話も「一切ない」という。 三部社長によると、両社が話を始めたのは今年の1月中旬。その後、約2カ月で数回の会合を重ね、うまくいく感触を得たという。内田社長も「課題認識や思いを共有できた。早く検証したいので会見を開いた」と話す。つまり今回の発表には、両社の議論を「フルオープン」にして加速させる意図があった。 今後、両社は複数のワーキンググループを設け、短期間で方向性を検討する考え。「悠長に構えている余裕はない。電動化、知能化に必要な技術開発を全て自社だけでやるのは難しい。幅広い範囲で協業の可能性を探り、実行できるところは実行していく」(内田社長)。 ●戦う相手は自動車メーカーだけじゃない 話し合いで両者が認識を共有し、アライアンスを急ぐ理由になった課題とは何か。1つは電動化や自動運転技術の進歩に伴い、ソフトウェア開発が重要になったこと。もう1つは異業種から参入してきた新興メーカーの存在だという。 「全く新しい競争に挑むことになった。戦う相手は自動車メーカーだけじゃない。新興メーカーが圧倒的なスピードで席巻しようとしている。ビジネスモデルも違う。これまでの手法、常識に縛られていては太刀打ちできない」(内田氏)。 2023年の自動車メーカー別の世界シェアでは、9位に中国BYD(比亜迪)が入っている。1995年創業のバッテリーメーカーは、そのノウハウを生かして2003年に自動車産業に参入し、わずか20年で世界のトップ10に食い込んだ。8位は韓国のkiaで、どちらも7位の日産とは市場占有率では1%未満の差しかない。 三部社長は「グローバルで自動車産業を取り巻く環境は大きく変わっている。新興企業の攻勢に対応できない企業は淘汰される」と話す。「われわれは2030年ごろにもトップランナーでいたいと思っている。少なくともトップグループと互角に戦うためにはスケールメリットが重要。とくに電動化、知能化ではコスト低減効果が大きい」。そして2030年にその位置にいるためには「今の判断が重要」なのだという。 ― 引用終わり ― ホンダも日産もトヨタ程の豊富な開発資金の持ち合わせはないはずだ。 どのような形をとるにせよ、今のところCO2削減に積極的に取組まなければ、量産自動車メーカーとして生き残れない。その道はBEVと決まってはいない。スピードは必要だが、早く量産体制を整えることが墓穴を掘ることになる可能性もある。
2024年03月18日
コメント(0)
テスラモーターズジャパンは2024年2月15日、米国での発売を記念して、テスラ初の電動ピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」を日本初披露した。 サイバートラックの日本初披露となる実車展示がチームラボ プラネッツ TOKYO DMM(東京都江東区豊洲6-1-16)にて、2月15日〜26日の期間行なわれた。 その後、関東・東海・関西・九州を巡回展示される。 テスラ・サイバートラックは、テスラが2023年11月末に出荷を開始した新型EV。 高強度なステンレス鋼を外観パネルに採用。車両寸法は全長5682.9×全幅2413.3×全高1790.8mmと大きく、車両質量は3t超。米国での販売価格は6万990ドル(1ドル=150円換算で約915万円)から。 サイバートラックは、日本ではSUVに近い用途のピックアップであり、いわゆる商用車の用途には適さない。 テスラ サイバートラック日本上陸。ステンレス製ボディ、重量3t、全長5.7mの巨体の存在感は凄い!2024-02-16 スマートモビリティJP 2024年2月15日、テスラモーターズジャパン(Tesla Motors Japan)はテスラ初となるピックアップトラックタイプのEVを日本で初公開した。 … (略) … ゼロヨン加速はポルシェ911より速い! しかも・・・ 米国仕様では1モーターの「RWD」、2モーターの「AWD」とそのハイパワーバージョンである「サイバービースト」が設定されている(展示車両のグレードは不明)。モーターのスペックは未公開だが、サイバービーストの航続可能距離は推定で515km、オプションでバッテリーを追加した「レンジエクステンダー」なら705km以上といわれている。 しかも車両重量は3104kgもありながら0→100km/h加速は2.7秒、最高速は209km/hというハイパフォーマンスを誇り、この性能をテスラは動画で公開している。推定1.7tほどの重量ハンデを追加したサイバートラックが、約0→400m加速(SS1/4マイル)の競争でポルシェ 911(グレードは不明)より速かったというのだ。 ベッド(荷台)の容量は1897Lで、リアシートを折りたためば3423Lという大容量を誇る。荷台にはシャッター式のカバーも備わる。また、フロントにもかなりの容量がある「フランク」も備える。最大積載量は1134kgで、牽引能力は4990kgととにかく強力だ。 ― 引用終わり ― 大きくて重いが抜群の加速力を誇るサイバートラックは、ボディの表面にクリアコート塗装が施されていない。クリアコートとは、世界中のほとんどの新車のボディの最も外側の層に標準で塗装されている透明な塗料。クリアコートがないので、サイバートラックのボディは錆が浮く。 ピカピカのステンレスのボディに錆が浮くのが嫌な人は、5,000ドル(約75万円)のウレタン系フィルムを購入し、「テスラでしか買えない最高級の光沢透明フィルムでサイバートラックをラッピング」できるようになっている。915万円+75万円で990万円。ポルシェより、フェラーリよりだいぶ安い。 硬いステンレスボディはぶつけたときの補修もアルミボディ以上に困難。車両保険も高額となることだろう。米国では修理費用があまりに高額であることからテスラの加入を断る会社が多くなったと聞く、自動車保険が適用されればの話だが。 同じく丈夫なステンレスボディのデロリアンは、会社が破綻し、補修パーツの入手困難から維持されなくなった。 防弾性の高いガラスまで備えた、丈夫なサイバートラックは、どのような運命をたどるだろうか? ピックアップが大好きな米国でどうなるか分からないが、EVのリセールバリューに期待できない日本では、確実に希少車となることだろう。 今のうちに「現物」を見ておくことに、自動車史を語る上での価値はあると思う。
2024年03月17日
コメント(0)
2024年2月10日、中国で春節(旧正月)に伴う8連休が始まった。新型コロナウイルス禍が終わり、自由に移動できるようになった。 中国の旅行大手、携程旅行網によると、海外旅行先ではタイや日本、韓国などの近場が人気という。 国営中央テレビによると、中国の春節(旧正月)の帰省や旅行に伴う特別輸送態勢「春運」(1月26日~3月5日)期間に国内を移動した人数が延べ約84億人。2023年の約47億人から約1.8倍となった。 中央テレビなどによると、鉄道が約4億8千万人、航空機が約8300万人、バスなどが約11億1千万人、自家用車が約67億2千万人。自家用車は昨年から倍増した。 中国では、春節の大型連休を前に内陸部を中心に大雪となり、高速鉄道や空の便の遅れや運休などが相次いでいて、帰省客の間で混乱が続いていた。 混乱が続いている中、2月10日の春節を迎えた。 90億人大移動の春節、大雪が帰省客を直撃車立ち往生、交通機関大混乱 中国2024.02.07 cnn.co.jp春節の中国、大雪が帰省客を直撃 春節(旧正月)の大移動がピークを迎えた中国で、暴風雪や冷たい雨のために車の立ち往生や列車の運行中止、空の便の欠航が相次ぎ、旅行客が大混乱に陥っている。 春節の時期は40日間で推定90億人が移動するといわれ、鉄道や道路は帰省客で大混雑になる。 現地からの報道によると、6日午前現在、各地で90の幹線道路が一部区間で氷雪のため通行止めになっている。ここ数日氷点下の冷え込みが続く中部の湖北省や安徽省では、列車の運行再開や道路の除雪のために数千人が動員された。 ネットには雪で動けなくなった車が幹線道路に連なる映像や、駅に大勢の人が詰めかけた映像が投稿されている。「きょう出発する列車はありません。払い戻しへ進んでください」とアナウンスが流れる場面もあった。 湖北省では幹線道路が相次ぎ閉鎖されて交通まひ状態となり、武漢では先の週末にかけて数百便が欠航となった。悪天候は今後数日続く見通し。 ― 引用終わり ― 交通運輸部(省)の李揚副部長は、小型乗用車を対象に、2024年2月9日0時から2月17日24時までの9日間、全国の高速道路が無料化すると公表した。 中国国内では、大渋滞が起きたのは連休中の高速道路料金が無料化されたためだという批判が噴出した。 中国・旧正月で万里の長城に観光客が殺到大渋滞で路上でたき火をする人も・・・90億人大移動で混乱も2024年2月13日 FNN プライムオンライン 10日から始まった中国の旧正月・春節。 中国国内は多くの人でごった返していた。 12日、取材班が向かったのは、世界遺産、万里の長城。 チケット売り場がある広場は足元が見えないほどの人があふれかえっていた。 チケット売り場から…長城の上の方までびっしりと人で埋め尽くされていた。 のべ90億人の大移動。 取材班が万里の長城に向かっていると、道路を歩いている人たちの姿が。 バスが動かないということで人々が途中で降りてしまっていた。 ― 引用終わり ― 昭和の日本人は交通混雑時のバスから降りて、路傍で立小便はしたようだが、焚火をした話は聞かない。 混雑時にICE(内燃車)にはないBEVの弱点が露わになった。 春節大移動でEVの脆弱性が露呈―中国メディアRecord China 2024年2月9日 中国メディアの中新経緯は7日付の記事で、あるEV所有者の女性のケースを紹介した。女性は今月2日、故郷の湖北省武漢市を目指して広東省深セン市を出発したが、渋滞等で予想以上に時間を要した。サービスエリア(SA)が停電していたため充電できずに一度国道に降りたほか、充電スタンド付近が雪で埋もれていたため立ち往生したりもした。数日かけてようやく到着したが、この間EVは計6回の充電を行い、充電待ちの時間は最も長い時で8時間に及んだという。 同じく、雪の中をEVでの帰省に大変な苦労をしたという別の女性は、ネット上で「春節にはEVで長距離移動をしないように」と呼び掛けた。渋滞に巻き込まれると電力消費が気になり焦ってしまうことと、一部の車種は雪の坂道を上る際にパワーが不足していることを理由に挙げている。 記事は上記の2人の女性が新エネ車に対してそれぞれ「85点」と「70~80点」という点数を付けたとしているが、同時に女性らから「帰省の際には必ず事前にルートをよく考えないといけない。渋滞や、充電スタンドに突発的な問題が発生した時は自分で電力を確保する必要がある」との指摘も出たことを伝えている。 こうした例は他にもあるようだ。中国メディアの汽車頭条は、EVでの帰省の途中、高速道路で渋滞に巻き込まれた男性のケースを紹介した。男性は「(渋滞にはまった状態で)充電が39%しか残っていなかった。都市部を走っている分にはエアコンをつけても問題ないが、夜を明かさなければならないということを意識すると慌てた」と語った。節電のためにエアコンをつけずにダウンジャケットを着て車内で夜を明かした人もいたそうだ。 上海から甘粛省蘭州市に向かった女性は、スノータイヤやチェーンを装備しておらず、甘粛省の大雪に苦しめられた。何度もスリップしながら低速で進むしかなかった。また、ほかのEV所有者と同様に「電力消費」に何よりも気を使った。西に行くほど充電に不便さを感じるようになり、甘粛省では充電スタンドが開放されておらずに別のスタンドを探さなければならない状況もあったという。 ― 引用終わり ― 発火すると消火に大量の水と長い時間がかかる現行のBEVの特性から、中国当局はフェリーに積載するEVの比率を総積載台数の10%までとする規制を行った。搭載場所は発火したらすぐ海に落とせるように出入口の付近とした。乗船時にEVの持ち主は、火災発生時車を海に落とすことに同意させられた。 この規制が海南島で悲劇を生んだ。 “中国のハワイ”海南島で春節の後も「大渋滞」“EV大国”ゆえのトラブルかTBSテレビ2024年2月21日 TBS NEWS DIG “中国のハワイ”と呼ばれる海南島。春節の大型連休が終わったにもかかわらず、多くの観光客が島から出られない状況になっています。原因の一つは、中国が世界をリードするEV=電気自動車でした。 港に向かう車の長い列。その長さはなんと、十数キロにわたるといいます。 国内旅行が盛況だった今年の春節。中国政府の発表によりますと、のべ4億7400万人が国内を旅行し、南部の海南島には950万人以上が訪れたといいます。 フェリーに自家用車を載せて島を訪れる観光客も多く、帰りのタイミングが連休終盤に集中。さらに、フェリーは車両火災のリスクを減らすため、EV=電気自動車は18台しか積載できないといい、こうした渋滞が発生しているというのです。 ― 引用終わり ― 地方での充電設備の不足、寒冷環境下での著しい性能低下、フェリー利用時の台数制限など、BEVの不便さ、低性能を体験した人が多かったせいか、2024年に入りEV販売の伸びは急低下。ハイブリッド車(HV、HEV)の売れ行きが復活し、EVの値下げ合戦が始まった。 2023年の中国でPHV販売台数は83%増加。一方、EVは21%増加。 2024年もこの傾向は続いており、自動車販売が低調な1月、EVの出荷台数は前月比39%減少、PHVは16%減にとどまった。自動車販売全体では14%減少で実用的なガソリン車の人気復活傾向が見て取れる。 PHVは外資系に比べ圧倒的に安価で、外観も中国人の好みにあっているBYDに人気集中。 中国でプラグインハイブリッド車人気EV減速-テスラなどに課題2024年2月22日 Bloomberg News→航続距離への不安解消、EVより手頃なPHVを選好する動き→BYDが存在感、テスラにない武器持つ-日系メーカーも劣勢 中国・広東省に住むサム・チョンさんは最近、1台目となる乗用車を探していた。多くのガソリン車と少数の電気自動車(EV)を試乗し、最終的には比亜迪(BYD)のプラグインハイブリッド車(PHV)「秦PLUS」を購入した。10万元(約209万円)未満という価格もチョンさんの予算にぴったりで、バッテリー式モーターと従来型の内燃機関を切り替えることができるため、毎日の通勤費用を節約し、充電を気にすることなく長距離ドライブに出かけることも可能だ。 ― 引用終わり ―
2024年03月16日
コメント(0)
現行のEVは環境対応の切り札ではないし、環境に優しいクルマとも言い難い。 2023年、公的な補助金が途切れたことなどから赤字となり事業が継続できなくなった中国のEV専業メーカーの経営破綻が相次いだ。売れ残ったEVのモータープールは「EV墓場」と呼ばれた。急激なEVシフトにより、資源不足、電力不足、充電インフラ不足などから、今後のEVの普及拡大がすすまないとの根拠のある論証も多数出ている。 おそらく唯一黒字だった中国・比亜迪(BYD)は、欧州生産進出などで世界で存在感を高めている。既存自動車メーカーでEVシフトを大きくした企業の多くでEV事業は赤字となっている。 2024年、各社は量産体制が整い、ガソリン車にそん色ない品質、耐久性を備えたEVが登場することだろうが需要の伸びが目に見えて低下している。 EVへの転換の遅れが目立った日系の自動車メーカーの2023年の決算は、空前の好決算ラッシュだった。多くのアナリストが赤字のEV事業に早く、大々的に取組まないと先はないと、日本の自動車メーカーにせかしたことになる。 EVブームの過熱は冷めた。パーソナルモビリティとして自動車メーカー、購入者ともに算盤の合うEV、性能、使い勝手の点でガソリン車に肩を並べることのできるEVの製造・販売は、これから始まる。 以下は創業以来、他車の外観デザインをパクッテ成長してきたBYD礼賛の記事。 2023年、BYDは300万台を販売したが、このうちPHVが半分弱を占めた。BYDは2024年に入りPHEV、HEVなどのハイブリッド車の製造・販売にさらに力点を置いている。 【解説】「日本車は負けた」…“遅れ”取り戻せる?2024年、日本のEVの展望は日テレNEWS NNN 2024年1月7日 … (略) … ■「デザインも技術も中国の方が上」… BYDはナゼ強い?理由(1) 今回のモビリティショーで大きく注目されたのは、今回が初参加となった、EVで存在感を強める中国のBYDだ。先の関係者は、BYDのEVを見て「デザインも中国の方が先駆的。それだけでなく技術も、日本車は中国車に後れを取っている」と話す。 BYDは、EVの販売台数でテスラに次ぐ世界第2位。強みは、創業がバッテリーメーカーという点だ。そもそもEVの開発には、「高性能な電池」が必要不可欠で、その研究開発のための費用がEVの価格をつり上げる一つの要因となっている。 しかしBYDは自ら電池を生産できる体制を持っていて、さらにそれをグローバルに展開しているため、電池の開発コストがかかりにくい。そのため補助金を活用した場合、安い車種では300万円ほどで購入できるものもある。 ■BYDはナゼ強い?理由(2)…「車体と一体化した」電池技術 BYDはさらに、開発するEVに「CTB=Cell To Body」とよばれる技術を採用している。漢字で表記すると『電池車身一体化』。 通常、電池は車体とは別に独立された物として作られ、後から車体に“組み込まれる”設計となっている。しかしBYDのこの技術では、漢字表記から推察できるように、タイヤやモーターが電池のプレートと「一体化」されている。 つまり、このタイヤとモーターと電池が「一体化」された“プレート”の上に、新しいデザインの車体を上からはめ込みさえすれば、「新車」が完成できることになる。まるで我々が気分転換で、スマートフォンのカバーを交換するような感覚で新車を世に放っているのだ。 そのため、新車の開発から発表まで数年かかる日系メーカーとは、“スピード感”が全く異なる。BYD関係者は「日本のEV市場はまだまだ小さい。私たちは、既存の日系メーカーと“EV競争”をするのではなく、むしろ、私たちが先頭に立って、一緒に市場を“つくっていく”という思いだ」と、まさに“王者”の語り口だ。 ■日本でEVが進まないワケ(1)…“インフラ整備” トヨタ自動車は、「マルチパスウェイ」という戦略を取っている。EVのみならず、ガソリン車も、ハイブリッド車も、「全方位」で研究開発を行い、「多様な選択肢」を提供しようとする戦略だ。ただ、あるトヨタ関係者は「はっきり言って、うちはEVで後れを取っている。これからスピード感をあげて巻き返しを図らないと、もっと遅れる」と語気を強める。 また、別のトヨタ関係者は、「EVを頑張らないといけないのはわかっている」としつつも、「なかなか充電施設が普及してこないため、開発したとしても、思ったように売り上げが伸びない」と嘆く。 経済産業省によると、国内で保有されているEVは22万台強。しかし充電施設は約3万口にとどまっていて、普及の妨げになっている。 こうした中、政府は充電施設などの設備投資を行った企業に補助金を出している。2023年度は300億円の予算を投じたが、2024年度は500億円を投じる。また2030年までに、充電施設を30万口まで増やしたい考えだ。 ある経産省関係者も「EV、水素自動車というより先に、充電施設をどうにかして増やさなければ、普及が進むはずもない」と、インフラ整備の必要性を強調する。 ■日本でEVが進まないワケ(2)…日系メーカーは及び腰“雇用がなくなる” さらに、日系メーカーがEVに振り切れない大きな理由がある。それは、EVに振り切れば、今までガソリン車に関わってきた技術者などの雇用が失われることだ。 ある試算では、現在製造されている車をすべてEVに切り替えた場合、30万人もの雇用が失われるという。 トヨタ関係者も「我々には雇用を守るという役割もある。どれだけEV開発が遅れているといわれようと、完全に転換することは考えていないし、やろうとも思わない。いずれ、我々が訴えていたことが正しかったと評価される日が来る」と「全方位戦略」の正当性を主張した。 一方で、ある政府関係者は「例えば“水素エンジン”の開発であれば、既存のエンジン技術は応用できるのではないか。雇用が失われるというなら、研修など、まずは“新しいやり方”を模索するのが大企業の務めだろう。やり方は色々あるはずで、このまま何もしないでは世界から完全に取り残される」と、日系メーカーの“及び腰”に苦言を呈す。 ― 引用終わり ― 現行BEVの一充電あたりの航続距離の不足、低温時の性能劣化など基本性能がICE(内燃機関)車に及んでいないことへの言及がない。EVが高価なのに加速は良いが低性能、低耐久性だから日本人は選ばない。 BYDの売れ行き好調のもと、多くのエコノミストが(たぶんわざと)忘れているのが環境対応。 重量、体積、コストなどの関係からバッテリーとプラットフォーム(車台)の一体化がすすめられているが、現状はコスト重視でリサイクル性を無視した構造となっている。大量に使用されているバッテリーの回収、再利用、再資源化が、現時点は考量されていないものばかりだ。 バッテリーの製造原価が高いため、EVの販売価格は高止まりしている。中国自動車メーカーも製造時の環境対応が規制されているEUでEVを製造すると製造原価が著しく跳ね上がると言っている。 米国では、2022年に成立したIRA法(インフレ抑制法)によって中国製EVの締め出しが続いている。 急速にシェアを拡大した中国製EVに危機を感じたEUの執行機関である欧州委員会は、中国政府が巨額の補助金によって中国製EVの価格を人為的に安くしているとして2023年10月に実態調査を開始した。 フランスはEV補助金の適用条件に、製造・輸送時の二酸化炭素(CO2)排出量を盛り込むことで、中国製EVを実質的に排除する方針をとった。 BYDもテスラも、中国生産による欧米への輸出ではこれまでのような成長を望めない環境となりつつある。 日本はBEVの販売自体が伸びていない。 テスラもBYDも、EU域内で製造されるEVは環境汚染防止の府法令順守などにより、中国製ほど安価に作れない。 販売価格が高く買い手のないEVに取り組んで自動車メーカーが滅び、失業者がふえていくのをみて喜ぶのは、環境推進論者だけであろう。 現代の文明生活を営むために自家用車が必須とされる地域も多数あるが、環境原理主義者は、便利なパーソナル・モビリティとしての自家用車を捨て、環境に優しい古の暮らしに帰れ、と言うのだろう。 社会的責任がある自動車メーカーは、クルマがある社会を前提にEVを含む低炭素なクルマに取り組んで生き残りをはかることだろう。
2024年03月15日
コメント(0)
2023年世界新車販売ランキングで、上位9社は例年と同じ顔ぶれながら、中国のEVメーカー・BYDが初めてトップ10入りした。 世界的なEVの普及拡大でEVの欠点・短所が明らかになった。 短時間で発火が拡大し、消火しにくい。このことから海運大手のマースクは、EVの運搬を拒否するに至った。現行のバッテリーは、酷寒時、電池の充電性能、出力性能が大きく低下する。充電時間の長さから、長距離走行に不適。酷寒の地での電欠は生死にかかわる事態。 価格が高く、重いEVは、加速が良いものの、ICE(内燃機関車)と比べて、各種の性能が大きく劣る。廃棄・回収体制が全く追い付いていない駆動用バッテリーの耐久性もいずれ問題となることだろう。 2024年、EV販売の伸びは急減速し、EV普及が大幅に伸びると見込んだ多くの企業が、赤字、利益の大幅減少となる可能性が高い。巨額の投資を先行させた企業は再編される可能性もある。 2023年以降もEV化を強力に推進するBMWグループは、大丈夫なのだろうか? 2023年 1月、英国のリチウムイオン電池メーカーのブリティッシュボルトが経営破綻。 4月、米・テスラはモデルYとモデル3の一部車種を値下げ。米国で6回目の値下げ。 6月、米新興EVメーカーのローズタウン・モーターズは、米連邦破産法第11条(民事再生法に相当)の適用を申請し、身売りの意向を示した。 大株主の台湾・鴻海科技集団(フォックスコン)に対して出資契約を履行しなかったとして提訴した。 8月、大型商用EVで米国のトップメーカープロテラが、米連邦破産法第11条の適用を申請した。 11月、スウェーデン・ABボルボは、米・プロテラとプロテラ・ドライビング・カンパニーからバッテリー事業の買収を決定した(資産オークションで落札した)。 2024年 1月、英・大型商用EVメーカーのアライバル社が経営危機との報道 2月、1月のEV販売急減を受け、米・フォードは主力EVを最大8100ドル値下げ。 2024年もテスラは値下げ攻勢を繰り返している。その背景には、テスラがギガファクトリーを構え、EVの量産をすすめている中国で、BYDや上海蔚来汽車(NIO)などのEVメーカーが生き残りをかけた、赤字を辞さない過酷な値下げ攻勢を展開していることがある。 テスラは世界的なEVシフトを背景に、生産と販売台数は伸びたものの、価格下落の影響により売上増加ペースはそれを下回り、利益率も低下している。 中国では中央政府の補助金が終了した2023年から大手、中小を問わずEVメーカーの破綻が続いている。 テスラ、営業利益「半減」の衝撃!中国EVの値下げ攻勢だけじゃない“不安材料”の数々真壁昭夫:多摩大学特別招聘教授2024.2.6 ダイヤモンド オンライン「イーロン・マスクCEOに8兆円の報酬は巨額すぎる」と、米テスラの株主が訴えている。係争の行方は横に置くとして、電気自動車(EV)市場は厳しい価格競争によりレッドオーシャンと化した。中国勢が低い生産コストを武器とする一方で、テスラはどんな壁にぶつかっているのか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫) 利益の大幅減でテスラ株が下落 世界の電気自動車(EV)市場は今、厳しい価格競争により新しいステージに突入している。その証左として、米テスラの業績が伸び悩んでいることがある。 1月25日、ニューヨーク株式市場でテスラの株価は前日比12.1%下落した。前日に発表があった、同社の2023年10~12月期決算の内容が嫌気されたからだ。営業利益は、前年同期比47%減の20億6400万ドル(1ドル=148円換算で約3050億円)だった。テスラの先行きに懸念を抱く投資家は増えたようだ。 背景には、比亜迪(BYD)など中国のEVメーカーの台頭がある。BYDはEVの販売価格を積極的に引き下げ、急速に世界シェアを高めている。値下げ競争の激化により、テスラの収益性は悪化している。 今後、テスラを取り巻く事業環境の厳しさは増すことが予想される。中国政府の産業補助政策の追い風もあり、BYDや車載用バッテリー世界大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の価格競争力が脅威となる。 一方、テスラはコストの高い米欧で生産能力を強化する必要性に迫られている。車載用バッテリーの製造技術の確立も急務だ。 今後さらに業績が悪化すると、テスラは、世界が注目する“マグニフィセント・セブン”(アマゾン・ドットコム、アップル、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの米7社)から脱落する懸念さえある。 ― 引用終わり ― EU、米国などで販売を行う中国のEVメーカーもテスラと同様に現地生産を行わなければ価格競争力が保てない。2023年12月、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は、中国・BYDがハンガリー南東部の都市セゲドに欧州初のEV組立工場を建設すると発表した。 BMWは、ドイツ・ミュンヘン工場に6億5000万ユーロ(約1000億円)を投じて拡張と改修を行い、2027年からEVのみを生産する計画。 EV化を強力に推進するBMWに対して、フォルクス・ワーゲン、メルセデス・ベンツはEVについて慎重な姿勢をみせている。 フランス・ルノーも子会社のIPOを断念し、市場の趨勢が衰えているとみている。 EU 2023年 9月、ドイツ・BMWグループはEVを生産するため、英国オックスフォードとスウィンドンにあるMINIブランドの2工場に6億ポンド(約1102億円、1ポンド=183.7円換算)を投資すると発表した。 10月、BMWグループは、EV向けバッテリーの新工場の建設を、米国サウスカロライナ州ウッドラフで開始した、と発表した。BMWグループは、米国スパータンバーグ工場でのEV生産準備に10億ドル、ウッドラフ(2026年竣予定)にバッテリー組立工場を新設するために7億ドル、合わせて17億ドルを米国事業に投資すると発表した。 10月、ドイツ・フォルクス・ワーゲンが販売不振から、約2週間、EVモデルのSUVのID.4とセダンのID.7を減産した。エムデン工場労働者評議会のマンフレッド・ヴルフ代表は、「EVにおいて、顧客の消極的な姿勢を強く経験している」と語った。 フォルクス・ワーゲンはEV生産に約10億ユーロ(約1570億円)を投資し、ドイツ国内の4工場(エムデン、ツヴィッカウ、ハノーバー、ドレスデン)でEVを生産している。 2024年 1月、BMWはドイツ・ミュンヘンにある本社工場に6億5000万ユーロ(約1000億円)を投じて全ての生産車種をEVとし、EV専用工場に切り替え、エンジン車の生産を、27年末までに全他工場に移管すると発表した。独BMWグループは2023年に前年比74%増の37万6000台のEVを販売した。 1月、フランス・ルノーは、EV新会社「アンペア」のIPO(新規株式公開)を中止することを決定したと発表した。 1月、フォルクスワーゲンはEV向けバッテリー生産子会社パワーコのIPO計画を棚上げすると報じられた。 2月、ドイツ・メルセデス・ベンツグループは、2030年までに「市場が許す限り」新車販売の全てを電気自動車EVにする計画を撤回した。同社の2023年におけるEVとPHEVの販売比率は2割で、2024年もほぼ横ばいになる見通し。
2024年03月13日
コメント(0)
中国・欧州・米国でレッド・オーシャンとなったEV市場は、事業性のない自動車市場となった。頼みは国など公的機関からの補助金のみ。 中国では製造事業者への補助金支給、ナンバー政策もありEVが急速に普及拡大。補助金の終了とともにEV事業から撤退、破綻が相次いだ。 EVの普及とともに長距離連続走行に不向き、寒冷地での著しい性能低下など現在のBEVの欠点も明らかになり、EV販売が低下。代わってプラグインハイブリッド車の人気が高まっている。プラグインハイブリッド車は長距離運転や非常時の電源としての機能も持っている。 米国・フォード・モーターが2024年2月6日発表した2023年10〜12月期決算は最終損益が5億ドルの赤字(前年同期は12億ドルの黒字)となり、5四半期ぶりに最終赤字となった。米労働組合のストライキの影響で主力のガソリン車の販売が伸びず、電気自動車(EV)事業の赤字幅も拡大した。 2024年通期の利益見通しレンジの上限は市場予想を十分に超えるものとなった。 赤字事業であるEVの売れ行きが鈍い中、ジム・ファーリーCEO(最高経営責任者)はEV投資を縮小する一方で、将来の成長資金に必要な利益を生み出す伝統的な内燃機関モデルの生産台数を増やすという方針を選択せざる負えなくなった。 具体的には、収益性の高いスポーツタイプ多目的車(SUV)「ブロンコ」とピックアップトラック「レンジャー」の生産台数を増やし、主力EVピックアップトラック「F150ライトニング」の生産台数を半減させた。 生産台数の削減だけでは足りないと判断したフォードは主力EVの販売価格を引き下げた。 株価引き上げのためEVシフトを急いだフォードは、EV製造設備により構造赤字を抱え込んだことになる。 米フォード、主力EVを最大8100ドル値下げ1月の販売減受けロイター 2024年2月21日 米自動車大手フォード・モーターは20日、主力の電気自動車(EV)、スポーツ多目的車(SUV)型の「マスタング・マッハE」を最大8100ドル値下げすると発表した。1月の販売台数急減を受けた措置。 2023年の低価格帯モデルの価格は4万2995ドルから3万9895ドルに値下げ。「GT」モデルの価格は5万2395ドル、プレミアムバージョンを含む他のモデルは4万8895ドルと、それぞれ約7600ドル、8100ドル引き下げる。 1月の米国内のマッハE販売台数は51%減の1295台だった。年初以降、同モデルが米連邦税額控除(3750ドル)の対象外となったことが背景にあるもよう。 マッハEと競合する米電気自動車(EV)大手テスラの「モデルY」の価格は税控除(7500ドル)前ベースで4万2990ドルから。 ― 引用終わり ― 2022年の10月、EUの欧州委員会・欧州議会・EU理事会の合意事項として「2035年以降の内燃機関車の販売禁止」を取りまとめつつあった。最高意思決定機関であり、加盟国元首級で構成される欧州理事会の承認決議を待つばかりの段階にあった。 2023年3月25日、欧州委員会とドイツ政府が2035年以降も内燃機関車の販売を認めることで合意したと報じられた。 ドイツ政府がe-FUELを内燃機関の代替燃料として利用すればカーボンニュートラルは達成できるとし、欧州委員会で環境政策提言を取りまとめるティメルマンス上級副委員長を説き伏せたことで、諮問内容が修正されることとなったとされる。 もともとEU各国は内燃機関車の販売禁止に関して、一枚岩ではなかった。既に欧州では日用品や流通大手など47社が2035年からの内燃機禁止決定を堅持すべく反対を表明しており、そのなかにフォードやボルボも含まれている。 英国では2023年1月17日、リチウムイオン電池メーカーのブリティッシュボルトが経営破綻し、管財人の管理下に置かれた。新興企業の同社は英国内に電気自動車(EV)向け電池の大型工場を開設する計画だったが、資金繰りに行き詰まって経営が立ち行かなくなった。 英政府はEV普及に向け、2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止し、2035年までにハイブリッド車(HV)の販売も禁じると宣言していた。充電設備拡充のほか、国内のEV生産を増やすためにバッテリー工場を支援すると表明していた。 大型商用EVの製造・販売を計画する英国のアライバル社が倒産の危機にあると報道された。アライバル社は2015年創業で、2012年にアメリカのナスダック市場に上場している。 英新興EVアライバルが経営破綻の危機と英報道ロイター編集2024年1月23日 ロイター 英スカイニュースは22日、新興の英電気自動車(EV)メーカー、アライバルがコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を監督するアドバイザー団の確保に乗り出したことから、経営破綻の危機に瀕していると報じた。 報道によると、同社は当座をしのぐ緊急の資金調達ができなかった場合の管財人業務について、大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)と交渉中という。 アライバルは今月に入り、2026年償還予定の転換社債の利払いが手元資金不足のため期限の昨年12月1日までにできなかったと明らかにしている。 ― 引用終わり ― 多くのアナリスト、エコノミストは、EV(BEV)の流行は一時的なもので、将来的にはプラグインハイブリッド車(PHEV)が優位に立つ展開を予想している。 これらの見解は、バッテリーの進化、燃料電池の進化、e-FUELの進化、水素燃料車の進化を全く考量しない点で、適切見解とは言えない。 特に次世代バッテリーの実用化・量産化計画は、具体的なものが打ち出されており、現在の未熟なBEVの販売とは次元が異なる車が生まれる可能性が大きい。 トヨタが新体制方針説明会を開催〜2026年までにEV年間150万台販売へ2023年4月8日 EVSmartBlog トヨタは2023年4月7日の新体制方針説明会で、2026年までに10モデルの電気自動車(EV)を市場に投入し、年間150万台を販売する計画を発表しました。発表のうち、電動化に関する内容を中心に速報解説でお伝えします。 トヨタが新体制方針説明会を開催〜2026年までにEV年間150万台販売へ トヨタは、2023年4月1日に社長に就任した佐藤恒治氏らが新体制の方針説明会を開催しました。説明会では電動化に関する新たな目標も明らかにしました。 今回の発表にあった電動化など次世代車に関するものは次の通りです。●2026年までに10モデルの新型EVを市場に投入。これにより年間の販売台数を150万台にする。●次世代バッテリーを搭載し航続距離をこれまでの2倍にしたEVを、2026年に市場に投入する。●車作りの工程数を従来の2分の1にするほか、生産工場に新技術を投入するなどにより、2035年に全工場をカーボンニュートラルにする。●目標実現に向けて専任組織を創設する。●PHEVではバッテリー走行の航続距離を200km以上に伸ばす。●商用車を軸に燃料電池車(FCEV)の量産化に取り組む。 このほか、水素社会の実現に向けてタイや福島での社会実装実験のほか、2022年から大型商用車向けの水素エンジンの基礎研究に取り組んでいること、新車販売台数の20倍に達する保有車についてはカーボンニュートラル燃料でCO2削減に取り組むことも説明がありました。 ― 引用終わり ―
2024年03月02日
コメント(0)
2023年8月10日、米国・カリフォルニア州当局は、グーグル傘下のウェイモとGM(ゼネラル・モータース)傘下のクルーズの2社に、同州サンフランシスコ市内において自動運転車による「完全無人タクシー」の24時間営業を認可した。 クルーズ社の自動運転タクシーは8月17日に消防車と激突し、乗客が負傷する事故が発生した。 クルーズ社は8月18日、ソーシャルメディアで事故について説明。「当社の車両の1台が青信号で交差点に進入し、現場に向かう途中とみられる緊急車両に衝突された」とX(旧ツイッター)に投稿した。事故はテンダーロイン地区で現地時間午後10時過ぎに発生した。 この衝突事故により、現在米カリフォルニア州車両管理局では調査を行っており、GM傘下クルーズにロボタクシーの運営台数を調査が終了し、安全性向上の措置を講じるまで一時的に半減するよう求めました。 2024年2月11日、グーグル系「ウェイモ(Waymo)」が運営する自動運転タクシーの車両が、米・サンフランシスコの中華街で群衆に破壊されて炎上した。 チャイナタウンで群衆が車を取り囲んで窓ガラスを割り、車内に花火が投げ込まれて炎上した。現場は、中国の春節(旧正月)を祝う人々でにぎわっていたという。 Waymoのロボタクシー、襲撃を受け炎上ITmedia NEWS 2024年2月13日 米Alphabet傘下の自動運転車企業Waymoがサンフランシスコで提供している無人タクシーの車両が2月11日夜(現地時間)、チャイナタウンで暴徒に破壊され、炎上した。サンフランシスコ消防署が公式アカウントでポストした。 消防署によると、「落書きされ、窓ガラスを割られ、最終的に車両全体が炎上した」という。 Waymoは地元紙のSan Francisco Chronicleなどに対し、車両が破壊されたときは乗客が降車した後であり完全に無人だったという声明文を送った。 地元警察はこの件について特に発表しておらず、本稿執筆現在、逮捕者はいないようだ。 Waymoと米GM傘下のCruiseは、カリフォルニア公共事業委員会(CPUC)が昨年8月にサンフランシスコでのロボタクシー提供を承認したため、同地でサービスを提供してきた。 だが昨年10月、路上で他の車にはねられた歩行者をCruiseのロボタクシーが引きずるという事故が発生し、Cruiseはロボタクシーの提供を完全に停止している。 ― 引用終わり ― なお、最近サンフランシスコは、大統領選挙の争点になるほど治安が悪化していることで悪名高い。 【解説】米国の都市部治安悪化の〝現実〟と政治的争点2023/11/29 Wedge 来年の大統領選挙を前にして、米国の治安が悪化して商業への悪影響が出ていると頻繁に報道されるようになっている。今回の記事では、その背景に加えて、来年の大統領選挙・連邦議会選挙との関連について検討することにしたい。 本当に犯罪は増えているのか? 今日の米国で治安がとりわけ悪化したという印象が持たれているのは、サンフランシスコ市とニューヨーク市であろう。サンフランシスコ市では、薬物犯罪や集団強盗事件を取り上げる報道が増大しているし、多くの商業施設が治安悪化や従業員の安全確保の困難性を根拠として閉店したとも報じられている。 例えば、サンフランシスコ市では、今年4月には高級スーパーのホールフーズが1年前に開店したばかりの店舗を閉店したし、8月には街の象徴的存在であった百貨店のノードストロームが閉店した。10月にはディスカウントストアのターゲットが近郊店を含めて3つの店舗を閉店している。同様に、ニューヨーク市でも薬物犯罪や集団強盗事件が増大しているとされるほか、地下鉄の治安が悪化しているという報道が増大している。 ― 引用終わり ― クルーズとホンダ 米国GM(ゼネラルモータース)は、米Twitchなどの創業者でもあるカイル・ヴォクト氏が起業した自動運転スタートアップのクルーズ社を2016年に買収。 2018年にホンダが大型出資を決め、GM、GM Cruise、ホンダの3社による自動運転タクシーの開発をスタートした。 2023年8月17日、クルーズ社の自動運転タクシーが青信号で交差点に進入、現場に向かう消防車と激突し、乗客が負傷する事故が発生。 この衝突事故により、現在米カリフォルニア州車両管理局では調査を開始した。クルーズ社に対して、安全性向上の措置を講じるまで自動運転タクシーの使用を一時的に半減するよう求めた。 この事故と別の日、乾ききっていないコンクリート路面に入ってしまい工事現場で立ち往生する事故、音楽フェスの会場近くで通信の問題が発生し周辺のタクシー10台前後が停止するという事態が発生した。 ホンダは2026年初頭に日本で投入予定の自動運転車両「クルーズ・オリジン」を3社で開発を続けた。 2022年9月29日、開発する自動運転車両「クルーズ・オリジン」の試作車完成に伴い、テスト走行の様子や、開発者のインタビューをまとめた映像を公開した。 2023年10月2日、サンフランシスコサンフランシスコ市内の交差点で信号待ちをしていたCruiseの自動運転タクシーは、信号が青に変わって交差点に進入。そこへ歩行者の女性が赤信号を無視して横断を始め、クルーズ社のタクシーの隣の車線を走っていた日産の乗用車(人が運転)にはねられた。女性はクルーズ社のタクシー前の道路に投げ出され、タクシーは急ブレーキで停止。女性は車の下敷きになったが、車体の下部にセンサーがなかったことなどから、女性が下敷きになっていることを認識できなかった。タクシーjは衝撃は検知していたため、道路をふさがないよう路肩の方へ移動しようと6mほど走行したため女性が引きずられ、車輪が女性の片足をひいた状態で停止。救急隊が駆け付けて、女性が救出された。 10月26日、クルーズ社は全米で自動運転タクシーの営業を停止すると表明した。 ウェイモはサンフランシスコとアリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの営業を続けていた。 Honda 公式サイト2023年10月19日 ニュースリリース日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始予定~クルーズ、GM、Hondaでサービス提供を担う合弁会社の設立に向けた基本合意書を締結~ GM クルーズホールディングスLLC(以下、クルーズ)、ゼネラルモーターズ(以下、GM)と本田技研工業株式会社(以下、Honda)は、日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始するために、サービス提供を担う合弁会社の設立に向けた基本合意書を締結しました。関係当局の承認を経て、2024年前半の設立を目指します。 サービス概要 今回提供する自動運転タクシーサービスは、クルーズ、GM、Hondaで共同開発した自動運転専用車両「クルーズ・オリジン」が指定場所まで迎えにくるところから、目的地に到達するまで全て自動運転で行われ、配車から決済まで全てスマートフォンのアプリで完結するタクシー配車サービスです。 ― 引用終わり ― ホンダとの自動運転タクシー開始計画が発表された5日後の10月24日、カリフォルニア州道路管理局(DMV)と同州公共事業委員会(CPUC)は、クルーズ社に対して、クルーズの同州内での営業停止と無人自動運転走行許可の停止を発表した。 11月8日、クルーズ社は全米で自動運転車950台をリコールすることを発表た。 クルーズ社は、2023年11月21日までに人間同乗型での自動運転走行を一時停止することを発表した。対象は約70台。 ホンダの自動運転タクシー開発担当者に激震が走ったかもしれない。 ホンダに激震!自動運転の提携先、米国で「人間同乗型」すら走行停止GM傘下Cruise、CEOも辞任自動運転ラボ編集部 2023年11月22日 米GM傘下のCruiseは2023年11月21日までに、人間同乗型での自動運転走行を一時停止することを発表した。同社は相次ぐトラブルや事故を受け、すでに米国全土でのドライバーレスの自動運転タクシーの運行を一時停止することを発表しており、自粛措置を拡大した形になる。 Cruiseに関しては、日本のホンダがGMとCruiseとともに、2026年から日本でドライバーレスの自動運転タクシーサービスを開始する計画を発表したばかり。今回のCruiseによる停止措置は、パートナーであるホンダにとっては最悪なタイミングになった。 ― 引用終わり ―
2024年02月22日
コメント(0)
豊富な駆動用電力を蓄えるEVも、ガソリン車と同様12Vの補機用バッテリーが上がることがある。 そしてEVのバッテリー上がりはガソリン車のそれよりも悲惨な事態になりうる。 EVは電欠よりも12Vバッテリー上がりに注意!もしもバッテリーが上がったら…?【日産 サクラ のメンテナンス】レスポンス 2024年2月4日 12時0分 EVのメンテナンスは難しいのか? ガソリン車とどう違うのか? 短期連載の3回目はバッテリーにまつわるトラブルの対処方法などを探る。 本稿では、筆者所有の日産『サクラ』を例にするが、一般的なEVについても重複する部分も多い。メンテナンスの詳細は、各車の取り扱説明書を必ず読んで、必要ならディーラー整備士などに相談しながら各自の責任で行ってほしい。 ◆EVは電欠よりも12Vバッテリー上がりに注意 最近の車でもユーザーが交換やトラブルに遭遇するものとして電装品向けの車載12Vバッテリーがある。駆動用に400V~800Vの高圧で30~80kWhもの容量のバッテリーを搭載するEVも、電装品や補器類用に12Vの低圧バッテリーを搭載している。 EVでも12Vバッテリーがあがることがある。駆動用高圧バッテリーの残量が十分でも、低圧バッテリーが消耗するとコンピュータなどが機能しなくなるので、EVは止まってしまう。ECUが動かなければ車が動かないのはガソリン車も同じだ。この場合、EVも他の車両(救援車)とバッテリーをつないで復旧させることになる。 手順は一般的なジャンプケーブルを使った方法と同じだ。ただし、EVの充電ケーブルははずしておくこと。ケーブルをつなぐ順番は、救援される側(この場合EV)の12Vバッテリーのプラス端子>救援車のバッテリーのプラス端子>救援車のバッテリーのマイナス端子>救援される側のボディステーなど、となる。しばらくしてからEVの通常の起動手順(ブレーキを踏んだまま電源スイッチを入れる)を行う。エラーやバッテリーの警告灯などがでないで正常に起動したら、さっきと逆の順でケーブルをはずしていく。 EVの走行中は、駆動用バッテリーから電装品用の低圧バッテリーに充電が行われる。起動できればそのまま車を走らせることができるが、12Vバッテリーが弱っている場合、トラブルは再発するので念のためディーラーに持ち込んでチェックしてもらう。EVに限らずコネクテッドカーは、通信や各種タイマー設定など、使っていないときも電力を消費することがある。ドラレコによってはセキュリティ機能によって常時センサーを稼働させていたり、カメラなどが起動されることがある。エンジン車のスターターモーターほどの負荷はないが、長期間動かさなかったEVは要注意だ。 EVの12Vバッテリーは、ジャンプケーブルで回復・充電してもらうことはできるが、そのままでは他のバッテリー上がりの車の救援には使えない。セルモーターを回すような大電流による負荷が、EVのECUに影響を与える可能性がある。システムがただのバッテリー消耗と認識すればいいが、つながった車のクランキングによる急激な電圧降下をEV側がシステム異常と認識したり、その他のエラーにつながるからだ。どうしても必要な場合は、EV側のバッテリーの端子ケーブルをすべてとりはずした状態で行うしかない。この場合も、車両ECUがどのようにリセットされ、再起動手順がどうなるのかをディーラーやメーカーに「コールドスタート」の方法を確認する必要がある。ガソリン車でもそうだが、ケーブルをつなぎなおすだけでOKなものも多いが、一時的なログデータやエンタメ系の設定情報などがクリアされる覚悟は必要だ。 ◆EVの牽引時の注意点 救援車が期待できない、または電欠(駆動用高圧バッテリーの残量不足)ではJAFやロードサービスの救援を依頼することになる。最寄のディーラーなど充電器のあるところへの移動を依頼する。牽引作業は専門家に任せればよいが、EVの駆動輪は浮かせての牽引が原則だ。4WDならば4輪を浮かせての牽引、またはトラックなどへの積載が必要となる。 駆動輪を浮かして牽引するのは、駆動輪が回転していまうとモーターが発電してしまい、機器に悪影響を与える可能性があるからだ。回生ブレーキでもモーターを発電に利用しているが、牽引走行では、モーターの冷却や制御ECUがうまく動作しない、最悪機器損傷につながる。正常な走行なら冷却システムも作動するし、インバーターやオンボードチャージャーも正しく回生処理を行えるが、牽引時に正しく機能するかはメーカーの設計しだいだ。 ― 引用終わり ― 停車中に電気を使用していると駆動用電池から電気が供給されないため、12Vの補機用電池が減少することがあるので要注意。 駆動用電池の残量があっても、補機用電池は電欠になる。 下記は対処方法の一例。 電気自動車が「電欠状態」になってしまったら!?いざという時の対処方法2022年8月5日 ジョイカルマガジン … (略) … 電欠を起こしてしまった時の対処方法 ガソリン車であれば、ガス欠になってもロードサービスやガソリンスタンドにお願いすれば、簡単に燃料を補充することが可能です。しかし、BEVはそうはいきません。 ガソリンや軽油のように電機は簡単に短時間で補充することができないからです。まずはそのBEVのメーカーのサポートセンターや、JAFなどロードサービスへ連絡します。そして、指示をうけましょう。 路上での充電をすることはできませんので、おそらく、最寄りの充電スポットや充電ステーションに車をレッカー移動して、充電することになるはずです。 しかたのないことですが、時間も手間もかかるのはあきらめるしかありません。やはり極力電欠にならないように注意するというのが一番です。 ― 引用終わり ― 下記は「注意していても駆動用電池の電欠はある」という事例。 現行EVで高速道路、自動車道路を走行するときには、駆動用電池の残量の減少が急なことなどから特に注意が必要。 東名高速で日産リーフAZE0の完全電欠初体験〜敗因と反省&注意点をレポート2022年11月17日 EV smart … (略) …急速充電は「少し早め」でちょうどいい ひとつ目の敗因は、富士川SAでの急速充電をスルーしたことです。次に急速充電器がある足柄SAまでは約50km。途中の愛鷹PAや駒門PAに急速充電器はありません。 前述のように50%ほど残っていたのでスルーしましたが、この時点で「鮎沢へは届かず、足柄でギリギリかな」ということは察しが付いていました。本当は「ちょっと早いけど富士川で充電しておこう」が正解だったのです。 このあたりの「距離感」はEVの車種やバッテリー容量でまったく違いますけど、長距離ドライブ中の経路充電(急速充電)をギリギリまで攻めたところで、いいことは何もありません。余裕を持って「ひとつ手前」くらいのSAPAでちゃんと急速充電を繋いでいくのが賢明であることを肝に銘じておきましょう。 テスラ車以外の航続可能距離予測は気まぐれ テスラ車では、ナビのルート設定をすると、ルートの勾配も勘案した上で、かなり正確に航続可能距離や電池残量予測のグラフを表示してくれます。でも、今のところテスラ以外の電気自動車でメーターに表示される航続可能距離は、おおむね「直前の走行状況」を反映した数字になっています。 したがって、今回のように緩い上り勾配が長く続くルートに差し掛かると、走行可能距離が減るスピードは実際の走行距離よりも大きくなってしまいます。今回のケースをもとに例示すると、「鮎沢SAの30km手前で航続可能距離表示は30km」だったのに、「25km手前まで5km走ったら、航続可能距離表示が20kmになってしまった!(5km走って10km減る)」という感じです。 つまり、EVのメーターに表示される走行可能距離表示は気まぐれであり、ことに上り勾配のルートを走るときは要注意であることを、心に刻んでおきましょう。 電気は正直。当てずっぽうの過信はトラブルのもと 電欠のステージとなった東名高速の沼津〜御殿場〜足柄SAへのルートが、緩い上り坂が続いて「航続可能距離表示は2〜3割は差し引いて考えておかなきゃいけない」ということは、今までプジョー『e-208』など何車種かのEVで検証ドライブをした際にも実感していました。 ただ、昨夜の私は東京へ戻る道すがら、ちょっと深刻な考え事をしていて、いつものように苦手な算数を駆使して計算することを怠りました。裾野ICを迂闊にスルーして「航続可能距離表示が足柄SA到達距離と同じくらい」になった時点で、電欠へのカウントダウンが始まっていたといえます。 さらに「航続可能距離表示が消えてから8〜10km程度。亀マークが出てから2〜3kmは走れるし」と、当てずっぽうの過信(まあ、表示の時点での残容量を考えるとこんなものなんですけど)を抱いたまま、出口までの距離も知らない新御殿場出口を目指してしまった判断が、今回の遭難を呼び寄せたのです。 改めて確認してみると、東名の分岐から新御殿場IC出口までは約8.5kmで、足柄に向かうのと同じような上り勾配です。一方で、分岐から御殿場ICまでは約6km、足柄SAまで8.5km程度でした。バッテリー残量がギリギリであることを謙虚に考え、いったん判断した通りに速度を抑えて御殿場ICを目指していれば、電欠レポートをお届けすることはなく、ギリギリで足柄まで行けたかも知れません。 EVドライブのコツというより何ごとにも共通した教訓みたいなものですが。当てずっぽうの過信を頼りに行動すると、こういう失敗を演じてしまいがちですね。 ― 引用終わり ― BEVの走行可能距離は、道のりの長さだけでなく、勾配、気温なども考慮に入れなければならない。
2024年02月13日
コメント(0)
中国自動車市場での電気自動車(EV)などの新エネルギー車の販売競争が激化している。 中国メーカーによる好調なEV輸出を反映して、海上輸送の1回の航海で輸送する台数が最多の自動車輸出になると、中国・新華網が報じたとの記事。 普及の拡大により不足、価格高騰が心配されていた新エネルギー車向けの電池の原材料価格も下落。中国国内市場では需要不足と供給過多の矛盾した状況が続いており、バッテリーの原材料価格の下落も相まって、新エネルギー車の販売価格の値下げ競争が続いてる。 多数あった新エネルギー車企業のうち黒字はテスラ、BYD(比亜迪)、理想、広汽埃安(AION)だけとされ倒産、撤退の報も相次いでいる。 実質BEVばかりの新エネルギー車専業企業は、輸出、海外生産しか生き延びる道はない。 BYDはハイブリッド、プラグインハイブリッドに注力し始めている。 1回の海上輸送で最多となる自動車輸出のRORO船がアモイ通関地から出航―中国Record China 2024年1月25日 福建省のアモイ東渡港区の現代化ふ頭で23日、自動車約3700万台がRORO船「上汽安吉申誠号」に次々と積載されていた。同船は24日にアモイ港を出港して欧州に向かう予定で、この航海は厦門通関地にとって海上輸送の1回の航海で輸送する台数が最多の自動車輸出になる。新華網が伝えた。 ここ数年、アモイ港湾は良好なビジネス環境をよりどころに、新エネルギー製品輸出の重要な海上輸送ターミナルになっており、2023年は新エネルギー自動車8万5000台がここから輸出された。 ― 引用終わり ― 中国が自動車輸出世界一になったとしても、国内の不良在庫のたたき売りの要素が大きいと考えられる。 自動車を輸出するにあたり最も低コストなのはPCC船(自動車運搬専用船)。 RORO船ではなくPCC船で中国が輸出を開始するならば、定常的に輸出できるということであり、中国の新エネルギー車メーカーが、世界市場での脅威となる。 今のところ、EUも米国も様々な輸入規制策を講じており、中国による大量の自動車輸出が恒常化する気配はない。
2024年02月07日
コメント(0)
中古EVの購入にあたっては、駆動用バッテリー交換費用を上乗せして考えることが基本。 では、中古ハイブリッド車(HEV)の購入にあたっての注意点は何かに答えたのが下記の記事。 EVと同じく、駆動用バッテリーの交換と補機用バッテリーの交換も想定した方がよいとのこと。 EVほどではないがHEVはガソリン車より重いので、タイヤの減り具合にも注意。 「ハイブリッド車」安く買うなら中古車もアリ!? 最大の問題は「バッテリーの劣化」! 購入するときの注意点とはくるまのニュース 2023年11月11日相変わらず燃料価格の高騰が続いていますが、少しでも出費を抑えたいと考えて「中古のハイブリッド車」の購入を検討している人もいるでしょう。どのようなことに注意して選べば良いのでしょうか。 ■中古のハイブリッド車、購入時に注意すべき点とは? 依然として燃料価格が高止まりしている状況のなか、クルマにかかる費用を少しでも抑えたいと考える人が多くなるのも当然です。 できるだけ安く済ませたいのであれば、「中古のハイブリッド車」が狙い目です。車両価格が安く、燃費は優秀。苦しい時代の救世主になる可能性もあります。 しかし新車とは違い、中古車は1台ごとのコンディションが違います。中古のハイブリッド車ならではの注意点とはどのようなことなのでしょうか。 中古のハイブリッド車の最大の問題は、メインの駆動用バッテリーの劣化です。 メーカーが考える耐用年数の目安としては約10年とされており、古いハイブリッド車の場合はそろそろ交換すべき車両が多く、購入後すぐに交換するというケースもあるようです。 日頃からハイブリッド車も数多く整備しているH整備士に話を聞いてみました。「たいていの中古車は、駆動用バッテリーを交換する前に売却されており、長く乗る、または少しでも新車に近い燃費を期待したいのであれば、駆動用バッテリーを購入後に交換する必要があります。 トヨタ『アクア』や『プリウス』などは、費用は20万円~30万円で交換できます。内外装の状態も気になるところでしょうが、こういった駆動系のメンテナンス費用も考慮したトータルでの予算を考えておくと良いでしょう」 またハイブリッド車の弱点とも言えるのが、補機用バッテリーです。ハイブリッド車にもガソリン車と同じバッテリーが搭載されていますが、こちらの交換も忘れがちです。 「ハイブリッド車に限らず、中古車の場合は見えないところが傷んでいたり劣化していることがあります。 もちろん中古車販売店も『納車前整備』はしてくれますが、それはあくまでも走り出すための最低限必要な整備に留まります。 つまり数年乗っても大丈夫かどうかまでは考慮されていないケースもあるでしょう」(H整備士) 中古車の場合はタイヤも溝などが十分残っていれば交換されていないことも多く、劣化や消耗したパーツなどそのままになっている車両も見られます。安く購入できるクルマは、それなりにメンテナンス費用がかかることを想定しておく必要がありそうです。 ■お勧めの中古ハイブリッド車はどのモデル? では、どのようなハイブリッド車が中古車として狙い目なのでしょうか。 ― 引用終わり ― 記事のお勧めは、トヨタ・プリウス三代目、ホンダ・フィット二代目、三代目、CR-Z、日産ノート e-POWER。 三菱自動車・アウトランダーPHEVの初代も推薦されているが、選べるほどタマはあるのだろうか。
2024年02月04日
コメント(0)
テスラは、電動ピックアップトラック「Cybertruck」について、12月1日から米国で納車を開始したと発表した。 同モデルは2019年11月に発表された。 2022年4月7日、テキサス州オースティンの新工場「Giga Texas」の落成イベントで、イーロン・マスクCEOは、当初2021年に発売するとしていたCybertruckを2023年には発売すると語った。 Cybertruckは、ステンレス鋼の外骨格ボディ、アーマーガラス、オールテレインタイヤを採用。 最大積載量は約1134kgで約4990kgの牽引力、最高速度は209km/h、加速性能は時速0-100kmまで2.7秒で到達(ビーストモード時)。 新たに採用したステアバイワイヤーと後輪操舵システムにより安定した高速走行を実現している。 フレームは、モデルYにも採用されているダイキャスト技術を使用。モデルYでは、70以上の溶接部品で構成されていたリアアンダーボディを6000トン級のダイキャストマシンでワンオフ成形する。 搭載されるバッテリーはハイニッケル。800Vアーキテクチャーで250kW急速充電に対応。テスラ車初の外部給電機能を搭載している。 「サイバートラック」納車開始時事通信 / 2023年12月1日 米電気自動車(EV)大手テスラは11月30日、新型EV「サイバートラック」の納車を米国で始めた。同社初のピックアップトラックで、SF映画から着想を得たというデザインが特徴。最近はテスラ車の勢いが鈍化しているとも指摘される中、約4年ぶりに新モデルを投入し、起爆剤にしたい考えだ。 … (略) … 特殊なステンレスでできた外装は防弾機能を備え、スポーツカーに負けない加速も可能だと説明した。 価格は6万990ドル(約900万円)、7万9990ドル、9万9990ドルの3グレード。最も安いグレードは2025年に発売する。 ― 引用終わり ― 最初の発表から4年以上が経過したサイバートラックバックオーダーは200万台超。バックオーダーを捌くには2年はかかるとみられている。
2023年12月09日
コメント(0)
中国のEV大手の比亜迪(BYD)は2022年4月3日、3月をもってエンジン車の生産を終了し、今後はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)に経営資源を集中すると発表した。 BYDは日本に進出し、2025年までに日本国内に100店舗の展開を目指すとしたが、日本でのEVの普及状況は中国、EU、米国に比べて非常に鈍い。 BEVがいまだ発展途上の道具だからだと思われる。 現行のBEVは、航続距離が少なく、バッテリーの耐用年数が短く、車体関係の品質は不明(日産以外)で、価格は補助金を差し引いてもガソリン車より高い。取柄が新奇さと環境貢献姿勢ということでは、購入動機が大いに不足している。 BYDだけじゃない! "中国EV"は日本で売れるか 「予約時の頭金がたった1万円」の商用車も東洋経済オンライン 2023年11月15日 「EVによる日本の新たな未来をここから始める」 10月25日、BYDジャパンの劉学亮社長はジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)の場で、記者たちを前に胸を張って宣言した。 EV販売台数で米テスラと世界トップを争うBYDはこの日、来春に日本で発売予定である航続距離555キロメートル(自社調べ)のセダン「SEAL(シール)」に加え、SUVやコンパクトカー、ミニバンといった日本市場でも人気の車種の新モデルを一挙に出展。同社のブースには、日本の自動車メーカー幹部も多く足を運んでいた。 普及ペースが鈍い日本市場 ただ、日本市場はEVの普及ペースが鈍い。 EVの世界販売台数は2022年に700万台を突破し、乗用車市場全体の1割を占める中、日本は5万8813台で、割合は1.7%にとどまる。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の大手3社を中心にHV(ハイブリッド車)が環境にやさしい車として市民権を得ており、「世界的に見ても特殊な市場となっている」(ホンダ幹部)。 中国勢はそこをチャンスと見ている。日本車各社のEVが浸透していないうちに、先んじて市場を開拓しようとの思惑が透ける。 BYDは今年2月に日本初出店を果たしたばかりだが、25年までに100店舗に増やす計画だ。乗用車の販売台数は今年1〜9月の累計で886台だという。 「台数もそこまで多くないし、脅威とは思っていない」(トヨタ系販売会社幹部)との声があるように、中国製EVが日本で普及するかは未知数だが、トラックなど商用車の分野では状況が異なる。 大手企業の採用が相次ぐ モビリティショーでは、物流機器を手がける日本のヤマト・インダストリーと中国で自動車の開発支援を行うIATが、中国のEVベンチャー「金琥汽車」が量産する商用バンをベースにした「JEMY EV48」を合同で展示した。 来秋に税込み400万円以下で発売する計画。貨物配送業者が荷室内をかがまずに移動できるよう車高を高くするなど、現場のニーズに合わせた設計が特徴だ。 「予約時の頭金は1万円で十分だ。来年10月からの納期を守れない場合、1カ月遅れるごとに10万円値引きする。BtoBがメインだが、個人向けのカスタマイズも受け付ける。5000台売れたらさらに輸入を拡大したい」とヤマト・インダストリーの池添洋一取締役は意気込む。 さらに小型商用車の領域では、日本の大手企業が低価格の中国製EVを次々と採用している。 日本のEVベンチャーであるASFは、「ASF2.0」を中国の広西汽車系に生産委託。佐川急便、コスモ石油マーケティングなどに納車した。 同じくEVベンチャーのフォロフライは東風汽車系の車体を活用。物流大手SBSグループに1万台の納入が決定し、大手のコンビニやガス会社への納入実績も積み上がっている。 ー 引用終わり ー 一般に商用車はコスト(ライフサイクルコスト)要件は厳しいが、ブランド・ロイヤリティは薄い。 導入時の価格が安いだけでは決定打にならない。使い勝手やメンテナンス性が悪ければ使いやすい方に切り替わる。低速トルクが大きく発進性は良いが、充電時間が長く、重く嵩張るバッテリーを積んだ現行のBEVを、宅配会社が大量に採用することは想像しにくい。 ASFは2020年6月に設立された、EVの企画・開発・製造・販売やバッテリーリース事業を展開するファブレスメーカー(生産工場を持たないメーカー)。 双日株式会社、コスモ石油マーケティング株式会社、JA三井リース株式会社、株式会社オリエントコーポレーションなどが出資している。 2023年6月5日、コスモ石油マーケティング株式会社が、ASFが企画し中国で製造された軽商用EV『ASF2.0』を「コスモMyカーリース」で取扱を開始したことを発表した。 車両価格は非公表。オプションやメンテナンス無し、月間走行距離1000km以下など基本的なプランで、頭金やボーナス払いなし、契約期間72カ月のホワイトパックという条件の月額リース料は4万4660円(税込)。6年間(72カ月)のリース料金は単純計算で46,660円×72回=321万5520円。 2021年4月時点のASFと佐川急便が共同開発中の軽商用EVの諸元、導入スケジュールは下記の通り。●航続距離は200km以上(バッテリー容量は未定)。●車両価格は200万円以下(佐川急便が現在使用している軽商用車のコストを下回る価格)が目標。●7200台の軽自動車を2030年までに順次入れ替え。●2021年9月に量産開始、納車開始は2022年9月頃の予定。 現時点で佐川急便が軽EVを導入したというニュースは見当たらなかった。 2023年11月15日、佐川急便が燃料電池(FCEV)小型トラックと電気(BEV)小型トラックの導入を発表した。EVトラックはいすゞ自動車の新型「エルフEV」の2トン車、FCトラックはいすゞとトヨタが共同開発した3トン車で、いずれもボディには冷凍冷蔵庫が付く。 ●小型BEVトラック諸元車種 ::いすゞエルフEV(冷凍冷蔵庫付き2tトラック)エネルギー : 電気航続距離 : 180km(国土交通省審査値の一充電での走行距離)電池容量 : 60kWh ●小型FCEVトラック諸元車種 :トヨタ自動車・いすゞ自動車共同開発車両(冷凍冷蔵庫付き3tトラック)エネルギー : 水素航続距離 : 260km(参考値)タンク容量 : 10.5kg
2023年11月25日
コメント(0)
EVで出遅れていると批判されているトヨタの2023年上半期の販売は過去最高。 環境活動家や評論家は赤字になり消費者が歓迎しなくとも、「EVを売れ」というのだろう。 現在のリチウムイオンバッテリー駆動によるEVが製造から廃棄まで考慮すると環境にやさしくないことは明白なので、トヨタのEV生産取組の遅れを批判する彼らは、妙な信念に凝り固まった人々ということになる。 トヨタ、23年度上期世界販売・生産は過去最高初の500万台超 2023年10月30日 ロイター トヨタ自動車が30日発表した2023年度上期(4─9月期)の高級車ブランドのレクサス車を含めたトヨタ単体での世界生産と世界販売は上期として、下期も含む半期ベースとしても過去最高となった。いずれも上期として初めて500万台を超えた。半導体不足の影響が緩和したほか、北米などの需要が堅調だった。 上期の世界販売は前年同期比9.1%増の517万2387台。これまでの半期としての過去最高(20年度下期の約507万6000台)を10万台近く更新した。海外販売も5.5%増の438万2219台と半期として過去最高だった。北米では「カローラ」のハイブリッド車などが好調で、国内販売は3割以上伸びた。 上期の世界生産は同12.8%増の505万8248台だった。これまでの半期としての過去最高(20年度下期の約468万2000台)を37万台超、上回った。 同社は今年度の目標として世界販売960万台を掲げている。下期の世界販売が前年度と同じ水準で推移すれば目標に対して40万台超の上振れが見込まれる。 併せて発表した9月実績は、世界販売・世界生産ともに9月として過去最高だった。過去最高は、世界販売が6月から4カ月連続、世界生産は3月から7カ月連続となっている。世界販売は前年同月比11.6%増の92万1308台で8カ月連続の前年超え。世界生産は同1.5%増の90万0919台と9カ月連続で前年を上回った。 一方、電気自動車(EV)の急速な普及で競争が激化している世界最大の自動車市場、中国については、販売が6月から8月まで前年割れが続いていたが、9月は同2.2%増と4カ月ぶりに前年を上回った。トヨタによると、各種販促イベントの展開が奏功したという。ただ、生産は6.7%減で5月からの前年割れが続いている。 ー 引用終わり ー 2023年6月、ドイツ・フォルクスワーゲンが国内の工場の1つでEVモデルの生産を一時的に縮小する措置を導入したと報じられた。 ニーダーザクセン州にあるフォルクスワーゲンのエムデン工場で、7月と8月にEV生産ラインで働く労働者の4週間の夏季休暇延長に向けて、今後2週間のシフトがキャンセルされた。 EV生産ラインの従業員のみ夏季休暇が1週間延長され、エムデン工場で現在雇用されている1500人の臨時従業員のうち300人は、2023年8月に契約が更新されないことが明らかにされた。 エムデン工場労働者評議会のヴルフ代表は「EVにおいて、顧客の消極的な姿勢を強く経験している」と語り、EVが需要不足であることを示唆した。 中国では近年、一時脚光を浴びた拝騰汽車(Byton)、賽麟汽車(Saleen)など新興EVメーカーが相次ぎ姿を消した。 2023年5月10日、長安汽車の朱華栄会長が「この3年間で淘汰された自動車ブランドは計75社にのぼる。向こう2~3年は少なく見ても60%~70%が淘汰されるだろう」と述べたことが報じられた。車載用電池の生産能力は480億GWHに達しており、2025年には100億GWHまで増大すると見込まれている。EVの新車市場の占有率は、2018年4.3%だったが、2022年は26%、2023年1−4月は30%に達した。2030年に70%に達すると予測される。 低速EVのトップ企業だった雷丁汽車は2023年5月5日、山東省の裁判所に破産を申請した。 上位陣に加わった実績のある威馬汽車(WM Motor)も2022年から経営困難となり、2023年10月、上海の裁判所に破産申請した。 環境派の人々はEV市場に既存の自動車メーカーがどっぷりとつかり、内燃機関の自動車がなくなれば問題が解決すると単純に考えているのだろう。後先を考えず資源の浪費と環境に害毒をまき散らした古い世代と思考方法に変化がない。 エコノミストはEVで群雄割拠の状態になり、自分の活躍の場が増えることを望んでいるのだろう。 次世代電池の技術が実用化されておらず、現行のバッテリーの廃棄処分体制が確立しない現段階で、EV大量生産は既存の自動車市場での内燃機関生産での最適解に基づいた設備を抱えるメーカーにとって「罠」となっている。 資源の採取から使用後の廃棄体制まで考慮されたEV生産の正解が分かる日は、いまのところ不明。 現在までのところ、内燃機関の自動車に比べて、価格が高くて、不便で、時に危険なEVの量産は可能である。車体より寿命が短いにもかかわらず、大量に搭載されたバッテリーの環境にやさしい廃棄は、方法も設備面も不十分なままだ。
2023年11月11日
コメント(0)
中国の海外貿易の状況は低迷。 自動車輸出は例外で、この3年間、自動車輸出台数は年々増加し続けている。 2021年の輸出台数は前年同期比2倍の201.5万台。2022年には311.1万台。 中国汽車工業協会(CAAM)の統計によれば、2023年上半期における中国の自動車輸出台数は前年同期比75.7%増の214万台。 2023年には400万台の大台を突破するとの予想されている。 2023年第1四半期、中国と日本はそれぞれ107万台と95.4万台を輸出。2023年内に中国の自動車輸出台数が日本を追い抜き世界トップになると予想されている。 上汽大衆汽車(上海汽車とフォルクスワーゲンの合弁企業)は、中国で最初に設立された自動車合弁会社のひとつ。 上海汽車集団のEVがヨーロッパ、特にドイツで高く評価されている。EVの域内生産に向けたEUの方針が提案されていることもあり、中国の自動車企業は「外資誘致」から「海外進出」へと転換しつつある。トルコは中国のEVに40%の懲罰的関税を課した。フランスはヨーロッパ製のEVにのみ補助金を出す決定をした。 中国自動車大手「輸出拡大の次は現地生産」の野望 広州汽車集団、2030年の海外販売50万台目指す2023年10月23日 東洋経済オンライン 「中国車の海外進出はまだ始まったばかり。輸出の次のステップは、当然ながら海外での現地生産だ」 中国の国有自動車大手、広州汽車集団の総経理(社長に相当)を務める馮興亜氏は、10月12日に広東省広州市で開催された国際ビジネスフォーラムで、海外事業拡大への強い意欲を表明した。 2023年の上半期(1〜6月)、中国は日本を抜いて世界最大の自動車輸出国となった。中国海関総署(税関)のデータによれば、上半期の中国の輸出台数は234万1000台。一方、日本の輸出台数は(日本自動車工業会のデータによれば)202万3000台だった。 「技術力で勝負できる」 しかし馮氏は、現実を冷静に見据えている。「トヨタなどの日系自動車メーカーは、本国での生産台数の数倍を海外で現地生産している。中国メーカーの海外事業は、マラソンに例えればまだ『最初の5キロメートル』を走ったにすぎない」(馮氏)。 そのうえで馮氏は、中国の自動車メーカーの強みと課題について次のように語った。 「近年の中国車は、EV(電気自動車)シフトやクルマのスマート化で世界の自動車業界に先行し、価格の安さではなく技術力で勝負できるようになってきた。とはいえ、中国メーカーは海外の消費者の好みをいかに製品に取り入れるかなどについて、(欧米や日本の)グローバル・メーカーから学ばなければならない」 広州汽車集団の海外進出は、中国の自動車大手のなかでは相対的に出遅れている。 中国汽車工業協会のデータによれば、2023年1月から9月までの期間に最も多くのクルマを輸出したのは国有最大手の上海汽車集団であり、その数は76万1000台。同じ期間の総販売台数(337万7400台)に占める比率は2割を超える。 これに対し、広州汽車集団の輸出台数は2022年の通年で3万3000台にすぎず、同年の総販売台数(243万4000台)に占める比率はわずか1.4%だった。 ヨーロッパ市場などを重点開拓 だが、広州汽車集団は今後の急速な巻き返しをもくろんでいる。 「2023年に入って、国際化戦略の内容や組織体制、投資計画などの大幅な見直しを行った」。同社が8月25日に開催した2023年1〜6月期の業績説明会で、総経理の馮氏はそう明らかにした。 この業績説明会で、広州汽車集団は2030年の海外市場での販売目標を50万台に定めたことを公表。なかでもヨーロッパ、アジア太平洋、中東、アフリカ、中南米などの市場開拓を重点的に進めるとしている。 ー 引用終わり ー 中国・BYD(比亜迪)は世界有数のリチウムイオン電池のメーカー。同時にBEV、PHEV(プラグインハイブリッド車)の大手メーカー。 2022年9月8日、BYDがタイ最大の工業・物流系デベロッパーであるWHAグループと工場用地の購入などに関わる契約を結んだ。 初の完成車の海外工場をタイに建設する。 7月5日、BYDはブラジルに3つの工場を建設すると発表した。総投資額は900億円。 7月14日、BYDはインドでEVとバッテリーを生産する計画を規制当局に提出したと報じられた。投資額は10億ドル。 9月13日、EU製のEVが価格競争で不利に立たされているとして、調査に乗り出すとフォンデアライエン欧州委員長が発表。EUのさらなる自動車市場の囲い込みが始まった。 下記の記事のタイトルに「中国製EV」の排除とあるが、日本製EVの中国と同列にあるはず。 ついに「中国製EV」の排除が始まった…「欧州製EV」を露骨に優遇するEUの華麗すぎる手のひら返し自分のことは棚に上げ「中国政府の補助金」に猛反発土田 陽介三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 副主任研究員2023/09/26 PRESIDENT Online中国製EVは爆発的に売れていたが… 脱炭素化に注力する欧州連合(EU)は、その手段として電気自動車(EV)の普及に努めている。欧州自動車工業会(ACEA)によると、8月の新車登録台数のうち、EVが占める割合は21%と、初めて2割を超えた模様だ。そのEUは、中国製の廉価なEVがEU域内の市場に流入することに対して危機感を強めている。 EUの執行部局である欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長は、9月13日に任期中で最後となる施政方針演説に臨んだ。その際、中国製のEVの価格が、中国政府による補助金を受けて人為的に安く抑えられており、EU製のEVが価格競争で不利に立たされているとして、調査に乗り出すと発表した。 EUが危機感を強める背景には、中国製のEVが近年、爆発的な速さで輸出を伸ばしていることがある。特にヨーロッパは、中国の自動車メーカーにとって主力の市場だ。中国海関総署の統計によれば、ユーロ圏の主要国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ)向けの乗用車の輸出が、2022年に急増したことが分かる。 ー 引用終わり ー
2023年11月03日
コメント(0)
中国の自動車産業にとって、新天地、ブルーオーシャンと思われたEVは参入者の多さからあっという間に政府の補助金頼みのレッドシーになった。 価格競争の激化により倒産・廃業する企業が続出した。特にバッテリーは過渡期の技術であるため、新たな量産技術の開発によって、既存のEVは競争力をまったく失う可能性も濃厚。 不動産バブルつぶしに躍起となった中国政府は、ゼロコロナ政策で弱り切った中国経済活性化のため、中国のEVメーカーに対して国産品の使用を指示した。 2023年第1四半期の世界のプラグインハイブリッド車を含めたEV車の世界販売シェアは、中国のBYDが21.1%で首位、2位に16.01%でテスラ、3位に6.89%でVWとなった。国別の販売シェアでも中国が依然として首位。 中国の乗用車全体の販売が12%減少した中で、ナンバー取得の優位性などが功を奏し、EVの販売は前年比29%増と成長を続けている。一方中国では過度の価格競争によりほとんどのEVメーカーが赤字となり、続々と廃業、生産中止となっている。 中国政府、EVメーカーに「国産部品」使用指示…半導体など日米欧製品排除か2023年9月17日 読売新聞 中国政府が、中国の電気自動車(EV)メーカーに対し半導体などの電子部品について、中国企業の国産品を使うように内部で指示していることがわかった。世界的に急成長するEVの分野でサプライチェーン(供給網)を国内で完結させる狙いとみられ、今後、日米欧の部品メーカーは排除される可能性が高い。中国政府は自ら掲げる「高水準の開放」とは逆行し、成長分野での外資排除の動きを強めている。 複数の関係者によると、中国政府で産業政策を担う工業情報化省の閣僚経験者が昨年11月、中国の自動車関連メーカーを集めた内部の会合で、「中国企業の国産品の部品を使う」ように口頭で指示を出した。国産部品の使用率に関する数値目標を立てることも求めたとされる。EVに使う半導体などが対象で、数値目標を達成できない場合には、メーカーに罰則が科される可能性があるという。 今月1日には、工業情報化省や財政省などが「自動車産業の着実な発展に関する作業計画(2023〜24年)」を公表し、「自動車産業の供給網の安定と円滑性を確保する」としたうえ、供給網の安全を監督する枠組みを設立する方針を明らかにした。電子部品の国産品使用率の検査や車載用電池の認証制度の導入を実施していくとみられる。 在中国の外交筋は「閣僚経験者の口頭指示は外資排除の証拠を残さないようにするためだ。作業計画で供給網の強靱きょうじん化を明確にすることで、各メーカーに国産部品の利用徹底を図ろうとしている」と分析している。 中国の調査研究機関によると、中国の自動車部品の22年の市場規模は3兆8800億元(約78兆円)で、28年には4兆8000億元(約96兆円)になると予想されている。これまでは日米欧の部品メーカーが中国市場の大部分を占めていたが、中国企業は外資企業と合弁を組んで技術を吸収し、自動車部品の製造技術を大幅に向上させたとされる。ガソリン車からEVに急速に移行していく過程で、EV製造の中核となる電子部品で外資に依存せず、自前で調達する態勢作りを進めており、駆動装置以外はすべて技術を入手したという。 関係者は「中国企業がEVの部品製造で過当競争を仕掛ければ、日米欧のメーカーが国際競争力を失っていく。燃料電池車(FCV)などでも中国の製品が世界市場を席巻することになる」と警鐘を鳴らしている。 ー 引用終わり ー 価格競争の激しさから、2023年1月までに、テスラは中国で「5回目の値下げ」を行った。 EV市場の様子を見て、国内EV産業の発展を後押ししようとテスラの誘致に熱心だった中国政府は、国内の過剰なEV生産能力への懸念から自動車メーカーの工場増強に慎重になっている。 アングル:中国当局がEVの過剰生産懸念、テスラの上海工場増強に暗雲By Reuters Staff2023年6月18日 ロイター … (略) … 低コストの優位性を生かして輸出拡大を図ろうと上海工場の増強を画策するテスラは、中国市場で成功して販売台数を劇的に増やしたことが、事業拡大の逆風になるという皮肉な事態に直面している。 ライバル企業の幹部やアナリストによると、中国国家発展改革委員会(発改委)は過剰生産能力とテスラが仕掛けた値下げ競争を懸念しており、どの自動車メーカーに対しても、EV工場の新規承認に慎重な姿勢だという。 コンサルタント会社オートモビリティーの創業者兼最高経営責任者(CEO)、ビル・ルッソ氏の推計によると、中国の自動車市場の過剰生産能力は年間約1000万台と、昨年の北米全生産台数の3分の2に相当する。 「テスラ側は、新製品があるのだから新しい工場が必要だと主張するだろう。だが、中国政府側は市場の供給過剰ばかりに目が向いている」という。 テスラは新型コロナウイルス対策の上海封鎖時に地元政府から提供された支援に感謝する昨年5月の熱烈な書簡で、現工場から3キロほどの場所に年間生産能力45万台の新工場を建設する計画の詳細を公表した。販売価格に基づく年間の生産額は180億ドル強。元農地の建設予定地は、今のところ雑草が伸び放題だ。 ー 引用終わり ー テスラは7月、電池を担当する従業員の一部の一時解雇を開始したと報じられた。 8月、値下げを実施し、上海工場は前月比31%増の8万4159台を出荷した。 9月1日、テスラは中国でセダンタイプの「モデルS」の販売価格を7%、SUVの「モデルX」は12%値下げすると発表した。 9月6日、上海の「ギガファクトリー」で、200万台目の完成車がラインオフしことが報じられた。 中国政府はEVの過剰生産を懸念し、テスラは自らのEVの生産・販売事業の拡大の主な柱を中国としている。両者がどのように折り合いをつけるのかが注目点。
2023年10月03日
コメント(0)
EVの急速な普及拡大により高電圧のEVの整備士が不足しているとのこと。 機械類の整備を主として来た整備業者は、高電圧のEV修理についての整備士の訓練や設備・器具類のコスト負担に難色を示すことが多いという。 高電圧絶縁手袋だけで万単位の出費となる。 自動車の絶対数は内燃機関搭載車。状態の判定、整備が難しく、多くの危険を伴う未知のEV整備に取り組むリスクをとる必然性に欠ける。 アングル:EV整備士の不足、世界中で深刻化か高コストも足かせ2023年9月9日 ロイター 電気自動車(EV)業界は、整備士不足という深刻な問題を抱えている。資格を持つ整備士や独立系整備工場が世界的に足りず、このままでは修理代や故障保証コストが上昇し、自動車の温室効果ガス排出削減の期限内の達成をも脅かしかねない。 業界関係者によると、独立系整備工場はフランチャイズディーラーよりも料金がはるかに安く、EVを手頃に利用できるようにするために欠かせない見通しだ。 400ボルト、800ボルトといった高電圧EVを修理するための訓練や設備のコスト負担に難色を示す整備工場のオーナーは多い。EVの走行台数がまだ比較的少ないだけに、なおさらだ。 不注意だったり訓練を受けていなかったりする整備士が高電圧EVを扱えば、感電で即死する恐れもある。EVの火災は消火が難しく、発火にも慎重な対処が欠かせない。 … (略) … 自動車整備業界は新型コロナウイルスのパンデミック後に人手不足に陥った。英国に拠点を置く自動車産業協会(IMI)は整備士訓練コースを設け、現在は中国全土にEVコースを設置しようといている。今後、インドと欧州全域への展開も目指す。 IMIは、2030年に化石燃料車の販売が禁止される英国では、32年までにEV整備士が2万5000人不足すると予測している。 中国に次ぐ世界第2位の自動車市場である米国は、EV販売台数の伸びで欧州に遅れをとっている。それでも労働統計局はEVの修理やEV充電器の設置を行う技術者を含め、2031年までに年間約8万人の技術者が必要になると見込んでいる。 … (略) … <未知への不安> ロンドンの北西部ハイウィカムにあるヒルクライム・ガレージのマネジングディレクター、マーク・ダーヴィルさんは、EVとハイブリッド車の整備を受け入れており、これらの扱いが全体の約15%を占める。 同社が計画している訓練と設備への投資2万5000ポンド(約3万1400ドル)は、EVとハイブリッド車が整備全体の35%を占めると見込まれる2024年後半には回収できる見通しだ。EVの修理は選択肢が乏しく、既に遠くから顧客が来ている。「独立系整備工場の足かせになっているのは、未知への恐れだ」と言う。 IMIによると、英国の自動車技術者の推計20%が何らかのEVの訓練を受けている。しかし、定期整備以上の作業が可能な有資格者はわずか1%だ。 自動車メーカーは整備士育成に躍起だ。米テスラは整備士候補養成のコースを米国のコミュニティカレッジで開講。国内の独立系修理工場向けに訓練も提供している。 一方、EV訓練コースの機器を製造している独ルーカス・ヌエル社のダニエル・ブラウン氏は、無資格の技術者が高電圧のEVを修理するよう圧力を受けることを心配している。「誰かが怪我をするのは時間の問題だ」と言う。 シーメンス財団は、EV充電器の設置や整備を手掛ける米技術者を養成するため3000万ドルのプログラムを発表した。技術者養成という「途方もなく差し迫った」必要性に対処するためだ。 ー 引用終わり ー ということで、古くなりバッテリーの耐用年数も近づき、故障が出始めたEVはゴミになる。BEVはリユースのメリットも少なく、内燃機関自動車と異なり、資源の回収・再生方法も確立されていない。 現在のBEVが環境にやさしくなるよう、EVを普及させた中国、欧州、米国は、諸々の社会的な整備が必要。BEVの普及拡大を主張した環境団体、環境政党は、これらのEV対応、社会的なシステム確立の促進も主張・推進していただきたい。とりわけ環境に害の多そうな重金属を含むバッテリーの回収。処分は急いでほしい。
2023年09月12日
コメント(0)
一般に電気自動車、EVと言われるものの大半が現時点はBEV、蓄電池自動車。 電池自動車の製造原価の1/3程度を占めるとされるのが蓄電池(駆動用バッテリー)。 EV時代に対応するには大規模で効率的に電池を生産する工場が必要になる。 現在建設途上にある、あるいは実施が計画されている電池工場が、次世代電池の生産に対応するものかは不明。 内燃エンジンのように熟成された技術と異なり、発展途上画期的技術が実用化途中のEV、BEV市場は早くシェアを拡大したからといって、将来のシェアが約束されるものではない。 8月29日、日本のEV駆動用バッテリーの大手のAESCは、国内の生産設備増強のため、新たに1千億円の設備投資を検討中であることを明らかにした。 現時点で最適ではなく、全固体電池に限らず、将来の対応可能性を考慮した余裕、余力ある生産設備となることを祈りたい。 電池大手AESC、国内生産増強で1000億円投資ホンダ・マツダにも供給2023年8月29日 ロイター … (略) … 茨城工場(茨城県茨城町)第1棟はすでに500億円を投資し、ホンダと日産自動車向けに供給する。さらに500億円を投じて第2棟を完成させ、マツダ向けなどを生産する。今後も供給先を増やして、投資額はまだ未定だが、第3棟の建設も計画する。 同社は同日、茨城工場の竣工式を開いた。同工場は各国で建設中の工場にノウハウなどを展開するマザー工場。従来型よりエネルギー密度を1.3倍に高め、充電速度を35%短縮した次世代電池を第1棟で2024年3月から量産を始める。第2棟は同年秋に竣工する予定。 生産能力は当初60KWh(キロワット時)のEV10万台以上に相当する60GWh(ギガワット時)で始め、将来的に20GWhまで引き上げる。 松本社長によると、銀行借り入れや各国の政府補助金、ファンドなどを引受先とする増資などを進め、設備投資資金を調達する。独自開発の全固体電池については、「27年には技術的に完成できるようにし、28年以降から量産を始めたい」と述べた。 現在は座間工場で日産、三菱自動車向けを供給しているが、茨城工場からはホンダが24年に投入する商用軽自動車のEV向け、マツダにも供給する予定だ。 米国新工場からは独メルセデス・ベンツグループや独BMWに供給する。同社は1割程度にとどまる日産以外の自動車メーカーとの取引比率を25年をめどに5割まで引き上げる方針。 同社は、米国、英国、フランス、スペイン、中国、日本の6カ国で電池工場を建設中で、世界の電池生産能力を26年に400GWh以上と現在の約20倍に引き上げ、25年─26年には世界の車載電池市場シェアを約15%と現状の5倍に拡大することを目指す。 AESCは07年に日産自動車や日本電気などによる合弁会社「オートモーティブエナジーサプライ」として設立。10年に発売した日産の主力EV「リーフ」向け電池を初代から供給してきた。 19年には再生可能エネルギー関連企業の中国エンビジョングループの傘下に入り、資本構成はエンビジョングループが80%、日産が20%となったが、AESC広報によると、現在は増資を経て、エンビジョングループの出資比率は下がり、日産の出資比率も10%台に低下しており、6月には社名を「エンビジョンAESC」から「AESC」に変更した。 ― 引用終わり ― 既にメーカー系列を超えたメガサプライヤーが自動車部品を供給する時代となっている。 内燃エンジン時代の自動車メーカーの系列を維持できるのは、トヨタ自動車グループぐらいの規模があってこそ成り立つものとなっている。 EV時代となり車台(シャシー)、駆動系のeアクスルも系列を超えた供給によるコストダウンが検討されている。 独裁的運営がすすんでいる製造の中国ばなれは、自動車製造にとって安心要素。
2023年09月07日
コメント(0)
2022年の自動車販売台数は前年比2.1%増の2,686万台(その内、乗用車が2,356万台、商用車が330万台)、生産台数は同3.4%増の2,702万台だった。 中国の自動車産販売台数と生産台数はいずれも世界全体の3割を超え、世界最大の規模となっている。 増加要因は新エネルギー車(NEV)の販売増。前年比で93.4%増と、2021年に続いて大幅に伸びた。 自動車販売台数に占めるNEVのシェアは25.6%。自動車輸出台数は311万1,000台、前年比54.4%増となり2年連続で過去最高を更新した。 2023年の中国での自動車販売も安価なBEVをもたない日系各社の販売台数は前年比マイナスを続けている。 中国 6月の新車販売台数 5か月連続で増加も日系各社はマイナス2023年7月11日 NHK 中国の先月の新車の販売台数は、去年の同じ月と比べて4.8%のプラスと5か月連続で増加した一方、日系各社の販売台数はマイナスとなりました。 中国の自動車メーカーなどでつくる「自動車工業協会」によりますと、先月の新車の販売台数は262万2000台で、去年の同じ月と比べて4.8%のプラスと、5か月連続で増加しました。 … (略) … 業界団体は、今後の見通しについて、ことし1年間では安定した成長が期待できるとする一方、需要が依然として不足しているなどと、中国の景気回復の勢いが鈍くなる中で警戒感も示しています。 一方、日系メーカー各社が発表した先月の中国での販売台数は、去年の同じ時期と比べて軒並みマイナスとなっていて、減少幅は、▽トヨタ自動車が12.8%、▽ホンダが19.8%、▽日産自動車が28%となっています。 ― (略) ― 今のところEVを製造原価に対して適切な価格で販売している自動車メーカーはほとんど無いようだ。 2022年の通期(1~12月)決算で、中国のEVメーカーはBYD以外軒並み赤字決算、米国・GMは増収減益、フォードモーターは2年ぶりの赤字。 環境団体やマスコミに「EVで出遅れた」と非難される日系メーカーは好決算。 トヨタ自動車の2023年3月期通期連結業績(2022年4月1日~2023年3月31日)は、営業収益37兆1542億円、営業利益2兆7250億円で増収減益。営業収益は過去最高。税引き後の利益は2兆4513億円。 ホンダは6月23日、5月11日に公表した2023年3月期連結決算を北米で展開する4車種計約148万台がリコール対象となり、関連費用の見積もりに変更が生じたため訂正した。6952億円としていた純利益を6514億円に引き下げた。 日産自動車は、2023年3月期の連結純利益予想について、前回見通し(前年比28.1%減の1550億円)を4割上回る2200億円に上方修正した。売上高は10兆5千億円(前回見通し比3.7%減)、営業利益は3700億円(同2.8%増)。 ホンダの2023年4-6月期(第1四半期)営業利益は前年同期比78%増の3945億円。2024年3月期の営業利益は過去最高の1兆円を見込んでいる。 今のところ、EVの製造・販売に力を入れない方が利益は上がる。そして一般に赤字のビジネスは続かない。
2023年09月06日
コメント(0)
国内で運行中のEVバスはEV先進国の中国メーカー製車両が目立つ. 2025年開催予定の大阪万博用に中国製EVバスが100台納車された。 大阪万博の「〝中国製〟バス100台」に疑問国内EVバス市場にも変化か「重要な技術も使われている」2023年7月8日 zakzak by夕刊フジ 2025年4月に開幕する大阪・関西万博で、来場者輸送などのため電気自動車(EV)バス計100台が納車されることになり、話題を呼んでいる。「大阪での万博なのに、なぜ事実上中国製のEVバスが使われるのか」といった疑問・異論の声もあるが、実態はどうなっているのか。 6月、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)へのEVバス納車を発表したのは国内メーカー、EVモーターズ・ジャパン(本社・北九州市)。日本で走行するEVバスは100台程度。そこへ一挙に100台という国内最大の大口契約が結ばれたのだ。 同社は2019年設立のベンチャーで、EVバスでは唯一の「国内メーカー」。ただ、製造の大半は中国メーカーに委託しており、今回の契約でも先月、福建省にある中国メーカーの工場で大々的に「納車式」が行われた。同社は「生産されるバスには一部自社で開発された重要な技術も使われている」と説明する。 大阪メトロでは現在、万博へ向けさらに約50台のEVバスを導入する計画で、同社広報もメーカーについては「一切未定。あらゆる選択肢の中から決めたい」と話す。 国内自動車大手はこれまでEVバスを限定的にしか生産しておらず、国内で走っているのもほぼ中国製だ。 EVバス普及の研究を進める熊本大学大学院先端科学研究部の松田俊郎准教授は「日本では従来のバス自体も生産需要は限定的で、EVバスとなると、大手による生産、販売実績はほとんどなかった」と説明する。 一方で松田氏は「路線バスは定期的な点検などが非常に重要で、日本のバス事業者は品質やアフターサービスの体制を重要視している。その面で中国のEVバス企業よりも日本メーカーへの信頼度は高い」と指摘する。 ― 引用終わり ― 「低炭素化」を旗印にEVバスは着実に導入されている。 2012年3月10日、東京都羽村市は、地域環境の改善や地球温暖化対策の一貫として、EVバスの「はむらん」を導入。蓄電池容量が小さいため航続距離が短く、充電設備などのインフラ整備が導入後の課題となった。 2021年3月8日、電気バス車両の老朽化により、羽村中央コースがディーゼルバスでの代走となる。 2015年11月30日、東京都港区は、コミュニティバス「ちぃばす」の芝ルートにEVバスを4台導入。 2019年3月25日、中国・BYD(比亜迪)の日本法人ビーワイディージャパン(BYDジャパン、劉学亮社長、横浜市神奈川区)は、日本で小型電気バス「J6」の先行予約を同日に開始したと発表した。「J6」は海外で販売していた小型電気バス「K6」をノンステップにするなど日本仕様にしたもの。納車は20年春を予定。 日本の小型電気バスとして最長の航続距離200キロメートルを確保した。希望小売価格は1950万円(消費税別)で「ディーゼル車と比較してもらえる価格を実現した」(花田晋作副社長)。20~24年の5年間に約1千台の販売を計画する。 2020年6月19日、イーグルバス(川越市)が川越市内の「小江戸巡回バス」で「電気ボンネットバス」を導入。中国・アジアスター社製の電気バスをベースに、日本で改造した同社オリジナルの車両。 2021年12月22日、京阪バスが、京都市内を走る路線で、BYD製の4台のEVバスの運行を開始。 2023年2月13日、東京都渋谷区役所内にて、ハチ公バス EVバス導入セレモニーが行われた。3月1日運航開始。ハチ公バスに導入されたのは福岡県に本社を置く「EVモーターズ・ジャパン」製のEVバス「F8 シリーズ4-ミニバス」。車体全長6.99m、定員29人のコミュニティバス向け小型バス。”世界最高クラスの低消費電力システム”を搭載し、1回の充電で走れる航続距離は290km。導入コストは1台約2600万円。 2023年2月15日、BYDジャパンは西武バスに大型EVバス「K8」を2台納入したと発表した。 2023年2月27日、BYDジャパンが北海道地区に初めて納入したEVバスが北広島市で報道陣に公開された。 2023年4月18日、富士急行株式会社は、富士急グループのバス会社5社において、BYDの新型EV路線バス6台(大型4台、小型2台)を導入したと発表した。 低速トルクが大きいこと、日常の点検箇所が少ないことなどから、運転者には好評。 故障個所が分かりにくいこと、対策が分かりにくいこなどから、整備者には不評。 EV各社とも大型電気自動車の経験が長くないことなどから、外装・内装・駆動系の耐久性は期待できない。 2014年2月28日、三菱重工業はこのほど、鹿児島県薩摩川内市に市内運行用のEVバスを納入すると発表した。同社製造の高性能リチウム二次電池「MLiX」を搭載した72乗りノンステップ大型路線バスで、1回の充電で最大80km走行可能。 全国に先駆け導入した大型EVバス5年でひっそり運行終了故障が多発 車体価格は8700万円 2022/09/26 南日本新聞 鹿児島県薩摩川内市が2014年4月、路線バスに導入した大型EV(電気自動車)は全国に先駆けた取り組みだった一方、故障が相次ぎわずか5年で運行終了した。非常用電源や地域イベントの展示品として保管されていたが、20年に新型コロナウイルス感染が拡大。イベントの中止が相次ぎ、活用される機会がほとんどないままに今夏、処分された。充電設備などは9月上旬に撤去された。 … (略) … しかし、運行面では故障が目立った。予定した稼働日のうち運休日数が約3割を占めた。結局、13万6000キロを走って19年3月に引退。市総合運動公園の駐車場で非常用電源として保管された。 ― 引用終わり ― コロナ禍も明け、バスの運行業界は意気盛ん。2023年を「EVバス元年」とし普及拡大に努めるという。大きな夢は、大きな困難を抱えることになるだろう。 日本バス協会、「EVバス元年」宣言 2023年2月3日 観光経済新聞 清水会長、「夢ある業界」目指す 日本バス協会(清水一郎会長・伊予鉄グループ社長)は17日、通常理事会および新年賀詞交換会を東京・大手町の経団連会館で開いた。通常理事会では、11月10日に自民党本部で開催した「バス危機突破総決起大会」や2023年度の国の予算案の説明など昨今の業務・情勢を報告。賀詞交換会には国会議員64人を含む約350人が参加した。清水会長は、「9月20日には、日本のバス120周年を迎える。夢のあるバス業界にしたい」と話した。23年は、「EV(電気自動車)バス元年」として、国の支援を活用しながら、EVバスの普及を進める。 ― 引用終わり ―
2023年07月12日
コメント(0)
日本の自動車メーカーは自動運転の実用化に向け取り組んでいるが、間違いを許さない日本社会、新規のものに間違いを許さない(=許可して責任をとりたくない)日本の行政のもとでは、テストをするのも困難。実用化はそのはるか先になる。行政の一番てっぺんは内閣であり、内閣の姿勢の問題だ。 軍用の自動運転車の研究で先行していた米国では、ドライバーのいない完全自動運転のタクシーが米国・サンフランシスコで既に商用化されている。 ドライバーがいない?衝撃の完全無人タクシーとは?2023年4月24日 NHK … (略) …“完全無人タクシー” その舞台は “新しいことが世界で1番先に起きる”と言っても過言ではない、シリコンバレーにほど近いサンフランシスコ。 ここでいま、自動運転の技術を使った無人タクシーの実用化に向けて、各社がしのぎを削っています。 アメリカ サンフランシスコ IT大手グーグル傘下の「ウェイモ」、4年ほど前にアマゾンに買収された「Zoox」、そしてGM=ゼネラル・モーターズ傘下の「GMクルーズ」です。 このうち、GMクルーズはサンフランシスコで最も早く、ドライバーのいない、完全自動運転のタクシーの商用化を実現しました。 一般向けのサービスが始まったのは去年の夏以降。と言っても、まだ誰でもすぐに利用できるわけではなく、名前やメールアドレスなどを登録し、利用の申請をして許可がおりるのを待たなければいけません。 私が申請したのは去年6月。 配車に使うスマホのアプリが使えるようになる時を待っていましたが、申請から半年あまりたったことし1月中旬、ようやく「利用可能になった」とのメールが届きました。 “完全無人タクシー”に乗ってみると… ドライバーがいない、自動運転のタクシーとはいったいどんなものなのか。 私も取材の一環として、体験してみることにしました。 GMクルーズが現在サービスを展開しているのは、午後10時から午前5時30分までの深夜から早朝の時間帯。 エリアはサンフランシスコ中心部に限られ、時速も最大30マイル(時速約48キロ)と上限が決まっています。 走行エリアはサンフランシスコ中心部の限られた地域のみ 安全に配慮するため、なるべく車や人が少ない時間帯に、限られた範囲で事業をスタートさせたというわけです。 午後10時を回ったところでスマホアプリでさっそく配車に挑戦。 アメリカで普及しているウーバーなどの配車サービスと同じ要領で、目的地の住所を入力します。 すると「あと7分ほどで車が来ます」というメッセージが、車の現在地を示した地図とともに表示されました。 「本当に無人の車が来るのだろうか」と待つこと7分。屋根の上などにいくつものカメラやセンサーがついた車が時間通りに来ました! ドアのロックはアプリを使って解除します。 そして車に乗り込むと、後部座席の前に設置されたタブレットで「スタート」ボタンをクリック。すると、すぐに自動で走り始めました。 無人だからか、思ったよりもスピードが出ているような感じもして少し緊張しましたが、赤信号ではきちんと停車。右折や左折もスムーズです。 運転席には誰もいないのに、ハンドルが右へ左へと動く様子は、まるで透明人間が運転しているかのようでした。 取材ということもあり、合計3回この無人タクシーに乗りましたが、大きなトラブルはありませんでした。その中でも1番驚いたのは、走行車線の前方にハザードランプをつけた車が停車していた時のこと。 ちょうど隣の車線にも車が走っていて車線変更もできず、その車のすぐ後ろまで来て止まってしまいました。「こういう時はどうするのだろう?」「もしかして前の車がどくまでずっと待つつもりだろうか?」などと思いながら観察していると、どうしようか迷っているような様子。 ただ、車体のセンサーなどで周囲の状況を把握したのか、その後、少しバックをしてタイミングを見計らい、前方の車を上手に追い越したのです。 ドライバーのいない、無人のタクシーがいきなりバックを始めたときは思わず後ろに車がいないか確認してしまいましたが、まるで人間のような判断力。その能力の高さに思わず「すごい!」と声を出さずにはいられませんでした。 ― 引用終り ― EV化を強力に推進した中国政府は、現状のEVが経済の拡大につながるものではないことに気づき始めたようだ。2022年2倍に急拡大した中国EV市場、今年は一転して淘汰・再編がテーマになった。 2013年11月に設立されたスタートアップの「漢騰汽車(ハンテンオート)」は2022年4月25日までに破産再編手続きを終えて、第1期工場を中国大手自動車メーカーである「長城汽車(グレート・ウォール・モーター)」に売却した。長城汽車も12年間の赤字経営を経験した後、2022年7月に裁判所によって破産再編が承認された。 2015年に設立された「游侠汽車(ユーシャ・モーター)」は、巨額の資金提供を受けたものの、その後の5年間において一台の電気自動車も生産できず、工場の休業や大規模な解雇、賃金未払いなどの不祥事が繰り返し報じられ、会社の株式はすでに全面凍結されている。 2015年に設立された新エネルギー車(NEV)メーカーの「雲度新能源汽車(ユンドゥ・ニュー・エナジー)」は幹部が続々と退職し、株主も次々と撤退し、企業の資金チェーンが断裂した。倒産となっていないが、活動はすでに債務超過で完全に停止している。 2016年に創業した中国の新興EVメーカーの「拜騰汽車(バイトン)」は、予定していた5億ドル(約571億円)の資金調達に失敗して2020年6月末から事業活動の停止を余儀なくされ、2021年に倒産を宣言しました。 今年の5月に経営破綻した雷丁汽车は、中国の農村部や地方の小都市で人気を集めた「低速EV」のトップ企業だ。 中国マイクロEV「雷丁汽車」が経営破綻の深層「グレーゾーン商品」からの脱皮を図るも失敗2023年5月23日 東洋経済ONLINE 中国の新興EV(電気自動車)メーカーが、また1社破綻した。山東省濰坊市に本社を置くマイクロEVメーカーの雷丁汽車だ。同社は5月5日、地元の裁判所に破産を申請した。 2012年に創業した同社は、かつては「低速EV」のトップ企業だった。低速EVとは、最高時速が70キロメートル以下で、駆動用電源として鉛蓄電池を搭載する4輪車のことだ。中国の法規上は「自動車」ではないため、ドライバーは運転免許を取得しなくても運転できる。 低速EVはある種のグレーゾーン商品として、中国の農村部や地方の小都市で人気を集め、2017年の市場規模は約130万台に達した。しかし国が定める自動車の安全基準の適用外という、重大な問題を抱えていた。2018年11月、自動車産業を所管する中国工業情報化省は関係省庁と共同で通達を出し、低速EVの規制強化に乗り出した。 それをきっかけに、低速EVメーカー各社は事業戦略の見直しを迫られ、一部の大手企業は自動車メーカーへの転換を図った。雷丁汽車もその1社であり、2019年に四川省の自動車メーカーを買収して(中国政府が発給する)自動車製造のライセンスを入手。2021年4月からマイクロEVの量産を開始し、同年に10万台を販売する計画だった。 ― 引用終り ― 中央・地方政府の購入補助金が終了すると大手各社がEVの値下げに走り、収益環境が悪化したため新興EVメーカーの淘汰とうたが進みつつある。 EVは自動運転技術とたいへん相性が良い。次世代技術、先進技術で米国に負けたくない中国で、2023年67月16日、中国のインターネット検索大手、百度が、深センの一部で、完全無人運転のロボタクシーサービスの営業許可を取得したと発表した。 中国の百度、深センで完全無人タクシーの営業許可取得2023年6月19日 ロイター 中国のインターネット検索大手、百度(バイドゥ)は16日、規制当局から深センの一部で、完全無人運転のロボタクシーサービスの営業許可を取得したと発表した。 許可が下りたのは深センの188平方キロの範囲で、乗客から運賃を徴収することも認められた。 バイドゥは2022年に初めて深センで自動運転車を導入したが、監視員の同乗が条件となっており、運賃の徴収は禁じられていた。 同社は年内に完全無人運転タクシー200台を展開する計画も明らかにした。 ― 引用終わり ― 物流の2024年問題が唱えられ危機だけが叫ばれる日本で、今のところ一般公道で自動車の完全自動運転技術が許可される見通しはない。 ホンダジェットが米国で実用化されたように、日本の自動車メーカーは海外で先行して公道での自動運転技術を実用化するのであろう。 東京パラリンピック2020の選手村でトヨタの自動運転バスと歩行者の事故が起きた。事故原因の調査後に詳細が語られることがなかったが、状況から判断するに、歩行者が自動運転バスの前に飛び出したようだ。人間にできないことを自動運転技術に求めても実用化が遠のくばかりだろう。
2023年07月07日
コメント(0)
2023年6月13日、トヨタは現在実用化に向けて開発中の次世代技術を一挙公開した。 全固体電池実用化の衝撃は大きいが、その他、電動車関連、水素関連、燃料電池関連、空力関連、車体構造関連、製造技術関連などについて多くの内容が含まれている。高性能だが高コストの全固体電池の量産・実用化は大いに注目するが、既存のリチウムイオン電池の大幅な商品性向上案も大いに注目すべきだ。 新しいリチウムイオン電池には3種が計画されている。 ひとつは2026年に実用化を目指すパフォーマンス版。これは電池素材や構造を大きく変えることなく、基本となるエネルギー密度を高めつつ、車両側の空力性能向上や軽量化でEVの性能向上をはかり最大航続距離をbZ4Xとの比較で200%、コストは既存のリチウムイオン電池比で20%削減を目指す。 もうひとつは、2026年から2027年をめどに実用化を目指す普及版。正極素材に安価なリン酸鉄リチウムを使用、バイポーラ構造と呼ばれるシンプルなものとすることで、最大航続距離はbZ4Xとの比較で+20%、コストは40%削減を目指す。 最後は2027年から2028年での実用化を目指すハイパフォーマンス版。正極素材にハイニッケルを使用し、バイポーラ構造を組み合わせ、最大航続距離はbZ4Xとの比較で210%、コストはパフォーマンス版からさらに10%削減を目指す。 現行のリチウムイオン電池をもとに、電池の量産体制を整え、プラットフォームを設計している自動車メーカーが真っ青になる内容だ。 トヨタ株が大幅続伸、EV巻き返しの思惑継続株主総会にも関心2023年6月14日 ロイター トヨタ自動車が4%超高と大幅に続伸している。前日は電気自動車(EV)向けの全固体電池の実用化を2027─28年に目指す方針を明らかにしたことが手がかりとなって株価は5%高と急伸しており、その流れが継続している。きょうの定時株主総会では環境問題への対応を巡る株主提案も出ており、総会の注目度が例年以上に高まっている。 ー 引用終り ー 2023年6月15日、経済産業省はトヨタ自動車が日本で計画する電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の投資に約1200億円を補助することが報じられた。 トヨタの社長交代発表時には、既に次世代電池の実用化の目途が立っていたことを想像させる。 全固体電池は画期的な性能の高さがウリ。量産された電池のコストが普及のカギと想定される。
2023年06月29日
コメント(0)
ロシア国内で爆発・大火災が相次いでいるが、西側社会ではEV化の進展にともない、四輪・二輪の火災が相次いでいる。 2021年4月、北米でテスラの「モデルS」が木に衝突して炎上。8月、フォルクスワーゲンの「ID.3」が充電後に発火、GMの「Bolt EV」も充電中に発火。 大量のリチウムイオン電池を搭載する「モデルS」は、鎮火までに4時間かかった。 一般の火災では、酸素供給を断つことと冷却することが有効。リチウムイオン電池は発熱すると、電極の活物質が熱分解して酸素を放出するため、酸素の供給を断つことは有効ではない。 さらに、電池内の燃焼成分を完全に消失させることができないため、一旦鎮火しても、電池内にエネルギーが残存し、再び発熱、発火する。鎮火した数時間後、ときに数日後に再発火する。このように連鎖的な自己発熱で火災が発生するため、通常の消火器で鎮火させることは困難で、大量の水でバッテリバックを徹底的に冷却している。 電動の四輪が燃えるなら、当然二輪の発火事故もある。 2023年3月8日、米国・ニューヨークのスーパーで電動スクーターが原因の火災が発生。7人がケガをした。スーパーの従業員が所有する電動スクーターのリチウムイオン電池が発火の原因とみられている。 英国・ロンドンでは2023年に入ってから電動自転車48台、電動スクーター12台が火災の原因となった。 急速にEVが普及した中国でも二輪、四輪の発火、火災が大量に発生していると思われるが、日本で報道に接することは少ない。 【火災相次ぐ】充電中の電動スクーターが突然爆発2023年、電動自転車48台に電動スクーター12台が発火英・ロンドン2023年5月27日 FNNプライムオンライン イギリス・ロンドンの住宅で撮影された映像。 キッチンに置いてあるのは、電動スクーター。 突然、電動スクーターのボードの部分から煙が出てきた。 よく見ると、煙が出る瞬間に赤い炎が上がっている。 電動スクーターが激しく爆発 煙の量が少なくなってきた、次の瞬間…! 電動スクーターが爆発した。 電動スクーターの部品が飛び散り、炎が激しく燃え上がった。この時、スクーターは充電中だったという。 煙が充満してカメラの画面が暗くなる中、炎が赤く光り続けている。 スクーターの持ち主が煙を吸って病院に搬送されたが、重傷者はいなかった。 消防によると、ロンドンの首都圏では、今年に入ってから電動自転車48台、電動スクーター12台が火災を起こしたという。 ― 引用終り ― 民主主義の韓国は、ありがたくも都合の悪いことに関する報道も公開されている。 遅れている日本と違い、かつて韓国ではスマホが爆発したが、EV先進国なのでEV火災も多い。 韓国で相次ぐ電気自動車火災…走行中、突然ボヤ2022/12/29 KKOREA NWAVE 韓国で電気自動車の火災事故が相次ぎ、消費者の懸念が高まっている。カーボンニュートラルのために電気自動車の販売が必須となった自動車メーカーに問題の早期解決を求める声が高まっている。 ソウル市江北区(カンブクク)樊洞(ポンドン)の住宅街の路地で26日、充電中の電気自動車で火災が発生し、約8時間後に消し止められた。人命被害はなかったが、近隣住民が避難する騒ぎになった。電気自動車は中型ワゴン車モデルで、主にコミュニティバスや通学バスとして利用される車両だ。 ― 引用終り ― EV火災は、急激に激しく燃え上がり、鎮火に時間を要するため、しばしば報じられている。ハイブリッド車(HEV)も電池を大量に搭載しているので、危険性の大小は別として鎮火が困難なことはEVと同様。 ガソリン車も連続低速運転のフェラーリ以外でも燃える。米国のデータでは韓国・LG製のバッテリー搭載車にEV、HEV、ガソリン車の別に関係なく発火事故が多いようだ。 ワースト9に現代自動車が3車種、起亜が1車種の日本で見ることのない韓国勢4車種がランクインしている。 日本車では見ることの少ない現代自動車に似たHマークのホンダ・オデッセイが3位にランクイン。日本で同名のオデッセイが販売中止になったのは売行き不振のほか、米国版の火災発生のせいもあるのかな。 目立つEVの火災事故だが販売10万台あたりの火災件数はHVが最悪--次いでガソリン車佐藤信彦2022年01月17日 CNET Japan 米国の自動車保険比較サイトAutoinsuranceEZ.comは、火災を起こしやすい電気自動車(EV)、という印象が事実かどうか確認するための調査を実施し、結果を発表した。EVとガソリンエンジン車、ハイブリッド車(HV)を比べたところ、販売台数10万台あたりの火災発生件数はHVがもっとも多く、EVがもっとも少なかった。 AutoinsuranceEZ.comは、米国家運輸安全委員会(NTSB)、米運輸統計局(BTS)、リコール情報サイトRecalls.govから自動車火災やリコールに関するデータを集計。火災の発生件数などを調べたところ、販売台数10万台あたりの火災発生件数は、HVが3474.5件、ガソリンエンジン車が1529.9件、EVが25.1件だった。単純な発生件数は、ガソリンエンジン車が19万9533件、HVが1万6051件、EVが52件。 火災に至る危険があるとして届け出られたリコールについても、EVはガソリンエンジン車に比べ少なかった。リコール対象台数順の概要は以下のとおり。EVおよびHVの発火原因はいずれもバッテリーだったが、ガソリンエンジン車の原因は多岐にわたる。 1位: 対象台数:43万台 タイプ:ガソリンエンジン車 車種:Hyundai Elantra 発火原因:電気回路の短絡2位: 対象台数:30万8000台 タイプ:ガソリンエンジン車 車種:Kia Cadenza & Sportage 発火原因:電気回路の短絡3位: 対象台数:25万台 タイプ:ガソリンエンジン車 車種:Honda Odyssey 発火原因:電気回路の短絡4位: 対象台数:9万5000台 タイプ:ガソリンエンジン車 車種:Hyundai Genesis & Genesis G80 発火原因:アンチロック・ブレーキング・システム5位: 対象台数:8万2000台 タイプ:EV 車種:Hyundai Kona 発火原因:バッテリー6位: 対象台数:7万台 タイプ:EV 車種:Chevrolet Bolt EV 発火原因:バッテリー7位: 対象台数:2万7600台 タイプ:HV 車種:Chrysler Pacifica 発火原因:バッテリー8位: 対象台数:4500台 タイプ:HV 車種:BMW 530e、xDrive30e、Mini Cooper Countryman All4 SE、i8、330e、745Le xDrive、X5 xDrive45e 発火原因:バッテリー9位: 対象台数:2800台タイプ:ガソリンエンジン車 車種:McLaren Senna & 720S 発火原因:燃料漏れ ― 引用終り ― ロードゴーイングカーの環境は過酷なので、フェラーリやマクラーレンのスーパーカーが市街地で燃えるのはしょうがないか。それにしても燃料漏れは怖い。量産車であれば生産中止になることもあったトラブルだ。
2023年06月05日
コメント(0)
車載電池世界最大手、中国・CATL(寧徳時代新能源科技)は2023年2月、一部のEVメーカーにバッテリーの「値下げ計画」を提示したと報じられた。その後、バッテリーの主要原料でEVの普及拡大に伴い絶対的に不足するとされ高騰を続けたリチウム(炭酸リチウム)の相場が短期間で急落した。 2023年2月、中国では炭酸リチウムの価格が1トン当たり44万元(約850万円)に高騰した相場が、4月6日、半額以下の21万6000元(約420万円)まで急落した。 リチウム価格の下落でCATLの提示した「値下げ計画」は崩壊した。値下げは、バッテリーの8割をCATLから調達しなければならないとの条件が付されていたからだ。 リチウム価格下落は、中国におけるEV需要鈍化と、市場が不安定でトレーダーが慎重になっていることが背景とされた。コバルト、ニッケルなど、バッテリーに関連する他の金属も値下がりした。 2023年4月16日、CATLはナトリウムイオン2次電池(NIB)が、中国の自動車メーカーChery Automobile(奇瑞汽車)のEVに採用されたと公表。NIBが量産車に搭載されるという発表は世界初。 今後、多数のEVや定置用蓄電池などにNIBが使われる見込みで、これまでリチウムイオン電池(LIB)が担ってきた大容量蓄電池の市場の一角をNIBが占めるとされる。 炭酸リチウムの取引価格は下落の要因が増え、一層の下落が続くとみられている。 炭酸リチウムと異なり、高仕様ハイニッケル三元系バッテリーに使用される水酸化リチウムの価格は依然として高めr。3月9日、LME(ロンドン金属取引所)で取引される水酸化リチウムの価格は、トン当たり7万2239.13ドル(約974万円)。2ヵ月前より11.67%下落だが同期間の炭酸リチウムの価格は32.7%下落だった。 ナトリウムイオン電池時代幕開け関連メーカーが50社超で価格はLIBの1/2へ野澤 哲生 日経クロステック/日経エレクトロニクス2023.05.08 日経クロステック 「我々のナトリウム(Na)イオン電池(NIB)は、中国Chery(奇瑞汽車)の電気自動車(EV)に搭載される」――。2023年4月16日の中国CATL(寧徳時代新能源科技)による発表は、電池にとっての新時代の幕開けになった。 ― 引用終り ― 今後はエネルギー密度の低いが安価なNIBと、エネルギー密度は高いが高価なLIBが、大容量蓄電池市場を分け合うことになる。ただしEVについてはNIBが次の時代の主役になるとは言えない。 素材の高騰もあり製造原価が高いため赤字ビジネスと化しているEV事業は、今後、耐久性などの品質も勘案され、黒字販売のビジネスに転換する可能性が多少高まった。 次世代技術とされるバッテリー関連、給電関連の多くの技術が量産化途上のため、現在量産・実用化されているバッテリーによるEV市場の拡大、シェアの確保は、必ずしも将来のEV市場の基盤とはならない。加えて、自動運転、安全運転補助などの運転制御技術の進歩が加わり、次世代の自動車に関する技術標準は、過渡期の表現がふさわしい状態。 米フォード、EV事業3900億円の赤字23年12月期見通し北米2023年3月24日 日本経済新聞 米自動車大手フォード・モーターは23日、電気自動車(EV)事業の調整後EBIT(利払い・税引き前利益)が2023年12月期に30億ドル(約3900億円)の赤字になるとの見通しを明らかにした。赤字幅は22年12月期の21億ドルから拡大する。販売台数の増加に伴い収益は改善し、26年12月期には事業利益率が8%に達するとの見通しも示した。 ― 引用終り ― 2023年3月23日、米国・フォード・モーターは、2023年のEV事業の損益が30億ドル(約3900億円)の赤字になる見通しを明らかにした。生産や開発への巨額投資が響き、赤字は21年の9億ドル、22年の21億ドルから拡大している。フォード社はこの赤字を既存のガソリン車の販売による利益でカバーするとしている。 フォードモーターばかりでなく、ガソリン車の販売の圧迫するほどEV販売が好調な中国のEVトップのBYD以外、中国のEV専業メーカーはすべて赤字だ。 好調ばかりが報じられる中国のEVメーカーだが、実は1社を除いて軒並み巨額の赤字を記録していた!そのうち倒産ラッシュとなる気配2022/12/07 Life in the Fast Lane中国 中国では「後先考えず」とにかく売りまくるというビジネススタイルも珍しくはない この記事のコンテンツ 1.中国では「後先考えず」とにかく売りまくるというビジネススタイルも珍しくはない 1.1商品力よりも、その経営戦略が業績を大きく左右 1.2中国のEVメーカーは「売れば売るほど赤字」? 1.3ただし唯一「儲かっている」自動車メーカーも 1.4あわせて読みたい、中国のEVメーカー関連投稿 1.5こんな記事も読まれています … (略) …ただし唯一「儲かっている」自動車メーカーも ただ、そんな「赤字まみれ」の中国EV業界にあって唯一利益を出しているのがBYD。 BYDはウォーレン・バフェットが出資していることでも知られますが、BYDは現在中国最大の電気自動車メーカーとなっており(中国2位のバッテリーメーカーとしても知られる)、今年上半期には64万1350台を販売し、その利益は206%増の36億元という、ほかのEVメーカーとは全く異なる業績をあげています。※やっぱりバフェットは先見の明があったんだな・・・ ― 引用終り ― 2022年8月31日、中国・BYDの株価が午前の香港市場で急落。投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏率いる投資・保険会社バークシャー・ハサウェイがBYD株の保有を縮小したのがきっかけとなり、トレーダーの間ではバフェット氏がさらに持ち分売却を進める可能性が警戒され、売り注文が殺到した。 2023年4月11日、バークシャー・ハザウェイは、BYDの香港上場株式248万株を5億3993万香港ドル(6878万ドル)で売却したことが、証券取引所に提出された資料で明らかになった。3月末時点のバークシャー・ハザウェイのBYD株の保有比率は11.13%から10.90%に低下した。 中国では補助金給付をあてにしたEV大量製造・赤字販売が、新車販売台数の水増し疑惑の発生を招いている。 内燃エンジンよりもEVの方がナンバーが取得しやすいため、中国ではEVの方が買ってすぐに使える。EV補助金は個人ではなく、販売会社に給付されるため、売りやすいEVの製造原価割れの販売、BYDを含め販売台数の水増しが横行している。 EV世界一のテスラの車は、電池をパナソニック製から中国・CATL、韓国・LGに変えてから、発火事故が多発している。米国・シボレーのEVもLGの発火事故で総額20億ドルのリコールを行っている。 現時点で、EVビジネスは闇だらけだ。 赤字続く中国EV「零跑汽車」新車販売台数の水増し疑惑発覚ディーラーが告発2023年4月25日 36Kr 2022年9月に香港上場を果たした中国の新興電気自動車(EV)メーカー「零跑汽車(Leap Motor)」が、新車販売台数を不正に操作した疑いが強まっている。きっかけは、あるディーラーの店長が公開した告発動画だった。 告発動画によると、零跑汽車はディーラーに対し、新エネルギー車に対する補助金政策が終了する22年12月末までに新車のナンバープレートを取得するよう圧力をかけ、国からの補助金を不正に受け取っていた疑いがあるという。告発動画を出した店長は、零跑が要求する販売目標を達成するため、親戚や友人の名義でナンバープレートを取得し、その車を中古車並みの価格で販売する必要に迫られた。この店長は、同社が報告していた22年12月の新車販売台数8493台のうち、4916台はこの不正操作で水増しされたものだと主張している。 ― 引用終り ―
2023年05月21日
コメント(0)
日々使用することが多い法人利用でサクラは、維持費の安さ、企業イメージの向上、立ち上がり加速の良さが評価されている。 個人においては、軽乗用車でEVであることによるコストメリットが好感されている。 日産製のEVであることから、EVの急速充電器が備えられている日産の販売店の利用に気兼ねがないことも評価点だろう。日産の販売店に備えられている急速充電器はいつでも利用できるところに設置されていることが多い。 日産が発売した「軽を超えたサクラ」…なぜ人気? 登場から約1年経って受注増の理由とはくるまのニュース 2023年4月15日 … (略) …■発売から1年経った日産「サクラ」、なぜ23年4月に入り受注増? 2022年6月16日に発売された日産「サクラ」は、日産として初となる軽規格の電気自動車(EV)として注目を集めました。 登場から約1年が経過したサクラですが、2023年4月に入り受注が増加傾向にあるといいますが、その理由とはどのようなものなのでしょうか。 サクラは、2022年5月20日に発表され、6月16日に発売。100%電気で走る新しい軽のEVとして、注目を集めました。 主な特徴として、サクラは上質で洗練された内外装デザインや、広々とした室内空間を実現。 さらに軽自動車ならではの小回り性能に加え、圧倒的な静粛性や力強くなめらかな加速といった従来の軽自動車を超えた走行性能、日常使いに十分なEV航続距離などが挙げられます。 グレードは「X」と「G」の2種類、カラーは1トーンと2トーンのモデルを含め全15色があり、豊富なラインナップを取り揃えています。 なお日産は「発表から約3週間で受注1万1000台を突破した」と発表しており、その際に購入要因について次のように話しています。 「サクラを購入されるお客さまの特徴としては、2台目以降の複数所有車の人、そして以前より電気自動車に興味をお持ちのガソリン車などを所有の人からの代替えが多い傾向です。 また、他の軽自動車と同様に、多くの年配のお客さまからご注文をいただいていますが、先進技術装備の充実をフックに、若い世代をはじめ幅広いお客さまから好評を得ています」 2022年に登場した際、大きな注目を集めたサクラですが、登場から約1年が経った現在ではどのような状況なのでしょうか。首都圏の日産販売店は次のように話します。 「発売時の売り上げも良かったですが、現在でもサクラの売り上げは好調で人気のモデルとなっております。 その人気は、コストメリットが一番大きな理由として挙げられます。 お客様がサクラの購入に至るきっかけとしては、燃料代が節約できたり、補助金を使えば、他の軽自動車と同じか低い金額で購入できるなどといった点が大きなポイントとなっています。 また、2023年4月以降に購入したEVは、国からの補助金対象車になるということが確定しました。 さらに、東京都の場合は都からプラスで補助金が出るため、合計すると約100万円の補助金が出ます。そのため、4月に入ってからの受注が特に増えました」 ■販売店に寄せられたリアルユーザーの反響は? また、前出の担当者は、サクラの需要について次のようにも話します。 「法人のお客様からの問い合わせも多いです。社用車をサクラにすることで、1台あたりの維持費や燃料代を抑えることができます。何十台も所有する法人のお客様であれば、その費用の差が年間で大きな額となってきます。 また、社用車が電気自動車であることで、環境に配慮した企業としてイメージアップに繋がるようです。 実際に法人利用をしているお客様は、従業員から『静かでパワーのある走りがいい』と声が上がっているようで、満足度の高いクルマといえます」 一充電の航続距離(WLTCモード)は180kmだが、軽自動車ユーザーにとっては十分なレベルといえる一充電の航続距離(WLTCモード)は180kmだが、軽自動車ユーザーにとっては十分なレベルといえる 一方サクラの用途や乗り方について、関西圏の日産販売店は次のようにも話します。 「100%の電気自動車なので、もちろん充電をしなくてはなりません。 サクラはフル充電での航続距離は180kmとなります。例えば、軽のガソリン車である日産『デイズ』は、ガソリンを満タンにすれば400から500kmは航続可能で、サクラは航続距離が短く、長距離移動にはあまり適していません。 そのためサクラをご購入されるお客様は、セカンドカーとして買い物や通勤などで使用するといった用途が多いです」 ― 引用終り ― コストメリットは補助金の給付が前提となっている。 また、中古車価格は低いことが予測され、リースでの使用、使い切りでないとコストメリットは活きない。 夜間(使用していない時)に普通充電できる設備を持っていることもポイント。 急速充電は満充電できないこと、バッテリーの劣化が早い可能性が高いことから、普通充電可能な設備を日常利用できることが望ましい。 長距離移動・遠乗りに向いていないことは、テスラの高価格車以外の現在のBEVすべてについて同じ。 EV購入のハードルは高い。 大量の駆動用バッテリーの製造と廃棄(または再利用)、充電設備の設置などを含めて、EVが本当に環境にやさしいかの判断は、今後のバッテリーの耐久性の向上、再利用性の向上などにかかっている。
2023年04月29日
コメント(0)
2023年3月31日、米国財務省は、全米のEV税控除に係るバッテリー調達要件に関する指針を公表した。控除の要件が厳しくなり、全額または一部の控除を受けられる車種が減る。 EV振興は環境政策とともに産業政策の側面がある。中国はエンジン技術では日米欧に追いつくことができないと考え、自動車の環境対策をEV化に絞った。2009年に販売補助金を導入し、比亜迪(BYD)などの中国のEVメーカーを育成した。欧州はディーゼル車を環境対応車の主力としていたが、ドイツメーカーの排ガス不正の発覚を契機にEV化にシフトし始めた。日本が先進しているHEVはEV扱いしないことも決めた。 車の原動機をガソリンエンジンなどの内燃機関からEV化して構成部品の少ない電動モーターに切り替えると多くの雇用が失われる。 内燃エンジンの時代の自動車の製造原価の中心はエンジンだった。BEVの時代の製造原価の中心は、モーターではなく原価の3分の1を占めるとされるバッテリーとなった。 BEVは駆動用バッテリーの価格の高さから、販売価格が内燃エンジン車より高くなっているので、各種の補助金なしには普及が進まない。 BEVの国産化率を高めるには、高額なEVに給付する補助金の給付対象を自国産バッテリーの搭載車に限ればよいとなる。中国も、EUも、米国もそうなりつつある。 日本のトヨタも、ホンダも海外でバッテリー生産工場に投資し、現地調達の手を打っている。 EVが大量に普及するにつれ、全面的EV化の課題が明らかになってきたが、組立工数は少ないが、嵩張り、重いBEV専用プラットフォームを開発し、組立工場を作り、駆動用バッテリーの量産工場を作っているので、各国・各社のEV化の動きは止まらない。量産設備ができたら、そこで作る製品が売れる分は稼働させなければならない。 充電ステーションが足りなかろうが、長距離ドライブで内燃エンジン車に比べて不便しようが、EVの量産体制は整っていくので、販売体制は充実強化される。 e-Fuel や水素について、燃料などの生産・供給体制は全くとられていない。大量に廃棄されるであろうBEVの駆動用バッテリーの処理体制もいまのところ整っていない。 米EV税控除、バッテリー調達の新指針公表18日施行ロイター / 2023年4月1日 18時20分 米財務省は31日、電気自動車(EV)税控除に係るバッテリー調達要件に関する指針を公表した。控除の要件が厳しくなり、全額または一部の控除を受けられる車種が減る。米政府は4月18日までに控除対象となる車種のリストの改訂版と控除額を公表する予定で、同日から新たに購入される車に適用される。 この指針は、バイデン政権が掲げる2030年までに新車販売に占めるEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の比率を少なくとも50%に引き上げる目標の一環で導入される。また、EV用バッテリー供給網の中国依存度を引き下げる狙いもある。 今回の指針は、重要鉱物と電池部品について新たな要件を設けるもの。米政府高官は、これにより一部の車種が控除対象から外れたり、控除額が減額されることになるとしている。 EV大手テスラは3月29日、新指針により後輪駆動のモデル3の控除額が減額されると表明した。 8月に米議会で可決されたインフレ抑制法(IRA)は、北米以外で組み立てられたEVについて、同月以降税控除の対象外とした。また今年1月からは、車両価格と購入者所得に制限が導入された。 IRAの基本条件では、バッテリー部品の製造か組み立ての50%以上が北米で行われていれば3750ドルの控除枠適用になる。また、米国か自由貿易の取り決めを結んでいる国から調達した重要鉱物を40 %以上含んでいても3750ドルの控除が適用される。 日米両政府は3月28日、EV用電池に使う重要鉱物について貿易協定を結ぶと明らかにした。米財務省は同協定は自由貿易とみなし得るとしており、指針には米国との自由貿易の取り決めがある国として日本が含まれている。 ― 引用終り ― 北米だけでなく、世界の各経済単位で補助金の適用対象や税控除による間接的なブロック経済化がすすむと、テスラの量産車は困ることになるようだ。 EV駆動用のバッテリーによる自動車に関する経済のブロック化がすすめられている。1960年代から70年代に植民地国が民族自決の名のもと政治的独立をすすめたように、世界最適調達の名のもと生産のグローバル化が果たされた自動車製造が、バッテリーを通じた経済の1国(1地域)自律に転換されようとしている。
2023年04月23日
コメント(0)
ガソリンスタンドの数は5年間、毎年約2%ずつ減少し続けている。ピークだったのは1994年度(平成6年度)の6万421カ所からみると、この30年弱でガソリンスタンドの数は半分以下になった。 ガソリンスタンドの減少の大きな要因は、自動車の燃費向上などにより、ガソリン需要が減少していること。 ついで、ガソリンスタンド経営者の高齢化と後継者不足が考えられる。2010年の改正消防法はガソリンタンクの漏洩防止対策を義務付けるため、設備投資をともなう対策を必要とし、減少・廃業に拍車をかけた。少子高齢化で人口減少社会となり過疎化を続ける地方都市で大きな金額の設備投資をしてガソリンスタンドの営業を続ける者はいない。 EVの普及は、高齢化が昂進し、過疎化が進む地方、へき地ですすむことになりそうだ。軽トラック、軽乗用車のEV化を推進する国内各メーカーは、この近未来像を十分承知して取り組んでいる。 パワーセンターと呼ばれる大規模なショッピングセンター、地方のコンビニエンスストアなどでガソリンスタンドが存続する絵柄が思い浮かぶ。新規で開設されるパワーセンターに、商いとしての将来性に欠けて見えるガソリンスタンドが併設される理由が理解できる。 ガソリンスタンドの閉店、開店数の7倍以上…ゴーゴーラボ調べ 2022年度2023年4月15日 レスポンス ガソリンスタンド情報共有サイト「gogo.gs」は4月14日、2022年度、同サイトに開店・閉店登録されたガソリンスタンド数を発表した。 全国のガソリンスタンド数は、1994年度の約6万店をピークに減少を始め、現在のガソリンスタンド数は2万7013店舗。2022年度に開店したガソリンスタンドは76店舗、閉店したガソリンスタンドはその7倍以上となる555店舗にのぼった。2021年度と比較すると、開店数は16店舗減、閉店数は16店舗増となり、ガソリンスタンド数の減少は加速する結果となった。 2022年度に開店したガソリンスタンドを、元売り系などのブランドと独自ブランドに分けて比較すると、新しくオープンしたのは約4割が独自ブランド。現在あるガソリンスタンドの独自ブランドの割合は全体の約1割のため、新規オープンについて独自ブランドの占める割合が多いことが分かる。 また、2022年度にリニューアルオープンしたガソリンスタンドは152店舗。新規オープンの2倍となるガソリンスタンドがリニューアルオープンしている。リニューアルオープンの際に、フルサービスからセルフサービスに変わる場合も多く、現在のセルフサービスの割合はガソリンスタンド全体の約4割となる。 ― 引用終り ― 現状でも日本の北の端、南の端にいくと、ガソリンスタンド併設のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)は少ない。2023年4月13日、NEXCO 3社e-Mobility Powerは、SA・PAにおけるEV・PHEV向け急速充電器を2025年度までに約1100口増設すると発表した。 1回の燃料補給で航続距離が長いガソリン車、ディーゼル車も、燃料補給拠点であるガソリンスタンドが減少すれば、そのメリットが減少する。利便性の観点からも、長期的にはガソリン、ディーゼリンなどの内燃自動車は淘汰されていくことが推測される。小型・軽量・大容量のバッテリーが量産され、競争的な価格になれば、内燃エンジン車のメリットは大いに減殺される。実現すればEVの普及拡大を助長する。
2023年04月22日
コメント(0)
世界トップクラスの新車販売のトヨタの車は、丈夫で壊れにくいだけでなく、燃費性能も優秀。 国交省が2023年3月31日に公表した乗用車のWLTCモード燃費ランキングでトヨタは1位から5位まで独占した。 他のメーカーは、5位の「カローラ」(30.2km/L)と同着で、ホンダ「フィット」が初めて顔を出す。続いて8位にトヨタ「カロ-ラ ツ-リング」と並んで日産「ノート」がでてくる。 なんとベスト10のうち8車種がトヨタ。 最新「国産車 燃費ランキング」発表!「プリウス」と「アクア」をおさえて1位に輝いたクルマとは…!? まさかの「ミニバン」も大健闘2023年4月3日 くるまのニュース 国土交通省は、2022年末時点で販売されていた乗用車の「燃費ランキング」を2023年3月31日に公表しました。クルマを購入する際には気になる燃費ですが、もっとも良かったのは、どのモデルなのでしょうか。 ■「燃費ナンバーワンは」どのクルマ? 国土交通省は、自動車ユーザーの省エネルギーへの関心を高めるとともに燃費性能の優れた自動車の開発・普及を促進するため、毎年自動車の燃費性能を評価して「燃費の良い乗用車」を発表しています。 2023年3月31日にも、2022年末時点で販売されていた乗用車における、燃費の良い10モデルをランク付けして発表しました。 このランキングは長い間、日本独自の試験方法「10・15モード」や「JC08モード」などによって測定した燃費の値が使われていましたが、2017年の夏以降からは試験方法が国際的な基準と同じ「WLTCモード」に切り替えられたことで、海外のモデルと燃費の値が比較しやすくなったほか、より実燃費に近い数値となりました。 今回の燃費TOP10にはどのような車種がランク入りしているのでしょうか。 1位に輝いたのは、トヨタ「ヤリス」で、その燃費は36.0km/Lです。 ヤリスは元々は日本市場において「ヴィッツ」の名で親しまれてきたコンパクトカーで、初代は1999年に誕生。今回ランク入りしたのは、2020年にフルモデルチェンジした4代目です。なおこのタイミングで、日本でも世界共通のヤリスに車名を改めています。 現行型ヤリスは、プラットフォームやエンジン、ハイブリッドシステムなどを刷新し、部品の小型化や効率化とともに高出力化を達成。前述した36.0km/Lという超低燃費を実現しました。 2位はトヨタの「アクア」が35.8km/Lで続きます。 現行型アクアは、2021年にフルモデルチェンジした2代目です。アクアはハイブリッド専用モデルで、特に初代は圧倒的な低燃費のモデルとして知られていました。わずかとはいえ、ヤリスに低燃費性能で上回られたことに若干の驚きを感じるかもしれません。 しかし現行型は、ヤリスよりも乗り心地や上質感を高めたポジションに移行し、それにあわせて車重も重くなっているため、むしろヤリスと0.2km/L差まで迫ったことはかなり健闘した結果にといえます。 3位にはトヨタの「プリウス」が32.1km/Lで入りました。 ハイブリッド車の代名詞として、低燃費なイメージの強いプリウスですが、よりコンパクトなモデルにも続々とハイブリッドシステムが投入されたことで、燃費ナンバーワンの座をアクアやヤリスに譲ることとなりました。 4位はトヨタ「ヤリス クロス」の30.8km/L。5位はトヨタ「カローラ」とホンダ「フィット」の同着で30.2km/Lです。 続く7位もトヨタのカローラシリーズで、ハッチバックタイプの「カローラ スポ-ツ」の30.0km/L。8位もトヨタ「カロ-ラ ツ-リング」と日産「ノート」の同着で29.5km/Lでした。 最後の10位はトヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」が、28.8km/Lでランクイン。 ― 引用終り ― ハイブリッド専用車のアクアとプリウスがランキング上位ではないことが、日本国内の燃費競争のあり方が変わったことを示している。 新型アクアは後席空間の居住性を重視し、ヤリスよりボディの容積が大きくなっている。 ホンダは現行車の1代前、フィット3で軽量なアルミボンネットと容量の小さな燃料タンクの燃費スペシャル車をラインナップしていた。1グレードだけ燃費性能がよいことに意味があると信じていたのだろう。燃費についての国内ユーザーの考えを反映したのか、このようなタイプはフィット4ではなくなった。
2023年04月22日
コメント(0)
中国は工業技術の遅れからEV化を推進した。 米国・カリフォルニア州は深刻な大気汚染の解消に積極的に取組み続けてきたし、新産業の振興する地であり、EV普及に積極的に取組んだ。既存の大きな自動車の組立工場も存在しない。 EUは環境ヒステリーと非関税障壁構築のため、科学的な根拠もなく低炭素化をたてに、内燃機関自動車を禁じようとした。 幅広く普及している高額な耐久消費財である自動車に搭載したエンジンを否定すると、多くの雇用が消失することを考えつかなかった。石炭の使用、内燃エンジンの使用などを短期間で止めることは、社会経済に大きな衝撃を与える。社会の息の根を止めるようなことをすれば、低炭素化が進みはすると思われるが…。 EU、エンジン車条件付き容認 35年以降も、方針転換共同通信 / 2023年3月28日 23時4分 EUは28日、エネルギー相理事会で、2035年以降も条件付きでエンジン車の新車販売を容認することを決めた。自動車産業が集積するドイツなどの反対を受け、エンジン車の新車販売を全て認めない当初案を修正した。 温室効果ガスの排出をゼロとみなす合成燃料を使用する新車に限り、販売を認める。今後、制度設計の詳細について検討するが、合成燃料は価格が高く、普及が課題となりそうだ。 合成燃料は「e―fuel」と呼ばれ、発電所や製油所などで排出されたCO2を回収し、水素と組み合わせて製造する。走行時にCO2は出るが、製造段階で回収しているため排出量が差し引きで実質ゼロになるとみなす。 フランスメディアによると、条件付き容認の修正案に対する採決ではポーランドが反対。イタリアとルーマニア、ブルガリアは棄権した。 欧州委は21年7月、エンジン車の新車販売を35年までに事実上禁止する法案を提案。欧州議会が今年2月に採択し、各国の正式承認を経て法制化される予定だったが、ドイツなどが土壇場で反対の姿勢を打ち出した。 ― 引用終り ― 2022年7月26日、ドイツ経済省は、EVの購入支援策を2023年から縮小すると発表した。国内でEVの人気が高まり、政府の補助金が不要になりつつあるとの考えだった。 現行のBEVが本当に低炭素かどうかということを抜きにして、EUは走行中のCO2排出がゼロのEV(BEV)化を選択しようとしていた。 バッテリーの製造時に出るCO2、電気をつくるときに発生するCO2には両目をつぶった。過渡期なのでより良い選択としてEV化を推進しようとしていたのだろう。現行のバッテリーは、廃棄処理時の重金属の管理などもあり、環境負荷という点ではいろいろと怪しい。 「e―fuel」はCO2排出量が差し引きで実質ゼロになるし、製造時、廃棄時の環境負荷は最小限となっている。EUとの交渉にあたりドイツはEUに対して、失業者の推計だけでなく、現行のBEVの環境負荷に関する客観的データを突きつけたのかもしれない。 日本のトヨタは、BEVがそれほど低炭素ではないこと、エンジンを止めると多くの企業の雇用が失われること、日本で自動車を製造することの日本経済に与える影響を分かっていた。 ホンダも電動化、あるいはエンジン縮小・廃止の影響の大きさが分かっていたので、電動化を宣言する前から着々とグループの部品メーカーの整理を進めている。 EUは少しだけ冷静になったのかもしれない。ドイツ、フランス、イタリアの自動車産業が経済に与える影響は大きい。 原発推進派のフランスは、BEVも推進派のようで、いずれ多くの雇用が失われると思われるが、ことのほか雇用確保にうるさいフランス政府に大きな動きは見えない。大規模なデモが発生してから慌てるのだろう。 EUのエンジン車全面禁止、ドイツが抵抗し「容認」に転換…合成燃料の定着は見通せず2023/03/30 讀賣新聞オンライン 欧州連合(EU)が2035年以降の新車販売についてエンジン(内燃機関)車を全面禁止する従来の規制方針を撤回した。ただ、販売条件とする二酸化炭素(CO2)の排出を抑えた合成燃料は、価格や生産の技術的な課題も多い。自動車業界は脱炭素を巡り今後も 翻弄ほんろう されかねない。(中村徹也、ロンドン 中西梓) 伊は不満 EUが28日に閣僚理事会で修正に正式合意した背景には、自動車産業に強みを持つドイツの強い反対があった。EUはエンジン車の原則禁止は維持しつつも、脱炭素につながる合成燃料の使用車は認める余地を残した形だ。 米ブルームバーグ通信によると、EUの決定に対し、独フォルクスワーゲンは声明で「(合成燃料は)特別な用途向けに有用で持続可能なモビリティーに貢献する」と歓迎した。同じ車でもエンジン車と電気自動車(EV)は部品点数も違えば、製造技術も異なる。家電に近い感覚のEVは米テスラなどが先行し、多様な車体や走りを追求してきた自動車大手の従来戦略の見直しが問われていた。 一方、脱エンジン車を掲げてきたEUにとっては痛手となる可能性がある。EU内ではイタリアが国内企業が研究するバイオ燃料も認めるようEUに求めており、ドイツが主張した合成燃料だけが認められたことに不満もくすぶる。 日本勢は 合成燃料を巡っては、ドイツだけでなく、日本企業も積極的に取り組んでいる。 日本自動車工業会は合成燃料も「カーボンニュートラル(脱炭素)に向けた重要な手段の一つ」と位置づけ、EVや水素自動車といった次世代車だけでなく、エンジンと電気によるモーターを併用したハイブリッド車(HV)など多様な選択肢をそろえることを訴えてきた。合成燃料の研究も、自動車大手のほか、エネオスなど石油大手も積極的に取り組んでいる。 いすゞ自動車の南真介・次期社長も”)日、報道陣の取材に対し、「『全てがEVではない』ということの始まりと見ている」と述べた。 ― 引用終り ― 合成燃料の価格の高さが問題になっているが、EVの価格の高さはなぜ問題にしないのか不思議だ。現代の量産子業製品について、価格が高いということは、製造または素材の取得家庭において、資源、エネルギーを多く使用している、即ちCO2を多量に排出している可能性が高いということを示している。 CO2削減の決定打が確定しないにも関わらず、EUが内燃機関を「容認した」という表現は、非科学的な信念を感じさせる。 効率の良い低炭素化の手法は、まったく定まっていないので、「全てがEVではない」し、いわんや「EVがすべてでもない」。 手近なEVに飛びつき、CO2削減の切り札であるかのようにもてはやす風潮は、かつての究極のエネルギー機関としての原子力利用をもてはやした、アトミック・エイジを想起させる。 1960年代、原子力船、原子力航空機、原子力自動車だって想像され、試作・製造されたものもあった。鉄腕アトムの心臓部は小型原子炉だった。長期間稼働することから、心臓ペースメーカー用のプルトニウム電池が実用化された。が、幸いにも世の中は、原子力エネルギーだらけにはならなかった。 現在の鉛蓄電池でも、ニッカド電池でも、リチウムイオン電池でも、現在のBEVは環境にけっして優しいとは断言できない。製造から廃棄まで炭酸ガス排出量と環境への影響を十分に考えて、低炭素化の手法を選択すべきだ。
2023年04月15日
コメント(0)
EUにおいて、自動車産業は経済面でも、雇用面でも重要な産業。これらを守ろうと、EUは見せかけのCO2削減を大義名分として、BEV普及拡大策をとり、ドイツの自動車メーカーもその流れに乗った。品質と技術でライバルとなる日本の自動車メーカーを締め出すべく、BEV中心の施策を組立たので、ルノー、VWなどは万全と考えた。 伏兵は投資に積極的な中国だった。既存の自動車メーカー、バッテリーを量産する電機メーカーも、EV専用の量産施設となると同じ土俵となる。中国企業がEU内に進出し、EUのメーカーと同じ土俵で戦おうとしている。中国とEUの市場を握ろうとする中国メーカーに、EU中心のメーカーは、量産によるコストダウンという点でかなわない。 欧州EVに地盤沈下不安 米中攻勢のはざまで打つ手なし産経ニュース 2023年3月25日 グリーン産業をめぐる米中覇権争いのはざまで、欧州連合(EU)が地盤沈下の不安に直面している。電気自動車(EV)では、中国が輸出や投資でEU市場に猛攻。米国は昨年成立したインフレ抑制法で巨額の補助金を投入し、欧州企業を次々と吸い寄せる。EUは23、24日の首脳会議で対抗策を協議したが、目下足並みはそろっていない。 進出ラッシュ警戒 ドイツやハンガリーでは、EV産業で中国企業の進出ラッシュが続く。 世界最大の車載電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)は昨年、ドイツ中部で欧州第1号となる工場の稼働を開始した。近隣のハンガリーにも巨大工場を建設すると発表した。投資額は73億ユーロ(約1兆円)。ドイツなど欧州自動車大手への供給を目指す。 EUでは対中警戒が高まり、中国からの投資は2016年をピークに減少したが、自動車関連は別。特に親中政策を進めるハンガリーには、比亜迪(BYD)など中国のEV大手が相次いで工場を設置した。 仏調査機関によると、欧州のEV市場で中国勢のシェアは昨年6%だったが、30年には最大20%に達する見込み。欧州のEV価格は平均約5万ユーロ(約700万円)以上するのに対し、中国車は製造コストが1万ユーロ程度安いという。長く国家補助金に支えられた中国勢は価格に加え、技術競争でも欧州勢を脅かす。 巨額補助金で流出 守勢のEUに追い打ちをかけたのは、バイデン米政権が打ち出したインフレ抑制法だった。北米で最終組み立てするEVについて、税額控除などの形で補助金を支給する内容だ。 欧州からは同法が呼び水となって、企業の米国傾斜が著しい。ドイツの自動車大手、フォルクスワーゲン(VW)は今月、カナダにEV電池工場を建設すると発表した。米サウスカロライナ州にもEV工場を開設する。いずれも同法が定める優遇措置の対象になる。VWが東欧に予定していた工場新設は保留にされた。 仏シトロエンなどを擁するステランティスも2月、米インディアナ州への投資計画を発表。EV電池のスウェーデン大手、ノースボルトもドイツへの工場計画より、米国進出を優先する構えを示唆した。 ブリュッセルの環境NGO「T&E」は、欧州でEV電池生産計画の3分の2が中止、または遅延される恐れがあると指摘。「EUは米中対立の火花を浴びている。手を打たねば、最大の『負け組』になる」と警告した。 対抗策合意できず EUは企業流出に危機感を抱き、米国にインフレ抑制法見直しを求めた。だが、グランホルム米エネルギー長官は「あなた方も同じことをすればよい」と発言。法見直しどころか、EUに追随を促した。同法には、グリーン産業の供給網で「中国外し」の狙いがあるためだ。 欧州委員会は米国への対抗措置として、EU加盟国がグリーン産業を支援できるよう国家補助金に対する規制緩和を提案した。さらに、EUレベルでの補助金投入を可能にするため、新たな基金設立計画も浮上し、フランスが後押ししている。 だが、EU首脳会議では、アイルランドやエストニアが「大国の企業だけが優遇され、小国の企業が不利益を被る」と懸念を示し、補助金問題で合意に至らなかった。 (パリ 三井美奈) ― 引用終り ― 2023年2月27日、自動車産業が主要産業であるドイツ政府はEUに対して、2035年以降にカーボンニュートラル燃料の一種である「e-fuel」を使う内燃機関を搭載する新車販売を認めるよう要請した。e-fuelについては、「eはElectro、再生可能資源からの電気エネルギーを化学的に蓄える、という用語。水素の由来が再生エネルギーでない場合、厳密にはe-fuelとは呼べない」としている。 ドイツ自動車産業連合会(VDA)は、ドイツの自動車産業はEUが掲げる2050年の気候中立達成目標を支持するとした上で、電動車の普及加速には、EU域内で充電インフラの整備をさらに進めることが必要とした。CO2排出基準規則の改正案については、全新車ゼロエミッション化達成目標年を2035年に固定するのは時期尚早であり、特に充電インフラの普及状況などを見た上で、2030年以降の目標を決定すべきとした。電動車について、一部原材料の供給状況なども考慮し、2035年以降も合成燃料などカーボンニュートラル達成に貢献する全ての技術を堅持すべきで、内燃機関搭載車の一律禁止に反対した。 水素エンジンの開発を進めているトヨタを中心とする日本勢と対抗することになるかもしれないが、雇用の維持・確保もはかれ、EUを中国に乗っ取られるよりはましということだろう。 内燃機関搭載車の一律禁止に反対したドイツは、2035年までに新車をカーボンニュートラルにすることを義務付ける規制案について欧州連合(EU)と合意に達した。 2023年2月14日欧州議会は、2035年にガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する法案を採択した。排出ガス規制によりエンジン搭載車の販売が厳しくなり、EVの普及が進むものと予想されEV化で先陣を切ったEUの政策方針は、3月25日に大きく転換した。 EUとドイツ、自動車排ガス規制で合意-ティメルマンス上級副委員長2023/3/25 Bloomberg … (略) … 欧州グリーンディール政策を統括する欧州委員会のティメルマンス上級副委員長はツイッターへの投稿で、「自動車での将来のeフューエル活用についてドイツと合意に達した」と表明。EUは自動車のCO2(二酸化炭素)基準の規制をできるだけ早期に採用するために取り組むとした。 ― 引用終り ―
2023年04月02日
コメント(0)
中国で大人気のEVメーカーの理想汽車が2023年2月27日に2022年12月期通期の決算を公表した。増収赤字拡大。 理想汽車は2015年に北京で設立された、小鵬汽車(XPeng Motors)、 蔚来汽車(NIO)とともに中国新興EVメーカーの「御三家」の一つとされる自動車メーカー。 2019年12月、初の量産モデルであるPHEVのミドルサイズSUV「理想ONE」が、納車開始された。2021年10月、この車種のみで生産台数10万台に中国新興EVメーカーで3社目の到達となった。 2021年、販売不振で過剰設備となった北京現代自動車から北京の工場を買収し、増産体制を整えた。 理想汽車、22年12月期通期は70%近い増収も赤字が大きく膨らむサーチナ 2023年3月1日 9時34分 中国の新興電気自動車(EV)メーカーの理想汽車(0215/香港)が2月27日、2022年12月期通期の決算報告を発表した。売上高が前期比で70%近く増加した一方で、赤字額が6倍以上にまで膨らんだ。 22年12月期の売上高は452億8681万元で、前期の270億977万元から67.67%増加した。このうち車両販売の売上高は441億643万元で前期比68.80%増だった。22年7〜9月期に納品を開始した理想L7シリーズが売上を大きく後押しした。一方、売上総利益は87億9045万元(同52.57%増)に留まり、売上総利益率は前期の21.3%から19.4%と1.9ポイント減少した。 また、研究開発費は従業員および従業員報酬の増加、新車種と技術の開発活動活発化によって前期の32億9000万元から2.06倍の67億8000万元にまで増加した。運営支出、事業支出も大きく増加しており、当期の純損益は20億3234万元の赤字となって前期の3億2145万元から赤字額が6.32倍に増えた。 ― 引用終り ― コロナ禍明けの2023年の春節で、多数のEVが帰省などで遠路、地方に向かい電欠に苦しんだ。「EVは使えない」と考えた者も多いのだろう。 韓国では2022年に起きた、事故による発火事件、自宅での充電中の発火事件により、2023年初のEV販売が急速に衰えている。 電気料金が高騰しているEUでは、2035年のエンジン車禁止、全面EV(BEV)化にドイツが異を唱えている。2023年3月現在、EU加盟国で構成する理事会による正式承認が延期され、法案が宙に浮いている 運転制御システムに関連するリコール問題、サプライチェーン問題、中国・上海工場の閉鎖により生産台数が落ち込んでいるテスラは、総じて順調に生産を拡大しているものの、2023年1月に入り株価は下落。最高値と比較すると約70%の株価となっているが、まだまだ法外な高値との指摘もある。 現行のバッテリーによるEVはかなり高価で航続性能の限界の低い道具であることを再認識した結果だろう。 これに現状のBEVが、ライフサイクルコストならぬライフサイクルCO2排出量が低くない認識が加われば、EVの急速な普及は潰える。
2023年03月25日
コメント(0)
EVのラインナップの字面に踊らされる世界のエコノミストたちと、内燃機関好きの日本のモータージャーナリストたちは、日本の自動車メーカーのEVの取組が世界からひどく遅れていると評されてきた。 日本の自動車メーカーは、より完成された製品と、量産に適切なサプライチェーンの構築に努めていただけである。発火するEV、不備な運転補助システムを市販するメーカーの早すぎる販売時期を問題と関連づけることはしない。 日本の自動車メーカーからEVの完成車組立工場、駆動用電池量産工場の具体的な量産計画が明らかにされつつある。 トヨタ、米工場でEV生産へ=需要拡大にらみ、欧・アジアでも2023年2月21日 時事通信 トヨタ自動車が、米国や欧州、アジアの工場で電気自動車(EV)の生産を検討していることが21日、分かった。トヨタは日本と中国の工場でスポーツ用多目的車(SUV)「bZ4X」などのEVを製造してきたが、環境規制の強化でEVの需要拡大が見込める他の地域でも生産体制を整え、ライバル各社を追撃する。 米国ではケンタッキー州の工場でSUVタイプのEVを生産する方針で、開始時期は2025年から26年ごろになる見込み。同国では既に、グループの豊田通商と組んでノースカロライナ州に電池工場を建設する計画を進めており、25年にも稼働させる予定。この工場で造る電池は、ケンタッキー工場で生産するEVに使う計画だ。 [時事通信社] ― 引用終り ― バッテリーの危険性と、冷間時の性能低下について、数々のトラブルを聞き、モータージャーナリストたちは、市販されたBEVが内燃車ほど便利ではないことを思い知った。長期連休などで遠出して、中国人や欧州人は、現在のBEVが長距離走行に全く不向きであることを知り、ハイブリッド車(HEV)を見直した。 バッテリーの生産工程、処理工程から、EUはBEVがCO2削減の救世主ではないことに気が付いた。 どれも今更の思いのある問題だが周知されたこともあり、思いのほか急速に拡大したEV需要は、利便性の不足とあわせ、今後、需要の伸びが鈍りそうだということになった。 日産、日欧で電動化目標上げ=米でEV部品調達強化2023年2月27日 時事通信 日産自動車は27日、日本と欧州で電動化目標を引き上げると発表した。電気自動車(EV)にハイブリッド車(HV)を加えた電動車の販売比率を2026年度に日本で58%(従来55%)に、欧州では98%(同75%)にすることを目指す。EV購入で税優遇を受けられる米インフレ抑制法への対応については、26年以降に適用要件を達成する方針も示した。 30年度までにEVのモデル数を従来計画の15車種から19車種に増やす。日欧以外では、中国でEV需要が想定より伸び悩むとみて、26年度の電動車販売比率を35%(同40%)に下げた。米国は30年度までにEVのみで「40%以上」とした。 米インフレ抑制法では、北米でのEV生産を求め、部品に使用する重要鉱物の調達先を事実上制限する。日産は、新たに米テネシー州の工場でEV向けモーターなどを生産。2億5000万ドル(約340億円)を投じ、現地調達比率を高める。アシュワニ・グプタ最高執行責任者は説明会で、「最大の課題は(レアメタルなどの)鉱物だ。米当局が5月末に発表する予定の詳細を待っている」と述べた。 ― 引用終り ― ホンダとLGエナジーソリューションは、合弁によるEV用リチウムイオンバッテリー生産工場を、米国オハイオ州の州都に建設することを2022年10月11日に発表した。約2,200人の雇用と投資総額44億USドルとなる見通し。 また、「CR-V」をベースとした新型燃料電池車(FCEV)の生産について、2024年から米国オハイオ州メアリズビルの四輪車生産拠点パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)にて開始すると、2022年12月1日に公表済み。 充電インフラの整備の遅れと補助金等の不足から、日本国内でVは普及していない。政治・政策のせいで各国に比べてインフラ整備が進んでいないため、日本ではEVの販売が拡大せず、生産の取組が進んでいない。自動車メーカーの開発力が劣っていたり、遅れていたりするのではない。日本車のシェアが高い米中で、EV量産体制の整えは、EV専業メーカーには後れを取っているものの、世界の既存内燃自動車メーカーの中では後れを取らず進んでいる。 日本のモータージャーナリスト、エコノミストは、欧米中の新しい流れ、電動化に「日本国」がついていけてない、遅れている現実・理由を問題として指摘すべきなのだ。
2023年03月15日
コメント(0)
自動車の世界市場ではEV販売が急増しトヨタをはじめとした日本のメーカーのEVの取組の遅れ、ラインナップの乏しさが話題となっている。 韓国メディア・ソウル経済は「エコカー人気が続く中、国産EV車の1月の販売実績が急落したことが報じられた。韓国製のEVは、衝突事故発生時だけでなく、走行中に発火、自宅で充電中に発火するなど、日本のEVではきかないトラブルを聞く。米国のテスラも同様だ。EV火災は鎮火に長時間と大量の水を要することも有名になった。 進取の気性に富む韓国の人々だが、さすがに命を懸けてまでそれを全うする気はないらしい。 韓国でEV車の販売が激減、一体なぜ?=ネット「EVを買う人はおかしい」Record Korea 2023年2月5日 2023年2月2日、韓国メディア・ソウル経済は「エコカー人気が続く中、国産EV車の1月の販売実績が急落し、その背景に関心が集まっている」と伝えた。 業界によると、昨年12月には1237台売れた起亜自動車「EV6」だが、1月の販売実績は0台だった。シボレー「ボルトEV」「ボルトEUV」も同じく0台だった。現代自動車「アイオニック6」が23台、起亜「ニロEV」が1台、ジェネシスのコンパクト電気SUV「GV60」が7台、「GV70」が3台、「G80EV」が5台と、いずれも先月のEV販売は振るわなかった。「アイオニック5」が唯一、76台で「存在感を示した」としている。 記事は、こうしたEV車の販売急減について「政府の補助金が最終的に確定しなかったため」だと分析している。 韓国政府は今月2日にEV乗用車購入に対する補助金支給の見直し案を発表している。 ― 引用終り ― この記事に対して、韓国のネットユーザーからは発火事故の危険性に関するコメントが多く寄せられているという。 韓国人もロシア人や中国人と異なり人命尊重の精神に富み車両火災を恐れているようだが、韓国の電池メーカー、自動車メーカーはなぜ、そんな危険なものを市販するのだろうか? ケンチャナヨ精神恐るべし。 日産、三菱自動車、トヨタ、ホンダともに、走行中や充電中の発火事故など聞いたことがない。
2023年02月17日
コメント(0)
テスラのEVは「オートパイロット」と称する運転支援システムを搭載している。オートパイロットは運転支援システムであり、自動運転システムではない。 2022年5月18日、米・道路交通安全局(NHTSA)は、カリフォルニア州で起きたテスラ車の衝突事故(3名死亡)を巡る調査を開始したと発表した。同社の運転支援システムが原因の可能性がある。 NHTSAは、2016年以降、「オートパイロット」などの運転支援システムが使用されていたとみられるテスラ車が絡む35件の事故(累計14名死亡)について調査している。 テスラのモデルYEVは中国で2.6kmにわたって暴走し、2人が死亡、3人が重軽傷を負う衝突事故を起こした。最大速度は198km/hだったという。 こちらはテスラ社によると、オートパイロットなどの車体側のトラブルではなく、ブレーキ操作ミスのトラブルだという。 中国で死亡事故のテスラ、調査に協力も「デマ信じるな」と警告―仏メディアRecord China 2022年11月15日 11時0分 2022年11月13日、仏国際放送局RFIの中国語版サイトは、米電気自動車大手のテスラが中国で自社製自動車による死亡事故が発生した後、中国のSNS上で「デマを信じないように」と呼び掛けたことを報じた。 記事は、中国メディアの報道として、広東省で5日にテスラの「モデルY」が突然コントロールを失って暴走し、自動車やバイク、自転車と次々衝突して2人が死亡、3人が負傷する事故が発生したと紹介。事故の様子を撮影した映像がネット上で拡散し、中国のSNS上で大きな話題になったと伝えた。そして、テスラが13日に事故原因の調査を進めている中国の警察当局に協力する意向を示したとしている。 その上で、事故の原因はまだはっきりしておらず、自動車を運転していた55歳の男性の家族が「ブレーキペダルに問題が起きた」と語る一方で、テスラ側は「動画からは、自動車の走行中にブレーキランプが点灯しなかったことが見て取れる。しかも、車内のデータでは、走行中にブレーキ操作が行わなれなかったなどの問題が示された」と説明していることを伝えた。 記事は、中国ではこれまでにもテスラ車のブレーキ問題をめぐるトラブルが発生しており、中国のあるテスラ車所有者がSNS上でブレーキ問題について発言した内容について裁判所が「事実と異なり、会社の利益を損ねた」として、所有者にテスラへの損害賠償支払いを命じる判決を言い渡す事案があったほか、昨年には上海モーターショーでテスラ車のボンネットに登り、ブレーキの不具合に関するクレームへの対処方法への不満を表明する騒ぎを起こして物議を醸したと紹介した。 そして、このような経緯があることから、テスラが13日に事故に関する情報とともに「デマを信じないように」との警告メッセージを発信したことを伝えている。(翻訳・編集/川尻) ― 引用終り ― Tテスラは暴走中にブレーキが踏まれた記録がなく、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故だとし、男性の意見を否定している。 今回運転していたのは、運転歴20年のプロのトラックドライバーであり、言質ではペダルの踏み間違いの可能性はほとんどないとの見方が多い。 電子制御のすすんだテスラの車で「ブレーキを踏まれた記録がない」ことは、電子的な接点、物理的な仕組みを含めて適切に検証されたのだろうか?検証する気があるのだろうか? オートパイロットのトラブルが多いだけに気になる点だ。 【動画観覧注意】2人死亡の中国で起きたテスラ事故。防犯カメラに映る暴走の様子が尋常じゃない…2022.11.15 GIZMODO
2022年11月25日
コメント(0)
2022年、トヨタはBEVニーズの旺盛さをみて、EV戦略を見直していると報道された。 米国でテスラは新車価格を繰返し引上げても、納期が長期化するほどの人気だという。 中国ではBYDとCATLが快進撃を続け、安価なBEVとあわせて急速に市場を拡大している。 EUは2035年にガソリン車の販売を禁止すると決定した。 中国でトヨタとEVの開発・製造で提携しているBYDの日本法人は、2022年7月、日本市場への進出を発表した。 2021年4月、ホンダの三部敏宏社長は就任会見で、四輪部門における電気自動車(BEV)と燃料電池車(FCV)の販売比率を、2040年にはグローバルで100%にすることを目指すと発表した。自動車業界のカーボンニュートラル化に対しての具体的なアクションが遅いとの認識を社内外に示した。 トヨタやホンダは日本のガラケーの失敗を繰り返すのか―中国メディアRecord China 2022年10月18日 2022年10月16日、中国メディア・ZAKERは「トヨタ、ホンダは日本のガラケーの失敗を繰り返すのか」とする文章を掲載した。 文章は、電気自動車(EV)の台頭により日本の化石燃料車が受ける圧力がますます高まっているとし、今年1〜8月の中国乗用車市場における日系ブランド車のシェアが19.5%と20%を割り込んだと紹介。また、日本の化石燃料車の中古車は値崩れしにくいという「神話」も崩壊し始めており、ホンダ・フィットの新車販売時から3年時点での価格保持率が21年時点に比べて4.54ポイント下落し、レクサスESも5.18ポイント、トヨタのハイランダーも4.35ポイントそれぞれ低下する一方で、テスラのモデル3の1年価格保持率が昨年の72.8%から今年8月には84.1%にまで上昇し、中国産の新エネ車の価格保持率も上昇傾向にあると伝えた。 そして、「現状を見ると、日本のメーカーは必死で化石燃料車の主戦場を死守しようとしているが、電動化の大波に直面して明らかに動揺している」と評するとともに、化石燃料車技術で他の追随を許せない高い競争力を持っているが故に日本はEVの発展を強く拒み、この数十年蓄積してきた強みをほぼ失いかけていると指摘。「簡単に言えば、トヨタに代表される日本の自動車メーカーは、自らの優位性の限界にはまり込み、ますます受動的になっているのだ」とした。 その上で、現在の日本の自動車産業は、「ガラケー」に固執してスマートフォン開発で遅れを取り、続々と敗れ去った日本の携帯電話産業と似た部分があると主張。「いずれも、容易に突破できないような優位性を構築する一方で、新たな変革の波が襲来した際には遅々として新たな時代を受け入れたり、消費者のニーズに迅速に対応したりせず、重要な時期を逃してしまうのだ」と論じた。 ― 引用終り ― トヨタもホンダも「ガラケー」にはなりたくないのでEV化に注力している。 トヨタは脱炭素戦略の観点でEV化の方向性が定まらないとして、BEV、ハイブリッド車(HEV)、燃料電池車(FCEV)、水素エンジン車など多様な取り組みをすすめていた。2022年、EV戦略の見直しを進めているというが、見直し後のEV戦略は不明。 ホンダは米国での電池生産の提携、中国の合弁会社でのEV生産体制の整備をすすめている。 トヨタもホンダも、ガソリンエンジン車の製造設備、関連メーカーがたくさんあるので、一気にBEVに切替できないでいる。ハイブリッド車推進、水素エンジン生産、BEVの生産拡大のいずれにしろ自動車産業のエンジンにかかわる部品メーカーは大打撃を受ける。 部品メーカーについて、ホンダは内燃エンジンと直接関係しないケーヒン、ショーワ、ニッシン、ホンダロック、浅間技研をホンダグループ直系から外した。 トヨタはEV開発でデンソーなどの系列部品メーカーと提携している。 トヨタもホンダも、部品メーカーに激震が発生するのを避けようと取組んでいるかのようだ。 自動車関連の部品メーカーは、従前通りで安泰となるメーカーは一つもないことだろう。そしてEVへの転換の速度は加速している。 サプライチェーンを含めたEV化で先行していた日産は、急速にその優位性、シェアを失っている。 日本に限らず、自動車産業の確かな未来はどこにもみえていない。
2022年11月19日
コメント(0)
米国エネルギー省が2021年12月に発表した全米のEV登録台数は145万4千台。州別で最もEV登録台数が多いのは、全米の4割を占めるカリフォルニア州(56万3千台)。上位5州の合計すると全米の約6割となり、中西部中心にEVが増加していることが分かる。 バイデン政権は、EV充電ネットワークを全米的に拡充するため、州政府に対して助成金を支給するのが趣旨の「EV充電プログラム」を打ち出していた。 中国では、2021年から補助金が削減されている中、地方都市で新車販売中のEV車の販売割合が上昇し、EV車の販売台数は急成長を果たしている。 EV輸出台数は、2021年、前年比約3倍の約50万台を突破し、ドイツや米国を上回り世界最大のEV輸出国となった。 2022年は、コロナの影響や半導体不足で欧州における自動車製造が打撃を受ける中、中国がドイツを超え、世界第2位の自動車輸出大国になる可能性があるとして注目を集めている グローバル規模でEV車へシフトしていく流れの中、一充電での航続距離問題、充電時間の短縮など共通課題の解決や、差別化の要素など、各メーカーが今後どう展開してくのかが今後の見どころ。 不確定な未来に対し、全方位的戦略をとってきたトヨタは、EV化中心の将来戦略に切り替えるようだ。 真面目なヒトほど、自分たちが信じたい未来を予測する。EV中心のクルマ社会の到来をトヨタは信じたくなかった。 日産は将来をEVにかけた。ホンダは社内のそのような人々に対し、警鐘を鳴らしたことを社会に明らかにした。 トヨタ、EV戦略見直し検討クラウンなど開発一時停止=関係者By 白水徳彦2022年10月24日 ロイター トヨタ自動車が電気自動車(EV)事業を巡り、戦略の修正を検討していることが分かった。基本設計のプラットフォーム(車台)も見直しの対象に含めており、2030年までにEV30車種をそろえるとしていた従来の計画の一部は既にいったん止めた。 想定以上の速度でEV市場が拡大し、専業の米テスラがすでに黒字化を達成する中、より競争力のある車両を開発する必要があると判断した。 事情に詳しい関係者4人が明らかにした。見直しを決めれば、昨年発表した4兆円の投資計画は、EV化への対応が遅いとトヨタを批判してきた一部投資家や環境団体などが求める姿に近づく可能性がある。 いったん停止した車両の開発計画には、小型の多目的スポーツ車(SUV)「コンパクトクルーザー」や高級車「クラウン」のEV版も含まれる。 見直しの焦点となっているのは、トヨタがEV用に開発した「e-TNGA」と呼ばれるプラットフォーム(車台)。自動車の基本的な骨格で、多額の開発費がかかることから競争力を左右する。 トヨタは内燃機関車からEVへの移行にはしばらく時間がかかると予測し、ガソリン車やハイブリッド車と同じラインで生産できるよう設計していた。 しかし、EV専業のテスラなどに比べて効率が悪いと、同関係者らは言う。 市場が急速に立ち上がり、車両の価格が徐々に下がる中、製造コスト面で太刀打ちできなくなるとの危機感が一部の技術者や幹部の間に広がり始めた。 「収益のめどが全く立たない」と、関係者の1人は話す。「EVの普及が予想以上に急で、さらにテスラなど競合が新たな技術を投入するのが速い。この2点で目論見が外れた」 トヨタはe-TNGAを土台にしたEVを、2020年までに年間350万台販売すれば会社全体として採算が合うと試算していた。同社の年間販売の約3分の1に当たる。 しかし、EV市場は速いペースで拡大しており、ロイターが公開データと各社の予測を分析したところ、業界全体で30年に5400万台のEV生産を計画。年間の自動車生産全体の50%以上に相当する。 ― 引用終り ― トヨタは内燃機関関連企業の多さから、急速なEV化を信じたくなかった。 ホンダは関連する部品メーカーの合従連衡を、系列にこだわらずすすめた。 トヨタ、ホンダ、日産にとって、日本は主要な市場であっても業績向上の中心市場ではない。 日本のEV化の遅早は、これらの企業集団の将来戦略の決め手にならない。EV中心への切替の進展、適切なコストでの生産量の拡大が、これらの世界企業の今後を左右する。
2022年11月11日
コメント(0)
全378件 (378件中 1-50件目)