分離不安のノエル (2)

壁紙・水玉
コーギー仰向け 分離不安のノエル (2)


町内の夏祭りを境にノエルの不安はお留守番と音になってしまいました。 
     音に関しては、これまで平気だった音にまで反応するようになってしまったんです。
     ドアの開け閉め、2階から家族が降りてくる足音・・・ほんの小さな音にでもビクつき、吠えて、震える・・・ 
     ママはその度「大丈夫よ」と、声をかけていました。

     でもノエルの行動は更にエスカレートしていきました。
     ノエルは不安になると自分で自分の手を噛みだすようになってしまったんです。
     しかも、血が滲むほど・・・周りは抜け毛だらけです。
     一人じゃない時でも、この行動をするようになっていました。 
     今思うといつお留守番させられるか、いつ怖い音が鳴るかと、いつも不安でいっぱいだったのかもしれません。
     ママはどうすればいいのか分からず、泣きながらノエルの手をさすってあげる事しかできませんでした。

(注 泣きながらノエルの手を・・・この時点でママはノエルにとって弱いリーダー! リーダーが不安になればノエルも不安に・・・)



ノエルの行動がいつもと変わらない9月・・・
ママはノエルをトリミングに出そうと決めました。 
送り迎え付きの美容院で、パパの知り合いという事もあり、ママも安心していました。
美容室のお姉さんが9時頃お迎えに来てくれました。とってもやさしいお姉さんで、その人の飼っているワンちゃんもいっしょでした。
ママはノエルがとっても怖がりですとお姉さんに説明して預けました。 
ノエルの帰りは12時頃のはずでしたが予定がズレてしまい17時頃になってしまいました。

美容室から戻ったノエルは、とってもキレイ・・・
「ノエルよかったね キレイになって気持ちいいね」と、ママは話しかけました。
ママはノエルに家とはちがう環境を少しでも経験すればノエルも喜ぶかもしれないと、思っていたんです。

(注 これはママの大きな間違い!不安な仔は知らない場所に連れていかれると、よけいに不安になる)


ノエルは美容室から帰って来て、ママに飛びついてから、ママの側を離れようとしませんでした。
ママは「甘えているのかな?」と思いながら、用事をしていました。


(ノエル、高熱を出す 1日目)
その日の夜21時頃、ノエルがグッタリとして動かなくなりました。 
いつもなら娘(小6)と、オモチャで元気よく遊ぶのですが、まったく動こうとせず元気がありませんでした。
ママはノエルの熱を計ってみました。すると42度もあったんです。(人間用の体温計で!)  
ママは手が震えました。家族みんなで心配し、何とか熱を下げようとノエルの脇を冷やしたりして、次の日の朝を待ちました。



(ノエル 高熱を出して2日目)
翌朝、ノエルを連れて病院に行きました。 
獣医さんにこれまでの経緯をお話して診察をしてもらいました。 
ノエルを診ながら獣医さんが、ママにこんなお話をしてくれました。

「私が診察したワンちゃんで旅行から帰って来てから、高熱が下がらないという仔がいました。
飼い主さんからお話を聞くと、ワンちゃんを連れて何日間も家族で旅行に行ったそうです。
旅行中、ワンちゃんは何事もなかったらしいんですが、ご家族と一緒だったとはいえ、
ワンちゃんは行き慣れてない所に長い間連れていかれ、そうとうのストレスが溜まったんでしょう。
だから、高熱が出たんです。結局そのワンちゃんは入院して治療を受け、やっと治ったんですよ」

ママは自分でだんだんと顔が青褪めていくのが分かりました。 
ノエルももしかしてストレスで・・・ そんな事がママの頭の中で過りました。

獣医さんが
「もしかしたら、風邪かもしれませんので、お薬を出しておきます。2日経っても良くならなければ、もう一度連れて来て下さい」
そう言われてママとノエルは帰って来ました。

家に着いてもノエルはグッタリとして動こうとしません。 
動くのはお水を飲む時と、ドッグフードを食べる時と、トイレの時だけ・・・
ママは心配で涙がポロポロとこぼれました。

その日の夜、ノエルはとうとう、歩かなくなりました。それにドッグフードも食べなくなってしまったんです。
勿論、お薬も飲めません。
パパも娘も心配して、お湯で柔らかくしたドッグフードをノエルの口元まで持っていき、何とか食べさせようとしましたがダメでした。



(ノエル 高熱を出して3日目)
獣医さんに2日、様子をみてといわれていましたが、ママは2日も待てずにノエルを連れて病院へ行きました。
獣医さんが「血液検査をしますね」と、言いました。 
ママは「お願いします」と言い、診察室で結果がでるのを待っていました。  
15分程して獣医さんが診察室に入って来ました。  
結果は、肝臓の数値が通常よりも高くなっていて、肝臓が弱っていました。

「ストレスから高熱がでたと考えていいでしょう」獣医さんにそう言われ
ママが聞こうとした事の答えを先に獣医さんが言いました。
「この仔はお話を聞いているかぎり、かなりひどい分離不安です。相談しながら、ゆっくりと治してあげましょう」
・・・ママは涙が止まらなくなりました。ノエルに申し訳なくなり、分離不安を受け入れてあげなかった事を後悔しました。
そんなママを見て、獣医さんが
「大丈夫ですよ ノエルちゃんは治りますよ。でも先に肝臓の数値を元に戻してあげましょう」と、言ってくれました。

ノエルは点滴を打ちました。時間にすると15~20分程です。 
早くお薬を体内に入れるので注射針を刺しているノエルの首の後ろはプックリと膨れ上がりました。
(30分程して元に戻ります) 

点滴も終わり、家に戻ったママはノエルをずっと撫でていました。 
「早く、元気にな~れ! 早く、良くな~れ!」ママは何度も言いました。



続きは分離不安のノエル (3)で・・・



分離不安のノエル(1)

分離不安のノエル(3)


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