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January 2, 2004
Zero Tolerance For Silence (Pat Metheny)
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新年1発目のレビューは「Zero Tolerance For Silence(Pat Metheny)」(1993)。
このアルバムの内容をご存知の方がいらしたら、
春から縁起でもないアルバムを持ってきたもんだと首をかしげるでしょうね(^^;
PatMetheny史上最悪の問題作です。
私的愛聴度:★★★☆☆
オススメ度:★☆☆☆☆
ぶっ壊れ度:★★★★★
採点基準
★★★★☆:かなり良い
★★★☆☆:普通
★★☆☆☆:思ったより良くない
★☆☆☆☆:別に聴かなくても良いかも
☆☆☆☆☆:ダメだこりゃ
このアルバムについて書こうと思ったきっかけは、
昨日このアルバムが届いたという時期的な理由と、
Amazon.co.jpにこのアルバムのレビューが何件か上がっているのですが、
内容は単なる罵倒でしかなく、レビューでも何でも無い!
「聴くのが苦痛」やら「ひたすらNOISY」やら「マニアむけ」やら、挙句「ゴミ」とまで言われています。
そしてアルバムの内容についてはまともな事は何も書かれていない。
これではあまりにもひどすぎます。聞き手の力不足に過ぎないと思いました。
では、"人に薦められるアルバムか?"と問われたら、
まともな音楽を聴いているリスナーには絶対薦められません。
ですが、ギター、オーバーダブ、インプロヴィゼーション、この3つをキーワードに
音楽を深く追求したい人には是非とも聴いてもらいたい、
いや、聴けば何らかの面白さを発見できるアルバムであると断言しましょう。
また前衛的な芸術作品と評価する人もいそうなアルバムです。
そして楽曲が何らまとまりの無い、フリージャズやらフリーインプロヴィゼーションやらとも
次元の違う単なる弾きっぱなし感のあるものだという2点に尽きるでしょう。
ギターの音はオーバーダブの影響で大分汚く聞こえるものの、
ギター1本ずつについて詳しく聴いてみると、
ゲインがそれほど強くなく、やや粗めのディストーションで、
そんなにNoisyな音ではありません。むしろ綺麗な方ですよ。
そして、全5トラックの全てにオーバーダブがなされている時点で、
楽曲が単なる滅茶苦茶じゃないのがわかるはずなのです。
サウンドと楽曲についてさらに深くポイントを押さえてみます。
まずサウンド面で特筆すべきは、
ディレイがきつい個所はあるものの、全体的に空間系エフェクトが薄いので、
ピッキングニュアンスを注意して聞くとか、実際のプレイを連想させる音だという点です。
とても荒々しいプレイをしているのも特徴的です。
また、ミックスダウンをしていないのではないかと思わせるくらいに
マスターコンプレッションのかかりが浅く、サウンドにむらが多いのも音が生っぽくなる要因です。
まるでデモテープのような音といったらわかりやすいでしょうか。
続いて楽曲について。
すさまじいギターかき鳴らし音から始まって、
リズムも拍子も感じられない、音楽と呼びたくなくなるような曲が延々続きます。
解説には"ジミ・ヘンドリックス"とありますが、要するにブルース調のプレイが
時折ひょっこりと顔を見せることがあるのがPatMethenyとしては珍しいです。
解説の中に思わず頷いてしまう記述がありました。
Patの音楽について「音楽の中からギターがたくさん聴こえながら、
音楽それ自体はギター・ミュージックと一線を画す」というのがそれです。
ブルースにしても、クラシカルにしても、ジャズにしても、
"らしく"聞こえるのは、それぞれ多用されるコードやスケールがあるためです。
所謂"ジャンル"に直結してしまうこのような制約を、
PatMethenyが飛び越えてしまっているのは直感的にすぐわかります。
彼のコード進行やメロディにはギター(的なコードやスケールの制約)
が感じられない事が多いのです。
この点について考えると、このアルバムはギター臭いです。
それも他の作品との違いのひとつです。
彼がこのアルバムの制作に着手したのは、
ディストーションがかったギター・サウンドが用いられる音楽のほとんどが、
画一化された抑圧的なビートに乗せられていることに飽きたという理由からだそうです。
私的な話ですが、少し前プログレッシブ・ロックに強く傾倒していた時期があります。
これは楽曲の展開やビートについて、自由を求めたからであって、
Patが感じたフラストレーションと近しいものだと思います。
テンポチェンジやリズムチェンジ、これを誰が指揮するでもなく、
数値的、段階的に区切るのでもなく、弾き手の感情で滑らかに体現した形が
ここに提示された楽曲の内容のベースになっているのでしょう。
あまりにも強烈すぎるので、ついていけずに不平をもらす気持ちもわからなくないですが、
他に例をみない、作りたくても作らせてもらえないほどの自由さに満ちたこの作品に
とても深く興味を持ってしまいました。
5トラック目には、アルバム「ImaginaryDay」の"Follow Me"(だと思う)の
元になったのではないかと思われるフレーズがたくさん現れます。
やっぱり出鱈目なだけじゃないんです。
インプロヴィゼーションで敷いた線路の上を、
インプロヴィゼーションの列車が走る。
脱線もするでしょう。でも、走り続けちゃうんです。
中学生の頃、カセットテープを用いてオーバーダブを行っていた時に、
本当に適当にギターを弾いて、
その上にまた適当に音を重ねていくような事をしたことが何度もあります。
これが実に面白いのです。自由なので(笑)
そんな事を思い出させてくれる一枚でした。
PatMethenyっぽくない要素がたくさん詰まった作品なので、
公表すべきではなかった録音なのかもしれません。
でも、Patもきっとこれを作っていた時は楽しかったのだろうなと想像すると、
聴いて良かったと私は思いました。
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最終更新日 January 5, 2004 06:08:23 AM
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