のっちゃんのクローンblog

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第一章「来客」



 人間とは、どうしてこんなにも醜いのだろう。

 テレビで犯罪を犯した奴が映ると、すぐにばかにしたがる。

 人ばかり言ってないで、自分を見たらどうなんだ。

 人の醜いところばかり注目して、自分はどうなんだ。

 草を踏んだり、虫を捕まえたり。ぜーんぶ、地球にとって迷惑な事なんだ。

 草だって虫だって、人間と同じ生き物なんだ。



 どうしてそうやって、簡単に殺してしまうのだろう。



 緑のソファーに座った俺は、右側にある小さな窓から外を見た。

 この町には人口が少なく、あまりこの道を通る人はいない。

 だが、今日に限ってそこをたまたま人が通った。

 俺はつい、その出来事にびっくりした。

 男は帽子を手に取り、ドアを開ける。

 「いらっしゃい・・ませ」

 俺の店は床屋。開業して2年は経つが、繁盛したと思った事は一度もない。

 今日も、1ヶ月ぶりの来客だ。

 男は60位の老人に見えるが、実際どうかわからない。

 60より若いのか、60よりも年老いているのか。

 男は店全体を見渡して言った。

 「全体を短くしてほしいんだがな」

 曇った声で、男は言う。

 「はぁ」

 まだ、客が来たことに実感できない。この感覚は、何だ?

 「では、こちらへ」

 俺は手を奥のほうへと向けた。奥にはシャワーがある。

 少し遠いのが難点だ。

 「少し聞いてもいいか?」

 「はい、なんでしょう?」

 歩きながら男はいった。

 「ここは何年やっているんだ?」

 「2年です。でもお客さんはなかなか集まらないんですけどね」

 俺は苦笑いして言った。

 だが男は、笑顔一つ見せず、ずっと顔をしかめている。

 「そうか」

 男のシャワーを素早く終らせ、さっきの場所に戻った。

 切っている間は全く会話はなかった。

 俺から話しかける雰囲気でもなく、時は過ぎた。

 男は目をつぶって、最後まで喋らない。

 結局、不思議な感覚を持ったまま終わってしまった。

 「えっと1500円になります」

 男はポケットから財布を取り出した。

 財布は知らないブランドだった。財布から1000円札を二枚出していった。

 「また必ず、ここに来る」

 「はぁ」

 そう言って男は帰っていった。

 後でおつりを渡すのを忘れていたのに気づいたが遅かった。

 「・・・」



俺はまた、緑のソファーに座って窓の向こうを見る。

男は60近くなのに紳士的でかっこよくて、憧れてしまう。

「将来俺も、あんなのになれたらなぁ」

 といっても、無理だろう。だらしないし、部屋の片付けなんてほとんどしない。

 「まぁ、憧れってことだよな」

 今日はもう、客は来ないだろうと奥の部屋へと向った。

 「おーい、千夏~?」

 呼んでも返事は返ってこない。もっと奥に入っていくと、千夏はテレビを見ていた。

 「呼んだんだから返事ぐらいしてくれたっていいじゃん」

 「え?呼んだの?ごめんっ。聞いてなかった。何かあったの?」

 「いゃ、用はないんだけどね。さっき珍しく客来たんだ」

 千夏は少し驚いた顔をした。

 「本当に?へぇ・・・珍しい人ね。近くにあんな大きな店あるのに」

 そう、この店が売れない大きな理由。近くに大きな美容院があるのだ。

 全国的に有名なチェーン店で、しかも安い。そりゃ売れないわけなんだ。

 だから夜はバイトをしてる。千夏とであったのもそこ。

 「でも和也も、そろそろ本格的に職に就いたほうがいいんじゃないかな。これからのこと考えても」

 「うん。わかってる。ごめんな、いろいろ迷惑掛けて」

 「ううん・・・」

 千夏は今、妊娠してる。俺はまだ職についてなくて、このままだと確実にやばい。

 だからそろそろ職につかないといけない。

 「かわいい赤ちゃん、生まれるといいな」

 千夏は笑顔を見せた。

 「うんっ!」

 俺も笑みを浮かべた。




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