のっちゃんのクローンblog

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第一章「あのときの男」



朝起きて千夏の顔を見るのが嫌だった。

見ればすぐ、『赤ん坊』とフレーズがよぎるのだ。

だが、文句を言ったって何も変わらない。ただ夜が更けていった。

 「徹平~。お客さんだよ?」

小走りで、奥の部屋にいた俺に向って走って来た。

 「客?珍しいな。」

 「なんか・・・。特に髪切りに来たわけじゃないみたい。」

 「は?」

俺はわけもわからないまま、その客がいるところへまで行った。

髪を切りに来たわけではない。ならば、こんなボロ店に、なんの用事があるというのだ?

ただただ疑問だった。

 「すみません。少し、遅れました~。」

顔を出すと、そこにはあのときの男がいた。

 「あっ、どうも。」

横で千夏が肩を叩いた。

 「何?知り合い?」

俺はうなずいた。一応、知り合い。うん。

男は帽子を手にとって、深々と礼をした。

 「お久しぶりです。」

 「あっ、お久しぶりです。」

 「今日はあなたに、話があるんです。」

  話?

 「何ですか?話って。」

 「いゃ、君と二人で話したい。」

そして視線を千夏へと向けた。千夏がいると、まずいということか。

 「はぁ・・。」

訳がわからなかったが、いかにも深刻そうだったこの男に押され、話を聞く事になった。

千夏を奥の部屋へと向わせて、床屋を閉店させた。

 「で?話ってなんですか?」

男は、大きく息を吸い込んで吐く。そして口を開いた。

 「私の変わりに、管理人をやってはくれないだろうか。」

 「管理人ですか?」

 マンション?アパート?そんな程度にしか思っていなかった。

 この日から俺は、狂っていったんだ。



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