俺の家族




姉は俺からみて4つ上。3人の弟と1人の妹を先導してきた強い女の人だ。今は子供を産んで主婦をやっているが、それまでは地元の病院で看護婦をしていた。家から通っていたのだが、夜勤・早番・遅番などランダムなシフトに疲れきっていた姉を思い出す。人の生と死と隣り合わせという職は、俺には到底無理だと思う。だが、4人もの「生」を見守ってきた彼女には患者さんの世話をすることぐらい苦ではなかっただろう。姉は常に俺や兄弟のことを冷静な目で見ていて、脱線しないように見守っていてくれる。俺がアメリカに来たときも、家族みんなのプリクラが貼った手紙を知らないところでスーツケースに忍ばせてくれた。今は新しい家庭を築いてがんばっている。


兄は俺の2つ上。長男ということもあって、姉と同時に下の3人を暖かく見守ってきてくれた。今は地元の消防士をしている。大学時代にはライフセーバーとしてバイトをしていた。兄貴も姉貴もとことん人の命を救いたいらしい。少々遊び人的で合コン慣れしている兄貴も、来年2005年の3月に結婚する。家からまた1人出て行くことを考えると、両親は多分寂しいだろう。実際、今家に住んでいるのは両親と兄貴だけだから。兄貴は俺のことを昔からすごく可愛がってくれた。兄貴が小学校に入学して俺がまだ幼稚園にいたころ、友達の少ない俺を一緒に遊びに連れていってくれた。「どうして連れて行かなきゃいけないの?」っていう愚痴を聞いたこともあったが、お母さんの頼みに折れて、俺の手を引っ張ってってくれた。だから俺には年上の友達がたくさんできた。


弟は俺の1つ下。学校の成績はよくなかったが、努力だけは惜しまないやつだ。今はどこかで働きながら生活をしている。家族の中では一番思いやりのあるやつだったが、俺のせいでいろいろ迷惑をかけた。正直に言って、俺は中学校まで「優等生」だった。学校の成績はめちゃめちゃよかった。だから周りからは比べられただろう。辛かったと思う。高校は、かのイチローが卒業した高校に入って、いろいろな資格を取って、そしてガソリンスタンドでバイトを続けた。高校を出て進路に悩んでいた彼は、しきりに留学をしたいと言っていたが両親は認めてくれなかった。弟は「どうして兄貴はいいのに俺は・・」って言っていた。俺は帰国するたびに彼の部屋に行って相談に乗った。どうすれば両親を説得できるかって。ただ、それは実現はしなかった。俺が留学してから、弟は何回も家をでたり帰ってきたりを繰り返していた。自分の居場所を見つけようと必死だったんだろう。そして今は自分の選んだ場所で自分の選んだことをしていると思う。そんな自由なライフスタイルが、俺には羨ましい。


妹は俺の3つ下。末っ子ということもあって、たくさんの愛情を受けて育った。妹が生まれようとしていたとき、俺は3歳ぐらいだったのでよく覚えている。お母さんが入院して、お父さんが4人の子供の世話と家事をしていたのが、幼い瞳に面白く映った。妹は今大阪で看護学校に通っている。そして彼女もまた人の命を救うために働くのだろう。俺がロスに住み始めてから2度遊びに来た。でも俺は本当に忙しくて全然相手をしてやれなかった。はっきりいって友達に押し付けて俺は自分のことをしていた。今度来たらめいっぱい遊んでやろう。


そして俺の家には3匹の犬がいる。サリーは血統書つきの柴犬(♀)で、確か俺が小学校高学年ぐらいの時に来た。毛並みが金色で、陽に当たるときらきら輝く。そして何年か後に、子供を6匹ほど産んだ。そのうちの1匹は競争に負けて死んでしまい、4匹は知り合いに譲ったり犬屋さんに売ったりして、最期の1匹はキープした。それがリリー(♀)だ。毛が結構黒っぽい。家では番犬の役をしていて、常に目を光らせている。俺が帰国するたびに覚えていてくれているように擦り寄ってくるのがかわいい。そして最期の1匹がゴールデン・レトリーバーのジェフ(♂)。ジェフはリリーが生まれてまもないころにやってきた。見る見るうちに大きくなって、サリーとリリーには驚異的な存在になっている。特にリリーはいつも追っかけまわされているのでジェフには常に注意を払っている。



ありきたりだけど、家族から離れてみて初めてその大切さに気づいた。将来俺はどこでどんな職に就くか分からないけど、帰る家があるうちは安心してなんでも挑戦できる気がする。

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