短編「気」



理香子は、市のサークル仲間と4人で、ドライブへ行った。
理香子は、ナビシート。
帰りは、後ろの2人を先に降ろして、理香子とドライバーの岩波だけになった。

 岩波「楽しかったな」

 理香子「うん」

 岩波「また、行こうか?」

 理香子「うん」

 岩波「今度は、2人だけで行こうか?」

理香子は、返事に困ってしまった。
岩波は、7つ年上のお兄さんみたいな存在だった。
いきなり、そんな事言われても・・・
理香子は、だまりこんでしまった。

 岩波「冗談だよ。でも、今日の理香子は本当に、楽しそうだったなあ」

理香子は、ほっとした。

 理香子「また行きましょう。 4人で・・・」

 岩波「俺と2人じゃ、ダメかな?」

岩波は、しつこく聞いてくる。

 理香子「・・・・・うん。考えておく」

理香子は、妥当な返事をした。

 岩波「少しだけ今、2人だけの時間を作ってもいいかな?」

理香子は、少し考えてうなづいた。


岩波は、適当に走ってから、ある駐車場の隅に車を止めた。
岩波は、シートベルトをはずして、理香子の方を見た。
理香子のシートベルトもはずした。

 岩波「理香子・・・」

岩波の顔が、理香子に近づいてきた。

 理香子「あああああ。 岩波さん・・・」

理香子の口は、岩波によってふさがれてしまった。
岩波は、抵抗する理香子に、何度もキスをした。

 岩波「キスは、初めて?」

理香子は、首を振った。

 岩波「もう1度、キスしていい?」

理香子は、大きく首を振って、下を向いてしまった。
岩波は、理香子のあごに手をかけて、またキスし始めた。
ドキドキする理香子。

岩波の手が、理香子の胸あたりにきた。

 理香子「イヤ」

 岩波「大丈夫だよ」

理香子は、恥ずかしかった。
今度は、岩波はGパンの上から、理香子の足を触り始めた。

 理香子「もうやめて」

 岩波「スカートだったら、よかったのに」

 理香子「もうやめて。イヤ」

岩波の手を振り払う理香子。

 岩波「わかった・・・」

岩波は、理香子にもう1度キスして、煙草を吸い始めた。

 岩波「理香子・・・俺、理香子に<2人だけの時間を作っていいかな?>
    って聞いたよな?」

 理香子「うん・・・」

 岩波「それって・・・OKってことなんじゃないの?
    ・・・理香子は、もう少し大人になった方がいいかもしれない。
    俺は、理香子のことが好きだから、キスしたいとか抱きたいとか
    思う。 理香子は、俺のことが嫌い?」

 理香子「・・・嫌いじゃない」

 岩波「じゃ、好き?」

 理香子「岩波さんのこと、お兄さんみたいに思ってる」

 岩波「1人の男としては?」

理香子は、だまってしまった。

 岩波「そうか・・1人の男としては見てくれなかったんだ。
    俺は、理香子を1人の女として見ていたのに・・・」

岩波は、残念そうに言った。


自分が好きになった人には、好きと言ってもらえず、好きじゃない人に好きだと言われる。
恋って、思い通りにうまくいかないものだと・・・理香子は思った。
理香子は、哀しくなった。

理香子は、岩波と別れて、その足で藤崎のところへ行った。
藤崎というのは、理香子のバイト先の隣のお店で働いてる人。
ほとんど、毎日のように顔をあわせていた。
時間が合えば、一緒にお昼を食べたり、帰りに家まで車で送ってもらったりしていた。

藤崎は、既婚者。
最初の頃は、恋愛感情というよりも、あこがれが強かった。
何でも相談できる大人の男って感じ。
それが、だんだん恋愛感情に変わっていったのだ。

理香子は、告白らしい事を言ったが、藤崎は理香子を妹みたいに思っていた。


理香子は、お店の駐車場で藤崎と会った。

 藤崎「どうした? 今日は、休みじゃなかったのか?」

 理香子「何となく・・藤崎さんに会いたくなって・・・」

 藤崎「乗りな」

理香子は、藤崎の車に乗った。

 藤崎「何か、あったのか?」

 理香子「うん・・・」

でも、岩波の事は言えなかった。

 藤崎「少し、ドライブでもしようか?」

藤崎は、理香子に何も聞かなかった。
沈黙のドライブ。
少しして・・・

 理香子「男の人って、やっぱり好きになったら、キスしたいとか抱きたいとか、思うんですか?」

 藤崎「それが、普通だろ?
    理香子だって、好きな人とキスしたいとか、抱かれたいとか、そう思うだろ?」

 理香子「・・・思うかも」

 藤崎「だろう? それが、自然じゃないのかな。
    理香子。誰か好きな男が、できたのか?」

理香子は、ドキッとした。
すぐに、首を振って否定した。

 藤崎「それとも、好きだって言われたのか?」

 理香子「・・・・うん」

 藤崎「それは、よかった」

 理香子「よくありません!」

理香子は、少し怒って言った。
それから、今さっきの岩波との事を、藤崎に話し始めた。

自分が、男の人に対して、未熟だった。
話しながら、理香子の目から涙が出てきた。
藤崎が、泣いている理香子の髪の毛をなでてくれた。

全部吐き出して、すっきりしたい・・・

 藤崎「そうやって、傷つきながら、大人になっていくんじゃないのかな。
    たくさんの恋をして・・・」

 理香子「私・・・藤崎さんのことが好きです・・・」

しかし、藤崎は、何も答えてくれなかった。

こんなにこんなに、好きなのに・・・
片思いって、つらい。


 ****************************

あとがき。
これは、短編「始」の続編。
2003年6月にUPしたものだから、読んだ事がある人がいると思う。
タイトルに迷い、気持ちの「気」をつけた。

まあ。この続きは、また書きたくなったら。
ここまで、読んで下さって、どうもありがとうございました。


 2005年 1月26日

HOME




© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: