MILANO‘S REVIEW

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秋月こお3(『王朝』『要人』)

■『王朝唐紅ロマンセ』(秋月こお)■

待ちに待っていたこのシリーズ。

とっても厚い本だったのですが、感嘆と共にあっと言う間に読み終えてしまいました。

秋月先生って…凄いです。
議員の仕事もしながら、なんでこんな繊細な描写で大河なお話が書けるのでしょう。尊敬します。

■この『王朝』シリーズ、大元は、寺の稚児(小姓だけど、そっちのおつとめは逃げていた)だったカワイイ千寿丸が、悪いエロ坊主から逃げて、都の藤原諸兄(ふじわらのもろえ)というカタブツな貴族に救われ、愛し合うようになるお話です。

一作目の『王朝春宵ロマンセ』では、小舎人として、朝廷で働く諸兄の身の回りの世話をすることになった千寿が、持ち前の賢さで次々と仕事を覚えて行く様子と、その姿を見て諸兄がムラムラ来ちゃうところが面白いのですよ。

これに、毎回、千寿の美貌や、実はやんごとなきお方の隠し子らしい生まれ等々の理由で、悪いヤツラの陰謀にあうわけですが、それを、諸兄の親友のイロ男、在原業平(ありわらのなりひら)や
仲間達と協力、心配しあって乗り越えて行くというお話です。

■今回は、シリーズ主役の、千寿丸と諸兄のカップルから離れて、
親友の在原業平と、藤原北家嫡男、国経の話になっています。

藤原国経(ふじわらのくにつね)は、最初、顔立ちが似ている千寿を気に入っているのですが、いつも自分をからかい藤原北家と敵対する業平の恋人だと思い、腹立ち紛れに誘拐して、思わず押し倒しそうになり、すんでのところを諸兄と業平に踏み込まれたという過去があります。

そのせいで、諸兄と千寿に嫌われたのが悲しくて、千寿の危機には自分もかなり無理して協力し、やっとお友達にしたもらったのでした。

■さて、今回の話は国経視点から描かれていまして、

美しいが軽々しい人だと思っていた業平を、舞の稽古や千寿丸との諸々の事件で、国経が次第に見直していく様がていねいに記されています。

国経視点からですので、つまり、 業平さまの魅力、全開です ☆キラキラ~~~~☆

ああ~~もう、最初に会ったころの、まだ烏帽子もつけない頃の業平様のロン毛姿とか、
国経をからかってばかりなのに、たまに素直に返事をすると、一瞬固まる姿とか、

こちらの話も、早くオッキー声でCD化して欲しいですね。

面白いことに、最初の頃の、国経をからかってばかりの業平さまの声は、オッキー美人声(もしくは『仔羊』の時のような軽めのイイ声)で脳内変換され、
後半の、業平さま一大事のころ…のつまりは国経を押し倒しちゃうころの科白は、『オッキー太い攻め声』
で、変換されておりました。(笑)

■ここからちょっとネタバレ。読みたくない方はスルーして下さい。

でもね~~~。国経の心情を丁寧になぞってあって、ついつい読んでるこっちも、彼に感情移入してしまったわけなんですよ。

業平が軽佻浮薄な科白を吐きつつ、ホントは千寿丸に恋してることまで気付いた国経。それでも自分は業平が好きなのだと潔い国経がカワイクてたまりません。

つまり、業平×国経で、ちゃんとしたラブラブ状態になってなかった結末がちょっとブ~~~~(ふくれてる)

業平ってば、国経の妹の高子(8才)に求愛したりもするのですよ。藤原北家の、国経の父親への嫌がらせではあったかもしれませんが、多分これは実話でしょ?

もう少し成長した高子を連れて駆け落ちし、嵐がやんだら鬼にさらわれてしまっていたという、伊勢物語の有名な話のお姫様、二条の后ですよね。高子は。

伊勢物語(業平のお話が沢山のってる)に、実際に書いてあるので、無視できなかったのでしょうね。こお先生。
本当は、姫の兄たちが取り返したのを、業平がドラマチックに鬼に浚われた話にして、涙をさそっている(いけしゃあしゃあと)わけですけど。
その、姫を取り返しに来たのが、国経らしいです。

もちろん水無月の脳内変換では『本当は、業平×国経だたのだけど、本気になってしまった高子の気持ちをあきらめさせるため、やらせで業平は駆け落ちし、国経は悪役になって取り返した。』
ことになっています。

まぁ、その後もいろいろと浮き名を流す業平ですから、
国経と一夫一婦制の純情をを守るのは無理なのかもしれませんけどね。秋月先生ってば、ここのへん、ちょっとクールですね。


■ともあれ、この2人の関係や、千寿達がどうなるのか、
多分まだ続きがあると思うのですよね。(キャラコレクションでも続きが書いてあったし)

秋月先生の作品の中では、フジミと同じ位好きなシリーズとなりました。


要人警護シリーズ
8、アナスタシア騒動(小説キャラvol12)


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