ところが、である。英語の場合、事情が異なる。英語で「イク」をあらわす言葉はcomeである。ワタシいっちゃう!を英訳すると、I am coming!となる。こちらも移動を表しているが、方向が180度逆なのだ。ここで、「行く」と「来る」の違いを(goとcomeの違いを)厳密に考える必要がある。「行く」も「来る」もある場所から別の場所への移動を表す動詞であるが、「行く」場合は、日常的な場所、もともとにいた場所、本来いるべき場所から、そうでない場所への移動、というニュアンスがある。一方、「来る」の場合、非日常的な場所、新たな場所、未知な場所から本来いるべき場所への移動というニュアンスがある。これはgoとcomeの場合も同様である。とすると、英語圏の人たちが、性的に絶頂を迎えたときにcomeを使うのは、性的に絶頂を迎えている状態の自分こそが、本来の自分であって、普段の日常はむしろ非日常な、不自然な、生命の摂理を反したものである、という訴えがあるからではないか。