一即多、多即一

一即多、多即一

バニラ・スカイ


あり、結局のところノンジャンルの作品です。

 トム・クルーズの役は金持ちでプレイボーイという実に鼻持ちならない男です
が、事故で顔がぐちゃぐちゃになってしまいます。そこから彼の苦悩が始まり、
最終的には真の愛を見つけ、夢に生きず現実をしっかりと生きるという選択をす
る、大きくはしょってストーリーを紹介するとこうなります。

 この映画の大きな特徴は夢であり、現実とは何か?というマトリックスシリー
ズでも取り上げられていた題材です。バニラ・スカイにしろ、マトリックスシリ
ーズにしろ、ストーリー展開について評判が悪いです。複雑すぎてわけがわから
ないと。マトリックスシリーズについては、CGや映像の斬新さ、格闘シーンな
どが評判となり大ヒットしましたが、バニラ・スカイはそういった要素もなく、
トム・クルーズの主演作としてはあまり売れなかったようです。

 しかし、これらの作品は現実とは何か?ということに対して、取り組み、また
バニラ・スカイはルシッド・ドリーム、明晰夢について表現したことが注目に値
します。夢と現実が交錯しますから、ストーリー展開が複雑になるのは仕方のな
いことです。これは万人向けの作品とは言えないでしょう。しかし、夢と現実に
ついてこれほど深く追求した作品もあまり例がなく、その点で注目に値します。

 冒頭の無人のタイムズスクエアの場面は、悪夢を表現しており、そこから主人
公は夢と現実が交錯した状態で苦しみます。顔がめちゃくちゃになったこと自体
も悪夢であり、顔が治ったと思ったら、また崩れていたり、愛する女性がストー
カーと入れわかっていたり、錯乱した主人公は殺人まで冒してしまいます。その
ことについて、主人公と精神科医が言葉を交わしますが、その内容も人間の心理
をえぐってなかなか深いものです。

 最後にはすべてが明らかになりますが、色々な解釈の仕方があり、どれが正解
というものでもないでしょう。日本ではすべてが夢であったという落ちととらえ
た人が多いようですが、監督は違う意見です。DVDでは監督が詳細な解説を加
えているので、それを見ればこの作品がわかりやすくなるでしょう。

 現実が絶対的なものだと信じている人、あるいはそういうことを考えることも
ない人には、この作品は見るに値しないものでしょう。しかし、現実とは何か?
夢について強い関心がある人は、バニラ・スカイを見ることをお勧めします。

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