おねえちゃん3


枕元には吐いたものがそのままになっている洗面器、汗でべとべとのパジャマのままぐったりと寝ているおねえちゃん。
それらを全て片付け、蒸しタオルでおねえちゃんの身体を拭き、着替えさせると「ごめんな~急にしんどくなっちゃって・・・ありがとう」そう話をしてくれました。
熱をはかると39度を超えているし、呼吸もしんどそう。
おねえちゃんの会社に休むことを連絡し、すぐもう1度往診にきてもらおうと、Y医院に電話。
まだ診察時間にはかなり時間があるというのに、「昼過ぎになったら見に行きますから~」とめんどくさそうな声で返事するのみ。
このままじゃあラチがあかん!!そう思って、自分の勤務先の病院に連れていこうと思い、お姉ちゃんに話し掛けたそのとき、急に呼吸状態が変化した。
その前もたしかに呼吸が浅くて速い呼吸だったが、今回は違う!
下顎呼吸というやっと息をしてる状態の呼吸。
私の中の何かが「やばい!!」と叫んだと思ったとたん、妹を大声で呼び、すぐに救急車を呼ぶように指示した。
妹が119へ電話したその瞬間。
私の目の前でおねえちゃんの呼吸が止まった。
とっさに首の横の動脈をさがす。
全然拍動がない。
気付いたらおねえちゃんに心臓マッサージと人工呼吸を始めていた。
自分の中の冷静な自分がすぐ横にあった時計を見ながら、頭の中のメモに記録を残していた。
7:54119へ連絡。
7:55呼吸停止。
7:56心停止。CPR(人体蘇生法)開始。
8:12救急車到着。
8:15救急隊によりCPR。
8:17救急隊により気管内挿管。
8:24救急車にて市大病院へ搬送。
8:30市大にてCPR。
8:32死亡確認。
自宅での不明死ということで警察介入にて司法解剖となる。
私自身もおねえちゃんの死因についてはっきりさせたかったし、そうしなければ死亡診断書も火葬許可書もでないんだから、承諾するしかない。
まず病院の霊安室に移され、救急隊の人、病院の救急外来担当ドクターに今回のいきさつを説明。
その後病院の連絡により駆け付けた警察官にも同じように事情聴取された。
このとき、「いくらとっさのこととはいえ、CPRするなんて・・・」といわれ、むっとしながら職業が看護婦であることを告げると、今度は「看護婦だったらお腹が痛いと言い出した時に、なんで気付いてあげれなかったんや??」と責められる。
あのね~普通おかしいな~と思ってても医者の診察を受けて「風邪と便秘」と診断されれば、納得するしかないでしょ??
ましてや私は勤務経験はあってもまだ21の若造だよ??
21の新人がばしばし判断できるようなら、ベテラン看護婦も医者もこの世の中には要らないでしょ??

司法解剖をしてもらうまでの時間。
何をどうしてたかあんまり覚えてない。
とりあえず自分の勤務先、おねえちゃんの勤務先、親戚のおじさんの家、つきあっていた彼氏(今の旦那)に電話をしたということだけしか覚えてない。
旦那(まだ彼氏だったが)への電話もその日にH県(当時の旦那の勤務先)に遊びに行く約束をしていたから、それをキャンセルしないと・・くらいにしか思ってなかった。
「今日な~そっちいかれへんなってん」「なんで??また勉強会か?」「ううん、おねえちゃんが死んでん」
そんな会話だったらしい(後日旦那談)
おかあちゃんの時でさえ闘病生活があったにもかかわらず、死を受け入れるのにかなりの時間がかかった。
ましてやおかあちゃんが亡くなって8ヶ月程で目の前でおねえちゃんの息が止まるなんて、受け入れられるはずもない。
救急隊や警察官に状況説明をしてても、まるで仕事の申し送りの一貫のようだった。


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