子ども110番の家            薬剤師パパのもの申す!

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子どもの肥満

子どもの肥満 小中学生の10人に1人

夏休み、体を動かそう


<2005.8.4 東京新聞記事より>

 子どもの肥満が増えている。食をめぐる環境の変化や運動不足といった背景があるが、特に夏休みは、肥満を加速させやすい「落とし穴」がいっぱいある。原因や予防法、肥満の大きな原因の一つでもあるお菓子などとの上手な付き合い方を探った。 (田島 真一、稲田 雅文)

 「最近は十人に一人の小中学生に肥満の傾向がみられます」。あいち小児保健医療総合センター内分泌科の濱島崇医師は指摘する。栄養士や理学療法士らと連携して肥満の子どもたちを指導しているが、特に小学校高学年から中学生の男子で肥満の増加が目立つという。

 なぜ、肥満の子どもが増えているのか。「最も大きな原因は生活習慣の変化です。カロリーの取りすぎや運動不足、最近はその両方が起こりやすくなっています」。ファストフード店やコンビニエンスストアで、高カロリーの食品が簡単に手に入る。

 一方、子どもたちの遊び場は少なくなり、塾通いで運動をする機会も減った。子どもたちは極めて肥満になりやすい環境に置かれているといえる。

 成人は身長の変化がないためBMIという簡単な計算式で肥満を評価できるが、成長過程にある子どもには当てはめにくい。そこで小児では、性別・年齢・身長別の標準体重をもとに算出した肥満度という指標で評価する。

 例えば十歳で身長一四〇センチの女子の標準体重は三四・一キロ。そこで本人の体重が四五キロだと、肥満度は約32%になる。十四歳で身長一六〇センチの男子の標準体重は四九・四キロで、本人が八〇キロだと肥満度は約62%。肥満度20%以上の小児が肥満児と定義され(幼児は15%以上)、特に30%を超えるようであれば、専門の医師の診察を受けるべきだと考えられている。それぞれの標準体重は肥満に詳しい小児科医やインターネットなどで知ることができる。

 肥満を放置すれば、子どもでも成人と同じ病気や症状が現れることもある。「小児でも、脂肪肝から肝炎や肝硬変になる例が報告されています。糖尿病も増えていますね」。高血糖、高脂血症の状態が続けば、子どもの時期から動脈硬化になるような変化が始まり、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞を起こすリスクを高めてしまう。体重による負荷で関節に障害をきたすこともある。

 夏休みは、肥満を加速させやすいという。「昔は、夏と言えば夏バテで食欲が落ちてやせるイメージがあったのですが、最近は外来をしていると、夏休みの方が肥満が増えると実感しています」。学校生活では、登下校、体育の授業など無意識のうちに体を動かす機会があるが、これがなくなり、家にいることが多くなる。「学校と違っていつでも冷蔵庫を開けて、飲食できるようになってしまう」。外は暑いからと冷房の効いた部屋でゴロゴロして、甘いジュースやアイスクリームばかり口にしていれば、太るのも当然だ。生活のリズムが乱れて夜更かしして、寝る前に夜食を取るのもよくない。

■家事手伝いも有意義

 濱島さんは「夏休み中もできるだけ生活を規則正しくして『ジュースは一日何杯まで』と、量を決めるようにしてください」と説く。飲料はお茶など、できるだけカロリーが少ないものにしたい。体を動かし、外で遊ぶことも必要。熱中症になるような暑い盛りでなくてもいい。「朝や夕方の涼しい時間に外へ出て、ウオーキングをするのもいいでしょう」。年齢に応じて家事の手伝いをさせるのも、立派な運動になる。

 ただし、多少太り気味だとしても、過度なダイエットは禁物だ。極端な肥満は別として「子どもはまだ成長期です」と、必要なカロリー量は確保するよう勧める。身長が伸びれば肥満度は必然的に低くなる。バランスのいい食事で栄養を取り「これ以上は太らない」ように心がけるのがよさそうだ。

 濱島さんは「子どもに対してだけでなく、家族みんなで生活習慣や健康への意識を持ってほしい」と呼び掛けている。

■バランス良く食べよう

 「甘いものが太ると思われていますが、もっとも気を付けなければならないのは脂肪分です」。肥満が気になる子どもの食生活で注意すべき点について国立病院機構・三重病院(津市)の稲葉正彦栄養管理室長はこう指摘する。

 稲葉室長によると、糖尿病の食事療法で簡単に栄養計算をするための分類では、食品は六つのグループに分けられる。百グラム当たりのカロリーを比較すると、脂質を多く含む食品は、同じ量を食べてもタンパク質を多く含む食品の約七倍、糖質を多く含む食品の六倍のカロリーを摂取していることになるという。

 例えば、シュークリーム一つは二五〇キロカロリーで、焼きおにぎり二個に等しい。菓子パンは意外に高く、メロンパン一つで四六〇キロカロリーもある。同じ甘いものでも洋菓子はカロリーが高めである半面、和菓子や果物は比較的低カロリーのものが多い。

 給食がなくなる夏休み、親が共働きだとお金だけ渡して昼食とおやつを買わせるケースが増える。「コンビニエンスストアで自由に買わせると、どうしても空揚げやフライドポテト、アイスクリームなど、脂肪分が高い食品に偏ってしまう」と稲葉室長。お昼ご飯の場合は、空揚げ弁当などの揚げ物や菓子パン類を避け、おにぎりやうどん、そばを選ぶようにさせ、野菜も食べるよう指導することが大切という。

 おやつは肥満が気になる子どもについては一回当たり一五〇キロカロリーが目安。コンビニで売っているほとんどの食品にはパッケージに栄養成分表示があり、カロリーも記してあるため、きちんとカロリーを把握するよう教える。

 量を守ることと同じぐらい重要なのが食べる時間。夕ご飯の前や就寝前の三時間は食べないようにさせる。「晩ご飯のときなどに今日は何時に何を食べたかを聞き、子どもの食生活について親がきちんと把握しておきましょう」とアドバイスする。

■ポテトチップス、おやつの適量は35グラム カルビー

 子どものおやつの中で、親たちから「敵視」されがちなのがスナック菓子。大手のカルビーでは昨年六月から、社員が小学校の「総合的な学習」の時間に出かけてスナック菓子との付き合い方を教える「スナックスクール」を開いている。

 広報室の麦田裕之さんは「どんな食品でも食べ過ぎは体に悪い。子どもたちに適量を教えたい」とスクールのきっかけを話す。これまで関東地方の小学校が限定だったが、八月以降は試験的に全国に広げるという。

 同社では、普通の体格の小学生については一日三食の主食以外の間食で三五〇キロカロリーを取ることを指導の目安にしている。このため、ポテトチップス三十五グラム(一九六キロカロリー)に、牛乳コップ一杯(一九〇cc、一五〇キロカロリー)が適量としている。通常のサイズは一袋九十グラムで、食べて良いのは半分以下。三十五グラム入りの小袋もある。

 スクールでは、三十五グラムがどれくらいの量なのか、はかりに載せて確認させ、見た目で適量を覚えてもらっている。

 さらに、複数の野菜を原料とするスナック菓子と本物の野菜を用意し、パッケージ裏を見て使われている野菜を当てるゲームをする。麦田さんは「裏に書いてある栄養成分表示を見て 自分でカロリー量などを判断するようにしてほしい」と話す。



米小学校自販機は水と100%ジュースだけ

<2005.8.17 朝日新聞記事より>

 米飲料業界団体である米国飲料協会(ABA)は17日、全米で社会問題化している子どもの肥満を防ぎ、健康に配慮するため、小学校の自動販売機では水と果汁100%のジュースしか売らないなど学校で販売する清涼飲料の種類を制限する計画を明らかにした。

 秋の新学期から段階的に実施する。中学校では、水、果汁100%ジュース、スポーツドリンクなどカロリーや糖分が少ない飲料を販売。高校ではソーダなども加わるが、糖分が多いソフトドリンクの割合を全体の半分以下に抑える。

 米国では成人の肥満人口が世界一に達している上、子どもの肥満や体重過多も急増。親の目が届かない学校で簡単に糖分の多い飲料が買えることが問題視されている。





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