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道内配布紙の伝えるところ、帯広駅近接の長崎屋帯広店が3月31日をもって、全面閉館したそうで。 釧路市では1979年の出店と記憶しているが、98年頃には撤退した。本市で同店が大型量販店の地方進出の端緒であった。 後続のダイエー、イトーヨーカ堂がすでに撤退している。「大型量販店の出店、地方にとってはなんであったのか」。 交通要衝に隣接の大型空閑地。建物は地元業者の建てさせ上屋をレンタル。 豊富な駐車場を確保して集客、地元商店街は相次ぎ店仕舞い。 高齢者にとっては「買い物難民」を表出し、その後釜にはコンビニエンスストアが埋め合わせる。 「売れ筋商品、お手頃価格」が「モノ作れる市民」を「外部依存型経済」に誘導し、消費専用に位置を替えてしまった。 撤退がきまるや、「(長期に及ぶ)割引セール」。大型量販店は「市民の富を吸引する存在、吸引する富が枯渇するや、矢継ぎ早に撤退」。 空間となった建物は、後継活用が難しく、廃墟と化す。 大型量販店とは市民にいかなる存在か?。思い入れたい京都人の気風=「顔の見えないモノからは買わない」 長崎屋帯広店、全面閉館『北海道新聞」240401
2024年03月21日
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240204 縮む農村 対策急務 北海道新聞 岐路の農、危機の食 縮む農村 対策急務 20年後 農業者4分の1に減少予測 「私が考える復活策は」 「食料を取り巻く環境が揺らぐ中、農業・農村の復活にはどんな対策が必要なのか」 「専門分野から安定供給を支えようと取り組んでいる3人に聴いた」。 フランス料理シェフ 三国清三シェフ「付加価値で もうかる蚕業に」 はるきちオーガニックファーム代表 小林卓也氏 「外から就職しやすい環境を」 法政大学教授 図司直也氏 「都市や消費者に意義伝えて」自身なら「消費者が価値理解し支える力量」を提案する。 生産者が頑張れ。でわ、すでに【間に合わない】。 そこまで、事情は規模しくなっている。「国産品を選ぶのは贅沢」。国政はそう言いたげ。 本来の旨さ、本当のおいしさを自身の言葉で表現できる。自身で考える力が求められる。 選ばれた選択肢から、あてはまる答えを見つけ出そうとすることでは、間に合わない。
2024年02月08日
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田村剛・永山在顕・近藤直人 無名の阿寒、なぜ日本初の国立公園に240325発刊!! 種市佐改氏著『阿寒国立公園の三恩人』(1984年)が、装い+“その後の追加原稿”を新たに世に出る。 関係者は「2024年3月発刊!」と、広報を開始の段階。「国立公園誕生秘話」のコピーが力強い。 「不慮の事故で片足を失いながらも国立公園創設の信念を貫いた」=田村 剛 「剛毅な性格で人心を束ね“ぼっけもん”の心意気で阿寒の道を拓いた」=永山在顕 「樹を育み、阿寒を発信し、北海道観光の育ての親となった」=近藤直人「+(プラス)」には三本の原稿をまとめる。 松橋宗和「旅と観光には思いやりの心が流れているんです」 塩 博文「『阿寒公立公園物語』のその後」 佐藤宥紹「前田正名 森に神々宿る“観る山”論の脈絡と水脈」 発行は クスリ凸凹旅行舎 http://dekoboko.biz/ 代表 塩 博文
2024年01月31日
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工業製塩の特質、喪失した点 平島裕正著『塩の道』750120―前― 工業製塩が出回って、塩化ナトリウムの純度が99%には、どのような特質と喪失し点があるか。 島裕正著『塩の道』(講談社)の152‐154ページで問題提起している。 自然塩・天然塩に含まれるマグネシウム、カリウム、カルシュウムが含まれず、旨味・使用勝手に不具合があるそうだ。 1)漬物を作るのにも、工業製塩では上手く漬からない。 a)なぜなら、塩が容器の底に沈み。漬物素材にうまく混じらない。 d)以前の塩には適度な<シメリ気>があったから、たとえばダイコンなどに塩が<ヘバリ>付き、モノと物との間に溜まって、それぞれの素材にしみこむのだ。 c)従来の塩なら、素材に浸透圧が加わって、甘みも出たが今の塩は単純にピリピリ辛い味しかしない。本来の漬物の旨味&甘みでは、ない!!。 2)対策として、「使い方」を考えること。 D)塩を漬けようとする野菜に塩をまぶしつけ、 E)以前よりも少し多めに塩を入れるのみならず、 F)目安として食塩の九に対して化学調味料を一の割合ぐらいに添加。そうしておかないと、<旨い漬物>にはならぬ、と。 3)失ったモノ。それは漬物の旨味、甘味のみではない。 その点は、次回として添付の掲載図は、能登製塩というところがアップしている「塩100グラム中の成文」をネット記事で検索。 「商品名」「原材料」「種別」「製法」「食塩相当量」「ナトリウム」「マグネシウム」「カリウム」「カルシウム」の含有量を、表で詠みその一部を図化した。
2023年11月09日
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アジアは世界の成長センター。そのように申すそうで。 放送大学。「SDGs下のアジア産業論(’23)」の6th=「第6回 アジア経済の現状と課題」を聴いたようで。 授業主題は次のようになっていた。 「国民経済計算の基礎となる議論する」 「それを基に、アジア各国の国民経済計算、貿易、金融などを含むマクロ経済の比較分析を行い、アジアの現状と課題を明らかにし、将来を予測する」 「アジア諸国の課題として、高齢化、所得格差、人口ボーナスの減少などを説明し、課題を克服する経済政策を探る」 そこで「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」の説明。そして、「アジアは世界の成長センター」で、核が日本、中国、そしてASEANに移行、と。 その日本でこれから必要、不可欠なこと。 精神科医の和田茂樹氏の講演が、市内であった。釧路市内を中心に配布する紙面の一面に掲載。 「50歳台から意欲の低下から心身の衰えが始まり、70台で体が動かなくなる事態に陥る」 「意欲の老化を予防することが一番大事」と、ここは「老化予防 意欲がカギ」の<見出し>に結節。 「継続した運動や勉強の重要性だけではなく、意見を発信すること、自身と異なる考え方の本を読む」など、挑戦や実験を続ける。高い意欲>をもって」 「癌発生の原因は免疫機能を下げるストレス」「心の健康が体の健康に直結」「日本人は心のケアを軽視しすぎる」 メンタルヘルスの重要性を指摘しつつ、「固定された価値観にとらわれることなく柔軟に生きる選択肢をすすめる」と。 最後に、質疑に応えたとある。 介護関係者が医療関係者との乖離=かいりなどの実情から介護現場の在り方を尋ねられ。 「大事なのは、入所者の自己決定権があるかどうか」「医師よりも長期間現場を見ている皆さんの意見が反映されるべき」と回答。 会場から自然と拍手が湧いた。(写真=『釧路新聞』 231106 一面 鉾之原頌吾記者) 高い意欲 免疫機能維持 メンタルケア&意見発信 老化予防三カ条231106『釧路新聞』
2023年11月07日
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問いに答える形で唯円著『歎異抄』について、3点。 1)「先師口傳」の疑問 「(唯円が)親鸞から直接自分だけが聞いたというような印象を受けさせる」は「非常に抵抗を感じる」 2)「耳の底に留むる所、これを注す」 「親鸞が亡くなってから二十以後ですね」「そういうことがどの程度信用できるか問題です」。 3)「(親鸞が書いた)いろいろな書物とピタっと重なる思想を説いているか」 「合わせてみると重ならないものがちょんちょんと、いくつも出てくる」「第一資料としては使えない」。 石田瑞麿著「親鸞とその著述」(国立教育会館編集『歴史を動かした人びと』 教養講座シリーズ43 1988年)所収 77p 先師口傳の疑問&ズレがちょんちょん 唯円著『歎異抄』文献学的校合821205
2023年09月24日
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川に背で発展の近代、軌道輸送衰弱の現代 読みたい岩本由輝著『近世漁村共同体の変遷過程』700130 都市で中心街空洞化が指摘される今。地域に移住を誘導した<母なる川>と向き合ってゆきたい。 中心街は軌道交通の普及を背景に母川に背をむけて発展。軌道交通が地域特殊資源を失って輸送機能の頂点からスベリ落ちた。 目をおおう中心街の荒廃。そうしたときに再度、目をむけたい。SDGs、2030年の地球危機のためにも。 岩本由輝著『近世漁村共同体の変遷過程』(塙書房 1970年01月30日 初版)は、「商品経済の発展と村落共同体」の副題をもつ。 三陸海岸の宮古湾、大槌湾、釜石湾を舞台とする。 「漁村を中心とした商品経済の進展」。著者は注目する。 共同体とは。 「個人の自立的生活が不可能なため、集団を作って生産・生活をすることを余儀なくなされ、自然発生的に構成された組織」。 自身が身を置く場で重要なのは会社組織。市民は当事者能力をさておいて、組織の一員として生産・生活・環境と向き合う現代。 近世の三陸社会に、特権商人=前川家の出現がある。 しかし新時代に地域創造をめざすうえで、コミュニティ社会を生きる個人の<当事者意識>。 地域再生のキーワードを学べる著作。岩本由輝著『近世漁村共同体の変遷過程~商品経済の発展と村落共同体~』。
2023年09月20日
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鎌倉新仏教に三段階&三課題 高木豊述「日蓮―鎌倉仏教の諸問題」881215 鎌倉新仏教に三段階 1)法然・栄西、2)親鸞・道元、3)日蓮・一遍。 それぞれに共有する<時代認識>を背負っていると、説明を始める。 その共有する時代認識と空間認識をこれまた三課題として示す。 4)「片州濁世」や「末代辺国」と表現する「末法思想」の時代。 5)修行僧らが「闘諍堅固(とうじょうけんご) 互いに自説を主張して譲らず、争いが盛んな状態」に、武士社会に根強い「無常観」の広がり。 6)天竺=インド、震旦=中国、本朝=日本と伝承する「(仏教的)辺土=辺境」の意識。 そこに親鸞=専修念仏、道元=只管打座、日蓮=唱題目の信仰を提示。 それはインド発仏教とは、ある意味、異質ともいえる哲理・教学・思想を樹立した、と。 ここで二話構成の第一話が結ばれる。第二話は「人間の肯定」に始まり「日蓮とその時代」。 立正大学文学部教授でのち、立正大学副学長を務めた高木豊氏「日蓮―鎌倉仏教の諸問題」(国立教育会館編『教養講座シリーズ 43』 1982年12月初版)から。
2023年08月31日
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2024年(令和6年)に、浄土宗は開宗850年を迎える。 浄土宗の宗祖・法然上人は1175年(承安5年)に浄土宗を開かれた。 開宗の起点、それは「善導大師のお言葉との出会い」「確信を得た上人は、京都・東山吉水の地でお念仏の教えを弘めた」。 昼、浄土宗寺院の掲示板に上記を読み、書架から石田瑞麿著「親鸞とその著述」を拾い読み。 「(親鸞は)法然を契機としてある一つの信仰の展開を見せてきた」が、「大きな精神的飛躍というものは、やはり自分で築いていったものと考えられる」(4p)。 そこで、次々と著書が列挙される。最初に「観経集註」「小経集註」。 つづいて「正信偈」と「念仏偈」。さらに「教行信証」と「浄土文類聚抄」。 「入出二門偈」で一区切り。ここまで「これを書く」と「これを書き写す」の二様があると。
2023年08月13日
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資源搬出で稼いだ経済、資金は地元に蓄積されず 都市人口、近隣都市に「3人差 帯広に抜かれる」180113 家に居て荷物の整理。こぼれ落ちた新聞切り抜きに「釧路市人口 全道6位転落」「「3人差 帯広に抜かれる」。 2017年末の住民基本台帳統計が公表されて、その結果を踏まえた記事。 「釧路16万5667人 帯広16万5670人」との見出しも。 札幌、旭川、函館、釧路の時代があって、それが札幌、旭川、函館、苫小牧、帯広、釧路の順に。 もっとも札幌、旭川、函館、小樽、室蘭、夕張、釧路の順番。そうした時代もあったのであるが。 ある時から「狩猟民族の釧路、農耕文化の帯広」。そう対比し、都市の優劣を<密かに比較>の感情は否定できまいが。 2020年09月13日。「さわやか自然百景 『北海道 帯広の森』」が放送された。 「帯広の森」は1975年に計画がつくられ、確か十勝集治監後の敷地を軸に、十勝川と札内川を含めて「一大グリーンベルト地帯」を創る構想であったと記憶。 それが2020年の放送では、「天然の森」と評価されるまでに育てあげられたのだ。 資源を搬出することで発展したマチ。ひたすら<資源を蓄積>するを念頭の片隅に置きつつ、域内循環を目指した都市。 半世紀とは言わない。2020ー1975=45年。その前に決着、数値で明確化。そういうことでは、なかったか。 行政担当者の談話。「少子化対策を推進、経済活性化、教育などの人材育成、産業の基盤整備、暮らしやすい環境、子育て支援」。 以来、5年弱。このことが契機となって、立ち上げられた施策、展開過程、成果の芽、育てている成果の可視化・・・・・・。 その前に、「搬出フローの経済」のこれまで。「ストックの域内循環経済」のこれからに、 市民目標は転じているのであろうか。
2023年07月27日
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洋の東西を統合する新たな文明の創造 竹村牧男著『鈴木大拙 願行に生きる 上』 サブタイトルに「その生涯と西田幾多郎との交流」とある。 鈴木大拙&西田幾多郎。ともに海外ではすこぶる著名な、本邦を代表する哲学者。 同じく現在の金沢市で生まれ、その生年も1870年と同年。17歳の時、旧制金沢中学校で、出会うのだそうだ。 冒頭、著者の竹村牧夫氏は、「日本文化に与えた禅の影響を海外に紹介」と鈴木を紹介。 続けて二人の業績を、次のように整理。すこぶる興味深い。 「西洋の二元対立的な世界観に対して、東洋の主客分裂以前から出発する世界観」。 「(西洋の)父性的な文化に対する(東洋の)母性的な文化の特質を指摘」。 「(鈴木は)東西を統合する新たな文明の創造を訴えた」=()の注はいずれも筆者。 R2.=nhkラジオ第二放送で毎月第二日曜日午前に放送。本書はそのテキスト。 2022年度放送の『唯識』に対比し、理解しやすい内容となっている。そうではないか。
2023年07月19日
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8ミリカメラからの中国 佐藤憲正著『中国ファインダーのぞ記』(1985年 自費出版) 1982年10月末から同11月初旬にかけ旅した中国。 「香港」「広州」「成都」「重慶」「武漢」「宣昌」「西陵峡」「丘陽と洞庭湖」「広州と仙山と」と紹介される。 「あと書きに代えて」では「行く先々の見聞や感想が中心」としつつも、「その土地の歴史や人物の略伝、それに自分の思い出などもからませ」と、続ける。 出版舎に務めて定年退職後、橋本義夫氏が主宰する「ふだん記」とする結社の「文友」として参加した。 「下手でもよい書こう」がモットーで、その呼びかけが「どれほど気楽に筆をもたせてくれたことか」。そう、受け止めていた。 「橋本義夫 ふだん記」と入力するに、「自分史の先駆的な試みである「ふだん記(ぎ)運動」の理論的指導者」とヒットする。 著者について幼児から、聴かされてきた。「憲正は中支に派遣された、南支に行った人はマラリアで苦しんだ」。著者の葉は、筆者にとっては祖母の弁であった。 本書を通じて応召暦をみるに、次の三点がある。「昭和17年8月 応召 兵役に服す」 「昭和19年3月 中国(無錫)に渡る」「昭和20年8月 中国江蘇州にて終戦」「昭和21年1月 福音」。 著者にはもう一冊、『自分史』の出版があったことになる。 ともかく「千島に派遣されることになっていたが、なぜか中止命令が出て、乗船しなかった」。 後世に知る。昭和19年3月16日16時。中部千島得撫島にむけ釧路港を出航した日連丸ほか三隻は、港外で待機中の米軍潜水艦に襲われた。 日連丸は釧路郡大字昆布森村沖で沈没する。「厚岸沖89キロの洋上」とされ、生存者は43名。 遭難者の遺体は厚岸・正行寺、筑紫恋(つくしこい)や大黒島(だいこくじま)、昆布森村(こんぶもりむら)の海岸のほか、はるか東北地方沿岸にも漂着。 派遣先変更がなければ、この4隻中に乗船していた可能性はきわめて高い。事件は承知していたが、そのことを著者に伝えた記憶はない。
2023年06月22日
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先人の経験や知識+名著で読書の楽しさ&メリット 生方正の<読書理由や読書術>230315 「読書はいいことづくし。読めば読むだけメリットがあります」と語る生活コスト削減コンサルタント。 本を読む理由や読書術を語る中で、次の三点を示している。 1)本を読むことが先人の経験や知識を効率よく学ぶことができる手段 2)成功者から学ぶことのが一番の近道。 3)名著から読み、読書の楽しさ&メリットを実感して、本を読むハードルを下げる そこのところを詳述してみる。「先人の経験や知識を効率よく学ぶ」では、 4)直接的に利のある情報を得ることができる 5)本を読むことで正しい言葉の使い方や表現方法を吸収 6)知らない言葉に出会った時は、その言葉を理解することで、語彙力を高める、 7)豊富な語彙力や知識は、人間関係の構築にも役立つ。 いかがであろう。ほぼ2851字の文から、主要な要旨を308字に要約してみた。 生活コスト削減コンサルタントの生方正氏が「本を読む理由や読書術について」を語る記事を読ませてもらった。 題して「“積ん読”はお金のムダ! 資産2億円のお金のプロが実践する『“積ん読”』なくす」読書術」。 そうしたタイトルが付されている。 https://news.yahoo.co.jp/articles/2dca4fe6100bdf685b5babadxxx-xxx-xxxxxbdaa8 もちろん、全文を読んでみることが<おすすめ>。ちなみに斎藤 次郎著『なぜ、本を読むのか―体験的読書論』(岩波ブックレット 1994年2月1日=掲載写真)もあるが。
2023年04月07日
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着物は使いつくされて土に戻り、着物は世界を巡りながら地上と地中を循環(53p)。 陶磁器もまた、世界を巡りながら人から人へ受け渡され、故郷である土に戻る。 もまた、すべての木の成分で出来ていますから、土に戻ります。 プラスチックでは、こうはいきません。 「便利」という名の地上の都合でばかり考え、地中で起きることには無関心。 (田中優子著『グローバリゼーションの中の江戸』(岩波書店 2012年)
2023年03月16日
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「多様性や共生体感」230227 地域は成熟できるや230303. 2023年03月01日。市内を中心に配布される紙面のトップは、次の見出しで飾られた。 「多様性や共生体感」「都市部企業モニターツアー」「阿寒湖温泉」 「アイヌ文化を学ぶ」。 催事では阿寒アイヌコンサルン理事長と、モニターツアーの開発者の談話が掲載されている。 ここでは、その二者の発言に注目しておく。最初は阿寒アイヌコンサルン理事長の講話要旨。 「アイヌ民族文化の価値観、信仰などについて具体例を挙げながらアイヌの世界観を紹介」。 当人の発言で「『世界には多種多様に異なる民族が存在している』。『伝統や文化を正しく理解して尊重し、互いに違いを認めあうことが大切』と共生の重要性を訴えた」。 注目する二人の発言の紹介。次はモニターツアーの開発者の談話。 「アイヌ民族文化が伝承され、前田一歩園財団をはじめとする地域の人々が自然を守るこの地域は、多様性や共生を考えるにはうってつけの地域」、とし。 「次年度以降も市とワ―ケーションの推進に取り組み、パーソナル単独でも企業研修を展開できるようにしていきたい」。 そう括ったと、記事は結んでいる。 この催事の主宰は、市内で委託業に従事する会社。東京から派遣された コンサルタントが企画している。 阿寒湖温泉で首都圏の「人材サービスやIT,建築業など5社から7人」が参加したようだ。 先に企画された「観光立国ショーケース」。そのなかで阿寒湖畔の意味・意義づけに「カムイの休日」とするコピーがあった。 「この企画と補助制度は、『地元発』のものではない」。瞬時にひらめいた。 地元の役人が、「「カムイの休日」と表現するなど、考えられなかった。 それよりさき児童文学者が「自然保護には、必ず<神>を設定する必要がある」。この論にも、地元で注目するヒトは少なかった。 「多様性や共生体感」、「前田一歩園財団をはじめとする地域の人々が自然を守る」の観点は、少しずつは広まってきているかも知れぬ。 が、市民の目線は「企業誘致と外部投資の対象地」に<血まなこ>ではないか。 「多様性や共生体感」、「前田一歩園財団」も、外からの指摘=「風の情報」を待ってはいけない。 「土の情報」= マチ中から発信する、市民の<含み資産>で説き明かしたい。 ここに申す<含み資産>が豊富化、富裕化すると、地域はおのずから<自信>をもてるのではないか。
2023年03月03日
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地域を自身の庭のように 樹木・記念モニュメント・由緒地整備221202 221202発行の市内配布紙『釧路新聞』に「嵯峨久壽像」が紹介されている。 「碑の周囲を整備をしたい」。 「歴史の証人」と題する一面「余塵」のコラム欄に星匠社長が筆を執っている。 なかに「同=釧路発動機船組合 組合の有志が嵯峨さんの功績を讃え、1930年の公会堂(現生涯学習センター前駐車場)に碑を建立したと」とある。 寡聞にして気がつかなかった。現在は南大通一丁目、富士見坂西側にあるも。昭和5年の建立当時は、坂をはさんで東側の幣舞町4番地内に設置したものと書いている。 もっとも紹介の底本は釧路新書第22巻『釧路碑文手帳 』となっているので、当時、担当の執筆者が記載したのかもしれない。 「碑はマチの歴史を伝える大切な記録」と書き、「未来をつくるには歴史を知らなければいけない」とも、書いてくださっている。 でも本文の冒頭には「像を訪ねた際、周囲の雑草が気になった」とする、来訪者の談話を紹介している。 要は「地域を自身の庭のように 樹木・記念モニュメント・由緒地整備221202」ということではないだろうか。 「碑は設置者が整備するべき」、「由緒地はその一族が」「いや、それは公共の仕事」。 7年ほど前、釧路元町青年団という団体が立ち上がった。その創立総会に招かれたので。一言。 「これから、なにをするべきか」「地域を自身の庭と考え、他地域に誇ることのできる価値を整備し、情報発信することを考えましょう」。 「嵯峨久頌徳碑」。この碑もまた、「くしろ元町」のエリア内にあることは、あるが。
2022年12月18日
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未利用資源アメマス 翔洋高生がカマボコ開発221212 翔洋高は北海道厚岸翔洋高等学校のこと。旧北海道厚岸水産学校を前身にする後期中等教育機関。 生徒2名が漁業で混獲するアメマスを「揚げかまぼこ」全4種を考案し、うち3種がアメマスであった、という。 『北海道新聞』夕刊が3面で報じていた。 アメマス。そう言えば、川釣り魚の対象となった時代があった。いまでもそうかもしれない。 それが海で混獲しているわけだ。豊富な海洋性資源に恵まれた北海道では、淡水魚を食資源として依存する文化も習慣も希薄。 山の奥ふかい地点の温泉ホテルでも、「お造り」には決まって、マグロが供される。 「混獲」。それも知見ながら、生活のなかで食生活の対象となっていなかった、アメマス。 それを「揚げカマボコ」で動物性たんぱく質の補完素材に活用するとは。話題になっておかしくない。むしろ、遅すぎたのかも。 「タマネギ」「紅しょうが」など、「甘みを広がり食欲のアクセント」にある素材を加えて、「<味そ>による味付けも」。 ほかに未利用資源の「ムロランギンボ Pholidapus dybowskii 北海道で刺し網などでとれる 魚種」にも「紅しょうが」を入れた試作品も作った。 担当した二人は海洋資源化生産コースの平井秀太(3年)、箭内廉三(2年)の男子生徒二人。 試作品は北海道水産クラブ研究発表会で優秀賞をうけた。 試作者の談。 「味が良くても食感が悪かったり、逆に塩分が薄い、甘みがないなど試作がたいへんだった」などと、紹介されている。 『他移動新聞』(夕刊 3面)で報じられた、22年12月12日号。 ちなみにアメマス(雨鱒、学名:Salvelinus leucomaenis leucomaenis)。 本種はサケ科サケ亜科イワナ属の魚。 ユーラシア大陸東端、日本での自然分布は日本海側(山形県以北)太平洋側(千葉県以北)。 イワナを亜種で分類するならば、基亜種となる。
2022年12月14日
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なにかと<誤謬 ごびょう>の多い第八識を転じて、本質を瞬時に、しかも真正に了知する智慧を獲得。 そこを「転識得智 てんしきとくち」と定義するらしい。 「能変する作用をもつ第八識に依存する状況からの脱却が求められる」と。 転識得智 誤びょうを質的に改造して、自己と世界の本質を瞬時に、しかも真正に了知する智慧を獲得。 そう説明している。 漱石著『草枕』冒頭の後段は、「とかく人の世は住みにくい」で、受け止められる。 「怨憎会苦 おんぞうえく」とは申すも、要は「<嫌な奴には良く会う>の苦しみ」。 そこで「住みにくさが高じる」と「安い所(家賃の高低ではなく)=住み易い所へと引き越したくなる」。 が、さりとて「どこへ行っても住みにくい」。 そのように否応なく、気づかされることになる、と。 第六識=意識の世界で、「住みにくい」とか「住み易いところがあるはず」と感じ、 第七識=自己中心の世界で、「そこへ転居してみようや」と行動し、 第八識=やっぱり、いずこも同じと判読するか。 『草枕』は「いずこも同じ」と気が付いたところで、三点の方向に転換するのでは。 1)詩が生まれる、2)画が出来る。 注目するべきや3)「やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人」がいる現実(126p)。
2022年12月11日
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「智に働けば・・・・」。 前五識と第六意識 多川俊映著「唯識 心の深層」。 夏目漱石作『草枕』の冒頭部分であることはよく知られている。 多川俊映著『唯識 心の深層をさぐる」には、この部分がしばしば、引用されているのだ。 98ページには「住みにくい」まで引き、以下のように述べる。 「(人間の)知は理屈(あるいは屁理屈)となっていよいよ角がたち、同時に好悪の感情は制御不能となって落ち着くところを知らない」かく承けて「そうした無様仕儀もまた、他ならぬ私たちの第六意識の働きです」と、結ぶ。 人間は世の人間模様を、目で確かめ、耳でウワサと聞き、さまざまな情報に接する、 目、耳、鼻、舌、触感で得た情報=前五識はたちまち脳裏に達して「智に働けば角が立つ」「情に棹させば流される」「維持を通せば窮屈だ」。 とどのツマリが「とかくに人の世は住みにくい」。と、以上のようになる、のだと。 次ペーjでは「人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない」以下が、紹介される。 この部分については、「『ただの人』同士の社会に、人間の知・情・意つまりそれぞれの第6意識が硬軟さまざまに関与している。 そのように受け止めている世界があるのだ。 本章のむすびに、100ページに記載の次の点。 「第六識は自己そのものといえるが、(だからといって)自己のすべてではないというのが、唯識仏教の人間観です」とする。 では、その「自己のすべてではない」の先には、なにがあるのか。 著者は申す。「前五識と第六意識は表面心」「第七末那識と第八阿頼耶識は深層心」(86p)としたあとに述べる。 「第八阿頼耶識こそ『本識(根本の識体)で、第八識こそ自己そのもの」ということなのだ。 そのうえで、ここの部分の極めつけ。それは「第八識は心の深層領域で、意識下の自覚の及ばぬ世界です」(100p)。
2022年12月07日
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3月3日桃の節句。口に入りそうな<備え物>と言えば<白酒>に<菱餅>。 菱餅は「菱餅とはひな祭りに食べる餅のこと」「(由来 菱形)心臓・心を模し、女子の健やかな成長・厄除け、長寿、子孫繁栄を願う」 「由来 意味)母子草 ははこぐさ を入れ、母子が健やかであるようにとする願い込める」。 最後に「(色、重ねる順番)よもぎ餅の緑+菱の実が入った白に<山梔子 さんしし が入った桃色(赤)>を最後=明治期になって加えた。 多川俊映著『唯識 心の伸葬をさぐる」を読んでいると、しばしば次の二句が引用されている。 菱餅の上の一枚そりかへり 川本臥風 枇杷むけば種堂々と現れる 永六輔 著者は繰り返して申している。 「第六識は、いわば<枇杷 びわ>の皮の部分であったり」 「三段重ねの<反り返る最上段の餅>こそ<意味やことばに相当>する、<第六識の上の一枚>のようなものであった。 ここに述べられている「第六識」は「自己であり、わが心であり自分自身」。 さらに「第七識は自己愛であり、自己中心性」 最後の「第八識は過去の情報を記録し、人間一人ひとりの日常のすべてを発出 はっしゅつ=ある物事が現れでること・ある事象が起こること」と説明している。 ほかにも短歌、詩の引用がある。 そもそもたどってゆくと、本書に先行し『俳句で学ぶ唯識 超入門: わが心の構造』という著書が2021年に発行されていた。 出版社は、つぎの紹介文を本書に寄せているようだ。 「菱餅」「枇杷」 多川俊映著『俳句で学ぶ唯識 超入門: わが心の構造』210527 「仏教の深層心理、唯識の世界の扉を開く、目からウロコの超入門」。 「わたしの『心』とは何か」。 「そして『世界』とは。難解な心の哲学、仏教唯識の考えを」、 「俳句や短歌など日本の詩歌を通して、分かりやすく明快に、生きてあることの共感をも込めて解き明かす」。
2022年11月18日
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法隆寺・法相宗・唯識 社寺・仏閣、造形の背後にある意味221103 この夏、東京・浅草の浅草寺を訪れた。本堂にすすみ<二拍二礼>の拝礼をしている方が多くて、驚いた。 神社・仏閣と申すと、メディアは優美にして秀麗な堂宇・建造物を紹介する。 元は天台宗寺院、今や聖観音宗の本山で<二拍二礼>の礼に、不思議なモノを感じる。 庶民は堂宇・建造物が体現する思想・哲学にも、堂宇・建造物が示す形のもたらす意味については、疎いようだ。 最近、「唯識 ゆいしき」の意味するところを「すべてを心の要素に還元し」と教えてもらった。その次の句を記憶出来ずに居た。 しかし、ようやく「心の問題として捉える」(多川俊英著『唯識 心の深層をさぐる』(NHK宗教の時間 日本放送出版協会 2022年)と記憶できるようになった。 本邦では唯識→法相宗→法隆寺→元興寺→興福寺の系譜をたどる、ようだ。 高校時代、「南都六宗」の順番を「律・華厳・法相・誠実・三論・倶舎」と今に記憶していた。 ネットで読む限り、その順番はマチマチで表出する。多川著書で判明する点は、まず2点。 法相宗=唯識、三論=「空」思想。倶舎=部派仏教の一にして「説一切有部」。 「三論=空」は当該書の27ページ、「倶舎=部派仏教の一にして『説一切有部』」は43pに述べる。 因みに。南都六宗の現在の系譜。 律→戒律の研究と実践→唐招提寺。 法相宗→唯識→興福寺 倶舎宗→部派仏教の一にして「説一切有部」→宗派として現存せず東大寺は華厳宗、興福寺は法相宗。 三論宗→世界の姿に実体は存在しない「空」→大安寺・元興寺 成実宗→『成実論」を探求→大安寺・元興寺で三論宗に付随する現状。 華厳宗→華厳経に絶対的に帰依する→東大寺。
2022年10月27日
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「這間」は「しゃかん」と読んで・・・・ 高群逸枝『母系制の研究』序説2220920 田舎に置いてあった高群逸枝著『母系制の研究 上』。講談社文庫を持参して広げ、読み進むうちに。 「這間」のキーワード。調べてみると「しゃかん」と読んで「この間」の意味。 「この間」は、「このかんに」の意味なのかも。「このあいだ」の意味には捉えにくいが。 「女性史は女性の文化の発達を研究」「女性自身の立場による見方をももつもの」とする(12p)。 そのうえで二つのテーゼを総合する考え方として、 「(女性史は)女性の立場による歴史研究の学問」とむすぶ。 他方で「女性史に対し文化史の設定は」と問い、立ち上げようとする女性史の学問的座標軸を明示しようと論ずる。 「文化史は綜合的な学問」「女性史は特殊的の方面を有している」と住み分ける。 「文化史の誕生は、女性史に対して種々の示唆をもたらす」としながらも、「文化史の一部としての女性史ないし女性文化史を考察」とする論には、一線を画している。 『母系制社会の研究』に注目する背景はなにか。 西洋の産業革命から時日を経過。男性が<良かれ>と中軸を占めてきた社会に課題が。 1)格差と分断の拡大と深化、 2)自然の復元力や自浄作用の臨界値を超える地球規模の負荷。 3)次世代に臆面することなく増やした、債務拡大と後世代負担。
2022年09月20日
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生活基盤確保はどうなって? 食糧基地北海道の役割と現実220716 22年7月16日、道内で配布される『北海道新聞』(夕刊 一面)に「輸入依存の限界」とするコラムがあった。 沢田信孝記者の「今日の話題」欄への投稿で、説得力がある。抄出してみよう。 「エネルギー資源や食料を輸入に大きく頼る日本」。その通りと考える。 「この経済構造のもろさは、長年にわたって指摘されてきたにもかかわらず、一向に改善されていない」と、展開する。 そして「天然ガス、石油、石炭、穀物などの価格高騰」と当面する深刻な現状を紹介。その要因を。 1)ウクライナにロシアが侵攻、 2)輸入コストを押し上げる円安、 3)新型コロナ感染症、地球温暖化など「輸入環境を激変させる世界規模のリスク」。 ここまでメモしたところで、ふと思いついた。本邦の 「食料自給率、長期推移、グラフ」と検索。 農林水産省の統計をもとに北海道庁が作成したと目されるグラフをヒットした。そこのデータを読み取って、作ってみたのが添付の図版。 記事と、「食料自給率長期推移 国内&本道」の図版はまったく別個なものだ。 再度、沢田信孝記者筆「輸入依存の限界 今日の話題」欄の記載を追ってみよう。 4)各分野の自給率をあげる、 5)日本の食料基地+風力など再生エネルギーの発電立地、 6)北海道の役割がカギを握る。 最後に「道内状況をウオッチするとともに、自給率向上の動きにも注目したい。 グラフによれば、国内の自給率は1965年=昭和40年当時でカロリーベースで73%。 1980年=53%で2000年には40%になった。この間に円高がすすんだ。 円高の効果で、7)石炭から石油への転換に薄謝がかかり、 8)木材は輸入外材に転じて林業が壊滅、 9)輸入食料が増加し、特に海外乳製品・牛肉は昭和60年を画期に「国際化対応要請期」を迎えたのだ。 試される北海道への期待と現実 「今日の話題 輸入依存の限界」220716 食料基地や自然再生エネルギー供給地に、首都圏並の人口密度の高さを期待されても、無理というモノ。 往時、石炭と木材を運送するために敷設した鉄道。最近はヒトがのらないから駅、路線を廃止といわれても。 見えてくる図式は、「(北海道が)本州経済の補完地」たるの側面。「補完地」といいえば聞こえはソフトだが、「内国植民地」の意味ではないのか。いかがであろうか。
2022年07月16日
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「象徴性」の解像、『万葉集』秀歌詠み上げる奈良の時代・社会 阿部猛著『万葉びとの生活』 その2 文献史学者が『万葉集』に 注目した。そこには「我が国の文学史上に屹立=きつりつ する民族の歌集」(397p)とするから。そのもつ意味を「飛鳥・奈良時代の社会の様相を探ろうとするとき、欠くベからざる文献」と評価する(同)。 阿部猛著『万葉びとの生活』(東京堂書店 1995年)の「あとがき」に記載。「(『万葉集』は)重要歴史的資料」にして、「歌という形で示された人びとの意思や感情を、私どもは貴重な財産として読み取る」が、「必要」と提起する。 戦後の歴史学の世界で、文献史学者には『万葉集』に「特別な感覚を持っているかもしれない」。そう書き出している。 実際の記載は、「(著者は昭和2年生まれ)私どもの世代は・・・」と書き始めておられる。 そうなのだが、若き日に講義を承った身には、「私どもの世代= 戦後の歴史学の世界で学んだ文献史学者」と読めるのだ。 その著者が永年、「特別な感覚」を寄せたとする『万葉集』の一首。それは。 「今日よりは 顧みなくて 大君の 醜の御楯と 出で立つわれは」 火長今奉部与曾布 (きょうよりは かえりみなくて おおきみの しこのみたてと いでたつわれは)=かちょういままつりべのよそふ 『万葉集・4373』)。 著書には詠歌の示す飛鳥・奈良の時代と社会が示す貴族・官人、そして防人など無名の民。 その生きた時代と社会を反映する象徴性を、解像・可視化する試みと読める。 通常、以下に解釈されるようだ。 「今日からは家をも身をも顧みすることなく、大君の強い御楯となって、私は出立するのである」。 背景に「防人の歌、大友家持に兵役の心構えを聞かれて詠んだ」と注釈が一般的。「この歌の思想は、長くわが国の軍国主義精神、愛国心として国により推奨された」とする、詠歌の機能も示される。https://ameblo.jp/sakuramitih32/entry-12572130212.html そこに、昭和戦前期世代に<思い入れさせた>点が込められていよう。 1989年には父親の阿部萬蔵との共編による『枕詞辞典』(高階書店)を出版する。 父君の生涯学習講座に精勤した成果の一でもある。
2022年06月21日
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<地域で物語り創出>の顕在化、光をあてたい 塩博文編『旅する阿寒~松浦武四郎も歩いた阿寒の古道探訪~』 クスリ凸凹旅行舎2018年。観光ガイドボランティアの自営業を立ち上げた編者が、10年来、蓄積してきた阿寒湖畔を軸にした「阿寒クラシックトレイル」を提唱し、「新しい旅を創ります」と提案している。本書は「阿寒クラシックトレイル」を構造的に示そうと、様々な仕掛けとその展開ステージを紹介している。3つのセクション「里の道」「川の道」「山湖の道」を設け、そこに松浦武四郎と前田正名の思想と哲学を組み合わせて立体化している。時間・空間・人間を活き活きさせようとすえう試み。その構想と運用の経験が、この本には表明されている。そういうことで拙稿「前田正名論 徳島県民の阿寒郡移住」(講演筆耕)も掲載されている。「豊かな自然」。そう言われて久しい北海道。しかし、その自然を愉しむ、楽しみ方は未成熟。その領域に編者は、果敢に取り組もうと試みている。<地域で物語り創出>の顕在化、光をあてたい 塩博文編『旅する阿寒』 クスリ凸凹旅行舎の一冊。価格900円+税額 釧路市内書店に在庫。
2022年04月14日
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「北の端から島の魅力と読書の文化を広げる」 北海道利尻島からの提案220403『北海道新聞』(朝刊) 淡濱(あわはま)社。 「たくさん読む人も、一冊を大事にする人も楽しみ方はそれぞれ」「島の魅力と読書の文化を広げる」。<結び>に示される、30歳代・女性のコメント。 北海道の北部に位置する、利尻島に探勝した出版社。それが「淡濱(あわはま)社」という会社。 これまでに『利尻の色』、『北の浮き、彩初める』など計4冊。東京都や長崎県から注文がある、と。 「利尻は青にあふれている」。 会社員時代に<独り旅>で訪問した北海の島=利尻・礼文。のちに「利尻町地域おこし協力隊」に採用された。 図書館司書の資格を活かし、小中学校の図書室で本の整理をする。また、「島のお助け司書」を名乗り、SNSサイトで「お薦めの本を紹介」とも。 「利尻町で淡濱社を立ち上げた濱田実里さん」。 記事は「利尻で本の魅力発信」のタイトルで、「地域から 179の窓-留萌・宗谷面 3月11日朝刊の記事-」と、取り上げられている。(『北海道新聞』朝刊3面)。
2022年04月11日
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「北の端から島の魅力と読書の文化を広げる」 北海道利尻島からの提案220403『北海道新聞』(朝刊) 淡濱(あわはま)社。 「たくさん読む人も、一冊を大事にする人も楽しみ方はそれぞれ」「島の魅力と読書の文化を広げる」。<結び>に示される、30歳代・女性のコメント。 北海道の北部に位置する、利尻島に探勝した出版社。それが「淡濱(あわはま)社」という会社。 これまでに『利尻の色』、『北の浮き、彩初める』など計4冊。東京都や長崎県から注文がある、と。 「利尻は青にあふれている」。 会社員時代に<独り旅>で訪問した北海の島=利尻・礼文。のちに「利尻町地域おこし協力隊」に採用された。 図書館司書の資格を活かし、小中学校の図書室で本の整理をする。また、「島のお助け司書」を名乗り、SNSサイトで「お薦めの本を紹介」とも。 「利尻町で淡濱社を立ち上げた濱田実里さん」。 記事は「利尻で本の魅力発信」のタイトルで、「地域から 179の窓-留萌・宗谷面 3月11日朝刊の記事-」と、取り上げられている。(『北海道新聞』朝刊3面)。
2022年04月11日
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地域再生の10条 吉本哲郎著『地元学をはじめよう』(岩波書店 2008年)。1)地域は<地域が水でつながっている>を見落としていた。2)<ヒトが自然に近づきすぎ>て、自然の復元能力(自浄力)を超える負荷を環境にかけ続けた。3)公共投資で水俣の自然は復旧したが、市民の間に生じた不信・不安・対立や差別は解消しなかった。4)水俣市長が「もやいなおし」を宣言、市民間の差別と対立を修復する取り組みが全市に広がった。5)<不信・不安・対立や差別は解消しなかった>理由は「調べる力、考える力、創る力が衰えている」点にあった。6)「ものづくりや地域づくりはイメージする力」による。7)地域にあるモノをつなぐ、つないで意味を造る、意味をまとめて付加価値を創出する。8)「地域まるごと博物館」や「地域資源マップ」の取り組みを通じ、地域再生の取り組みが全市に広まった。9)「課題解決では間に合わない、付加価値を創る」をめざす。10)「対立のエネルギーがあれば、付加価値を創るエネルギーに変える」。「人は絶望とウラミだけでは生きられない」、「人様は変えられないから、自分がかわる」という主張もある。「我がコト」「自身のコト」。地域再生にかける熱意はどの地域も高い。確かな成果を残すためのポイントか。(吉本 哲郎著『地元学をはじめよう』 岩波ジュニア新書 2008年)。
2022年04月04日
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「荒凡夫で」が「存在者として生きる」に 96歳の生き方『金子兜太 私が俳句だ』。平凡社出版、「自叙伝シリーズの一冊」。俳人・金子兜太の談話・語録。「荒」は、「自由に」との意味らしい。「凡夫」は「凡人」と訳するようで。「トラック島での戦時体験、日本銀行での冷や飯、俳壇の保守がえり」。金子が、よく口にした「金子兜太をささえてきた」三ヶ条と。 黒田自身が感動したという、「デモ流れるデモ犠牲者を階に寝かせ」。「(樺美智子より一年年下の)学生だった私は、非常な感動をうけていた」と、若き日の金子との出会いを回想する。「河より掛け声さすらいの終わるその日」。原稿用紙になにげなく書き付けた9句。子息が、「今、書き上げました」と編集者に。俳人でエッセイストの黒田杏子は、本句を「辞世の句」と解している。金子自身に最後の句を残す意図はなかった、と見る。しかし9句中、8句目に記載の本句に着目。金子兜太 かねことうた 『金子兜太 私が俳句だ』 平凡社 2018年8月(平凡社紹介)「人生の先輩が切実な言葉で伝える語り下ろし自伝シリーズ創刊」。 https://www.heibonsha.co.jp › book(帯)「もっと生きもの感覚を磨くことだ」「平凡に生きればいい」。(カバー見返し)「人は言葉をたよりに生きている」「言葉は人を励ましてくれる」「心にのこる言葉は、人に手渡すこともできる」。
2021年12月18日
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昔、一文銭の目方3.75gは重さの基準でした。 「一文銭の目方」という意味で「文目(もんめ)」と呼ばれ「匁」と書くようになりました。 今でも5円玉は3.75g=1匁です。 手間取り職人、なかでも比較的収入のよいとされる大工の生活。栗原柳庵筆『文政年間漫録』記載事項。 まず、収入の子細 「大工の手間賃は飯米料とも一日銀五匁四分」 1年354日として、これより「正月・節句などの物日や、風雨の激しい日には休むとしてそれが六十日ほど」、 「残り二百九十四日の収入は銀一貫百六十七匁六分となる」。 (銭に換算すれば、約百六十七貫文、月平均約十四貫文になる)。 支出の概要。 「夫婦と子供一人の飯米が三石五斗四升、この代銀が三百五十四匁」「店賃百二十匁(これで四畳半二間ぐらいの店賃である)」 「塩・味噌・醤油・薪炭代七百匁」「道具・家具代百二十匁」「交際費に百二十匁」「合計一貫五百十四文となり残りは七十三匁六分」。 そこで、収支の差。 「もし子供が二人あるか、ほかに厄介がいれば、もうこれでは足りない」。 「大工職のような者でも、手間取り職人の場合には、ほとんど余裕のないその日暮らしの生活で」 「少しましな生活をするには、請負い仕事のできる棟梁にならなければならなかった」 (西山松之助・竹内誠編『江戸三百年ー2 江戸っ子の生態ー』 講談社 1975年 105-06p) 「余裕のないその日暮らし」=江戸、下層民の生活 池上彰彦著「下層町人の生活」を読む210920。<
2021年09月18日
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「小さな声を聴く」 「どんな生き物も声を出している。それぞれが体の中にちっちゃい声を抱えていて、ひたすら命をつくり続けている」。 2020年5月、記者は広島市在住の詩人アーサー・ビナードさんと平和公園を歩いた。このときビナードさんが言葉が忘れられない、と。。 「原爆の絵」 広島市民が体験を基に描いた「原爆の絵」には動物たちも出てくる。 男性と馬が橋で息絶えている一枚。作者によれば男性は愛馬の苦痛を和らげようと一切のバグを外した後、倒れたという。(210804 「小さな声を聴く」 『ほか軌道新聞』夕刊1面「今日の話題」欄)。 「どんな生き物も声を出している」 広島で「小さな声を聴く」210803 『北海道新聞』夕刊 広島市原爆資料館のデータベースで、紹介の絵画を見ることができる。 15歳の少年が描いた、一枚。同館の解説によると、 「橋のたもとで倒れていた馬とその首を枕にして横になり亡くなっていた馬車引きの人」が絵の内容。 「平成14年度収集」ということで、紹介は著作権使用申請をしないと不可能。 そこで、「今日の一点」は題材の舞台に焦点。 「横川橋」。 天満川が旧大田川に合流する地点に架橋された橋。広島市西区に所在と。橋は旧「出雲石見街道」に架る。
2021年08月03日
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江戸に定住、根生の町人 「江戸っ子」とは210714. 西山松之助氏の定義。 「18世紀後半に、江戸を自分の生活拠点として定住してきた根生(ねおい)の町人」、と。 1)木場の材木商、2)霊岸島や新川あたりの酒問屋や諸商問屋、3)幕府米蔵の蔵前にいた札差。 4)その他、江戸に何代も住み着いた江戸の住人としての江戸町人たち。 2)の「諸商問屋」には、日本橋の魚岸、京橋の大根問屋、竹河岸の大商人。 他方で、近江・伊勢・京都・大坂などの出店として軒を並べて大商店となった「他国者の江戸店」に対注し、時にはそれに優越する社会的地位や経済力をもつ存在(p8)。 そこで、江戸町人の五条件を列挙している。 5)将軍の江戸城下に生まれ水道の水で育った、 6)金に執着しない、 7)乳母日傘(おんばひがさ)で育った高級な人間、 8)生粋の江戸生えぬきだという根生の土着意識、 9)「イキ」と「ハリ」のきっぷの良さ、抵抗精神に燃えている、 5)~9)の条件が宝暦、天明期に「鮮明な人間像をもって登場」した(9p). 西山松之助+竹内誠編『江戸三〇〇年 江戸っ子の生活』 講談社現代新書 1980年。
2021年07月13日
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升味準之介著「利益政治による自民党支配」で、「五五年体制」体制が成立した背景は、 1)農業団体の支持政党が産業上の変化のもと、利益誘導型政治で安定政治を勝ち取る。 2)官庁を媒介とした利権配分などにより地盤を培養。 3)イデオロギー対立の背後で着々とすすんだ利益政治の成長が顕在化するなかで、「五五年体制」は達成された。 「一九五五年の(政治)体制」、またの名称を「五五年体制」としたのは、升味準之介とする。『思想』 1964年6月号に掲載「一九五五年の政治体制」から「流布した」、升味による「造語」である、と。 然らば、「五五年体制」とはなんであったか。 4)講和条約、占領政策、太平洋戦争など事件と人間の所産が現在を構成するも、それらを呑み込む「巨大な政治ダム」たるの器。 5)保守党による安定的な一大支配体制。 6)鳩山・岸のイデオロギーを軸とする政治の影で、すでに始まっていた高度成長、経済的安定の反映 1955―68年において産業化、都市化したにもかかわらず、社会党支持率は減少するも、自民党にハッキリした増減なしの意味。それは利益誘導で、地盤培養。 (大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』 東京大学出版会 1999年)所収。 思想政治下で育った経済的安定=55年体制の考察 大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』991209。
2021年06月13日
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「盛田・本田・松下は、今の日本にでないのか」 『ジャパン As No1』の著者150831。 朝比奈一郎という元官僚の紹介文。都内で開催の講演抄ということで。 ー中央と地方の関係ー(21p) 「(江戸時代)各藩は学校の整備に力をいれていました」「おかげで地方の教育水準は非常に高かった」 「(幕府は)地方の発達を歓迎する余裕」「(明や清の政府にとって)地方の発達は脅威であった」 (江戸幕府はそもそも東国の戦国大名を掌握した地域政権、西国の大名には領有地の統治委任の性格~ (そこを参勤交代と正室在府の「人質政策」で、掌握ではないのか) ー近代化への過程ー 「(中国)一九世紀に近代化のチャンスを逃したという点も中国の特徴の一つ」 「(日本は)西洋列強の文化を取り入れて近代化に成功」。 (日本はなぜ、列強の植民地にならずに済んだか、戦国時代末期は豊富な金銀資源と戦国大名の軍事力が背景とされるも) (幕末、英仏とは薄氷を踏むおもいの「剣が峰」も経験) ー戦後、高成長から低成長へー(22p) 「(日本)一九五〇~六〇年代、保護主義的な政策で成功したのも基礎となる技術があったから」 「(日本)「失われた二〇年」を経験」「どちらかというと健康な状態はキープした」 ー「これから30年、日本は もっと強くなる」- 「(日本)あらゆる国といい関係を続ける可能性を持っている数少ない国」 (本報告は2015年8月の掲載。安倍政権の発足は特に近隣外交で「手詰まり感」にある。そうではないか)。 「(日本)医療制度の充実、犯罪の少なさ、教育の優秀さ」」 (今、新型コロナウイルス感染症。中国首脳を国賓で招き、オリンピック開催の直前の「初期主導」で根本的な間違いがあったのではないか)。 (「日本技術の劣化」「中間層の縮小と<ふくみ資産>の枯渇」は、さまざまな欠陥を露呈するにいたっていないか)。 ー現代、日本社会の問題点ー 「(日本)一九五〇~六〇年代、さまざまなことを学びました」「でも、最近はそれほど勉強していない」 「盛田(ソニー)、本田(ホンダ)、松下(パナソニック)のような日本人はもういないのでしょうか」 (三人は「日本にはファイトをもったビジネスマンが大勢いました」の該当者ということで)。 エズラ・ヴォーゲル談・朝比奈一郎解説「これから30年、日本は もっと強くなる」(『PRESIDENTO』 2015年8月31日)
2021年05月08日
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結婚難、資本主義農村を解体。赤松啓介著『夜這いの民俗学』(明石書店 1994,2) ムラで二、三男は簡単に結婚ができなかった。 「しかし、結婚となると家とかムラとの関係が大きくなり、それほど簡単ではない」((10p). そもそも結婚のハードルが高いワケは、 「結婚は労働力の問題とかかわり」 「夜這いは宗教や信仰にたよりながら過酷な農作業を続けながらならぬムラの構造的機能」。 「そういうものがなければ共同体としてのヌラが存立していけなくなるような機能」。 子供ができたとしても 「だれのタネのものかわからなくても、生まれた子供はいつの間にかムラのどこかで」 「(生んだ娘の家やタネ主かどうかわからぬ男のところで)育てられていた」(32p)。 衰退していった要因 「農村が次第に資本主義の攻勢に押されて衰亡したためである」。 「ムラが封建的時代の制約から脱し、村落共同体としての結合をゆるめるようになってきた」。 わかりやすくいうと、 「ムラの娘も女工だけでなく、女店員、女給、その他の近代的な職業につくようになった」。 「都市との接触も深くなってくると、ムラの男を嫌うようになった」(112p)。 本の帯にはある本書の推薦者。「激賞 丸谷才一 網野善彦 上野千鶴子」。 著者はハミガキ、石鹸、女の化粧品などの行商を重ねながら訪問宅で、採話をつづけ本書をまとめた。
2021年04月09日
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「本を読むということは、経営者にとってきわめて重要なことだと思いますよ」。 「もっと言えば、スポーツ新聞や週刊誌しか読まない人間を経営者にしてはいけない」。 「経営はきわめて論理的なものだから、感性だけで出来るものではありません」。 「自分のなかに拠り所となる太い幹を作ろうと思うなら、たえず考えながら本を読まなければならない」(『文藝春秋』2007年4月号)。 丹羽宇一郎:1939年生まれ。伊藤忠商事会長。 「経営者は会社、社員のみならず、家族を護る」、と。 「身はサラリーマンであっても、みな『人生の経営者』だから、本を読む」。 「『人生の経営者』だから、本を読む」 丹羽宇一郎「(座談会)経営者よ、朝四時に目を覚ませ」2007年4月。
2021年03月05日
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歴史の目的 渓内謙著『現代史を学ぶ』19950621。 1)「人はなぜ過去を知りたいと考えるのか。 2)歴史は「記憶」の一部か、それともそれ以上の精神の働きなのか。 3)歴史は時代とともに「書き換えられる」と言われるが、その意味はどこにあるのか。(p15) 2)について、 時代が提起する『問題の解明』と「現在の問題の解明」。 「過去の事実の記憶」にあるのではなく、「現在の問題の解決」(22p)。 3)について 実証主義の方法は、「事実の確認」とそれに基づく「法則の組み立て」の二つの要因で校正される。 収集にあるのではなく、「未知」へと転化した主題を証拠と推論によって解明する。(36p) 1991年、旧ソ連が崩壊。 1920~30年代のソ連農村の研究を続けていた著者たちは、少なからぬ混乱に遭遇する。 そのなかから、歴史学研究の意味と、研究を分担する意義を考え直す。 若き日に、 『歴史とはなにか』の著者E・H・カー宅に泊めてもらったこともあるという著者。 それが、歴史哲学の深淵にふれる妙味を展開、 はじめに 第一章 過去、現在、そして未来。第二章 テーマ、第三章 史料 第四章 文章化 おわりに。 すこぶるシンプルなテーマ設定。机上に紙・筆。メモをとりつつ読む一書。 (出版案内の紹介) 既成の価値体系が大きくゆらぎ,未来への不透明感がつのる現代. いまこそ,時論の安易な追随におちいることなく,変動の深層にある歴史的文脈を見すえる知的営みが必要なのではないか. ロシア現代史研究の第一人者が現代史を学ぶことの意義と方法を,長年の経験をふりかえりながら説き明かす.情熱みなぎる歴史学入門.
2021年02月03日
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物語性、ぬくもり、色合いの自然 「千の風工房」さん陶芸作品2020NOVEMSER Goo BLOGにページを開設する「千の風工房」さんから、『陶遊』2020 NOVEMBER No181を送っていただきました。拝見して驚きました。 陶芸財団展第21~23回入賞・入選作品から「編集部が独自の視点」で選んだ作品群に、見開き2ページで紹介されています。 右上から 「友垣」、右下に「あたしの彼」、そして左ページの「お父ちゃん」の三作品です。 1.「物語性こめた複合体」 作者は申されています。 は「遊びを終えて、友達同士で肩を組んで帰る子の姿」と述べています。教員経験があるようで、その教え子たちを<ほうふつ=彷彿>とさせるものがあります。 ここからは紹介者の独断ですよ。は女性目線で、いかにも誇らしげに語る女児の<たたずまい>を思わせます。にこそ、親子の親密、父子の愛情が満ち溢れています。つまり<ハートの通いあい>を物語る。そうではないでしょうか。 2.「ぬくもりヒタヒタの造形美」 決して<スマートさ>が表現されていません。しかし、どこか憎めない。そうした気風が表現されてています。そうは、おもいませんか。 どの作品に接しても、共通する点は<ふくよかなボリューム><温かみのある自然曲線><素朴・純朴といえる表情>。 作品群に貫かれ、<ぬくもり>を存分に感じさせてくれる入賞作品です。 3.「色合いの自然」 は「素焼のまま水彩絵具で彩色」と作者は述壊されています。他の二点は焼成の結果とあるわけで。でも、そこに。ありません。しかし出来上がりとしては真に自然な色合い。作品に絹糸を染め、織り重ねる豪華さ、あでやかさはありません。他方で庶民の<木綿のぬくもり>を思わせてくれる素朴さと自然の色合いが示されています。焼きあがり。焼成前と焼成後。作者のトキメキ、ドキドキ感を想像するに、見るヒトをして<作者の笑顔>と同感させてくれる作品の紹介。そうした思いと、感慨にひたらせてもらったのですが。いかがでしょうか。 プロフィールにあります。 「2009年 新潟市展奨励賞以後出品」「2012年 陶芸財団展以後出品・会員」、と。 作者は、2021年5月21~23日に新潟市内で予定の展示会に出品予定、と。 かさねて「来年は陶展もできたら」と意欲を燃やされています。楽しみです。『陶遊』No181 「巻頭特集 人形勢揃い~遊び心と魂が宿る~」掲載。
2021年01月28日
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「情報」とはなにか、「ネットワーク社会」はどんなシステムか。その定義に始まる。 「(日本の産業は)導入技術によって発展し、その絶えざる部分改良累積と勤勉な生産システムの結合によって競争力を高めてきた」(30p) 「(註 USAの、ということか)上層部の能力のある人が仕事を標準化し大規模なソフトウェアを作って、それで動かされる工場は単純労働で済むようにする必要があった」(31p)。 日米のモノ作りシステムの差違。 日本には、「教育水準が高く器用さを持つ幅広い中間層」があり、「製造方法の改善を行うとともに、製品の質を高めた」とする。他方でアメリカは「中間層は存在せず、その幅は薄く」と、知識技術基盤の相違を論ずる。前提に「(中間層の下にUSAは)分厚い教育程度の低い労働者層」と「上層部には(略)厚いきわめて有能な技術者・経営者・学者層が存在する」(同頁)、なるほど。新自由主義、発現の思想基盤が芽生えると言うことか。「有能な技術者・経営者・学者層」が、「我々は努力した」「優遇されて当然」。元はと申すと、移住者集団で生まれたアメリカに、確実にすすんだ階層格差。不足の労働力を調達するため黒人奴隷をもって、充当した。欧州大陸で産業革命、市民革命を経験する時期の前後に。紹介者は、本邦の「「教育水準が高く器用さを持つ」を<含み資産>と位置づけてきた。主として第一次産業から生み出された、勤勉な集団。その供給源がスッカリ縮小したのみんらず、中間層から上昇もしくは脱落の分化がすすむことになった。念頭に浮かぶは、本邦のモノつくりシステム。京都型かアメリカ型か。答えは<情報ネットワーク社会に利用されるのではく、情報ネット社会を活用する>にある。出版後、36年。あらためて読み直してみての、感慨。それは<情報ネットワーク社会に利用される=格差肯定を結果>の思い。<情報ネットワーク社会に利用される=格差肯定を結果> 今井賢一著「情報ネットワーク社会」。
2020年12月26日
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山脈と河川の要地、シルクロードの一角 佐藤武敏著『長安』講談社学術文庫。 長安。本邦で平城京のモデルとなったことで知られる。「唐の都=長安、いまは西安市に相当」と。多くのヒトが知る。 前漢 秦に続く統一王朝。 前202年、秦に代わって樹立。後8年に滅亡。同25年劉秀が復興=「後漢」となる。長安を造営(前190年に完成)。漢(前漢) (y-history.net) 随 北朝・南朝の統一政権。581年、北朝・北周から出た文帝、589年に南朝の陳を滅ぼし、中国を統一。618年に唐の建国。隋 (y-history.net) 唐 五代十国の争乱に至る。875年に黄巣の乱が起こり、907年に滅ぼされた。唐)(y-history.net) 長安について「形状、人口、行政、防備、経済、文化等の角度」から、浮き彫りにする。 現在の陳西省西安市の西北に位置した「前漢・隋期の長安」。西安市に位置する「唐の長安」ではその位置が、約10キロメートルの距離。 地域に設ける権力の拠点。 そこを記載するとき、必要とする要件を示してくれている。(講談社学術文庫2004年)。
2020年11月22日
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「アイヌには文字がない」ことと考える研究者がいるも、これはたいへんな思い違いで「思い上がり」とする著者。 「叙事詩は文字を使わないからこそできる芸術です」(152p)。 大きな転機があった。 1963年3月、東京・池袋の百貨店で開催された「アイヌ文化展」を見学し、列品されていた「うず高く積まれていたノートの前で動けなくなってしまいました」。そう、回想する。 「(大学ノートにギッシリ書かかれた)それらの叙事詩がそっくり(註 金成)マツさんの頭の中に収まっているからだと考えたからです」(153-54p)。 筆者はその4月から勤務先の高校生に語りかけたと。 「文字をもたない言語の人たちの記憶力のすごさについて、生徒たちに語り聞かせたものでした」(同)。 神謡の伝承者を、 1)「そっくり暗誦しているということではないのです」 2)「母や祖母を師として訓練された『歌い手』」 3)「早いComposition をこなすことができるようになった歌い手」 4)「自在に語ることのできる能力」をもち、 5)「文字に頼る民族には考えられない特殊で優れた口承文芸」 神謡=「特殊で優れた口承文芸」 北道邦彦著「4.まとめと検証」 『アイヌの叙事詩』から(『アイヌの叙事詩』 北海道出版企画センター 北方新書015 2012年)。
2020年09月19日
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朱夏に白秋 四季の形容 「卓上四季」200831。北原白秋の名を聞くも。 青春、朱夏、白秋、玄冬。 「春・夏・秋・冬の季節を人生と年代にあてはめた考え方」と。 「月の最終日を尽日=じんじつ」。 中村草田男は「八月尽の赤い夕日と白い月」と詠んだ、と。 古今和歌集の夏歌の最後。「夏と秋と行きかふ空の通ひ路はかたへ涼しき風や吹くらむ」とあるらしい。 「ゆく夏に 名残る暑さは夕焼けを 吸って燃え立つ葉鶏頭」は、 松任谷由実さんの「晩夏」に、あるとも。 末尾は、次で修飾される。 「空は水色に、茜は紅に、歌詞の通り、空気は澄み色調がほのかに明るさを増す」 「そんな微妙でやさしい変化は影を潜め、最近の気候は雨も風も荒々しい」、と。 沖縄県に台風が接近。 北九州をかすめる予想針路。台風避難。 家に閉じこもり、難を避けつつ『1日誰とも 話さなくとも 大丈夫』(双葉社 2020年)を読む、か。
2020年08月21日
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貴重な自然守る 「アイヌ民族は自然の恵みを大切にいただき、決して無駄にしない。英雄も階級もなく、争いも少ない。今こそアイヌの精神から多くのことを学ぶべき」アイヌの思想を広める手立て 「アイヌの思想を広めるために、音楽というとっつきやすい手段を選んだ。音楽を通し、大勢にアイヌ文化への理解を広めることができた」。食文化も後世へ(戸田記者の記事) (アイヌ文化を体験する機会)食文化もその一つで、伝統的なアイヌ料理をフルコースで振る舞う。20年ほど前に食文化を後世に伝えるため、長老を訪ね歩いて改めて料理を学び直し、煮込み汁のオハウなど約30種類をレシピにまとめた。 屈斜路湖で採れたエゾウグイの刺し身は「あまりのおいしさに誰も目を見張る」。自然への思い入れ 「13分間に一つの種が絶滅している。一人ひとりが自らの感性で問題の本質を見極め、自然との共生、生命の循環を実践するアイヌの文化をもっと学んでもらいたい。違う価値観を認め合い、学び合うことでよりよい社会が実現できる。釧根から未来への光を発し、ここから世界を変えていきたい」。 (『釧路新聞』 「釧根未来への挑戦 第3部 アイヌ文化編」 200815一面 戸田英吾記者) (「自然と共生、環境保全学んで アイヌ詞曲舞踊団モシリ主宰・豊岡征則さん(74)」)
2020年08月10日
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•「仏像の技と心」を副題とする。•「芸術というのは価値がある」 「交換価値が発生するということ」 「欲しい人が多ければ高くなり、少なければ値がつかない」 「芸術ほど経済原則で動くものもない」(142p)。•「弥勒菩薩の謎」で 「文化財修復のあり方」を問い、「阿吽の呼吸、運慶・快慶」でプロジェクトリーダーの希有な才能を説く(115p)。•nhkE知るを楽しむ この人この世界のテキスト。日本人のモノつくりの技法と美の遺伝子を説明する一冊。
2020年08月08日
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参勤交代、仮住まい居住者の増加 『江戸切絵図』=用途の背景。 江戸切絵図の出版に二つの版元あり、と。「尾張屋版」に「近江屋版」。 そもそも江戸切絵図の出版は宝暦5年=1755年に古文字屋次郎兵衛と美濃屋平七が出版権を得て、公刊していた、と。 ここで紹介、尾張屋、近江屋の版は、弘化2=1846年に願い出て、いると。 近松鴻二著「都市江戸と地図」は書く。 「すべての藩で支出総額の五十%以上を江戸での支出が占めている」 「参勤交代の制度は大名が江戸と国許を往復するだけでなく、江戸の人口集中と大消費地化をもたらしたことがわかっている」(151p)。 (江戸図が多数作成・刊行されたのは) 「江戸が活況のある政治都市、大消費都市であり」「全国から人と物資と情報が集まる都市であったからであろう」。 大名同士の交際。 大名自身が独り歩きするわけではない。しかし、用を言いつけられた家臣が、そもそも、江戸での初勤務。 江戸の人口 慶長14年=15万人、1634年=20万前後、1657年=28万5千余。この間に参勤交代の制度が始まる。 18世紀。享保にはいると江戸の人口は100万を超えた。もう、全国300余藩の大名家、その上中下の屋敷を記憶するは困難。 使いを出すにも、図面が不可欠。そうではなかった、か。17世紀中葉。宝暦にはじまる江戸図出版。
2020年07月27日
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精進料理と申すと天龍寺を思い出す。 春は桜、秋は紅葉の季節に訪問すると、庵の入り口に「今日の予約は満席です」の掲示。 やはり禅寺と申すと「精進料理」。その極意を示すの一章。 1)「美物」と称される魚鳥料理からみて粗末な精進料理を、独特の料理感覚で野菜料理の妙を創造(37p) 2)「野菜料理に手の込んだ旨さ」=茹で物は新しい料理で、出し汁で十分に味付けされのされた汁で煮込まれる(37p)。 3)(中世の京都の寺院)「精進料理は寺院の内部で僧侶たちの生活をいちじるしく向上させたはず」(38p) すなわち、「限られた材料で贅をこらした料理が料理が試みられた」、と。精進が僧の修行の一翼にして、「モノを含めて生命力を最大限に引き出す」、「有効に活かす」の側面。 39ページに『庭訓往来』の引用が出てくる。引用の箇所は「仏寺の正餐である<斎=とき>に供された<汁>をあげる。 実はこの本に、北海道産の昆布が日本海側の湊に運び込まれる記載があったはず。 著者は「中国風料理の一つである豆腐が和風化されて人気があった様子」と、紹介。そのポイントに豆腐汁を記載している。 汁の旨味。 それが京都で話題になったころ、実は、蝦夷地産昆布が京に普及し、支持された時代と重なりあうように、おもえる。 味のみならず<妙>と」いうべきや。(『京料理 千二百年 和の味の追及』 日本放送出版協会 2004年4月)。
2020年07月26日
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読書の意味として強調している点 1)知識と思考の深さにかかわる 知識情報の塊を整理し、著者の思想を理解 2)知識と思考の広さにかかわる 3)主体性、成長にかかわる 一定の努力と時間がかかる行為
2020年06月17日
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佃島と大坂・摂津漁民。 東京は日本初の酪農地帯。 バスと鉄道、定時輸送で劣るはバス路線=152ページ。 「大都市の中心」から「都心」、「東京都の中心」も「都心」=230ページ。 浅井建爾著『東京の地理と地名がわかる事典』(日本実業出版社 2018年4月)。
2020年06月16日
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「書き込まれるべきなんらかの事情ないし根拠」 応地利明著『絵地図の世界像』。 出版元の紹介文、その結びは「人びとの世界認識の変遷を探る」とも。 絵地図ならびに地図と呼びうるものには、共通性があるとする。 「芸術的な香りをさえただよう中世の荘園図」の芸術性。 「象徴性を極度に強調した曼荼羅」の象徴性。 「また科学性にみちた現在の日本地図」の科学性。 高橋正氏の指摘する「地図におけるメディアとしての基本的表現」とする。 そしてその三点は、「たがいに他を排除するものではない」と。 (高橋正著「カルトロジーの方法論に関する覚書き」 水津一朗先生退官記念事業会編『人文地理学の視圏』 大明堂 1986年)。
2020年04月24日
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緊急の二案件、朝幕でも二派分断 大獄から門外の変200413。 こう記載して、 「直弼の読み違い」と言うことになるや。吉田常吉著『井伊直弼』(吉川弘文館 人物叢書)。 将軍継嗣&条約調印。どちらも急を要した「幕府事情」。しかも将軍家定、薨去。そもそも「血筋で描く南紀派」対「資質・英明を優先(という理屈の)水戸派」。 どちらも幕閣強化、難局対処の中核を人選する局面。 将軍継嗣&条約調印。どちらも勅裁を要した当時のシステム。天皇直近にも分断、分派の動き。そこに手を突っ込んだ形の、水戸派の動き。 勅諭が水戸家に出される異常事態。事態をいっそう複雑に。 朝廷は大老の上洛をうながすも、直弼は江戸にとどまり幕閣の秩序確立を優先。 代役で派遣された老中の論は、朝廷を心服させるまでには至らなかった。 直弼は、若き日に国学を学ぶ。 尊皇を中心にしながらも、ここは幕権確立を優先させなければいけなかった立場。 情報収集と公卿周辺を結んだ長野義家の判断にも<思い違い>が生じていたらしい(374p)。 将軍に一橋慶喜を推した幕府重職&幕吏の厳重処罰。つまり「安政の大獄」(356p)。 すぐにそのアゲインストは生じた「桜田門外の変」(386p)。
2020年04月07日
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