少女はどこに行ったのだろう
中二の頃
家中の酒と云う名の付く壜の中身を
流しに捨てた少女
泣きながら
これがあるから母が狂うと思い込み
頬をぶたれた少女
親の気持も知らないでと罵られ
あんたのために離婚しないで我慢しているのにと
「警官の父殺害 京都の少女」
計画性と残忍性のゆえ刑事処分相当と鑑別所入りの記事
動機は
「父の浮気が許せなかった」
新聞に数行の記事でしかない
母は狂ったまま言ったのだと思うことにした
あんたが男の子だったらと言った
あんたが男の子だったら
お父さんを殺してくれるのにと
数十年後の父の葬儀の場で
あんたのために子供を堕胎させられた
兄弟を複雑にしたくないと言われた
あんたに私の苦しみが分かるかと
女は大人になった少女に罵った
斧をふるった少女は残忍だったのか
自分の父親を殺した少女は人の道に悖るのか
自分の血に半分も流れるものを呪いながら
心の中で斧をふるったあの少女はどこにも行けないで
ここにいる