サヨコの土壇場日記

しんと……

しんと……

あの日めずらしく雪が降った

喪の裾を邪魔するように

母は灰色の空を

それでも一条の煙を追って見つめ

私の小さい手をぎゅうっと握った

人が死ぬということはこういうことだと

初めて体験した六歳の雪

もうじき

記憶もかすかになった妹の

命日が来る




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