サヨコの土壇場日記

夜桜にゆれる

夜桜 ゆれる


幹の黒さが夕べに溶けて

浮かび上がる繚乱の桜



腕にだかれてたゆたう先に

闇にうかぶのは花びらか

それとも形とならないこころなのか



そっとすくって手をかざす

春の宵のちいさないたずらは

すぐに笑みとなってかえってきた



たった数日で散りゆく花の

あでやかさに気おされて

ゆらりと揺れる影ふたつ



来年も再来年もそのまた次の年も

おだやかな花暦であることを

このうえもなく願いながら




© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: