サヨコの土壇場日記

ちりぬるを



夕方からは雨

夜更けて雪が散る

花も 雪も 人も

散るものに尋常でないこころが騒ぐ




散るという動

たとえば

闇の中に浮かぶ灯りの

そこにだけ落ちていく白いもの

まるで一帖の名画が織られていくようで

あきずに眺めてしまうのだ




先もなく 後もなく

始まりもなく 終わりもない




目覚めて

屋根の上の白い皮膜に

夕べの酔狂が夢でなかったことを

確かめては繰り返す生




ちりぬるを ちりぬるを

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