外国男に貢ぐ女

大昔、イギリスの友人を訪ねた時の事、一人の日本人の女の子と知り合った。
何処だったかは忘れたが東北出身で、外見は決してお洒落とは言えない素朴な田舎の子という感じ。
この彼女は確か短大英文科を出たばかりの21歳で、見事な英語を話していた。
高校生時代からアルバイトで貯めたお金で、憧れのイギリスまで3ヶ月間の放浪の旅に訪れたらしい。
私と知り合った時には、既にイギリス滞在2ヶ月を経過しており、日本帰国前に他のヨーロッパ諸国も回ってみたいとの事。

私が、イギリスの後パリの従兄弟達や友人達を訪ねる予定だと彼女に告げると、彼女も同行したいと言う。
我々は列車でドーバー海峡を渡る事にし、二人用一等クシェットの切符を購入した。
夕方駅で待ち合わせ、二人で列車に乗り込んだ。
長時間の列車の旅なので、彼女とも色々話が弾んでいたのだが、しばらくすると一人の外国人男性が我々のクシェットを訪ねて来た。
女性のクシェットにいきなりの男性登場と、私は少々面食らったのだが、ナンと!彼女の知り合いだと言う。
この男が彼女に対し
「ビュッフェに食事に行こう!」
そして更に
「僕はお金がないからね、君払ってね!」
と言ったのである。
見るからに30歳代後半の不細工な男、身なりも決してよくはなく、私から見ると胡散臭そうな奴だった。

ビュッフェから戻った彼女に
「お食事代、貴女が払ったの?」と訊くと、そうだと言う。
40手間の一人前の男が、学生を終えたばかりの日本の小娘にたかっているような気がし、お節介にも彼との関係を尋ねた。
彼女の話では、この男はイギリス滞在中に知り合ったオーストラリア人で、ナンと!同じホテルに2週間一緒に滞在、そのホテル代も食事代も彼女が払ったと言うではないか!
もう、ここまでくると余りに呆れて、言葉を失ってしまった。

フランスに到着し、そのままお別れしようと思ったのだが、初めてのフランスで不安と彼女が言う。
しかし、あんな胡散臭そうな男とご一緒するのは御免被りたいと断ると
「彼とは此処で別れます!」と断言。
列車内の説教も効果があったようだ。
しかし~!
彼女がその旨を彼に伝えると、ナンと馬鹿男
「此処で別れてもいいけど、お金がないから少し用立ててよ」
とヌケヌケと答えた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」
≪オ!オ!オ!お前~ェ~~~!≫
と口に出そうになるや否や、彼女は持っていた鞄の外ポケットを開け
100万円 のはだかの札束を出したのである。

≪ヒエ~~~ッ~~~!!!≫
銀行の封印ついたままの札束にも驚いたが、外ポケットの中には、更にバラの1万円札がた~くさん入っていたのである。

彼女は、その中から10枚ほどを馬鹿男に渡し、彼はアッサリ別れを告げた。
人込み多い駅構内、札束見せびらかす日本の田舎女の子、オーストラリアの馬鹿男は去って行ったが、また別の胡散臭そうな男達が、彼女自身ではなく札束にくぎ付けになっていたのは言うまでもない。


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