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Oct 19, 2006
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カテゴリ: 病院でのできごと
今日はよもやま話的に徒然と。

先々週のお話ですが、ネコの噛み傷やひっかき傷からの化膿の手術で
再発を繰り返している子がいました。
通常、ネコの化膿の手術は
細菌に汚染された部分をきれいに取り去ってから徹底的に洗浄して、
新鮮な組織だけにしてから縫合してあとは抗生剤を数日間飲ませて終わり。
という流れになります。
が、
最初の手術の時に行った細菌培養ですでに薬剤耐性菌が検出されていたので

で、私が担当する事になって再手術を行いました。
再発を繰り返すネコの化膿でよくあるのが婁管(ろうかん)形成といって、
化膿の大本の原因になるキズやゴミが身体の奥深くに「注入」された状態で、
そこから体表に向かって管を形成して延々とばい菌を排出する状態です。
なので当然、それを疑って念入りに調べましたが、それらしい管はありませんでした。
で、残るのは先にお話した「薬剤耐性菌」の存在。
通常、手術後は3日ほどで退院してあとは抜糸まで自宅で内服を飲んでもらいますが、
この時は抜糸までお預かりして、病院で徹底的に洗浄を繰り返して、ようやく完治しました。
抗菌は、どんなクスリよりも洗浄が一番なんですね。

そこで問題なのが、この子の「薬剤耐性菌」が初診時すでに存在していたという事実。
薬剤耐性菌の存在は主に病院内での怖い感染症の原因菌として知られていましたが、

最近では院内感染の代名詞的存在だった薬剤耐性菌が一般の家庭でも見つかるそうです。
科学的に証明されたわけじゃないけれど、
これはどうやら巷に溢れかえっている抗菌グッズや消毒グッズの影響が大きいようです。
以前にもいきすぎたクリーン志向に対して少しお話しましたが、
やはり「過ぎたるは・・」という事なのでしょうか。

半端な抗菌行動で強い菌だけを選別して培養していく結果になっているようですね。

この薬剤耐性菌、とても怖い細菌だというイメージがありますが、
O-157のように特に毒性が強いわけではありません。
性状としてはいたって普通の一般細菌と変わりはありません。
単に「抗生剤にたいする耐性」が強くしぶとい細菌というだけなのですが、
肺炎や気管支炎、化膿など細菌感染を起こした時にたまたま、原因菌に薬剤の耐性があると、
現代医学ではなんでもない、簡単に治る病気が
抗生剤が利かないというだけでペニシリンを発見する以前と同じレベルの治療しかできなくなるのです。
しかもペニシリン発見以降、どんどん身体の免疫能力は薬剤依存性に退行してきていますから、
免疫力を高めて自然治癒を促すという治療法もいまひとつ成果が出てこない事があります。

これからの感染医療は、
かかってから治療するよりも「いかに予防するか」がさらに重要になるでしょう。
洗う事がなにより、どんな抗生剤よりも抗菌効果が高いと思っています。
安易に抗菌グッズに頼るのではなく、きちんと「手を洗う」「うがいをする」などを励行して
家庭に薬剤耐性菌が発生しないように気をつけなければいけませんね。

ちなみにこのネコちゃん。
今回の私の治療費はいただきませんでした。
さすがに単なる化膿の治療で、再発を繰り返すのは治療の失敗に他ならないし、
病院として恥ずかしい事ですから。






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Last updated  Oct 19, 2006 09:49:51 AM
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Re:病院日誌8日目(10/19)  
ゆきもなか  さん
多剤耐性結核などもやっかいですよね。蔓延したらって思うと怖くなります。
抗生物質、すっごくありがたいものだけど頼り過ぎない暮らしを心がけねばいけませんよね。うんうん。
(Oct 20, 2006 02:09:21 AM)

Re[1]:病院日誌8日目(10/19)  
Yasichi  さん
ゆきもなかさん
-----
訪問ありがとうございます。
お返事がだいぶ遅くなりました^^;

結核に限らず、現在の感染医療では複数種類の抗生剤を同時投与する事がゴールデンスタンダードになりつつあります。
まだまだ、獣医療に限らず人医療の現場でもあまり馴染みがないのか、はたまた特殊な治療法だという認識なのか
感染が疑われる状況でも抗生剤の単独投与で平気な顔をしておられるお医者さんが多いようですが。。 (Nov 20, 2006 03:01:37 PM)

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