ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Aug 24, 2019
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カテゴリ: 映画、テレビ
「懐かしい痛みだわずっと前に忘れていた」(評価 ★★★★★ 満点五つ星)

 ペドロ・アルモドバル監督の最新作を鑑賞。先のカンヌ映画祭で話題になりまくってた作品。アントニオ・バンデラス主演、ペネロペ・クルズ助演。
 日本での公開は未定っぽい。邦題が存在するのかも不明だけど、直訳どおり「痛みと栄光」?
 IMDbのサイトは https://www.imdb.com/title/tt8291806/

 初老の映画監督が自分の半生を振り返り、かつての痛みと栄光に向き合うお話。

<感想>
 気に入った。過去の出来事を述懐してゆく、いわゆる走馬灯系映画。かといって「ニューシネマパラダイス」っぽい回顧系美談とも違う。淡々と描かれており、しかし微妙に驚きも仕掛けられている。少年時代(おそらく1960年代)の場面も興味深く観られた。

 とにかく主演俳優バンデラスさんの演技が素晴らしい。過去のわだかまりを解こうを必死になってるわけではないのに、なんだか応援したくなる中年おやじを静かにお演じになっている。本編の台詞にもあったように、泣いたり笑ったり怒ったり、あれこれ感情表現に溢れた演技と言うのは実は容易であり、むしろその一歩手前の「こらえた」演技ができる役者こそが名優なわけで。

 整理してみると、主人公サルバドルの人生において良くも悪くも「確執」のあった人は以下の四人。

母親

かつて自分が監督した映画に主演した俳優アルベルト
若い頃につき合っていた恋人マルセロ

 彼らが現在と過去を行き来しながら順不同で登場するのでちょっとわかりづらいし、かといって各ネタを特にいちいちふくらませることはないので不完全燃焼。なんだかすっきりしないなーとも感じた。
 けれども、よく考えてみると人生ってのはそうゆうものであり、白黒はっきりすっきり爽やかということはまずない。中途半端に別れてしまったり疎遠になったりする人間関係がほとんどだったりもする。ぼく自身、過去の中途半端な人間関係とかについての反省の念もこめて、この映画を勝手に高く評価させていただきたい。





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最終更新日  Aug 25, 2019 08:36:55 PM
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