「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ぴかろんの日常
リレー企画 134
La mia casa_15☆ 妄想省家政婦mayoさん
僕に寄り添い僕の胸でいつもより無防備に上を向いた彼女の寝顔...
ほんのちょっと開いた唇から静かな寝息が聞こえてくる...
いつもあっちこっちかけずり回って...奮闘して...
僕や彼らの幸せのために奥深い想いも必死に閉じこめて...
小さな躰全部に抱え込んでる...楽に生きることも出来るのに..
『キジベ#...パボ#....トルティガ#...』(こいつ#....馬鹿#...ボケちん#...)
僕は彼女の寝顔に無言で悪態ついた...
『テソン...』
・・・?
『....ミアナダ...コマウォ....』
僕の鼓動を聴きながら眠る彼女の小さな寝言が聞こえた...
彼女はいつも風にのって羽を広げ飛び回る..
飛び回るのに疲れると..羽を癒やしに僕に降りてくる..
手を広げた僕に真っ直ぐに降りてくる....
僕は羽を閉じた彼女を包み..癒やす...僕にしか出来ないことだから...
僕は彼女をいつでも待てる...僕はどんな彼女も受け止める...
...サランハニカ....(愛してるから)
彼女の髪に唇を静かに落とし..彼女の肩を両腕でふわりと包み込んだ...
僕を感じて小さく微笑んだ寝顔を見ながら僕も眠りに入った...
彼の穏やかな寝顔を覗いた...
いつも私だけを見つめ....いつも待っていてくれる...
奥深く燻る消せない危なっかしい想いを抱えていても...暖かく包んでくれる..
彼の優しい寝顔に胸が熱くなる...頬をそっと両手で包み..彼に呟いた...
『....ミアナダ.....コマウォ.....サラハンダ...』
彼の寝顔に雫を落とさないように...奥歯を噛んだ...
そして..彼の腕をするりとぬけた...
☆.。.:*・°.。.:*・°☆
ぁ....
甘い疼きを感じ...思わず目を開けた..
窓の外には薄灰の雲が広がり夜明けを迎えようとしている.....
胸がひゅん..っと寒かった...胸に抱いた筈の彼女がいない...
僕の腕が彼女を捜し始めたとき...
ぁ....ぁぁ...ぅっ...
喉奥から無意識に絞り出された僕の呻きを聞いた...
シーツに隠れた彼女を見る間もなく..僕の腰が弾け..僕の背が仰け反った....
っ...ぁぅ.....ま......
ベットの上を這う僕の手のひらを小さな手のひらが捕まえた...
絡めた指に力が入る...また僕の背が仰け反る...
僕は自身の呻きを止められないほどに痺れ..震えた....
中心から全身に回る甘ったるい痺れと目眩でどうにかなりそうだった...
彼女は僕の腿にそっと触れ...脇腹に唇を落とし...シーツの中から現れた...
絡めた手が離れ..僕の仰け反った背中がベットに深く沈んだ...
彼女は僕の肌に唇を落としながらゆっくりと胸に戻って来る....
そしてお気に入りの僕の喉仏を舌でくすぐり始めた....
肩で息をしている僕を見て彼女は悪戯にくすっ..と笑う...
僕は彼女の髪をかきあげ頬を両手を包んだ..
彼女の奇襲がちょっと悔しくて..頬を両側から軽くぎゅっ#っと挟んだ...
8の字になった彼女の唇を上から..下から唇で挟み込み舌を絡めた...
長いkissの後...額を合わせ.頭と背を抱いて彼女を下に敷いた...
僕はゆっくりと唇で...指先で.....僕の五感で彼女のすべてを感じ取った...
また絡め合った彼女の手に力がこもった....
彼女の腰が弾け....かすかな叫びと彼女の低い呻きが聞こえる..
僕は小さな波で幾度も彼女を捉え....大きな波を寄せた時..
彼女は堪えきれず震えた...僕にしがみついて震え続けた...
僕が眉を上げ口元でちょっと笑うと彼女は僕の胸に顔を埋めた...
彼女の背を支え頭を抱き..震えがちょっと過ぎ去るのを待った.
僕の背から臀部に彼女の片手が滑らかに降りた...
言葉の代わりのそれで僕に大きな波を促す..
僕は大きな波を寄せ...彼女を奥深く捉え続けた...
僕等は互いに吐息と呻きの中で互いの名を呼ぶ..
心と躰が本当にひとつになって...昇天の時を迎えた....
肩を包み込み身体を回した後僕は彼女を頭からそっと抱いた..
彼女の中の僕が...僕の中の彼女が..いつまでも震えていた...
☆.。.:*・°.。.:*・°☆
僕はくすぐったくて目を開けた....
闇夜の睫がパチパチと瞬きする度に僕の胸をくすぐる...
くすっ#っと笑って頬をそっと撫でると闇夜が顔を上げた...
「ちょっと寝ちゃった....」
「ぷっ..ぅん...」
「もぅ起きるの?」
「ん?..まだいいよ...もちょっとゆっくりしよう...」
「ぅん...」
僕はベットサイドにあるリモコンで♪Bossa Nova For Lover♪をonにした...
横になったまま互いの髪を弄びながら話をした...
「テソン...」
「何?...」
「メール...テソンが嫌なら止める...」
「....止めたらmayoの仕事に支障が出るだろ?」
「....ぅん...少しは...」
「ぷっ...いいよ...続けても...」
「テソン...」
「気にはなるけど...すべてを束縛できない...」
「ごめん....」
「いいよ...」
僕は闇夜の鼻を突っついた...
「mayo...」
「ん?」
「....父さん...何処にいる...」
「テソン...会うの?」
「....決めてない....でも何処にいるかだけ..教えてくれないか...」
「....釜山にいる...」
「えっ#....」
闇夜は僕を真っ直ぐに見て頷いた...
釜山は母さんの故郷だ...
「テソン..急がなくていいよ...ゆっくり考えて決めればいい...」
「ぅん...わかってる...」
「ん#...」
動揺した僕に闇夜が強く頷いた...ちょっと心強くて嬉しかった...
再会2 れいんさん
エジュはしばらく間を置き、意を決したようにまた話し始めた
「ねえ、テジン、聞いてもいいかしら?・・ウンスさんの事・・まだ愛しているの?」
エジュはもみ消した煙草から微かに立ち昇る煙を見つめたままそう言った
「・・あの頃は・・愛していた。僕の存在を消してしまってもいい程に愛していたと思う。
今でも彼女の事は大切に思っている。でも・・うまく説明できないが・・愛の形が変わってしまった
一時は、もしかしたら彼女も僕自身の事を愛し始めてくれたのかと錯覚したが、そうではなかった
彼女にとっては今でも兄貴が全てだ。僕と彼女は兄貴の存在のおかげで結びつき、兄貴の存在に怯えながら暮らしていた
君が言うとおり、狂った愛だったかもしれない。・・結局は僕が逃げ出してしまった・・」
「・・そう・・」
「最低な男だろ?」
「・・最低なのは、私たちを騙して苦しめた事、もっと最低なのは最後まで騙し通してくれなかった事」
「その通りだ。僕はだんだん苦しくなって来たんだ。自分自身をも騙す事が辛くなってしまった」
「でもそれって、私にとってはまんざら悪い事でもないわ」
「え・・?」
「どんなに愛していても他の人の魂が宿った男が相手ではどうする事もできないでしょ?
だから今こうしてテジンがテジンに戻ってくれた事がとても嬉しい」
昔と変わらずエジュは僕にストレートに気持ちをぶつけてくる
僕の事をまだ想ってくれていたのか・・あれから随分経つというのに・・
だが、あの頃とはもう状況が違う
僕の心の中にいるのは・・
僕はその事を告げようと口を開いた
「エジュ・・すまない・・僕は・・」
「待って」
「・・・?」
「せっかく久しぶりに会えたのに、もう私をがっかりさせるつもり?」
「エジュ・・」
「テジン・・誰か好きな人がいるのね・・」
その事はウンスからは聞いていなかったのか・・
「その人のおかげであなたは自分を取り戻したの?」
「ああ・・だから・・」
「その人を愛してるの?」
「ああ」
「一緒に暮らしてるの?」
「ああ」
「結婚するの?」
「・・いや・・」
「なぜ結婚しないの?」
「それは・・僕は結婚という形には拘らない。お互いに愛し合っていればそれでいい」
「なんだかわけありな様ね・・」
「エジュ・・」
エジュは僕の痛いところを突いてくる
彼女には嘘も誤魔化しも通用しない
「私ね貴方を忘れようと無理にもがくのはもうやめたの。
抜け殻の様な貴方を愛しても所詮別人だからと諦めようとしたけど・・
テジンに戻ってくれたのなら、私が貴方を愛する事を止めなくてもいいわよね?」
「エジュ、だから僕の気持ちは」
「テジン、その人より何周遅れでも、私がスタートラインに立つ事くらいは許してくれるでしょ?」
「エジュ・・」
「ねえ・・向こうでずっと貴方を見つめている人・・もしかして私のライバルはあの人なのかしら?」
僕はすぐさまスハの姿を探した
テプンやジュンホ君が楽しそうに接客しているボックス席で、心配気な視線を僕に投げかけているスハ
僕は、大丈夫だよと、軽く頷いた
エジュは僕とスハのそんなやりとりを静かに見ていた
「テジン・・そのうち私にあの彼を紹介してね」
「エジュ・・」
「大丈夫。取って食べたりしないから心配しないで。」
エジュは少し笑って、煙草をバッグにしまい込み代わりに何やら取り出した
「気が向いたら電話して。古い友人と食事するくらいなら彼も許してくれるでしょ?」
エジュは僕に名刺を差し出すとにっこり微笑み、美しい後姿を見せて立ち去っていった
僕は手の中の彼女の名刺を溜息まじりに見つめた
La mia casa_16 妄想省家政婦mayoさん
僕は滅多に拝めないおっきぃ寝顔をじぃぃ~~~っと見てた....
肘を曲げた腕に頭を乗せて僕の方を向いて寝ている...
そんなに大っきくないよなぁって思う時も..あるんだょ...
だって..○○○ョ○さん...同じくらい?..って瞬間..あるもん...
鼻の穴だって実はテソンさんより小っちゃいんだよ?
「俺の顔は...いくら見ても小さくならんぞ...」
ちぇみは目を閉じたまま口端をちょっと上げて笑った...
「何だぁ..起きてたの?」
「ぃゃ...今お前の鼻息で起きた...」
「もぉー...」
僕は顔にかかるちぇみの前髪をちょっと左にかきあげた...
ちぇみは僕の爆発した髪を撫でつける...
「めずらしいな..お前が俺より早く目が覚めるとは...」
「違うよ...ちぇみがぐっすりだっただけだよ...」
「ぷっ...そっか....」
ちょっとじゃれた後..僕たちは朝のシャワーを浴びた...
==しゃわーをあびにいく..てしょんが..いすにねていたアタシをだきあげました...
てしょんのむねにほっぺしゅりしゅり..しみゃした....フヒヒ..(>▽<)
ちゅるちゅるのてしょんのむねはきもちがいいでしゅ...ハヒン...^_^..
てしょんはアタシのかおをのじょきました...
「はるみ...さっきさ??...」
「みゃん^o^...」
「mayoと一緒に...シーツの中に隠れてた??..ん??」
「〃★_★〃....」
アタシはまえあしでめかくしをして..くびをよこにふりました...
「そぉ..じゃぁ..どこにいたのかなぁ...いつもの椅子にいたの?」
「ぅんみゃぁ!!!...」
あにょね...もじょもじょしーつのなかににはいろうとしたみゃん....
しょしたら..まよに..こら#....メッ#って..されたみゃん#...
だかりゃ....いすのせにね..くびのっけてね..みてたにょ....ヒヒヒ...
てしょんはわらってアタシのあたまをなでなでなでしみゃした==byはるみ
~~~~~
ちぇみが perrierライムと僕のvolvicのボトルを冷蔵庫から取り出したとき..ドアが開いた..
タッタッタッタッタ...と僕等の足下に来たはるみちゃんを抱き上げた..
「お嬢は.....これか?...」
「ぅんみゃぁ^o^...」
ちぇみがはるみちゃんのイチゴ牛乳を冷蔵庫から取り出すと...
テソンさんが来てcontrexのボトルを取り出した...
「「...@_@....@_@....」」
「な...何...2人とも...」
「テソンさん...」
「何..テス...」
「顔....ダレてる...」
「ぃ...いつもと変わらないよ...」
「テソン...」
「な..ななな..何...ちぇみ...」
「背中が辛そうだ...背筋を鍛えろ...」
「ぁ...ぉ....ょ..余計なお世話ですぅ...」
「「ぷっ#」」
ちぇみテスが離れ際に僕に悪戯をした...
「ぁぅ.....ひっ...」
テスは..僕の中心を軽く叩いた...
ちぇみは僕の後頭部にいつものぴったん#スリスリ〃をした..
アヒルの口になった僕はちぇみテスの後ろ姿に『い~~~だ#』の顔をした...
そしていそいそと部屋に戻り...^_^...ドライヤーのスイッチを入れた...
~~~~~
午後も男3人は1Fの工房でパンの試作をしている...
リビングでスカウトの報告書を仕上げた...
♪Brave Heart が鳴り..はるみがテーブル上の携帯を覗いた...
「はるみ~~...誰?」
「^+^....」
はるみは前足を口に当てナイショ#..の仕草をした....
「ナイショ#は2人いるよ?はるみ...」
はるみは一旦あっちを向いてからにんまぁ~*^_^*...とゆっくり振り返った...
「ぷっ...新チーフか....」
「みゃ#^o^...」
新チーフの電話はEUとの共同開発を進めているギスの会社の調査依頼だった...
ちょっと考えてから電話をかけた..
「Allo.....Christophe..?」
「Salut,..mayo~...comment ca va?」
電話の相手クリストフはボヘミアンの最終地parisで知り合った..
彼はparisを拠点にフリーのジャーナリストをしている..ジャン・レノ似のオヤジだ...
セーヌにかかるポン・ヌフ橋でボケーっとしていたとき子供のスリに遭遇した..
バックに入れた手をきつく掴むとまだ5つ6つの子供は泣きべそをかいた...
たとい演技であってもお腹をすかしていたのだろう...
¥を与えずにバックに入っていたチョコレートや夜食用のプチパン..ビスケットを手に持たせると...
スリの子供は泣きやんで橋の向こうへ走っていった...
その一部始終を見ていて...カメラに収めていたオヤジがクリストフだ...
無断で写真を撮られた事に腹を立て..仏語と韓語のスラングでまくし立てた...
黒服のちびな東洋人に興味を持ったクリストフはそれからなにかと便宜を図ってくれた...
割のいいバイトを探してくれたり..アトリエにしているアパルトマンに居候させてくれた..
そのおかげで蓄えもでき..韓国に帰ることが出来たのだ...
アトリエには日本人..イタリア人..スペイン人...ロシア人も居候していた....
日語..伊語..西語..露語が理解できるのは彼らと生活していたからだ...
クリストフはすぐに手を回して調べる...資料はメールで送ると約束した...
「「Allez, au revoir..Et bon apres-midi #」」(それじゃ..よい午後をね#)
電話を切った後に動向をちょっと調べてくれないか...と☆★メールを送った....
PCを閉じたときに1Fの工房のインターホンからテソンが呼んだ...
工房に行くと大きなバスケットにみっちりパンが入っていた...
クロワッサン..くりーむぱん..ちょこぱん..ハーブパン..バケット...
「ちぇみ...こんなにたくさん?」
「オーナーひとりじゃないだろ...”オーナー達”だろ?」
「ぷっ...そっか...」
テスが若草×生成色のギンガムチェックのクロスをバスケットに掛けた...
テソンが手製のジャムの瓶を隙間に入れた...
「mayoシ~..持てる?重いよ?」
「ぅん...大丈夫...」
闇夜は大きなバスケットを持って出掛けた後..家に戻って来た...
その後すぐにテスとテソンと3人で店に行った....
ただいま帰りましたっ ぴかろん
BHCの営業開始前、続々とみんなが集まってくる
俺たち三人が控え室にいるのを見て、みんな一瞬息を呑み、それから周りを見渡してほっとした顔になる
最初に来たのはスヒョクとソクだ
二人一緒に「「あっ」」と言って固まった
俺がにっこり笑ってソクをハグしにいくと、スヒョクが怖い顔をして俺をひっぺがした
「やめてくださいよイナさんっ!」
「あはは」
「あははじゃないですよ…」
怖い顔のまんま俺を見つめて、怖い顔のまんま
「よかった…」
と言った
俺は二人の顔を見て土産を渡した
その後ギョンジンとラブが二人に土産を渡して何か話していた
何人かが集団で出勤してきた
チョンマン、シチュン、ジュンホにテプン、それからドンヒとホンピョもいた
「いなっ」
テプンが顔をぐちゃぐちゃにして泣きながら俺をハグした
暑苦しいっ!
「よかったぁぁ!いい顔して帰ってきたじゃんかあぁっぐしっ」
「心配かけたな…みんなごめんな、これ、土産」
「ありがとうっなんだろっ」
俺から土産を受け取り、奥でまたラブ達から土産を受け取り、みんなにこにこしている
テジンとスハもやってきた
それからイヌ先生とウシクも
ウシクは俺を見つめて
「ね?大丈夫だったでしょ?」
と言った
俺は笑顔だけで返事した
テスとテソンとmayoさんが来たので挨拶して、チェミとはるみの土産も一緒に渡した
「お帰りイナ」
「おお…テソンっ…あれ…なんか…顔だれてない?」
「げほっ」
「それに…。お前背筋鍛えたほうがいいんじゃない?」
「なにっ(@_@;)…どうして…」
「いやぁ…なんとなく…」
『勝負師の勘なのかっ…』
テソンは目をぐりぐりさせながら厨房に入っていった
「ところでテス、久しぶりだな。最近お前、何してんの?」
「『オールイン』に時々出てたよ、イナさんがややこしい時にさへへっ。でも…チェミの用事が忙しいからさ。ねっmayoッシ」
「…ん…」
「ん?…チェミの用事って?」
「ま、いいじゃん。ねっmayoッシ」
「…なんだよぉ…」
「…あの…イナシ」
「何?mayoさんが俺に話しかけるなんて珍しい!雪でも降るか?」
「…降らせてもいいけど(^^;;)。あの…はるみの分まで…その…ありがとね」
「いやいや。けどもしかしたらはるみ…怒るかもしれねぇ…」
「へ?」
「ほへへん…」
その後ソヌさんとジホさんとミンギが来た
「イナの兄貴っ」
「ミンギぃ」
「…元気そう…。ラブちゃん苛めたりしてない?」
「してない。すっごく仲良しになったじょ」
「え?」
「こんど泊まりにいくんら」
「は?」
「らぶんちにとまりにいくんら…へへっ」
「…」
「ん?どしたのミンギ」
「僕だって泊まったことないのにっ!ずるいっ!何したのさっ!イナさんラブちゃんに何したのさっ!」
「え…おれはなんにも…。でもらぶがおれにきしゅ…」
「…」
ミンギの顔が真っ青になった
そしてブツブツと呟きだした
「ラブちゃんギョンジンさん…ラブちゃんテジュンさん…テジュンさんイナさん…ギョンジンさんイナさん…そして…ラブちゃんイナさん…ああっ!」
ああ、きしゅ関係ね?と俺はすぐに解ったのでミンギに付け足してやった
「それぷらしゅ、ギョンジンとテジュンも」
「は?」
「あいちゅらもまちゅりのとき、きしゅした」
「げえええええっ!」
ミンギは腰を抜かしてしまった
ソヌさんは冷静にミンギを見下ろし、手を差し出して立たせてやってた
ジホさんはニヤっと笑って
「ドキュメンタリー撮りたいなぁ…君たち四人の…」
なんて言い出した
「だめ」
「だめ?なんでえ?」
「怪しいから」
「なにが?何が怪しいのぉ?」
俺は食い下がるジホさんを振り切って控え室のドアに手をかけた
その時さっとドアが開いてスヒョンが入ってきた
「スヒョン!」
俺は思わず抱きついてしまった
後ろにこれ以上ないくらい膨れているフグがいた
「あ…ドンジュンも…。ただいま…」
「イナ…。おかえり。上手くいったみたいだな?」
「ありがと。ほんとにお世話かけました…」
「よかった、仲良くなれたんだな」
「ん」
「…へええん…仲良くなって…そんなことまで…ほぉぉん…」
「…そんな事って?」
あ…抱きついた拍子に読まれた?
別にいいけど…でも…そんな事って?
「ラブとねぇ。…普通…キスまでしないでしょう?」
「…そう?」
「…ったく、お前はほんとに…」
軽く頭を叩き、スヒョンはくすりと笑って中に進んだ
後から入ってきたドンジュンは暫く俺を睨みつけ、それから急ににっこりして
「よかったね」
と言った
俺はスヒョンとドンジュンの分の土産をヤツに渡した
そして最後にミンチョルとギョンビンが来た
ギョンビンはなんだかんだとミンチョルに指示を出しながら先に歩いて来た
パンがどうのこうの、甘いものはどうのこうのと少し目を吊り上げて強い口調でミンチョルに話している
ミンチョルは俯いてああだのわかっているだの答えている
「よ…夫婦喧嘩か?」
「…イナさん…イナさん!」
「いろいろ迷惑かけたな…ありがと。ごめんな。はい、これ、ギョンビンへのみやげ」
「…ありがとう…。兄さん達は?」
「奥にいるよ」
ギョンビンはチラッとミンチョルの方に顔を向け、ニコッと笑ってギョンジン達のところへ向かった
後からきたミンチョルは、俺の顔を見ると、口角を上げ、左眉をピクリとさせた
俺も同じように口角を上げ、左眉をピクリとさせて、ミンチョルとハグしあった
「ミンチョル…愛してるぞ」
「簡単に『愛してる』なんて言うもんじゃないぞ。お前、昔は絶対そんな事言わなかったのに」
「いいの!いい言葉は一杯言う事にした」
「…ふぅん…。僕はいい言葉の安売りはしないぞ」
「へっ。やな奴」
「愛してるんだろ?僕の事」
「あいしてりゅよ」
「…イナ…よかったな…。輝いてるぞ」
「ふ…」
「僕が行かなくてよかったのか?お前、泣かなかったか?」
「…」
「泣いたんだな?一杯泣いたのか?」
「…」
「一杯泣いたんだな?みんなにムリ言わなかったか?」
「…」
「そうか…。ダダこねたわけか…。それで…子供にならなかったか?」
「…おい…」
「ずっと五歳児だったのかぁそうかぁ…」
「…おい…黙って聞いてりゃ勝手なことを…」
「だって図星だろ?」
「…う…」
「よかった…。お前が元気になってくれて」
「…お前、チーフ交代したって…」
「ん…。かくかくしかじかでな」
「…ふぅぅん…」
「スヒョンだけに負担かけるわけにはいかないから、お前が元気になってくれたし、これからはお前も以前のようにしっかりしてくれよな」
「おれは…いつだってしっかりしてるじょ!」
「…ふふん…」
「なんだよっ!きいっ!」
ぼすっ
俺はミンチョルへの土産を奴に押し付けて、ちょっと外へ出てみた
もうすぐ営業が始まるけど外の空気が吸いたくなった…
みんなが心配してくれてた…
俺の事…ううん…
俺たち四人の事
胸が熱くなって、涙がこみ上げてきた
また泣き虫だのなんだのってきちゅねに言われてしまう…くそっ…
止めようとすると涙は止まらないものなんだなぁ…
俺は暫く壁に凭れてぐしぐしと泣いていた
急に肩を掴まれて抱きしめられた
ふぅっと俺の大好きな香りがした…
やめろよ…もっと涙が溢れてくるよ…
テジュン…
「どうしたの?」
「それはこっちのせりふら…どうしたんら?」
「水の配達」
「…あ…」
「配達に来たら、子猫ちゃんが泣いてるからさぁ…」
「…今日ぐらい休ませてもらえばいいのに…」
「ヨンナムが怒っちゃってさ」
「なんで?」
「にっきーのボクサーパンツはよかったんだけど…ギョンジンのあの…つけたしのアレが…」
「…アレ、渡したの?!」
「なに?お前、欲しかったの?」
「!」
「穿きたかったの?!いやぁんそれならそうと早めに言ってくれなきゃぁ~くふふぅぅん」
「ばかっ!お前までギョンジンみたいなアホウになる…。…。」
はむはむはむ…
もうっ…もう…もぉ…はふんへひん…
てじゅ…
らいしゅきら…
おれは…しゅっごくしあわしぇら…はふ…
フライト オリーさん
シートベルト解除の案内が流れたので、僕は早速アテンダントに合図した
ブランケットが欲しい、と伝えると彼女はすぐ持ってきてくれた
「お休みですか」
「フライトの前半は休みたいんです」
「承知しました。お食事はどうなさいます?」
「その時寝てたら起こしてください」
ミスコリアもどきの彼女はにっこりと微笑んで頷いた
彼女の後姿を確認して、僕はシートに深く身体を沈めブランケットを被って目を閉じた
出発までのあわただしい風景が走馬灯のように脳裏をかすめた
「結構大変な先生みたいじゃないですか」
「誰がそんな事言ったんだ」
「兄さんに聞きました」
「あいつよけいな事を・・」
「どれだけ僕をはめたら済むんです。全部話してください」
「いや、決まったら全部話すつもりだったんだよ」
「みんな門前払いですって?」
「実はそうなんだ。気難しいってわけじゃないんだけどなあ」
「過去の失敗をちゃんと検証したんですか」
「だからお前なんだよ」
「調子いいんだから」
「とりあえずアタリをつけてくれれば、後は俺達がやるから、なっ」
「だったら最初からやればいいでしょ」
「意地悪言うなよ。課長に無理言ってフライトはビジネス用意したから。ビジネスだぞ、ビジネス!なっ」
「僕はさあ、ほんと言うと、英語通じないとこ嫌なんだよね」
「何だか、らしくないですね」
「だってパリでフランス語話せないと、女の子にもてないじゃん」
「今さらそんな事言ってるんですか?」
「へへっ、冗談だよん。でさあ、ロンドンで何して遊ぶ?」
「ほんとに来れるんですか?」
「ユーロスター使えば3時間じゃん」
「じゃあ一緒にロンドン観光しましょう」
「そうね」
「大英博物館とかナショナルギャラリー、やっぱりバッキンガムパレスははずせない?」
「そう教科書みたいなとこばっかじゃなくてさあ、もうちょっと何かないの、ほらっ」
「タワーブリッジにセントポール寺院、買い物はハロッズにボンドストリート」
「いや、そうじゃなくてさあ」
「じゃあSOHO行きましょ」
「それそれ、そうこなくっちゃっ!」
「美味い中華食べれますよ」
「だから違うって!!」
「英語話せてもうまく遊べるかなあ」
「それはさあ、蛇の道は蛇っていうだろ」
「何が蛇の道で、誰が蛇なんです?
どうせスヒョンさんにばれて叱られますよ。隠せないんだから」
「うううん・・」
「それより、スーツに白い靴下はやめた方がいいです」
「バカっ!それは昔のことじゃん!ハリョンと同じ突っ込みするな!」
「もし困った事があったら、こいつに連絡しろ」
「この名刺、誰の?」
「MI6にいる僕の知り合いだ。僕の弟だと言えば力になってくれるだろう」
「ほんとに?」
「奴には昔大きな貸しがある」
「どんな貸し?」
「女の事でちょっとな」
「その筋ね」
「何言ってる、大事なコネだ。この間昇進したらしい。何かの時には役に立つ、持っていけ」
「ありがとう」
「気をつけろよ。今ロンドンはちょっと危ない」
「わかった」
「宿は決まってないのか」
「行ってからどこかBBでも探すよ」
「しけた出張だな」
「下手なホテルよりBBの方が気楽でいいから。ロンドンではホテル使っていいって」
「ドンジュンと会うのか」
「うん。一緒に観光しようって」
「観光ね」
「そう、観光」
「地下鉄は気をつけろよ」
「大丈夫だよ。それより、時計交換しようよ」
「・・・」
「いいじゃない、帰ってくるまで貸してよ」
「擦られるなよ」
「はいはい、スリには気をつけます。早く貸して」
「高価な物だから」
「わかってるって。照れてないで貸して」
「バカ、照れてない」
僕は彼と交換した腕時計をそっと触ってみた
空港まで送ってきたのに中に入らず、車に手をかけ僕に背中だけを見せていた
彼は後姿まで雄弁だ
僕は戻って背後から彼を抱きしめた
「すぐ帰ってくるから、ね?」
「まだいたのか。早く行け」
「そんなに寂しそうな背中見せられたら行けなくなっちゃうじゃない」
「何バカな事言ってる。乗り遅れるぞ」
「だったらこっち向いてキスして」
彼は渋々振り向いた
「気をつけて」
「ん・・」
僕はさっと彼の唇にキスした
「アリスちゃんはちゃんと買って来るから」
「うさぎもだ」
「Yes, sir!」
彼は唇の端をちょっと上げて苦笑いした
最後に見せた彼の照れ笑いを思い出しながら、僕は自分の唇を指でなぞってみた
そして鈍いエンジン音に包まれながら浅い眠りについた
替え歌 「二人の道」 by ミン ロージーさん
どんなに遠く 離れていても
僕の心は 空を駆けてゆく
あなたがいれば あなたがいれば
どんな未来も こわくないから
あなたが病んだ時は 僕は息を止めて
熱い想いをこめ 祈り捧げたい
Too far away 二人の夢は far away
だけどかすかに光 見えれば それでいい
Too far away 二人の道は far away
だから言葉をひとつ くれれば それでいい
果てなく遠いまわり道でも
二人で前を 見つめていたい
この世で一人 この世に一人
あなたがいれば あなたがいれば
闇に迷う時も そばにあなたがいる
僕の星になって 心に煌く
Too far away 二人の道は far away
だけどあなたと生きていければ それでいい
Too far away 二人の道は far away
だから言葉をひとつ くれれば それでいい
Too far away 二人の夢は far away
だけどかすかに光 見えれば それでいい
Too far away 二人の道は far away
だけどあなたと生きていければ それでいい
(伊藤薫『君への道』)
パリへ 足バンさん
思いがけない父との時間は素晴らしいものになったが
おかげで午後の出発にはぎりぎりの慌ただしさだった。
仁川空港までの車の中スヒョンはほとんど何も喋らなかった。
風をうけて小さくなびく黒い髪。
僕は運転してるスヒョンの横顔を見るのが好きだ。
そして決まってスヒョンが「ん?なに?」って聞いてきて
僕も決まって「何でもない…見てただけ」と答える。
でも…今日は何も言ってこない。
「ね、ちょっとは寂しいんでしょ?」
「自分と一緒にしない」
「だって思いきり静かじゃない」
「おまえたちの留守中のこと考えてるの」
「どうやって浮気するか?」
「ばか。店の調整のことだよ」
ふん。まぁいいか。こっちもささやかに手は打ってあるもんね。
「ええと…とりあえず店でのスヒョンさんを観察してればいいわけね」
「アヤシかったらビシッと言ってやってよ」
昨日開店前にスヒョクさんと話をつけた。
「アヤシいって?」
「必要ないのに肩抱いてるとか、イナさんのお土産の帽子被りあってるとか」
「それは違う意味でアブナイじゃない」
「まぁ適当にツッコミ入れておいて」
「閉店後は?」
「はぁ…そこんとこは信じるしかないんだよね…」
「オッケ!とにかくそれとなく見てるから」
「他に頼める人いなくってさ」
「そう?」
「うん、立場的にジジィに近い人はアテになんないし」
「ウシクさんとかは?」
「イヌ先生のことでいっぱいできっと無理」
「スハ先生は?」
「昨日テジンさんとこに女性が来てて…何かそれどころじゃないかと思ってさ」
「テプンさん達じゃややこしいしね」
「でしょでしょ」
「ラブは?」
「適任だけど付属品がうるさくて任務に支障きたすと思うんだ」
「なるほどね。俺も付属品ありだけど」
「あ…ね、どうなってるのその付属品とは」
「うん、まぁね、うふふ」
「ナンだカンだ言って楽しそうじゃない」
「まぁね」
「結局一緒に釣り企画行けなくてごめんね」
「また次回」
「お礼とお詫びにお土産密かに増量するけど」
「ううんホントにソクさんのライターだけでいい。似合いそうなのお願い」
そんな話をしてると向こうからその付属品が嬉しそうに歩いてきて
スヒョクさんは肩をすくめて「じゃね」と笑って逃げて行った。
うふふん。恋してるんだなぁって思ったな。その時。
空港に到着すると出発までほとんど時間がなかった。
ギョンビンはちょっと前に発ってるはずだ。
僕は、ちょっとくらい時間作れ、万がイチ落ちたらもう会えないんだぞ!と騒いで
スヒョンをむりやり空港ロビーまで引きずり込んだ。
3階出発フロアーの巨大な硝子窓には晴れた空が気持ちよく広がっている。
スヒョンは窓際の白い支柱に寄りかかって
喋り続けている僕を、子供をみるような目でみている。
「ね、パリは雨だってよ」
「そう」
「ね、ドゴール初めてなんだけど…心配?」
「ギスのスタッフが来るっていってただろ?」
「12時間も何してようかな」
「仕事しろ、仕事」
「ね、向こうに着いたら電話いれるね」
「勘弁して。こっちは夜中の3時だ」
「ちょっと…何だか冷たくない?」
「おまえさ…かなりの割合で旅行気分じゃない?」
「できる男は仕事も遊びも徹底的にやるの!」
「お気楽なやつ」
「ロンドンも楽しみだなぁ~」
「ギョンビンとハメ外すなよ」
「あいつは真面目だから大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないやつがひとりいるんだよ」
「あ、そうだ!時計交換しよう!交換!ギョンビンがやるって言ってた!」
「今日持ってない」
「…」
「…」
「じゃ行くわ」
ちっとふくれて歩き出そうとした僕の腕を急にスヒョンが掴んだ。
振り向くと何か言いたそうに唇が開いた。
「なにさ」
「…」
「なに」
「もし…」
「もし?」
「もし向こうの人間に会って…仕事を受ける気になっても…返事する前に…
というか一度戻って…僕に話してからにしてほしいん…だけど…」
あんまり意外だったんで僕はまじまじと見てしまった。
このスヒョンからそんな自信のなさそうな言葉が出るとは思わなかったから。
スヒョンは額を擦ってからポケットに手を突っ込んで
照れたように目を伏せた。
「ばかスヒョン…そんなの…あたりまえじゃない」
僕は書類ケースを持ったまま片手でスヒョンの首に巻き付きキスをした。
周囲のギョッとした気配をヨソに思いきり濃いのをした。
そしてバイバイと大きく手を振って走り出した。
スヒョンはそこから動かず
大きな光の窓の中で頭を少し傾けて微笑んでいた。
寄り道 れいんさん
昨夜はだるまになって枕を抱いていたホンピョに色んな話を聞かせてやった
どんな話かって?
本当はじーんとする話を・・と思っていたんだけど・・
あいつにぐしぐし泣かれちゃうと、僕の理性も危うくなって思わずハグしたくなってしまう
だからなるべくそういう雰囲気作らないように・・
僕の数々の武勇伝・・
つまり、後くされない一夜限りのアバンチュールの話、気の強い女の口説き方なんてのを話して聞かせた
ホンピョは「けっ!」とか「んなわけねえだろ!」なんてツッコミながらも
「それからどーなったんだよ」などと結構食いついていたっけ
そんなこんなでいつの間にかあいつがスヤスヤと寝息をたて始めたのを確認して、僕は電気スタンドを消した
それからあいつの左頬の傷にそっとキスした
ちょっとだけあいつの口の端がピクっと動いた様な気がした
そしてこれから僕たちは店に出勤
ソクさんとスヒョクさんは昨夜は帰って来なかったし、ヨンナムさんはとっくに仕事に出てる
僕は戸締りをして植木鉢の下に鍵を隠した
そこがヨンナムさんちの鍵の隠し場所
ホンピョは欠伸をしたり伸びをしたりしながら、ダラダラと僕の後をついてくる
でも片手で僕の袖をちょんと掴む事は忘れてない
今日は早めに店に着きそうだな・・
なんて時計を見てたらあいつが僕の袖を引っ張った
「ん?何だよ」
「ほら・・あれ・・」
ホンピョが何かを見つけたように顎をしゃくった
見ると街路樹の並木道・・その先には噴水のある公園がある
「公園?」
「ん・・」
「行きたいのか?」
「けっ・・別に・・」
ふぅん、そっか・・行きたいんだな
こいつ公園でお散歩なんて今までした事なかったんだろな・・
「出勤前にちょっとだけ遊んでいくか?」
僕はホンピョと手を繋ぎ、点滅信号の横断歩道を猛ダッシュで走り抜けた
渡り終わる前に赤信号に変わったものだから、信号待ちの車に一斉にクラクションを鳴らされた
「馬鹿やろうっ!危ねえだろっ!」
僕に言ってるのか車に言ってるのかわからなかったが、あいつが嬉しそうにはしゃいでいるのだけは解った
ホンピョは並木道を両手を水平に伸ばして飛行機みたいにジグザクに走る
ホンピョは街路樹の葉っぱめがけて思いっきり腕を伸ばしてジャンプする
木漏れ日のシャワーがホンピョに降り注ぎ、子供の様に無邪気なその顔を輝かせていた
そんなあいつを見てると自然に顔がほころんでしまう
ふと、はしゃいでたあいつの動きが止まり、またどこかを見つめている
視線の先を追うと移動式のホットドッグ屋
アンティークな丸みを帯びた車体のバンとでもいうのかな・・よくフランス映画なんかでみかけるやつ
「あれ食いたいのか?」
「あ?・・ん」
僕はホットドッグを二つ買って、あいつと一緒に木製のベンチに腰掛けた
マスタードたっぷりのホットドッグにかぶりついていたら、あいつがじっと僕の口元を見てる
「マスタードつきのがよかったか?」
ホンピョはマスタード抜きのホットドッグを手に持ってる
「それ、うめえか?」
僕のホットドッグを差し出すとホンピョが一口パクっとかじった
「おっ・・辛えっ・・俺やっぱこっちのがいいや」
ホンピョは手に持ってたケチャップソースたっぷりのホットドッグを頬張った
僕はホンピョの口の端にはみ出したソースを指で拭ってペロっと舐めた
腹ごしらえをした後、ホンピョは噴水の前で遊んでいた
群れてる鳩にエサをやったり、鳩を追い掛け回したり、鳩に近づく黒ネコを威嚇したり
そのうちにその黒ネコと意気投合したらしい
「このネコ、俺とおんなじで独りぼっちの野良ネコみてえだ」
よく見るとスカイブルーの瞳で可愛い顔立ちをしている
「なあ、ドンヒ。このネコ連れて帰っちゃダメか?」
「どこで飼うんだ?僕たち行ったり来たりの生活なのに」
「毎日一緒に連れて回ればいいだろ?仕事中は店の裏に居させる。食いモンには困らねえだろ。俺、スヒョンに頼んでみるっ」
「スヒョンチーフ・・だろ?ダメだって言われたら諦めるんだぞ」
「ん・・こいつブルーって名前にする。目が青いから。な?いいだろ?」
ホンピョはブルーを抱きしめ鼻をちょんとつついた
黒ネコのブルーか・・
おまえとんでもない奴がご主人様になっちゃったぞ
どうせ実質的な面倒は僕が見る事になるんだろうけど・・
「ドンヒ・・」
「あ?」
「そういやさ、ホットドッグありがとよ。・・その・・ケホン・・ほんのお礼だ」
ちゅっ☆
「あ・・!」
ホンピョにキスした事はあっても、こんな風にキスされた事って・・
僕はなんだか急に照れ臭くなって、胸がドキドキした
ホンピョもきっと照れ臭いんだ・・
ブルーを抱いたまま随分向こうまで走って行ってた
かなりの距離を走ったところででホンピョが振り返った
「おーーーいっ!ドンヒののろまーーっ!早くしねえと遅刻するぜーっ!」
頬に置いてた手を放し、僕はいあいつの元へ駆け出した
そして二人して小突きあったりじゃれ合ったりしながら、夕暮れの並木道を競争した
秘密? ぴかろん
俺はBHCの仕事を終えて久々に部屋に戻った
殺風景な部屋…
寂しいなぁ…
ああ…てじゅは一緒に暮らしてくんないのかにゃあ…
ちっと…電話してみよ…
テジュンに電話したのだが、話中だった…
仕事してんのか?
つまんねぇの…
はぁぁ…今日はもう寝よう
俺はシャワーを浴びてベッドにねっ転がった
旅行に行く前の日、てじゅは泊まってったんら…ひひんほん…
てじゅの残り香が…
流石に四日もたつと…残ってねぇや…ぐしゅ…
ぐしゅ…ぐしゅ…ええん…ええん…
俺は寂しくて一晩中泣いていた…
翌日、朝からテジュンに電話した
また話中だ…
なんで?
こうなったらアポなしで部屋に行ってやる!
まさかラブが来てたりして?!
まさか…ね…
心配になったのでラブに電話してみた
「…だれ…」
あ…すっげえ不機嫌な声…
「イナでしゅ」
「イナさん?どしたの?」
突然機嫌がよくなるラブ
「あの…ひとり?」
「うん。イナさんは?テジュンといっしょ?ふふっ」
「ううん…ひとり」
「ありゃ、寂しいじゃん」
「ラブはしゃびしくないのか?」
「全然!たまには一人で寝なきゃ!」
「…俺は…しゃびしいよぐしゅ…てじゅに電話しても話中ばっからよ…ぐしゅ」
「話中?どしたんだろうね?」
「ラブ今日暇?」
「あー、昼間はギンちゃんと会う…」
「…そか…」
「遊んでほしかった?」
「違うよ、お前もしかして、テジュンと会うのかなと思って…」
「馬鹿だなぁイナさん!何言ってんのよ。俺のこと信用してないわけ?!」
「…らって…」
「…そんなに信用してないんなら、ほんとに会っちゃうよ!いいね?」
「あっ…やめてっ!らめっ!」
「…でもどうしだんだろねテジュン…?行ってみたら?下宿…」
「…いいかなぁ…あいつ怒らないかなぁ…」
「怒らないさ。きっと喜ぶよ」
「そぉかなぁ…」
「くふっ…行ってみなよ」
「ラブも…ギョンジンにやしゃしくしてやれよな…」
「はいはい。俺は皆に見えないとこでたっぷり優しくしてますからっじゃね」
「あっ…切っちゃった…。まぁいいや…てじゅとこいこっと…」
俺は服を着替えて、ジョギングのふりをしてテジュンの下宿まで走ったり歩いたりしながら行ってみた
テジュンの部屋を下から覗くと、窓が開いていて、声が聞こえる
なんか…また電話してるみたいだ…
ぼーっと突っ立っていたらヨンナムさんに見つかった
「何してるんですか?テジュンに会いに来たんでしょ?さ、どうぞどうぞ」
「…あ…おはようございます」
「おはようございます…朝ごはん食べましたか?」
「…いえ…」
「じゃ、テジュンと一緒に食べればいい、ささ、どうぞ」
「…でも…」
「いつも多目に作ってますから遠慮なさらずに…ね。それにしてもあいつは…ほんとに時間を守らないんだから!」
「…え?」
「朝食は遅くとも八時半までに済ませるように言ってるのに…もう九時半ですよ!全く…」
「…あ…すみません…」
「あはは。貴方が謝らなくても…。まぁ今はあいつ、職探しで大変だからねぇ」
「…え?職探し?」
「ええ。昨日からずーっと電話ばっかり…」
「…職探しで?」
「正確に言うと…あいつが捜してるんじゃなくてね…。向こうから求められてるんですけど…」
「…は?」
「あいつ、あれでも有能なホテルマンだったでしょ?だからね…」
「…」
「聞いてない?」
「…は…はい…」
「こんな大事な事恋人に相談しないなんてなぁ…相変わらずだよ全く!」
「…。あの、昔からこんなカンジでしたか?」
「こんなカンジっていうと?」
「自分の事は相談しないような…」
「恋人に心配かけたくないって言うんですけどね、そうじゃないだろ?って僕は思います」
「…はぁ…」
「余計心配になるでしょ?置いてきぼりにされたみたいに…。ほんっとあいつはあの時もそうだったんだから!」
「…あの時も?」
「…」
「…」
君の笑顔 れいんさん
エジュの名刺を無造作にポケットにしまい込む
軽い疲労感を覚え、ソファにもたれかけ天を仰ぎ溜息をつく
あ・・そうだ・・スハ・・
ふっと先程の心配顔のスハが目に浮かんだ
僕はすぐにフロアを見回した
今しがたまでいたはずの場所にスハの姿はなかった
僕は立ち上がりスハを探した
フロアを抜けて通路に行くと厨房から出て来たスハと出くわした
「スハ・・!」
「あ・・」
スハは僕を見た途端立ち止まって目を伏せた
「あの・・お客様のオーダーをテソンさんに・・その・・」
スハはいい訳でもする様にそう言って、僕の横を通り過ぎた
すれ違いざまに僕はスハの腕を掴んだ
「待って」
「あ・・」
「僕を避けてる?」
「・・いえ・・」
「僕の目を見て」
「あ・・あの・・僕また席に戻らないと」
僕は少々強引にスハを引き寄せ通路の壁に押し付けた
スハが僕から逃げ出してしまわない様、壁の両側に手をついた
「テジンさん・・」
僕はスハの顎に手を添えゆっくりと僕の方に向かせた
「スハ。僕に何か聞きたい事はない?」
「・・そんな・・別に・・何も・・」
「さっきの女性は誰?って顔に書いてある」
スハは反射的に頬を手で覆った
「おまえってほんとに嘘がつけないな」
「あ・・だって・・そんな事いちいち聞きたくはなかったし・・」
「そう?本当に?じゃ、何も説明する必要はないんだな?」
「・・」
「ふふっ・・なあ、スハ・・何も心配する事はないんだ。彼女は古くからの友人だ。ただそれだけだ。」
「でも・・あの人・・とても綺麗で・・テジンさんとお似合いでした」
スハが俯いてそう言った
スハの心の中が手に取るようにわかる
「僕なんかよりって・・また考えてるの?」
「テジンさん・・」
「それってね、おまえの悪い癖だ」
「だって・・あの人はテジンさんに好意を持っているように見えました・・」
「彼女が僕の事をどう思っていようと、僕の心にいつもいるのは誰なのか知っているだろ?」
「でも・・僕はテジンさんにはふさわしくないんじゃないかと・・そう思って・・あ・・」
僕はもうそれ以上言わせない様にスハの唇を塞いだ
スハの身体からすうっと力が抜け落ちるのを待って、そっと唇を離した
「スハ・・ふさわしくないなんて二度と口にするんじゃない。そんな事誰が決めたんだ?・・誰よりも愛している。僕がそう言っているんだから・・ね?」
「・・はい・・」
スハがようやく僕に笑顔を見せてくれた
僕は壁についてた手を離し、スハを自由にした
スハがフロアに戻ろうとして、もう一度僕を振り返った
「テジンさん・・ずっと不思議に思ってるんです。なぜ僕でいいのか・・」
「・・わからないの?おまえのそんなところが好きなんだよ」
スハは少しはにかんでみせ、それからまたフロアへと歩き出した
僕はスハの肩を引き寄せ、後ろからぎゅっと抱きしめた
「もう少しだけこうしていたい」
スハを抱きしめる腕に力を込め、首筋にそっとキスを落とす
回した腕にスハの手が重ねられる
それはほんのひとときの僕達の甘い時間だった
「・・さあ・・もう行って・・」
コクンと小さく頷き歩いていくスハの後姿を、僕は見えなくなるまでずっと見つめていた
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