「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ぴかろんの日常
リレー企画 158
strangeりゅる_2 妄想省家政婦mayoさん
※157からのつづき
ブックを捲る手が止まった..リュルが首を伸ばしブックを覗く
「知り合い↑?その娘..」
「ぁぁぁ..ぁの..直接ではないですが..」
「その娘はダンスも上手いし..歌も上手でね..カメラマン受けもいいよ↑」
「そ..そ..そうですか..」
「それにフリーだからモデルエージェンシーに余計にマージン払うこともない」
「…」
「..??聞いてるかぃ↑?」
「ぁ..はぃ..すいません..」
小さく深呼吸をして動揺を抑えた顔をリュルは覗き込んだ..
大きさにちょっと後ずさりするとふっ#っと笑った..目許から綻ぶ優しい笑顔に感じた..
デスクの端にある資料をリュルが私の前に置いた..
「何でしょう..」
「モデルのギャラ一覧..参考にどぉ~~ぞ↑コピだから持っていくといい..」
「ぁ..すいません..」
2番目の資料のチェックを終え..最後の資料を手にした..
3番目の資料を読み始めるとそれまでダラリ座っていた椅子に座り直し時間をかけて眼を通した
すべての資料を読見終えたリュルは椅子を回転させ..正面を向いた..
「どうでしょうか..」
「ぅん..なかなか良く出来てる..面白く読ませてもらった..」
「そうですか..」
「まず..BHCのことは聞いてるし..祭のVも観た..」
「ォモ..そうでしたか..」
「で..ひとつ聞いてから話を進めよう..ぃぃかな↑?」
「ぁ..はい..」
リュルはガラスのテーブルに右手のペンを縦にトントトン..トントトン..と落としながら
今度は射るような眼を真っ直ぐに向け..また質問をした
消せない記憶 ぴかろん
「…もしもし…」
『…どうすればいいの…』
「…ギョンジン?」
僕はできると思った
僕にならできるとそう信じてた
僕は本当に甘い男だ
ラブの苦しみは計り知れない
夜中から朝方まで、ラブは狂ったように僕を求め続けた
焦点の合わない目で空を見つめ、幾度も達しながら奮え、暫くするともう一度と縋る
僕は捨てられなくて応えた
必死で応えた
力尽きそうだ…
何度目かの結合の後、朦朧とする頭でラブに問いかけた
一言だけ…どうしたの?と…
そう聞くのが精一杯だった…
ラブは呆然としたまま空に手を伸ばして何かを払いのけている
消えないんだ…俺、一つになってもあの時のあのいやな感覚が消えないんだ…
さっきまでの俺なら…あの感覚、忘れてたのに…
どうしよう…どうしよう…いつもあの時の…あの鉛の弾があの男に突き刺さる瞬間が甦るよ…
一生このまんまなの?
何度抱かれても同じだ…消えない…消しちゃいけないの?
静かな声だが叫びに聞こえた
僕は
できると思ってたのに…
ラブは疲れきって眠ってしまった
…僕はあまりにも中途半端に首を突っ込みすぎたんだろうか
あまりにも軽いところで分裂した自分をくっつけすぎたんだろうか…
僕にできたのだからラブにだってできる
僕が助けてやればラブは必ず自分になれると信じて
甘かった…
ラブの苦しみは…やっぱり僕の苦しみよりはるかに大きいよ…イナ…
ラブが寝息を立て始めた
僕は電話を持ってトイレに入った
その中からイナに電話した
明け方だから眠っているだろう…
イナの声が聞きたかった
『もしもし…』
「…どうすればいいの…」
『…ギョンジン?』
くぐもった声が聞こえた
「イ…」
言葉に詰まってしまった
『ギョンジン?どうした?』
「イナ…できない…。僕、身の程知らずだ…。ラブの傷口、大きすぎて手におえない…イナどうしよう…どうしよう…」
『…』
「…イナ…」
『できないなんて言うな!』
「…」
『できないってほったらかしたらそれで終わりなんだぞ!できるって信じなきゃムリだ!俺はお前にそう言った、お前も俺にそう言った!解ってるだろ?
お前は苦しんだ。ラブの苦しみが解るのはお前だけなんだ。違うのか』
「…イナ…」
『諦めないで…絶対諦めないで…』
「…」
『できるって信じろ…諦めたらそれで何もかも終わりだ』
イナの言うとおりだ…
諦めたら終わり…
僕とラブとの関係もそこで終わり…
僕が中途半端に突っ込んだそのいびつな形のままで終わってしまう…
僕は深呼吸をしてもう一度、ラブに向き合おうと思った
僕にできることはそれだけだから…
トイレから出てリビングのドアを開け、ラブの寝ている寝室へ向かおうとした
リビングに入った瞬間、僕は凍りついた
ラブがぼんやりと突っ立っていた
「どこ行ってたの?」
「…あ…ト…トイレ…」
「電話持って?」
「…あ…うん…」
「誰に電話してたの?」
「…」
「イナさん?」
「…あ…うん…」
ラブはぺろりと唇を舐めて俯き、ふふっと薄く笑った
すっと顔を上げると、真っ直ぐ僕に向かって歩いてきた
僕の唇を激しく吸い上げ、唇をつけたまま、もう一回抱いてと言った
そして僕の体をリビングの椅子の一つに押し付け、疲れきっている僕を手で刺激し始めた
「ラブ…ここ…。リビング…」
「したかったんだろ?ここで…」
「したくないんだろ…ここでは…」
僕の知っているラブじゃない…
壮絶な艶やかさと気怠さを持った歪で妖しげな生物…
男でも女でもない…
疲れているはずの僕はラブの手と唇で甦る
ラブは唇を離し、僕を自分に突き立てる
二人の呻き声が闇を這い回る
愛が感じられない…
何を確めようとしているの?
腰を上下に揺らしながら何を掴もうとしているの?君は…
こんなに側にいるのに、君が解らなくて涙が出る…
諦めたらそれで終わり…
イナの声が響く…
僕は…
「愛してるラブ…愛してる…」
伝えたい…例え体がバラバラになっても
お前に伝えたい…愛してる…
「あぁ…ああぁ…っあぁっ…あっ…」
僕の声が届かない…
それでも僕は送り続ける
愛してる…愛してる…僕がお前を愛してるから…
ラブは大きく上下に動き、両手で自身の髪を掴む
僕の伸ばしている手には気づいていない…
「っぁああ…はぁはぁ…」
ラブの喉が大きく動き、達したのかそうでないのか解らない奮えが彼の体を伝う
首を後ろにしな垂れさせたまま、ああ…ああ…と咆哮している…
「消えない…消えないよ…」
身を起こしてラブを抱きしめた
僕が抱きしめていることにも気づいてない…
諦めない…きっと…できる…できるんだよな…イナ…イナ…
僕の肩を押し、ラブが僕から離れる…
寝室へフラフラと歩いていき、僕の服をかき集めてまたこちらに向かってきた
無言で僕に服を渡す
「…なに…」
「…帰って…」
「…ラブ…」
「…あんたと…繋がった後は…一人に…なりたい…」
「ラブ!」
「帰ってね…あんたはイナさんを頼ればいいだろ…」
「ラブ!待って…」
服を押し付けてフラフラと寝室へ戻り、ドアを閉めるラブ
数秒間、僕はただ突っ立っていた
僕の美しい人だから2 れいんさん
今夜はもっともっとたくさん話をしたい気分でした
長年一緒に連れ添っていると会話が少なくなる夫婦もいるって本当でしょうか
僕は昨日よりも今日、今日よりも明日
ソニョンさんとたくさんたくさん話しがしたい
「ジュンホさん、私がおばあちゃんになってもそう思ってくれるの?」
「どんなにつきひがたってもソニョンさんはソニョンさんです。
ぼくのうつくしいひとにかわりありません」
「嬉しい・・」
「ソニョンさんこそこんなぼくでもいいんですか・?」
「こんな僕って?」
「あたまのなかのくものせいでボクシングはつづけられなくなってしまって、いまはホ○トをしています
そんなぼくをはじていませんか?」
「どうして恥じる事があるの?私や家族をこんなに愛してくれてるじゃない」
「でも・・こういうしごとにていこうはありませんか?」
「あら、もしかして何かやましい事でもあるの?お客様に迫られて困っているとか」
「いいえ、とんでもないです。まったくぎゃくです
おきゃくさまはぼくに、こどものうんどうかいはいつだとか
かぞくサービスはしているかなんてしんぱいするし
わるいむしがつかないようにって、めくじらたててまもってくれるんです。どこかヘンでしょ?」
「ふふふ。それはねジュンホさんにそんな不思議な魅力があるからよ。
それなら私はお客様に任せて安心して待っていればいいのね」
「ソニョンさん・・ぼくのすることにはんたいもせず、いつもささえてくれて
まっさきにおうえんしてくれてありがとう」
「急に改まってどうしたの?私達家族はいつもジュンホさんの味方よ
あなたの判断を、あなたのする事をいつも信じているわ」
「ソニョンさん・・」
「あ、そうそう。明日ね、学校の参観日なのよ。ジュンが作文で賞を貰ったの
皆の前で読むそうよ。行ってあげましょうね」
「もちろんです」
僕はソニョンさんをそっと抱き寄せました
愛しています。
心から。
神様ありがとう。
ソニョンさんと巡り会わせてくれて
頭の中のくもが暴れたりしない様にずっと見守っていて下さい
僕はこの人を残して逝ったりなんか、絶対にできないのですから
この人を、子供達を、僕の家族を
一生を懸けて守っていきたいのですから
僕の願いをどうか聞き届けて下さい
その夜僕たちは随分夜更かししてしまったけど
心の中がじんわり温かくなるような
とてもとても幸せな夜を過ごしました
翌朝のソニョンさんは朝からちょっと怖い顔をしていました
「ジュン、ヨーグルト残さないで。ウォン、髪のリボンはこっちになさい
お父さん、食事中は新聞置いて。ジュンホさん、ボタン掛け違っているわ
ジュン、ウォン、ハンカチ持ったの?パパに行ってきますのキスは?」
ピリピリムードのわけは解っています
今日はジュンの参観日
教壇に立ち賞を貰った作文を皆の前で読み上げるのです
ソニョンさんは、まるで自分が壇上に立つかのように
当の本人よりも緊張しています
慌しい朝食を終えて身支度を整えます
この前新しくしつらえた濃いグレーのスーツに袖を通します
ソニョンさんが見立ててくれました
「ジュンホさん、ネクタイはこっちがいいわ。少し目立った方がいいもの」
ソニョンさんがネクタイを締めてくれています
今日のソニョンさんはひと際美しいです
ラフな感じのアップに纏めて、幾筋が垂らした髪型がとても素敵です
黒のシックなスーツの襟や袖には光沢のある縁取り
スカートは緩やかなマーメイドライン
裾には上品な刺繍が施されてあります
今日集まる人達の中でも一番美しいに違いありません
「ジュンホさん、とっても素敵。他のママ達の羨望の的だわねきっと」
「ソニョンさんもとてもきれいです。じまんのおくさんです」
僕たちはにっこりと微笑みあって、唇を尖らせて小鳥の様にキスをしました
ソニョンさんの口紅が落ちてしまわないように気をつけながら
Exposition オリーさん
血液が体中をめぐり始め、額にうっすらと汗が滲みんできた
細胞が少しづつ目を覚ましてきたのを感じた
もう少し、と逸る心を押しとどめ
僕はマシンから降りると、近くの椅子に腰かけた
心拍数の上昇と共に傷口が騒いだが気にならなかった
昨夜、教授との話し合いは何も決まらずに終わった
先生は僕の条件を受けるとも断るとも答えず帰っていった
僕は宙ぶらりんのまま取り残された
何もかも夢のようだった
でも違う
肩にかけられたカーディガンが彼がここにいたことを教えてくれた
でも僕はまだ追いつけない
カーディガンに顔を押しつけて眠った
次の日、僕は何かをしていないと爆発してしまいそうで
院内のリハビリセンターにやって来た
負荷の少ないウォーキングマシンを選んで試してみた
体を苛める事は、時として心地よい
軽い疲労感と腕の痛みが僕の心を麻痺させてくれる
もっともっと動きたい、動いていたい
呼吸が落ち着いたところでまた別のマシンを試した
今度は前より早く体がほぐれ
血液が前より勢いよく流れ始めた
傷口なんか開いたってかまわない
虐められるのは自分の体しかないのだから
何度目かのマシンを試そうとして声をかけられた
「よお、元気バリバリじゃないか」
陽気な声に振り返ると、MI6のイケメンがいた
君の涙はさすがに堪えた
すぐにでも君を楽にしてやりたい気持ちはあった
勝ち目のないゲームをしているとわかっているから
でもできなかった
突然現れた君の彼のせいかもしれない
突然消えてしまったアーメッドのせいかもしれない
アーメッドを消してしまったのは自分なのだけれど
君の泣いた顔がアーメッドの最後の顔とたぶった
アーメッド、お前は最後の一瞬、確かに笑ってくれたね
ターゲットとはまったく逆の方向から銃弾を受けて
振り返ったお前は、一瞬信じられないという顔をした
まさか私から撃たれるとは思っていなかったのだろう
その後ゆっくりと傷に触ってすぐ悟った
致命傷だと
射撃の腕には自信がある
言ってなかったか、昔父に教わったと
唯一父が教えてくれたのが射撃だった
カンがいいといつも父に褒められていた
たぶん父譲りだったのだろう
射撃の腕を褒めてくれる父は何より嬉しそうだったから
くずおれてゆくお前を見るのは身を切られるようだった
でも荒々しいテロリストのお前を見るのはもっと辛かった
なぜ今さら現れた・・
やっぱりわざわざ会いに来たのか
アーメッド、愛していたのに・・
私がそう唇を動かしたのをお前は読んだ
そしてかすかに笑ってくれた、目を閉じる前に
10年以上前に終わっていた物語
撃ったのはテロリスト、愛していたお前ではない
そんな言い訳でいいだろうか
テロリストを一人撃った
それでいいだろうか
ケンブリッジの寮で
チャールズリバーでボートの試合を観戦して
フェンウェイパークでレッドソックスの試合に興奮して
メイン州へドライブして
いつも一緒に過ごしたお前とは10年以上前に別れた
それきりになってしまった・・永遠に
撃ったのはテロリスト・・
君のことも何とかしなくては、ね
そう思いながら支度をしていると電話が鳴った
とても朝食とは思えない豪華なものを僕はご馳走になった
焼きたてのソーセージとベーコン
目玉焼きに温野菜と美味しいパン
奥さんはさらにデザートのアップルタルトまで出してきた
ミンが見たらきっと目を吊り上げるだろう
そう考えたら自然と笑みがこぼれ、思わず首を振った
でも奥さんの好意を無にするわけにはいかないだろう?
僕はすべていただいた
イギリスの食事に対する価値観が変わりそうだ
「今日もお見舞いにいらっしゃるの?」
奥さんが歌うような声で聞いた
「いえ、これからロンドンへ出てちょっと見学してから帰ります」
「あら、もう帰っちゃうの?」
奥さんは目を丸くした
「私のローストビーフを食べたくないの?夜には腕を振るおうと思っていたのに」
「残念ですけど・・」
僕は言葉を濁した
もう会わない方がいいだろう
あの紳士を一発張り倒したい気分だけど
そんなことをしたら、困るのはミンだろう
帰ってくるまで僕は元の場所で待ってる
「ロンドンへ行くって?」
ご主人がやってきた
「音楽関係の仕事をしているので、ちょっと様子を見ていこうかと」
「ふむ、そうか」
ちょっと不満そうに僕を見下ろした
「顔が見れただけで十分ですから」
ご主人は僕の隣に腰かけた
「行く前にもう一度顔を見せてもいいだろう」
僕はゆっくりと首を振った
「邪魔しない方がいいと思います」
「そんなもんかな」
「奥さんがいきなり来て、一緒に甲板掃除なんかしたらお困りでしょう?」
「うむ・・」
「誰が甲板掃除ですって?」
紅茶のおかわりを持ってきた奥さんが割り込んできた
「あなた、また伍長になってるの?」
「い、いや・・」
ご主人はちょっと口ごもり
奥さんは笑いながらちらっと横目でご主人をにらんだ
僕は後になって、そのやりとりの本当の意味を知った
奥さんは本当に名残惜しそうに僕をハグしてくれた
「今度来るときはもっとゆっくりいらっしゃい」
という言葉を添えて
「次回はローストビーフをぜひ」
僕はそう言って奥さんの頬にキスをした
オックスフォードの駅までご主人が送ってくれた
車の中で彼が困ったとつぶやいた
「何か?」
「年に何回か旅行をしているんだが」
「ご夫婦で?」
「そう、小旅行なんだが」
「羨ましいですね」
「今度は君たちの国に行きたいときた」
「は?」
「ミン君や君のせいだぞ。やれやれ」
僕は苦笑した
「ぜひいらして下さい。宿の心配はいりませんよ」
「そうか?」
「ミンのマンションはすごく広いんです。僕も居候してますから」
「それはいい。ぜひそうさせてもらおう」
ご主人は機嫌よく笑った
駅のホームでご主人が言った
「もう一度会っていかないか」
僕はやはり首を振った
「でも昨日おっしゃって頂いたこと、忘れません」
ご主人は僕の肩をたたくと気をつけて、と言って手を振った
僕は礼をして電車に乗り込んだ
そう言えば、街が一望できるという建物にさえ登らなかった
電車が動き出してから、僕はそんな事を思いついた
窓の外の景色が勢いよく飛んでいった
一緒にミンも飛んでいってしまいそうで僕は思わず目を閉じた
そうじゃない… ぴかろん
はっとして寝室に駆け寄り、ドアを開けようとした
鍵がかけられている
ドアを何度もノックしたが、開けてもらえなかった
微かにラブの泣き声が聞こえた
僕はドアに凭れてしゃがみこんだ…
ラブ…ラブ…僕はここにいるから…
ここにいるからラブ…
手繰り寄せた俺は、ギョンジンの前の俺を許さない…
幸せを感じることを許さない…
もう…二度と…ギョンジンとの幸せな時間はこない…
幸せすぎたんだ俺…
ひと時の甘い夢だったんだ…
もう帰って…俺なんかに関わらないで生きていって…
楽しかったから…ありがと…ギョンジン…さよなら…
僕は諦めたりしない…でも何をどうすればいいのか解らない
頭を抱えていた時、僕の手の中で携帯電話が鳴った
イナからだった…
「もしもし…」
『ドアを開けてくれ』
「…え…」
『部屋の前にいる。ドアを開けろ』
「…イ…」
来て…くれたの?
僕は玄関まで走っていってドアを開けた
「お前一人に任せられない…」
イナはそう言ってずんずんと部屋の中に入って行った
「お前、下着ぐらいつけろよ…」
「…テジュンさん…」
「…つきそいでね…」
テジュンさんはふっと笑った
イナはラブの寝室の前に立って、中に声をかけていた
「開けろ」
「…」
「ドア、開けろ!」
「…イナ…さん?」
「開けねぇと蹴破るぞ。いいか?」
「…」
返事がないのでイナは本当にドアを蹴飛ばし始めた
どすんどすんどすんと三発蹴りを入れたところで中から悲鳴がした
「やめてよ!何しに来たんだよ!開けるからやめて!」
ドアが開いた…
イナは部屋の中に入って行った
何しにきたのさ…
ああ…ギョンジンを助けに来たの?
「イナさんには何の関係もない」
「あるよ!」
「…ギョンジンが心配なんだろ…連れて帰ってよ…」
「…ラブ…。俺もある程度まではお前の事、知ってる…お前が随分苦しんでたって事も聞いてる」
「…」
「俺、お前に初めて会った時、その話は嘘だと思った。お前、華やかだったから…」
「…」
「なんでこうなるんだ?」
真っ直ぐに疑問をぶつけてくるイナさんに、俺は話してやった
ギョンジンが過去の俺と今の俺とをくっつけろって言ったこと…
必ずできると言ってくれたこと…
どんな俺でも愛してくれると言ったこと
とても嬉しかったし幸せな言葉だった
でも…
過去を手繰り寄せてそこに感情を流し込んだらあの時の自分に逆戻りして、そのまんまだ…
もう幸せはやってこない…
繋がって昇りつめてもやってくるのは快びだけじゃない…
体中を這い回る怖ろしい不快感
俺は一生それを感じながら誰かと繋がるのか…
手繰り寄せた結果がこれなのか…
もう疲れただろギョンジン…
俺も疲れちゃった…
今までありがとう…
一生のうちで一番幸せな時だったよ…アンタといた時がさ…
馬鹿だよな、俺…
幸せになる資格なんかないのに…
ベッドサイドに置きっぱなしにしてあったタバコを取り出す
火をつけて深く煙を吸い込む
部屋の外から心配そうに覗き込んでる愛しい男に声をかける
「満足?…これが…俺だよギョンジン…」
ギョンジンの目から涙が零れた
イナさんが大きくため息をついた
「満足?…そこで止めちゃうのか?」
「…」
「それで満足なのか?お前は…。これで満足なのか?ギョンジン!」
イナさんが力の篭った声で俺とギョンジンに聞いた
ギョンジンは小さく首を横に振った
「どうして一緒にするの?」
「は?なにを?」
「人を撃った瞬間と絶頂とを」
「…」
「ごちゃ混ぜにしてるのは誰だよ」
「…あの時に思い出すんだから仕方ないだろ?」
「誰が思い出してるんだよ!」
「…」
誰がって…
思い出させたのは…ギョンジン?
イナさんは深呼吸してからはっきりとした声で言った
「お前だろ?思い出してるのも一緒くたにしてるのも!いやな思い出と絶頂とを切り離せないのはお前だ!」
「…どういう…事?」
「その二つは、別のもんだ!」
「…」
「…俺は長い事テジュンとお前の事と、自分の寂しさとを一緒くたにしてて、それで浮き上がれなかった…。ついこないだのことだ。
お前らに助けて貰ってやっと解った。別個に考えてりゃもっと早く浮き上がれた…。でもそうだったから今よく解る。
いいか、それは別の問題だ、お前が自分でそうやってくっつけてるだけだ!」
「…」
「人を撃った事を悔やむのはいい。いくらでも懺悔しろ。けどギョンジンと愛し合ってる最中に思い出すな!関係ない!
懺悔するときゃしっかり懺悔しろ!愛し合うときはとことん愛し合え!…自分に戻る時はその事だけに集中しろ!余計な事考えるな!余計な事、くっつけるな!」
「…イナさん…」
別の…こと…
「今更撃った時の事思い出して何になる!『あああの時どうして人を撃ってしまったんだ…』なんて今更嘆いてたって仕方ないだろ!
悲しい事も苦しい事も…楽しかった事も幸せな事も、過去の出来事は今更どうしようもねぇだろ!…思い出すなとは言ってない。思い出したらちょっとだけ浸ればいい。でも囚われちゃだめなんだ!動けなくなる。
俺がそうだった…悩んでも仕方ない事を悩んで囚われて身動きできなかった
だから解るし言えるんだ。
なあラブ、俺やギョンジンが苦しんだ事って、お前の苦しみにくらべりゃなんでもない事かもしんない。
でも俺もギョンジンも苦しんだ…気がおかしくなるほど苦しんだ…
そっからどうにかこうにか立ち上がれた
皆に助けて貰って、自分の気持ちを立て直せた…
俺だって人の命…奪ってるんだ…一生消せない…
なんだって取り返しはつかない…しでかしたことは変えようがない…
なんでそうなったかを考え込むより、これからどうすればいいかを考えろ。考えて動け!
それでいいと俺は思う」
「…許して…もらえるの?」
「人の命奪った事は許される事じゃねぇよ…」
「…」
「許されない事をした。これからは絶対にそんな事も悪い事もしない。ちゃんと生きていく。奪った命の分、返せないかもしれないけど、他の人に返してく…それでいい…それしかできないと俺は思う…」
「…」
「思い出して苦しかったり悲しかったりした時は、その感情を受け入れればいい。でも留まっちゃだめだ。その罪の分、人に優しくすればいいだろ?…お前はできてるんだ…だから…過去の自分を受け入れるだけでいいんだ…」
「…受け入れる…」
「『どうしてこんな事になったか』を考えるな…」
「…」
「ギョンジンもだ!お前が弱気になってどうするんだよ!焦るな。一生かかってもこいつを幸せにしろ!諦めるな!絶対諦めるな!」
「…イナ…」
「絶対手を離すな…。一掴みでいいから信じろ!お前は必ずお前になる。過去に戻るんじゃない、今のお前に過去のお前が吸い込まれて、お前になるんだ、必ずできる!」
「…」
「お前は…いいこだ…優しくて可愛くて…いいこだ…。逃げるな…。怖くても逃げるな。投げ出すな…。俺はお前を信じてる…」
「…イナさん…イナさん…」
ラブがイナに縋りついてまた泣いた
イナの言葉がラブに届いた
僕ではなくてイナの言葉が…
かなわない…
こいつにはやっぱりかなわない…
僕は離れたところに居るテジュンさんの近くに行って頭を下げた
「すごいだろ?あいつ…」
「はい…。どこにあんな力があるんでしょう…。こないだはあんなガキだったくせに…」
「…ふ…」
テジュンさんは俯いてフフンと笑い、僕の肩をポンポンと叩いた
「服、着ろよ…」
「…あ…はぁ…」
ラブが落ち着きを取り戻した
イナはラブの額にキスをして、じゃあなと言って寝室から出てきた
僕はイナとテジュンさんに礼を言ってラブのところへ行った
取り消せない時間だから… ぴかろん
イナはちらっと僕の顔を見て、ニッコリ微笑んで手を振り、帰ると言った
僕はラブを立たせて、二人を見送った
「もし店休むんなら…俺に連絡くれるか?俺からスヒョンに伝えるから…」
そうだな…ラブがこんなにボロボロなんだから今日は休んでおいたほうが…
「出るよ…」
「ラブ!」
「そのかわり、イナさん…俺がおかしくなったらちゃんと面倒みてよね…」
「僕がっ!僕がちゃんと面倒みるからっ!」
「解ったよ…まかしとけ」
「僕がっ僕が見るからっ!」
「頼むよイナさん…」
「僕がっ!」
騒ぐ僕を無視して、ラブとイナは目線を絡ませていた
ドアを閉め、ラブと二人っきりになると、途端に心臓が締め付けられた
ラブは僕の顔を見つめごめんと言った
僕は思わずラブを抱きしめた
「何がごめんなんだよ。僕に謝る必要なんかない」
「…ギョンジン…」
「なぁに?」
「…お風呂に…入りたい…」
僕はラブの額にキスをし、それからバスルームに行ってバスタブを泡で一杯にした
静かに僕を誘うラブについて、お湯に浸かった
僕の首に纏わりつくラブ…
ああ…こないだこうやって二人でお風呂に入ったときは…何も怖いものなんかなかったんだよね…
愛しくて楽しくて…
「…もう…あの時みたいな気持ちになれないんだね…」
「ラブ?」
「あの時は、すっごく…幸せだったのにな…。二度と戻れないんだ…」
ラブの睫毛に涙の雫が光る
引き寄せた過去のせいだと思わないで…
そうじゃないんだ…
僕は唇を噛みしめてそっとラブを抱いた
「でも…それと同じで…あの苦しくて辛かった時には…二度と帰ってこない…あの時間には…戻らないんだね…」
「…そうだよラブ…」
「…大事にしなきゃいけないんだ…」
「…」
「アンタといるこの瞬間…俺…大事にしなきゃ…」
「うん…僕も大事にするよ…」
ラブといる瞬間も、弟と過ごす瞬間も、イナやテジュンさんやミンチョルさんといる瞬間も…
僕は大切にするよラブ…
「ごめんね…」
「…なんで謝るの?」
「俺、こんな男で…」
「…。ラブ…。前にこうしてた時、幸せだった?」
「…うん…」
「…じゃ、僕があの時以上に幸せにしてあげる…」
「…」
「そのためにはお前の力も必要だな…。お前が僕を幸せにしてくれなくちゃな…」
「…」
僕はラブの頬を挟んで彼の目を覗き込んだ
「ゆっくり幸せになろう…。ゆっくり、しなくちゃいけない事、考えていこう…。ちゃんと生きていこう…な…」
「…」
「な?ラブ…」
「…ん…」
そっと頷いた儚げなラブをもう一度抱きしめて言った
「愛してるよ…大好き…大好き…」
「あ…」
僕は前にしたと同じようにラブの体を揺らした
ラブは僕にしがみついて、ようやくクスリと笑った
そしてクスンと鼻をすすった
つられて僕も鼻をすすり、ラブの頭に僕の頭をコツンとぶつけた
「あーあ…あんな子供に助けて貰うなんて…ちっ…」
「…。すっごく…。頼りになるコドモだよね…あの人」
「…ほんとに…スーパーキッズだよな…ふふ…」
それからラブは僕にきつくしがみついて囁いた
「…。こんな…えろじじいに…助けてもらうなんて…」
「ん?…こいつぅ…」
わざとふざけて答えた
「これからも…助けてくれるのかな…このじじい…」
「…」
思わず笑みが漏れた
ラブと頭をぐりぐり擦り合わせ抱きしめる
当たり前だろ…好きで好きで堪らないのに…
「愛してもいい?」
ラブが言った
「大歓迎」
僕が言った
答えが見つかったわけじゃない…
それでも前向いて生きていけばそれがきっと答えになる…
僕はそう思った
ずっとラブを支えていきたい…みんなの力を借りながら…
「BHCってさ…いいとこだな…」
「…うん…」
「ラブ…」
「なぁに?」
「ケツ、痛くないか?」
「…」
べちん☆
ラブは赤い目のまま、唇をとんがらせて僕を殴った
「痛いから…当分したくない…」
「よかった…僕も大事なとこがヒリヒリし…」べちん☆
唇を叩かれた
その後すぐにちゅっと来た
「お風呂から出たらちょっと眠って、夕方から店に行こうね」
ラブに笑顔が戻ってきた
「…大丈夫?」
「…大丈夫。みんなの顔が見たいもん…」
「…うん…そうだね…」
BHCに行けば、もっと沢山の元気が貰えるよね…
「ギョンジン…。ありがとう…」
「…僕の方こそ…ありがとう…」
「イナさんにも言わなくちゃね…」
「そうだね…癪に障るけど…」
「ほんと…癪に障るけどね…」
「「うふふ…くふふふ…」」
二人を柔らかな空気が包みこむ…
頑張んなきゃね…僕たち…
勝負師の真実 ぴかろん
「てじゅ…ありがと…」
涙目のイナが帰りの車で言った
朝方かかってきたギョンジンからの電話を切った後、口に手を当ててウロウロしていたイナ
捕まえて抱きしめてやると『行かなくちゃ…』と一言…
「どこへ行くの?」
「らぶとぎょんじんとこ…いかなくちゃ…」
言いながら既に涙目…
「そんなんで行って大丈夫?役に立つのか?」
「らって!」
本格的にぐすぐすと泣き出したイナに思いっきり濃い目のキスをした
だってかわいいんだもん…
本とはそのまま…○×したかったのに…
ギョンジンの馬鹿野郎…
まぁラブが絡んでるとあっちゃ…僕もほっとけない…
あたふた着替えるイナはなんだか危なっかしかった
それで僕も一緒についていくことにした
車の中であれこれ悩んでいるイナに僕は一言だけ言った
「そーんな弱気じゃ勝負に勝てないぞ」
イナの顔つきがみるみる引き締まった
黙りこくって作戦を練っている…
ラブのマンションに着いたときには勝負師の顔になっていた
かっこいいな…
部屋に乗り込んで行ったイナを離れて見ていた
後は奴のペースだった…
ギョンジンなんかすっかりヤられちまってたな…
うん…僕もだけどね…
でも僕だけは知ってた
あれは全部ハッタリ…
ブラフと強気で乗り切ったあいつを褒めてやりたい
僕は帰るとき、車に乗り込んだアイツの顔中にチューしてやった
「んもっ!」
「よく頑張ったね…かっこよかったぞ」
「…えへ…」
「ブラフ、見破られなかったな…」
「…てじゅ…。…ばれてた?」
「くふふん…」
「…しょか…まだまだだな…おれ…」
ああ…可愛い…
「僕がいなかったら三角の泥沼になってたかもな…」
「…ん…しょうら…きっとしょうでしゅ…」
「やけに素直だな…ありがとおは?」
イナはじぃっと僕を見つめて、それからがっつりと抱きつき、耳元で囁いた
「てじゅ…ありがとぉな…。てじゅのことだいじにしゅる…」
「ん…僕も…お前といる時間を大事にするよ…」
「だいしゅきら…」
「あーっ!ぎぇぇぇぇぇっ☆」
その後耳に噛みつかれて、僕は痛気持ちいい快感に酔いしれた…
僕のパパ れいんさん
教室の後方には立ち位置を確保するのも困難なくらい、既に保護者達が集まっていました
僕達は人垣の隙間からやっとジュンの姿を確認しました
その一団の前方で手招きする人・・
「あ・・おとうさん・・」
「何やってたんだ。遅いぞ。ほれ、こっちで観なさい」
「お父さんも来てたの?病院の方はよかったの?」
「いや、何。すぐに産気づきそうな患者もいなかったしな・・後はサンミンに頼んできた」
「お父さんったら、いいの?サンミン先生に悪いわ」
「その、何だ。ワシだってジュンの晴れ姿を見たいしな。
サンミンだってワシが居ない方が看護婦をデートに誘いやすいじゃろ?言わば気を利かせてやったんじゃよ」
「そうだよ、私達だってれっきとしたおじいちゃん・おばあちゃんなんだからね。孫を見に来ちゃいけないって事はないでしょうよ」
「あ・・おかあさんまで・・」
「何だい。来ちゃいけなかったのかい?」
「とんでもないです。わざわざありがとうございます。でもお店の方はよかったんですか?」
「お昼の掻き入れ時が済んだからとっとと閉めてきたんだよ。この時間はどうせ暇だからさ」
まだ喋り足りなさそうなお母さんもチャイムの音と共に背筋を正して静かになりました
先生が教壇に立ち、号令を合図に一礼をしました
先生の挨拶から始まり、子供たちへの簡単な質問と発表で授業は進行していきます
子供達の頓珍漢な答えに時折起こる笑い声
自分の母親や父親を見つけては照れ臭そうに嬉しそうに目を輝かせる子供達
和やかな雰囲気の中、とうとうジュンの出番がやってきました
名前を呼ばれ、先生に手招きされ、壇上に上がるジュン
頬は紅潮し、緊張した面持ちで
それでもどこか誇らしげに見えました
その時点でもう目の奥が熱くなりました
いよいよ作文が読まれます
僕とソニョンさんはいつの間にか互いの手をぎゅっと握り締めていました
僕のパパ
ずっと前、僕は「僕のパパ」という作文を書くのが嫌で嫌でたまりませんでした
どうして先生はそんな作文を書かせるのかと腹が立ちました
なぜなら僕にはパパがいなかったからです
僕とウォンがお腹の中にいる時に、本当のパパは天国に逝ってしまいました
遊んだ事もないパパ
抱きしめられた事もないパパ
顔や声も覚えていないパパ
パパの事を聞きたくてもママには聞けませんでした
だって、悲しい顔をして僕たちをぎゅっと抱きしめるから
でも今はその作文を書くのがちっとも嫌ではありません
なぜかというと僕たちに新しいパパができたからです
僕の新しいパパはとっても強いんです
ボクシングの世界チャンピョンになった事もありました
悪い人だって簡単に伸してしまいます
僕にケンカのやり方も教えてくれました
でもむやみに拳を使うのはいけない事だとも教えてくれました
パパは病気でボクシングの道を諦めてからは
新しいボクサー達を指導して
世の中にたくさん送り出しました
とても頑張らないと簡単にはできない事なんだと
ママやおじいちゃんが教えてくれました
僕のパパはチャンプ
でも僕はもっともっとパパの凄いところを知っています
パパは大人なのに誰よりも子供の心を持っているのです
普通、大人になると、だんだん子供の心を忘れてしまって
ずるくなったり、嘘をついたりする人が多いと聞きました
でもパパの心はとても綺麗です
ママがよくパパの事を「私の天使」と言います
でもそんなパパは寂しい子供時代を過ごしたのだそうです
パパは僕と同じように本当のおとうさんの顔を知りません
お母さんに孤児院に預けられ、お母さんが迎えに来る事を信じてずっと待っていたそうです
ママと知り合った頃に、やっとお母さんを探し当て、ついに再会する事ができました
パパはその時とても嬉しそうでした
今ではパパのお母さん、つまり僕のおばあちゃんも、すっかり家族の一員です
大の仲良し家族なのはいいのですが、ママがすぐにパパを独り占めしようとするのがちょっと困ります
もっとパパと遊びたいのに「早く寝なさい」っていつも言われます
寝たふりをしていると、後でそっとパパやママが来てお布団をかけてくれたり
髪を撫でたりしてくれるのを僕は知っています
ママはいつも僕たちに言います
パパに温かい家族をプレゼントしてあげようねって。
僕もそう思います
僕達みんなでパパを幸せにしてあげたいって。
穢れのない心の持ち主のパパがいつも笑っていられる様に
そんな子供の心を持ったパパだから
もちろん僕たちとともとても気が合います
子供の目線で考えてくれます
子供の目線で遊んでくれます
無理に子供に合わせようとしなくても
子供より子供らしいパパなのです
そんなパパの今の仕事はホ○トです
ホ○トと聞くとあまり良くないイメージがあるかもしれません
女の人を騙したり、お金を貢がせたり
でもパパが働いているお店ではそんな事はありません
お店の人達がみんな仲良しで
そんな仲良しの皆を見てお客さんは喜んで帰っていくのだそうです
パパの事を悪く言う人は誰ひとりいません
それどころか皆がパパの助けになってあげたいと思っている様です
パパは僕に教えてくれました
ボクシングのチャンピョンになった時は
若者や子供達に夢を与えていたんだと
何の取り柄もないちっぽけな自分でも努力すれば夢は叶うのだと
そしてホ○トをしている今は女の人達に夢を与えているのだと
僕はそんなパパが大好きです
強くて優しい自慢のパパです
そんなパパと運命の出会いをしたママにも感謝したい気持ちでいっぱいです
これからもずっとずっと仲良しの家族でいたいと思います
僕やウォンをたくさんたくさん愛してくれてありがとう。
大切な僕のお父さん
教室中が水を打ったようにしんと静まり返り
間を置いて割れんばかりの拍手が沸き起こりました
ジュンは大きな仕事をやり終えた様な満足げな顔でぺこりと頭を下げました
お義父さんやお母さんはしきりにハンカチで目を押さえています
周りの人達は一斉に僕達を見て、惜しみない拍手や歓声を贈ってくれました
まるで大舞台が終わった後のスタンディングオペレーションのように
僕はソニョンさんを見ました
視界がぼやけていてはっきりとは見えませんでした
「ソニョンさん・・よくみえませんが、すこしおけしょうがおちているみたいです」
「ジュンホさん・・あなたこそ鼻が真っ赤だわ」
どうやら僕たち二人とも感動のあまり、随分泣いていた様です
「ソニョンさんはほんとうにすごいひとです。子供達をよくここまでそだててくれました」
「いいえ、あなたの協力があったからこそよ。私一人だけではとても無理」
「ソニョンさん・・」
「ジュンホさん・・」
「ソニョンさん・・ぼくはしあわせで・・しあわせすぎて・・ことばもみつかりません」
「ジュンホさん、私もよ。世界中の人達に感謝したいくらい」
僕達は教室の中だというのに、人目もはばからずに抱き合いました
次々に溢れてくる涙を止める事もできずに
拍手はいつまでも鳴り止まず、
その日の僕達は、多分この世で一番幸せな父親と母親だったと思います
strangeりゅる_3 妄想省家政婦mayoさん
僕はデスク上の閉じたファイルをペンでトン#と叩いた
「これらの企画なら何処の出版社も引く手あまた..じゃないかな↑?」
「はい..」
「他を当たった↑?」
「ぃぃぇ」
「[メゾネット]を選んだ理由は↑?」
「二流..三流の出版社に用はないからです..」
「何故↑?」
「[BHC]..だからです」
「断言..したね..」
「はい..」
「BHCにそれほどの価値があると↑?」
「それは既にお解りでは↑」
目の前のおとこ擬きおんなは間髪入れず単調に僕に返す..
僕の片目は無意識に訝しく細まった..
「今の[メゾネット]の状況が一流と言えるかい↑?」
「[メゾネット]にシン社長が参入した今はそう成り得ると考えますが..」
「僕に持ち上げは効かないょ↑?」
「数字は嘘をつきません
シン社長が参入してから書店での[メゾネット]社の雑誌売り上げは伸びてます
女性誌の[ドゥスール][a demain]は.1.7倍..男性誌の[アルクール]は1.5倍..」
「資料の数字は..誰が調べた↑?」
「私と..」
「テックヒョンか..」
「はい..」
この僕に対しあくまでも淡々と言い切る人間はそういない..
話の切り口は.まるで男だ.簡潔明瞭...このおとこ擬きおんなは尚も続けた..
「2ヶ月前までの[メゾネット]の雑誌..特に女性誌は酷かったです..」
「具体的には↑?」
「特集は良い出来なのに本の1/3は広告..無駄に厚い雑誌は読者を飽きさせます
韓国出版業界特有の[豪華な付録]で誤魔化し..[付録本]と化してました」
「原因は何だと思った↑?」
「エディターを始めとするスタッフは素晴らしいのに
最終的にOKを出す上層部が古い感性に囚われていたからではないかと..」
「んクククク...」
僕は笑った..全くその通りだったからだ..
僕は[メゾネット]を吸収し..最初に頭の固い連中を退陣させた..
かなり風当たりは強かったが..上層部の壁も取り去り..
クリエーター達が経験や年齢に拘らずにのびのびと能力を発揮できる環境にした
おかげでメインの雑誌の売り上げは伸びつつある..そこにこの企画がきた..
「..僕がテックヒョンの縁者で助かった..ってわけ↑?..」
「はっきり言って..そうです..渡りに船でした..」
「..僕がこの企画すべて断ったらどうする↑?」
「断らないと思って来ました」
「何故そう言い切れるのかな↑?」
「シン社長は損をする事には投資はしない..援助もしない..」
「それは事業家として当たり前のことだよ↑?」
「確実に可能性のある企画には経験薄であろうが若かろうが援助を惜しまないのでは↑?
ガンスさんの[チゲ&スープ]事業もシン社長の後押しで売り上げはうなぎ登りです..
シン社長は職業意識に見合わせ..判断される方だと思いますので..」
目の前のおとこ擬きおんなはそこまで言うと小さくふぅと息を吐いた
僕は語尾の上がらない声色ではっきり言った
「わかった..この企画..[メゾネット]で後押ししよう」
「ぁ..ありがとうございます..*^_^*」
おとこ擬きおんなは僕に初めて明るく笑った..
また喋りすぎたか..>_<..
喉がからからに乾いていた..
企画のOKを出したリュルは一度椅子から立ち上がり..
ミネラスの入った2つの黒いタンブラーをそれぞれの前に置いた
黒いタンブラーは透明なクリスタルの内面に黒のクリスタルを流し込み
黒面が透明面から透けて見える2層になっている..
リュルがタンブラーから飲んだ後に自分の前にあるタンブラーを持った時..
またリュルの意地悪な質問が来た..
「タンブラーの名前は↑?」
「バカラの..
[ダークサイドコレクション..ブラック・エンジェル]
..」
「デザイナーは↑?」
「フィリップ・スタルク..」
「デザインの原型は↑?」
「バカラが180年前にルイ・フィリップ王の為に作った[アルクール]..」
「お見事..」
「ぃぇ..」
「じゃ..企画の検討に入ろうか↑」
「はぃ..」
「時計の企画でスタジオを使うのであれば此処を使っても構わない..
什器や家具は他にも倉庫にあるし..僕のレストランとカフェも使えるしね↑」
「はぃ..」
「メンバーの..んっと..ラブ君とミンギ君↑?」
「ぁ..はぃ..」
「2人を交えてスタッフと打ち合わせするといい..」
「はぃ..」
「2つめのミューズの方..ウェブデザインが決まったら載せてみよう」
「掲載雑誌の選択はこちらで考えてもいいですか?」
「それは構わない..どっちにしても僕が最終的にチェックをするからね↑」
「わかりました」
「3つめは..これはまだ水面下なんだよね↑?」
「はぃ..まだ私が一人で組み立ててるんで..」
「ん~~でも君はDTPも多少出来るみたいだし↑」
「はぁ..」
「材料を集めてスタッフと共に企画を魅力的に作り上げていけばいい..これはイケルよ↑」
「^^..」
「明日..会社の方へ顔出してくれる↑?スタッフを紹介するからね↑」
「わかりました」
「それと..隅にあるブックコーナーにはかなりの本と雑誌がある..参考になる物を持っていくといい..」
「はぃ」
椅子から立ち上がりブックコーナーへ行くとリュルは部屋から一旦出て行った..
ブックコーナーはコの字になっており天井まであらゆる雑誌がびっしりと並んでいた
何冊かの雑誌を取り出した時に携帯が震えた..ランプの色はグリーンだ
ちぇみの電話は「迎えに行くから待ってろ..」だった..
電話を切るとリュルがブックコーナーの入り口に寄りかかっていた
「君さ↑?」
「ぁ..はぁ..」
「かなり変わってる..よね↑?」
「よく言われます..でもシン社長ほどではないと思います」
「んぐ....」
むっ#っと唇を引き結んだ後リュルは目許をちょっと緩めた..
リュルが人差し指をこめかみに当てぐりぐりし始めデスクへ戻っていった..
15分ほど雑誌の選択をしていると
「入るぞ..」
ドアが開くと同時に聞き慣れた響く低音が聞こえた..
デスクからリュルがソファへ歩み寄り..座った..
@@...
ちょっと目を丸くしたはるみがソファの座面でぺたん#と前足を伸ばしリュルに挨拶をした
リュルが頭を撫でるとはるみは「みゃみゃ^o^」っと鳴いた
俺はソファの背に片腕を伸ばし..だらり座った
「テックヒョン..いつもノックぐらいしろと言ってるだろうに~~ぃ↑」
「ぁぁ..すまなかったに~~ぃ↑..シャージャンニ~~ム↑」*シャージャンニム=社長様
「ぁっつ..いつも言うけどさ↑僕はお前より年上なわけよ↑?」
「それがどうした..」
「だからさ↑?..」
「何だ..何を言っても無駄だ..諦めろ.」
「ったく..偉っそうだな↑毎度毎度さ↑?」
「悪いな..偉いんだ.」
「ぁぃぅ~~↑」
っと..俺とリュルのいつもの一連の挨拶が終わる..
「企画は受けることにしたのか?」
「ぁぁ..当たれば[メゾネッと]もかなり潤うし↑..損はしないだろう↑」
「くっ..相変わらずだな..」
「何がだ↑」
「儲かる仕事にしか手を出さないってことだ」
「当たり前だろぉ↑..ビジネスは慈善事業じゃない..」
「ふっ..ペイをケチるなよ..リュル..」
「誤魔化したらお前に殴られそうだな↑?」
「俺だけじゃない..皆にやられるな..したらお前の顔がまたデカくなる..それもまた見ものだがな..」
「んぐぐぅぅ~~↑」
「テックヒョン↑」
「何だ..」
リュルは人差し指で部屋の隅のブックコーナーを指さした
本棚の前の梯子に乗り上の方から何冊かの本を選んでいる闇夜が見える
「な..ホントは男じゃないのか↑?」
「ぷっはは..生物学上は女だ」
「女とは思えないな↑」
「何故だ..」
「女特有の感情の起伏が無いな↑?..」
「んまぁ...な..」
「彼女の恋人は一緒に住んでるわけ↑?」
「ん..ぉぃ..変な興味持つなょっ#」
「何だよ..お前の女じゃあるまい↑?」
ちょいと疑惑を含んだリュルの視線が俺に注がれる..
俺ははるみの背を撫で..焦点を散らしながらリュルから目を逸らした
「今度お前の家に遊びに行かないとな↑..お前の恋人も見てみたいし↑?パンも食べたいしな↑?」
「来る必要はない..」
「ぇ~~~ぃ..そう言われると行きたくなるなぁ~~↑?」
「ふんっ..」
ソファの背に伸ばしていた腕を曲げ..顎を触っていると
闇夜が両手に雑誌を抱えブックコーナーからソファの方へ歩いてきた
雑誌を片腕に抱えてやると闇夜は俺の肩に乗っているはるみを胸に抱いた.
「じゃ.明日会社の方に来るように..」
「はい..」
「じゃな..テックヒョン↑今度自宅でな↑」
「来なくいい#..」
「はるみちゃん..またね↑」
「んみゃ↑^o^..」
軽く笑ったリュルが俺等に掌を上げた
リュルの建物を出..闇夜とCherokeeに乗り込んだ
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