「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
1699528
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
ぴかろんの日常
リレー企画 207
千の想い 77 ぴかろん
※206からの続き
僕は肩越しに口を歪めて笑顔を作った
引き戸を開けて駐車場に向かう
数秒後にイナが追いかけてきた
ホッとしている自分が情けない
「てじゅ…。仕事終わったら電話してよ…ね…」
立ち止まって振り向こうかどうしようかと僕は迷う
僕の迷いを散らすためにイナが僕の背中に抱きつく
ねぇ…知ってる?
この場所、ヨンナムんちの台所から
よぉく見えるんだよ…イナ…
僕の心の中で今、意地の悪い小さなサタンが口角を上げた
ねばねばと
僕の心が
執着している
手放したのではないのか
手放しても手放しても
僕の心に染み付いたお前への執着が
浮き出てくるのか
僕は僕と格闘する
認めろよ
これが僕だと
こんなものを持っていたくない僕が
あれこれ仮面を用意する
どれにする?
どれを被ればこの場を爽やかに治められる?
「てじゅ…」
僅かな間に
僕の心はうねり、ぶつかり、砕け
僕の中の正義が
僕の中の悪意を
ねじ伏せる
僕の中の正義は
悪意をねじ伏せて
高笑いする
正義の顔は
醜くて怖ろしい
僕は
正直者ではない
「…電話するよ…」
「ん…」
可愛いイナに
『優しくて心の広いテジュン』の仮面が告げる
さぁ、お前に今から自由の時間を与えてやるから
僕が電話をした時にお前
泣きながら僕に懺悔しなさい
ヨンナムと何を話し、ヨンナムに何を感じ、ヨンナムとこれからどう過ごしたいか
そして僕に何を望むのか
全て告解しなさい
僕はお前の全てを承諾して
お前の望むとおりにさせてあげるよ
『優しい仮面』を上手に被ったまま
お前とヨンナムとを
少し下がって見ていてあげる
僕の視界の端っこの方に
僕と同じ顔が心配そうに見つめているその光景が映っている
凪がほしい
僕は粘ついている
お前達の自由だと言葉を発しながら
僕は粘ついた透明な糸を
お前達二人に
巻きつけていく
風がほしい
砂がほしい
稲妻が
土砂降りが
マグマが
焼き尽くして吹き飛ばして洗い流して撃ち抜く物体がほしい
イナが僕の正面に回り
一瞬強張ってから僕に唇を寄せた
僕の唇はピクリと引きつり
慌てて仮面を被って
善人を装う
この子にはきっと
なにもかもばれていると思い
この子をうまく
騙し通そうと思い
この子には全てを
わかっていて欲しいと思い
この子がいつも
幸せであって欲しいと思う
どれが本当の僕?
柔らかな唇が
僕の全ての想いをかき混ぜる
深くくちづけられ
僕はその全てがほんとうの僕だと思い知る
僕は
清められる
「…電話する…」
「うん…」
イナに手を振って車に乗り込む
エンジンをふかして車を発進させる
また別の仮面を僕は準備する
その仮面を被る前に
僕は感じ取る
全て一瞬だ
僕の中に沸き起こる感情の全ては
花火のように爆発し一瞬のちに消え去るのだ
清められたのも一瞬だ
僕の中にはまた
粘ついた嫉妬や執着が
小さな爆発音とともに繰り返し生まれ流れて行く
そうやって僕は今までの人生を
生きてきていたのだ
生まれてきたものを
生まれてきたままに
流れて行ったものを
流れて行くままに
その時その時の感情に晒されて生きてきたのだ
全てが
僕だ
また今日も
様々な感情に晒されて押し流し
平静を装って生きて行く
こんなことの繰り返しか
繰り返すだけで
僕は大きくなれない…
ため息をついて仕事へと向かった
いい大人の仮面をつけて
La mia casa_40 妄想省mayoさん
夕方..BHCに出勤する前にそやつは来た..
..o-◎_◎-o..
窓ガラスに両てのひらをべったん#..と張り付け..
間隔を置いた両掌の間にはこれまた窓ガラスにベタッ#..っと斜に張り付いた顔..
ほっぺた膨らましのその<河豚顔>は窓ガラスにくっつけた鼻をくい..くっ..く..と下方に下げた..
..o-◎#◎-o..
河豚は豚になった..
「ンッケッケ..(>▽<)...」
はるみは片前足で腰高窓を指し..<河豚顔>やら..<豚顔>を堪能していた..
ぺちん☆ぺちん☆..ぺっちんこ☆..
ガラス越しに右左の膨らんだ”河豚ほっぺた”&”豚鼻”にぺちんをお見舞いした..
<河豚顔>は目をぱちくりさせ..やっと窓ガラスから顔と掌を離した..
がらり..ガラス窓を開け..俺顔を目の前につんだし..ちょい怯む<河豚顔>に雑巾を渡した..
「お前の顔..楽しませて貰った..が..ガラスを汚すなっ...」
@8@..ぶぅぅー...膨れて雑巾を受け取った<河豚顔>..
はぁーはぁー#...っと息を吹きかけ..己の唾液にまみれたガラス窓をムキになって拭いた..
「こんなもん?..くまさん..」
「ん..合格..」
「ちっ..」
「ぷっ..入れ..腹減ってるだろ?..」
「はぃはぁ~ぃ..^0^」
カフェ部分のカウンターで作業をしていた闇夜がぱたぱたとカフェのガラス戸を開け..
<河豚顔>を迎え入れた..
カックン..
「…??..」
工房へ進んでくる...くるまや...こやつの歩き方...どうにも..変だ..
まぁ..若い分..お狐様のキクタン..キクタン..つつんがつん..カクカックン..ではないにしろ..
『ぉ..そっか..昼間..しこたま"ロバレッスン"を受けた..つーことか..んくっ..』
くるまやは工房に入り..籠に入ったパンを見つけると明っかるぅ~ぃ<ひまわり顔>で
「こんちわぁ~(^0^)..」っと挨拶をし..
「いらっしゃぁ~~ぃ(^o^)」..っとテスが返す..
「忙しいとこ..悪いな..ドンジュン..」
「ぃ~の..ぃ~の..テソンさん..あとは店に出るだけだしさ..^^..」
くるまやが籠のパンに手を伸ばしながら言った時..
テソンはさっ..っと躱して籠を持ち上げた..
「駄目..手洗ってからっ#..」
「ぶぅー..相変わらず潔癖性ってわけ?..」
テソンは「そっ#..くふふ...」と余裕で笑い..くるまやの背を促して工房の入口へ進んだ
工房入口の椅子に鎮座しているはるみがくるまやにご挨拶をする..
「みゃんみょんみゃむみょみみゃぁん..(*^o^*)//..」
「何て言ってんの?..」
「ふぉ?..何だ..お前には読めんのか?..」
「猫語はわかんないのっ#..」
「くふ..『あんにょんはしむにか..』って言ったんだよね?..はるみ?」
「みゃ(^o^)//..」
「そっか..きひっ..可愛いなぁ..」
…すりすり〃..
はるみは椅子にお座りしたまま..スーツの上からくるまやの腹を撫でた..
「んなっ..な..今度は何さ..」
「ん?..『くるまやしゃま..ふっきん..まだまだあまいでしゅ..』ってなとこか?..はるみ..」
「みゃみゃ(^o^)//..(しょぅでしゅ~~はいきんもきたえなくてはなりましぇぬじょ#んっけっけ#..)」
「はるみは背筋も鍛えろとも言ってるみたいだぞ?..ドンジュン..」
「ぐへっ..何さ..怪猫じゃんか..」
「@_@..」
「『悪いかっ』..ってな顔してる..はるみちゃん怒らせない方がいいよ..ドンジュンさぁん..」
「やっぱし..ご主人様に似てるってわけ?..」
「何か言った?..」
「ぁぅ..ごめんなさい..mayoさん..」
くるまやの背後霊の如く立っていた闇夜は
ふふふふふ..っと不気味な声音で笑い..はるみを抱き上げた..
皆で階段をぞろぞろ昇り..廊下からリビングに進む間..
くるまやがぶつぶつ...俺等に呟く..
「ねぇー..ちょっとぉ..何で腹筋だの..背筋だの言うのさぁ..」
「ん?..今日から始まったんだってな..ロバのボイトレ..」
「え"っ..何で..知ってんのさ..」
「今日昼間..casaに参られた..ってことだ..」
「参られた..って..誰がよ..まさか..ミンチョルさ..んがっ?..来たの?ホント?..テソンさん..」
「ぅん..」
「うへっ#..何よ..何よ..ここに来て何にも食べずに帰るわけないよねっ」
「んまぁ..それなりに.."腹は"..満足なされて帰られたようだ..」
「ま..満足って..ぽよよんどうすんだろ..」
「"わきぽよ"は少しは取れた様子だったがな.."まえぽよ"はまだまだだなぁ..」
「でもさぁ..いくらか顔はスッキリしてきたんじゃないの?」
「BH面子はだな..」
「ぅん..」
「顔はいの一番に肉が落ちる..で..顔に最後に肉が付く傾向がある..ん..」
「ってことはぁ..顔ぷっくりの頃は..躰はかなりヤバイってこと?..」
「ん..そういうこった..」
「ぐわ~ん..僕も気をつけよぉっと..」
己のぺた(ほっぺた)と腹をすりすり〃と撫でていたくるまやであった..
テソンとテスが着替えを待つ間..
俺の作ったフォカッチャサンドを目の前にくるまやの@@が輝いた..
唇の端からちょいと舌先を覗かせる"ペコちゃん"スタイルの後..
プレートのフォカッチャサンドを掴もうとした..
「ちょぉーっと待った#..」
「もぉーまたお預けぇ?..」
紅茶を運んできた闇夜がくるまやに待った#を掛け..
俺はスーツのJKを着たままのくるまやからJKをはぎ取り..
闇夜が渡した物を広げ..くるまやの首を通し..くるまやにバンザイをさせて袖を通させた..
「んな#..んな..何っ..これぇー..割烹着みたいじゃんかぁー#」
「ぁのねぇ..<タブリエ>って言って欲しいなぁ..ドンジュンさん..」
「Daぶりえ..だか..Taぶりえがか知んないけどさ..恰好わりぃょぉ..」
「駄目駄目..ドンジュンさん..ぼろぼろこぼしそうだし..」
「ぶぅー#..子供扱いしないでよぉ..」
「まぁ..我慢しろっ#..出勤前にシャツやボトムが汚れるよりいいだろ?..お?..」
「ぁ..ぅん..まぁねぇー..」
「ん..じゃぁ..ほれっ#..思いっきりかぶりつけ#..」
「ぅん」
くるまやは膝丈で袖のある黒いタブリエを着せられ..
晴れてフォカッチャサンドにかぶりついた..
「旨いか?..」
「〃@@〃」
くるまやはもぐもぐしながら片手の親指を立てた..
ぱっくんぱっくん..もぐもぐ..もぐ..
くるまやのほっぺたはみるみる膨らんでいく..
「ふふ..詰め込みドン..ってこれかぁ..」
「ようもまぁ..膨らむもんだな..」
「くふ..ほんとだ..」
「凄いなぁ..へへ..風船みたいだぁ..」
「みゃぅみゃぅ(>▽<)//..」
闇夜と俺がそれぞれ椅子に軽く腰かけ..テーブルに頬杖をついて見ていると
着替えを終えたテソンとテスもやって来て..くるまやの顔を正面から覗き..
はるみは闇夜の腿にちょこんと座り..両前足を叩いて賛美を送る..
皆で暫し【詰め込みドン】の鑑賞タイムと相成った..
くるまやは俺等の視線を存分に浴び..目ん玉を左右にぐりぐり動かす..
…んぐっ..(→×←)..
「そろそろごっくんしなくちゃ..へへ..(^o^)」
テスはぽちゃぽちゃでくるまやの背をすりすり〃と撫でる..
…ごっ…くん..
首をカメの様に前後に動かしたくるまやは口腔内の物をやっと飲み込んだ..
くるまやは闇夜が差し出した紅茶のカップ&ソーサーから紅茶を飲み..
テスが2つに割って差し出したくりいむぱんをもぐもぐごっくんし..また紅茶を飲んだ..
「ほっ..・°☆.」
くるまやが小さく紅茶のため息を吐いた..
今度はテソンがチョコがけをした苺をひと粒摘んで..半開きになったくるまやの口に入れた..
あやかしの連中..くるまやに..
…至れり尽くせりである..
くるまやは2つに割ったもう半分のくりいむぱんを口腔に収め..
紅茶を飲んで落ち着いたところで..口を開いた..
「もぉー..何よぉ..みんなで..気持ち悪いなぁ..」
「「「「^^;;…^^;;…^^;;…^^;;..みゃ(^o^)//...」」」」
「ねぇ..何かあるんじゃないの?..もぅ..」
俺等の紅茶ともう一杯のくるまやの紅茶を運んできた闇夜がテーブルについてから
テソンがくるまやに言った..
「頼みがあるんだ..ドンジュン..」
「んなこったろうと思ったぁー..」
「^^;;..」
「何よ..頼みって..」
「ぅん..実はさ..」
くるまやはcasaの連中のマジな視線を感じたのか..今一度..背を正した
Sin and Sorrow 7 れいんさん
4回目のコールの後、受話器から彼女の声が聞こえた
「もしもし?」
「・・ウンス?」
「・・ええ」
「僕だけど」
「ええ」
「・・元気かい?変わりはない?」
「ええ、元気よ。あなたは?」
「うん。忙しくしてるけど元気でやってる。・・その・・あの子は?」
「今眠ってる」
「そう・・」
「・・」
「・・今誰かいる?」
「いいえ」
「・・今日、誰かが君を訪ねて来なかった?」
「クスッ・・」
「え?」
「あなたが聞きたいのは、つまり、スハさんが私を訪ねて来たかって事?」
「あ・・うん・・」
「来たわよ」
「・・それで?」
「もうお帰りになったわ」
「どれくらい前に?」
「そうね、2・30分くらい前かしら・・。雨が降りそうだったから傘を勧めたんだけど」
「そう・・」
「スハさんね、あの子へのプレゼントわざわざ持って来て下さったのよ。知ってた?」
「ああ・・本当なら僕が持っていくべきなのに・・すまない」
「いいのよ。あなたの気持ちはちゃんと受け取ったから。あの子が目を覚ましたらすぐに渡すわ」
「ウンス・・」
「はい?」
「・・ありがとう」
「私ね、実のところあなたが幸せそうで安心した。スハさん、とてもいい人ね。あなたの事、大切に思ってる」
「ウンス・・」
「それからね、あの子に会いたくなったらいつでも会いに来ていいのよ」
「え?でも・・」
「難しく考えなくていいの」
「会っても・・いいのか?」
「ええ、もちろん」
「本当に?」
「本当よ」
「・・そうだわ、スハさんと一緒にいらしたら?」
「いや、そういうわけには」
「ね?一緒に遊んでくれたらあの子もきっと喜ぶ」
「ウンス・・。すまない。君には本当にすまないと思ってる」
「よして。謝ったりしないで。あなたは私に最高の宝物をくれたでしょ」
「ウンス・・」
「スハさんには駅までの道順教えたわ。地下鉄の方が近いから」
「あ・・ウンス、ありが」
「あら、あの子が起きたみたい。それじゃ切るわね」
通話が切れるのを確かめて静かに受話器を置いた
何か複雑な感情が次から次に押し寄せてきた
うまく説明できないが、それは決して負のものではなかった
ずっと抱いていた後ろめたさや自責の念が
もやが晴れていくように、少しずつ空に昇華していくように
永遠に外れる事はないと思っていた足枷から解き放たれ、ようやく一歩踏み出せたのだろうか
ウンスと暮らした日々の記憶
僕達は体を重ねる事で必死に何かを掴もうとし
体を重ねる事で何かを失っていた
その時には得られなかったものが
今始めて僕とウンスの間に流れた気がした
駅までの道はすぐにわかった
地下鉄の構内に滑り込んでくる電車
機械じかけの人形のようにのろのろとそれに乗り込む僕
この時間帯はさほど混んでなかった
僕は人気の少ない車両の空いてる座席に腰かけた
あんな風に泣いたりして・・彼女の前で・・
気まずい後悔に目を伏せた
その時握り締めてたハンカチに気がついた
これ・・ウンスさんの・・
彼女がそっと差し出してくれた絹のハンカチはラベンダーの香りがした
彼女の香りに胸が締め付けられた
顔を上げると正面のガラスにはもう一人の僕がいた
電車が揺れる度にガラスの中の僕も揺れる
そこに映る僕は今にも泣き出しそうに顔を歪めていた
なんて顔・・
そこに映っているのは僕?
歪んでみえるのはなぜ?
僕の心が歪んでいるから?
さらさらと流れる清流がせき止められ淀んでいく
嘘や嫉妬や不安や嫌悪、そんなものが少しずつ沈殿して
そんな僕の心はまだ澄んでいると言えるのかな・・
僕はもう一人の僕から目を逸らした
電車を降り、地上への階段を上った
階段を上りきると、先ほどとはうって変わった別世界だった
ひどく雨が降っていて、まだ早い時間だというのに薄暗い
しばらくそこに佇んでいた
携帯電話をかけるもの、出迎えを待っているもの
そんな周囲のざわめきも僕には関係ない
ふっと土砂降りの雨の中に勢いよく飛び込んだ
雨に濡れても構わなかった
むしろこの雨で僕を綺麗に洗い流してほしい
シャツもスラックスもぴったりと体にはりつく
頬を伝うのは涙なのか雨なのか・・
その時急に雨が止んだ気がして空を見上げた
頭上には傘が差しかけられていた
振り向くとそこにあの人がいた
「派手に濡れたな」
「どうして・・」
「迎えに来た」
「だからどうして」
「話せば長くなる。とにかく帰ろう」
今すぐにこの人の首に手を回し、この人の胸で大声をあげて泣きたい
そんな想いに胸が熱くなった
肩を並べて歩くと、時折、僕の左肩と彼の右肩がコツンとぶつかる
彼はすぅっと僕の肩を引き寄せた
「あ・・テジンさんまで濡れてしまいます」
「いいんだ」
肩に置かれた手はとても温かくて、それが嬉しくて切なかった
「ごめんなさい。僕・・勝手な事をしました」
「何も言わなくていい」
「でも」
「僕が悪いんだ」
「テジンさん・・」
「・・ウンスと話した。ここに迎えに来れたのはウンスが教えてくれたから」
「え・・」
「やっとウンスに・・本当の自分になって話ができた・・そんな気がした」
「・・」
「ウンスは僕の罪を許してくれたのだろうか。そう思ってもいいんだろうか」
ああ・・そうじゃなくて・・
許すとか、許さないとかじゃなくて・・
彼女は・・
あなたの事を愛してるんです
あの時もずっと・・今もずっと・・
あなたが苦しまないように、遠くであなたを見つめている
それが彼女の愛し方なんです
心の中で叫んでいた
彼にそう叫んでしまいたかった
でも・・
彼女と約束した・・
その事は彼には告げないと
話さない苦痛と話した後の苦痛
もし話してしまったら、その苦痛は僕だけではすまなくなる
僕は出かかった言葉を呑み込んだ
その選択に間違いはないのか、心は揺れながら
家に着くと彼はすぐさまバスタオルで僕を包んでくれた
濡れたシャツのボタンが一つずつ外されていく
ベルトも外され、はりついたスラックスも全て脱がされた
バスローブを着せられ、濡れた髪も丁寧に拭いてくれた
彼のなすがままに僕はただ立っていた
そんな僕を彼はぎゅっと抱きしめた
はらりと落ちたバスタオルに手を伸ばそうとすると
彼は抱きしめる腕に力を込めた
「ずっとこうしたかった」
「テジンさん」
「急いで帰ってきたのに、おまえいなくてさ」
「・・」
「待っていてくれると思ってたのに、ひどいよスハ」
「ごめんなさい」
「朝まで一緒にいたのに、もう会いたくてたまらなかった」
「テジンさん」
「スハは僕の体の一部なんだと思った。スハがいなくなるのは体の一部を失う事だ」
「・・」
「だから僕の傍にいてほしい。」
「テ・・」
「愛してる」
息が止まる程の激しい口づけ
壁に押し付けられ身動きもできない
彼はありったけの情熱を僕にぶつけてきた
やがて僕も夢中になり、彼の首をかき抱きその口づけに応えた
彼の器用な指先が容赦なく僕を弄ぶ
わずかに離れた唇から思わず溜息が零れた
薄く目を開き見上げると、彼の濡れた瞳の中には僕がいた
La mia casa_41 妄想省mayoさん
テソンは言葉を続けようとした時..ちょいと悪戯な目でちろり..俺に視線を送る..
勝手知ったる俺が後の言葉を続けた..
「..ドンジュン..」
「…何..くまさん..」
俺の声音にくるまやは眦をぐっ..と強めた..
「お前さんにな..ちょいと潜入して欲しいとこがあってだな..」
「何..それ..どういうこと?..」
「ん?..あるところからな?..最重要機密事項をちょいと拝借する..そいうこった..」
「ちょ..ちょ..ちょ..っと..とととととっ」
俺を筆頭にテソン..テス..闇夜..はるみ..
眉ひとつ..ピクリとも動かぬ揃い踏みの無表情な面(ツラ)..
どっかんどっきん状態で順繰りに俺等の顔を拝んだくるまや..
「なん..なん..なんでぇーぼぐなのよーー..そんなの..ぎょんびんにだのめばいいじゃん..」
「あいつは駄目だ..」
「何でよ..」
「『自分は..はいこれ..躰総て隙無し#..どないなもんでござろうか』てな感じだろ?..」
「ぁ..ぅんまぁ..そうだけど..ぁのさ..ちぇみさん..」
「ふぉ?..」
「それ..すんごぃ..似てる#..ギョンビンそっくし..きゃは(^0^)//..
コートの衿なんか立てちゃうもんなら.."はぃ!..自分は潜入しましたです"..だもんなぁ..」
「だろ?..」
「ぅん..じゃぁさーちぇみさんとかぁ..mayoさんとかぁ..」
「俺と闇夜はメンが割れるとマズイ..後々の仕事にも影響あるんでな..」
「ぁっ..テスさんはどうなのよ..」
「こいつはなぁ..トトットコ..だろぉ..如何せん..忍び足で侵入..ってやつが出来んのだ..」
「んがっ..それ..妙に納得するわ..」
「へへ..(^o^)..」
「テソンさんは..って..無理か..」
「ガクッ..^^;;..そうね..覗きならバレない自信アリなんだけど..くふっ..」
「"拝借関係"ならさぁー..ホンピョ君とかいいんじゃないの?..」
「ホンピョはPCにはイマイチ疎い..それにな..他の物も拝借しちまう可能性も無きしも有らず也..」
「ちょっと危ない感じね..じゃぁ..逃げ足の速いドンヒ君ならPCもバッチリじゃん..」
「ドンヒはびゅんびゅん逃げ走る間にな?..折角拝借した最重要機密事項のディスク..落としちまうだろうな..」
「そっかぁ..それに..ドボン..水に浸かったら..」
「ん..拝借した最重要機密事項はパァだ..おまけにな..」
「何..」
「途中.."むにゃむにゃ"コトに及んでは困るわけだ..最重要機密事項はどうなる..」
「ぁ~らら..盗られちゃった..って可能性..大..かぁ..」
「ん..そういうこった..でな?..今回お前さんに白羽の矢を立てた..どうだ?..」
「ぁんもー..僕忙しいのっ#..歌に踊りに..他の仕事もあんのっ#..」
「なに..一日で終わる仕事だ..」
「ぼ..ぼ..僕絶対やらないかんねっ#..他当たってよっ#..」
「そっか..やっぱ無理か..」
「あったり前でしょっ#..」
「まぁ..お前さんは"この機密事項ちょーだいっ!!..駄目なのっ?#.."と..正攻法で攻めちまうかぁ..」
「そっ#..解ってんなら最初っから頼まないでよっ#ぶぅー..@8@..」
襟元と袖口に幅狭のレースを嵌め込んだタブリエを着たくるまやは腕を組んで<河豚顔>になった..
「「「「んくっ..へへ..くふっ..ふふふふ..みゃみゃみゃ..」」」」
俺はくるまやを揶揄するのを止め..casaの連中が声音を抑え..互いに含み笑いをする..
闇夜がすぅ..っとキッチンに立ち..
冷蔵庫から取り出した小さなココットをプレートに乗せ..テーブルへと運んできた..
その動線を目で追っていたくるまや..
「もぉ食べもんで釣られないかんねっ..」
っとは言ってはみたものの..
コトン..と目の前に置かれたプレートに視線が落ちるとくるまやは組んでいた腕を解いた..
「これさ..もしかして..☆o☆..」
「ん..Creme d'Angeだ..」 *Creme d'Ange=天使(Ange)のクリーム(Creme)
「わぉ!..」
「まぁ..お前さんは"ぱっりぃ~~"で食って来たとは思うが..」
「食べない食べない..食べてないってぇ~~~~」
「そうか?..」
「ぅん..頂っきぃ~~^0^..」
くるまやはココットの中のガーゼを開き..スプーンで掬ったそれをひと口..含んだ..
舌でクリームを転がす様に味わった後..
「うんまぃ#..ぁ~~しゃわせぇ~~^0^..」
と..スプーンを握りしめたまま..鼻の穴を膨らませた..
そしてくるまやは..またココットからふわふわのクリームを掬おうとした時..
スプーンを持つ手が一瞬止まり..無言でココットを見つめた..
テソンはくるまやの顔を覗きこんで言った..
「ドンジュン..そのうち落ち着いたらさ..一緒に食べたら?..これ..」
「@_@..テソンさん..」
「ん?」
「ぃぃのっ#..あいつのことはっ#..」
くるまやはココットめがけて乱暴にスプーンを立てた..
「ぉいぉい~~..ケーキに当たるなよぉ..俺がつくったのにぃ~ぃ?..」
「ぁ..ぁ..ごめんなさい..くまさん..」
小さく肩を竦めたくるまやはそれから小さめのCreme d'Angeを味わい..完食した..
スプーンを置き..俯き加減に優しく緩んだくるまやの顔を見..
俺たちcasaの連中も目許が綻んだ..
「ねぇ..ホントの頼みって何なのさ..」
くるまやは紅茶を啜った後..俺とテソンの顔を交互に見て言った..
俺が軽くいっ..っと顎で促すと..テソンがくるまやに話し始めた..
「実は..BHCにまた新人がひとり..入るんだ..」
「うっそ..きゃは#..名前は何て言うの?..」
「キム・ジュノ..」
「ふ~ん..ジュンホさんとおんなじ?..」
「ぅん..綴りはね..ややこしいから..じゅの君..」
「そ..ねぇ..若じゅの?..爺じゅの?..ぁ..じじぃは今んとこ..ソヌさんで出尽くしてるか..」
「たはは..今回は..若いね」
「ふ~ん..」
「"じじこまし"としては物足りない?..ドンジュン..」
「そうねぇ..」
「ぷっ..爺は今秋くらい?..mayo..」
「ん?..ぅ~ん..もちょっと早いかな..<なつものがたり>..だし..
それに..<若><爺>どっちで来るのか..爺なら..高齢も高齢..BHC最高齢..」
「うへ..<待機爺>もいるんだ..で..その若じゅの君..何してるヒトなの?..」
「学生..かな」
「現役の?..」
「ぅん..大学に通いながらバイトしてる..」
「そうなんだ..じゃぁ..ビョンウ君くらい若いんだ..」
「ぁ~~..ぃゃ..休学..復学..何度も繰り返してるからね..いきなり若くはないね..」
「休学..復学..って..学費..自分で稼いでるの?..」
「ぅん..そう..両親早く亡くしてね..学費と生活費..稼いでる..」
「偉いなぁ..頑張ってるんだ..ぁ..(小指たてる)は..いるの?..」
「いるよ..その彼女が..くふっ..ハリョンさんに酷似..」
「ぐえ”っ..」
…ずぼっ#..べちょっ..
くるまやは驚きの余り..
摘んで口許へ持っていったチョコがけ苺の先っちょを鼻の穴に思いっきり突っ込んでしまった..
苺は原型をとどめず..べちゃりと潰れ..
苺は半分だけ..チョコがけであるからにして..くるまやの片方の鼻の穴はチョコだらけ..
「オモ..」
「ぁ~ぁ..ドンジュンさぁん」
「ほ~れ見ろ..タブリエ着てて正解だっただろ?..」
「び..びっくりさせるんだもんっ#」
くるまやは闇夜から渡された濡れタオルで鼻をぐりぐり拭きながら文句を語った..
「そう言えばさ..mayo..ジョンドゥの彼女もハリョンさんに酷似..だったよな」
「ぁ..ぅん..おまけに..何れのお方も皆..非っ常ぉ~~に"強く"在らせられる..」
「んぐ..ぐえっ..ぁへん..ぇへん..」
くるまや...今度は口にした紅茶で噎せかえった..忙しい奴だ..
テソンが背を軽くとんとんすると..くるまやは
「ひぃーはぁーふぅー..」と深呼吸をして落ち着いた..
千の想い 78 ぴかろん
イナとテジュンがキスしてた
僕は台所の窓から
その光景を眺めていた
僕とそっくりのその顔に
可愛いイナがくちづける
ずきずきと心が痛む
この痛みは何?
僕はまだはっきりと自覚していない
この気持ちが何なのかを
テジュンが激しく浮き沈みしている
俺とヨンナムさんの事がよほど気になるらしい
俺の前では微動だにしない男が
ヨンナムさんに触れると崩れてしまう
俺はお前が好きだよ、テジュン
ヨンナムさんは…
…ヨンナムさんは…
カラカラという音がしてイナが家に戻ってきた
昨日テジュンが湯を沸かしていたヤカンで
僕も湯を沸かしている
しゅんしゅんと音を立てている僕
今見た二人のキスで
僕の血液は逆流している
この気持ちは…何?
ヨンナムさん…話って何?
イナが背後から僕に問う
僕はヤカンを見つめたまま、コーヒーを淹れるから待っていてと答える
もうお湯、沸いてるよ
あ…うん…そうだね…
コーヒーを淹れて居間に運ぶ
イナの前にひとつ
僕の前にひとつ
湯気をたてたカップを置く
話って?
もう一度イナが聞く
僕は一口コーヒーを飲み
口を開く
お前…僕の事が…好きなんだろう?
持っていたコーヒーカップを宙に留めて
イナが僕を見る
僕は瞼をぎゅっと閉じた
こうじゃない…こんな風にいうつもりじゃないのに…
イナはうふふと笑い答える
うん…好きだよヨンナムさん、俺達マブ達だろ?
僕はそっと瞼を開けて言葉を探す
何から言えばいいのかわからない
目の前の男にどきどきしている
イナはコーヒーをゆっくりと飲んでいる
確かめたい事はイナの気持ちなのか僕の気持ちなのか
もう一度目を閉じて深呼吸する
いつから僕の事…好き?
うーん…そうだなぁ…
友達としてじゃなくて
え?
僕に…恋愛感情持ってるだろ?
違うのに
こんな風に言うつもりじゃないのに…
…ヨンナムさん
僕はお前が好きだ
…
でもそれが恋愛感情なのか友情なのか解んない
…
お前の前だと僕は…素直になれる
ヨンナムさん
僕は…僕でいられる…
…
傍にいちゃいけない?
瞼を閉じたまま僕はイナに話し続ける
イナの小さなため息が聞こえる
だから…。俺達…友達だろ?
違う!お前は僕の事、好きなはずだっ
…ヨンナムさん…
それなのに僕は気付かないでお前に酷い事してた…
…
僕は言葉を止められなかった
なんて高慢な言い方だろう
違うのに
もっと…優しく…もっと温かく…
「ヨンナムさん」
「…え…」
「どうしてそう思うの?何で俺が…貴方に恋してるって…思うの?」
その言葉の後に『今更』がついている
「だって僕を見つめる目が…いつも潤んでて…」
「可哀想だからだよ!」
「…」
「彼女に囚われて、前に進めない貴方が可哀想だからだよ!」
「…イナ…」
「貴方は好きだ。友達としてね」
「…」
「…。それだけだ。変な事言わないで。じゃあ、ご馳走様」
イナが怒った
怒って立ち上がった
僕はイナに縋りついた
心臓がドキドキしていた
ヨンナムさんは突然俺の気持ちに切り込んできた
…いつ俺の気持ちを知ったのだろう…
まさか…テジュンが言った?
そんなはずない…
もう少しなのに…もう少しでヨンナムさんへの想いが断ち切れそうなのに…
なんで今更こんな…
俺がなにかヘマをしたのか?
いつ?
昨日?
ううん…だって昨日はまともに顔見てないもん…
貴方に直接言えないから
俺はテジュンに全てを話したのに…
とにかく俺は『友達として』ヨンナムさんと接したかった
でなきゃテジュンが…
テジュンが…
あの夢のように…
消えてしまいそうで…
立ち上がって出て行こうとした
ヨンナムさんが顔をくしゃくしゃにして俺の腰に縋った
やめてよ…なんでこんなこと…
テジュン…テジュン…
「イナごめん…待って…お願い…」
「…ヨンナムさん失礼だよ…」
「…ごめん…ごめんイナ…どう言えばいいのか…わかんないんだもん…ごめ…行かないで…」
「…」
「…傍に…いてよ…イナ…」
「ヨンナムさん…」
「…僕の心臓…口から飛び出しそうだ…」
「…くふ…」
「…。あれ…。イナの心臓もドキドキしてるよ…。イナっていつもこんなの?」
「…」
「こないだもそうだった…」
ヨンナムさんが可愛らしすぎる
俺はすぐに降参してその場にしゃがみこんだ
ヨンナムさんのくるくるした瞳が俺に甘えている
「ごめんね…イナ…自分の気持ち、人に話すの…慣れてないんだもん…」
「…。すぐ可愛い子ぶる」
「…」
「はぁ…負けた!しょうがねぇなぁ…」
「…いな…」
「…俺が…貴方を好きだって?なんでそう思うの?」
「テジュンはお前の気持ち、知ってるんだろ?」
「え?」
「…だからテジュン…あんなメールお前と僕に寄越した…」
「…」
「僕、気付かなくて…僕…僕…」
「…」
「イナ…正直に言って…僕をどう思ってるのか…」
「…。それ…言ってどうするの?どうなるの?」
「…」
「俺に正直になってほしいなら、まず自分から正直にならなきゃ」
「…」
ヨンナムさんは丸い目でじっと俺を見てスンと鼻をすすった
「僕は…正直に言ってるもん。お前が好きでお前の傍に居たいって。けど…それがどういう好きなのかわかんないって…言ったもん」
…そうだった…
ちくしょう…変なとこ理論的なおっさんだな…
俺はため息をついてヨンナムさんを見た
「…しょうがねぇな…」
テジュン…
いいか?正直に俺の気持ちを言っちゃっても…
俺は深呼吸してヨンナムさんに向き直った
「…貴方に『恋してた』…それはホントだ」
「…してた?」
「今は…今の気持ちは…少し違う…。貴方、可愛らしすぎるもん…。俺はさ、甘えさせてくれる人がいいんだ…」
テジュンみたいに…
「今の貴方は俺に甘えてるでしょ?だから『恋』の感情は…うーん…ないな…」
そこまで言うと、ヨンナムさんは俺の胸にしがみついた
どきん…
恋の気持ちがないなんて嘘だ
俺はこないだまでのヨンナムさんじゃなくて
今のヨンナムさんに
新たに恋をしているんじゃないか
その事に『今』、俺は気付いてしまった…
テジュン…どうしよう…
テジュン、俺はお前が好きだよ
一番好きだよ
だけどやっぱり
この人を放っておけないよ…
『僕は何も怖くない』
あんなに揺れる瞳で出て行ったくせに…
『なるようにしかなんないってことだ。だから…お前はお前の心のままに動けばいい。それが『キム・イナ』だろ?』
そうかな…ギョンジン…
俺…そうしていいのかな…
俺は目を閉じて、縋りついているヨンナムさんを抱きしめた
この気持ちが『恋』かどうかは…確実じゃない…貴方と一緒だね、ヨンナムさん…
「俺、貴方には幸せになってほしいと思ってる」
「…」
「そのための手助けならいくらでもするよ。俺もテジュンもそう思ってるよ、ヨンナムさん」
それが『確実』な俺の気持ちだもの…
「イナ…」
「うん」
「お前が僕を幸せにして…」
「え?」
「お前が僕を…」
「…」
どきんどきんどきんどきん
鼓動が激しくなる
ああ…この人って…紛らわしいんだったよな…ふ…
「…幸せって人に貰うモンじゃなくて自分で見つけるモンでしょ?」
偉そうな俺
俺はまだしっかりと自分自身の『幸せ』を見つけていないのにな…
「だからぁ…俺はぁ…ただの『手伝い』だ…」
「いやだ!」
「…」
「傍にいて!ずっといて!」
「ヨンナムさん?」
「いてくれなきゃいやだっ」
「…。ヨンナムさん、そこまで言っといて俺に『恋愛感情があるかどうか解んない』ってシラ切るつもり?」
「…だってっわかんないもんっ」
…
わっがままぁ…
自分本位ぃ…
「…なぁんか…付き合いきれないなぁ」
「いやだっ!」
「…。はぁ…こぉんな我儘な人だとはな…」
「…僕…我儘なの?」
「ダダ捏ねてるじゃん」
「…ダダ…」
呟いた後、ヨンナムさんはニヘラっと笑った
「…。何笑ってんだよ…こっちは困ってるんだぞ!」
取扱いややこしいな、この人…
「だって…『ダダ』なんて捏ねたことなかったモン…」
「…」
「いなぁ」
うわっ…甘えたモード全開じゃん!
俺の胸に頭を擦り付けてくふんくふん言ってるよ…
「…貴方…本当にヨンナムさん?」
見上げた目が『子供』だ
「…こんな風に甘えた事なかったの?」
コクンと頷く『子供』
俺の専売特許が…
俺は仕方なくその頭を撫でてやった
途端に嬉しそうな顔をする
たまんないな…可愛くて
子犬みたいだ…
「…ごめんねイナ…迷惑だよね…。解ってる…。でもお前にしか甘えられないんだもん僕…。お前になら…こんな僕も見せられる…」
「そういうのは…」
恋人に見せるモンだろ…
こいびと…
ヨンナムさんの中で、俺の『位置』はどんな風?
自覚できてないだけで『恋人』の立場?
俺はもう一度ヨンナムさんをきつく抱きしめた
テジュンと同じ顔なのに、テジュンとは明らかに違っている
テジュン
俺が、ヨンナムさんを抱えて倒れこんでもお前
受け止めてくれるのかな…
『俺はね、テジュンを好きな自分が好きだよ。テジュンを抱えたままギョンジンに倒れこめるよ』
ラブ…俺も…お前のように…テジュンに倒れこんでいいのかな…
『怖がらないで…僕は何も怖くない』
テジュン…
お前に俺を全て預けるから
この人を抱きしめることを
許してね…
その男 オリーさん
目の前の男は厳しい視線で私の企画書を見つめている
よくもまあこう図々しく感情を表に出せるものだ
それでもあまり苦にならないのは
その男の表情があまりに真剣で、かつ美しいからだろうか
神の手を持つと異名を取り、業界に君臨していたその男は
ある日とんでもないスキャンダルに見舞われ、一瞬の間に地に堕ちた
業界が違うこともあり、その後どうしているのか噂も聞かなかったが、
ある日突然、私の目の前に現れた
よりによってコンペで手に入れた大きなプロジェクトに割り込んできた
CM作成の最終段階、MA(Music Assembly)の前に
互いの企画書を検討するため、その男とふたりだけの打ち合わせをした
こんなことは、その男が割り込んでこなければ必要なかったことだ
CM撮影の後で、シン監督が音楽担当は決まってないんだろう?
と話しかけてきた時には正直呆れた
音楽担当は最初からいませんよ、CDの私がすべて仕切ります
そう答えた私に、監督はこの男の話をしたのだった
クライエントの意向は最優先
その知り合いであり、タイアップする映画監督の意向も無視できない
このCMが映画の前宣も兼ねていることを考えれば承知するしかない
まあそんないきさつはどうでもいい
その男が音楽の専門家でも、私にも自負がある
私はコマーシャル・ディレクターだ
CMに関してのさまざまなノウハウ、そして自分の感性には絶対的な自信がある
いくら相手があの男でも
互いの企画書に目を通し始めてすぐ、私達は互いに見つめあった
男の目からは何も読み取れず、私も感情を出さないよう努力した
公園のあの曲には絶対の自信がある
あの男もなかなかいい物を持ってきたが、譲れない
ソファ編はやられた
まさかあれを持ってくるとは
負けを認めざるを得ないだろう
そして窓辺編・・
こんなことがあるのだろうか
あの男と私はまったく同じ選択をしていた
これは引き分け
一勝一敗一分
やったと同時にやられた
いい勝負だった
だが男は厳しい顔のまま企画書を見つめている
私はその真意がわからなかった
男はてのひらを口元にあてて、私の企画書を睨み続けている
「驚きましたね、雨の窓辺編。同じ選曲だ」
私はたまりかねて声をかけた
男は弾かれたように顔を上げた
「あ、ああ・・そうですね」
初めて私の存在に気づいたかのような反応
ちょっと不快
「どうしました?」
「いや・・実はこの公園編ですが」
「それは自信があるんですよ。どうです?」
「・・・」
「どうかしました?」
「まずい・・」
「まずい?心外だな、私としてはそれはイチオシですけどね」
「だからまずいんです」
「は?」
男は意を決したように私に向き直った
「どうしてもこれを使いますか?」
「あなたのも悪くありませんよ、バッハは私も嫌いじゃない」
「でもあなたの方があのCMには合います」
「だったら・・」
「映画で使いたかったんです」
「あの・・抱擁で?」
「そう。ソニとジンが公園で散歩するシーンがあるんですが、
そこに入れたかった。もしくはジンの回想シーン・・」
「それで難しい顔をしていた?」
「やられた、と思いました」
男は初めて私の目をきちんと見つめ、苦笑いをした
「タイアップなんだから、同じ曲でもいいじゃないですか」
「そうも考えましたが・・やめた方がいいでしょう」
「潔癖な人だな」
「イメージは似ていてもいいけれど、やはり・・」
男はそう言うと、もう一度私の企画書に目を落とした
映画で使うつもりの曲を私が選んでしまったのか
だがここは私も譲れない
CMは私の作品なのだ
作るからには完璧に仕上げたい
さあ、どう出てくる?
神の手君
またしばらく沈黙の後、唐突に男は口を開いた
「こんな事もあるんですね。あなたとは感覚が似ているのかな」
男は口元に美しい笑みを浮かべて、企画書から私に目を移した
「確かに・・窓辺編はちょっと遊んでみたくなって。
ジンのスタイリッシュな部分を表面に出したくなりまして」
「同じです。映画のストーリー性よりもジンの大人の魅力を強調したくなって」
「短いバージョンではアップテンポから入るのはどうでしょう」
「そうですね、画面と合わせてみましょう」
「ソファ編は思いきり映画のイメージですがあまりにダイレクトすぎませんか」
「やるならとことんやらないと」
「なるほど・・・」
「前奏なしでいきなりヴォーカルから入れたら?」
「いいでしょう。僕のモーツァルトを引っ込めますよ」
「じゃあこれで決まりですね」
「公園は?」
「僕のバッハを引っ込めます」
「映画の方は?」
「また考えます」
「あっさり引きましたね」
「実は引っかかっていたのは、ディアハンターなんです」
「ああ、使われてましたね。でも随分昔の映画ですから」
「そうです。でもあなたにダメ出しされてさっぱりしました」
「あきらめがいいなあ。じゃあ遠慮なく」
話し合いが終わると男は私の方へ手を差し出した
「ムリを聞いていただいてありがとうございました」
「いや、評判どおりでしたよ」
「どんな?」
「あなたは神の手を持っていると」
「それは単なる噂です。実際はこのとおりです」
「このとおりね・・」
「何か?」
「いえ、とにかく良いものができそうだ。ありがとう」
「こちらこそ」
その後、早速仕上げの作業に入った
映像と音楽をつなぎ合わせ、フィルムの完成だ
打ち合わせの後から編曲を担当した長身の作曲家が加わり
いい仕事ぶりを見せてくれた
そのおかげもあり、作業はスムーズに進んだ
もちろん2日間徹夜にはなったけれど
男と作曲家は最後まで付き合った
本当に評判どおりの男だった
だが違っていたこともある
神の手を持っているゆえに傲慢であるとも聞いていた
たぶんそれは仕事に対する厳しさが誤解されたものだろう
私の案を飲んだ時のあの男の態度は傲慢ではなかった
他人を認める冷静な判断力を持ち合わせていた
また一緒に仕事がしたい、そんな気持ちになれた数少ない相手であった
そして
その男がヒョンジュを演じるという事に少なからず納得がいった
ソファ編にあの曲を選択したのは
ジンを愛しているヒョンジュだからこそではなかったか
男が演じるというヒョンジュを見てみたくなった
無垢な心を持ち続け、愛する男のために白い波に消えていったヒョンジュ
一見、ヒョンジュのかけらも見当たらないその男の中に
何が潜んでいるのだろう
チロチロと青白く揺れる炎のように静かに激しい情を表す瞳と
北国の森に埋もれた湖のような深い哀愁を帯びた瞳とを併せ持つ男
その男・・
イ・ミンチョル・・
Brian Weaver CM オリーさん
「Brian Weaver : New line for season’s knit sweater CM-Asian version」
メインコピー I feel you
サブコピー Jin Blue
制作 マッキャンエリクソン・ファー・イースト
ディレクター カン・ヒソン
撮影協力 シン・ジソク
音楽協力 プロダクション・ミューズ
メインキャラクター チェ・スヒョン
Version 1: 「木漏れ日の公園編」
音楽:「
Cavatina
」Stanley Myers
Performed by Goran Sollscher
(Disc:1, No. 5)
Version2:「雨の窓辺編」
音楽:「
Bossa Baroque
」Dave.Grusin
Performed by Daive Grusin
Version3:「思い出のソファ編」
音楽:「
Ave Maria
」F. Schubert
Performed by Slava
(右のリスト8番め)
千の想い 79 ぴかろん
顔を上げて、ヨンナムさんの髪にくちづけした
ヨンナムさんは潤んだ瞳を俺に向けた
「正直に言う…。貴方が…好きだよ…」
「…どういう『好き』?」
「今言おうと思ってたんじゃん、せっかちだな。雰囲気ぶち壊しだしっ」
「…怒っちゃやだ…」
「…」
ラブ…俺、今、物凄くギョンジンの気持ちがわかったぞ…
お前とヨンナムさん…全然違うけど…似てる…
この人『魔性の男』だ
「けほ…あー…。んと…んとね…」
「うん」
可愛い…
「けほ…。あー…その…」
「早く!」
せっかち…
「けほん…」
「なんだよ」
「…あのさぁ…」
「なに?」
「人が喋ってる時はちゃんと聞きなよ!そんなんじゃ恋なんてできないぞ!」
「!」
あ…拗ねた
ヨンナムさんは、拗ねて俺の胸をぐいっと押し、顔を背けた
俺はそんなヨンナムさんを見て苦笑いする
不思議だな
テジュンと居ると包まれている気持ちが大きいのに
この人は、振り向かせて包んでやりたくなる…
テジュン
お前の『従兄弟』だ
ナマの自分を俺に見せてくれている
俺がこの人を包んで
お前がその俺を包んだら
お前にもこの人の『本当の部分』が解るんじゃない?
…言い訳かな…
そんな理由をくっつけて俺は
お前に認めてもらおうとしてるのかな…
けどさ…
『俺』を通してでもいいから
お前もこの人の事、解ってあげてほしいな…
拗ねたままでいるヨンナムさんを背中から包み込む
貴方が幸せをみつけられるように
俺はテジュンも引き連れて、手伝うよ
「貴方が…好きだ…ヨンナムさん…」
「…」
「どういう『好き』かって言うとね…」
「…」
「『友達以上、恋人未満』…かな?」
「…なにそれ…」
「だってそうだもの」
「…それなら僕だってそうだもん」
「だろ?俺達ってそういう関係なんだよ…」
「テジュンとは?」
「ん?無論…恋人だよ…」
あんなそんなこんな事してるもーん
「…」
あ…膨れた…
「なによ…」
「…べつに…」
「…傍にいるよ…」
「…。イナ…」
ヨンナムさんは体の向きを変えて俺に凭れ掛かった
俺はヨンナムさんの額にキスをし、その瞳を覗き込んだ
可愛くて愛おしい…
「俺達…付き合ってみる?」
「…ぅん…」
どきどきした
いいのだろうか…
テジュン、俺、いいんだろうか…
でも
放っておけない…
テジュン…お前、俺の心にいるよね?いてくれるって言ったよね?
『僕は何も怖くない』
心の中のテジュンに微笑む
そして目の前にいるヨンナムさんに微笑む
俺はテジュンとともに、貴方を『愛する』のだろう
「ほんとに付き合う?」
「…ぅん…」
「俺、男だよ?」
「…ぅん…」
「覚悟できてる?」
「…なんの…」
「くふふふ」
「あ…の…その…ナニのアレ…とか?」
「…。くわっはっはっ…。心配しないでよ、俺、貴方とそんな風になるつもりはないからさぁ」
「…あ…そ…。なんだ…。そんなつもりは…ない…んだ…ふーん…」
「…なに?残念?」
「あ…う…ううん…別に…」
「…一つだけ条件がある」
「?」
「俺の背中にはテジュンがいる。俺はテジュンを愛してる。それを解ってくれる?」
「…テジュンを…愛してるのに…僕も好きなの?」
「うん」
「…両方を?」
「うん…」
「…うわきものだ…」
「…そだね…浮気者だ…」
「…わかった…。割り込んでるのは僕だもの…」
「そうだよ…」
「…でも好きだもの…」
「…」
ヨンナムさんが俺を見つめて、それから目を閉じた
くぇぇっ…もうキスのおねだりかよ…
どうしよう…
そりゃ今までに何回かキスしてるけど…
つ…付き合おうってさっき言ったばかりなのに…う…うう…
い…いいかな…いいのかな…
なんか調子狂うな…
大体今まではテジュンとかギョンジンとかが主導権握ってて、んでもってラブなんかもそうだったし…
いや…待て…
俺から仕掛ける事だってあるわ…
そだ…そうだよな…
れも…
こぉいうのって初めてらし…くふん…
いや待て!初めてじゃねぇ!
スヨンと居た頃はスヨンが『こう』だったじゃねぇか!くふん…けひん…
そっか…あの頃を思い出せばいいんらな…
んじゃちっと失礼して…
「ん?」
ヨンナムさんが俺を睨んでいる
「…なに…」
「遅いんだもん!」
「…遅いって…」
「せっかく人がその気になってるのにっ!ばかっ!」
「…ばかって…」
なにこれ!
どういうことよ!
なによこの人!
※208へ続く
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
株式投資でお小遣いを増やそう
2026 いちろう銘柄220%利食い達成…
(2026-05-26 22:55:33)
ニュース
mineo契約事務手数料無料ご案内
(2026-05-27 06:06:50)
★資格取得・お勉強★
勉強を休んでしまっても「リカバリー…
(2026-05-19 20:48:17)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: