ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

リレー企画 213

無言歌   オリーさん

柔らかなピアノの音で目が覚めた
おだやかな旋律が寝起きの頭に染みこんで心地よい
枕を静かにたぐりよせる
気配で彼はすでにベッドにいないことがわかる

ちょっと前に寝室にも音が欲しいと彼が言い出した
そして選んだのはボーズのコンパクトなWave Music System
小さいけれど音質はなかなかだ
難しい配線もなく取り扱いがやさしい
それを買ってから、彼が早く起きたときは時々音楽をかける

今流れているメンデルスゾーンはつい最近買ってきたらしい
この間からわりとよくかかっている
僕もこれは好きだ
ゆるやかに流れる清流のイメージ
僕は枕を陰でゆっくりと目を開ける
片方の目がその先にソファに座っている彼を見つける

彼はというと、ソファに腰かけうつむいている
枕から少し顔をずらせて視界を広げる
うつむいているのは本を読んでいるからだった
台本・・
伏し目がちな視線は静かに本を追っている
僕は枕に隠れながら彼が本を読んでいるのを見つめる

あれは何日か前の夜
僕たちはベッドの上で本を読んでいた
僕がベッドの背にもたれて推理小説を読んでいると
彼が台本を手にやってきて僕の腿を枕がわりにして寝転んだ
僕はそんな彼のやり方が好きだ
少しして彼が突然僕に話しかけてきた
なぜ、ヒョンジュは死を選んだんだろうと

僕は思わず読んでいた本から目を離し彼の顔を見つめた
彼は僕を見上げていた

ヒョンジュが死んだ事でかえってジンは苦しむだろ。
なのになぜヒョンジュはそんな方法を選んだんだろう

普通に考えればそうだけど、でもヒョンジュは普通じゃないでしょ

病いのせい、それとも純粋すぎたってことか?

ヒョンジュが純粋なのは、辛い過去を封印して現実から乖離してたからでしょ。
だからジンにとって自分が邪魔な存在だってわかった時には、
自分がいなくなればいいんだって、それだけ考えたんじゃない

彼は体を僕の方に向けて言った
あまりに短絡的じゃないか。遠くへ行くとか、別れるとか、
そういう選択肢だってあるだろう

だからそれがヒョンジュなんだよ、きっと

彼は大きくため息をついた
何度読んでもわからない・・なぜ死んだのか

ヒョンジュにとって死は特別な意味がなかったかもしれないね
簡単に自分がいなくなれば、またジンが笑ってくれるって思ったのかも

ジンに笑顔を取り戻すために命を絶った?

手紙があったよね。もう苦しまないでください、だっけ
僕が消えるからまた笑ってくださいっていう意味じゃないかな

エゴイスティックじゃないか
ジンは2通目の手紙をずっと読めなかった
そしてなかなか立ち直れなかった・・

ジンが2通目の手紙をずっと読めずにいるなんて想像もしてなかった
自分がいなくなればジンは笑ってくれる
だから2通目の手紙はすぐ読んでもらえると思ってた
ヒョンジュは笑ってくれたジンに一言お礼が言いたかった
僕は消えるけど幸せでした・・って

それにしても自分だってジンを愛してたはずだろ
しかもジンと行った海に入った
それでますますジンは追い詰められた

ヒョンジュは自分を消したかった。
それにはあの海が必要だったんだ

なぜ?

なぜと聞かれて僕は思わず言葉に詰まった
僕を見上げた彼の目は僕をうながす

ヒョンジュもやっぱり愛してたんだよ、ジンを
だから自分を消してもジンといたかった
それがあれだったんじゃないかな
あの海に入ることでジンを永久に手に入れられる
二人で行ったあの海でなら・・
ずっと・・・ジンに抱かれていられる・・
そんな風に考えたかも・・

話しながら心拍数があがっていくのを感じた

ヒョンジュにとって考えられる最善の方法だったってことか

たぶん・・でもよくわからないよね、やっぱり・・

僕は落ち着いている風を装い、ちょっと言葉を濁した
彼はそんな風に考えたこともなかったと言って
僕の腿の上で目を閉じた
僕は心拍数を上げたまま、その顔を見守った


そこまで思い出した時、
彼がふと顔を上げ、ソファにもたれるのが見える
視線を宙に飛ばしながらピアノの旋律をたどっているのがわかる
どこかいつもと違う表情・・
柔らかく美しく・・そして呆けたかと思うほど無垢・・
ヒョンジュはいつもこんな表情をしていたのではないだろうか
初めて彼の中にそのかけらを見た瞬間
僕の胸がさわさわと音をたてる

リピート設定がしてあるのだろう
その朝はずっとあの曲が流れていた
僕はおはようの一言がなかなか言えず
枕の陰からいつまでも彼をながめていた
そして彼が音楽を止め、僕のそばにやって来た時には
寝たふりをしていた

ジンとヒョンジュが初めて口づけをするシーンに
彼がこの曲を選んだと知ったのは、しばらく経ってからのことだった

メンデルスゾーンの無言歌第1巻第1番ホ長調作品19b-1・・


千の想い 96   ぴかろん

ジャンスさんは並んだ『同じ顔』を眺め回してオロオロしている
ソクをみつけてひときわ大きな「おおお」という声を発した
テジュンは並んでいたドンジュンにとっ捕まり、和やかな顔で話している

最後尾にいた俺を見つけて、ジャンスさんは「おおおおおぉー」と叫び、おもむろにハグした

「げえぇ…ぐるじいよ、ジャンスさん…」
「なんでこんなにいっぱいおなじかおなんだっちがうかおもあいつとおなじかおだしっ」
「しょうがないだろ?それがウリなんだから」
「こわいよぉこわいよぉ…」
「怖くねぇよ!席に行こう、他のお客様が先に進めねえよ、ジャンスさんガタイデカいんだからさぁ、邪魔だし…」
「おおおお…」

少し涙目になっているジャンスさんの背中を押しながら、俺はボックス席についた
座ったあともジャンスさんは落ち着かない様子できょろきょろしていた

「あとで一人ずつ紹介するよ」
「えっ!ひ…ひとりずつ?!…名前覚えられるだろうか…同じ顔なのに…」
「大丈夫だよ、みんな個性強いからさ」

「こんな刺激の強い店は初めてだからロックをバーボンで」…と、とっ散らかったジャンスさんはマジな顔で言った
そのまんまウシクにオーダーした
さて、何がでてくるやら…

ドンジュンと和みながらこちらへやって来たテジュンを迎える
ドンジュンは「指名が入ったから後でねぇ」と行ってしまった

「あのセンター君は、若そうだな」
「センター君?」
「真ん中分け…」

…まんまかよ…
ジャンスさんは空回りしている
そわそわと目が泳いでいる

「先輩、落ち着いてくださいよ」
「いらっしゃい、てじゅ」
「ああ。先輩何頼んだの?」

テジュンは俺をチラっと見て、すぐに顔を背けた
俺は奥歯を噛みしめた

「…イナ」
「あ…え?」
「僕も先輩と同じもの」
「え…ロックをバーボンで?」
「…。ああ」

やっぱり面白くないらしい。別段なんの反応もせずにテジュンはジャンスさんと話を始めた
ウシクに頼むのも悪かったので俺は席を立って厨房に行こうとした

「どこに行くの?!」

責めるような口調でテジュンが言った

「ち…厨房…。注文しに…」
「だったらついでに、タコのから揚げとスティックサラダと軟骨揚げとチャプチェ、頼んどいて」
「あ…うん…」
「復唱しないの?」
「覚えてるよ、IQ155だから」
「イヤミなヤツ」

そう言ったテジュンはいつものテジュンのように思えた
俺は厨房に行き、注文した
テソンが苦笑いしながら、ロックをバーボンでってのをどうしようかと思って…と言った

「山のようなロックアイスにバーボンを少しだけ絡めるとか?」
「普通のバーボン・ロックでいいんじゃねえの?」
「だってウケたいじゃん」
「そんなにもウケないよ、きっと…」
「…そっかなぁ…。ナイスな注文だと思ったのになぁ…」
「テソン」
「ん?」
「お前ぐらいだよ、こんだけ反応示すの…」
「…」

普通のバーボン・ロックを運ぶ
ジャンスさんは文句を言わずに飲んでいる
やっぱしこれでよかったんだろう…(^^;;)
今日はどんな仕事だったの?と二人に質問してみた
どんなって…とテジュンが口ごもり、今日は電話とメールしまくりだ!とジャンスさんが勢いよく答えた
その時

どたばたどた

入り口が騒がしくなった
客席のみんなが入り口を振り返った
ギョンジンとラブが駆け込んできた

チーフが二人を指でクイクイと呼び、息を切らせた二人は客席の合間をするすると移動する
見つめていた俺とラブの視線が絡んだ
ラブは通路側に座っていたテジュンの首にいきなり巻きついた

「わ…」
「いらっしゃい…ごめんね遅くなって」

ラブは呟いてテジュンの耳元にそっとキスをした
俺はもう一度奥歯を噛みしめた…
巻き付けていた腕をするりと離し、ラブはギョンジンを追った
呼吸するのを忘れていた俺は、ハッと息を吐いた

「てじゅんあれはだれだなんなんだいなのまえでおまえにあんなそんなおお?」

ジャンスさんは相当ショックを受けたらしい
テジュンは苦笑するだけで、何も言わない

「いいいいないな、あんなのアリなのか?ええ?おい!」
「アリだよな、イナ?ここでは何でもアリだもんな」
「…。ある程度の事はね…」

テジュンの口調は意地悪だった…
その後もキョロキョロするジャンスさんと、テジュンは話し続けていた
俺を見ようとしない

笑顔…
作らなきゃ…

俺はさっきやった『笑顔体操』を思い出した
一分、二分、三分、全開、前歯、奥歯も、口閉じてむぃぃん…最後にアヒル口

「きききむいないないな…なななにやってるんだいなっ…」
「あ…の…顔面体操…」
「俺もやりたいぞっそれ!」

ジャンスさんは大きくない瞳をキラキラ輝かせて身を乗り出した
俺はジャンスさんに指導した
ジャンスさんの口では、『奥歯を見せる』なんてできっこない…
それでも一生懸命口を開けて「ほえららろうら」と意味不明な言葉を言った

「あんまり頑張りすぎると顎、外れるよ。そろそろ口閉じて横に広げるのやってみて」
「ん…んんんんぃぃぃ」
「…ま…そんなもんだよな…で、最後にアヒル口」
「むにゅ」

ヒヨコの口みたいだ…

「オッケー。お顔の筋肉ほぐれましたか?」
「あおお…なんだか顔がイキイキしてる気がする。女房に教えてやろう!」

喜んでいるジャンスさんに『初めてのお客様へ』を渡した

「なんだこれは?」
「ここのホ○トの顔写真と名前、それから得意技が書いてある。ジャンスさんには全員の技を見てもらうつもりだけどさ、多分みんな他の席についてるからリクエスト順にこっちに呼んで来るけど…」
「ほぉぉ…ちっと資料を検討させてくれ…ふむむうむむ」

ジャンスさんは真剣にパンフレットを読み出した
テジュンは口元に微笑みを浮べ、ジャンスさんの持っているパンフを眺めながら無言でバーボンを飲んでいた


千の想い 97  ぴかろん

ジャンスさんがパンフに目を通している間に、俺は手の空いていそうなメンバーを探した
ミンチョルとギョンビン、ドンジュンとスヒョンも接客中、ラブとギョンジンはスヒョンに何か言われた後にこれまた接客に入ったし(ちょっとほっとしたりしてね…)、ソクとスヒョクもやっぱりお客さんがついてる
テプンとシチュンとチョンマンは裏だな?そろそろステージが始まるらしい
テジンとスハ…接客中、ジュンホ君のまわりには何故か新人が全員くっついている
ジュンホ君のペースで教えてもらうのが一番解りやすいだろうな、うん…
イヌ先生は…ああ…黒板引いて持ってきた…今からあっちで『技』をかけるらしい
心なしか顔が蒼ざめている
大事な物が折れたようだが、大丈夫なんだろうか…
ウシクはお客さんと一緒になって胸の前でお祈りポーズしてイヌ先生を見つめている
勿論ハートの瞳で…
テソンは厨房だしなぁ…
後でテソンスペシャルな一品をシェフ自らサーブしてもらおう
って言っててあんまり意味が解んないんだけど…その時ジャンスさんに紹介しよっと…
…テソン、「ロックをバーボンにしてみました」とか言ってウケないウケ狙い、しないだろうな…
とすると…今、暇そうなのは…ジホさん、ソヌさん、ドンヒにホンピョか?

俺はジャンスさんの持っているパンフの、その4人のところを指さして、今ならこいつらオッケーだよと言った
ジャンスさんがリクエストする前に、偶然なのか空気を読んだのか解らないけど、クールなあの人がやって来た
カツカツカツ、パチン☆とゴミを指さしながら俺達のボックス横を通り過ぎようとしたソヌさんの左手を掴んだ

ピタ

立ち止まり視線を俺に向けるソヌさん

…@_@…

…_ _ ;…

「なにょ」
「…あ…の…今…ふ…ふりーっすか?」
「…@_@。恋人がいないかどうかっていう意味?」
「いっいえっ…あの…指名入ってないかどうかっていう意味っす…」

よっくよく考えてみれば、俺はまともにソヌさんと喋ったことがない…ような気がする
ドキドキしながら返事を待った

ヒラリ どかっ☆

ひいいいぃぃ

ソヌさんは俺が掴んでいた左手でソファの肘掛を持ち、そこを支点にして俺の背中ごしにひらりふわりとソファの背もたれを跳び越し
そして俺の横にどかっと座った
すっげぇ…

ジャンスさんがその一連の動きを見て目をまん丸…まん丸…よくわからない…○になっているのかいないのか…小さいもん、垂れてるし…
とにかくその、驚いた顔をした

「キム・ソヌです。初めまして」

ジャンスさんはまん丸…まん丸…驚いた目をすぐに『通常モード』に戻し(よくわからない…小さいし垂れてるし)た
それから、はっきりと瞳に『炎』を灯した
おお…イ・ジャンスさんが燃えている…
ガタイもいいし…なんか…『不動明王』が背負ってる火焔みたいなオーラが見えるぞ…おお…
でも…なんで燃えてるんだろう…
俺は勇気を振り絞ってテジュンに聞いてみた

「あの…テジュン…なんでジャンスさん、こんなに闘争心剥き出してるの?」

ばちっばちばちっ

ソヌさんはクールながらも鋭い視線をジャンスさんに投げ、ジャンスさんは直球の『挑戦状』をソヌさんに叩きつけている
テーブルの上で双方の視線がぶつかり合い、火花が散っているようだ

「ソヌさんの華麗な技のせいだろ」

テジュンはチラっと俺に目線を飛ばしてそう言い、すぐにまたパンフに見入った
固まりそうになった…

「初めましてイージャンスーですっドラマの監督ではありませんっ」
「存じておりますょ」
「今の技、相当な達人とお見受けしましたが…」
「序の口ですょ」
「…。後ほど勝負などできますかな?」
「先輩!」
「喜んで」
「こら!イナ!先輩とソヌさんを止めろ!店がぶっ潰れてもいいのか?」

テジュンの視線で固まった俺がテジュンの声で融かされる
はっとして、勝負は禁止だよとジャンスさんに言う

「ソヌさん…あの…他の技を見せてあげてよ」
「技?もう見せたじゃないの…」
「え?」
「イージャンスーさん、パンフを…」

ソヌさんはジャンスさんの方に顔を寄せてパンフを指さし、ニコリともせずに言った

「カツカツ歩き、ポイントチェック、オプションのアクションょ」
「…ぽ…ポイントチェックって?」

まさか生え際のチェッ…

「ゴミ、落ちてるのチェックするやつ。カツカツ歩きと組み合わせて今やったでショ? @_@」
「あ…お…うん…」

ごわい…

「見逃しましたぁぁ」

ジャンスさんが叫んだ

「@_@」
「すみませんがこのスタンドパチパチという技は?」
「できないのょ」
「なに?」
「この席ではできないのょ」
「なぜ?」
「できるのは唯一、あっち。スタンドあるでしょ?あそこでだけね」
「ああ…スタンドが必要と…」

ジャンスさんは胸のポケットからペンを出して、パンフの余白にメモしている
何のために!

「ではこの『DO-EMU』…なんと発音するんですかな?『ドゥ・エメ?』シリーズって言うのは?」
「できないのょ」
「なに?なぜ?!」
「ちなみに発音、それ気に入った。今度からそう発音してもらおうかナ」
「できないのはなぜ?」
「ここではできないのょ。装置がいるから。このメニューは…ほら…アスタリスクがついてるでショ?他のメンバーのメニューもそうだけど、アスタリスクつきの技は、外に出なきゃなんないのょ。だから特別料金がいるのょ。ミンチョルさんの『三車線斜め横断運転』とか『涙で高速ぶっちぎり運転』とか『ホテルの備品破壊体験』とかってのもそう。掛かる経費はお客様持ちで、全てのシチュエーションを整えていただいた場所に行って技を披露するのょ。ボクの場合は倉庫と倉庫敷地内の地面、水道なんかも要るのょ。かなり経費が掛かる…。それでも敢えてっていうお客様には、出張料金頂いて技を披露するんだけど、頼んだ人はいないよね?イナ」
「はっひっ…うん…は…はいっ!」
「@_@」
「…へ?なんですか?ソヌさん…」
「@_@ イナ、緊張してるの?」
「はへ…はい」
「@_@ テジュンさんがちょっとクールだから?」
「は?」

ちっちっ違うよ!ソヌさんに『イナ』って呼ばれたから緊張してんだよ!
表情変えずにグサっと来るような事言うなよな!

「なにか言いたいことがあるなら言って…@_@」
「なにもっ!」

叫ぶように答えた俺を、さらにじぃぃっと@_@見つめるソヌさん
メモを取り終えたジャンスさんが唸りながら言った

「うぉぉ…残念だなぁ…。ちなみにキム・ソヌさん、『ドゥ・エメ』シリーズはどんな技なんですか?」
「そうね。説明だけなら…」

ジャンスさんは身を乗り出して懐から手帳を取り出した
本格的にメモを取りたいらしい…
だから…何のためにだよ…



La mia casa_47    妄想省mayoさん

「みんなよんでくりゅね..まよ..」
「ふふ..お願いね..はるみ..」
「みゃ#..がってんしょうちでしゅ..(^o^)//..」

ッタッタッタッタ...
はるみがキッチンを出..廊下を走って階段を降りていった
~~~
…トン#..「みゃ!みゃ!..みゃんみゃぁ~(*^o^*)//」

昼を過ぎた時間帯..
はるみが工房入口ドアの椅子に乗り..工房にいる僕達男3人に向かって両前足を叩いて啼いた..

『さぁさぁ..ごはんですよ..』
の合図である..

「ぁ..ちぇみぃ~~お昼ごはんだ..(^o^)..」
「のようだな..どれどれ..2Fへ上がるか..」
「ぅんっ(^^)..」
「くふっ..迎えに来た?..はるみ..」
「みゃ^^..」

僕がはるみを抱き上げ..皆でらせんの階段を昇った..
男3人がテーブルに付くと闇夜はそれぞれのランチョンマットの上にプレートを置いた..
最後に闇夜が座って皆で両掌を合わせる..

「「「「いただきまぁ~~す」」」」

今日の昼食は闇夜が作った..<そーす・ぼへみあん>..ご飯と食べるフレンチ煮込み..ってとこかな..
何故に<そーす・ぼへみあん>かと言えば..
闇夜がボヘミアンの際..仏で仲良しになった飲み仲間..ビストロの親父から収得したから..だそう..

「ぁ..テソン..これ..アタシ..使ってもいい?」
「ん?..いいけど..」
昨日..僕がcasaの分として別に仕入れてきた牛ホホ肉を見つけた闇夜が楽しそうに笑った..
この料理..3.4時間程..弱火でじっくり煮込むから..朝から外出せずにcasaにいた闇夜は軽い朝食の後..
家政婦仕事を済ませると直ぐさまキッチンに立った..

闇夜は素人ながら..煮込む際に【アクや脂を丹念に取除く】という基本作業を
"敵を討つ#"..かのようにとりわけ丁寧に行うためか..煮込みのソースは雑味がなく..クリア..

プロの僕やちぇみが作るそれとは違い..
闇夜の料理は時に..ほんのり家庭的な.どこか."おかーちゃん"的な味わいが漂う
一応生物学分類上.."おんな"である闇夜に僕を始めとする男連中が勝手にそう感じているのかもしれないケド..

皆で<そーす・ぼへみあん>がを口に運んでいると..♪Breab Heart...
皆はそれぞれボトムのポケットをまさぐったり..テーブル上に置いた携帯の着信窓を覗いたり..
いつもの光景だ..

4人の着信音が同じ..というのは..ちょっと紛らわしい..
でも..僕等4人は敢えて..変えようとはしない..

僕は点滅している携帯を開いた..

「ぁ..ドンジュン…」
僕が電話に答えると..3人は揃って手にしていたカトラリーをカチャリと置き..
座ったまま..僕に向かって身を乗り出して聞き耳を立て始めた..

「ぅん..ぅん..え?..ほんとに?..やったっ#..さんきゅー..ドンジュン..」

ツンツン....ぱこぱこ..
闇夜が僕を突っつき..はるみが僕の腕を叩き..各々その手で自身を指した..
僕は開いたままの携帯を闇夜に渡した..

「ドンジュンさん.かむさはむにだ..」
「みょま..みゅみゅみみゃ(^o^)..」
「猫語は理解不能でしたね..こまっすむにだ..です…すいません..^^;;..
 はぃ?..ぁ..例の新たな顧客情報ですね..用意してますよ..ふふふ..」
「ドンジュンさぁん..かむさはむにだぁ(^o^)..ぅん..ぅん..へへ..大丈夫だよぉ..ちょっと待ってね..」
「お...コマプタ..ドンジュン...ん?何だ…ぷはは.."デザートは確保"だ..ん..」
「出勤前に時間があったら寄りなよ..ぅん..待ってる..じゃね..」

ぱたん☆
僕は4人の間を順繰りに廻り..最後に自分に戻ってきた携帯を切って閉じた..

「よかったな..」
「「「ぅん..」」」」

ちぇみが安堵の溜息の後..低く響かせた言葉に僕達も笑みで答えた..

遅い昼食の後..闇夜を2Fへ残し..僕等はまた工房で作業をした
夕方近くに配達からテスが戻り..工房の後片づけをしていると
真新しいスーツを着たBH顔が腰高窓に顔を覗かせた..
~~~~~
「お邪魔します..」
ガレージ側から入ってきたBH顔=じゅのは工房の入り口で俺等に挨拶をした

「わぉ..じゅの君..今日は恰好いいじゃんかぁ..ねぇ..ちぇみぃ~」
テスはじゅのにトットコ近づき..真新しいスーツの腕をすりすり〃撫でた..

「くはっ#..だな..やっぱ..テソンよりめんこいじゃないか..」
「ぁっつぅ..」
テソンはまぁ..しょうがないよね..ってな顔で肩を竦めた..
本日..じゅのはBHCでびゅー..なのである..
じゅのは真新しいスーツを着ているのはいいのだが..スポーツバックを肩から提げている..^^::

「何だ何だ..せっかくのスーツが泣いちまうぞ?」
「ぁ..はぃ..でも..」

…もぞもぞもぞもぞ..

じゅのが口籠もったとき..スポーツバックから小っちゃな仔犬が顔を覗かせた..

「こらこら..おとなしくしなきゃ駄目じゃないか..アジ..」

…くぉん..くぉん..

「ふぉ?..アジは"くぉん"と啼くのか?..じゅの..」
「ぁ..はぃ..前は"くぅん"だったんですケド..ここんとこ"くぉん.."って啼くことが多くて..」
「んだはは..そっかそっか..」

くぉん・てっくひょん..の俺がスポーツバックの中から小さなアジを取り出し..先ず..捏ねくり回した..
「僕も僕も(^o^)..」とねだるテスにアジを渡した..そしてテソン..
結局アジは男3人に捏ねくり回された..

「すいません..今日..大家さんが留守なんで..連れてきたんです..ぁの..」
「なに..遠慮するな..店に出てる間..俺が面倒みてやる..」
「すいません..」
「じゅの君は"すいません"が多いよ..casaで遠慮はいらないから..」
「でも..」
些細なことに恐縮するじゅのにテソンはくふふ..と笑い..じゅのの背をトントンと軽く叩いた..

「ぁ..僕..皆さんにご報告することが..」
「「「何?」」」
「ぉぃ..悪い知らせじゃないだろうな..じゅの..」
「ぁ..ぁ..違います..」
「「「じゃぁ..何..」」」
「僕達...倉庫を出られそうなんです..」
「「「ホント?」」」
「はぃ..」

じゅのの話では..ヨンジン母が交際相手の社長と共に米国へ渡ることになったという..
相変わらず強固に結婚を反対している母親に困り果てた社長は冷却期間を置こうと考え..
以前から打診のあった米国の建築プロジェクトに参加することに決め..ヨンジン母は社長に同行することを決めた

で..留守を預かる..とういう形でじゅの達がヨンジンの実家の集合住宅に住むことになった
社長は韓国に残る家族に新しいマンションを用意したらしいが..
ヨンジンの妹と弟は「住み慣れたここを離れたくない..」と言い..社長もその気持ちを汲んだ..
元々ペット禁止の集合住宅だったらしいが..社長が管理会社へ話を通し..晴れてアジも住めることになるという

「あの時..皆さんに助けて頂いてよかった..」

『それ以上は何も言うな..』の意を込め..俺等3人はそれぞれ..<すりぽちゃとん>..とじゅのにお見舞いした..
(<すりぽちゃとん>=俺の頭すりすり〃..テスのお手々ぽちゃぽちゃ..テソンの背中とんとんである)

皆で2Fへの階段を登るとアジは小っちゃな足取りで廊下を走って行く..

ちょこまか..ちょこまか...ちょこまか..@@
ッタッタッタッタ#...@@..

廊下の真ん中でアジとはるみが出会った..

…みゃ?..(あにゃたはだれ?)
…く..く..くぉん..

ぴたん☆..
空で大きく半弧を描いたはるみの尻尾が床面に振り落とされた..

…んみゃみょみゃみょみゃ#..(な(名)をなにょれといっておりゅるのじゃ)
…く..く..くぉん..ぉんぉん..(;_;)..

可哀想に..アジははるみの毒気&妖気に怯え始めた..
闇夜がはるみを抱き上げ..テソンがアジを抱き上げた..

「はるみ#..駄目でしょ..アジ君と仲良くしなさい..」
「みゃぅぅぅ...(すりすり〃)..」
「くぉん..<(_ _)>..」

闇夜に叱られたはるみはアジの頭を撫でた..
俺とテソンがダイニングテーブルでPCを前にじゅのに説明し..
闇夜がキッチンで茶の用意をしている時..もう一人..スーツを着込んだBH顔が来た..


千の想い 98   ぴかろん

真剣な眼差しでソヌさんを見て、ペンを構える『不動明王』ジャンスさん
微笑みこそしないが、『不動明王』の勤勉な態度が気に入ったらしいソヌさんは
すぅっとブラックスーツのボタンを留め、背筋を伸ばして語り始めた

「まずは『血まみれの吊るし』ね。ボクが血まみれで吊るされてるのょ。んで血糊をしたたらせるから、それをモップで掃除してもらうの。ボクが『アジュンマ』って呼びかけても、決して答えちゃダメなのょ。答えたら撤収~終了~なのょ」
「ふむっ!」
「次に外へ出て天候を確かめるのね。土砂降りぐらいの雨が降ってなきゃ、人工的に降らせてもらうのょ。それから予め大きく掘られた穴の前に、後手に縛られたボクを配置して、ボクを穴に蹴り込み、土をおっ被せるの」
「しし死んでしまうじゃないですかっ!」
「ふっ…」
「…お…」
「…そこが技の見せどころじゃないの」
「おおおお」

メモメモメモ!
だからっなんのためにっ!

「ということは…『土中脱出』を?」

パチパチパチ

ソヌさんはすこぉしだけ口角を上げて拍手した
…そう言えばソヌさん、『笑顔体操』の時間になるといつもロッカールームに忘れ物を取りに行ってるよな…うむむ…

「で、ボクは当然泥まみれでショ?」
「はいはい!」
「蛇口を最大に開放してホースの水をボクにかけてもらうの」
「洗うということですな?」
「厳しくね」
「厳しく!ほぉぉぉ」
「冬場なんか最高ょ」
「ほぉぉぉぉ!」
「その後ご希望があれば、『松明アクション 裏切られた瞳バージョン』、『指潰しアトラクション』、『カースタント 壁突き破り』なんかもするょ」
「ふぉぉぉ!」
「全部しようと思うと、大変な費用よ…ボクの保険料も要るし潰してもいい車でしょ?アクションに絡むエキストラ三十人ぐらいかなぁ…。水道代だって馬鹿にならないでショ?それに…『重機』が必要なのょ、穴掘らなきゃだめだし、倉庫も貸切にしてもらわないといけないし。壁突き破るから修理代だって…」
「なんと壮大な技だ!」
「そうでショ?だからどなたも『どえむ』…げほっ『ドゥ・エメ』シリーズはオーダーしないのょ」
「僕はされるよ」
「@_@」
「おおおおおっ」

ジャンスさんが飛び上がらんばかりに驚いた
テーブルの陰からジホさんがそぉっと顔を出したのだ

驚きおののきながらジャンスさんはまた身を乗り出した
隣のテジュンはクスクス笑っているだけだ
相変わらず俺を見てはくれないけど…

「あっあっあなたは…」
「リュ・ジホでぇす、リュ・シ○ォンさんとは何の関係もありましぇぇぇんっ。映画監督やってまぁす」
「ジホさんジホさん…おおお」
「ジホさんそんなとこで何やってんの?」
「え?ソヌっちがパチン☆ってポイントチェックしたでしょ?だからゴミ拾いにきたの」

…ソヌっち?…

「ソヌっち、ゴミ、ないよぉ」
「あるでショ?そこ…」
「…これ?このノミみたいな紙くず?!」
「そう」
「…。ソヌっち、目がいいんだねぇ…」

ジホさんはそのノミのような紙くずを拾い、自分が持っていた携帯灰皿の中に捨てた

「しっつれいしましたぁぁ」
「ああおおジホさん…貴方のメニューにも『ドゥ・エメ』シリーズがありますが、これはオーダー可能?」
「うん。舞台でできるよ」
「舞台で?!」
「みんなにイヤがられるけど」
「…。な…内容は?」
「腰に強力なピンク色のゴムを縛ってね、笑い話したり罵ったり首を絞めようとしたり尻文字書いたりするの」
「し…しりもじ?」
「住所ね。ボクの…。これはウケる。みんな読み取ろうと必死ょ。読み取ってもだぁれも訪ねて来てくれないけど…」
「ゴムを腰に縛ることは必要なんですか?」
「うん。時々客席までゴォォって走るのね。すると伸びるでしょ?ゴム…。そんでばびーんって戻るじゃん?スリリングなんだよぉ」
「…」
「舞台の裏側でクッション持ってるチョンマンがすっごくイヤがるんだけどさ、お客様に積極的にリクエストして貰ってるんだぁうふふ」
「…ほ…ぉぉ…」
「あと、三時間に二回、いや、二時間に三回とかね」
「…な…なにを?」
「なんでもいいんだ」
「は?」
「あなた、僧帽筋が随分発達してるねぇ」
「は…はぁ…」
「僕達は上腕二及び三頭筋、大胸筋、広背筋、大殿筋、大腿筋が発達してるんだよね、ソヌっち」
「眼輪筋、口輪筋もでショ?ジホっち」
「「ふふふ…@_@ ・▽・」」
「???」
「今、僕、技見せたのわかる?」
「ひぇぇ今ですかな?!ジホっちさん」

ジャンスさんは目を丸く…丸…もういい!丸くした
俺もびっくりしてジホっち…いや、ジホさんを見た

「わかんなかったぁ?僕の一番の得意技なのにぃ」

ジホさんの指さしたパンフ部分にはこう書いてあった

『のらりくらりひょん』

「「ふふふ…じゃあ… @_@ ・▽・」」

ソヌっちとジホっちはスイッと立ち上がってジャンスさんに一礼し、ボックス席から出て行った
ジャンスさんは唸りながらメモを書きなぐっていた
俺はソヌっち…いや、ソヌさんがあんなに喋るなんて思わなかったので、ただただ驚いていた

「よぉ!」
「失礼いたします」
「来てやったぜ」
「お呼びでしょうか」

呼びもしないのにやって来たのはドンヒとホンピョだった


La mia casa_48  妄想省mayoさん

「こんちわぁ~~(^0^)」

廊下正面の重いガラス戸をうんしょ#..と開け..くるまやは入ってきた..

「ねぇー..ちょっとぉー..くまさん..」
「何だ..」
「ここのガラス戸さぁ..重いよぉ..やけに厚いしさぁ..」
「ぷっ..文句を言うな..casaのガラスはな..総て..」
「総て何よ..」
「防弾ガラスだ..」
「まったまたぁー..揶揄ってぇ~..その手には乗らないもぉ~~んだぁ..」
「ふっ..50口径の弾丸をも貫通を阻止する..優れもんだ..」
「え”..@@..」
「信用せんならしゃぁないがな..」
「ぅぅぅ..うっそ..それって..凄いの?..」
「ん..」
「ま..真面目に?..」

くるまやが首を廻し..俺の顔を始め..casaの連中の顔を眺めた..
俺等4人は皆..おのおの..口端を上げ..無言のまま..不気味に笑った..

「マジ..なんだ..」
「ん..自衛の手段は講じておかんとな..何が起こるかわからん..」
「ぁ…ぁぁぁ..ぁぐぁぐぁぐ..」

くるまやの顎は糸をくいくいと引っ張られた絡繰り人形の如く..忙しなく動いた..

「テス..」
「ぅん#.. へへ..元に戻すね..ドンジュンさぁん(^o^)..」

かこん★

「んぐっ(>_<)..」
テスのぽちゃぽちゃでくるまやの顎は落ち着いた..

「テス..もうひとり..いるな..」
「へへ..そうみたいだね..」

むにゅ☆

「んむ..(>_<)..」
テスは椅子から立ち上がり..大口を開けたままのじゅのの口をぽちゃぽちゃで閉じ..
顔面蒼白のじゅのの顔をぽちゃぽちゃで撫でた..

はぁ..参った参った..てな仕草でくるまやは首を振り..大きな深呼吸でセンター分けの前髪が揺れた..
ダイニングのいすの傍に立ったままのじゅのはくるまやの傍に寄り..挨拶をした..

「ドンジュンさんですね..初めまして..僕..キム・ジュノです..」
「君がジュノ君かぁ..僕はカン・ドンジュン..よろしくね(^^)」
「はい..」

じゅのは左手を胸に当て..右手を差し出し..くるまやと握手を交わした..

「そうだ..君の大事なノート..返却..っと..」
「ぁ..はぃ..ぁの..」
「そのノートさ..いいよ..なかなか..」
「ぁ..ありがとうございます^^..」

…くぉん..くぉん..

「…??..ひゃ#..今度はcasaに怪犬参上なわけ?..くまさん..」
「たはは..ドンジュン..そいつはじゅのの愛犬..カンアジだ..」
「カンアジ?..仔犬の意..まんまじゃん..」
「^^;;..すいません..」
「抱いてもいい?..ジュノ君..」
「どうぞ..どうぞ..」

くるまやはアジを抱き上げ..ふるふると揺らし..捏ねくり回し..
じゅのの腕にアジを戻すと最後に頭を撫でた..アジも嬉しそうに尻尾を振り続けた..

「ジュノ君..やっぱテソンさんに似てるかなぁ..ん~~..でも..テソンさんより..かわいこちゃんかも..きゃはは..」
「ちっ..何とでも言って..」
「^^;;..ふひひ..」

スーツのJKを脱ぎながら..くるまやは軽口を叩いた..
そして空椅子の背にJKを掛けると座面をきょろきょろ見回した..
お目当ての"あれ"が無いと見え..キッチンで茶を淹れている闇夜に声を掛けた..

「mayoさん..僕の"あれ"は?..」
「ん?..Tabuちゃん?..」
「ぅん..Tabuちゃん..どこ?..」
「ふふ..んっとね..」

テソンは闇夜がキッチンから出ようとするのを制し..リビングのソファからTabuちゃんを持ってきた..
くるまやはテソンに手渡されたTabuちゃんの匂いをくんくんと嗅いだ..

「何か..仄かにいい香りするね..」
「ぅん..mayoがお洗濯の後..アイロンかけるときにさ..リネンウォーターをシュッシュ..したみたいだよ..」
「わぁ..」

くるまやはTabuちゃんを広げ..袖と首を通し..満足そうにタブリエを着込んだ自分の胸をすりすり〃した..
じゅのはその様子を見..多少の戸惑いを見せたが..
casaの連中の「深く追求するな..ん..」の顔色を読んだのか..
くるまやが椅子に座るまでアジの頭をひたすら撫でていた..

「ジュノ君..バイトの件..もう聞いた?..ここのヒト達から..」
「はぃ#..僕..あんなに大きな会社の仕事だと思わなくて..」
「もしかして..自信なくしちゃた?」
「っていうか..不安です.僕みたいなので大丈夫かなと思って..」
「最初から立派な仕事出来るヒトなんか..いないよ..」
「はぃ..」
「それに..僕だってばーん..って突き進んでどぉーん..って跳ね返される時もあるもの..」
「ドンジュンさんでもですか?..」
「ぅん..でもさ..負けたくないじゃん..自分に..
 諦めないでまた頑張ろうって思わなくちゃ..前に進めないじゃん?..」
「はぃ..」
「僕さ..君の探求心とさ..地道にこつこつってやつ...買ってるんだ..それは自信持っていいと思うな..」
「ドンジュンさん..」
「いろんな技術屋さんいるけどさ..学ぶことも多いと思う..頑張ろうね..」
「はぃ#」

くるまやは「こんなもんでどうよ..」的に俺にちょいと首を傾げた..
俺はにやりと口端を上げ..無言で頷いた..

仕事の話を終えた頃合いに闇夜が6人の紅茶と2人分のケーキを運んできた

「きゃはは..面白ぉぃ..このケーキぃ..」
「だろ?..中もな..複雑なんだ..」
「へぇ..」

じゅのは目の前に置かれたケーキをじっ..っと見つめたままである..

「お?..どうした..じゅの..」
「僕..ひとりで..こんな可愛いケーキ..食べれません..」
「ぷはっ..可愛いか?..そいつ..」
「はぃ..愉快で..可愛いです..このケーキ..」
「ぷっ..どうせ閉店後に寄るんだろ?..アジも連れて帰らにゃならんだろしな..」
「はぃ..」
「ん..帰りにお前さんのワイフにはちゃぁんと土産を持たせてやるから..」
「ちぇみさん..」
「こいつを口に運ぶワイフの顔..じ~~~っと見つめるのも悪くないだろうに?」
「は..はぃっ(^^)..」

「(ぼそぼそ...)ハリョン似のワイフの顔をな..(ぼそぼそ...)」
「んぐ..っげぼっ..くまさんっ#..」
「ふぉ?..ドンジュン..聞こえたか..お前さん..耳がいいなぁ~~..ん?」
「聞こえるでしょ#..普通#..そんだけ低音びびんびん!!と響かせればさぁ..もぉー..」

…???...
…くぉん??..

casaの連中がくすくすと笑う中..じゅのはアジと共に首を傾げた..

「へへ..ほらぁ..食べて食べて(^o^)//..」
「ぅん(^0^)」
「はい..^^..」
テスに促され..くるまやとじゅのは愉快な顔のケーキにフォークを入れ..
ひと掬い毎にニコリと微笑みながら口へ運び..鼻の穴を広げた..

「ねぇ..くまさん..」
「何だ..」
「僕にはお土産ないのぉ?..」
「ぷはは..特製<ちぇみぷりん>がある..」
「特製<ちぇみぷりん>??..」
「あのね..ふるふる@..っとしてて..懐かし~~って感じの味なんだよ..ドンジュンさぁん..(^o^)..」
「何かむっちゃ美味しそうじゃん..」
「くふっ..ドンジュンのは厨房の冷蔵庫に入れておくから..帰りに持たせるよ..」
「やった#..」

くるまやはくっく..っと肩を上下させ笑った..

BHCでびゅーのじゅのに合わせ...いつもより若干早めに店へ出掛けることになった..
くるまやはまた..名残惜しそぉ~にタブリエを脱ぎ..丁寧に畳んだ後..空いてる椅子の座面に置いた..
闇夜はスーツのJKを羽織ったくるまやとじゅのに前..後ろ..と丁寧にブラシをかけた

「「(^0^)..いっ..てきまぁーすっ..(^o^)」」

くるまやとテスは留守番の俺と仔猫&仔犬に手を振り..
緊張気味のじゅのはアジを抱き上げ..ふるふると揺らした..

「行ってくるね..アジ..いい子にしてるんだよ?」
「くぉん..(^^)..」

じゅのは尻尾を振ったアジを俺に託し..BH顔に連れられて店へ行った..


千の想い 99  ぴかろん

「ボクはイ・ドンヒです。こいつはチャン・ホンピョ。少し小汚いけれど根は優しくてほっておけなくてついつい世話を焼きたくなる母性本能擽りまくりの野良犬タイプの可愛い男です。よろしくお願いします」
「えと…だれが小汚いの?」
「こいつです。ボクはドンヒといいます」

ドンヒは自分よりもホンピョの事を、より詳しく述べ始めた
時折幅広のネクタイをクイクイっと緩めたり絞めたりしている
ホンピョは睨むようにジャンスさんを見つめている
そして、喋り続けるドンヒのシャツの袖を引っ張っている

「で、彼の得意技は金庫破り…もとい…鍵を開けることです。人助けですよ。ドロボーではありません。こいつの可愛くて困ったところは、思わせぶりな視線です。ほら、今もジャンスさんに上目遣いでアピール…ん?…お前、睨んでない?」
「だから…さっきからお前に合図送ってるのによ…」
「合図?合図って…ま…まさかお前ようやく僕の愛を受け入れる気に…」
「このおっさんには恨みがある」
「…ホンピョ?…恨みって…まさかお前この人に襲われたのか?(ドキドキ)」
「ああ…何度も痛い目に遭わされた…」
「な…なんだって?!本当ですか?ジャンスさん!」
「は?」
「しらばっくれんなよ!俺を傷だらけにして大切なものを奪ったくせに」
「へ?」

ジャンスさんの目が点になった
点になると「目が無い」みたいだ…
しかしホンピョの奴、何を言い出すんだろう…

「傷だらけにして大切なものを奪う…ええええっ!そそそ…そうだったのかぁぁ!そ…それでお前、トラウマになって僕を拒んで…そ…そうだったのか…すまなかった…」
「なぁジャンスさん、あんた、あの日の事、憶えてるよな?俺を好き放題いたぶって置き去りにしてよぉ」
「なななななんだって?そんな目に…」
「あの…何のことかな?」

ジャンスさんはホンピョの言葉がさっぱり理解できないようだった
多分ホンピョの勘違いに違いない
そしてドンヒもなにやら勘違いしている

「あの後、病院に入院した。酷い傷だった…」
「あの…俺は人に怪我させたことなんかないぞ」
「ちくしょう!」

ホンピョが涙目の挑み目でザッと立ち上がり拳を振り上げた
ジャンスさんは防御の体勢を取った

「ほら!その構え…。あんた、イ・ジャンスだろう」
「うん。そうだけど」
「俺を忘れたってのか?」

「そんなまさかホンピョとこのジャンスさんが付き合っていたなんて…ううん…ホンピョの話からすると『おかされた』のかもしれないっ!」
「ドンヒ?何ブツブツ言ってるのさ」
「イナさんっ!ジャンスさんは危険人物だったのですね?ホンピョを襲って捨ててああ」
「はぁ?」

「忘れたって言うか、会った事ないでしょう?」
「なんだって?!あんな事して俺の人生をめちゃくちゃにしたくせにっ!」
「あんな事ってなぁに?」

ホンピョはいきり立ってジャンスさんに怒鳴りつけた

あんな事はあんなそんなこんなことだっ!俺の大切な宝物が…あうあうえうえう
ホンピョ…ホンピョ…落ち着くんだホンピョ…ここは『法』に任せよう!テプンさんの弟さんが検事さんだから頼めばジャンスさんを成敗してくれる
なに「さんさん」いってんだ!「サン」は俺の兄貴だっ!大体、俺は俺の手で仇を討つんだかンなっ! 離せよドンヒっ
だめだっホンピョ!お前の手は汚させない

二人の芝居がかったような怒鳴り合いをみて、ジャンスさんは急いでパンフレットを読み直していた

「ねぇねぇキム・イナ…新劇って載ってないけど…この人達の新しい技か?」
「いや…本気でジャンスさんに怒ってるみたい…でも多分勘違いだよ…」

「あんた、イ・ジャンスだろう?!」
「そうだけど…」
「あんたが昔手を染めていた悪事、俺は知ってる」
「悪事?!…テジュン…俺何か悪い事したっけ…」
「してるんじゃないですか?先輩…」
「いつ?」
「無意識に人を殴ったりしてないですか?」
「してないよう!俺は格闘技は好きだけど素人さんを相手に殴りあいなんかした事ないぞっ!」
「…どーだか…」
「てじゅんっ!」
「俺の女房同然だった女をお前のじじむさいボスの妾にされた。お前が監視していたじゃねぇかっ!お前は俺の命も狙った!忘れたのか?!」
「…俺は大学出てからホテリア・ホテルで10年間マジメに働いてたぞ」
「嘘つけ!」
「嘘じゃないもん!なっテジュン」
「僕は『6,7年間』しか知りません」
「…。嘘じゃないもん!」
「…」
「俺の目を見ろホンピョ君!」
「じいい…」
「嘘をついている目か?!」
「…う…。すまねぇ…あんたの目は小せぇし垂れ目だけど嘘つきの目じゃねえ…」

ホンピョは急に俯いて、頭をしきりに撫で始めた

「ホンピョ、昔襲われたときの恐怖が甦ったのか?大丈夫か?僕がついてるぞ!僕が抱きしめてやる」はぐっ
「あう…うっとおしい」ぼすっ☆
「はうう…」

ドンヒとホンピョのこの展開、やっぱり『新劇』っつーか『寸劇』っつーか…
二人でネタあわせでもしたんだろうか…お客様を巻き込んでの芝居なのかな?すげぇじゃん…いつの間にこんな技を仕込んだんだろう…
俺はそう思った
でも…そうではなかったようだ

「…すまねえ…人違いだ、イ・ジャンスさん…。でもあんたと同じ名前で同じ顔の男に、俺は昔酷い目に遭わされたんだよ…」
「俺と同じ名前で同じ顔?!そんな人がいるのであろうか!いや、…いないはずはない…。ここに来ればきっとみんなそう感じるであろう!…そこかしこに同じ顔がウヨウヨいるのだから…うむむむ」

ジャンスさんは『新劇』だか『寸劇』だかわからない芝居がかったセリフを吐き、一瞬にして疑問を解決したようだ
ホンピョもまた一瞬にして勘違いであると理解したふうだ
俺の疑問を二人にぶつけてみた

「これって…芝居?」
「「は?!」」

純粋な瞳が四つ、俺を見つめた
芝居ではなく、本当にホンピョは『イ・ジャンス』という、ジャンスさんそっくりの男に、手ひどい目に遭わされたらしい
誤解が解けたあと、ホンピョははにかんだ様に笑い、すまねぇを連発して片手は頭を撫で続け、片手はジャンスさんの方に差し出して握手を求めている
そのホンピョの腕に、ドンヒが取りすがっている

「やめろよホンピョ!この人は悪人だ!わざわざ仲直りすることなんてないよ!お前のトラウマの原因なんだろ?」

まだ理解できていないのか?
こいつ頭いいはずなんだけどな…

「握手してくれるか?『いい』イ・ジャンスさんよぉ」
「おお、ホンピョ君!」
「やめろよぉぉ」

がっつり…はぐううう

「うわぁぁホンピョが襲われるぅぅ」
「あんた…ガタイいいな」
「君も見た目より筋肉がしっかりついてるな」
「へへ。俺、ボクシングもやってたんだぜ。それにケンカも結構強いんだ。でも『悪い』イ・ジャンスには度々やられたなぁ…」
「やっぱりぃぃやっぱりヤられてたんだぁぁホンピョぉぉ(;_;)」
「…ドンヒ…お前うるせぇよ」
「…ホンピョ君…ケンカが強いですと?!」
「おお」
「ボク…シング…ですとな?!」
「おうよ!」

ジャンスさんが再び不動明王の火焔を背負った…
つまり…格闘技と聞くと燃えるってことか…

「後ほど勝負させていただけますかな?!」
「勝負?おう!面白そうじゃねぇか」
「ジャンスさん、ホンピョ、勝負は禁止!」
「堅い事いうなよイナさんよぉ」
「だめ!怪我したらどうするんだよ」
「…ちっ…」
「…むむぅ…キム・イナのケチ…」
「ジャンスさん!」
「ふひん…」

二人は渋々承知した
喚いているドンヒにはテジュンが事情を説明している

テジュンは…他の人には優しい…










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