ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

リレー企画 217

cucina_12   妄想省mayoさん

ミネラルのボトルを担いだ爽顔さんが厨房に入って来た..

…トットコトットコ..
その後ろからテスがぷりんを取りにオールインからやって来た..

ミネラルをセットし終え..爽顔さんは何気に店内へ目を向ける..
見開いた瞳は..イナの姿を捜しているのか..

『イナは..爽顔と付き合う..そうだ..』
昼間..<そーすぼへみあん>を食べながら聞いたちぇみの言葉を思い出し..
僕とテス..そして闇夜は店内のイナと爽顔さんを交互に見ていた..

爽顔さんのにこにこ顔をイナの瞳が捉えた..
ゆらりとした視線はさわと揺らめく風となって厨房へ入り込み..爽顔さんを囲む..
席を立ったイナが見えたとき..僕達3人は視線を散らした..
爽顔さんは僕等に挨拶をして厨房を出て行った..

テプンが接客を終え..厨房へ入って来た..
当然の様にじゅのの事を聞く..

「なぁなぁ..出来ちゃった婚なのかぁ?..」
「違うよ..確かに..結婚は早かったかもしれない..かな.」
「学生らしいな..」
「ぅん..大変っちゃ..大変..彼の弟もまだ若いし..」
「ぁぁ?..弟の面倒もみてんのかぁ?..」
「学費の援助もしてるよ..それに..」
「まだあんのかよ..」
「両親亡き後..育ててくれた田舎の叔父さんがこの間手術してね..
 その時の叔父さんの手術費用も出してるんだ..じゅの君は..」
「ぁぁ?..親いねぇーのか..(;_;)..」
「ぅん..可愛がってくれたハルモニも結婚前に逝ったんだ..」

「何だよ何だよ..(;_;)..若けぇーのによぉ..(;_;)..」

口角がぐんぐんと下がり..涙目ぐしょぐしょでみるみる崩れ行くテプン..
闇夜がテプンにタオルを渡した..

…ちーん..ちーん..じゅるじゅる..

「面倒みきれんのかよぉ..(;_;)..ガキも産まれんだろー(;_;)..」
「そうだね..じゅの君..確かに裕福じゃぁない..大変だ..
 それに..彼..特別"凄い"わけでも..特別"エロ"いわけでもないよ..」
「そうかぁ?..テソン..早う..ち..っち..」
「テプン(-_-)メ..」
「ぁ..ぉ..(;_;)..すまねぇ..」

「偶々..人よりちょっと早く出来ちゃった..からさ..最初は動揺もあったけど..」
「だよなぁ..(;_;)..」
「じゅの君は今自分に出来ることから始めようとしてるんだ..
 "あっぱー..ふぁいてぃん"ってさ..彼女の中から聞こえてくるんだって..」
「ぁぅぉぅ(;_;)テジも俺に言うんだ..."あっぱー..ふぁいてぃん"ってよぉ..」
「そっか..」
「ぉぅ..(;_;)..」

「じゅの君には力合わせてくれる家族がいる..
 テプンだっていっぱい家族抱えてさ..みんなで力合わせてるじゃない..」
「ぉ~~ん(;_;)..お~~ん;;ToT;;..」
「家族がいるから頑張れるんじゃない..」

…びえ~~ん..びえ~ん..だらだらだらぁ~~..

「だからさぁ..テプン..」
「わ~~った#..早ぇ~~だの何だの..俺は言わねぇ..」

テプンはTシャツでびえ~ん顔を拭いた..タオルがあるのに..

「テプンシ..ぷりん食べる?..」
「ぁ~~..いらねぇ..ちーん..じゅる..じゅる..」
「ふぁ?..珍しいこと..テプンシがおやつ食べないなんて..」
「出勤前に食い過ぎた..【しあわせびびんば】ってやつをよ..」
「^^..そっか..」
「おう..」
「じゃ..ぷりん持って帰る?..テジ君と食べなよ..」
「んぁ..ぁ~~あ~~っとよぅ..まよッシ..」
「…??..」
「俺んち..よう..その..ょぉ..」
テプンはガラにもなく遠慮がちにもごもごと口籠もった..

闇夜はくすくす..っと笑い..冷蔵庫の傍に立ったテスに声をかけた

「テスシ..」
「なに?..mayoシ..」
「ちぇみぷりん..足りるよね..」
「まってぇ..んっとぉ..ハナ..トゥル..セッ..ネッ..タソッ..ヨソッ..イルゴプ…」

テスはぽちゃぽちゃ指を使って徐(ソ)家の頭数を数えはじめた..

「大丈夫だよ..テプンさぁん..今日ちぇみぷりん..いっぱい作ったからさ..」
「..んとか?..」
「ぅん..(^o^)..兄弟みんなで食べれるよ..だいじょぶだいじょぶ..」
「よっしゃ#..さんきゅ#..土産頼むぜ#..」

…ビシバシ#..ビシバシ#バッチン#..バンバン#..ドンドン#

「ぐ..ぐる”じい”..ぇ~~ん...(;_;)」
テプンのグローブ手で背中を散々叩かれたテスはげほげほげほ..っと咳き込み..
よしよし..と闇夜に軽くHugられた..

「土産に安心したら何か..小腹減ったぜ..」
テプンは次の接客のため..店内に戻っていった..


テプンと入れ違いにソヌとミンギが厨房に入ってきた

「ぷりん..いいっスかぁ~~」
ミンギは真っ直ぐ冷蔵庫へ進み..ぷりんを2個..取り出した..

ソヌは厨房入口傍の台に用意している"賄い"のフルーツの中からマンゴーを摘んだ後..
目の前にぶら下がる猿のモビールを突き..ぬぉっ..っと鼻の下を伸ばし..一瞬..猿顔をする..
近頃のソヌの習慣である..

ソヌはモビールを下げた時..
いち早く左上の茶色い猿のお尻にマジックで..<ソヌ@@>..っと名前&お目々を書いた
だから..ソヌが突くのは<茶猿>以外の黒の猿..のみ..そしてメンバーはあまり<茶猿>は突かない..^^;;...

監督が偶に..ぺちん☆..っと<茶猿ソヌ>のオケツを弾いてる..
一度それを目撃したソヌ..

勿論..2人は無言で..

「@_@##??」
「・▽・~~??」…だったけど..

ちぇみぷりんに満足したソヌがぼそり..闇夜に言った..

「いっこ..」
「はぁ?..」
闇夜はわざと聞いた..

…@@#..僕も一個..土産が欲しいのょ..わかるで..ショ?#..

…?@@?..仰って頂かないと..わかりませんで..ショ?#..

軽ぅ~いお目々バトル..勃発..

…トトットコ..テスがソヌの傍に寄る..

「ソヌさぁん..大事なヒトに..で..しょ?..(^o^).」
「〃@_@〃」
「了解でぇ~す(^o^)..」
「@@v..」

ミンギは口許だけで笑った状態のソヌをちゃちゃと引っ張って店内に戻って行った..

「mayoシ~~..」
「ちょっと苛めちゃった..^^;;..」
テスと闇夜の会話に僕はちょっと吹き出した..


♪Breab Heart..
僕とテスに小さく手を挙げた闇夜が厨房の隅で携帯を開いた..

「…かむさはむにだ..しゃーじゃんにむ..イエ..あるげっすむにだ..」
電話の向こうはシン社長だろう..
携帯を閉じた闇夜が僕の傍に戻ってきた..

「シン社長?..mayo..」
「ぅん..例の件..」
「mayoシ..リュルさん..何て?..」
闇夜は親指と人差し指で○を作って僕とテスにニコリと笑った..

例の件とは..
これからの身体の負担を考え..納期のキツイCMアニメの仕事を断ったじゅの妻ヨンジンの為に
闇夜がシン社長に仕事を提示した件..そしてOKが取れた..
恐らく..ちぇみからシン社長へのごりごり押しも入ったと思う..シン社長の対応が早いから..

「よかったぁ(^o^)..」
「ぅん..ヨンジンさんにはシン社長が直に連絡入れたって..」
「じゃぁ..僕達の口からは言わないでおこうか..」
「「そうだね..」」

僕等がんな話をしていると..
ジュンホとヘルプに入っていたじゅのが厨房に戻ってきた..
下げた食器を受け取った闇夜にじゅのが言った..

「僕..洗います..」
「ぁったったた..^^;;..メンバーに洗い物など..持ってのほかです..」
「でも..手が荒れます..」
「^^;;..アタシの仕事ですから..」

闇夜は赤いゴム手袋をはめながら笑った..

「じゅのさん..家で洗い物してるんですか?」
「はい..洗い物は僕の担当です..」
「^^;;..そうですか..じゃ..帰りにcasa特製..まよクリーム差し上げますから..」
「すいません..^^;;..」

闇夜の傍を離れたじゅのはのーとを取り出して..ジュンホとこもこもと話を始めた..時..
ウシクが厨房にやって来た..

「じゅの君~..君に指名入ったよ..」
「え"っ..ぼぼぼ..僕ですか?..」
「ぅん..」
「ウシクさん..あの..指名は..ジュンホさんでは..」
「ぅぅん..違うよ..テーブルに付くなり..ご所望はキム・ジュノ君#..ってっさ..」
「…ぇっ..」
「じゅの君..すごいじゃん?..初日から」
「ウシクさん、はじめてのおきゃくさまですか?..」
「そうみたい..」
「…」

じゅのは初日から生意気に指名が入ったのを気にしている様子だ..
ジュンホはにこにことじゅのに微笑み返した

「いきましょう..こんどはぼくがジュノさんのヘルプします(^_^)..」
「ジュンホさん..そんな..先輩に..申し訳ないです..僕..」
「じゃぁ..ひとりでいきますか?ふあんでしょう?..」
「はい..」
「おきゃくさまをまたせてはいけません..あむあむ..わしわし..じゅのさんをたべるひとはいませんから..」
「ぁ..はぁ..」
「ウシクさん..なんばんテーブルですか?」
「うん..7番テーブルだよ..」
「わかりました..いってきます..」

ジュンホはじゅのを連れて店内の7番テーブルへ向かった..

「あむあむ..わしわし..しそうな感じだったけどなぁ..」
「「「え”っ..」」」
「そうなの?..ウシク..」
「ぅん..ちょっと..」
「「「「がぅ..@@;;..あぅ..おもおも...」」」」

厨房に残った僕達はウシクと共に店内へ目を凝らした..


千の想い 108   ぴかろん

*****

「ぶろろろぉぉぉぉききききぃぃぃぃっバン!はあぃおまたせぇぇっ」

おもちゃのハンドルを手に、通路を全速力で駆けてきたドンジュンが、口ブレーキ音も騒がしく登場だ
テーブルの下にハンドルを押し込んで、勢いよくバンっ☆とテーブルに両手と顎を乗せた

「ろんりゅんれぇしゅっ」
「うほ?」
「ああん…喋りにくいや、ドンジュンでぇっす!」
「あっ!センター君だっ!」

ジャンスさんは目を輝かせて(…もういいよな、『小さいから解んない』って注釈…)叫んだ

「ドンジュン…ひとりできたの?」

なぜかそんな馬鹿なことを俺は聞いてしまった

「そんな事、五歳児のイナさんに言われたくないっ!ぷん!」
「おおおおお!」ガサガサ「ふぐ!ふぐだっ!」チェック!

テーブルの上に両手を置いて、その間に顔を乗せたドンジュンが膨れっ面になる…
両手が胸びれのように見えなくも無いから余計に『フグ』らしく見えてしまう…

「ふふーん」

ドンジュンは膨れっ面のまんま、得意そうな音を出した(多分鼻から…)

「おまえ…いつの間にそんな技を…」
「似てるでしょ?本物みたいっしょ?うふふ」ニッコリ
「おおおおおっ!『太陽笑い』っ」チェックチェック

ジャンスさんは必死の形相でパンフにチェックを入れている

「なんで一人なの?」
「…連れは後から来るよ…」
「連れっていうと…若いの?ジジイ?」
「…今僕が若いのとつるんでるとさぁ、フリーになったジジイたちが何しでかすかわかんないでしょ?!だから、ジジイが来るよ」
「そか…」

淡々と答えるドンジュンは、最初店に来た時のガチガチだったドンジュンからは想像できないぐらい強くなった

「テジュンさんっ、どう?車の調子は」
「まぁまぁだけど、ドンジュン君、いつ点検してくれるのさ」
「いつでもオッケーだっつってるじゃん」
「だって君、忙しそうなんだもん」

テジュンはドンジュンと普通に喋っている
俺も普通にならなきゃ…

「そうだ。お前ってギョンビンと組んで歌やるんだろ?」
「ん…」
「レッスンに行くたびに青あざ作ってるって聞いたけど、アクションもやるのか?」
「違うんだ…凄いんだよセンセイがさ…。僕なんかまだマシなの。だって僕って『うまくやれるタイプ』じゃん?でもさぁギョンビンったらさぁ、なんていうか、生真面目で融通がきかないからいっつもセンセのロケットキックとか稲妻ビンタとかの余波を受けるんだよ」
「は?余波?」
「ん、あいつさ、ヘタに避けちゃうからさ、センセ、ムンクの『叫び』の人みたいになっちゃって、高速回転キックとか台風ビンタとか言いながらバシンバシン殴る蹴るで…。それをまた避けるんだけど、ちっとは『当たる』じゃん?だから…はぁ…ボイトレ、あんまり進んでないんじゃないのかなぁ…」
「なんで避けちゃうんだろ。あいつなら受身とかできるんじゃねぇの?」
「体に染み付いてるんだって、危険回避回路みたいなモンが…。あまりにも『危険だ』ってピピっとくるんじゃないの?僕は『ここは軽くダメージを受けたフリをしよう』って計算するんだけどさぁ…。あいつだって頭いいから『計算』はできてるハズなんだ。でもどーーーしても…ほらっこうだから」

ドンジュンは『ふぐの胸びれ』を両目の端に持っていってツイっと上にひっぱり、『簡易吊り目』を作った

「すっげぇ…」

気が強いじゃん、あいつ…

ドンジュンは『胸びれ』を定位置に戻し、声を出さずに唇だけで言った

「んだから…どうしても『気持ちが勝っちゃう』っていうか…『負けたくない』らしくってさぁ…」
「…ほぉ…そんな融通きかなくてよくスパイできたなぁ、あいつ」
「多分さ、本人絶対言わないけどさ、お兄さんのフォロー、凄かったんじゃないの?」
「ほぉん…」
「暑苦しがってたけど助かってたと思うよ、あの細やかなフォローで…」
「だーれーがー融通利かないんでーすー?」

ドンジュンの両肩にするるっと『勝気な手』が乗せられた

「「ひ…。ひええええ…ずびばぜんっ…」」

ドンジュンと俺がギョンビンの噂話をしている間に、吊り目の角度が三十度ぐらいになっているそのご本人様が、スパイの如く足音を忍ばせて近づいていたのだ
中々…怖い…
俺もドンジュンと一緒になって謝ってしまった

「おおおっ吊り目吊り目!なんてすごい吊り方なんだろう!羨ましいっ!」チェック&メモっ

ジャンスさんはドンジュンの口から『ギョンビン』の名前が出た時、即座に『ギョンビン』の項目に目を走らせていた
だから…チェックが素早い…
俺は、この吊り目をまともに見ている『震える狐』を思い浮かべてしまった
そして俺はハタと気付いた

「あれ…ドンジュン…。来るのはジジイじゃなかったのか?」
「…!…」

ドンジュンは一瞬、本当に、マジに顔色を失くした
それからすぐに瞳に光を宿らせて

「うん、ジジイだからノロマなんだよな」

と言った

「あっでもギョンビン、つーことは絶対あのジジイさぁ、あっちのジジイんとこに寄り道してくるよな?」
「…縁側でお茶でも飲んでるかもしれないです」
「ありうる…」
「そして『ご一緒にお散歩でもどうですかな?狐さん』とか言ったりして…」
「…。あはは…。あは…。ギョンビン?今日…面白いね…お前…」
「僕は…元々は…こうなんです…」
「…。あは。あははは…。あは…は…」

二人は可愛らしいコントのようなやり取りを見せた

俺はこの二人の不安な気持ちを感じる
こいつらはこいつらで励ましあいながら、それでも自分の気持ちと闘うときは一人きりなんだと、よく解っているのだろう

ドンジュンは、いつの間にかプロになっている
俺なんかよりずっと立派にプロに徹している
ああこいつは何にでも一生懸命なんだもの…
そうだよな…
車の事も、歌の事も、そして自分の恋に対しても
まっすぐに一生懸命やってるんだよな…
そうだ…ギョンビンだって…
気持ちを強く持たなければ全て『兄貴』に盗られてしまうって思ってたから…
だから負けず嫌いになったのかもしれない…
兄貴みたくガンガン口に出したりしないけど、その分人一倍強い想いがあるんだろう…何に対しても…

「それでダメならそれだけのモン!」
「ふーん僕は最後まで粘りますけど」

二人のやり取りは暫く続いていた
テーブルに顎を乗せたままのドンジュンの口元に、ジャンスさんはニヤニヤしながらタコのから揚げを持って行った

「ん?…くれるの?」

ニヤニヤ

「じゃ…遠慮なく…パクッ。おいしー」

ニヤニヤさささっ

ジャンスさんは素早く次のタコのから揚げをドンジュンの口元にセットした

「え?もひとつ?パク」

サササ

こんどはチャプチェ…かなりの量だ…

「え…」
「野菜も食べないとね」ニヤニヤ
「あ…おん…じゃ…遠慮なくガプ」

サササ

軟骨揚げ…

「あろ…まらくちにはいっれる…」
「あーん」
「…」
「あーん!」
「んもぉあああん!ばくっ」

ドンジュンが食べ物を飲み込まないうちに、ジャンスさんは次々とドンジュンの口に食べ物を詰め込んでいる

「うぐもぐ…あ…わがっら…『詰め込みドン』を見たかったわけね?」
「うおおお!こんなに口の中にモノが詰まってるのに、こんなにはっきり喋れるなんて」メモメモメモ
「んもぉ…言ってくれればちゃんとしたのに…。ギョンビン、わりぃけど焼酎貰ってきてよ」
「はい」

ギョンビンは厨房から素早く焼酎を取ってきた
ドンジュンはコップになみなみと注がれたその焼酎を、ゴクゴクゴクと飲み干した(@_@;)
大丈夫なのか?!

「うおおおお」パチパチパチ「『焼酎の一気飲み』だっ」
「ぷはっ…きくぅ…」
「ドンジュン君ドンジュン君、『猪狩っててウサギとチュウ』っていうのは?」
「それはここではできないよ。シベリアにでも行かないと…。んーと、二週間仕事休める?」
「は?」
「それから『アクター十五台とその運転手、その他の関係車輌ならびに関係者もろもろの手配』、できる?」
「う…」
「パスポート持ってる?あと耐寒服の用意も必要」
「…いや…あの…」
「毎日のホテル代もね」
「…いや、リクエストはしませんがな…ドンジュン君…ただあの…どういう内容かと…」
「ああんなぁんだぁ、貴方ぐらいの撫で肩ならリクエストしてくれると思ってたのにぃ…。ちなみにさ、これ、オプションつけるとギョンビンも一緒に来るよ」
「な…なんと?!」
「ね、ギョンビン」
「…ええ…。僕は主に潜入捜査担当なんですけどね。あと護衛と…。なんなら兄もつけますよ。兄はその他に『ホテルでしっぽり』っていう技も持ってます。でも今は…禁止かな…封印したかな…」
「封印してるよぉ…必要ないじゃんさぁ」
「…そうだよね…あんな…みっともないぐらいデレデレしてるんだから…ふっ…」
「あっギョンビン、目が三十二度になってる!」
「なってません!」
「『ホテルでしっぽり』…」メモメモ
「ジャンスさん!なにメモってんの!その技は禁止技だからいくら金積まれてもギョンジン、やらないよ!」
「…そうなのか?でも本人に交渉したらあるいは…」
「…」
「…」…メモっ…

何考えてるのよこの人は…(-_-)


秘め事はそこで   れいんさん

イナの席にいた時はさほど気にしていなかった・・というより気づいていなかった
つぶらな瞳をした、体格の良い男性客に挨拶をし、席を立つまでは

その場を離れた途端、がっつりと腕を掴まれた
ふわふわと弾力のあるスハの腕はしっかりと僕を捕らえて離さない
スハは僕を引きずるようにホールをずんずん進んだ

つんのめりながら歩調を合わせ、斜め後方からスハをちらりと見た
怒っている・・様に見える
歩く速度も競歩並みだ
スハの逆鱗に触れるような事、何かやらかしたかな、と
自分の胸に手をおいて聞いてみたが、思い当るふしはない、ような・・あるような・・

もし誰かがこの場で両手を広げ通せんぼをしたとしても、今のスハには蹴散らされてしまいそうだ
ウシクなら多分大丈夫だと思うが、どこにいるのか、こんな時に限って姿が見えない

スハがツカツカとホール出口にさしかかり、カキンと直角に方向転換した
だから僕はその遠心力で通路の壁にぶち当たりそうになった
それじゃまるで体を張ったコントみたいだ

それにしても、そんなにぷりぷりしてどこに連れて行くつもりだろ
スハは今どんな顔してるんだろ
スハの臀部が一回り大きくなったような気がするのは、スラックスのタックのせいだけかな
などと、考えなくていい事まで考えた

廊下を突っ切った先にあるのはスタッフ専用WC
もしかして、行き先はそこ?
スハはそのドアを勢いよく開け放った
幸か不幸か、そこには誰もいなかった
スハがくるりと僕に向き直った
やっぱりかなりのお怒りモード
でも怒った顔もなかなかいいけど

ところで・・
そういえば・・いいのかな?こんな場所で僕と二人きりで
もし誰かが来たとしても
ここには個室が4つもあるし・・

「何ニヤニヤしてるんですか!テジンさん!」
「え?あっ・・」
「僕は今すごーーく怒ってるんです」
「うん・・そうみたいだね」
「何、他人事の様に言ってるんですか」
「あ、いや、えっと、どうして怒ってるのかな?」
「とぼけないで下さい!」
「とぼけてるわけじゃないんだけど・・ひょっとして僕に関係あり?」
「じゃなきゃ、ここまで連れて来てません!さっきのイナさんのお客様が言ってた技の事です!」
「えっと・・どの技?」
「引き戻しチュウの事です!」
「ああ、アレ・・」
「ああ、アレ・・って・・。僕全然聞いてませんから!」
「ん・・だからさ、僕の技ってアスタリスクつきが多くてさ
だから店内でも手軽にできて尚且つお客様が喜ぶような技がないかって事でさ」
「だからって、アレじゃなくてもいいでしょうに」
「いやそれが、そっち系の技の幅も広げてくれって」
「・・あれは・・僕だけに、ではないんですね?」
「そうじゃなくて・・参ったな・・なぁスハ、くの字寝だってぷるぷるカクカクうるうるの例の技だって・・ふ・・スハ限定だろ?」
「やっ・・」

あーあ・・
スハ、耳まで赤くなっちゃって・・
勝算ありとみた僕はゆったりと洗面台の縁にもたれかけ、余裕の腕組みをし
それからスハの頭からつま先まで舐めるように視線を這わせた
たっぷりと二往復

スハは咄嗟に両手で自分の体を覆い隠すような仕草をした
ぷっ・・それってどういう意味?
ちゃんと服着てるじゃないか
心配しなくても僕には透視能力なんてないから
まぁでも何を着てたって
スハの身体は全て手に取るように分かってるけど

僕はすっと手を伸ばしスハの腰を引き寄せた
「あっ・・」
スハは小さな悲鳴ともつかない声を上げた
抱き寄せる腕に力を込めると、密着した身体の一部が熱を帯びてくる
許しを請うようなスハの瞳を見ていると、ゾクゾクと鳥肌が立ってきた

こんなところでこんな事をしていると、ヘンな気分になってくる
スハはすっぽりと僕の腕の中
柔らかそうな唇もすぐそこにある
その唇に触れずにいるなんて無理な話だ

僕は少しずつ少しずつその距離を縮めながら、ゆっくりと目を閉じ
唇を微かに開き、その瞬間を待ちわびた
スハの甘い吐息がかかる
後5センチ・・後4センチ・・



「ん・・んむっ?」
何か違う感じがして、薄目を開けてみると
「頂きます」するはずだったデザートは、スハのふっくらとした掌に変わっていた

「・・誤魔化そうとしてもダメです」
「・・」

ああ・・スハ
せっかくいいところだったのに
後もう少しだったのに
この状態でお預けなんて・・むご過ぎる

「その髪・・」
「え?何?」
「テジンさんのその髪型」
「髪型?」
「いつもと雰囲気が違います」
「・・あ、これ?気に入らない?」
「そう言うわけではないですけど・・何かの雑誌の記事にあったから・・服装や髪型が急に変わったら要注意って」
「何を言い出すんだ。そんな事あるわけないだろ?いつも一緒にいるんだからスハが一番知ってるはずじゃないか」
「どうだか」
「スハ・・ほ、ほら、僕も前髪や耳周りが伸びてきたし・・だから仕上がりがいつもと違う感じになっただけで」
「いつものサラサラの前髪が自然に額にかかる感じの方が僕は好きです。それにその伸びたもみ上げを耳にかけるのはちょっと」
「ボソッ・・スハに髪型ダメ出しされるなんて」
「何か言いました?」
「あっいや別に」
「髪型について僕は意見する立場ではないと?」
「ボソッ・・聞こえてるし」
「そんなに変です?僕の髪型」
「いやそんな事ない。スハらしいし個性的でいいよ。見分けもつきやすい。
でも少し伸びたみたいだな・・夏だし気分転換にまた髪型変えてみるのもいいんじゃない?」
「気分転換に、ですか」

「あそうそう、ラブにカット頼んだらどう?アイツそういうの得意そうだ」
「でも、ラブさんだって忙しいでしょうし」
「僕から頼んでみるよ。時間がある時でいいからって」
「でも・・何か申し訳ない気がします」
「大丈夫。イイ感じにしてくれるよきっと」
「はぁ・・」

僕の腕から抜け出したスハは、正面・左右と顔の向きを変えながら真剣に鏡の中を覗き込んでる
しきりに髪を弄りながら
どうやらここに来た当初の目的・・引き戻しチュウの件は忘れてしまったようだ

ああよかった
さて、スハがまた思い出してぷりぷり怒りだす前に、ラブにお願いしておくかな
でもTATTOOのサービスは遠慮しておこう
スハの身体には僕のこの唇で赤い印を刻むから、なんてね


cucina_13   妄想省mayoさん

じゅのとジュンホは7番テーブルへ進み..
自分を所望した指名客をじゅのはびっくり眼(まなこ)で見ていた
ジュンホはちょっと怯みながらもじゅのを促して席に着いた..

「オーダー取りながら様子見てくる..」
ウシクは7番テーブルへ向かった

「オモ..ふふ..そっか..」
「mayoシ..もしかして..あのヒト..」
「ぅん..みたいだね..」
「そっか..」
僕とテス..闇夜はじゅの所望の客が何者なのか..確認した..
その客は..じゅのにとって嬉しい客だった..

「よかったぁ(^o^)..」
あむあむ..わしわし..しそうもないかな..と安心したテスは
ぷりんを何個か冷蔵庫から出してトットコ...オールインへ行った

「酒はこれかな..」
闇夜はマッコリ酒を2本..専用の器になみなみと注ぎ..杓子を浮かべた..

「あれ?..何で解ったのさぁ..」
7番テーブルから厨房に戻り..オーダーを告げる前にウシクが言った..
闇夜はあの客はマッコリを飲むに違いない..と読んだのだった..

「もぉさ..あのお客さん..間近で見ると..ド迫力だよぉ..」
ウシクはマッコリ酒の器をうんしょ..と持ち上げ..
厨房を出るときに僕等に目を丸くして言った..

「「ぷっ#..」」
僕と.闇夜は揃ってクスリ..笑った..


ウシクと入れ違いに下げた食器を手にホンピョが厨房へ入って来た
ホンピョは最近下げた食器やカトラリーの汚れを一旦流水で洗い流し..
皿洗い専用のシンクへそれらをきちんと沈める..そして手を洗う..

相棒がいいのだろうか...
実に”躾が行き届いてきた”..と言うべきか..^^;;...

「相棒は?..」
「あいつは雪隠..」
「^^;;...小難しい言葉覚えたん?..」
「この間見た映画で覚えたんだ..」
「ぷっ..そっか..」
「ぅん..」

「ぷりん食べる?..」
「一緒に食べるから..戻るまで待ってていいかな..ぬなまよさん..」
「^^;;..あらっそ..」

ホンピョはRRHでの歓迎会の日から闇夜のことを"ぬなまよさん"と呼ぶ..
最初は"ヌナなまよさん"だったけど.."な"が抜けて"ぬなまよさん"になった..

”ぬなまよさん”はドンヒが雪隠から戻る間..
ホンピョにある仕事の話を依頼した..

「俺..プロじゃねぇよ..出来っかどうかわかんねぇ..」
「ふふ~~~ん...自信ないんだ..@@#..」
「ぉ..っ#..」

闇夜の軽い睨みにホンピョの瞳がぎらついた..
勝負は最初からついている..
闇夜はクスリ..と余裕で笑い..ホンピョの目に立ち上がった炎を鎮めた..

「その仕事..金になんのか?..」
「くっ..」
喉奥を鳴らした闇夜は指で示した..

「んなもんかよ..」
「桁が違うっ#..」
「ぁぐっ#..」
「やるかやらぬか..答えは1つだ..」
「@@..」
「やる?..」
「〃@@〃」

一度絶句したホンピョは闇夜に最後に頷いた..
雪隠に行ったついでにネクタイのお召し替えをしたドンヒが厨房に来た..

趣味が悪りー..だの..
お前に言われたくない..だの..
相変わらずの2人は厨房作業台の前で丸イスに並んで座り..仲良くぷりんを頬張った..

「さっき何話してたんだよ..」
「何でもねぇ..」
「教えてよ..」
「おめーに関係ねぇ..」
「ほんぴょぉぉぉ---..」
ドンヒはホンピョの腕に纏わりつき..次の接客の為..厨房を出て行くホンヒであった..

接客を終えたシチュンが厨房に姿をみせた

「ん?..チョンマンは?..」
「また監督の後追っかけていったぜ..」
「ぷっ..そっか..」

ミネラルのグラスを勧めながら闇夜がシチュンに聞いた

「シチュンシもぷりん食べる?」
「今はいらねぇや」
「…??..何故に?」
「今日お泊まりだからよ..」
「ぁ..メイ..夜勤か..」
「ぉぅ..」
~~~~
メイ家は親父さんがメイが高校の時に逝った..
結婚したけど米国から出戻った姉さんと..おふくろさんとメイ..と女所帯なのである..

軟弱だけど..一応..男だし..用心棒代わりになる..といことで
シチュンはメイが夜勤で家を留守にする晩はメイ家にお泊まりをしているのだ..

メイのおふくろさんはシチュンがお泊まりに行くとカラオケBOXへ連れだし..
両手にマラカスを持って..ふるふると踊る..とっても明るくて可愛いあじゅんまなのだ..

姉さんはメイに女らしさをプラスした華奢で綺麗な女性だ..
元ダンは事業家で¥はかなり持ってたけど..姉さん曰く..[じゃがいも]だったという..
その[じゃがいも]がよそに女を囲った..姉さんは慰謝料をふんだくって帰韓したのだ..

「メイ..アンタにしては上出来だわ..」
シチュンが初めてメイ家を訪問した際..開口一番..メイの姉さんはメイに言ってのけた..

合理的な姉さんは今..
短い結婚生活の間に溜めおいた数々のブランド品を自分で興したネットショップでせっせと売っている..

「メイのおふくろさんよ..
夜中にねぐりじぇ~着たまま..リビングで寝てる俺の傍にしゃがみ込んでよ..ぶつぶつ呟くんだ..」
「「あはは..何て?..」」

「ぉぅ..お茶目でハンサムな婿だわ..うりメイ..ちゃれったぁ..(私のメイ..よくやったわ..)..』ってよ..
 んで..俺の顔覗き込んで頭撫でるんだ..なぁんか..それよ..擽ったくて嬉しくてなぁ..」
「そっか..」
「ぅん..」

casaに来たときにシチュンはそんな話をしていた

~~~~

「ぷりん..帰りに4つね?..シチュンシ..」
「ぉぅ..頼むわ..まよシ..」

ニヤついたシチュンの片手が闇夜の肩に触れそうだった..

…ひゅるるるぅぅぅ~~~ぱしっ★#……ぽとっ..

ぶ厚く剥いた大根の皮..シチュンのデコに命中★……で..床に落ちた..ひっひ#..
最近の僕は前にも増してコントロールが良くなった..ちゃれっそ#..(^_^)v..

「ぃ..痛っってぇなぁー..っ..」

シチュンはデコを擦りながら僕にツカツカ近づいてきた..
怯まない僕と顔を突き合わせた後..

「のっ#..(お前な#..)」
シチュンは人差し指を僕の鼻先に強く差し出す..
それでも涼しい顔の僕を見るとシチュンは「ちっ#」っと舌打ちの後..闇夜に振り返った..

「まよシ..」
「はぃな?..」
「こいつと付き合うの考え直した方がいいぞ?..」
「ふふ..そう?...」
「おう!..こいつよー..妬っきもっきひでぇーだろ?..」
「はひ?..^^;;..」
「でもって..俺思うによ..こいつ..かなりしつこい..
 夜もよぉ..長い時間あしたことのこしたことの...ぜってぇーしつけーと思うぜ..テソンはよ..違うかぁ?..まよシ..」
「ぁ..ぁ..ぁぃ??..^^;;...」

「しぃ..しぃ..シっっ…チュン#..」
僕が今度は大根一本を持ち上げた..

「へ~~んだ#..図星かぁ?..べぇ~~..」
シチュンはあっかんべぇ~~をして素早く厨房から逃げた..
いつのまにかオールインから戻ってきたテスが大根を持つ僕の腕を下げた..

「ったぁくもぉ..テソンさぁん..ホントのこと言われたからってぇー..怒んないの#..」
「ててて...テス#..」
「へへ..(^o^)//..」

テスはにこにこ顔で僕のほっぺたをぽちゃすりした..
眉を下げて僕の傍に来た闇夜は..僕の腰をすりすりすり〃...幾度も撫で..
最後にジーンズの上から僕の臀部でくるりん@輪を描いた..
かなりキモチ良くなって機嫌の戻った僕だった..

お客様ご一行をお見送りしたジュンホとじゅのが厨房に.戻ってきた..


なえいるぎ☆じゅの_5  妄想省mayoさん

○月○日
僕のBHCデビューの日..
厨房を出て..ジュンホさんと7番テーブルへ到着する間際..
僕所望のお客様はソファから立ち上がり..
両手を前に差しだし..そしてひと際艶のある声で僕を呼んだ

「あ”..(*^_^*)」
僕はそのお客様に笑顔で答えた..
僕所望指名のあじゅんまは..ひかひか光るワイン色のドレス..
そして『暑くないのかなぁ..』っと思ったケド..肩に豹柄のショールをひっかけている..

「@@..」
隣で僕と並んで立っていたジュンホさんは
ひくっ#..っとあじゅんまを見張ったままの顔を僕に向け..言った..

「ジュノさん..」
「はい?..」
「このかたはジュノさんのおしりあいなんですか?」
「ぁ..はぃ..妻の母ととても仲良しの方です..」
「ぼくのおかあさんにそっくり..です..」
「え”っ@@..そうなんですか?..」
「はい..ぼくのおかあさんはもっとしょみんてきですけど..はでなかおだちはうりふたつです..」
「そうなんですか..」
「はい..」

派手顔のそのヒトとは.. ジュリあじゅんま だった..

「ジュノさん..となりのかたは?..」
「あ..^^;;..この方は...」

ジュリあじゅんまには連れがいた..
最近ジュリあじゅんまに何かと誘われ..引っ張り出される..僕の大学の恩師..だった..
恩師はジュリあじゅんまからひとり分席を空けて座っていた..

とにかく座りましょう...とジュンホさんは僕を促し..
僕達はジュリあじゅんまを挟んで座った..

「教授ぅ~..」
「^^;;..ぁ..いやね..ここのマッコリ酒は旨いと評判らしいと彼女が言うもんでねぇ..」
「マッコリ酒に釣られ..連れられて来た..ってことですか..」
「そういうことになるかねぇ.むほほほ....」

吹き出る汗をおしぼりでしきりに顔を拭きながら..
恩師は小ちゃな目を糸の様に細め..口を窄めてほくそ笑んだ..
ウシクさんがオーダーを取りに来て運んできたマッコリ酒を満足気に幾度も飲み干す恩師であった..

舞踊家のジュリあじゅんまは3日後に公演を控え..リハーサルやら何やらで忙しいのに
今日..僕のために気合いの入れたファッションで駆けつけてくれたのだった
僕が今着ているスーツはジュリあじゅんまがBHCでびゅーの為に僕にプレゼントしてくれた..
ネクタイはスーツに合わせてヨンジンが選んでくれた..

「それにねぇ..ミョンヒにも様子見..頼まれちゃったしねぇ..」
「えっ..お母さんにですか?..」
「くろっち~~..」

ヨンジン母は子供達を残し..じきに渡米する..

「留守を頼むわよっ#」

相変わらずの物言いだけど..留守中..弟や妹を預かり..家長となる僕にヨンジン母は言った..
僕がしっかりと頷くのを確認したのか最後には目許..口許を緩ませた..
そんなヨンジン母はスーツに合わせたシャツを選んでくれたのだった..

「あいごーあいごー..ウリじゅのぉぉ~~..」
ジュリあじゅんまは会話の途中..僕のほっぺたを両手で挟み..すりすり〃..捏ねくり回す..
ジュンホさんのお母さんが自分とうりふたつと聞くとジュリあじゅんまは
「あいごーあいごー..」をまた連発し..今度はジュンホさんの顔を両手で挟み..捏ねくり回した..

「このおかあさんがお..というのは<あいごーあいごー>ずきなのかもしれません..」
「ジュンホさんのお母さんもなんですか..」
「はい..ぼくのおかあさんは<なき(泣き)あいごー>がおおいですけど..」
「まじゃまじゃ#..この顔は情け深いのよっ#..あらっち!..」

ジュリあじゅんまは僕とジュンホさんにマッコリ酒を勧め..僕等の頭を撫でた.

「あれ??..」

店内から厨房に行きかけていたドンジュンさんが背を反らせ僕らのテーブルへ振り返った..
躰の向きを変え..ドンジュンさんはニコニコ顔で僕等のテーブルへ寄った

「じゅの君のお客様?..」
「はい..」
「ちょっと座ってもいい?」

どうぞどうぞと促して..ドンジュンさんは僕等のテーブルについた..
僕はドンジュンさんにもジュリあじゅんまのことを妻の母の親友です..とまた説明した..

「きゃはっ#..僕の知り合いにね..そっくしなんだよ..」
「え”..ドンジュンさんもですか..」
「ぅん..僕の父さんと仲良しなんだ..僕の弟の彼女のお母さん..でもあるんだぁ..」
「そうなんですか..」

ドンジュンさんのお父さんと仲良しのあじゅんまが自分とうりふたつと聞いたジュリあじゅんまは
「あいごーあいごー..」をまたまた..連発..勿論..その後はドンジュンさんの顔を両手で挟み..捏ねくり回した..

「ドンジュンさんのおしりあいも<あいごーあいごー>ずきですか?」
「ぅん..そう..<あいごーあいごー>得意..
 ぁ..でも..<おーまいがっ#>..のおまけが付くなぁ..何せ名前がナターシャ・キム..だし..」
「ナターシャ・キムですか..」
「米軍相手の仕事してたからさ..何かにつけ<おーまいがっ#>だよ..」
「はいからさんなんですね..」
「きひゃっひゃ..はいからさんねぇ..ん~~..」

ドンジュンさんの知人の<あいごー顔ナターシャ>さんはドンジュンさんが社会人としてスタートする朝..
お祝いにスーツに合ったネクタイをプレゼントしてくれたらしい..

「僕は気に入ったんだけどさ..一緒に入社した子にさ..趣味悪いわね..って言われちゃったっけ..ぷっ#..」
ドンジュンさんは僕の耳元で悪戯っぽく..こそこそっと囁いた..

ドンジュンさんはジュリあじゅんまの方が若いですよ..と言った..
ひーん...この#..この#..っとジュリあじゅんまは嬉しそうにドンジュンさんにマッコリ酒を勧めた..

「<あいごー顔>が揃い踏みになったら壮観じゃなぁ..」
ジュリあじゅんま顔繋がりの話を興味深く聞いていた僕の恩師は
マッコリ酒をぐびっ@..と飲んでぷるっ..と肩を震わせて呟いていた..

「公演が終わったら今度は弟子達を連れて来なくちゃ..」
ジュリあじゅんまは帰り際に次の予約を入れていた..


千の想い 109   ぴかろん

「こんばんは。しつれいします。ファン・ジュンホともうします。このこたちは、しんじんです。よろしくおねがいします」

突然、新人連中を連れたジュンホ君がドンジュンの頭越しに挨拶した

「ほら。あいさつして」
「はいっ。ソグでーす」
「ビョンウでーす」
「ジョンドゥでーす」
「じゅ…じゅ…じゅ…」
「「「はよ言わんかい!」」」ぱこん☆
「あいん…。じゅ…じゅのです…」

ん?…
んん?…

「きっ昨日から店に出始めましたっよろしくお願いします…」

ん?
んんん?
…昨日から…
…いたっけ?

俺はドンジュンに聞いてみた

「昨日この子挨拶した?」
「したよ」
「俺にも?」
「手上げて『おう』っちってたよ」
「…俺?」
「うん」
「…そ…」

やばい…記憶がない…
俺、昨日ってとっ散らかってたから…あは…どーしよ…
俺はその新人『じゅの』君をじっと見つめた
じゅの君は俺の視線に気付いてニコっと笑った
俺もつられてニコッと笑った

「おー、ピチピチボーイズというかピツピツボーイズというか…うむむ座ってもらう場所がないじゃないか」
「「あっ僕達は新人なんでぇ」」

ビョンウとジョンドゥが同時に言った
さすがだメガネズ
ぴったり息が合っている

「「立ったままで結構ですのでジュンホさんだけどうぞ」」
「ぼくはぼくさーだったのでたっていることぐらいへいきですよ」
「「はい!」」
「ねねね、どうしてこのメガネの二人は同時に喋るの?」
「んーと…気が合うんだろうね。ちなみに『メガネズ』って呼んでる、俺」
「「やだっ!こんな人と気が合うなんて!むむ!真似すんなよ!」」
「ほほほ。相当仲がいいみたいだねぇ」
「「ぜんっぜんです…!真似すんなよ!」」
「セルフルのキミはフレームを変えたほうがよくないか?」
「む」
「ひひひ」
「オールバックのキミは髪型を変えたほうがよくないか?」
「ひひひ」
「むむう…」

「そしてみるからに御曹司君」
「はい」
「返事をするところがまた御曹司だなぁ」
「あっ…す…すみません…」
「ちと堅い雰囲気ですなぁ。擽ってみようかしらん」
「えっ?!」
「おほほ。冗談ですよ」

ジャンスさんは新人たちをおちょくりはじめた
こんなガタイのこんな顔つきのヒトにそんなこと言われたら、『冗談』だなんて思えないだろう
ましてや彼らは新人なんだし、…特にこの…『じゅの』君か…
可愛らしすぎるしなぁ…
なんで憶えてないんだろう…
ヤバいなぁ俺…

「…」
「ん?御曹司君、黙り込んでどうしたの?」
「あの…。失礼だと重々承知しているのですが…」
「はいな」
「測らせていただけませんか?!」
「は?」
「…角度を…」
「角度?ああ…俺の蹴りの角度?さっきの舞台見て俺に惚れちゃった?俺ココまで足上がるからなぁ」

ジャンスさんは勝手に新人達と話をしている
ジャンスさんの蹴りは確かに凄い
つま先が額につきそうだったもん
そんなに体が柔らかいようには見えないのに…腹なんかあんなパンパンなのに…

「後ろ蹴りはちっと腹が邪魔して伸びが悪いのよ。その点キム・イナはキレイな後ろ蹴りするね」
「あは…」

突然話を振られて俺はびっくりした

「バレエも踊れるぞ。やってみない?うちのカミさんバレエ習ってるのよ。リフトしてくれる男性ダンサーがいないっていってたからお前どう?」
「へ?!」

ば…ばれぇってあの…ピッチリタイツで優雅に踊るアレかよ!
『優雅』って言葉はスヒョンかミンチョルだろう!
でもあいつらだって踊れっちってもあのタイツは穿きたくないだろう!

「遠慮します…」
「なぁんでぇ。俺も一度手伝いで舞台にでたんだぜぇ。楽しいぞ。若い女の子いっぱいいるぞぉ」

なんだって?ジャンスさんが舞台に?!

「先輩…タイツ穿いたんですか?」

テジュンがマジ顔で聞いた

「入るのがなくてスキー用の黒タイツだったけどな」
「「「「「…」」」」」
「なんだみんな黙り込んで!」

俺は『力道山』を思い出した
ジャンスさんにバレエは似合わない
絶対似合わない!

「ジ…ジャンスさんは同じ舞台でもロープの張ってある舞台の方が似合ってるよ」
「ふははは。わかっとるわい!けど俺あの時モテモテだったぞぉくふふん」
「「「「「…」」」」」

また皆黙り込んだ

「あ…の…。僕はその…ジャンスさんの肩を…」
「はい?」

ソグは真面目な顔で口を開いた

「肩の角度を…は…かりたい…と…」
「肩?」
「何度なのか知りたくて…」
「肩が何度?」
「見たところ40度かと…」
「は?」
「…」

撫で肩を測りたいのか!そうなのかソグ!
いいぞ!測れ!測ってやれ!

俺は握り拳に力を入れて心の中で叫んだ

「いいですか?」

ソグは粘り強く交渉している
ジャンスさんはニコニコしてソグに背中を向けた

「いいよ」
「やた!」

ソグはどこに隠していたのか分度器を取り出してジャンスさんの肩にあてた

「う…」
「何度何度?」
「…平均して45度…ってとこですね…」
「そ?」
「…凄い僧坊筋ですね…」
「そう?でも服に困っちゃってねぇ…全部オーダーしないといけないからカミさんにブツクサ言われるのよぉくふふん。でもそうか…45度か…。もうちっと頑張ろうかな」

45度では満足してないのか?!それ以上僧坊筋を発達させるとボーリングのピンみたいになるぞジャンスさん!

「筋肉を作るにはプロテインが一番です!」

ジョンドゥがメガネのフチをツイと上げながら言った

「また変なクスリを薦める!」

ビョンウがメガネの真ん中をクイと押さえながら茶々を入れた

「クスリじゃないよ、サプリメントだよ」
「ダメです!そんなもの大量摂取すると胃が悪くなります!」
「そんな事ないよ!ウソ言うなよ医者のくせに!」
「ダメです!食生活は大事です!必要なものは食事から摂るべきなんです!肉も魚も野菜も、ちゃんと咀嚼して体に供給しなくては!」
「…」
「なんですか黙り込んで」
「いや…確かにそうだなと思って…」
「でしょ?」
「うん」
「初めて意見が合いましたね」
「まぁね…」

メガネズは顔を見合わせてニコッと笑い合った
その直後、二人は同時に吹き出した

「「何で吹き出すの!」」
「「だって…似合わないんだもん、笑顔」」
「「なにっ?それはこっちのセリフだ!」」
「「…。同時に喋るなよ!真似すんなよ!そっちこそ!メガネやめろよ!これはボクのトレードマークなんだからっ」」
「「きいきいきいっ!」」

メガネズはまた喧嘩を始めた
ソグは呆れたように二人を見、それから新人じゅの君を振り返って笑った
じゅの君は困ったような顔をしてそっと微笑んだ

…この子…ほんとに可愛いじゃん…
昨日いた?全然記憶にない…どうしよう…うむむ…ご…ごまかすしかないよな…(_ _ ;)

「じゅのくん、えんりょせずにじこしょうかいしてください」
「あ…は…はい。あの…キム・ジュノです。よろしくお願いします。まだ学生です」
「あらぁぁん可愛いじゃなぁい。君の特技は…あぅん…パンフに載ってないけど…」

ジャンスさんはパンフをパラパラ捲った

「き…昨日から店に出たばかりですので…あの…。ジュンホさん…特技って…」
「きみのばあいはそのえがおがとくぎといえるでしょう」
「はい…」
「うたもいけますよね?」
「…え…す…すこしなら…」
「あとはまどふき」
「はい」
「くるまのうんてんも」
「ちょーっと待った!車の運転ならボクだって負けてないもん!」

テーブルフグのままドンジュンが横やりを入れた

「ジュノ君のドライビングテクニック、まだ見せてもらってないからナンだけど、ボクは砂漠とかシベリアの凍結道路とか得意だよ」
「は…ぼ…ぼくは…一般道路と高速道路が…」
「ふふん。じゃ、ボクの勝ちぃ」
「…」

じゅの君は俯いた

「フグ君、いけないなぁ。先輩なのに後輩の特技を蹴散らすなんてぇ」

ジャンスさんが手帳にメモを取りながら言った
だから…なんのメモなんだろう…

「だぁって!ボク、あれでなにをあれしたから…もご…」
「アレでナニをアレ?!」(@_@;)

ジャンスさんの瞳が『興味津々』の光に変わった

「だから…。雪山ドライブで…スヒョ…スヒョ…」
「「ああ!スヒョこまし!」」

メガネズが間髪を入れずに言った
ドンジュンは真っ赤になってまた膨れた

「スヒョこまし?なんですかそれはセンター君」
「んと…んとねぇ…ボク…ハンドルを握ると人が変わるタイプなんだ…」
「おお…凶暴になるとか?」
「じゃなくてぇ…」
「「かっこよくなるんですよね?ドンジュン先輩」」
「…って…」
「かっこよくなるだけじゃなく、いろっぽくもなるんですよじゃんすさん」
「ほほぉぉこのフグ君が?!」
「…今はまだ使えないけど、あそこのシミュレーター装置が動くようになったらさ、僕、店で『体験色河豚』ってのをやるんだ」
「『色河豚』…。そそりますなぁ…」メモっ
「…でも…怖いな、自分が暴走しそうでさ…」

ドンジュンはますます俯いて照れている
コイツがスヒョンをこました後、一度だけ『色河豚』状態を見たことがある
店にあのシミュレーター装置が置かれた時だ
ウシクやチョンマンが次々とコマされていったのを俺は確かに見た
あの頃はドンジュンがまだその色気を抑える術を身につけていなかったから、シミュレーター装置をお客様に使うのは危険だとか言って店の奥に仕舞われてたんだよな…

俺は懐かしい気持ちでシミュレーターを見た
ん?気のせいかな…あのシミュレーター…なんか小刻みに動いてるような気がする…
俺、かなり疲れてるのかな…








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