ぴかろんの日常

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リレー企画 314 シャッフル9

シャッフル 9 ぴかろん

「あのさぁ、MKBは、なんつーか、疑似親族みたいなもんだからさぁ、あんまり気にするなよ」
「…疑似親族…」
「擬似兄弟とかさ」
「テジュンさんにはヨンナムさんって従兄弟がいるじゃない!」
「あの2人は喧嘩ばっかしてる双子でソクは年の離れた兄貴的な存在なんだよ、今は」
「今は?」
「だって今までそんなに仲良くなかったじゃん?お前がシャッフルなんかしなけりゃ俺とテジュンもお前とソクも仲良しだったはずだ」
「ラブが一人ぼっちで可哀想だと思って俺は…」
「うんうん、だからシャッフルしたのもわかる。なら、もう少しだけ我慢しろよ、な?この2人がどうこうなるなんて有り得ないし、もしそんな素振りを見せたら俺が阻止するし」
「…わかってますよ、ソクさんとテジュンさんがそんな事になるはずないって…。だけど…なんでかな、ザワザワするんだもん…」
「俺もザワザワする」
「ですよね」
「濃いもんな」
「え?」
「MKB顔。濃厚なミルク」
「う…確かに…」
「一人でも濃いのにダブルだと濃すぎて冷や汗出てくる」
「ぷっ…ククク」
「あ、やっと笑った」
「ひどいな、イナさんったら、ククク」
「濃すぎるから交わらない」
「あはは。うふふ…ですよね、俺が感じすぎなのかな」
「…」
「ん?なんで黙り込むんですか?」
「や、ん、ちょっと、あは…」
「へんなの」

感じすぎって…
自分はナイーブだって言いたいんだろうけど…
俺は変な想像しちまった…

スヒョクの喘ぐ声とか、寄せられた眉根とか、しがみつく腕とか、スヒョクを覗き込むソクの優しそうな顔とか…
そんな色っぽい場面がリアルに浮かんだ
ソクはテジュンそっくりだし、スヒョクと俺も同じ顔…
すなわちその場面はいつの間にかテジュンと俺にすり替わり…

「あ!ちがうっ!逆だ逆!」
「え?何が?」
「てじゅと俺は逆にならな…きゃ…」
「は?」
「あ…いや…ちょっと…その…ひとりごとだ」
「へんなのっ!」

やっぱり俺は欲求不満なんだろうか?
少し機嫌をなおしたスヒョクと、ウシク達は大丈夫だろうかと話しながら、ヨンナムさんちに着くまでずっと、前の2人の観察を続けた

*****

今日はとってもハードな1日だった
何キロ走っただろう…ポールのせいだ!馬鹿野郎め!二度と会いたくない!

ヘロヘロになって弟達の病室に辿り着いた僕に、ギョンビンは冷たい瞳でこう言った

「あれ?なんでまた来たの?別に用事ないから、兄さんもう帰ったら?」

ダーリンはぶんむくれ顔しか見せてくれなかった…会えたけど悲しい…
疲れ果てて帰ってきた兄になぜギョンビンはこうも冷たくできるのんだ?
その場で突っ伏して泣いてやろうかと思ったが、ミンチョルさんがにっこり微笑んでくれたので我慢した

「お兄さん、ミンは明日には退院できるそうです」
「え…そうなんですか?」
「そ。明日から付き添いにまわるからね」
「え?」
「僕はいいって言ったんですが、ミンがどうしても看病すると言って」
「あなた、ほっといたら仕事に没頭するでしょ?お医者様や看護師さんにどれだけ迷惑かけるか心配」
「何を言うか!僕は模範的な患者として…」
「とにかくそういうわけだから兄さん帰っていいよ」
「え…でも…」
「気になるなら明日来てもいいから」

来ても…いい?

「その時彼と僕の着替え持ってきてくれる?」
「えっ?じ…じゃあお前達のお部屋に入ってお前達のお着替えを持ってきてもいいってこと?!」
「ダメ。部屋に入っちゃダメ!」
「でもだって着替え…」
「クローゼット代わりに使ってる僕達の隣の空き部屋あるでしょ?あそこに新しいパジャマや下着があるし、そこに僕の普段着も吊るしてあるから、それ、持ってきて」
「…でも…」
「明日の夕方までに来てくれればいいよ」
「…でも…」
「お兄さん、明日、ラブがまた来ると言ってました。ミンはお兄さんとラブを会わせてあげたいんですよ」

ミンチョルさんがまたニコリと微笑んだ
そ…そうなの?ギョンビンったらお兄ちゃんの事そんなにも思ってくれてたの?ぐすん、なんてイイコなんだろうギョンビン(;_;)

「ラブ君気の毒だった…せっかく兄さんに会いに来たのに…。だから早く帰ってあげなよ、ね?今から帰ったら店に間に合うんじゃない?」
「ミン。いくらなんでもこんなに疲れ果てたお兄さんに仕事させるのは酷だよ」
「大丈夫だよ、兄さんは酷い目に遭えば遭うほどイキイキする不思議な体質だもの。ね?」

ギョンビンは優しい顔で僕に微笑んだ
酷い!なんて言われようだ!だが確かにその通り!
僕は過酷な状況に陥ることを厭わない
むしろ好んで、より過酷であることを求める傾向にあったりする
そこから這い上がった時の達成感や充実感、這い上がるまでの努力
ああ、僕は生きているんだと実感するその一時
冷たいふりして僕のことをよく理解してくれている
我が弟、愛する弟よ、お前もまたこの兄を深く愛してくれていたのだな…ぐしっ…
僕はギョンビンの、冷たい口調に隠された温かい心に涙が溢れた

ありがとうミンチョルさん、ありがとうギョンビン、愛してるよ

ビターン!

「やめろよ気持ち悪い!さっさと帰れ!」
「ミ…ミン…」
「抱きしめるのはラブ君だろう?!僕に触るなよな!」
「…ミン、そんなに冷たくしなくても…」
「早く帰れよ、オラっ!」

無意識のうちにギョンビンを抱きしめようとしていたらしい僕は、瞬時に頬を打たれ、床に崩れ落ちていた…
そんな手厳しい仕打ちを受けながらも、僕はギョンビンの愛情をヒシヒシと感じていた…
だって弟は厳格王。厳しさが愛。くふん…

「…わかったよ、着替えを取りに帰る。パジャマと普段着と下着だね?」
「下着はいい」
「え?どぉして?」
「兄さんに任せるとおかしなものを持ってくるからね。本当は普段着だって心配なんだ!だから一着だけでいいからね!わかった?」
「だって下着は毎日替えないと」
「替えてます!この病院の売店にも売ってるしそれに明日から僕は自由に動ける。すなわち買い物にも行ける。言われたものだけ持ってきてくれればいい」
「ミン、お兄さんにそんな言い方…」
「あなただってイナさんにケンケン言うでしょっ?それと同じ事だよ!」
「ミンチョルさん平気です。僕、慣れてますから…。ギョンビン、明日、一着ずつ持ってくるよ」
「普通のを持ってきてよ、オーソドックスな物だったら兄さんのセンス、いいんだから」
「うん♪カッコイイのを選んでくる」
「違う!超フツーのパジャマと、超フツーの普段着!かっこよくなくていいから!わかった?」
「うん♪」

弟の目が鋭く吊り上るのを見ながら、2人に似合う服をあれこれ想像した

「早く帰りなよ!」
「ミン、お兄さんは疲れてらっしゃるんだから」
「大丈夫。ニヤニヤしてるもの。帰れ!」
「ミン…」
「なんだよ、あなたいやに兄さんの肩持つね、どういう事?助けに来てくれたのがかっこよくて惚れちゃった?!」

弟の目がますます鋭くなる

ミンチョルさんって『えす』だと思ってたんだけど、ギョンビンの前では『えむ』?
くふん
厳格王の前ではゴージャスフォックスも可愛いコギツネになっちゃうのかしらんくふふん…
お?

「ミソチョルくん!」

いきなり視界に入ってきたその愛らしいコギツネのぬいぐるみを、僕は駆け寄って抱きしめようとした
途端に厳格王の鉄拳が振るわれ、僕は病室の床に崩れ落ちた

ミン!なんだってお兄さんを殴るんだ!
あなたを襲おうとしたんだよ!
違うよお兄さんはミソチョルを…
あなたの名前を叫びながら突進してきたんだよ!
違うってば、お兄さんはミソチョルの名前を…
ちょっと兄さん、あんたミソチョルって言ったの?それともミンチョルさんの名前を呼んだの?どっちなのさ、答えろよオラ!

疲労困憊した体に厳格王の鉄拳はキツい…
その上誤解を受け揺さぶられ…
僕はただ、ミソチョル君に癒されたかっただけなのに…ああおお…
も…だめ…ちょっと寝る…
体力の限界に至った僕は、そのまま深い眠りに落ちた

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