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ミルが虹の橋へいってしまった。9月28日午後10時35分、やっと解放されたんだね。もう輸液をしたり、目薬さしたり、薬を塗ったりしなくていいんだよ。エリザベスカラーなんか用なし。妹に、食べられなかったお刺身をあげてもらった。きっと今は大きく伸びをして、お刺身を堪能し、食後の身だしなみを整えて、ちょっと高い衣装ケースの上でくつろいでるとこだろう。またたびの匂いのする爪とぎで体中をスリスリして、リビングのソファで大股開きで寝転んで、電話代にかけてある鼠のおもちゃをちょっと冷やかし、久々にベッドでワシの枕で寝て・・・。この数ヶ月できなかったこと、みんなやっていいんだ。
ミルチンは頭のいいきれいな猫だった。家に来る前は多分捨てられてしまったのだろう。可愛い、きれいだと飼い始めるが、帰国する時に置いていってしまう外国人はごまんといる。妹とミルチンの付き合いは10年以上になるが、お産の時妹を呼びに行ったのだそうだ。その後妹が子猫の面倒を見始めるとミルチンはどこからか袋に入った魚を子猫たちのところへ運んできたという。そんなことからなんとなく居つき、大きくなった子猫たち、アロムやピッピを引き連れて、ナナイの裏山で狩りを教えていた。ミルは生きるための知恵と力を持っている猫だった。
最初ミルは恐くて触ることさえできないような猫だった。ワシがプーケットで働くようになり、根が猫かわいがりのワシは、ミルチンを抱っこしようと、少しづつ慣らしていった。1年ほどたってから、恐々ながら抱いてみると、意外やミルチンは抱かれ慣れている様子だった。やっぱり根っからの野良猫ではなかったのだ。
ピッピがいる頃は母としての威厳があるのか、あまり甘えることはなかったけれど、ピッピがいなくなってからはずいぶん甘えん坊になった。寝るのはベッドで、腕枕が好きだった。フッと目が覚めると同じ枕をシェアしたりしていて。ベルベットみたいに柔らかい毛、頭を腕に乗せ、前足をワシのからだのどこかしらに当てて。ミルがすごいのはワシや妹に決して手を上げないこと。目薬をさそうが目の周りに薬を塗ろうが、すごく嫌なんだけど猫パンチは絶対にしない。どんなに顔を近づけてもそれだけはしなかった。100%信頼してくれていたのだろう。ミルチン、本当によく頑張った。今日も妹の気配がすると頭を上げていたという。最後までピシッと生きた猫だった。
8月にプーケットでミルチンと留守番していた時、おなかをすかせたミルチンは寝ているワシの上に乗り、顔をくっつけてきて鼻をちょっとかじった。それでもワシが寝ていたら次は思い切りかじった。ワシの左側の鼻に縦線が今も残っている。スッゴク痛かったけど、今はこの傷が消えないでほしいと思う。