ミスター・エイト・エイティ






アメリカの週刊誌「ニューヨーカー」のノンフィクション作品です。

ミスター・エイト・エイティー 
何かの番号?そうです。

誰だかわからない、アメリカドル紙幣の偽札作りの犯人を
捜査官たちはファイル名をとってこう呼びました。

日本でいうと被疑者不詳の名無しの権兵さん!ってとこでしょうか?

通貨偽造は大昔から、今に至るまで治まることなく、続けられてきた詐欺行為。

歴史上のあらゆる犯罪の中で、贋金作りほどしぶとく存続する犯罪はないはず。

この作品はそんな贋金作りの歴史的観点を交えながら、
アメリカ史上最も、てこずったこの犯人探しについて詳しく描いています。

まず、面白いのは彼が作ったのは1ドル紙幣だということ。

普通、手っ取り早く、設けようと思ったら、作るのは100ドル紙幣である。

しかも、彼の作る偽札は笑えるくらい下手だった。そして欲の無さ。

丸一年で使われた枚数585枚。一日に2ドルも設けていない計算だった。

全く、性格がわからない犯人像にいらだつ捜査当局5年が過ぎたとき、
偽札は実に2840枚に及んでいた。

最終的には9年近くなって捕まるのだが、とにかく、犯人が面白い。

捕まったのも、全くの偶然からだ。

最後に彼が捕まってい言った言葉。

「私は誰にだって1ドル以上は使ったことはありませんから、
1ドル以上損をした人はいません。」

あっぱれです!

で、捕まってどうなったか?

たったの4ヶ月の服役で刑務所を出ています。

なぜかは読んだらわかります。とにかく、笑えるノンフィクションでした。






と、書いておきながら、読む機会のない方に気の毒なので教えます。結末。


実は彼、全然、逃げてないんです。
普通につつましく、生活してお金に困る都度、刷っていたんです。
おかしいでしょう?

そして、4ヶ月の謎 彼、73歳の高齢者だったのです。
しかも、最初、7ヶ月の実刑だったんです。
でも、弁護士さんが1年1日の刑にしたら、4ヶ月で出所できた前例をあげて、
それに落ち着いたそうです。

取り調べの際にも捜査官がみんな、彼に同情し、親切にしてあげたそうです。

どの贋金作りよりも時間とお金を費やしたこの事件は20世紀フォックス社が
映画化の権利を買い取り、映画会社は老人から、映画化の許可を得るため、
まとまったお金を彼に支払っています。

その額が10年間近く、偽造して、使った額とほぼ、同額だったそうです。







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