ペット喜怒哀楽

アップ・カントリー

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書名 : アップ・カントリー
著者 : ネルソン・デミル
出版社: 講談社文庫 上下 2003.11.15初版
感想 : 2005.6.24二つ目の日記に記載

気になった文章 :

* ホーチミン(旧サイゴン)にあるアメリカ戦争犯罪博物館での展示の中に
「ひときわ穏やかならぬ一連の写真と、説明の文章に行き当たった、写真には数百人の男たちが列をつくらされて砲兵隊に射殺され、そのあと拳銃によってとどめの一撃をくらっている場面が記録されていた。といっても、アメリカと南ヴェトナムの戦争犯罪を記録した写真のコレクションではない。説明文によれば、ここで犠牲者になっているのは、サイゴン陥落後も戦勝者である共産党への抵抗をやめなかった南ヴェトナム軍兵士と産地に住む少数民族だという。」
* 「本物のキニーネで味をつけたトニックウオーターをつかってるのよ。マラリア対策ね。」これ、「疫病は警告する」に書いてありました。今でもなんですね。
*「この国で仕事をしている知り合いにも、あなたとおなじ世代の男の人がいるいし、なにかを探すために、あるいはなにかをうしなうためにこの国を再訪した男の人に会ったこともある。だから、これがつらい経験だということは知っているし、それなりに理解もしているわ。でも、私の世代にとって、ヴェトナムはあくまでも国の名前で戦争の名前じゃないの。」
* わたしもアメリカの全国民の例に漏れず、1975.4.30以降はテレビのスイッチを切って、ヴェトナムという名前の番組を見なくなっていた。
* 北ヴェトナム軍がブルドーザーで、南ヴェトナム軍人墓地をすべて潰した。
* FULRO (被抑圧民族闘争統一戦線)主に山岳地の少数民族
* べトキュー(米国からベトナムに帰国)の発言「自国の歴史を正確に学ぶためには、私はアメリカに行くしかありませんでした。ハノイの声ばかりをあまり長くきいていると、自分自身の記憶や自分の正気さえ疑わしく思えてくるんです」(これって、どこの国でも同じだわぁ。共産圏だろうが、日本ですら、アメリカですら)
* ほとんどの兵士が、やってきた時には普通の人間...ここの環境に置かれると人間性を無くしていく...朝方にヴェトコンの片耳をそぎおとした男が、昼過ぎには村人に菓子をあげてる...
* 他の仲間の行為は言えても、自分の手がした行為は言えない。(だから、戦争に言った日本人も、口が堅い...同じ。)
* 戦い合った米国人と北ヴェトナム人はうち解けても、北と南のヴェトナム人ではそうはいかない。ともに憎しみを抱いている。戦争そのものという異常に、戦争後の展開ではないだろうか。戦争は黒と白ですっぱりと割り切れる...対して平和は、そう簡単に割り切れない複雑なものだ。(sigh)
* 死者に口がきけるものなら、自分がなぜ死んだかを教えてくれると思う。(うん、死ぬ時、死因は知りたいなぁ。)
* この気候が、ある程度まで文化に影響をおよぼしていた。その結果、ヴェトナムの国民はおおざっぱに二種類にわけられた。南部の人間か明るく陽気で、騒々しく、いつも笑顔を見せている。そしてここ、北部の人間は暗くて陰気、もの静かで、深刻ぶった顔。(関東関西の比較と類似。これ、文化人類学の領域だわぁ)

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