ペット喜怒哀楽

逃亡作法

逃亡作法
書名 : 逃亡作法
著者 : 東山彰良
出版社: 宝島社文庫 2005.2.5 第5刷 526ページ \934

感想 : アイデアは面白い...死刑を廃止し、代わりに首筋にマイクロチップを埋め込む。逃亡すると、電波で失明する仕組み...近未来。
ただねぇ、何しろ、アンダーグラウンドの世界で、言葉遣いも雰囲気も、はっきり言って付いていくのがしんどかったぁ。世代ギャップというよりも文化ギャップを感じたわ。タブロイド紙の連載小説にならむいているのかもという印象。台湾で生まれた著者だからなのか、中国語の会話が時々出てくる。これが、中国語初級者には面白い。

気になった文章:
* 近未来の仮定ですけれど
農産物市場を開放したせいで壊滅的な打撃を受けた日本の農業は、栽培する農産物を完全に政府が決められるキャンプを利用することで、需要の少ない作物の生産を減らして、逆に需要の多い作物を増やす。(...)囚人労働力を使って昔ながらの有機農法、手作業で作られた農産物は価格良し、味良し、安全性良し。資源を輸入に多様っている日本にとって、機械に頼らなくてもいいということは、いざというときにも最低限の食糧を確保できる。
(これって、いい案だと思うのね。今の刑務所内作業、ほとんどを農業に転換できたら、囚人の精神衛生にもいいし)

* 神はニーチェに殺されてしまった。となると、意識化されたエネルギーはまさにその刹那から、何らかの対処ー発狂か適応かーを個人に迫る。どちらを選ぶかは、個人の自由にならない。発狂する人は選択の結果発狂するのではない。 

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