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2004年の読了本(11月)

2004年の読了本

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*11月*
「チルドレン」伊坂幸太郎(講談社)(2004.11.3読了)
5つの短編・・・と思いきや、長編。ううっいきなりやられたなり~特に強烈な事件が起こるわけではないが、一番最初の「バンク」をきっかけにしてそれぞれが繋がる。特に陣内という男は度肝を抜かれる。銀行強盗事件に巻き込まれていながらもかなりの強気。おまけに後に家庭調査官という職業につき、「俺たちは奇跡を起こすんだ」と言い切る。そして何故かパンクロッカー(歌を聴いてみたいよ。)強盗事件をきっかけにして知り合った永瀬は全盲だが、するどい感性がある。彼はとても静かに物事を理解し、解決へと導いてくれる。頼もしい限りである。そしてその彼女・優子と盲導犬のベスの張り合いも面白い。(犬と張り合ってどうするの?)陣内の友達の鴨居もあまり出てこないが、もっと知りたい人物の一人だな。「チルドレン」では「やれらた~」感が強かったな。思い込み・・・ってやつか?すっかりとだまされた。「チルドレン2」は親子の愛に涙し・・・とにかく出てくる人々はみんな気になるし、話は面白いし、読んでいて爽快なんです。私にとっては初!伊坂幸太郎!だけど、違う作品も読んでみたくなりましたね。
「太陽と毒ぐも」角田光代(マガジンハウス)(2004.11.4読了)
大好きなんだけど、どうしても我慢できないことがある。そんな恋人たちの日常を描いた短編集。あとがきにあるように「ばっかみたいな恋人たち」のオンパレードである。風呂に入らない不潔な彼女や買い物しすぎる男に万引き女・・・多分、こういう人たちは多少デフォルメしているが身近にもしかしたらいるのかも・・・という現実的な感じがする話ばかりだ。それでも何故か恋人という枠に収まっているのはそれを相手は少なからず心のどこかで許しているからだろう。難癖のある人が毒ぐもなのか?そして一見普通に見える相手は太陽なのか?甘い恋愛小説と違って、毒々しくて何とかして相手をまっとうにしようと躍起になるから面白い。でもコミック的でもなく。悶々としている訳でもなく。怖い結末が待っているわけでもない。そういうところが角田さんの小説らしいと言えばらしいのだが。今が恋人まっさかり・・・の人は一度読んでみるといいかもしれない。もしかしたら相手の意外なところを見落として有頂天になっているだけなのかも・・・
「ほつれとむすぼれ」田口ランディ(角川書店)(2004.11.4読了)
メルマガのコラムをエッセイにしたものです。夢の話、死んだ兄の話、そしてその時々に世界中で起きた事件の話。ランディさんのエッセイや小説を読むといつも生きる、死ぬ、心、いろんなことを考える。イラクや北朝鮮・・・さまざまなニュースが流れているが、見ると胸が苦しくなる。 どんな状況であっても空は青く、生きている限り、呼吸し光を目指して前進する。歯が全て抜ける夢の話は強烈だったが、夢は誰でもみるものだし、 夢の内容を冷静に分析するとその時々の精神状態がわかるものかもしれない。
「イニシエーション・ラブ」乾くるみ(原書房)(2004.11.5読了)
大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって・・・何となく、これは普通の恋愛小説じゃん!って思って普通に読んでいました。でも・・・乾くるみ氏のことだ。きっと何かが起こる・・・「Jの神話」を読んでグロ・・・いや、もういや~と思った私ですが、そこここで何かあるとにらみ、やっと借りれたので読んでみた。そしてA面からB面へと人間が普通に読むであろう順番に読み、本を閉じ・・・「えっ?」疑問が・・・もしかして、私、やられた?完璧に・・・ああ・・・何ということだろう。私としたことが・・・あんなに気負って読んだのに。ううっ。しかしネタバレを書けないこの苦しさ。もだえる。大体さ、「男女七人・・・」とかさ、懐かしい80’Sのラブストーリーにしたてるから・・・あとから何とでもいえるけど、おかしいと思ったんだよね。ある場面から・・・そしてああ・・・いえない。これは2度読みしてわかるトリックなのか・・・ 2度でも3度でも読み返したいよ。もしかしてエンドレス?
「上京はしたけれど。」たかぎなおこ(メディアファクトリー)(2004.11.9読了)
三重県から東京への上京。しかし、すぐにフリーのイラストレーターで食べていけるほど世の中は甘くない。しかも東京って物価が高いし・・・上京したての彼女の苦労を親しみのあるイラストで綴ったエッセイ。私は東京って遊びに行くところだと思っている。昔はやっぱり東京という都会に憧れもあったけど、人は多いし、まず乗り物の乗り方がよくわからない。これを読んでいたら、もし私が上京してもきっと同じ状態に陥るであろうことがたくさん描いてあった。上京したことがないので実際の生活はわからないが、きっと地方出身者の人はこんな風に切磋琢磨しながら力強く生活しているんだろうな~尊敬します。でも東京生まれって何だかハイソな感じでいいな~(田舎モノのひがみ)
「レモン・ドロップス」石井睦美(講談社)(2004.11.18読了)
中学生の女の子の日常。思春期ってこんな風に通りすぎていくものかも。恋をするにはまだ幼すぎて、それでいて何か不自由すぎる生活。悩んで泣いて笑って怒って。いくつもの小さな試練を乗り越えて大人になっていくんだな~友達との微妙すぎる関係や姉は勉強一筋だし。おばあちゃんは大好き。レモン・ドロップスをなめながらそんな微妙な心を溶かしていくような。何だか母の気持ちで読んでしまったな。
「主婦は踊る」青木るえか(角川文庫)(2004.11.21読了)
あはは!一言笑っちゃう。青木さんという主婦はすごい!OSK(今はもう解散してしまったが。)に注ぐ情熱は只者ではないね。これが後にダイエットに繋がるのだから。走るのがキライ。歩くのもイヤ。座ってるのが好きなんです。って・・・こりゃみるみるうちに体重増だよ。逆ダイエット本か!?しかし、競輪やOSKに注ぐ情熱のすごさから突然、ものすごい行動力をみせるんだよね。こういう極めた人って最強だと思うな~
「ダヤンのお祭りの本」池田あきこ(中央公論新社)(2004.11.24読了)
ダヤンが紹介する・・・というよりも池田あきこ先生が自らめぐったお祭りをスケッチし、紹介した本です。青森のねぷた巡りから三社祭、御柱祭を紹介しています。お祭りというと男・・・って感じですね。荒々しくて雄大で。そんな命がけのお祭りに池田あきこ先生はよく行って、スケッチまでしたな~と感心させられます。それだけお祭りが大好きってことなんでしょうか。表紙はダヤンたちが風神雷神になって勇壮ですね。可愛いです。
「羽の音」大島真寿美(理論社)(2004.11.25読了)
大学の進学を前に登校拒否の私・菜生(なお)と出社拒否の姉・花保。自殺未遂で死にかけたミキオの見舞いに行く菜生はいつも悩んでいるように思える。姉にしても結婚が決まりかけていながら、突然の出社拒否、そして破談、ついに会社を辞め、いつの間にかここから羽ばたいていこうとしている。両親の離婚で姉と妹2人で共同生活を送っているという家庭の事情。 人生についての悩みが相談できないまま、一人でもがき、大人になっていくということだろうか?フニクリフニクラを呪文のように唱え、いろんな痛みに耐える。静かな冬のひとときを透明感ある文章で綴った・・・って感じかな。(よくわからないが。)実はこの本、再読である。読んだことあったんだ。しかも私のある記録によると2001年の秋に。でも感想は書かれていない。きっと感想が書けなかったんだろう。(読んだ本のメモだったので。) ミキオの病室で絵を見ているシーンで思い出した。
「チョコリエッタ」大島真寿美(角川書店)(2004.11.26読了)
誰も呼ばない本当の名前、私はチョコリエッタ。犬になりたいと願う私、知世子。愛犬、ジュリエッタは死んでしまった。そのときから苛立ちやいろんな葛藤が始まったように思う。幼い頃、事故にあい、母親を亡くして以来、彼女はいろんなことに色をつけることをやめてしまったのかもしれない。父親との関係や父親の妹の霧湖ちゃんとも微妙になりつつある。そんな中で先輩とのふれあいは唯一、知世子が素になれている状態なんだろうか?この先輩も結構な曲者だが・・・この作品は表紙画の可愛い犬の絵に反して少々暗めで悶々とした感じだった。
「私が好きなルール」堀井和子(幻冬舎)(2004.11.30読了)
堀井さんのライフスタイルがわかる一冊。人には生活するうえで暗黙のルールが存在するわけで。堀井さんの場合は、パンを冷凍庫にストックするときは、カラーゴム2色でまとめるとか、自転車の乗り方とか。途中、途中でカラーの写真があってこれがまたセンスの良さを感じます。
「庭の桜、隣の犬」角田光代(講談社)(2004.11.30読了)
夫婦って何だろう?これがまたテンションの低い作品で。これはある一組の夫婦を中心にした作品なわけだけど、田所房子、専業主婦、子どもなし。夫は宗二。しかしこの房子さん、家事があまり得意でない。実家に行き、毎度のように母親の手料理をタッパにつめて帰ってくる。それを知りながら言わずに食べる宗二。そしてその宗二が帰りが遅くなるので会社の近くにアパートを借りるところから何だかギクシャクした生活が始まる。こういう相手の懐をさぐり合うようなよくわからない夫婦もきっといるだろうけど、何だか淋しくはないか?お互いに好きあって結婚をしたのではないのか?惰性でとにかく落ち着きたかっただけなのか?もういくつ?があっても足りないほどのエピソード万歳!って感じなんだけど。それに宗二の会社でアルバイトをしていた女・和田レミ。最初から危ないとは思っていたが、最後までよくわからない危なさをかもし出していたね。しかし、宗二の妻・房子に向かって啖呵をきった以外は特に騒動もなく。いささか拍子抜け。最後は宗二の母が再婚をするとかで盛大なパーティー(しかも悪趣味極まりない)を房子が乗りに乗って仕切ったりするのだが。房子は一体何を求めているのだろう?もしかして昔は天才少女と呼ばれ、今は普通の人なわけで、作中にもあったように「燃え尽き症候群」なんだろうか。

mitu n



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