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2005年の読了本(11月)

2005年の読了本

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*11月*
「春、バーニーズで」吉田修一(文芸春秋)(2005.11.2読了)
バツイチで子どもありの女性と結婚した筒井。自分の子のように愛し、同居の義母ともいい関係を築いている。そんな彼がバーニーズでかつて同居していたおかまと再会するところから物語は始まるのだが、別にどうのこうのとなるわけではない。ここが吉田修一流の小説なのか?平々凡々と彼の生活が描きだされ、また過去のいろいろな回顧によって読者にいろんな感情を生み出させる。最後は妻との狼少年ごっこで幕を閉じるのだが。どんな意味があるのかはわからない。しかし、ここにつまっているのは彼の彼なりの彼らしい愛情である。私が言うのもなんだけど、いい作品だと思う。
「蛇にピアス」金原ひとみ(集英社)(2005.11.2読了)
これは参った。いや~聞いたことも見たこともないような世界で。正直困った。主人公ルイはスプリットタンに魅せられている。舌を切開して蛇のように二股にする身体改造の一種。知り合って恋人気取りでいるアルバイト男・アマの影響だ。アマに連れて行かれた身体改造の店『Desire』でオーナー・シバと出会い、ルイはスプリットタンと刺青を試していくが、アマが街で起こしたケンカが、彼女の周囲に不吉な波紋を立ていく。新しい世界といってしまえばその一言でおしまいなのだが。性と暴力。う~ん。村上龍とも違う世界だ。
「今ここにいるぼくらは」川端裕人(集英社)(2005.11.3読了)
主人公・博士は、小学校三年生のときに関西から関東へ転校した。関西弁をからかわれて無口になった博士。しかし、成長するにつれちゃんと仲間もでき、それなりの学校生活を送っている。物語もよいけれど、この人は懐かしさを感じさせるのがうまいと思う。「川の名前」もすごいよかったが、この小説も派手さはないけど、あ~あのころは・・・と自分の子どものころにタイムスリップさせてくれるような不思議な魅力がつまっている。宇宙にあこがれたり、川をどんどん上っていく冒険をしたり、主人公の博士と自分が一体化して物語の中で成長していく感じがとても心地よかったです。
「7月24日通り」吉田修一(新潮社)(2005.11.3読了)
主人公小百合は平凡なOL。弟の耕治に彼女ができた。めぐみという。しかし、小百合は彼女が耕治につりあわないことに違和感を感じている。弟への嫉妬?しかし小百合もまた高校時代の憧れの人を思い、自分の殻をうまく破れないでいる。はがゆいのだ。もどかしいのだ。でも誰もが悶々とした違和感を抱きながら恋愛と向き合っているのではないだろうか。そこを脱皮すればきっと明るい道が開けるのかも。
「コイノカオリ」(角川出版)(2005.11.3読了)
「水曜日の恋人」角田光代 
「最後の教室」島本理生
「泣きっつらにハニー」栗田有起
「海のなかには夜」生田紗代
「日をつなぐ」宮下奈都
「犬と椎茸」井上荒野
とってもお得感がある本だと思う。一冊で好きな作家さんたちの小説が読めるのだから。だから私はこういう本が好きだ。内容はどれも甘い恋愛・・・小説なんだと思うけど。個人的には栗田さんの「泣きっつらにハニー」が元気があってよかったな。「日をつなぐ」の宮下さんは初めての作家さんだったけど、自分と少しだけ同化してしまったな。赤ちゃんと二人悶々と日々をすごしていたあの暗いころを思い出す。お気楽そうな私でもそういう時期があったのだ。
「ひな菊とペパーミント」野中柊(講談社)(2005.11.5読了)
主人公結花は、パパと二人暮し。離婚したママは近所に住んでいるから時々会う仲。ところがパパに再婚話が。相手は同じ中学校で人気者の松岡くんのママ。友人の小川くんはおばあちゃんと暮らしている。何だかみんな少し複雑。しかもみんな大人の事情で。そんな中でたくましく成長していく結花たち。野中柊さんの小説好きです。何だかいいんです。雰囲気も、シチュエーションも。小川くんの家も面白そうだし、恋の入り口に立っているような感覚もいいし。何だか甘酸っぱいような・・・大人じゃないからいいのかも。
「漢方小説」中島たい子(集英社)(2005.11.11読了)
みのり、31歳。独身。元カレが結婚すると知ったその日から原因不明の病気に襲われた。体がセルフ・ロデオマシーンのように暴れだすってどんな感じじゃ?漢方には少々興味がある私。ふむふむとうなずきながら読んだのさ。病名がつかないけど調子悪い。時々からだの中でひと暴れするっていうような状態にはやっぱり漢方薬がいいんでしょうかね?陰陽五行説とか漢方の話とかためになりますね。もう少し詳しい専門書とか読みたくなりましたもの。みのりさんが段々調子よくなっていく様子が手に取るようにわかって面白かったです。何だかちょっぴしドラマっぽい?
「蹴りたい背中」綿矢りさ(河出書房新社)(2005.11.14読了)
芥川賞受賞作。「蛇にピアス」より全然こっちの方が面白かった。前作の「インストール」もよかったけど。高校に入ったばかりの「にな川」と「ハツ」はクラスの余り者同士。 そのにな川は妙なやつで、女性誌を食い入るように眺めている。実はそこに載っている「オリチャン」の大ファンなのだ。その「オリチャン」に会ったことがある「ハツ」。そんなこんなで大接近のお二人さん。恋に発展?ちょっぴり淡いような苦いような関係がよかったりして。この主人公の「ハツ」の群れたくない気持ちが結構わかったりする私。今まであまりものにはならずに世の中を体よくわたってきたが、もっと個性を出していれば私も十分に「ハツ」になっていたかも。と、小説の意図とは関係のないところで共感をよんだのでした。
「神様ゲーム」麻耶雄嵩(講談社ミステリーランド)(2005.11.15読了)
小学4年生の黒澤芳雄の住む神降市で連続猫殺害事件が発生。同級生と結成した浜田探偵団で犯人捜しをはじめた芳雄は、死体を発見する。猫殺し犯がついに殺人を? 芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼むのだが・・・。こんなのあり?ミステリーランドである意味型破りな・・・しかも最後が衝撃的だし、子ども向けにしてはちょっとショッキングすぎないか?大体クラスメイトで自らを「神様」だと言い張る鈴木太郎クンって何者?親友の英樹が殺され復讐しようと天誅が犯人に下るように神様にお願いして、またまた死が・・・原マスミさんが描いた装画がすばらしいんですが、図書館ってば・・・どうしてカバーをはずす・・・ま、中身は見えてていいんですけど。麻耶さん・・・そういえばあとがき書いてないですね。これもある意味型破り!?もお。マジでいろいろびっくりさせられた作品でした。
「介護入門」モブ・ノリオ(文芸春秋)(2005.11.16読了)
29歳、無職で暇があると大麻にふけっている「俺」。寝たきりの祖母を自宅で介護する。第131回芥川賞受賞。何だかラップ調な言葉の羅列。まじめな本と思いきや・・・中身のギャップが・・・正直言って、まったく絵が浮かんでこない作品でした。私はいつも小説を読むときに頭に空想しながら(意識はしていないが。)読んでいるみたいで、この本は泡粒が飛んでは消え、はじけ、どこか遠いところへそれこそイッチャッテル!?ああ・・・どうしてこれが芥川賞?(評価された方々ごめんなさい。)
「しゃばけ」畠中恵(新潮社)(2005.11.17読了)
ああ面白い!妖怪小説っていうから・・・てっきり怖いのかと思っていました。妖怪といえば京極様を思い浮かべるけど、これはおどろおどろしいという感じはまったくなく、むしろ親近感を覚えてしまう。江戸の薬種問屋の若だんなで身体が弱くすぐ寝込んでしまう一太郎には、手代に身を替えた犬神・白沢などが身の周りに控えている。ある夜、ひとり歩きをした一太郎は人殺しを目撃してしまう。さーここからが普通のミステリとは違う。何てったって敵は「妖」ですからね。侮れません。しかもこの若だんなは体が弱い。で、守られているくせになぜか?窮地に立つと強い・・・感じがする。 実は畠中さん、漫画家デビューなんだってね。びっくり。シリーズ化されているので次作も読みたいのだが・・・人気作品ゆえ、図書館に在庫なし。予約するか・・・ぶつぶつ・・・
「へんなものすき子さん おもしろかわいい昭和の雑貨手帖 」ふじわらかずえ(祥伝社)(2005.11.24読了)
ペコちゃんこけし、ケロヨンの椅子などなんとなく変ででもそこがかわいいと著者は語っていますが。その日本の昔懐かしいような代物をイラストで細かく再現。う~ん。キモカワ?私にはキモイとしか見えないようなものも著者は可愛いんだとか・・・何だか懐かしいような・・・昔見たような気がするものもあったけど、ほとんどは初めてお目にかかるものばかり。大体、大正美人の生首花瓶って何や?そんなキモイもの・・・他にもたくさんあるけど・・・見ようによっては可愛いものもあったけどね。何だか感想がキモイと可愛いと懐かしいしか言ってないね。ホホホ。ちょこっとひとつあるだけで、ゆるゆるなごみます。
「東京おやつダイアリー」いろはにさとみ(リヨン社)(2005.11.27読了)
超人気サイト「雑貨とおやつ」の本。ケーキに和菓子、パンにフルーツ、コンビニ菓子…。出かけて、取り寄せて、作って食べまくった日々の記録。 こういうすごいサイトがあるとは知らなかったとはいえ、本はとっても楽しい。いろんなおやつが出てくるし、しかもご自身でいろいろ作っているからまたびっくり。これを見ておやつ作り熱がムクムクと湧き出てくるから私も乗せられやすい性格かも。
「森博嗣のTOOLBOX 」森博嗣(日経BP社)(2005.11.28読了)
『日経パソコン』連載を単行本化。 「道具」を撮影したフォト日記。さすが工作少年(?)。道具に対する思い入れはひとしおだ。何だかね。ミステリ小説も面白いけど、こういうひとつのこだわりを延々とつづったものも面白いなと思うんです。多分、男の人・・・特に工作に興味がある人はたまらないかな~私は道具としてのあれこれよりもその道具のデザインに惹かれましたけど。
「私が語りはじめた彼は」三浦しをん(新潮社)(2005.11.29読了)
わお!連作短編になっているのですね。このミステリアスな感じ。う~ん。軽い衝撃を頭にくらったかのような読後感。久しぶりに不気味に笑いたくなるような感じのお話でした。村川融という大学教授を軸に親子、男女が・・・ああ・・・面白い。(別に深い意味はない)最初はピンと来なかったんですよ。実は・・・でも読み進むうちに・・・この人間模様が・・・うまくできているというか。こんなことありなのか?と思わせるような話の展開に・・・やられましたね。
「いま、会いにゆきます」市川拓司(小学館)(2005.11.30読了)
映画化、ドラマ化され多くの人がストーリーをご存知かと思いますが、これが原作だったんですね。ドラマは?ちょっと首をひねりたくなるようなおかしな設定もいくつかありましたが。映画は見ていないのでわからないし。 原作はよいですね。やっぱり。大体のストーリーがわかっているので号泣するほどの感動はないけど、映画でもドラマでもない映像が頭の中を静かに流れていき、温かいぬくもりが感じられたよい感触でした。
「もののはずみ」堀江敏幸(角川書店)(2005.11.30読了)
「もの」にまつわるエッセイ。いわゆる堀江先生のお買い物記録というか・・・ガラクタっぽくても愛情があふれるものたち。古道具屋で見つけたそれらは堀江先生の手により静かに息をしているかのよう。通勤用鞄につけられているくまのぬいぐるみには愛嬌を感じましたけど。どちらかというと今までのイメージはかたい感じだったので。あと映写機のデザインがいいですね。

mitu n



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