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2007年の読了本(10月)

2007年の読了本

*10月*
「桜庭一樹読書日記 少年になり、本を買うのだ。 」桜庭一樹(東京創元社)(2007.10.3読了)
「Webミステリーズ」の読書日記の単行本化。すごいとしかいいようのない読書量です。ちょうど「赤朽葉家の伝説」の執筆と平行しており、このような本を読みながら書いたのだな・・・なんて一人妄想もできます。でも本を読むスピードが速いのか?執筆が早いのか?毎日、これだけの量を読み、なおかつ仕事もして日常の動作もするなんて超人としか思えません。うれしいのは下部分に注釈がついているので、知らないことも読めばわかる。私なんて外国の作品はあまり読んでいないので、とっても助かりましたわ。新旧、ジャンルもミステリに限らず、いろいろ読まれているので、読書家の皆様にはとても参考になるでしょう。尚、続・・・としてまだweb上では日記が続いているようです。時々読ませていただきますが、楽しいです。
「通天閣」西加奈子(筑摩書房)(2007.10.4読了)
最初、とてもわかりにくかったんです。町工場で働く冴えない中年男と恋人マメに見捨てらそうな女の物語が交互にやってきて。どちらも通天閣の近くに住んでいて、でも接点がない。何か起きそうで起きない。読み進んでやっと・・・クライマックスでやっと・・・最後は良かったんだけど。途中で気分が暗くなりましたもん。大阪っていう町は勝手なイメージですが、ものすごい活気があって、常にいろんな声が飛び交っているように思えたんですが。
「ズームーデイズ」井上荒野(小学館)(2007.10.6読了)
アームーはズームーという8歳年下の彼と七年間の同棲生活をしていた。そのときの忘れられない日々を回想していきます。アームーはズームーに依存しているのかな・・・と思いきや、カシキという不倫関係の人もいたり、出会い系に何かを求めたり。やっていることは支離滅裂のような感じがします。恋の始まりは楽しいけれど、はまっていくとどんどん苦しくなって、自滅しそうになって、もがいて・・・で、どこかに逃げ場所を作ったりして・・・悪循環になっていく。アームーの亡き父親は小説家でアームーも小説を書いて生活するくらいのお金は稼いでいて、母親とは馴れ合いの関係っぽくて。おまけに激しい腹痛に襲われて・・・まさか命まで・・・段々、アームーはどこへ向かおうとしているのだろう?と思って心配になってしまった。もしかしたら、人間はこれくらいのちょっと危険な恋愛を経験したくらいが今後の人生を冷静に生きられるのかもしれないな。私の素朴な感想でした。
「彼女が望むものを与えよ 」松久淳(光文社)(2007.10.8読了)
(彼女が望むものを与えよ/火曜の朝の恋人/プレタポルテ/結婚しよう/彼女のことは何も知らない/私のスリッパはどこなんだ?/「上」の帰宅/ブルーローズ )の8作品。しかも絶妙な感じで絡んでくるところがすごい。 表紙はブルーローズなのかな・・・愛には、覚悟がいる。らしいよ・・・(多分、男の人、いわく。だと思う。)結局のところ、彼は彼女のことを何も知らないというか、わかっていないということだね。女の人って微妙な心の動きとかあるじゃない。その日の感情とか気分とか・・・でも、男の人ってそういう微妙で些細なことって感じることが下手だよね。だから何で?って思うことが多いんじゃないかな。って勝手な解釈だけど。
「恋は、あなたのすべてじゃない 」石田衣良(青春出版社)(2007.10.9読了)
恋愛指南書ですかね。石田衣良さんらしいというか、もっともなお答えだと思います。最近は、あまりこのテの本は読まないんだけど、石田衣良さん結構好きなんで、どんなこと書いているのかな~と思いまして、読みました。 感想を書く本ではないので長々とは書きませんが、どんな恋愛をしようとも、ボロボロで再起不能にならないようにほどほどに。あとで懐かしく思い返して、「あんなにつらかったけど、あれはあれでよかったな」と思えるようならばいいんじゃないですかね。
「旅を数えて」川本晶子・平田俊子・中島京子・前川麻子・松井雪子・篠田節子(光文社)(2007.10.10読了)
川本晶子「ニケツ」平田俊子「いとこ、かずん」中島京子「ポジョとユウちゃんとなぎさドライブウェイ」前川麻子「ニューヨークの亜希ちゃん」松井雪子「道くさ、道づれ、道なき道」篠田節子「ライフガード」 「本が好き!」に掲載された、旅をテーマにした短篇小説が1冊の本になりました。 それぞれ作家の個性でしょうか?いろんな色がありよいとは思います。 多分、これは好き、あれはちょっと・・・っていろんな意見があるとは思いますが。私は川本さんの「ニケツ」とか中島さんの「ポジョと・・・」なんかが好きです。
「六月の海を泳いで」広谷鏡子(小学館)(2007.10.10読了)
許されぬ恋、つまり家庭のある達彦との不倫。でも衝撃的なのはその達彦の死んでしまう場面から始まること。40歳という若さで癌で死んでしまう達彦と倫子(みちこ)は4年間、不倫の仲だった。達彦の葬儀が終わってもまだ思いを断ち切れない倫子は達彦の妻、ひとみの元へ向かう。現在から段々過去へさかのぼる話の展開は少々読みにくいかもしれないが、慣れてしまえば苦にはならない。週末を妻、ひとみとその子どもと過し、あとを倫子と過ごすというなんとも都合のよい達彦の生活があっていいのだろうか。愛する人への思いを美談では終わらせてほしくないな。私としては倫子にはあまり共感できない。それよりも妻、ひとみはどんな思いだったのだろう?あまり語られていないのでよくわからないが、もしかしたら受け入れることのできないものすごい感情があったのではないだろうか?達彦は最後まで二人の女性を愛して子どもにも恵まれてよい思いだったかもしれない。早く死を迎えることをのぞけば・・・ 残された二人の女性はどうだろう?倫子が最後に段々立ち直っていくのはわかる。でも妻はどうだろう?残された子に依存しながら賢明に地獄のふちを生きていくのだろうか?達彦と倫子の話なのに私は妻に注目しすぎて歯がゆかった。まぁ、多分、私が妻という立場にあるし、子もいるし、最近、不倫モノをたくさん読みすぎて少々胃もたれしているという状況であったのでこんな感想しか書けないのかも。
「旅のおはなし2」雅姫(地球丸)(2007.10.12読了)
第二弾の今回はボリュームもあり、読み応えも十分。スウェーデン、デンマーク、中国、京都と神戸、高知に香川、ロンドン、たくさん旅をしているな~旅についてのQ&Aもあって楽しい。「天然生活」と合わせて読むとまた楽しさ倍増です。
「雨の恐竜」山田正紀(理論社:ミステリーYA!)(2007.10.24読了)
奇想天外な殺人事件がおきた。それがなんと恐竜が犯人だという噂だ。 恐竜の発掘現場として知られるこの土地にヒトミの部活の顧問の浅井先生の死体が発見される。14歳の斉藤ヒトミ、茅崎サヤカ、勇魚アユミは子どもの頃、夕日を背にゆっくりと歩いていく恐竜の姿を見た。忘れられない風景だ。 この恐竜が犯人なのか?ファンタジック・ミステリーだそうだ。児童書とはいえ、長い・・・こんなに長い話・・・途中で・・・ってなりそうだったけど。 ま、何とか読みきった。ミステリーといえばミステリーだな。新しい感じといえばそうだし・・・感想が難しい。良いといえば、装丁が美しい。コレに惹かれて借りたようなものだし。
「ゾラ・一撃・さようなら」森博嗣(集英社)(2007.10.26読了)
孤独な探偵・頸城悦夫(くびきえつお)のもとに元都知事の大物タレント法輪清治郎(のりわせいじろう)の館にある「天使の演習」という美術品を取り戻して欲しいという依頼が舞い込む。依頼人は志木真智子。その母親の預けたものだという。そして謎のゾラとは・・・ミステリーたっちでちょっとだけ恋愛もありのハードボイルドって感じ。 (よくわからないな。)話は面白かった。でも以前シリーズで読んだときのドキドキ感はない。私が成長してしまったのか、森先生が進みすぎているのか・・・実は森先生の作品を読むのが久しぶりで話と登場人物がつながるかちょっと心配だった。でもいつどの作品を読んでも面白いようにできているね。


mitu n



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