■ ♪冷静と情熱のあいだ(Rosso)♪ 江國香織(角川文庫) |
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あおいの物語。恋人マーヴはとても優しい人。でもどんなに肌を合わせても心を開かないあおいに淋しさを感じている。冒頭で「阿形順正は、私のすべてだった。」と書いてあるようにあおいはいつも心のどこかで順正を思い続けている。静かな生活・・・きっとこのままマーヴの優しさに包まれて生きていけば幸せなのかもしれない。私だったら・・・新しい生活を受け入れて生きていくだろう。でもずっと忘れない。過去の激しい恋愛は。誰にも知られないように胸の中だけにしまって封印の鍵をかけてしまう。それでいい・・・と信じて。あおいは違う。現在を生きながら、過去の約束も忘れない。順正の手紙を受け取った日から現在ではなく、過去の自分にタイムスリップしてしまう。心の中ではもう順正に向かって走り出していたはず。だからフィレンツェのドゥオモに行ってしまう。2000年5月25日・・・順正との再会。ここで終わりならきっと「よかったね、あおい」この一言だけで感想は終わってしまうだろう。最後の部分はbluを読まないとわからない。あおいの物語は順正と再会し、幸せな3日間を過ごすことしか書かれていないから。
江國さんはあとがきで「どんな恋も、一人の持ち分は1/2であるということを、どんな恋をするよりも切実に感じた。」と書いています。そうかもしれない。江國さんらしい言葉だな~と思いました。 (2002.11.13読了) |
■ ♪冷静と情熱のあいだ(Blu)♪ 辻仁成(角川文庫) |
あの時交わした約束、あおいは覚えているだろうか?順正の視点で描かれています。江國さんの本とは違い辻さんの本は情熱が勝っているかな?男と女の感情の違いをbluを読んで感じました。映画はこちらの方がベースになっているんですよね。順正の冷静さの中にあおいを想い続ける情熱がある。辻さんのとてもきれいな文章が私は好きです。江國さんの方もそうでしたが、この本を読むとどうしても私はあおいの心になってしまう。bluでは順正の心の中に生き続けるあおいになってしまいました。それだけあおいという女性は普通に誰もが持っている純粋さが強いということでしょうか?美術の話もたくさん出てきて嬉しかったです。やはりコラボというだけあって2冊読んで
みないと完了しませんね。やっと私の中であおいと順正がつながりました。(2003年1月22日読了) |