連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

猫猫先生こと小谷野敦氏は「文学が分かる」とか「音楽がか分る」とか、「○○が分かる」というのは、要するに(自分にとって)面白いかどうかだ、と単純明快に述べているそうですが、そういうことですね! 

 その時、その場で面白ければ、それが一番、ということでしょう。

 ワタクシの伯父が、「戦時中、腹が減っている時に食ったナスビの味を超えるごちそうはついになかった」と言ってましたけど、それもまた真なり、でしょう。 (May 22, 2009 07:47:18 PM)

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May 18, 2009
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カテゴリ: 今日もいい日だ

 昨夜遅く、何気なくテレビのチャンネルをパチパチ変えながら見ていたのですが、ふと、NHK(衛星放送?)でやっていたクラシックの番組に行き当たりまして。

 と、ここで一応補足しておきますと、私、本来クラシック音楽にさほど興味がない人間で、まあはっきり言えばかなり「無知」な部類に入ります。

 それなのに、それなのに、ですよ。リモコンを操るワタクシの手がピタッと止まったと思って下せい。

 それほど、妙なる室内楽(ヴァイオリン&ピアノ)の音色が聴こえてきたわけですよ。

 演奏していたのはヴァイオリンがフランク・ペーター・ツインマーマン、ピアノがエンリコ・パーチェなる人物。主役はツィンマーマンの方です。

 で、このツィンマーマンがいいんですわ。クラシックの演奏家にありがちな「顔で弾く」のではなく、表情を抑え、体の動きも最小限にしながら、いい姿で弾いている。一方、これに合わせるエンリコ・パーチェの方はといいますと、こちらはむしろ楽しげな表情で、時折ツィンマーマンンのことをチラッと見ながら、控え目に二人の呼吸を合わせている。この二人のコンビネーションが素晴らしいわけ。

 で、二人が演奏しているバッハがまた、言いようのないくらい素晴らしいんです。あれは人間の作った曲じゃないね。神様がバッハを通じて地上に舞い降りてきた、って感じ。番組の中では、他の作曲家の曲も何曲か弾きましたが、やはりバッハを超えるものはなかった。


 番組を見ているうちにわかったのですが、このプログラムは結局、ツィンマーマンをフィーチャーしたドキュメンタリーだったようで、演奏の合間に彼へのインタビューとか、楽屋風景なんかも映し出されるのですけど、インタビューに答えるツィンマーマンの態度がまた素晴らしいんですわ。すごく穏やかで、謙虚で、しかし音楽に対する強い情熱と理解が言葉の端々から迸るようで。

 ちなみに彼のご両親も姉も著名な演奏家だったため、彼も幼い時からヴァイオリンの訓練を受けたようですが、「10歳の時に見よう見まねでシベリウスを弾いていたら、両親に怒られてしまいまして。その後、20歳くらいの時にもう一度トライして夢中になったものの、また一時遠ざかり、30代後半で再び演奏するようになったんです。シベリウスは私のアイドルですから」なんてインタヴューの中で言ってました。



 ツィンマーマンはそういう家庭に育った、ってことなんだよな~。

 でも、この番組見ながら思いましたけど、彼のような人生って、どうなんだろう。ワタクシが「手つなぎ鬼」だのドッヂボールだの野球だのにうつつを抜かしていた時に、ツィンマーマンはシベリウスにチャレンジし、ワタクシが好きな女の子の一挙一動にドキドキしていた中学生の頃には、彼は既に演奏家としてデビューして世界各国を回っており、今、ワタクシが「明日の授業、何について話そっかな~・・・」なんて漠然と考えている時、彼は、「若い時から腕はあると認められていたけれど、40代になってからようやく音楽家としても認められるようになりました。2千人の聴衆を自分一人の演奏に惹き込むことができるなんて、音楽って素晴らしいですよ!」などと感想を漏らす。そして、今、彼は精力的にツアーをこなし、様々な作曲家の作品にチャレンジ、世界一流の演奏家と三重奏を試み、世界一流のシンフォニーと共演を果たし、世界一流の評価を得て、世界一流の友人たちと音楽を語って談笑する。


 この差・・・。


 ガックリくるね・・・。


 彼が持っているものを、ワタクシは何一つ持ってないんだもん・・・。


 ただ一つ、彼になれないものにワタクシがなれるとしたら、それは「善き聴き手」になることでしょう。ツィンマーマンといえども、一人で弾いたってつまらないわけですし。彼の演奏に夢中になってくれる「誰か」がいなければ。

 じゃ、その「誰か」になってやろうじゃないの。

 というわけで、ワタクシ、この番組が終わると同時に、深夜2時にCDのお買いものですわ。この番組が扱っていた演目そのもの、エンリコ・パーチェと共演したバッハの室内楽のCDが二枚組で売っていたので、一瞬の迷いもなく買っちゃいましたよ。

 ということで、クラシック音痴の私をも圧倒した神の音色、フランク・ペーター・ツィンマーマンとエンリコ・パーチェによるバッハのヴァイオリン・ソナタ集、教授の熱烈おすすめ!です。


これこれ!
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【送料無料選択可!】バッハ: ヴァイオリン・ソナタ集 BWV1014-1019 / フランク・ペーター・ツ...





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Last updated  May 18, 2009 05:20:42 PM
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Re:素晴らしきツィンマーマンの世界(05/18)  
釈迦楽さん;
>神様がバッハを通じて地上に舞い降りてきた、って感じ。


これ、まさにその通りですね。
バッハの音楽は彼の時代の作曲家はもちろん、後世の大作曲家のものとも違う気がします。優劣ではなくて。
音楽の捧げものやゴールドベルク変奏曲、ブランデンブルグ協奏曲など…
どれもどこかの王侯貴族のために献上された曲だそうだけど、それは当時の作曲家の身過ぎ世過ぎのためには致し方ないこと。彼の音楽に神の息吹が吹き込まれている事には変わりありません。
この「神」はキリスト教の神というより、divineと形容した方がいい非人(神)格的なもののように感じます。
例えば早朝の永平寺の森にも、「音楽の捧げもの」はぴったりだと思うなぁ。

僕の友人(ムカシのオンナ!)の娘に庄司さやか(漢字が難しくて忘れました!)というバイオリニストがいます。彼女は若くして確かシベリウスコンクールで優勝して話題になりました。僕もそんな縁で彼女の演奏は何度も聴きましたが、どうも暗くて。
天才(彼女も天才だと思います)にも、明るい天才と暗い天才がいるんでしょうね。

バッハには明るい天才の演奏が向くような気がします。
ツィンマーマンはどちらのタイプなんだろう?
(May 20, 2009 11:34:30 AM)

Re[1]:素晴らしきツィンマーマンの世界(05/18)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

 カナダのピアニスト、グレン・グールドのように、もうバッハしか弾かないという人もいますが、その気持ちは分かるような気がしますね。これ以外は「演歌」みたいなもんだろう、と思っていたのではないかと。

 ツィンマーマンは、バッハを弾く時はものすごく緊張するとインタビューで述べていましたが、この作品集への取り組みも、「満を持して」という感じだったそうです。だから、バッハを特別視しているところは確かにあるのかも知れません。

 でも、その一方でツィンマーマンは(私には演歌に聞こえる)シベリウスも好きだと言っており、その辺の好みが私にはよくわかりませんね。

 ちなみに彼の演奏ですが、これはもう明るい、暗いというより、ザ・正統派でございまして、「端正」という表現が一番合っているような。とても清々しいですよ。何しろバッハは神の声ですから、ちっぽけな人間の解釈なんぞ付け加えないで、なるべくバッハの指示通りに弾くツィンマーマンの姿勢こそほむべきではないかと愚考しますが、如何? (May 20, 2009 03:22:46 PM)

Re[2]:素晴らしきツィンマーマンの世界(05/18)  
釈迦楽さん
>なるべくバッハの指示通りに弾くツィンマーマンの姿勢こそほむべきではないかと愚考しますが、如何?
-----
コンサートの前には楽器の調律をしますね。あれは大変な作業で、ピアノなどは演奏者に合わせて個別に、その都度やるんだそうです。他の楽器も基本はAの音を使いますが、それぞれの音は演奏者一人ひとりがいわば自分の「好み」で「味付け」をするそうです。
それに、調律の基準も現在一般的な十二平均律の他に純正律とか中全音律など色々なものがあって、今でも(!)その優劣やある楽曲に対する適不適が論じられているのだそうです。
しかも、鍵盤楽器、弦楽器、打楽器、管楽器などそれぞれによっても、調律の基準が違うのだとの事。
これだけで、大部な書物を何巻も書けるほどだそうです。

こうしてみると、ソロの演奏はともかくも、異なる楽器による合奏や、ましてやオーケストラ演奏などは、やはり大変な技になるのですね。

つまり一つの曲には客観的な基準などはなく、やはり演奏者の解釈や楽器の取り扱いに大きく左右されるという事では無いでしょうか?

ツィンマーマンのバッハは、聴いている者にあたかもバッハが彼に憑依しているように感じさせるように「彼が解釈し演出した」演奏だと云えるのではないかと思います。

勿論聴き手の方も大事な参加者ですね。
そういう意味では、コンサートは楽曲と演奏者と聴衆が相関する、まさに一期一会の場なのですね。
(May 21, 2009 12:37:52 PM)

Re[3]:素晴らしきツィンマーマンの世界(05/18)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

>ツィンマーマンのバッハは、聴いている者にあたかもバッハが彼に憑依しているように感じさせるように「彼が解釈し演出した」演奏だと云えるのではないかと思います。

 ま、それは確かにそうですね。第一、ツィンマーマンのパフォーマンスはピアノの伴奏を使ってのものですけど、バッハの時代にピアノはないわけで、厳密にいえば、バッハの作品そのものというよりは、それを近・現代風にアレンジしたもの、ということになる。その時点で「バッハに忠実」とは言えないわけですね。

 しかし、例えばモーツァルトの作品は、小規模オーケストラで軽快にテンポよく演奏するのが「モーツァルトっぽい演奏」と一般には思われており、逆にカラヤンがベートーベンを演奏するように、大規模オーケストラでジャジャジャジャーンとモーツァルトを演奏されても、「気分が出ない」ところがある。

 「正統的な演奏」という言い回しで私の言わんとしているのは、「バッハはこうやって演奏すると、バッハっぽいよね」というところなんです。ツィンマーマンはその辺をよく心得て、少なくとも私が「これぞバッハ!」と思うような風に演奏してくれる。そこが私の好むところ、なんですな。 (May 21, 2009 05:13:37 PM)

Re[4]:素晴らしきツィンマーマンの世界(05/18)  
釈迦楽さん
>ツィンマーマンはその辺をよく心得て、少なくとも私が「これぞバッハ!」と思うような風に演奏してくれる。そこが私の好むところ、なんですな。
-----
何となく「釈迦楽ブログストーカー」っぽいワタクシですが、上のコメント、特に「そこが私の好むところ」が、得たりやオウ!ですね。

ヤツガレ(と急に「死語」が出てきますが)は、音楽であれその他の芸術であれ、更には風景であれ食べ物であれ、その良し悪しや好悪は、自分を含めたその場の環境を踏まえた上での一期一会にあるのだと頑なに思うものであります。
従って場末の回転鮨屋でおろし山葵と練り山葵を云々するもの、牛丼屋でオージービーフと飛騨牛をあげつらうもの、浅草オペラ(古い!)に音程の狂いを云々するものが大っ嫌い!どころか、「無粋!」、「下品!」、「最低!」と悪口の限りをぶつけてしまいたくなるタチなのです。

そう申し上げておいて、ヤツガレの今までで一番良かったバッハは、デートする美しい相手も無く、むくつけき男の後輩と年末に上野の東京文化会館小ホールで聴いた、小林道夫のゴールドベルク変奏曲だと告白します。

何故か。
東京文化会館の小ホールは音響効果に優れ、チェンバロのソロには相応しい!
などとは申しません。
あの30もの変奏曲から成る曲を聴きながら、実に心地よく居眠りが出来たのです。
この曲はグールドが周囲の反対を押し切ってピアノで演奏し、それを二度もレコーディングした事で注目を浴びたのだそうですが、そして二度目のレコーディングの後にグールドは亡くなったそうですが、そんなものはヤツガレにとっては後知恵。
年の暮れのあの小ホールの薄暗がりの中、タダ券でも無ければ誘いたくも無いオトコの隣で、心安らかなうたた寝をもたらしてくれた小林道夫のバッハは、まさにヤツガレ好みだったのです。

(May 21, 2009 11:06:31 PM)

Re[5]:素晴らしきツィンマーマンの世界(05/18)  
釈迦楽  さん

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