歪曲ロマンチスト

歪曲ロマンチスト

いたずら



名前を呼びながらギンはイヅルの処へと来る。

「また貴方ですか・・・・市丸さん・・・・・」

最近,ずっとこうだ。

仕事をサボっているのか何なのかは解らないが,
ギンはよく霊術院に来てはイヅルを見つけ出して絡んでくるのだ。

しかもギンはイヅルを探すのが上手かった。

どんなに大人数でいても「イヅルーv」とすぐイヅルの処に来るのだ。

わざわざ自分に逢いに来るのも謎だが,一番不思議なのはそれだった。

「お仕事があるんじゃないですか?」

「だってー,仕事なんかつまらんもん。
 イヅルに逢いに来る方がよっぽど有意義や。」

「他の人でもいいでしょう」

「君がええの。」

ギンが一瞬真剣な顔になった。

その表情にイヅルの鼓動は少し早くなる。

だが,すぐいつもの掴み所のない笑顔に戻る。

「そういえば市丸さんって僕のこと見付けるの上手いですよね・・・・・。
 どうしてですか?」

「あれ,気付いてへんの?」

「はい,一人ならまだしも大人数の中からも見付けられるのが不思議で・・・・。どうしてです?」

ギンはイヅルにすっと手を伸ばす。

その手はイヅルの髪に触れた。



「こない綺麗な金色の髪,イヅルしか居らんやないの。」



また,鼓動が早くなった。

「た,確かに髪が金色なのは僕だけですけど,
 綺麗なんて・・・・買い被り過ぎですよ。」

「そーなん?」

ギンはイヅルの髪にそっと指を指し入れ手櫛を通す。

今度は顔も少し紅くなる。

だがギンはそんな事に構いもせずイヅルの髪を梳き続けてる。

「サラサラで触っとて気持ちええし・・・・。
 お日さんみたいなのに優しい色。
 ボク,イヅルの髪好きやで?」




かぁっ。





イヅルの顔が真っ赤になった。

「イヅル,どないした?
 熱でもあるんやないの?」

ギンはそう言ってイヅルの額に自分の額をくっつける。

「熱は無いみたいやけど・・・・・イヅル?」

「ぼ・・・・・僕,授業があるので失礼します!!」

「えっ,ちょい待ちイヅル!」

ギンの引き止める声も聞かずイヅルは走り去っていった。





「はぁ,はっ,はぁ・・・・~~~~っ。」

不覚,だ。
まさかここまでドキドキするなんて・・・・・・。

「全く・・・あの人は・・・・・。」

大体授業があるなんて嘘なのだ。

今は昼休みで,始業まであと二十分ほどある。

自分でも解るくらい顔が紅かったのだ。
それで走り去ったとなれば・・・・・。


「ばれたかな・・・・・。」


まだ秘密にして居たいのに。

この想いを―――。

とりあえず,顔はまだ紅い。


冷やさないと授業には出れないな・・・・・・・。


そう思いながらイヅルは顔を冷やそうと水場に向かった。





イヅルが走り去った後,ギンは一瞬呆気にとられていたが
くすくすと笑い出した。


「あんなに顔真っ赤にして・・・・可愛ええなぁ・・・・・。
 まさかあそこまで反応する思わんかったし・・・・・・。」


ギンは全てわざとやっていたのだ。

しかし,其処には遊びのからかいの意味も
嘘もなかった。


ただ,イヅルに触れたかった。
初めて対面した日から,ずっと。


「・・・まだ言えへんからな・・・・・。」


この気持ちは。

ボクの事しか考えられんようになるまで―――。

「さて,そろそろ戻らな。藍染隊長に叱られてまうわ。」

そう一言呟いてギンはその場を後にした。





(了)






あとがき。

「霊術院時代のウブなイヅルが書きたい」が書いた動機でした(笑)。

一応原作の「-17逸れゆく星々の為の前奏曲」の後の話です。
未だ両片思いです(告白しないから)。

ギンは「押せ押せゴーゴー♪」な感じですが,
イヅルは「そんな事しないでください!!(ドキドキするから)」な感じ。
ウブですから。



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