Ability~一章~[Ⅰ]                                                                                           此の世界には力を秘めた者が居る。治癒の能力を持った者の大半は城に雇われ、医者などになる。攻の能力を持った者も城に雇われ、兵士などになり、魔物退治に力を注いだ。どちらにしろかなりの数の者は城に雇われた。城に勤めれば生活に苦することなく過せる。なので城からの申し出があれば断る者はいないだろう。しかし其れにはある程度の年齢がなくてはならないのだ。しかし普通の能力者(其れらの力を使える者)はどちらかの能力しか使えぬのだがごくまれに両方の力を使いこなす者が誕生する。

『覚醒の時は来たり。今此処に我が力を与えんとする。汝アネル・ハミアル持って産まれた其の聖なる力を解き放ち此の世界を救うことを命ず。魔王ハゼスの復活も近い…。頼む…急いで…。アネル・ハミアル…!』

「…アル…ハミアル!アネル・ハミアル!!」
「はっはいぃ?」
どっと教室に笑いが響き渡る。
「寝ていたのですか?今は授業中です。次を読みなさい。」
「え!あ…はい。…魔王ハゼスは此の世を我が物にしよと魔物を強化し、人間も捕らえた。其れに怒った神カイルは全ての力を使い魔王ハゼスを封印した。しかしハゼスは封印される前『我は復活す。其の時は必ず此の世を我が物に』と言い残した。」
「はい。有難う。…魔王ハゼスは…」
アネルは此の後先生の話など耳には入らなかった。アネルは今日夢を見た。誰だかは判らない。しかし言われたのだ。魔王ハゼスの復活は近いと。そして、自分に聖なる力が如何( どう )とか…其の言葉…共に声まで脳裏に残っている。決して怖い声ではなかった。逆だ。優しくそれでいて真剣な面持ちで…顔は覚えてはいない。けれど、真剣だった事は覚えている。聖なる力…思い当たるのは「能力」のみである。しかしアネルはそんな力など持っていない。それどころか成績だって下から数えた方が早い。聞くところによれば、能力者は成績優秀だと…だから唯の夢。そんな事は解っている。嫌。そうであって欲しい。唯の夢で片付けたい。けれどアネルは出来ないかった。アネルの唯一の能力…予知夢。此れは予知夢で有って欲しくない。けれど…運命は神でなければ変えられない。…嫌…神でも運命だけは変えられないかも知れない。

そんな中、アネルの住む「フェネミル村」に其の願いを裏付けそして、在ってはならない知らせが入った。
「ハゼスの封印された処から邪気が漏れ始めた。」
と…。フェネミル村は封印された処から一番近い村なのだ。襲われるとしたらまず此の村だろう。皆は知らない。ハゼスの邪気は時に姿を変え又、ハゼスの分身なのだ。


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