Ability~一章~〔Ⅱ〕

城に伝えに行こうにもハゼスの邪気が漏れ始めた所為もあり、外には魔物がうじゃうじゃ。攻の能力者でもなく、村の外に出れば、即食い殺される。魔物は人を食うのだ。そんなある日、前より強力に張られた結界の中に傷だらけの旅人がやって来た。村の民は急いで処置に当たった。何の警戒心もなく…。

「とりあえず此の村に居る治癒の者を向かわせた。此の村にの攻の能力を持った者が居れば少々危険だが…城へ向かわせられたのに…」
村長は何故此の村には攻の能力を持った者が誕生しないのかという疑問を口にしてしまっていた。

『嫌だ…恐い…あんなの旅人じゃないじゃないっ…邪気の塊じゃない…何で皆解らないの?…恐い…嫌だ!…村が…燃える…?やめて~!!!』
「ぉぃ…!おい!!アネル!大丈夫か?かなり唸されてたぜ?」
「ゆ…め…?ハァ…ハァ…セルハ…?…セル…うっ…わぁ~ん」
セルハとは、アネルの幼馴染で、隣に住んでいる元気な少年だ。朝が弱いアネルは起こしに来たのだ。此れは小さいころからのことなので、セルハの日課と化していた。アネルが夢に対して唸されていることは幾度も在った。が、今回は尋常なではなかった。
其の上抱き付かれてしまっては如何にも出来ない。

アネルも落ち着きを取り戻したところで、どんな夢を見たのか聞いてみた。決して無理をしてまで言えとは言わなかったが、やはり悪夢と言うのは人に話してしまった方が楽になる。其れを解った上での会話だった。
「あの旅人は、…旅人なんかじゃないっ!ハゼスの漏れ出した邪気の塊なの…まず、今旅人の手当てしている能力者が殺されて…次は此の村を燃やすの…其れが唯…兎に角恐くて…此れがもし…本当だとしたら…」
アネルは再び泣き始めた。其れ程現実的( リアル )な夢だったのだろうか?はっきり言ってしまえばセルハは此の事に関しては信じようにも、そんな大きな邪気であれば、治癒の者達が気が付くはずだ。つまりはあの旅人が邪気の塊で無いことなど証明されるではないか。しかし其れを簡単に唯の夢だと言い切るのは如何だろうか?アネルが此処まで恐がる…と言うことは、現実的だったから。そういう時はたいていの場合"予知夢"なのだ…。夢に対する反応…予知夢だと言う方が一枚上手か…?では、何故能力者達は其の邪気に気付かないのか…?セルハは自分の持てる全ての知恵を(全てと言ってもセルハも成績は決して良い方では無い。)絞り出し考えた。そして、思いついたことが一つだけ在った。
「(邪気が強すぎて…結界が効かない?…そして…能力者の感覚が麻痺しているとしたら…?)」
其の考えが当たっていれば、危険なんて問題では無い!此の村が壊滅する…。セルハが此の考えに辿り着いた時にはすでに…遅かった…。

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