練習会・3



  さて。血の出るような努力をし、(自分で言うな!)それこそ、店長に言われた通り、男とも続かず(たいていの男はあまりにも美容バカな私に向かって「俺と仕事とどっちが大事なんだ!?」と馬鹿な質問をした。それが最後「仕事はそんな馬鹿な質問しないんだよ!」とその男とはそこで終わることになる。)私にはすでに仕事しかなかった。
心のどこかで「男は裏切るけど、美容は裏切らない」と思っていたのもあると思う・・・。
当時、付き合った男の子たちはかわいそうに、その程度のものであった。
毎月派手に変わる髪形について来れない彼もいた。
週一で平日しか休みが取れず、しかも、その休みの日にすら店にこもっていた私とじゃ、昼間一緒に出かけることすらままならない。
まだ若くてパワーがあったので、練習会が終わってからとかたまに早く上がってから、1時間かけて彼氏のところに行って、夜中の3時くらいまで遊んで、家に戻って2時間寝て仕事・・・なんてのも結構やっていた。
今になってよく思えばその中の1人なんて夜にしか会ったことがないかもしれない・・・。

それでも、技術者になり、今度は練習会で教える立場になってくると、今度は別の意味での苦悩が始まった。
自分も覚えは悪かったけど、下の子はさらに覚えが悪く、もっと悪いことに練習する気もないのである。
「言われるからやる」ってのがみえみえで、どう教えていいのかわからなくなった。
同じように教える立場に立った後輩も良く泣いていた。どう教えていいのかわからないのである。だって、言っても言っても冷めた顔しちゃって、ぜんっぜん人のこと聞いてないんだもん・・・・・。
「年々、質が落ちるな」と言う先生の言うことがわかる気がした。
私の担当した子は美容院の2世(母が美容師)なんだけど、驚くほどやる気もなく、手先も不器用な子であった。
不器用ならそれなりに練習すればいいようなものを、まったくしてこない。
毎日持ってきて見せろ!といってもすごいのを平気で持ってきたりする。
私はネチネチいじめたりはしないかわりに、ズバズバ言うタイプだったので、彼女もずいぶん泣いていたようではある。
自分ができないよりもストレスがたまった。
自分が出来ない分には練習すればよかったけど、今度ばかりは代わりに練習なんてしてやれない。
ストレスは夜遊びになった。
仕事が終わって夜中からでかけて、朝まで遊んで少し寝てから店に行く。
当然、昼ゴハン中はほとんど寝てすごした。
でも、死んでしまった彼が言っていた「遊ぶ為に働け!働く為に遊べ!」を一番地で行ってたのはこの頃だと思う。
とにかく遊ぶにしても仕事するにしても、ものすごく真剣だった。
一度だけ、夜遊びしたいと言う後輩を六本木に連れて行った。
私は体力あるから、次の日もそれでも仕事はこなすんだけど・・。
彼女たちは全員死んでいた。
体力のないヤツは美容師にはなれない。
先生に平謝りに謝って、2度とやつらを夜遊びには連れださなかった。


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