与作・2



    与作と私の家の中での役割分担は非常に難解である。

普通、男の仕事、とされていることの9割は私が受け持ち、女の仕事とされていることのまぁ、7割は与作が引き受けている。

代表的なものに、食材の買出し、洗濯がある。
うちはNYのほとんどのアパートがそうであるように、家の中に洗濯機を持てない。
てことで、近所のコインランドリーに行くんだけど。
これが結構大変な仕事。
うちなんて、エレベーターもないし、大きなショッピングカートに洗濯物や洗剤を乗せて一人で洗濯・・・・には行きたくないのである。
QPが生まれて以来、洗濯は与作の仕事になった。(その前も一緒に行ってくれたりしてたけど。)
毎週土曜の早朝(少しでも遅れると混むんだそうだ)に起きて、暗いうちから洗濯に行くのである。私とQPはもちろんその間も爆睡している。
それでも彼は一度も文句を言ったこともない。

買出しもこれまたうちは週に一度である。
しょっちゅう行くといらないものまで買ってしまって不経済だし、うちの周りのスーパーは、袋に詰めてくれるおやじや子供がいて、その人にもいちいちチップをあげないといけないので、これまたバカバカしいのである。
車のない我が家ではこれも与作の仕事。
たいてい、土曜の朝、洗濯の後か日曜の朝にまたもやでかいショッピングカートを持って行くのである。
私は欲しいものを書いて渡すだけ。
彼は実際に若いので、どうやらそこのスーパーの店長は彼がお母さんのために毎週来ていると思ったらしく、毎年サンクスギビングには「ご褒美だよ!」と言って、店にあるターキーから好きなのを選ばせてくれてタダでもらってくる。
もちろん、私は意地でもターキーなんて作らない(あんまり好きでもない)ので、それは確かに彼のお母さんの元へと行くことになるのだが・・・・。

その他彼の仕事と言えば、キッチン掃除が代表的である。
彼はストーブ(いわゆるガス台)が汚いのが我慢できないらしい。
で、私とQPがいろいろ日本食を作って飛ばした醤油のしみなんかを毎晩毎晩、1時間くらいかけてピカピカに磨き上げるのだ。
いいじゃん、べつにー、ちゃっちゃっと拭いておけばそれはそれできれいだよ~!と私なんかは思うんだけど、彼はそうはいかないらしい。
それは逆に体に悪いんじゃないのか?ってほど409(カネヨンとかみたいな万能洗剤)とかをスプレーしまくって掃除をする。
しかも決まって、CDウォークマンで好きなラップなんかを聞きながらすごく楽しそうなのである。
よく、「かわいそう~。掃除させられて~」などと言われるが、これは思うに、彼の趣味の1つと言っていいと思う。
だって、嫌ならやらなくてもいいんだし(私だって、ちゃっと拭くくらいはやれる)文句言えばいいじゃない?でもこんなに楽しそうに毎晩・・・ってことはきっとこれは彼は楽しくてやっているのだ、と私は解釈する。
その他の事を見ても、きっと彼は「掃除が好き」という非常に稀な男なんだと思う・・・・。
窓掃除でも、風呂掃除でも、そこに音楽さえあればすっごく楽しそうなのだ。
もちろん↑のふたつもうちでは彼の担当で、私は絶対手をつけない。

しかし。
たった一つ、彼が掃除できないところ。
それは床。
アメリカ人として育ってしまった彼にとって、「雑巾がけ」だけはできないらしい。
てことで、雑巾がけだけは私がする。

男の仕事・・・というと思い浮かぶのが日曜大工であるが、これは与作はまったくのテリトリー外であるらしい。
したがって、我が家で日曜大工は私の仕事。
以前も日記に少し書いたけど、我が家にあるもので「組み立て」の必要なものはまず、例外なく私が作ったものである。
一緒にベビーカーを買いに行ったときも、トイザラスの中で組み立ててそのままQPを乗せて帰ってくるのに、組み立てているのは私。与作は隣でQPと遊んでいるのである。
クーラーの取り付け、取り外しも毎年私の仕事であるし、本棚・机・三輪車・カーテンレール・・・と全て私の作品である。

非常にうまくつりあいが取れている夫婦なのかもしれない・・・とは思う・・・・。


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